以下、図1から図19を参照して、本発明に係る認証装置の実施の形態を説明する。この実施の形態は、銀行システムなどの金融機関システムに採用される例えばATMのような自動取引装置や情報処理装置及び入退出装置に関する。図1から図13は第1の実施の形態、図14から図17は自動取引装置に応用される他の実施の形態、図18は情報処理装置に応用された他の実施の形態、図20は入退出装置に応用された他の形態を示している。なお、同一の部位や方向などは同一符号を持って示し、重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1から図13を参照して本実施の形態に係る自動取引装置を詳細に説明する。図1は、実施の形態に係る自動取引装置の外観図である。図2は、銀行システムのシステム構成図である。先ず、図1を参照して、本実施の形態に係る自動取引装置の概略構造を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る自動取引装置1の概略説明図である。
図1において、符号1で総括的に示すのは、金融機関等のロビーなどに設置される自動取引装置である。本実施の形態では、自動取引装置1としてATMの例で説明する。自動取引装置1は、直方体の前面上方の一部分が側面から見てL字形に切り欠かれた開口部を有する本体筐体10と、このL字形の開口部を塞ぐように配置され、側面から見てL字形に形成されたフロントパネル11とから構成されている。
本体筐体10は、前面が開口したベース筐体12と、このベース筐体12の前面下方に設けられた板状の前面扉13と、ベース筐体12の背面に配置された板状の背面扉14とを有している。ベース筐体12は、各種の取引処理を行う機構部、例えば、図2に示す、タッチパネル付表示部220、カード部221、通帳明細印字部222、伝送制御部223、記憶装置部224、硬貨入出金部225、紙幣入出金部226、電源部227、制御部229等を内蔵している。
タッチパネル付表示部220は情報の入力装置および出力装置としての機能を備えており、カード部221は接触式のICチップを備えたIDカード212(図2、図3参照)の読取装置および出力装置としての機能を備えている。そして、タッチパネル付表示部220の操作表示部15や各部の媒体口18、19、23、24等はフロントパネル11から露出するように配置されている。
L字形のフロントパネル11は、本体正面の垂直面を形成するパネル部16と、水平面を構成するテーブル部17とを備えている。本実施形態では、垂直面を構成する前記パネル部16の中央にカード/明細票取扱口18や通帳取扱口19からなる媒体取扱部20が配置され、水平面を構成するテーブル部17の中央に操作表示部15、その両側に非常時の連絡用のハンドセット21と認証部400が配置され、水平面と垂直面の角部には紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24が並設されている。
そして、本実施の形態の特徴の1つは、前記認証部400の筐体410を、前後方向に長い縦長の形状とし、その上面の中央に機械的なテンキー部402を配置し、このテンキー部402を前後で挟むように生体認証部401と非接触式のデータ読取部403とを配置した点にある。
これにより、暗証番号を確実に入力できる機械的なテンキー部402に近接して、このテンキー部403と連動操作が可能な生体認証部401とデータ読取部403を配置することで操作性を向上させることができるとともに、この認証部400全体をコンパクトな形態とすることができる。
特に、この実施の形態によれば、従来の磁気カードや接触式のICカードでの使い勝手を維持しつつ、最近急増している非接触のICカードやIC内蔵型の携帯電話機でも本人認証を行って、ローン取引などの自動取引が可能と成る。更には、セキュリティの高い生体認証との組み合わせ操作や確実な操作が可能な機械的なテンキー操作との組み合わせ操作を状況に合わせて選択することができる。
また、本実施の形態の他の特徴の1つは、テンキー部402の後方に配置される生体認証部401または非接触式のデータ読取部403の一方を高い位置に配置し、テンキー部402の前方に配置される生体認証部401または非接触式のデータ読取部403の他方を前記後方の高い位置より低く形成し、テンキー部402の両側に前記高い位置と低い位置とを連続させる側板420を形成した点にある。これにより、前記側板420により、暗証番号の入力時のテンキー部を外部から見えにくくすることができるので、セキュリティ性を向上させることができる。しかも、利用者は、テンキー部402の前方に配置された装置は低い位置で操作することができ、また、最後部の装置は高い位置で操作できるので、操作性に支障をきたすことがない。更に、前記側板420は、前記高い位置と低い位置を繋ぐように形成されるので、この側板420が異様に張り出して意匠性を損ねたり、あるいは、穴の中に手を挿入するような不安を利用者に抱かせることを軽減することができる。
また、本実施の形態の他の特徴の1つは、前記認証部400を、その長手方向の一辺を前記操作表示部15の一辺と隣接するように配置した点にある。特に、この実施の形態では、前記操作表示部15の片側に、その長手方向が前後方向と成る姿勢で前記認証部400を隣接配置したので、自動取引装置1の装置全体の大きさを大きくすることなく、しかも、従来の自動取引装置1の部分変更で、本実施の形態の特徴的な前記認証部400を配置することができる。
従来の自動取引装置1では、その横幅より前記操作表示部15の横幅が狭いものを採用している。これは、図6に示すように、前記垂直面16に集中配置した媒体口18、19、23、24を車いす利用者でも楽に使用できるように、これら媒体口18、19、23、24の高さを低い位置に抑えている。このため、前記媒体口18、19等を左右に並べて配置するため、自動取引装置1の横幅はこれらを収納可能な大きさが必要である。
そしてまた、前記操作表示部15は、大きければ表示内容を大きく表示できるので、視認性を向上させることができるものの、逆に、テーブル部17の前後方向の奥行きの長さが大きくなって、車いす利用者が垂直面16に設けた媒体口18、19、23、24に手が届きにくくなる。そこで、従来の自動取引装置1では、右利きあるいは左利きでも操作可能なように、テーブル部17の中央に前記操作表示部15を設け、前記操作表示部15の両側には、余白部分を設けたものが一般的と成っている。
この実施の形態では、前記余白部分に着目し、その一方に片側に、長手方向を前後方向とする姿勢でハンドセット21を配置し、他の片側に長手方向を前後方向とする前記認証部400を配置している。これにより、自動取引装置1の垂直面16とテーブル部17に、利用者が取り扱う各種装置を使い勝手を損なうことなく、しかも装置全体の大きさを大きくすることなく、効率よく配置することができる。
