JP4204156B2 - 血液処理フィルター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多量の血液から特定成分を有効に除去するためのフィルター材を充填した血液処理フィルター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、全身性エリテマトーデス、慢性もしくは悪性関節リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病等の自己免疫疾患または炎症性腸疾患や白血病、癌などの疾病に対する血液体外循環治療、あるいは臓器移植手術前の免疫抑制の目的で、血液に含まれる特定タンパク質や白血球を除去する技術の要求が高まっている。
このような用途に用いられる血液処理フィルター装置では、高い除去能力はもちろんのこと、多量(約2リットルから5リットル)の血液を処理できる能力を併せ持つことが要求される。
現在、例えば白血球除去フィルター装置としては、極細繊維の不織布を平板型、あるいは円筒形状に巻いたもの(特開62−243561)がよく知られている。しかし、このような公知のフィルター装置で多量の血液を処理すると、処理する血液によって、または抗凝固剤の投与量不足、もしくは混合不良などが起こった際に装置内の血液の流れ抵抗(以下、圧力損失と称する)が大きくなることがあった。このため血液処理速度を落とさねばならず、処理時間が長くなってしまうことからさらなる除去効率の改善が必要とされていた。
血液処理速度を落とすことなく、多量の血液を処理するためにはフィルターと血液の初期接触面積を大きくすることが有効であり、本発明者等はPCT国際特許出願第PCT/JP99/02478号のフィルター装置を発明した。即ち、以下の(1)及び(2)の構成を有する血液処理フィルター装置である。
(1)以下の(a)及び(b)が積層した状態で巻かれ、(b)がその端部をフィルター材外周面又は内周面に露出されており、両端面が液密に封止されたフィルター材
(a)血液処理フィルター層
(b)該血液処理フィルター層に比し血液がより流れやすいシート状のスペーサ層
(2)血液入口と出口を有し、血液入口が前記フィルター材の外周面又は内周面の(b)の端部が露出した側に通じており、血液出口が前記フィルター材の内周面又は外周面の血液入口とは反対側の面に通じる部位に通じている、前記フィルター材(1)を納める容器。
このPCT国際特許出願第PCT/JP99/02478号のフィルター装置を用いれば、多量の血液を処理しても、圧力損失が大きくなることなく効率的に血液を処理可能である。しかしながら、血液処理終了後、装置から血液を回収する際に生理的食塩水等の水溶液を流す代わりに、装置内に空気を入れ、その圧力で血液を押し出す操作をした場合には、PCT国際特許出願第PCT/JP99/02478号のフィルター装置では血液が装置内に残留(以下、残血と称する)する場合があることがわかった。
この血液の残血は、上記(b)のスペーサ層がフィルター材最外周面および最内周面に露出している構造のときにしばしば見られるため、血液をより短時間で返血することを目的とした用途などにおいては、フィルター材の血液出口側周がすべてフィルター層で閉塞している構造としていた。しかし、より優れた圧上昇回避能を実現させるためには、血液処理フィルター最外周面および最内周面からスペーサ層が露出している構造が最も好ましい。
本発明者らが、この残血の原因を鋭意検討した結果、空気で血液を押し出して回収する場合には、フィルター材中のスペーサ層における空気の流動性が血液に比し極めて高いため、装置内の血液が完全に出口側から出てしまう以前に空気がスペーサ層を優先的に通って出口側から流出してしまい装置内に残血をおこしてしまうことを見出した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑み、血液を多量処理しても圧力損失の上昇がなく、かつ返血時に容器内に残血をおこさない血液処理フィルター装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために以下の(1)および(2)の構成を有する血液処理フィルター装置である。
(1)以下の(a)と(b)が積層した状態で巻かれ、(b)がその端部を(a)の外周面および/または内周面に露出しており、さらに(c)が少なくとも外周面または内周面の(b)の露出部分を覆うように巻かれている、両端面が液密に封止されたフィルター材。
