JP4917076B2 - 血液処理フィルター - Google Patents
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Description
ドナーから採血し、複数の血液成分に分離し、各血液成分を貯蔵するために、典型的には2つから4つの可撓性のバッグとこれらを接続する導管、抗凝固剤、赤血球保存液、採血針等から構成される採血分離セットが以前より使われているが、上記の「保存前白血球除去」に好適に使用されうるシステムとして、これらの採血分離セットに白血球除去フィルターを組み込んだものが広く使われており、「クローズドシステム」または「一体型システム」等の名称で呼ばれている。これらは、特開平1−320064号公報、WO92/20428等に開示されている。
これらはフィルター要素を一旦シート状の可撓性フレームに溶着した後に、該フレームをハウジング材と溶着したもの(特許文献1、特許文献2)、可撓性容器を直接フィルター要素に溶着させたもの(特許文献3、特許文献4)とに大別できる。
以下、前者をフレーム溶着型、後者を容器溶着型ということがある。
容器溶着型のフィルターは殆ど市販されていないが、同様の理由により使用中にフィルター要素と容器が剥離し、容器破裂やリークを起こす危険があった。
なお、以下「容器溶着型複合層フィルター」を「容器溶着型血液処理フィルター」と称することがある。同様に、「フレーム溶着型複合層フィルター」を「フレーム溶着型血液処理フィルター」と称することがある。また、「容器溶着型複合層フィルター」と「フレーム溶着型複合層フィルター」を総称して「複合層フィルター」と称することがある。
本発明の血液処理フィルターの全体的形状は、矩形状、菱形状、円盤状、長円板状などのいずれでも良いが、フィルター製造時の材料ロスを少なくするためには、矩形状および菱形状が好ましい。なお、ここでは、正方形も矩形に含めることとする。
また、フィルターがシート状フレームを有するときには、シート状または円筒状のフィルムとシート状フレームとの間に、血液の入口及び出口となりうる管状物を挿入して貼り合わせることにより、形成しても良い。
軟質塩化ビニルのような誘電率の比較的高い材料同士の場合には高周波溶着により好適な接合が可能であり、ポリオレフィンのような誘電率が低く低融点の材料同士の場合にはヒートシールにより好適な接合が可能である。
またここで言う厚みとは、日本工業規格JIS B7503(1992年版)に規定されている方法に従い、測定子の直径10mmのダイヤルゲージを用いて、測定力1.5Nで測定した値をさす。
なお、第三フィルター要素の繊維径や孔径が極めて大きい場合、一枚の厚みが極めて薄い場合など、前記試験の標準的な方法では第三フィルター要素1枚の通気度を測定し難い場合があるが、この様な場合には複数枚を積層したり、通気度を測定する試験片の面積の一部をマスクして測定した後、1枚当たり、標準面積当たりの数値に換算する。
厚み1cmに換算したときの通気度が3cc/cm2/秒未満の場合には、第二フィルター要素を通過した血液の上記直角方向の流れが十分に得られず、濾過時間、特に回収時間が長くなってしまう。また、40cc/cm2/秒を超える場合には、十分な耐圧性、耐剥離性が得られない場合があり、不適である。
厚み1cmに換算したときの通気度は3.5〜10cc/cm2/秒の範囲がより好ましく、4〜9cc/cm2/秒の範囲が最も好ましい。
第三のフィルター要素の厚みは0.05〜0.20cmであることがより好ましく、0.06〜0.15cmであることが最も好ましい。
三次元網目状連続細孔を有する多孔質体を第一、第二フィルター要素に用いる場合も同様に、第二要素の最も孔径が小さい部位から入口及び出口に向かって、段階的または連続的に孔径が大きくなるように配置することが好ましい。
同様に第三フィルター要素については、第二フィルター要素と接する部位から、出口側容器と接する部位に向かって段階的または連続的に厚み1cmに換算したときの通気度が大きくなるように配置することが好ましい。
この場合、入口側シート状フレームと出口側シート状フレームの少なくともいずれか一方が、入口側と出口側の両方の可撓性材料と一体化されて第二のシール区域を形成することが必要である。そして、容器と一体化されているシート状フレーム側に主としてストレスがかかることから、該第二のシール区域を形成するシート状フレームとフィルター要素とを主たる構成要素とする複合材料層の厚みが0.15〜0.4mmであることが必要である。第二のシール区域を形成しないシート状フレームとフィルター要素とを主たる構成要素とする複合材料層については、その厚みは必ずしもこの範囲になくとも良い。
複合材料層の厚みは、0.15〜0.4mmであることが必要である。
複合材料層の厚みが0.15mmよりも小さい場合は十分な耐剥離性、耐破裂性を示さない。
以上のような経過を経て形成された複合材料層において、繊維を取り囲む容器材料あるいはシート状フレーム材料が繊維に対して接着性を有さない場合、容器またはシート状フレームをフィルター要素から剥がそうとする力に対しては、フィルター要素と容器材料あるいはシート状フレームとがどれだけ強く噛み込みあっているかが重要であり、その強さは複合材料層の厚みと一定の関係があると考えられる。この為本発明の検討当初は、複合材料層の厚みが大きい程強いと予想されたが、意外なことに複合材料層の厚みが0.4mmよりも大きくなると、時として耐圧性に劣る場合があること、つまり耐圧性・耐剥離性がばらつくことが分かった。この為、複合材料層の厚みは0.4mm以下であることが必要である。