更に、この認証部400のレイアウトによれば、認証部400と操作表示部15とが隣接した配置と成るので、後で説明するように、3つの機能を備えた認証部400のそれぞれの機能部に近い操作表示部15の位置で操作ガイダンスを表示させることができるので、操作表示部15に表示される画面情報と3つの機能との関連性を分かりやすく、かつ、操作表示部15での操作/視認から認証部400への操作誘導、あるいは認証部400での操作から操作表示部15への誘導を行いやすくすることができるから、利用者の操作性を向上させやすい。
また、本実施の形態の他の特徴の1つは、前記認証部400を自動取引装置1に取り外し可能に設けた点にある。この実施の形態の自動取引装置1は、前記認証部400が取り付けられる位置に取付用開口部25を設け、この取付用開口部25を覆い被せるように前記認証部400を図示しない取付ネジ等を介して取り付けている。前記認証部400と制御部229との接続は、前記取付用開口部25を介して、USB端子接続で行う。
この構造によれば、前記認証部400を使わない場合は、この認証部400を取り外して、図示しない蓋26(図4参照)を前記取付用開口部25に取り付けることもできるし、あるいは、この認証部400と同様な形状を備えた他の追加サービス装置、例えばバーコードリーダへの交換が可能と成る。特に、ここで強調したい点は、近年、使用頻度の高く関連性の強いテンキー部403と生体認証部401とデータ読取部403とを1つの筐体410にコンパクトに集約したことにより、この自動取引装置1への着脱が容易に成った点である。
次に、図2を参照して、この自動取引装置1が設置される金融機関システムの構成と自動取引装置1の構成を説明する。図2は図1の自動取引装置1を用いた金融機関システムのブロック構成図である。
この金融機関システムでは、この金融機関システムを統括するセンタ100のサーバやホストなどの機器(コンピュータ)に対して、複数の営業店舗200のサーバや端末やシステムなどの機器(コンピュータ)と専門センタ350のサーバや端末などの機器(コンピュータ)とがネットワーク300で接続されている。前記営業店舗200には店舗ネットワーク211を介して複数の機器(コンピュータ)が接続され、これら機器(コンピュータ)が前記ネットワーク300を介して前記センタ100や前記専門センタ350の機器(コンピュータ)と接続され、この金融機関システムを利用する顧客に対して各種の金融サービスを提供することができるようになっている。この他、この金融機関システムには前記ネットワーク300を介して他の金融システムや各種のサービスサイトの機器(コンピュータ)に接続することができる。
前記センタ100の各機器(コンピュータ)は、HUBサーバ150を介して他の営業店舗200の機器(コンピュータ)や専門センタ350の機器(コンピュータ)と接続することで、金融機関内の全ての情報を統括管理している。このHUBサーバ150は、ゲートウエイサーバを兼用するものであり、チャネル系APサーバ群を統括する統合チャネルサーバ110と、勘定系ホスト140と、各種の新商品情報を備えた新商品サーバ130と、全ての顧客情報を統括的に管理する顧客管理サーバ120などが接続される。
統合チャネルサーバ110は、前記ネットワーク300を介して営業店舗200の機器(コンピュータ)と接続されて、営業店舗200の機器(コンピュータ)に各種の情報を提供する支援システムである。この統合チャネルサーバ110の統括下には、IBコンテンツ情報を備えたIBサーバ111と、営業店のコンテンツ情報を備えた営業店APサーバ112と、来店顧客情報を備えた来店管理サーバ113と、商品のコンテンツ情報を備えた商品情報サーバ114と、行員情報を備えた行員管理サーバ115と、顧客情報デ一タを備えた顧客情報管理サーバ116とを備えている。
一方、営業店舗200は、店舗ネットワーク211を介して各種装置が接続されて設けられている。例えば、このシステムでは、自動取引装置1、顧客の店舗の出入りを管理する受付端末208、顧客の各種の相談に対応する相談端末207、顧客に各種の情報を提供する情報テーブル端末206、行員が顧客に対して相談や商談を薦める相談テーブル端末205、行員が顧客に対して取引に関する各種サービスを行う窓口取引端末204、前記窓口取引端末204を支援する窓口後方取引端末203、各種の金融関連装置からなる金融デバイス202、店舗内の各種情報を管理する営業店サーバ201、店舗内の無線通信や位置検知を行う店舗通信システム210などが設けられている。
また、この金融機関システムでは、顧客が所有する携帯端末213や、この金融機関が顧客に提供するIDカード(個入認証用カード)212などを介して各種の情報を提供することができる。このIDカード212は、ICカードで構成され、そのICチップ内に顧客の個人情報(暗証番号(識別番号)、生体情報(本実施形態では、指静脈情報)、取引情報などの各種情報)が電気信号として記憶されて登録される。
なお、この実施の形態では、接触式のICカードは前記カード部221を介してデータの読み書きを行い、非接触式のICカードについては前記認識部400の非接触式のデータ読取部403を介して行う。したがって、前記携帯端末213に非接触式のICチップを内蔵したものは、前記非接触式のデータ読取部403を介してデータの読み書きを行うことができる。
前記自動取引装置1は、この自動取引装置1を統括して制御する制御部229と、情報入力部を兼ねたタッチパネル付表示部220と、各種のカードに対して読み取りや書き込みを行うカード部221と、通帳の書き込みを行う通帳明細印字部222と、店舗ネットワーク211に接続するための伝送制御部223と、各種の情報を記憶する記憶装置部224と、硬貨入出金部225と、紙幣入出金部226と、電源部227と、認証部400とを含んで構成される。ここで、前記認証部400は、生体認証部401と、機械的なテンキー部402と非接触式のデータ読取部403を備えている。
次に、図3を参照しながら、自動取引装置1のシステム構成の概略を説明する。図3は図1に示す自動取引装置1のシステム構成の一例を示す概略ブロック図である。
制御部229は、CPU259、メモリ260、および入出力インタフェース255〜258などを備えて構成されている。メモリ260は、図2に示す記憶装置部224を構成するものであり、後述する制御動作を行わせるためのプログラムを格納している。CPU259は、図2に示す制御部229を構成するものであり、メモリ260に格納されたプログラムを用いて制御を実行する。
この実施の形態では、利用者の個人情報を備えた多様な媒体(IDカード212、端末装置213)を介して個人認証を行って、自動取り引きを行うことができる。この個人認証を可能とするために、3つの認証装置を備えている。1つは従来の接触式の磁気カードあるいはIDカードとデータの読み書きが可能なカード部221であり、他の2つは、認証部400に設けた非接触式のICチップを備えたIDカード212や携帯端末213とデータの読み書きが可能なデータ読取部403と、生体情報を読み取ることが可能な生体認証部401である。