(a)血液処理フィルター層
(b)該血液処理フィルター層に比し血液がより流れやすい、通気度が400ml/cm 2
/sec以上のシート状のスペーサ層
(c)通気度が該血液処理フィルター層よりも高く、かつスペーサ層よりも低い通気度が57ml/cm 2
/sec以上188ml/cm 2 /sec以下のプレフィルター層
(2)血液入口と出口を有し、血液入口が前記フィルター材の内周面または外周面の(c)が巻かれた側に通じており、血液出口が前記フィルター材の内周面または外周面の血液入口とは反対側に通じている、前記フィルター材を納める容器。
本発明でいう血液処理フィルター層とは、血液等の体液から特定の血球、タンパク質等を除去し得る血液処理フィルター層であり、除去対象となる血球、タンパク質等を選択的に捕捉し得るフィルターであることが好ましい。
血液処理フィルター層の形態としては、織布、多孔質体シート等が用い得るが、除去対象物を白血球とした場合には、除去効率という観点から不織布や多孔質体が好ましい結果を与える。
血液処理フィルター層は、ただ一枚のシート状フィルターから構成されていても、数枚のまたは多種類のシート状フィルターから構成されていてもよい。
ここでいう不織布とは一層以上の繊維の塊を製編織しないで布状構造としたものをいう。
繊維の素材としては、合成繊維、無機繊維等が用いられる。中でも合成繊維、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等の繊維が好ましく用いられる。
不織布を構成する繊維の平均直径が、0.3μm以上5.0μm以下、好ましくは、0.4μm以上4.5μm以下である。より好ましくは、0.4μm以上3.5μm以下である。平均直径が0.3μm未満では繊維によって形成されている孔が小さくなり、不織布における血液の流動性が悪くなってしまう。その結果装置内の圧力損失が大きくなり血液処理フィルター装置を流れる血液量が減少し、結果として装置の白血球除去性能は低下してしまう。また、平均直径が5.0μmを超えると白血球除去性能等の血液処理性能が悪くなってしまう。
ここでいう不織布を構成する繊維の平均直径は、例えば不織布を構成している繊維の走査型電子顕微鏡写真を撮り、無作為に選択した100本以上の繊維の直径を測定し、それらを数平均する方法で求められる。
【0005】
またここでいう多孔質体とは、連続開放気孔を有する三次元網目状連続組織を有する構造体をいう。多孔質体の材質は特に限定されず、セルロースやその誘導体などの天然高分子、又はポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、もしくはそれらの混合物などの高分子材料を挙げることができる。
多孔質体の平均孔径は、1.0μm以上60μm以下、好ましくは2.0μm以上55μm以下、より好ましくは3.0μm以上50μm以下である。平均孔径が1.0μm未満では血液の流動性が悪くなってしまう。その結果装置内の圧力損失が大きくなり血液処理フィルター装置を流れる血液量が減少し、結果として装置の白血球除去性能は低下してしまう。また、平均孔径が60μmを超えると白血球除去性能等の血液処理性能が悪くなってしまう。
本発明でいう多孔質体の平均孔径とは、水銀圧入法で測定して得られた値である。水銀圧入法、例えば島津製作所製ポアサイザ9320を用いた測定により、縦軸に細孔の容量の微分値をとり、横軸に孔径をとってグラフを描き、そのピークに当たる点(最高値)を平均孔径とする。なお、水銀圧入法による測定値としては1〜2650psiaの圧力範囲で測定した値を用いる。
本発明に用いられる血液処理フィルター層の厚みとは、血液処理フィルター層とスペーサ層とのある接触面と、となりあう周の接触面間を結ぶ線が血液処理フィルター層のみを横切るときの最短距離をいう。繊維径または平均孔径にもよるが、0.1mm以上10.0mm以下、好ましくは0.15mm以上8.0mm以下、より好ましくは0.2mm以上5.0mm以下が望ましい。フィルター層の厚みが10.0mmを超えると、限られたフィルター材体積の中でフィルター層を筒状に巻くときの長さが短くなってしまうため積層されるスペーサ層の長さも制限されてしまい、圧上昇回避を達成することが困難になる。また、厚みが0.1mm未満ではスペーサ層と積層される部分のフィルター層の量が極端に制限されてしまうため白血球除去能が悪くなってしまう。