複合材料層の厚みは、0.18〜0.35mmがより好ましく、0.23〜0.33が最も好ましい。また、入口側複合材料層の厚みと出口側複合材料層の厚みは近いことが好ましく、両者の差は0.1 mm以下であることが好ましく、0.05mm以下がより好ましい。
第二のシール区域の幅は1〜10mmであることが好ましく、2〜5mmがより好ましい。1mm未満の場合には、シールの信頼性が十分に保てない場合があり、溶着幅を必要以上に増やすことは材料の使用量がかさむことから10mm以下が好ましい。
なお、容器溶着型のフィルターにおいては、一枚のフィルム状シートを折り曲げて、その間にフィルター要素を挟んで第一のシール区域を形成させた場合、全周に渡って第二のシール区域を形成せずとも、解放している三方のみをシールすれば上記の目的を達成することが出来るが、これも本発明の範疇である。また、円筒状のフィルムの内側にフィルター要素を挟んで第一のシール区域を形成させる場合、容器溶着型のフィルターにおいては、全周に渡って第二のシール区域を形成せずとも、解放している二方のみをシールすれば上記の目的を達成することが出来るが、これもまた本発明の範疇である。
図1は、本発明による容器溶着型血液処理フィルターの断面模式図である。血液入口(a)の付いた樹脂製シートからなる入口側可撓性容器(b)と、血液出口(e)の付いた樹脂製シートからなる出口側可撓性容器(d)、血液から好ましくない成分を除去するためのフィルター要素(c)から構成され、血液の入口(a)と出口(e)がフィルター要素(c)によって隔てられている血液処理フィルター(m)に於いて、フィルター要素(c)は入口側可撓性容器と出口側可撓性容器とに挟まれて、その周縁部近傍が全周に渡って可撓性容器と溶着一体化された第一のシール区域(f)を形成しており、その外側には入口側可撓性容器と出口側可撓性容器とを溶着することにより一体化した第二のシール区域(i)が形成されている。第一のシール区域(f)はフィルター要素(c)の最外周縁部よりもやや内側で形成され、第一のシール区域(f)の外側のシールされない非シール区域(h)にはシールされないフィルター要素(g)が残存している。また、フィルター要素(c)は第一のフィルター要素(j),第二のフィルター要素(k)、第三のフィルター要素(l)からなっている。
血液の入口(a)と出口(e)、入口側可撓性容器(b)と出口側可撓性容器(d)、血液から好ましくない成分を除去するためのシート状フィルター要素(c)、入口側可撓性容器(b)とシート状フィルター要素(c)との間に配置された入口側の可撓性シート状フレーム(o)、および出口側可撓性容器(d)とシート状フィルター要素(c)との間に配置された出口側可撓性シート状フレーム(n)からなり、血液の入口(a)と出口(b)がフィルター要素(c)、および出口側のシート状フレーム(n)によって隔てられている血液処理フィルターにおいて、シート状フィルター要素の周縁部近傍全周と2枚のシート状フレームとが接合された第一のシール区域(f)と、第一のシール区域の外側全周に渡って入口側可撓性容器、出口側シート状フレーム、および出口側可撓性容器が一体化されて形成された第二のシール区域(i)とが形成されている。第一のシール区域(f)はフィルター要素(c)の最外周縁部よりもやや内側で形成され、第一のシール区域(f)の外側には、シールされないフィルター要素が残存(g)している。かくして、フィルター要素(c)最上流部と入口側容器(b)、出口側シート状フレーム(n)に囲まれ、ここに血液入口(a)が連通した上流室(A)と、フィルター要素(c)最下流部と出口側容器(e)、出口側シート状フレーム(n)に囲まれ、ここに血液出口(e)が連通した下流室(B)とが形成され、血液の入口、出口がフィルター要素および出口側シート状フレームによって隔てられた血液処理フィルターが形成されている。
また、図2には、血液入口及び出口を第二シール区域に取り付ける例を示したが、フレーム溶着型の血液処理フィルターであっても血液入口及び出口は、図1と同様に可撓性容器に直接取り付けても良い。
(1)回収時間及び血液ロス量の測定
本発明の血液処理フィルターを、処理前血液貯流バッグと処理後血液回収バッグとの間に配置し、処理前血液貯流バッグに接続した入口側導管を血液処理フィルターの血液入口(a)へ、処理後血液回収バッグに接続した出口側導管を血液処理フィルターの血液出口(e)へそれぞれ接続した。また、それぞれの導管として、内径3mm、外径4.2mmの塩化ビニル製のチューブを使用し、長さは50cmとした。入口側導管と出口側導管の、それぞれ中央にY字管を取付けそれらを繋ぐバイパス導管を取り付けた。また、処理前血液貯流バッグには血液を流入させるための血液流入導管を接続し、システムを作製した。
入口側導管、バイパス導管を鉗子で閉じた後、血液流入導管から処理前血液貯流バッグへCPD(Citrate-Phosphate-Dextrose)添加牛濃厚赤血球液250mlを入れ、その後、血液流入導管は根元からヒートシールし切り離した。