前記カード部221は入出力インタフェース257を介してコンピュータ229に接続されており、接触式のIDカード212をカード部221に挿入することにより、IDカード212に登録された顧客の個人情報などがカード部221で読み取られ、制御部229の入出力インタフェース257を介してメモリ260に格納される。
一方、データ読取部403は、入出力インタフェース257を介してコンピュータ229に接続されており、非接触式のIDカード212や携帯端末213をデータ読取部403に置くことにより、IDカード212や携帯端末213から登録された顧客の個人情報などがデータ読取部403を介して読み取られ、制御部229の入出力インタフェース257を介してメモリ260に格納される。
また、生体認証部401は、その内部に光源251とカメラ252とスイッチ253と画像入力器254等を備え、光源251とカメラ252との間に、指261を挿入して、スイッチ253の押下に合わせて指静脈情報の画像信号を取得することができる。スイッチ253の押下の替わりに、図示しない指置き検知センサによる指置き検知により画像信号を取得するようにしてもよい。この指静脈情報は指血管パターンを図形情報として取得する。指静脈情報の代わりに、手のひら静脈情報や、その他の生体情報を用いることが可能な場合には、それらを用いてもよい。カメラ252の画像信号は、画像入力器254によってデジタル情報に変換され、コンピュータ229の入出力インタフェース255を介してメモリ260に格納される。
さらには、スイッチ253も同様に入出力インタフェース256を介して接続され、オン/オフの状態がメモリ260に格納されるか、もしくは、オンになると同時にCPU259に対して割り込み信号を発生する。
なお、本実施形態では、生体認証部401を構成する生体情報読取部で指の静脈を読み取って認証に用いるものであるので、手のひらの静脈を読み取って認証に用いる場合に比較して、認証情報の容量が小さく、認証速度が速く、しかも、認証装置が小型で使い勝手がよいものである。
CPU259は、スイッチ253の状態がオンになったのを確認するか、もしくはオンになった割り込み信号を検知すると、認証を行うソフトウェアプログラムを起動し実行する。そして、プログラムの処理結果に基づき、その結果を、タッチパネル付き表示部220に表示したり、カード部221あるいはデータ読取部403に出力してIDカード212に書き込みしたり、制御対象280に適切な信号を送って扉を開閉したり、といった各種制御を行う。
また、この実施の形態では、数値を入力する際に用いるテンキーを2方式備えている。1つは、タッチパネル付き表示部220の表示画面上に表示する図示しない表示方式のテンキーであり、他の1つは前記認証部400に備えた機械的なテンキー部402である。
タッチパネル付き表示部220に表示されるテンキーは、従来の接触式のカードや磁気カードを介しての通常の取り引きの認証で暗証番号を入力したり、あるいは、取り引きに伴う金額の入力や数値情報を入力する際に用いられる。一方、機械的なテンキー部402は、主に、生体認証や非接触のICカードあるいは情報端末との認証で使用される暗証番号の入力などセキュリティの高い認証や処理で用いられる。なお、この実施の形態では、個人認証での暗証番号は、前記機械的なテンキー402を用いて入力するように設定している。
本実施の形態では、顧客が保持する本人確認のためのさまざま媒体(生体情報を含むIDカード212や携帯端末213等)を介して個人認証を行うことができる。しかし、さまざまな媒体を介しての個人認証を可能にすると、利用者の操作における戸惑いが生じる。そこで、本実施の形態では、これら様々な認証装置を操作表示部15(タッチパネル付き表示部220)の周囲に効率よく配置し、認証装置の誘導や、テンキーの選択などを、その媒体やセキュリティの度合いにより制御部229が選択して前記操作表示部15にガイダンスを表示することで前記課題を解決している。
次に、図4から図7を参照して、自動取引装置1の外観構造を更に説明する。図4は、自動取引装置1の外観構造であり(a)図がフロントパネルの外観斜視図、(b)図が平面図、(c)図が正面図、(d)図が右側面図である。図5は、自動取引装置1と使用者の取扱い姿勢を示す説明図であり、(a)図が立ち姿勢の健常者の使用状態図、(b)図が車いす利用者の使用状態図である。図6は認証装置周辺の外観図であり、(a)図が平面図、(b)図が側面から見た断面図である。図7は、認証装置の応用例であり、(a)図が外観斜視図、(b)図がガイダンス用LEDの動作説明図である。
先ず、図4、図5において、前記したように、L字形のフロントパネル11は、本体正面の垂直面を形成するパネル部16と、水平面を構成するテーブル部17とを備えている。前記パネル部16は、側面から見て、下端部が奥に凹み、その上方が前方に膨らんだ形状を備えている。前記媒体取扱部20はこの膨らんだ部分に横一列に並んで設けられている。そして、その上部は後方にやや傾斜した平面部を備え、この平面部に、この自動取引装置1が動作中か否かを点灯表示する透光性を備えた表示板29が設けられている。この表示板29には、スピーカ30や図示しないカメラなどが設けられている。
また、この実施の形態では、媒体取扱部20等の各装置の近傍に動作ランプ28を備えて、利用者に動作中や取り忘れを促す注意点灯を行うようにしている。
前記媒体取扱部20の下部は後方側に凹状となっており、その下部の前記テーブル部17の後端部に設けた前記紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24から紙幣や硬貨等を取りやすい形状としている。
前記テーブル部17は、その先端部が前面扉13から前方に張り出して形成され、その両側に凹状の取っ手部27が設けられている。また、このテーブル部17の中央には操作表示部15が配置され、その両側に非常時の連絡用のハンドセット21と認証部400が配置されている。この図4では、認証部400に代えて取付用開口部25を覆う蓋4を取り付けた状態で示している。前記したように、この蓋4に代えて前記認証部400を取り付けることもできるし、あるいは他の機器を取り付けることができる。
図5(a)図において、この実施の形態では、前記テーブル部17を、前方に向かって8度(Θ)傾いた前傾斜の傾斜面とし、床面から前記テーブル部17の先端部までの高さH1を840mmに設定している。このため、立ち姿勢の利用者の腰の高さ程度にテーブル部17を位置させることができるから、立ち姿勢の利用者は、このテーブル部17に手を置いた際に、利用者の手を迎えるように支持することができる。しかも、テーブル部17を傾斜させることにより、その中央に配置した操作表示部15も利用者の目線に向かった正対するようになるので、操作表示部15での操作性や視認性を向上させることができる。
また、前記パネル面16は、後方に向かって傾いた傾斜面とし、その傾斜面の下部に前記媒体取扱部20が張り出すように配置されているので、立ち姿勢の利用者にとって、前記媒体取扱部20の取扱性や視認性が良好となる。しかも、前記媒体取扱部20の下部は凹状と成っているので、前記紙幣挿入/排出口23と硬貨挿入/排出口24を見やすさが向上している。