本発明に用いられる血液処理フィルターの通気度は、数リットルの血液処理を想定した場合には、1ml/cm2 /sec以上10ml/cm2 /sec未満が好ましい。1ml/cm2 /sec未満であると圧力損失が大きくなることが考えられる。10ml/cm2 /sec以上であると除去対象対象物を除去できない場合がある可能性もある。
【0006】
本発明でいうスペーサ層とは、血液処理フィルター層に比し血液がより流れやすい基材であり、目の粗い網状の金属や合成樹脂、無機繊維、合成繊維、又は血液処理フィルター層に使用される不織布よりも平均繊維径の大きな不織布なども用いられる。この中で血液との適合性の点で有機高分子による基材が好ましい。
スペーサ層は血液処理フィルター層間に血液の流れやすい部分を確保するために血液処理フィルター層とともに積層されて巻かれるものである。スペーサ層の巻き方向の全長を長さ、巻き方向に垂直な方向の長さを幅としたとき、幅はほぼ血液処理フィルター層と同じであることが好ましい。
スペーサ層は、上記血液処理フィルター層と同様にただ一枚のシートから構成されていても、数枚の同一又は多種類のシート状物質から構成されていても良いが、血液処理フィルター層内で実質的に連続していることが重要である。ここでいう実質的に連続しているとは、スペーサ層の部位間が血液処理フィルター層により遮断されることなくつながっていることをいう。図1は血液処理フィルター層とスペーサ層の配置を示す模式図で、図1Aに例示するようにスペーサ層自身は連続していなくても、フィルター材として巻いた結果スペーサ層によって形成される隙間構造が血液処理フィルター層により遮断されていなければ実質的に連続であるという。また、図1Bに例示するようにスペーサ層が不連続になることもあり得るが、本発明では血液処理フィルター層の血液入口側から実質的に連続している部分をスペーサ層と呼び血液処理フィルター層及びプレフィルター層により遮断された以降の部分はスペーサ層とは呼ばない。
本発明でいうスペーサ層の厚みとは、血液処理フィルター層とスペーサ層とのある接触面と、隣り合う周の接触面間を結ぶ線がスペーサ層のみを横切るときの最短距離をいう。
スペーサ層の厚みは、0.5mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.6mm以上1.9mm以下、更に好ましくは0.7mm以上1.8mm以下であることが好ましい。スペーサ部厚みの値が0.5mm未満では、スペーサ層を流れる血液の圧力損失が大きくなり血液の流れを良好に保つというスペーサ層の効果が低下するため望ましくない。また2.0mmを超えると血液処理フィルター層の量が少なくなってしまうこと、及び、スペーサ層への血液の流れが圧倒的に多くなることから血液と血液処理フィルター層の接触頻度が少なくなり白血球除去性能等の血液処理性能が悪くなってしまう。
また、スペーサ部の長さは血液処理フィルター層との積層が開始される血液入口側端部からの長さが血液処理フィルター層の全長の約1/2以上、好ましくは2/3以上、より好ましくは3/4以上あればよい。血液処理フィルター層に対してスペーサ層の積層部分の長さがこれよりも短くなると、血液処理時に所望の圧力上昇回避が実現されない。
またスペーサ層の通気度は、より優れた圧上昇回避能を実現させるために、100ml/cm2 /sec以上であることが好ましい。
【0007】
本発明でいうプレフィルター層とは、空気の流動性が血液処理フィルター層よりも高く、かつスペーサ層よりも低いフィルター層をいう。その形態および素材などはとくに限定されず、血液処理フィルター層と同様の形態および素材のものを用いることができる。さらに、血液処理フィルター層と同様にただ一枚のシートから構成されていても、数枚の同一又は多種類のシート状物質から構成されていても良い。また、プレフィルター層を構成する材は外周面および/または内周面に露出しているスペーサ層部を覆うように巻かれておればよい。
