JP2001198215A - 白血球選択除去フィルター - Google Patents

白血球選択除去フィルター

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JP2001198215A JP2000013364A JP2000013364A JP2001198215A JP 2001198215 A JP2001198215 A JP 2001198215A JP 2000013364 A JP2000013364 A JP 2000013364A JP 2000013364 A JP2000013364 A JP 2000013364A JP 2001198215 A JP2001198215 A JP 2001198215A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血小板と白血球の両方を含有する、血液に
代表される細胞浮遊液から白血球を選択的に除去できる
フィルターであって血小板通過率及び白血球除去性能に
優れた白血球選択除去フィルターを提供する。 【解決手段】 重量平均分子量が40,000〜3,0
00,000のセルロース系ポリマーをフィルター基材
の少なくとも表面部分に有し、フィルター中の該セルロ
ース系ポリマーの含有量が0.1mg/g〜200mg
/gであることを特徴とする全血濾過用白血球選択除去
フィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血小板と白血球の
両方を含有する、血液に代表される細胞浮遊液から血小
板の損失を小さく抑えながら白血球を除去する、血小板
通過率および白血球除去性能に優れた白血球選択除去フ
ィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、輸血の形態が従来の全血輸血に代
わって、赤血球、白血球、血小板、血漿等の特定の成分
のみを、各患者の病状に応じて輸血する成分輸血が行わ
れている。しかしながら、成分輸血においても様々な副
作用が確認されている。例えば、血小板濃縮液を輸血さ
れた患者が、非溶血性発熱反応、同種免疫反応、輸血後
急性肺障害、GVHD、アレルギー反応、アナフィラキ
シー反応、ウイルスならびに細菌感染、さらに免疫変調
などの多岐にわたる副作用を示すことが報告されてい
る。こうした輸血副作用の原因の多くは、血液製剤中に
混入している白血球に由来すると考えられ、これらの副
作用を防ぐのに十分な程度に低い水準にまで白血球を除
去することが必要である。
【0003】そこで、白血球を選択的に除去するための
手段として、遠心分離法あるいは白血球に対して吸着性
を有するフィルターを用いる方法が実施されている。全
血から白血球を除去する方法としては、遠心法、デキス
トラン法、フィルター法や洗浄法などがあるが、白血球
を吸着除去するフィルター法が、白血球除去能に優れて
いること、操作が簡便であること及びコストが低いこと
などの利点を有するために広く用いられている。フィル
ター法による白血球の除去は、白血球の吸着能を利用し
た吸着除去が主な機構であると考えられている。
【0004】特開平3−158168号公報では、繊維
積層物を通過する白血球濃度が、繊維積層物の厚みに対
して指数関数的に減少することを見いだしており、これ
は白血球が繊維積層物を厚み方向に流れていく際に、繊
維と繊維の交絡点付近に接触するごとに、一定の確率で
吸着されていくことを示唆するものであり、上記の吸着
除去説を裏付けている。それ故、従来の白血球除去フィ
ルターにおける高性能化の検討は、繊維と白血球との接
触頻度を高めること、すなわち平均繊維直径を小さくす
ること、充填密度を高めること、或いはより均一な繊維
直径分布を有する不織布を用いること(特開平2−20
3909号公報)などに集中しており、不織布表面の化
学性状に注目したものは少なかった。
【0005】不織布表面の化学性状に着目した数少ない
他の検討例としては、放射線グラフトによる表面改質方
法として特開平1−249063号公報、特公表3−5
02094号公報等があるが、前者は血小板通過率を向
上させるのが表面改質の目的であり、後者は親水性を付
与して血液によるプライミングを容易にするのが目的で
あって、何れも白血球の吸着確率を高めるのが目的では
ない。
【0006】また、WO87/05812号公報には、
高い血小板通過率を有し、且つ白血球除去能にも優れた
フィルターを得ようとして研究を進めた結果、不織布に
適量の塩基性官能基と非イオン性親水基とを含むポリマ
ーをコーティングする等の方法により、白血球除去能に
優れ、且つ血小板の通過性が高まることが実施例で開示
され、またより多くの塩基性官能基を含むポリマーを用
いると血小板、白血球ともに除去率が高まることが比較
例に記載されている。細胞の表面が一般に負の荷電を有