一方、(b)図に示す車いす利用者は、前記テーブル部17の先端部が前方に張り出しているので、このテーブル部17の両側に設けた取っ手部27を介して、車いすを前記自動取引装置1に近づけることができる。しかも、前記テーブル部17は前傾斜と成っているので、操作表示部15や紙幣挿入/排出口23及び硬貨挿入/排出口24が見やすくなっている。しかも、前記媒体取扱部20がパネル面16の低い位置で、かつ前方に張り出しているので、その操作性も向上させている。
次に、図6、7を参照して、認証部400を更に詳細に説明する。この認証部400は、樹脂材料で成形された1つの筐体410にテンキー部402と生体認証部401と非接触式のデータ読取部403とを包含したものである。この認証部400は、前後方向に長い縦長の形状を備え、その縦長の筐体410の略中央に機械的なテンキー部402を配置し、その後方に生体認証部401を配置し、テンキー部402の手前に非接触式のデータ読取部403を配置している。
(b)図の断面図から明らかなように、筐体410は、テーブル部17から全体が隆起した外形状を備え、生体認証部401が取り付けられる後部配置面411は、大きく上方張り出し、テンキー部402が配置される中央配置部412と、データ読取部403が配置される前部配置部413は、前記後部配置面411より低い位置に配置される。即ち、前部配置部413は後部配置面411よりT1の長さだけ低い位置に配置される。そして、筐体410の両側面には、前記後部配置面411と前部配置部413と緩やかに連続する側板420が形成される。これにより、中央配置部412と前部配置部413は、その両側を前記側板420によって覆われる構造としている。
この実施の形態に係る自動取引装置1は、その筐体内に、各種の装置を凝縮した構造を備えている。したがって、認証部400が配置されるテーブル部17もまた、その内部を各種装置や配線の配置空間としているために、認証部400の各種装置を収納するための空間が得にくい構造となっている。
このため、前記認証部400はテーブル部17から隆起する構造を取っている。しかしながら、単に、内部装置が筐体内に入らないからとして各種装置をテーブル部17から隆起させると、意匠性や取扱性が大きく損なわれることになる。特に、テンキー部402は外部から見られにくくする必要があるからとして、衝立をその周囲に単に形成したのでは、意匠性ばかりか操作性が悪くなり、利用者の理解を得られなくなる。
そこで、この実施の形態では、前記隆起部を極力小さいものとするために、前後方向に長い形状とするとともに、前方は低く、後方に行くにしたがって高くなるような前傾斜の隆起形状としている。これにより、ボリュームのある部分が奥まって形成されるため、隆起した印象を軽減することができる。
この実施の形態では、前記隆起形状を実現するために、装置としての大きさが最も大きい生体認証部401を後方に設け、薄い構造を備えるデータ読取部403を前部に配置し、その間に、薄い構造を備えるテンキー部402を備える配置構造としている。
生体認証部401が配置される後部配置面411は、略水平に形成され、その水平面に形成される開口部(認証窓)431から指認証部分が露出するように生体認証部401の内部装置401aを内側よりネジなどを介して取り付ける構造としている。前記開口部431の周囲には、指を所定の位置に固定するための指認証部430を突出させて設けている。
前記前部配置部413は、四角形状の平坦面440を備えている。この平坦面440は、略水平に形成され、その前端部と後端部に、IDカード212や携帯端末213の落下を防ぐための突起部441が形成される。また、この平坦面440の内側には薄い外形状を備えたデータ読取部403の内部装置403aがネジ等を介して内側から取り付けられる。
前記中央配置部412は、前記テーブル部17に合わせて前方に8度(Θ)傾けた傾斜面を備え、その傾斜面に形成される開口部450にテンキー部402のキー部451を露出するように内部装置402aが内側からネジ等を介して取り付けられる。
そして、前記側板420は、前記後部配置面411の前部両側から始まり前記平坦面440の前部の突起部441に終端するように緩やかな稜線を持って形成される。この側板420の造形により、前方が低く、後方に行くにしたがって高くなるような前傾斜の隆起形状を実現している。しかも、この隆起形状によれば、テンキー部402の両側を自然に隠すことができるので、新たな目隠しを形成する必要がない。
また、前記構造によれば、前記データ読取部403の両側にもIDカード212や携帯端末213の落下を防ぐ側板を形成することができる。しかも、このデータ読取部403の両側の側板420は低く形成されているので、前記平坦面440へのIDカード212や携帯端末213の取り外しに支障をきたすことが軽減される。更にまた、緩やかな稜線を持って前記後部配置面411に連続する一対の側板420は、前記指認証部430に指をセットする際に、掌を下方で支持する支持部材として活用することができる。
また、この実施の形態では、認証部400が取り付けられるテーブル部17を前方にΘ傾けた傾斜面とすることで、操作表示部15の視認性と操作性を向上させている。しかしながら、前記生体認証部401として採用する指認証装置は、Θの大きさを大きくすると指をセットした際に手首に負担をかけることになる。同様に、データ読取部403のIDカード212等を置く平坦面440は、Θの大きさを大きくすると落下の課題がある。これに対し、テンキー部402は操作表示部15と同様なΘの角度を持つことで、視認性と操作性が向上する。そこで、この実施の形態では、前記生体認証部401とデータ読取部403とを略水平面とし、テンキー部402をテーブル部17と同じ角度Θとする構造としている。
このような、3つの機能部分の操作面の角度の違いと、テーブル部17との角度の不一致は、前記側板420の内側で形成することで外から見えにくくなるので、意匠性を損なうことが軽減される。
また、この実施の形態によれば、筐体410は、1型の樹脂成形品で形成され、しかも、内側より内部装置を取り付けることができるので、組立性を向上させることができる。更に、内側に開放した部分と、テーブル部17に形成した開口部25を介して、この認証部400と自動取引装置1との配線を行うことができし、筐体410で吸収できない内部装置の一部を認証部400と自動取引装置1との結合部で吸収させることができる。
更に、この実施の形態では、前後方向に長い前記認証部400の長手方向の一辺を前記操作表示部15の右側の辺部と隣接するように設けている。そして、前記認証部400の長手方向の長さは、前記操作表示部15の前後方向の長さと一致することが望ましい。この実施の形態では、前記認証部400の長手方向の長さが前記操作表示部15の前後方向の長さより長くなっているが、少なくとも、前記長手方向の両端と成る前記生体認証部401と前記データ読取部403の一部を、前記操作表示部15の奥行き方向の長さ内にラップするように設ける。これにより、前記生体認証部401とテンキー部402と前記データ読取部403に隣接する前記操作表示部15に、これら各装置と関連するガイダンスを表示して、操作表示部15から認証部400へ操作の誘導を行うことができる。