プレフィルター層の流動性は通気度を指標としてあらわすことができる。プレフィルターの好ましい流動性を通気度で表す場合、10ml/cm2 /sec以上100ml/cm2 /sec以下更に好ましくは、20ml/cm2 /sec以上90ml/cm2 /sec以下である。通気度が10ml/cm2 /secを超えると空気の流れを緩和しきれず残血してしまう。下限値は血液処理フィルター層よりも高い流動性を持つものであれば残血抑制の効果を得られるが、数リットルの血液処理を想定した場合には、通常血液処理フィルター層の通気度は1ml/cm2 /sec以上10ml/cm2 /sec未満、スペーサ層の通気度は100ml/cm2 /sec以上であることが好ましいため、上記範囲であることが好ましい。また、通気度が血液処理フィルター層以下であると血液処理中の血液の流動性が低下し、圧力損失が大きくなってしまう。
また、プレフィルター層の厚みは、0.1mm以上4.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上3mm以下、更に好ましくは0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。厚みが0.1mm未満ではスペーサ層入口付近の空気の流れを改良することができずに残血してしまう。厚みが4mmを超えるとプレフィルター層の体積が増えるため、同一容器では血液処理フィルター層の充填量が小さくなり目的物質の除去効率が悪くなる。ここでいうプレフィルター層の厚みとはプレフィルター層部分の外周面から内周面までの最短距離を示す。
プレフィルター層が繊維で構成される場合その糸径は、5μm以上50μm以下、より好ましくは7μm以上45μm以下、更に好ましくは10μm以上40μm以下であることが好ましい。繊維径が5μm未満では、血液の流動性が低下し圧回避性能が悪くなる。繊維径が50μmを超えると、スペーサ層における空気の流れを制御することができずに残血してしまう。
また、フィルター材の最外周面および/または最内周面のすべてを覆う支持体としてスペーサ層と同様に血液の流通が血液処理フィルター層よりも容易となる多数の開口を有するメッシュ等が設けられていても構わない (図2中の(10)) 。最外周面および/または最内周面全面に支持体が存在することにより、容器の血液入口側に支持体の厚み分の均一な空間が確保されるので、導入された被処理血液が血液処理フィルター層の血液入口側全体に行き渡りやすくなるからである。
本発明におけるフィルター材とは、前述の血液処理フィルター層とスペーサ層とが積層状態で巻かれている円筒フィルターの図4に示す内周面および/または外周面の少なくともスペーサ露出部に、プレフィルター層が巻かれているフィルターである。
【0008】
また、本発明における血液処理フィルター装置とは血液入口と出口を有する容器に、前述のフィルター材を収納し、血液入口がフィルター材の外周面又は内周面に通じ、血液出口がフィルター材の内周面又は外周面の血液入口とは逆側に通じる部位にそれぞれ設けられている装置である。
本発明でいう通気度とは、日本工業規格「L−1096(一般織物試験方法)」に規定されている通気性試験機で測定した値である。例えばプレフィルター層を、構成している枚数だけ重ねた状態でフラジール型織物通気度試験機(大栄科学精器製作所)で測定することで求めることができる。
本発明でいう、圧力損失とは血液処理中の血液処理フィルター装置の、入口側の圧力から出口側の圧力を差し引いた値のことをいう。
本発明でいう残血とは、血液処理後血液処理フィルター装置内の血液を空気で押しだして血液を回収する場合容器内に残留する血液のことをいう。残血の量は血液処理フィルター装置の出口側から残血している部分までの長さを残血量h(cm)として求めることができる。
本発明において、血液を血液処理フィルター装置に流す流速、および空気を血液処理フィルター装置に流す流速は、いずれも20ml/min以上100ml/min以下が好ましい。血液を流す流速や、空気を流す流速が20ml/min未満であると血液処理が終了するまでの時間が長くなり患者への負担が大きくなることが考えられる。また、血液を流す流速が100ml/minを超えると、圧力が上昇することや白血球除去能が低下する可能性が考えられる。
【0009】
以下、主に血液入口側がフィルター材外周面側である場合を例にとって、本発明を述べる。