システム全体を吊り下げ、また、処理後血液回収バッグを天秤の上に静置した後、入口側導管を閉じている鉗子を開放し、濾過を開始した。処理前血液貯流バッグの血液は重力により流出し血液処理フィルター(m)を通過して処理後血液回収バッグに回収される。血液処理の最中には、上記重力の作用により血液処理フィルター(m)の入口側が風船状に膨らんだ状態となった。
やがて、処理前血液貯流バッグの血液が空となるが、この時点では、圧力の作用により膨らんだ血液処理フィルター(m)の中に血液が残存している。この残存している血液は重力の作用により処理後血液回収バッグに回収される。この処理前血液貯流バッグが空になってから、処理後血液回収バッグの重量増加が止まり血液処理フィルター(m)の中に残存している血液の回収が終了するまでを回収時間とする。
回収が終了した後、出口側導管に取り付けられたY字管と血液処理フィルター(m)の間を鉗子で閉じ、処理後血液回収バッグをスクイージングしながらバイパス導管を閉じていた鉗子を開放して処理後血液回収バッグの空気を処理前血液貯流バッグへ押し上げ、処理後血液回収バッグの空気を全て出したところで再びバイパス導管を鉗子で閉じた。その後、出口側導管に取り付けられたY字管と血液処理フィルター(m)の間の鉗子を開放し、システムを静置すると、処理前血液貯流バッグへ押し上げられた空気が流れ込んでエアリンスが開始され、入口側導管の中の血液及び第一フィルター要素(j)に含浸している血液に相当する分の体積だけ、処理後血液回収バッグ中の血液量が増す。エアリンスの後に血液処理フィルター(m)及び導管に残存する血液量を、処理前血液量と処理後血液量の差として求め、これを、血液ロス量とする。
第一のシール区域を横切るように、カッターで二カ所(長さ約20mm)に切れ目を入れた。第一のシール区域の内側、即ち有効濾過部に30mm程度入った部分に、第一のシール区域と平行に切れ目を入れて試験片を切り出し、かみそり刃を用い、第一のシール区域切断面の凹凸を削り表面の平滑を出し、第一のシール区域の長さを3点ノギスで測定し,その平均値を第一のシール区域の長さとした。
その際、容器溶着型血液処理フィルターでは、有効濾過部側の容器及びフィルター要素は切り離さずに付属させておいた。第二のシール区域を有する場合には、第一のシール区域の強度のみ測定するため、非シール区域で容器を切り離した。有効濾過部側の入口側と出口側の容器を、第一のシール区域から10mm有効濾過部側の位置でつかみ具にて固定し、上下方向に10mm/minの速度で引っ張り、第一のシール区域を引き剥がすような力を加えた。
また、シート状フレームを用いたフレーム溶着型の血液処理フィルターでは、有効濾過部側につかみ治具に固定するに十分な量のシート状フレーム材料が無いため、同一の材料をシート状フレームの有効濾過部側に接着した上で、これをつかみ治具ではさみ上記と同様に試験を行った。
上記試験に於いて、完全に容器が引き剥がされるまでの力の最大値を、切り出した第一のシール区域の長さを用い、第一のシール区域の長さ1mm当りの力(N/mm)に換算し、値を比較した(以下、剥離強度と称する)。剥離強度の測定は、Orientec製Universal Testing Machine RTC-1250を使用し、室温23℃にて行った。
第一のシール区域の断面を観察するために、有効濾過部から第二シール区域にかけて、第一のシール区域を垂直に横切るようにカッターナイフを入れて試験片を切り出し、第一シール区域の断面が平滑になるようにかみそり刃で、表面の凹凸を削った。この様にして作成したサンプルを、走査電子顕微鏡を用いて反射電子像を観察する方法で写真撮影し、写真から複合材料相の厚みを読みとった。なお、厚みは第一のシール区域の幅に対して数点測定し、アンカー構造部分の平均値、または一番厚い部分を複合材料相の厚みとした。
容器溶着型フィルターについては、フィルターの第二のシール区域を切除するか、あえて第二のシール区域を形成させないフィルターを作成し、第一シール区域の外側にあるフィルター要素の端部を露出させた状態にした。血液出口を鉗子で閉じ、血液入口に導管を接続した後、フィルターを水中に没して導管から0.08MPaの圧力の空気を注入し、第一シール区域が剥離して空気が漏れ始めるまでの時間を測定し、それを破裂時間とした。
シート状フレームを用いたフレーム溶着型のフィルターに関するバースト試験は、フィルター要素が目詰まりした状態を擬似的におこすため、フィルター要素の入口側のシート状フレームにシート状フレームと同一材質のフィルムを貼り付けてこのバースト試験を行った。
第二のシール区域の外側の寸法よりも、縦、横ともに20mm大きく切断し、血液の入口、出口を接着する部分に該入口、出口の内径と同等以上の直径を有する孔を空けた厚み0.037cmの可撓性のポリ塩化ビニル樹脂製シートを準備した。また、導管の外径とフィットする内径を有する、射出成形により成形されたポリ塩化ビニル樹脂製の血液の入口用部品及び出口用部品を準備した。前記ポリ塩化ビニル樹脂製シートの孔に前記入口用及び出口用部品をそれぞれ高周波溶着して、図1に示すような、血液の入口(a)の付いた入口側の可撓性容器(b)、及び、血液の出口(e)の付いた出口側の可撓性容器(d)を作製した。