図7において、この実施の形態に係る自動取引装置1に設けられる各機能装置は、媒体の近傍に動作状態や注意喚起を行う動作ランプ28を備えている。例えば、図6に示す生体認証部401の指認証部430にも動作状態を知らせる動作ランプ431を備えている。図7に示す実施の形態は、テンキー部402やデータ読取部403にも動作状態や注意喚起を行う動作ランプを設けた応用例を示している。
この実施の形態では、前記側板420の縁部421に、図示しない複数の動作ランプを設けたものである。この動作ランプは、前記縁部421に連続して設けるものである。具体的な構造としては、縁部421に切欠部425を形成し、3つの機能部に対応する部分P1、P2、P3の前記切欠部425に図示しない動作ランプを設け、この切欠部425を覆う透明部材426を設けるようにする。
この構造によれば、データ読取部403に対して注意を喚起させたり、動作をさせた状態では前記P1の動作ランプを点灯させる。同様に、テンキー部402はP2、生体認証部401はP3の動作ランプを点灯させることにより、利用者に対して、注意を喚起したり、あるいは、動作中であることを知らせることができる。特に、この動作ランプの配置構造によれば、各3つの機能装置を両側の動作ランプで示すことができるので、視認性が極めて良好である。しかも、縁部421に動作ランプを配置することでテンキーの入力時の操作状態も光でみえずらくする効果も期待できる。更に、この実施の形態では、3つの機能の動作状態を示す動作ランプが連続して設けられているので、例えば、矢印P4やP5に示すように、3つの動作の連続動作を前方から後方へ、あるいは、後方から前方へ動作ランプが動くように点灯制御することにより3つの機能の操作の順番を分かりやすく利用者に示すことができる。
次に、図1、図2及び図8から図13を参照して、この実施の形態に係る自動取引装置1の動作フローを説明する。図8から図10は、動作フローを操作表示部と認証部との関係の図示で示した動作フロー図である。図11から図13は、認証部に対する利用者の操作を図示したものである。
先ず、図8において、自動取引装置1の統括的な制御を行う制御装置229は、待機状態において、操作表示部15の表示画面Aを表示OFFの状態か、あるいは、スクリーンセーバーによる表示画面か、あるいは広告画面等を表示させている(ステップ501)。前記制御部229は前面扉13に設けた図示しない接客センサーを介して、利用者が自動取引装置1の操作位置に位置したことを検知すると、操作表示部15に取引メニューを選択する取引画面B1を表示する(ステップ502)。この取引画面B1に表示される各種メニューの操作ボタンの1つを選択することで、利用者が望む取り引きへのステップを進めることができる。ここでは、取引画面B1の取引メニューの中から「引き出し」が選択された場合を例に説明を進める。
制御部229は、「引き出し」の操作ボタンが選択されると、個人認証情報を備えた媒体を選択させる操作ガイダンス画面Cを操作表示部に表示する(ステップ503)。この実施の形態では、個人認証情報を備えた媒体として、接触式のIDカード212または磁気テープのIDカードか、非接触式のIDカードまたは認証用ICチップを備えた携帯端末213かのいずれかを選択することができる。接触式のIDカードまたは磁気テープのIDカード212を使用する場合は、パネル部16に設けた媒体取扱部20を使用し、非接触式のIDカード212または携帯端末213は認証部400のデータ読取部401を使用することとなる。
前記操作ガイダンス画面Cでは、媒体取扱部20に隣接した操作表示部15の後端部と、認証部400のデータ読取部403に対応した操作表示部15の右側前部に矢印を表示するとともに、選択を促すガイダンスが表示される。このガイダンス表示では、例えば、表示画面(図面上)の上と右からスライド表示するアニメーション等を盛り込んで表示することで利用者への誘導を分かりやすくすることができる。
利用者が、パネル部16に設けた媒体取扱部20にIDカード212を挿入すると、制御部229は表示画面D1を表示し、IDカード212内のデータを読み込む(ステップ504)。この表示画面D1は、IDカード212からデータが読み込み中であることを示すために、IDカード212からデータが読み込まれているアニメーション表示が上からスライドして中央へ移動するように表示される。
制御部229は、IDカード212からのデータの読み込みが終了すると、暗証番号の入力を促す表示画面D2を表示させる(ステップ505)。この実施の形態では、暗証番号を認証部400に設けたテンキー部402を介して受け付けるように設定しているので、前記表示画面D2は、前記テンキー部402に近接した操作表示部15の右側中段に矢印を表示させている。もちろん、この矢印やガイダンス等は、操作表示部15の右側から中央側へスライドするアニメーション表示で操作を誘導させる。
ここで、この実施の形態のテンキー部402は、図12(a)図に示すように、暗証番号の入力が外から見え難い構造を備えている。図12(a)図は利用者がテンキー部402を介して暗証番号を入力している使用状態を示している。この実施の形態では、テンキー部402の両側は側板420によって両側が隠蔽され、テンキー部402の奥側は隆起した生体認証部401によって隠蔽される。そして、テンキー部402の手前側には、このテンキー部402と同様な高さを備えたデータ読取部403によって構成される。利用者は、手前側(前記データ読取部403)から手を挿入してテンキー部402を操作することができる。この際、利用者は前記データ読取部403に手を置いて操作することができる。このため、周囲からテンキー部402が見え難い姿勢と成るので、セキュリティの観点から有効である。
図8に戻り、制御部229は、テンキー部402から暗証番号が入力されると、IDカード212内に格納された個人情報と暗証番号が一致するか否かを判定し、一致してれば、生体認証の操作を促す表示画面D3を表示する(ステップ506)。この実施の形態では、セキリュティの精度を高く設定するために、暗証番号と生体認証のダブルで認証を行うように設定している。前記表示画面D3は、前記生体認証部401に近接した操作表示部15の右側後段に矢印を表示させている。もちろん、この矢印やガイダンス等は、操作表示部15の右側から中央側へスライドするアニメーション表示で操作を誘導させる。