していることを考えると、塩基性官能基を有するポリマ
ーによって白血球の除去率が高まるのは、生理的条件下
で正の電荷を有する塩基性官能基と細胞表面の負荷電と
の間にイオン的結合力が働くためと考えられ、極めて妥
当な結果と考えられる。該公報には、白血球選択除去フ
ィルターをウシの血液の処理に用いる実験が記載されて
いる。しかし、本発明者らが、さらに研究を進めた結
果、該公報に記載されるフィルターは、ウシ血液の処理
やヒトの濃厚血小板製剤の処理に用いるときには、高い
血小板通過率を有し、白血球選択除去能にも優れている
が、ヒト全血液の処理に用いる場合には、血小板通過率
が劣ってくる点で十分満足するものでないことが分かっ
た。
【0007】また、特開平3−47131号公報及び特
開平4−212373号公報には、孔形成剤としてメチ
ルセルロースを添加したポリウレタン溶液を不織布上に
コーティングし、特定の水溶液中にて凝固させた後、該
メチルセルロースを抽出除去することを特徴とする多孔
質体からなる白血球除去フィルターの製法が開示されて
いる。しかしながら、これらの公知技術においては、全
血を濾過する際の血小板の挙動に関しては検討されてい
ない。本発明者らが実際に追試してこれらのフィルター
に全血を流すと、白血球と同時に血小板もかなり除去さ
れてしまうことが分かった。
【0008】さらに、特開平11−9687号公報及び
特開平11−9923号公報には、セルロースミクロフ
ィブリルを多孔質素子の片面または両面に保持させるフ
ィルター構造が開示されている。これらのフィルター構
造は、有効な血液成分の回収性を低下させずに白血球除
去率を向上させるものであり、フィルターの単位体積当
たりの白血球除去率を高めるための構造ではあるが、血
小板通過率を向上させるためのものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、血小
板と白血球の両方を含有する、血液に代表される細胞浮
遊液から血小板の損失を小さく抑えながら白血球を除去
する、血小板通過率および白血球除去性能に優れた白血
球選択除去フィルターを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決したものである。すなわちこの発明は、(1)重量平
均分子量が40,000〜3,000,000のセルロ
ース系ポリマーをフィルター基材の少なくとも表面部分
に有し、フィルター中の該セルロース系ポリマーの含有
量が0.1mg/g〜200mg/gであることを特徴
とする全血濾過用白血球選択除去フィルター、(2)セ
ルロース系ポリマーがメチルセルロース及び/又は酢酸
セルロースである上記(1)記載の全血濾過用白血球選
択除去フィルター、に関するものである。
【0011】上記特開平3−47131号公報および特
開平4−212373号公報に記載される発明では、白
血球除去フィルターを製造する際に孔形成剤としてメチ
ルセルロースを用いているが、フィルターを形成後に該
メチルセルロースを抽出除去しており、本発明のように
意図的にフィルター中にセルロース系ポリマーを含有し
て用いているものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の全血濾過用白血
球選択除去フィルターについて詳細に説明する。本発明
の全血濾過用白血球選択除去フィルターは、フィルター
基材の少なくとも表面部分にセルロース系ポリマーを有
するフィルターである。セルロース系ポリマーはその溶
液をフィルター基材にコーティングする方法や、セルロ
ース系ポリマーを含有するフィルター材料を使用する方
法などによりフィルター基材の少なくとも表面に有する
ことができる。なお、本発明には、前記特開平11−9
687号公報及び特開平11−9923号公報に記載さ
れるようなセルロースミクロフィブリルを多孔質素子の
片面または両面に保持させるようなフィルター構造は包
含されない。
【0013】本発明に用いられるセルロース系ポリマー
としては、セルロースエステルおよびセルロースエーテ
ルが用いられる。本発明に用いられるセルロースエステ
ルとしては、セルロースの水酸基の一部または全部が単
独あるいは複数種の酸によりエステル化してあれば良
く、特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル
酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸等の脂肪酸および硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸の
いずれか単独あるいは複数種の酸からなるセルロースエ
ステルを挙げることができる。
【0014】本発明に用いられるセルロースエーテルと
しては、セルロースの水酸基の一部または全部がエーテ
ル化されてあれば良く、特に限定されないが、例えば、
メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロ
ース、トリチルセルロース、シアンエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロール、アミノエチルセルロー
ス、オキシエチルセルロース等が挙げられる。以上のセ
ルロースエーテルの中でも、入手しやすさ、血小板通過
率に優れることなどから、メチルセルロースが好ましく
用いられる。
【0015】また、本発明で用いられるセルロース系ポ
リマーの重量平均分子量は、40,000〜3,00
0,000の範囲であることが好ましく、40,000
〜1,000,000の範囲であることがより好まし
い。重量平均分子量が40,000未満では血小板通過
率が低下する傾向にあり、重量平均分子量が3,00
0,000を超えると溶解性が悪い傾向にある。
【0016】本発明におけるフィルター中のセルロース
系ポリマーの含有量は、フィルターの単位重量に対する
セルロース系ポリマーの重量として0.1mg(セルロ
ース系ポリマー量)/g(フィルター量)以上、200
mg/g以下である。好ましくは0.5mg/g〜10
0mg/g、より好ましくは1mg/g〜100mg/
gである。フィルター中のセルロース系ポリマーの含有
量が0.1mg/g未満では用いるセルロース系ポリマ
ーによっては、十分な効果が得られない場合があるため
好ましくなく、また200mg/gを超えるとフィルタ
ー基材の持つ白血球との表面特性をセルロース系ポリマ
ーが阻害してしまう可能性があるため好ましくない。
【0017】フィルター中のセルロース系ポリマーの含
有量の測定は、溶剤抽出法により行う。より具体的には
以下の方法で求められる。まず、フィルター基材を溶解
しないがセルロース系ポリマーを溶解するセルロース系
ポリマーの良溶剤(25℃)中にフィルターを24時間
浸漬する(浴比:フィルター1gに対して溶剤200m
lの割合)。この時フィルター周辺で濃度分極がおこら
ないようにフィルターを浸漬した溶剤を十分攪拌しなが
ら行う。セルロース系ポリマーがメチルセルロースであ
れば、良溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド、N
−メチル−2−ピロリドン、及びメタノール、エタノー
ル等のアルコール類を用いることができる。
【0018】次に溶剤中に抽出されたセルロース系ポリ
マーの濃度の測定は、NMR(核磁気共鳴分光計)およ
びIR(赤外線吸光光度計)によりセルロース系ポリマ
ーであることを確認した後、NMR、IR、RI(屈折
計)等により測定し、この値からフィルター中のセルロ
ース系ポリマーの含有量を下記算出式より求める。 Cf=Cs×Ws÷Wf ( ここで、Cf:フィルター中のセルロース系ポリマ
ーの含有量(mg/g) Cs:溶剤中のセルロース系ポリマーの濃度(mg/m
l) Ws:セルロース系ポリマーの抽出に用いた溶剤量(m
l) Wf:被抽出に用いたフィルター重量(g))
【0019】セルロース系ポリマーをフィルター基材の
表面部分に導入する方法は、セルロース系ポリマーを溶
剤に溶解した溶液をコーティングする方法やセルロース
系ポリマーを添加した原液を用いてフィルター基材を成
形することによりセルロース系ポリマーをフィルター基
材中に含有させても良い。コーティングに用いる溶剤
は、セルロース系ポリマーがメチルセルロースであれ
ば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−
ピロリドン、及びメタノール、エタノール等のアルコー
ル類を用いることができる。
【0020】白血球選択除去フィルターの製造の際に用
いられるフィルター基材としては、メルトブロー法やフ
ラッシュ紡糸法あるいは抄造法等により作成された不織
布の他、紙、織布、メッシュおよび高分子多孔質体など
の公知のフィルター材料のいずれの形態であっても良い
が、不織布は特に好適な形態である。なお、ここで不織
布とは、編織によらずに繊維あるいは糸の集合体が、化
学的、熱的、または機械的に結合された布状のものをい
う。
【0021】繊維素材としては、ポリアミド、芳香族ポ
リアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ
トリフルオロクロルエチレン、ポリスチレン、ポリメチ
ルメタアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ−4−メチルペンテン等の合成繊維や、セルロー
ス、セルロースアセテート等の再生繊維などを例示する
ことができるが、好ましくは、ポリエステルである。
【0022】不織布および織布からなるフィルター基材
であれば、その平均繊維直径は0.3μm〜10μm、
好ましくは0.3μm〜3μm、さらに好ましくは0.