フィルター要素(c)としては、以下に記すポリエステル製不織布を積層して用いた。第一のフィルター要素(j)として、平均繊維径が12μm、目付が30g/m2の不織布(1)を4枚、第二のフィルター要素(k)として、平均繊維径1.7μm、目付が66g/m2の不織布(2)を1枚、平均繊維径1.2μm、目付が40g/m2の不織布(3)を25枚、不織布(2)と同一の不織布1枚の合計27枚を、そして、第三のフィルター要素(l)として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を4枚積層して厚み0.114cmとしたものを、この順に積層した。以上のようにして作製した、三種のフィルター要素からなる積層物を91mm×74mm(長方形)に切断しフィルター要素(c)とした。これらの可撓性容器(b、d)とフィルター要素(c)とを、入口側可撓性容器(b)、フィルター要素(c)、出口側可撓性容器(d)の順に重ね合わせ、濾過部寸法が75mm×58mm、第一のシール区域の幅(f)が3mmとなるように高周波溶着法を用いて第一のシール区域を形成させた。第一のシール区域の形成に当たっては、予め剥離強度を試験し、上記のフィルター要素(c)を使用した時に最も剥離強度が大きくなる条件を用いて高周波溶着を実施した。フィルター要素の最外周からさらに3mm離れた外側の部位に、入口側容器と出口側容器を第二のシール区域の幅(i)が4mmとなるように高周波溶着法を用いて第二のシール区域を形成させ、第二のシール区域の外側に出ている容器材料は切り外した。
このようにして得られた血液フィルターを、前述の回収時間及び血液ロス量の測定方法に従って検査し、回収時間、血液ロス量の値を得た。また、前述の容器強度の測定方法によって剥離強度を測定した。それぞれの試験は5回繰り返しその平均値を結果とした。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を3枚積層して厚み0.057cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を9枚積層して厚み0.171cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を12枚積層して厚み0.228cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が3.2cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.022cmの不織布を4枚積層して厚み0.088cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が3.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.021cmの不織布を5枚積層して厚み0.105cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が8.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.023cmの不織布を2枚積層して厚み0.046cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が8.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.023cmの不織布を5枚積層して厚み0.116cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が8.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.023cmの不織布を8枚積層して厚み0.185cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が9.6cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.053cmの不織布を2枚積層して厚み0.106cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が8.4cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.009cmのポリエステル製スクリーンを10枚積層して厚み0.090cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が28.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.030cmのポリエステル製スクリーンを4枚積層して厚み0.120cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が36.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.038cmのポリエステル製スクリーンを3枚積層して厚み0.114cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が36.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.038cmのポリエステル製スクリーンを5枚積層して厚み0.190cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