ここで、この実施の形態に係る生体認証部400は、図12(b)、図10に示すように、暗証番号の入力から少し手を奥側にずらすだけで生体認証の操作を行うことができる。この実施の形態では、生体認証として指静脈のパターンで識別を行う方式を採用している。このため、認証部400の上面後方に突出する指認証部430に指、例えば、人差し指をセットすることで認証することができる。この指をセットする際には、図12(b)に示すように手の平を開いて、隆起する縦長の認証部400を掴むような姿勢となる。このセットした姿勢は、上面から見て、図13(a)図のように、手の平を一対の側板420で支持する姿勢となる。つまり、手の平は一対の側板420により、僅かな接触面で、浮いた姿勢で支持されるので、利用者は違和感なく認証姿勢をとることができる。
一方、図13の(b)図は、前記認証姿勢を側面から見た状態を示している。この実施の形態では、認証部400の上面(側板420の縁部421)は、テーブル部17に合わせて、前のめりの傾斜面で形成されているので、認証姿勢での手の平を手首に負担を強いることなく支持できる。しかも、認証姿勢での指は、略水平に設けられる指認証部430によって支持されるので、指を伸ばす操作が自然な姿勢となる。
図8に戻り、制御部229は、生体認証部401を介して利用者の指静脈の情報を読み取って、IDカード212に格納された個人情報と一致していれば、利用者が先に選択した取り引きに関する表示画面を順次表示させる。そして、これらの取り引きが終了すると、媒体取扱部20からIDカードを排出するとともに、その排出を示すガイダンス情報を表示する表示画面D4を表示させて処理を終了する(ステップ507)。
次に、図9の動作フロー図を参照して、利用者が個人情報を備えた非接触式のIDカード212または非接触式のIC内蔵の携帯端末213を利用した場合の動作フローを説明する。図9はこの動作フロー図である。ここで、図8のステップ501から503までは同じ動作であるので説明を省略する。
ステップ503において、制御部229は、利用者がデータ読取部403に非接触式のIDカード212または携帯端末213を置くと、制御部229は表示画面E1を表示し、データ読取部403を介して媒体(IDカード212または携帯端末213)からデータを読み込む(ステップ510)。この表示画面E1は、前記媒体からデータが読み込み中であることを示すために、媒体からデータが読み込まれているアニメーション表示を右からスライドしながら中央へ移動して表示される。
ここで、この実施の形態では、データ読取部403を生体認証部401の前部に配置しているので、その操作性は良好である。図11(a)図は非接触式のIDカード212をデータ読取部403にセットした状態を示し、(b)図は携帯端末213の携帯電話機を平坦面440に置いている状態を示している。この実施の形態では、前記データ読取部403は、略水平な平坦面440で構成され、その前後には突起部441が設けられ、両側は高さの低い側板420が形成される。このため、IDカード212は、周囲を張出部で囲まれているため装着がきわめて容易である。また、取り出す際も、手前の最も低い突起部441を介して簡単に取り出すことができる。
一方、携帯電話機のような不安定な外観形状を備えたものであっても、この実施の形態に係るデータ読取部403によれば、その両側を高さの低い側板420で保持され、前後も突起部441を介して保持されるので、落下の危険性を軽減することができる。
図9に戻り、制御部229は、媒体からのデータの読み込みが終了すると、暗証番号の入力を促す表示画面E2を表示させる(ステップ511)。この実施の形態では、暗証番号を認証部400に設けたテンキー部402を介して受け付けるように設定しているので、前記表示画面E2は、前記テンキー部402に近接した操作表示部15の右側中段に矢印を表示させている。もちろん、この矢印やガイダンス等は、操作表示部15の右側から中央側へスライドするアニメーション表示で操作を誘導させる。
制御部229は、テンキー部402から暗証番号が入力されると、媒体内に格納された個人情報と暗証番号が一致するか否かを判定し、一致してれば、生体認証の操作を促す表示画面E3を表示する(ステップ512)。前記表示画面E3もまた、前記生体認証部401に近接した操作表示部15の右側後段に矢印を表示させている。もちろん、この矢印やガイダンス等は、操作表示部15の右側から中央側へスライドするアニメーション表示で操作を誘導させる。
制御部229は、生体認証部401を介して利用者の指静脈の情報を読み取って、媒体に格納された個人情報と一致していれば、利用者が先に選択した取り引きに関する表示画面を順次表示させる。そして、これらの取り引きが終了すると、データ読取部402から媒体を取り出すガイダンス情報を表示する表示画面E4を表示させて処理を終了する。
次に、図10を参照して、接触式のIDカード212での承認に基づいて携帯端末に電子マネーをチャージする場合を説明する。図10は、このチャージの動作フロー図である。先ず、図8のステップ502において、取引メニューの中からチャージを選択した場合、以後のステップ503から505までの個人認証のステップは同じである。図10において、前記ステップ506までの操作が終了すると、制御部229は操作表示部15に表示画面D4を表示する(ステップ520)。この表示画面D4は詳細取引入力メニューが表示されている。このメニューの中から利用者が「携帯端末にチャージ」を選択すると、制御部229はデータ読取部403にIDカード212または携帯電話213を置くように誘導する表示画面F1を操作表示部15に表示する(ステップ521)。この表示画面F1については、図9等で説明した表示画面であるため説明を省略する。
利用者がデータ読取部403にIDカード212または携帯端末213を置くと、制御部229は、IDカード212または携帯端末213は個人情報を読み取るとともに、テンキー部402で暗証番号を入力するように促す表示画面F2を表示する(ステップ522)。この表示画面F2も既に説明した表示画面と同様な表示である。
そして、利用者がテンキー部を介して暗証番号を入力すると、制御部229は、既に読み込んだ個人情報と暗証番号が一致するか否かを判定し、一致していれば、媒体取扱部20からデータ読取部403へチャージ中である旨をアニメーションで表示する表示画面F3を表示するとともに、センタ100と交信して認証済みのIDカード212の銀行口座からデータ読取部403にセットされた非接触のIDカード212または携帯端末213へチャージを開始する(ステップ523)。
制御部229は、チャージが完了すると媒体取扱部20及びデータ読取部403から媒体を取り外すことを促す図示しない表示画面を操作表示部15に表示して処理を終了する。
上記実施の形態では、操作表示部15に表示されるアニメーションやガイダンスで誘導するように説明したが、これに加えて図7で説明した動作ランプの点等を兼用することで、より利用者に分かりやすい案内を行うことができる。
以上説明した、第1の実施の形態によれば、非接触式のIDカード212のような追加で暗証番号等のテンキー操作が必要な場合でも、データ読取部402のすぐ奥にテンキー部402が配置されていることで、手前にIDカード212を置き、この操作位置からあまり離れずに手で包みながらテンキー部402の操作が可能である。携帯端末213とテンキー部402でも同様の効果が得られる。