血液処理フィルター層、スペーサ層およびプレフィルター層からなるフィルター材は、例えば中央部に筒状の空間を有する中空筒形状に巻かれる。血液処理フィルター層内側の中空部分は血液から被除去成分が除去された後の血液の回収用流通路となる。中空筒形状はどのような形をしていてもよいが、スペーサ層への血液の流れ易さやフィルター材の生産性といった観点からは円筒形状が最も好ましい。フィルター材の大きさは処理する血液量と採用するフィルター材の構成により一義的に決められないが、おおよそ3リットルの血液を処理するのに外径が30〜50mm、高さが100mmから250mmであることが好ましい。
また、筒状フィルターの外径と両端面間の長さの比は、1:10〜1:2程度が望ましい。フィルター材の体積一定の下で、1:2よりも両端面間の長さが小さくなると、スペーサ層への入り口が狭くなることによりスペーサ層への流れが制限されてしまうため、圧上昇回避能が低くなる。両端面間の長さが1:10よりも大きくなると血液処理フィルター層の厚みが小さくなってしまうことから性能が低下してしまい、また血液処理フィルター層とスペーサ層とを巻くことが困難となる。
フィルター材の中央の中空部位は、図2に示すようにスペーサ層を構成する材がフィルター層間からフィルター材の内周面に露出し、そのまま連続的にフィルター材の中空部位を覆う支持体として設けられていることが好ましいが、スペーサ層がフィルター層によって遮断されている場合、フィルター材の内周面を押さえ、中空空間を確保するためにメッシュや多孔部分を有するパイプなどからなる、フィルター材内周面に接する支持体を設けることもできる。
また、フィルター材の中空部の大きさは、フィルター材の大きさ、すなわちフィルター材の外径や厚みに応じて適宜決定される。
本発明において、フィルター材はほぼ同様な大きさの筒状の容器に納められ、両端面は血液が通れないように液密に封止されている。封止剤には血液に接触した際の適合性に優れ、かつ封止に適した液漏れしない材質のものを用いることができる。具体的にはウレタン、シリコンなどの公知の合成樹脂が使用できる。
以下図2、図3を用いて本発明の血液処理フィルター装置の実施形態の一例について、より具体的に説明する。
図3に示す血液処理フィルター装置1は中空円筒状に巻かれたフィルター材4と血液入口3及び出口6を有する容器2とからなる。フィルター材はその両端が接着材5によって液密に封止され、その外側と血液入口3とが、またその内側と血液出口6とがそれぞれ連続するように容器2に納められている。
血液処理終了後、返血時に空気は血液入口3より装置1内に入る。中空円筒フィルター4の両端面5は液密に封止されており空気が通過することはできない。そのため、図2において空気はフィルター材の外周面を構成する血液入口に通じる側に巻かれたプレフィルター層7から主にスペーサ層8の最外層又はスペーサ層8の外周端からスペーサ層を伝いながら内部に徐々に浸透していき、円筒フィルター材を通過し終わってフィルター材中央の中空部11に集まりそこに連通する血液出口6を通って装置外へ出て行く。
プレフィルター層7により、空気は返血開始後すぐに流動性の高いスペーサ層の入り口付近に優先的に入り込むことなく、一旦流動性が緩和されるので、血液が出口側よりすべて返血される前に空気が出てしまうことなく、血液を短時間で有効に回収することができる。
この時、プレフィルター層の流動性は血液処理フィルター層よりも高い流動性を有しているので血液の局所的かつ急激な血液凝固成分の活性化には影響がない。このため、優れた圧上昇回避能を実現させることができる。
尚、プレフィルター層を内周面に存在させ、フィルター材内周面に血液入口側を設ける構造も可能である。
【0010】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜5及び比較例1〜3
白血球除去を目的とした血液処理フィルター層として平均直径1.7μmのポリエステル(PET:密度1.38g/cm3 )繊維からなる不織布(目付66g/m2 、厚み1.68mm、通気度2.17ml/cm2 /sec)を幅150mm、長さ400mmとして用いた。
スペーサ層としてポリエチレン製のメッシュ(厚み1.0mm、通気度が表1中のT(ml/cm2 /sec))を幅150mm、長さ500mmとして用いた。
プレフィルター層として平均直径sμmのポリエステル(PET:密度1.38g/cm3 )繊維からなる不織布(目付m(g/m2 )、厚みn(mm)、通気度t(ml/cm2 /sec))を幅150mm、b(mm)の長さとして用いた。ただし、比較例1はプレフィルターを使用しなかった。