シート状フレームを有すること及び下記に記載すること以外は、実施例1と同じ方法で図2のようなフィルターを作製し、回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。入口側及び出口側容器材料とフィルター要素は実施例1と同じ方法で準備した。出口側シート状フレーム材料としては、入口側及び出口側容器材料と同じ外寸を持つポリ塩化ビニル樹脂製シート(n)を使用し、その内側は第一のシール区域(f)の内側に3mmはみ出すフレームを残し、切り抜いた。入口側シート状フレーム(o)は、第一のシール区域(f)の内側、外側ともに3mmずつフレームがはみ出す寸法とした。出口側及び入口側シート状フレーム材料の間にフィルター要素を配置し高周波溶着法により第一のシール区域を形成し、更に出口側シート状フレーム側に出口側容器材料を、入口側シート状フレーム側に入口側容器材料を被せ、実施例1と同様に第二のシール区域を高周波溶着法により形成し、第二のシール区域の外側に出ている容器材料及びシート状フレーム材料を切り外した。結果を表1に示す。
第三のフィルター要素を用いなかったこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を1枚積層したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を2枚積層して厚み0.038cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が4.5cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.019cmの不織布を15枚積層して厚み0.285cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が8.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.023cmの不織布を1枚積層して厚み0.023cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が8.8cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.023cmの不織布を12枚積層して厚み0.276cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が2.2cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.044cmの不織布を1枚積層して厚み0.044cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が2.2cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.044cmの不織布を2枚積層して厚み0.088cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が0.038cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.042cmの不織布を2枚積層して厚み0.042cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素として、厚み1cmに換算した時の通気度が0.038cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.042cmの不織布を3枚積層して厚み0.126cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素の代わりに、厚み1cmに換算した時の通気度が0.038cc/cm2/秒であり1枚の厚み0.042cmの不織布を5枚積層して厚み0.208cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
第三のフィルター要素の代わりに、開孔部の一辺が2.8mm、繊維径が500μm、開孔率77%のポリオレフィン製スクリーンを1枚積層して厚み0.090cmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルターを作製し回収時間、血液ロス量及び剥離強度を測定した。
当該スクリーンの厚み1cmに換算した時の通気度を測定しようとしたが、当該値が大きすぎて測定出来なかった。当該通気度は積層枚数及び試験片の測定面積から推定する時、少なくとも100 cc/cm2/秒以上の値になるものと考えられた。結果を表2に示す。