また、データ読取部402を手前に配置した場合、利用者からは近く、操作しやすいが不意に、手前側に落下する可能性がある。この実施の形態では、落下防止のために平坦面440は水平以上の角度に配置し、落下防止する形状になっている。また周囲を壁面から囲んだ形状で配置することで手前側にひっかかりができ落下を防止できる。更に、側面の壁面を手前から奥に高くすることで横への落下を防止できる。奥側のひっかかりによりテンキー部402側への落下も防止できる。テンキー部402の側面に壁面を形成する事により、周囲から操作状態を隠す事が可能になる。また壁面を手前から奥へつながりを持たせ形成する事で一つの機能ユニットとしてシンプルにまとめることができる。
また、データ読取部403と生体認証部401との間にテンキー部402を配置することで周囲からみえずらく、操作しやすい形状が保てる。更に、生体認証部401を奥に配置することで指曲がりが少なく操作しやすくすることができる。
また、テンキー部402は縦長の認証部400の中央に配置されているため、操作表示部15に表示する表示画面との関連性ももたせやすく誘導しやすい。更に、生体認証部401を一連の操作で使用する場合、認証部400の一番奥側に配置することで手前から一連の流れでの操作がわかりやすい。また、生体認証部401に指を置いた場合にテンキー部402の両側に壁面が形成されるため、この両壁面に手の平を置くガイドとして利用でき、使いやすくすることができる。
また、近年、交通機関でチケットがわりに使われる非接触式のICカードや、非接触式のIC内蔵の携帯電話を利用した各種のサービスが始まっている。しかし、安全性を考えると、これらのICカードや携帯電話と金融機関のキャシュカードとは別に持ちたい場合がある。このような場合、ICカードや携帯電話にマネーをチャージすることが頻繁に起こってくる。この実施の形態では、これらサービスに対応することできる。
(他の実施の形態)
次に、図14から図17を参照して、自動取引装置1に採用可能な認証部400の他の実施の形態を説明する。
先ず、図14から図16は、認証部400の中央にテンキー部402を配置し、その手前に生体認証部401、後方にデータ読取部403を配置した実施の形態を示している。ここで、図14、図15中、(a)図は認証部400bを取り付けた自動取引装置1bの外観斜視図を示す、(b)図は認証部400bの外観斜視図を示している。また、図16はデータ読取部に折りたたみ式の携帯端末をセットした状態を示している。
図14において、この実施の形態では、認証部400b全体がテーブル部17から隆起した外観を備えており、その具体的な外観は緩やかに隆起した前部隆起部450と、その後方で、その両側を立ち上がって形成される側板で保護された後部側板保護部451とから構成される。
前部隆起部450は、生体認証部401を収納する部分であり、その上部に指認証部430が突出して形成される。一方、後部側板保護部451は、その前部にテンキー部402が配置され、その後方にデータ読取部403が内蔵される。データ読取部403は、その上部が前傾斜の平坦面440で形成され、この平坦面440と前記テンキー部402との間には仕切板452が設けられている。
そして、前記側板420は、テンキー部401の前端部から立ち上がり、テンキー部401の両側部分では、その縁部421が略水平に形成され、前記データ読取部403の両側では、後方に行くにしたがってテーブル部17に向かって傾斜して前記平坦面440の後部両側に接続するよう形状を備えている。
この実施の形態によれば、生体認証部401は独立して隆起しているので、この生体認証部401を手で握るような認証姿勢をとることができる。また、テンキー部402は、その両側を側板420で隠蔽されるので、暗証番号を盗み見られるのを軽減することができる。更に、データ読取部403は、平坦面440が前方に傾斜し、かつこの傾斜面が後部で開放した形状を備えているので、この平坦面440にセットされるIDカード212や携帯端末213は、前記仕切板452と前記側板420により落下の心配なく保持される。しかも、平坦面440は前のめりに傾斜して形成することで、利用者に見えやすくなるので、取り忘れを軽減できる。また、IDカード212や携帯端末214の取り外しも、これら媒体を後方にスライドしながら取り外すことができて楽である。
図15において、この実施の形態に係る認証部400cは、この認証部400c全体がテーブル部17に埋め込まれた形状を備えている。即ち、この埋め込み構造を実現するために、この実施の形態では、両側に形成される側板420の縁部421をテーブル部17と平行な稜線を備えるように形成し、中央に配置されるテンキー部402を前記縁部421より低い位置に配置し、前部に配置される指認証部430の配置面460は、略水平に形成され、その前部両側に前記一対の縁部421の先端部が接続され、その後部は前記テンキー部402に連続するように形成され、前記データ読取部403の平坦面440は、前側に傾斜して形成され、その後部両側に前記縁部421の後端部が接続され、その前部はテンキー部402に接続されている。
そして、前記平坦面440の前端部には仕切板452が設けられている。また、この実施の形態では、前記縁部421の周囲を外側に僅かに張り出させることで、この縁部421の内側を前記テーブル部17に形成した開口部25に挿入することができる。
この実施の形態によれば、前記図14と同様な作用効果を得ることができるとともに、前記側板420の張り出し量を低く抑えることができるので、意匠性を向上させることができる。
また、図16に示すように、図15及び図14に示す認証部400b、400cによれば、前記データ読取部403に携帯端末213をセットしても、その前部に配置したテンキー部402や生体認証部401を操作することができる。特に、データ読取部403に折りたたみ式の携帯電話機をセットすると、その後方の機器の操作ができなくなるが、この実施の形態の配置構成によれば、この課題が解決できる。しかも、平坦面440は前方に傾斜して形成されるので、この平坦面440に開いた状態の携帯電話機をセットしても、携帯電話機の表示画面が見にくくなることを軽減できる。更に加えて、このように携帯電話機の操作性を維持しながら安定して支持することができるので、例えば、携帯電話機の操作キーの操作で暗証番号を入力させる方式でも、対応することができる。
次に、図17を参照して、自動取引装置に応用可能な他の認証部の実施の形態を説明する。この実施の形態は、認証部400dの中央に生体認証部401を配置し、その手前にデータ読取部403、後方にテンキー部402を配置した実施の形態を示している。ここで、図17中、(a)図は認証部400dを取り付けた自動取引装置1dの外観斜視図を示す、(b)図は認証部400dの外観斜視図を示している。
この実施の形態に係る認証部400dの筐体は、生体認証部401が配置される中央部が最も隆起した形状を備え、その後方のテンキー部402の配置面465を次に低い位置に配置し、最前部に配置したテンキー部402の平坦面440を最も低い位置となるように形成している。