5μm〜1.8μmである。平均繊維直径が0.3μm
未満の場合には、全血等を濾過する際の圧力損失が高す
ぎて実用的でない恐れがあり、逆に10μmを超えると
繊維と白血球との接触確率が低すぎるために、本発明の
白血球除去性能が充分に発揮されないおそれがある。な
お、ここで平均繊維直径とは、フィルターを構成する不
織布または織布から一部をサンプリングし電子顕微鏡写
真により測定した平均直径である。
【0023】また、不織布および織布からなるフィルタ
ー基材の空隙率は、50%以上95%未満が好ましく、
より好ましくは70%以上90%未満である。空隙率が
50%未満の場合には血液等の白血球、血小板含有液の
流れが悪く、また95%以上ではフィルター基材の機械
的強度が弱いため適さない。空隙率の測定は、所定の面
積に切断したフィルター基材の乾燥時の重量(W1)を
測定し、さらに厚みを測定して体積(V)を算出する。
このフィルター基材を純水中に浸漬し、脱気した後含水
したフィルター基材の重量(W2)を測定する。これら
の値から以下に示す算出式により空隙率が求められる。
なお、下記の算出式中のρは純水の密度である。 空隙率(%)=(W2−W1)×100/ρ/V
【0024】高分子多孔質体としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニ
ルホルマール、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、
セルロース、セルロースアセテート、ポリウレタン、ポ
リビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エーテルイミド、ポリメタアクリレート、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリイミドなどの多孔質体を例示することが
できる。
【0025】高分子多孔質体は、平均気孔径が1μm〜
60μm、好ましくは1μm〜30μm、より好ましく
は1μm〜20μmである。1μm未満では血液等の白
血球および血小板含有液の流れが悪く、60μmを超え
ると多孔質体と白血球との接触確率が低すぎるために白
血球の除去率が低くなり、好ましくない。ここでいう平
均気孔径とは、ASTM F316−86に記載されて
いるエアーフロー法に準じてPOROFIL(COUL
TER ELECTRONICS LTD.製)液中に
て測定した平均孔径を示す。
【0026】本発明の製造方法を用いて得られた白血球
選択除去フィルターは、通常公知の血液の入口と出口を
有する適当な血液濾過用のフィルター基材容器に充填し
て使用する。充填の際のフィルターの充填密度は、コー
ティング前のフィルター基材の種類により異なるが、
0.02g/cm3〜0.7g/cm3であることが好ま
しく、0.15g/cm3〜0.38g/cm3であるこ
とがより好ましい。0.02g/cm3未満の場合に
は、機械的強度が不足し、血液を濾過させる際に変形す
る恐れがあるために好ましくない。0.7g/cm3
超えるとフィルターの反発力が高すぎて容器内に充填す
ることが困難になるために好ましくない。
【0027】なお、ここで白血球選択除去フィルターの
充填密度とは、容器内に納められた状態での有効濾過面
積部分についてのフィルター重量を、フィルターの(有
効濾過面積×厚み)で割った値である。ただし、不織布
の様に数枚を重ねて用いる場合、不織布間に隙間ができ
る場合には、不織布1枚ずつについて測定する。フィル
ター基材が織布または不織布の場合、その厚みによって
異なるが1枚で用いても良いし、複数枚重ねて用いても
良い。重ねる枚数としては血液濾過の条件によって異な
り臨界的ではないが、通常数枚から数十枚が用いられ
る。
【0028】以下にこの発明の実施例を示すが、これに
限定されるものではない。
【実施例1】(ポリマー溶液の調整)メチルセルロース
(関東化学社製、製品番号25577−02、重量平均
分子量54,000)1重量%をN,N−ジメチルホル
ムアミド99重量%に40℃の温度で溶解して均一な溶
液とした。
【0029】(コーティング)図1に示す装置を用い
て、平均繊維直径1.2μmのポリエチレンテレフタレ
ート繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率7
9%、厚さ0.25mm、密度0.16g/cm3、巾
150mm)15mを連続的に上記の40℃の溶液に浸
漬した後、間隙が0.13mmであるロール間を通過さ
せることによりニップした。さらに、長さ140mm×