射出成形により成形されたポリ塩化ビニル樹脂製の血液入口(a)、出口(e)をそれぞれ、接着部分に孔を空けた軟質ポリ塩化ビニル樹脂製シート(b)、(d)と高周波溶着して、図1に示すような、入口(a)の付いた入口側容器材料(b)、及び出口(e)の付いた出口側容器材料(d)(寸法:120mm×100mm)を作成した。フィルター要素(c)として、ポリエステル製不織布を次の構成で積層したものを用いた。第一のフィルター要素として、平均繊維径が12μm、目付が30g/m2の不織布(不織布(1))を4枚、第二のフィルター要素として、平均繊維径1.7μm、目付が66g/m2の不織布(不織布(2))を1枚と、平均繊維径1.2μm、目付が40g/m2の不織布(不織布(3))を25枚、不織布(2)を1枚の計27枚、第三のフィルター要素として、不織布(1)1枚、合計32枚積層した。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.019cmである。積層したフィルター要素を85mm×68mmに切断し、フィルター要素 (c)とした。これらの可撓性容器材料(b,d)とフィルター要素(c)とを、図1に示すように重ね合わせ、第一のシール区域(f)が3mmとなるように高周波溶着法により溶着した。試験上の手間を軽減するため、第二のシール区域はあえて形成させなかった。この様にして作成したフィルター15個を3群に分け、複合材料層の厚み,剥離強度,破裂時間を各5個ずつ測定した。5個の結果の平均を表3に示す。
第三フィルター要素として不織布(1)を2枚用いた以外は実施例1と同様の方法でフィルターを作成し、実施例16と同じ試験を行った。5個の平均値を表3に示す。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.038cmである。
第三フィルター要素として不織布(1)を4枚用いた以外は実施例1と同様の方法でフィルターを作成し、実施例16と同じ試験を行った。5個の平均値を表3に示す。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.076cmである。
第三フィルター要素として不織布(1)を6枚用いた以外は実施例1と同様の方法でフィルターを作成し、実施例16と同じ試験を行った。5個の平均値を表3に示す。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.114cmである。
第三フィルター要素として不織布(1)を8枚用いた以外は実施例16と同様の方法でフィルターを作成し、実施例1と同じ試験を行った。5個の平均値を表3に示す。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.0152cmである。
第三フィルター要素として不織布(1)を4枚用い、第二のフィルター要素のうち不織布(3)を32枚にしたこと以外は実施例16と同様の方法でフィルターを作成して、実施例1と同じ試験を行った。5個の平均値を表3に示す。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.076cmである。
第一のフィルター要素として、不織布(1)を4枚、第二のフィルター要素として、不織布(2)を1枚、不織布(3)を25枚、不織布(2)1枚の計27枚、第三のフィルター要素として、不織布(1)4枚、合計35枚積層した。なお、第三フィルター要素の厚み1cmに換算した時の通気度は4.5cc/cm2/秒であり、厚みは0.076cmである。積層したフィルター要素を85mm×68mmに切断し、フィルター要素とした。外寸85mm×68mm、内寸69mm×52mmの額縁状に切り抜いた入口側シート状フレームと、外寸120mm×100mm、内寸69mm×52mmの額縁状に切り抜いた出口側シート状フレームとでフィルター要素を挟みこれらのシート状フレームとフィルター要素とを重ね合わせ、第一のシール区域の幅が3mmとなるように高周波溶着法により溶着した。その後、入口の付いた入口側容器材料(120mm×100mm)、及び出口の付いた出口側容器材料(120mm×100mm)で、出口側シート状フレームを挟み、第二のシール区域の内寸が91mm×74mm、幅が3mmとなるように高周波溶着した。この様にして作成したフィルター15個を3群に分け、複合材料層の厚み,剥離強度,破裂時間を各5個ずつ測定した。5個の結果の平均を表3に示す。
第三フィルター要素を用いず、出口側の不織布(1)を0枚にし出口側の複合材料層の厚みが0.1mm以下になるように高周波溶着条件を選んだ。これらの点以外は実施例1と同様の方法でフィルターを作成して、実施例1と同じ試験を行った。5個の平均値を表4に示す。
市販のフレーム溶着型フィルターを入手し、複合材料層の厚み,剥離破壊強さ,破裂時間を測定した。本フィルターは、図2に示すように入口側、出口側の双方にシート状フレームが配置され、このうち出口側シート状フレームのみが容器と接合されて第二シール区域が形成されたものであるが、第二シール区域を形成する出口側シート状フレームの複合材料層が0.15mmに満たないものであった。測定方法の項で説明したように、剥離破壊強さ、破裂時間の測定に先立って、シート状フレームには、該フレームと同一の素材である軟質ポリ塩化ビニル製シートを貼り付けて、これらの試験が行えるようにした。結果を表4に示す。