この実施の形態では、前記平坦面440の後部が、中央部の隆起部457に食い込むように形成することで、この平坦面440にセットされるIDカード212や携帯端末213の位置合わせを行わせることができる。前記中央部の隆起部457はその上部に指認証部430が配置されているので、この指認証部430に指をセットした姿勢では隆起部457全体を手で包むような認証姿勢を取ることができる。
前記テンキー部402は、その前面を除く周囲を衝立456で覆うように設けられる。この場合、上方に大きく張り出す衝立456が意匠性を損なう課題があるが、自動取引装置1dのパネル部16に近い位置に衝立456を設けているので、その突出感を軽減することができる。
(自動取引装置以外の応用例)
さて、前記図1から図17の実施の形態では、自動取引装置1に認証部400を設ける例で説明したが、このコンパクトな認証部400は他の情報処理装置に使用可能なものに応用することができる。
図18は、パソコンなどの情報処理装置800に使用される認証装置810の一例を示したものである。図18において(a)図は、中央にテンキー部402を配置し、この前部に生体認証部401、後部にデータ読取部403を配置した実施例を示し、(b)図は、中央にテンキー部402を配置し、その前部にデータ読取部403、後部に生体認証部401を配置した一例を示し、(c)図は情報処理装置のキーボードと並べて使用される使用状態を示している。
この(a)(b)図に示す認証装置810の筐体811は、樹脂材料で形成される上カバーと下カバーと構成され、いずれも、その厚みDが薄く、この厚みDより、横幅Wを大きくし、かつ前後方向の長さUを横幅Wより大きい、薄くて縦長の外観形状を備えている。この実施の形態では、生体認証装置401として指静脈のパターンで認証するものを作用しているが、指紋のような他の認証方式でも採用することができる。また、データ読取部403は、前記実施例の説明では、IDカード212などを平坦面440に置く方式で説明したが、かざす方式のものでもよい。また、この実施例では、テンキー部402と平坦面440との間に僅かに突起する仕切板452を設けてIDカード212の置く際の位置合わせを容易にしている。前記テンキー部402は、機械的なテンキー構造とすることが有効であるが、シート方式のキー構造でもよい。また、認証装置810は情報処理装置800との接続をUSB接続で行うようにしている。
この実施の形態によれば、暗証番号を確実に入力するテンキー部402に近接して、このテンキー部403と連動操作が可能な生体認証部401とデータ読取部403を配置することで操作性を向上させることができるとともに、この認証部400全体をコンパクトな形態とすることができる。しかも、全体を扁平で縦長の構造としているので携帯性にも優れている。また、キーボードの横に並べて設置することができるので、キーボード812の一部として、操作を行うことができる。
次に、図19に示す実施の形態は、入退出システムの入力装置に応用する場合の実施例を示している。この入力装置900は、ドアの近傍で、標準的な大人の胸の高さの垂直面に取り付けられる。この入力装置900は、奥行き方向より横幅方向が大きく、この横幅方向より高さ方向が大きい、奥行き寸法が薄い縦長の外観形状を備えている。
そして、この入力装置900は、その中央に機械式のテンキー部402が配置され、このテンキー部402を上下で挟むように、生体認証装置401とIDカード212等のデータ読取部403を配置している。この特徴を備えた入力装置900は、図19に示すように、多様な構造で採用することができる。
例えば、(a)(b)図に示す実施の形態は、最上部にデータ読取部403を配置し、最下部に生体認証部401を配置している。この実施の形態では、生体認証として、指静脈のパターンを認証する方式のものを採用している。もちろん、指紋などの他の認証方式でもよい。
この実施の形態では、生体認証部403を垂直面に設けるため、単純に指をセットする指認証部430を設けると、垂直面となり、その操作性は大きく落ちることとなる。特に、この種の指静脈を認証する方式では、指をセットする姿勢が悪いと、誤操作の原因となる。そこで、この実施の形態では、生体認証部401を山形に突出させ、この山形の突出部901の上部に傾斜面902を形成し、この傾斜面902に指認証部430を設けるようにしている。この構造によれば、指をセットする指認証部430を傾斜面902に設けることができるとともに、内部装置の中で大きな容積を占める生体認証部401を十分格納できるスペースを確保することができる。そして、その上部に配置されるテンキー部402とデータ読取部403は、前記傾斜面902と連続するように薄く形成することができるので、設置性や意匠性を向上させることができる。
また、この実施の形態では、テンキー部402のセキュリティを向上させるために、(b)図のように、テンキー部402の両側に衝立903を設けることができる。
また、(c)(d)図は、最上部に生体認証部401を設け、最下部にデータ読取部403を配置したものである。この例でも、生体認証部401は山形に隆起させた形状を備え、その上部の傾斜面902に指認証部430を設けている。この実施の形態によれば、生体認証部401を目線に一番近い位置に配置しているので、良好な認証姿勢を得やすくすることができる。また、この配置構成の特徴は、(d)図のように、テンキー部402の両側に衝立903を設ける場合、衝立903の上部を前記山形の隆起部901と連続させることができるため、薄型の入力装置900に衝立903を違和感なく形成することができる。
さて、セキュリティシステムで保護されるルームの場合は、IDカードを企業カードとするケースがあり、この場合の企業カードには個人認証情報が格納されていない。このような場合、先ず、利用者は、企業カードをデータ読取部403にかざして、次に、暗証番号を入力することとなる。そして、最後に入退出者が誰であるかを特定する個人認証が必要である。この実施の形態では、このような企業カードへの対応が図れる他、通常の、IDカードと暗証番号の組み合わせや、生体認証と暗証番号との組み合わせ、あるいは、前記組み合わせに部屋番号の入力を組み合わせる等、セキュリティの度合いに応じて、認証のレベルを選択することができる。
1…自動取引装置、10…本体筐体、11…フロントパネル、12…ベース筐体、13…前面扉、14…背面扉、220…タッチパネル付表示部、221…カード部、229…制御部、212…IDカード、15…操作表示部、18、19、23、24、…媒体口16…パネル部、17…テーブル部、18…垂カード/明細票取扱口、19…通帳取扱口、20…媒体取扱部、21…ハンドセット、400…認証部、23…紙幣挿入/排出口、24…硬貨挿入/排出口、…402テンキー部、401…生体認証部、403…データ読取部、402…テンキー部、420…側板、25…取付用開口部、26…蓋。