以上の部材を用い、まず血液処理フィルター層とスペーサ層を積層し、最外周部と最内周部にスペーサ層が露出しているような中空円筒状態に巻いた。さらにその外周にプレフィルター層を巻き、最後にフィルター材最外周面のすべてを覆う支持体としてメッシュを設けて図2に示すような外径38mmの中空円筒状フィルター材とした。
このフィルター材の円筒両端をウレタンで閉塞し、天井部と底部にそれぞれ血液入口と血液出口を有する内径41mm、長さ150mmの円筒状のポリカーボネート容器に、フィルター材の外周面が容器の血液入口に、内周面が容器の血液出口に、それぞれ通じるように納め、血液処理フィルター装置とした。
実験例
上述の実施例及び比較例の各血液処理フィルター装置に、抗凝固剤としてヘパリン(4,000U/リットル)を添加した牛新鮮血3リットルを流速50ml/min.で血液ポンプを用いて流し血液処理フィルター前後の装置の圧力損失の変化を調べた。また、3リットル処理時の白血球除去率を調べた。その後同流速で空気を装置内に注入し、血液出口側から空気が出てきた時点での装置内の残血を確認した。
白血球除去率は、血液処理フィルター装置入口側と出口側とでそれぞれ血液を採取し、チュルク染色法により白血球濃度(個/μリットル)をカウントした値から次のように算出した。
白血球除去率(%)=(入口側血液の白血球濃度−出口側血液の白血球濃度)×100/入口側血液の白血球濃度
圧力損失は、装置入口側と出口側との血液回路にそれぞれ圧力計を接続し、得られた値から次のように算出した。
圧力損失(KPa)=入口側の圧力−出口側の圧力
実施例及び比較例のフィルター材の仕様及び実験結果をそれぞれ表1および表2に示す。
表1および表2から明らかなようにプレフィルター層の通気度が血液処理フィルター層よりも高く、かつスペーサ層よりも低いときに返血時の残血が少なく、かつ通血中の圧力損失の上昇もなかった。また、比較例2および3では装置の圧力損失が13.3KPaよりも大きくなったため、処理流速を維持したまま3リットルの血液処理を終了することができなかった。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【発明の効果】
本発明の血液処理フィルター装置は、血液を多量処理しても圧力損失の上昇がなく、且つ返血時の容器内への残血を抑制するので、治療中の患者に対する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液処理フィルター層とスペーサ層の配置を示す模式図で、図1Aはスペーサ層が実質的に連続である状態を、図1Bはスペーサ層が不連続である状態を示す。
【図2】本発明の血液処理フィルター装置の一つの実施例を表す横断面模式図である。
【図3】本発明の血液処理フィルター装置の構造を表す縦断面模式図である。
【図4】本発明の血液処理フィルター装置のフィルター材の外周面、内周面とスペーサ層端部を示した図である。
【符号の説明】
1 血液処理フィルター装置本体
2 容器
3 血液入口
4 中空円筒状フィルター
5 接着材およびフィルター材端面
6 血液出口
7 プレフィルター層
8 スペーサ層
9 血液処理フィルター層
10 支持体
11 中空部
12 外周面
13 内周面
14 スペーサ層端部
Claims (1)
- 以下の(1)および(2)の構成を有する血液処理フィルター装置
(1)以下の(a)と(b)が積層した状態で巻かれ、(b)がその端部を(a)の外周面および/または内周面に露出しており、さらに(c)が少なくとも外周面または内周面の(b)の露出部分を覆うように巻かれている、両端面が液密に封止されたフィルター材
(a)血液処理フィルター層
(b)該血液処理フィルター層に比し血液がより流れやすい、通気度が400ml/cm 2
/sec以上のシート状のスペーサ層
(c)通気度が該血液処理フィルター層よりも高く、かつスペーサ層よりも低い通気度が57ml/cm 2
/sec以上188ml/cm 2 /sec以下のプレフィルター層
(2)血液入口と出口を有し、血液入口が前記フィルター材の内周面または外周面の(c)が巻かれた側に通じており、血液出口が前記フィルター材の内周面または外周面の血液入口とは反対側に通じている、前記フィルター材を納める容器。
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