表4
Claims (11)
- 血液の入口と出口とを有する、少なくとも軟質塩化ビニルとポリオレフィンと熱可塑性エラストマーのいずれからなる可撓性容器と、血液から好ましくない成分を除去するための、少なくともポリプロピレンとポリエチレンとポリエステルとポリウレタンのいずれからなるシート状フィルター要素とからなり、血液の入口と出口とがフィルター要素によって隔てられている血液処理フィルターにおいて、該シート状フィルター要素は、血液から凝集物を除去するための第一のフィルター要素、第一のフィルター要素の下流に配置された白血球を除去するための第二のフィルター要素、第二のフィルター要素と出口側容器との間に配置され、厚み1cmに換算した時の通気度が3〜40cc/cm2/秒である第三のフィルター要素とを含み、該第三のフィルター要素の厚みが0.04〜0.25cmであり、該第一、第三のフィルター要素には該第二のフィルター要素に対して繊維径または孔径が大きいものを用い、シート状フィルター要素の周縁部近傍全周と可撓性容器とが一体化されて形成されたシール区域を有し、シール区域の断面は、血液の入口側から出口側にかけて、入口側可撓性容器材料のみからなる層、入口側可撓性容器材料とフィルター要素材料とが混在している入口側複合材料層、フィルター要素材料のみからなる層、出口側可撓性容器材料とフィルター要素材料とが混在している出口側複合材料層、出口側可撓性容器材料のみからなる層の、少なくとも5層からなり、入口側複合材料層、出口側複合材料層の厚みが、いずれも0.15〜0.4mmであることを特徴とする血液処理フィルター。
- シート状フィルター要素の周縁部近傍全周と可撓性容器とが一体化されて形成された第一のシール区域と、第一のシール区域の外側全周に渡って入口側可撓性容器と出口側可撓性容器とが一体化されて形成された第二のシール区域と、第一のシール区域と第二のシール区域との間に非シール区域とを有する請求項1記載の血液処理フィルター。
- 血液の入口と出口とを有する、少なくとも軟質塩化ビニルとポリオレフィンと熱可塑性エラストマーのいずれからなる可撓性容器と、血液から好ましくない成分を除去するための、少なくともポリプロピレンとポリエチレンとポリエステルとポリウレタンのいずれからなるシート状フィルター要素と、可撓性容器とシート状フィルター要素との間に配置された少なくとも1枚の可撓性のシート状フレームとからなり、血液の入口と出口がフィルター要素および少なくとも1枚のシート状フレームによって隔てられている血液処理フィルターにおいて、該フィルター要素が、血液から凝集物を除去するための第一のフィルター要素、第一のフィルター要素の下流に配置された白血球を除去するための第二のフィルター要素、第二のフィルター要素と出口側容器との間に配置され、厚み1cmに換算した時の通気度が3〜40cc/cm 2 /秒である第三のフィルター要素とを含み、該第三のフィルター要素の厚みが0.04〜0.25cmであり、該第一、第三のフィルター要素には該第二のフィルター要素に対して繊維径または孔径が大きいものを用い、シート状フィルター要素の周縁部近傍全周と少なくとも1枚のシート状フレームとが接合された第一のシール区域と、第一のシール区域の外側全周に渡って入口側可撓性容器、少なくとも1枚のシート状フレーム、および出口側可撓性容器が一体化されて形成された第二のシール区域とを有し、第一シール区域の断面は、シート状フレーム材料のみからなる層、シート状フレーム材料とフィルター要素材料とが混在している複合材料層、フィルター要素材料のみからなる層の、少なくとも3層からなり、複合材料層の厚みが、0.15〜0.4mmであることを特徴とする血液処理フィルター。
- 入口側可撓性容器材料またはシート状フレーム材料と第一のフィルター要素を主たる構成要素とする入口側複合材料層を含む請求項3記載の血液処理フィルター。
- 出口側可撓性容器材料またはシート状フレーム材料と第三のフィルター要素を主たる構成要素とする出口側複合材料層を含む請求項3または4記載の血液処理フィルター。
- 入口と出口が、入口側可撓性容器あるいは出口側可撓性容器とシート状フレームとの間に配置され、第二のシール区域を横切るように容器の内と外とを連通し、かつ第二のシール区域と液密に接続されている請求項3〜5のいずれかに記載の血液処理フィルター。
- 可撓性容器がシート状成型物から形成されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の血液処理フィルター。
- 可撓性容器が円筒状の成型物から形成されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の血液処理フィルター。
- 成型部品からなる入口及び出口が可撓性容器に液密に接続されてなる請求項1〜8のいずれかに記載の血液処理フィルター。
- 入口、出口が軟質ポリ塩化ビニルからなる請求項1〜9のいずれかに記載の血液処理フィルター。
- 入口、出口がポリオレフィンからなる請求項1〜9のいずれかに記載の血液処理フィルター。
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