巾3mmのスリット状の穴を有するサクション(絶対圧
力710mmHg)にてフィルターの一表面を吸引後巻
き取った。ライン速度(ニップおよび吸引する単位時間
当たりのフィルターの長さ)は、3m/分に固定した。
巻き取り後、50℃で60時間真空乾燥した。得られた
フィルター中のN,N−ジメチルホルムアミドの残存量
は1ppm以下であった。
【0030】(血液評価)このようにして製造したフィ
ルターの巾方向の両端10mmを切断除去した後任意に
選んだフィルターの一部を25mmの円形状に切断し、
4枚をフィルターホルダー(柴田科学器械工場(株)
製)にセットし、(フィルターの充填密度0.16g/
cm3)、そこへ抗凝固剤としてCPD(citrat
e−phosphate−dextrose)を添加し
たヒトの1日保存血6mlを、シリンジポンプを用いて
2.7ml/minの一定速度で室温にて流した。不織
布通過前後について、一定量の血液を採取してチュルク
液にて希釈し血球計算板を用いて白血球濃度を測定し
た。また、血液中の血小板の濃度は、多項目自動血球計
数装置(SYSMEX製 K−4500)にてストマラ
イザー3WP(東亞医用電子(株)製)を希釈液に用い
て測定した。
【0031】白血球除去率及び血小板通過率は次式によ
り算出した。
【数1】
【数2】 このフィルターの血液評価を5回行い平均値として表1
に示した。全血濾過においては、80%以上の血小板通
過率が求められており、白血球除去能および血小板通過
率共に高い結果が得られた。不織布濾過前後での血液中
のヘマトクリツト値に差は見られなかった。また、フィ
ルターの血液濾過時において、血液の入り圧の上昇はほ
とんどなく、目詰まりによる血液流速の低下は起こらな
かった。なお、フィルター中のセルロース系ポリマー
(メチルセルロース)の含有量の測定は、N,N−ジメ
チルホルムアミドを溶剤に用いて行った。
【0032】
【実施例2】ヒトの1日保存血の代わりにヒトの新鮮全
血(採血後にCPDを添加して3時間経過した全血)を
用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。この時の
血液評価結果を表1に示す。白血球除去能および血小板
通過率共に高い結果が得られた。また、フィルターの血
液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下は起
こらなかった。
【0033】
【実施例3】コーティング前にフィルターの前処理とし
て、Co60を線源とするγ(ガンマー)-線を100K
Gy照射した以外は、実施例1と同様な操作を行った。
この時の血液評価結果を表1に示す。白血球除去能およ
び血小板通過率共に高い結果が得られた。フィルターの
血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下は
起こらなかった。
【0034】
【実施例4】実施例1で用いた不織布の代わりに平均繊
維直径1.2μmのポリ(トリメチレンテレフタレー
ト)繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率7
5%、厚さ0.23mm、密度0.17g/cm3、巾
150mm)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行
った。この時の血液評価結果を表1に示す。白血球除去
能および血小板通過率共に高い結果が得られ、フィルタ
ーの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低
下も起こらなかった。
【0035】
【実施例5】コーティング前にフィルターの前処理とし
て、コロナ放電処理機(春日電機(株)社製 AGI−
020S)にて放電量330W/m2/分、放電度80
W/cm2にて不織布の両面を2回ずつ処理した以外
は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価
結果を表1に示す。白血球除去能および血小板通過率共
に高い結果が得られ、フィルターの血液濾過時におい
て、目詰まりによる血液流速の低下も起こらなかった。
ここで、放電量とはコロナ放電に用いられた電力量(W
(ワット))をフィルター基材のコロナ放電処理速度
(m/分)と電極長(m)との積で除した値を意味し、
放電度とは電極より照射されるコロナの強さを意味し、
電極の単位面積(cm2)あたりに供給されている電力
量(W)を意味する。
【0036】
【実施例6】実施例1で用いたポリマー溶液の代わり
に、実施例1で用いたメチルセルロース3重量%をN,
N−ジメチルホルムアミド97重量%に40℃の温度で
溶解した均一溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操
作を行った。この時の血液評価結果を表2に示す。白血
球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られ、フ
ィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流
速の低下も起こらなかった。
【0037】
【実施例7】実施例1で用いたメチルセルロースの代わ
りにメチルセルロース(関東化学社製、製品番号252
24−02、重量平均分子量490,000)を用いた
以外は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液
評価結果を表2に示す。白血球除去能および血小板通過
率共に高い結果が得られた。また、フィルターの血液濾
過時において、目詰まりによる血液流速の低下は起こら
なかった。
【0038】
【実施例8】実施例1で用いたメチルセルロースの代わ
りに、酢酸セルロース(ダイセル化学工業社製、商品名
L30、重量平均分子量52,000)を用いた以外
は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価
結果を表2に示す。白血球除去率及び血小板通過率共に
高い結果が得られた。また、フィルターの血液濾過時に
おいて、血液の入り圧の上昇はほとんどなく、目詰まり
による血液流速の低下は起こらなかった。
【0039】
【比較例1】フィルター基材の前処理をしない以外は実
施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を
表2に示す。
【0040】
【比較例2】実施例1で用いたメチルセルロースの代わ
りに、メチルセルロース(和光純薬工業社製、製品コー
ド番号136−07172、重量平均分子量26,00
0)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
この時の血液評価結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明の製造方法から得られた白血球選
択除去フィルターは、血小板と白血球の両方を含有す
る、血液に代表される細胞浮遊液から、白血球を選択的
に除去でき、血小板の損失を小さく抑えながら白血球を
除去でき、血小板通過率及び白血球除去性能に優れた性
能を有することから医薬用途、医療用途及び一般工業用
途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の白血球選択除去フィルターの製造のた
めの製造装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 フィルター基材供給ロール 2 ポリマー溶液コーティング槽 3 ポリマー溶液保温用恒温槽 4 ロール 5 ニップ用ロール 6 サクション(残溶剤吸引装置) 7 圧力計 8 溶剤をトラップする手段 9 フィルター巻き取り用ロール 10 フィルター基材 11 ポリマー溶液 12 含浸ロール 13 圧力調整装置 14 恒温槽内の温調水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA12 BB02 BB03 EE01 KK11 LL14 MM07 MM09 MM10 NN02 PP02 PP07 PP08 PP10 PP12 PP13 4C087 BB34 DA18 MA66 4D019 AA03 BA12 BA13 BB05 BB10 BC06 BC13 CB04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が40,000〜3,0
    00,000のセルロース系ポリマーをフィルター基材
    の少なくとも表面部分に有し、フィルター中の該セルロ
    ース系ポリマーの含有量が0.1mg/g〜200mg
    /gであることを特徴とする全血濾過用白血球選択除去
    フィルター。
  2. 【請求項2】 セルロース系ポリマーがメチルセルロー
    ス及び/又は酢酸セルロースである請求項1記載の全血
    濾過用白血球選択除去フィルター。
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