JP4148310B2 - 白血球選択除去フィルター - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血小板と白血球の両方を含有する、血液に代表される細胞浮遊液から血小板の損失を小さく抑えながら白血球を除去する、血小板通過率および白血球除去性能に優れた白血球選択除去フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、輸血の形態が従来の全血輸血に代わって、赤血球、白血球、血小板、血漿等の特定の成分のみを、各患者の病状に応じて輸血する成分輸血が行われている。
しかしながら、成分輸血においても様々な副作用が確認されている。例えば、血小板濃縮液を輸血された患者が、非溶血性発熱反応、同種免疫反応、輸血後急性肺障害、GVHD、アレルギー反応、アナフィラキシー反応、ウイルスならびに細菌感染、さらに免疫変調などの多岐にわたる副作用を示すことが報告されている。こうした輸血副作用の原因の多くは、血液製剤中に混入している白血球に由来すると考えられ、これらの副作用を防ぐのに十分な程度に低い水準にまで白血球を除去することが必要である。
【0003】
そこで、白血球を選択的に除去するための手段として、遠心分離法あるいは白血球に対して吸着性を有するフィルターを用いる方法が実施されている。
全血から白血球を除去する方法としては、遠心法、デキストラン法、フィルター法や洗浄法などがあるが、白血球を吸着除去するフィルター法が、白血球除去能に優れていること、操作が簡便であること及びコストが低いことなどの利点を有するために広く用いられている。
フィルター法による白血球の除去は、白血球の吸着能を利用した吸着除去が主な機構であると考えられている。
【0004】
特開平3−158168号公報では、繊維積層物を通過する白血球濃度が、繊維積層物の厚みに対して指数関数的に減少することを見いだしており、これは白血球が繊維積層物を厚み方向に流れていく際に、繊維と繊維の交絡点付近に接触するごとに、一定の確率で吸着されていくことを示唆するものであり、上記の吸着除去説を裏付けている。
それ故、従来の白血球除去フィルターにおける高性能化の検討は、繊維と白血球との接触頻度を高めること、すなわち平均繊維直径を小さくすること、充填密度を高めること、或いはより均一な繊維直径分布を有する不織布を用いること(特開平2−203909号公報)などに集中しており、不織布表面の化学性状に注目したものは少なかった。
【0005】
不織布表面の化学性状に着目した数少ない他の検討例としては、放射線グラフトによる表面改質方法として特開平1−249063号公報、特公表3−502094号公報等があるが、前者は血小板通過率を向上させるのが表面改質の目的であり、後者は親水性を付与して血液によるプライミングを容易にするのが目的であって、何れも白血球の吸着確率を高めるのが目的ではない。
【0006】
また、WO87/05812号公報には、高い血小板通過率を有し、且つ白血球除去能にも優れたフィルターを得ようとして研究を進めた結果、不織布に適量の塩基性官能基と非イオン性親水基とを含むポリマーをコーティングする等の方法により、白血球除去能に優れ、且つ血小板の通過性が高まることが実施例で開示され、またより多くの塩基性官能基を含むポリマーを用いると血小板、白血球ともに除去率が高まることが比較例に記載されている。細胞の表面が一般に負の荷電を有していることを考えると、塩基性官能基を有するポリマーによって白血球の除去率が高まるのは、生理的条件下で正の電荷を有する塩基性官能基と細胞表面の負荷電との間にイオン的結合力が働くためと考えられ、極めて妥当な結果と考えられる。該公報には、白血球選択除去フィルターをウシの血液の処理に用いる実験が記載されている。
しかし、本発明者らが、さらに研究を進めた結果、該公報に記載されるフィルターは、ウシ血液の処理やヒトの濃厚血小板製剤の処理に用いるときには、高い血小板通過率を有し、白血球選択除去能にも優れているが、ヒト全血液の処理に用いる場合には、血小板通過率が劣ってくる点で十分満足するものでないことが分かった。
【0007】
また、特開平3−47131号公報及び特開平4−212373号公報には、孔形成剤としてメチルセルロースを添加したポリウレタン溶液を不織布上にコーティングし、特定の水溶液中にて凝固させた後、該メチルセルロースを抽出除去することを特徴とする多孔質体からなる白血球除去フィルターの製法が開示されている。しかしながら、これらの公知技術においては、全血を濾過する際の血小板の挙動に関しては検討されていない。本発明者らが実際に追試してこれらのフィルターに全血を流すと、白血球と同時に血小板もかなり除去されてしまうことが分かった。
【0008】
さらに、特開平11−9687号公報及び特開平11−9923号公報には、セルロースミクロフィブリルを多孔質素子の片面または両面に保持させるフィルター構造が開示されている。これらのフィルター構造は、有効な血液成分の回収性を低下させずに白血球除去率を向上させるものであり、フィルターの単位体積当たりの白血球除去率を高めるための構造ではあるが、血小板通過率を向上させるためのものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、血小板と白血球の両方を含有する、血液に代表される細胞浮遊液から血小板の損失を小さく抑えながら白血球を除去する、血小板通過率および白血球除去性能に優れた白血球選択除去フィルターを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決したものである。
すなわちこの発明は、
(1)重量平均分子量が40,000〜3,000,000のメチルセルロースをフィルター基材の少なくとも表面部分に有し、フィルター中の該メチルセルロースの含有量が0.1mg/g〜110.5mg/gであることを特徴とする血小板通過率が80%以上で白血球除去能が97.5%以上であるヒトの全血濾過用白血球選択除去フィルター、
(2)ヒトの全血が採血後にCPDを添加して3時間経過したヒトの新鮮全血又はヒトの1日保存血であることを特徴とする上記(1)記載の全血濾過用白血球選択除去フィルター、に関するものである。
【0011】
上記特開平3−47131号公報および特開平4−212373号公報に記載される発明では、白血球除去フィルターを製造する際に孔形成剤としてメチルセルロースを用いているが、フィルターを形成後に該メチルセルロースを抽出除去しており、本発明のように意図的にフィルター中にセルロース系ポリマーを含有して用いているものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の全血濾過用白血球選択除去フィルターについて詳細に説明する。
本発明の全血濾過用白血球選択除去フィルターは、フィルター基材の少なくとも表面部分にセルロース系ポリマーを有するフィルターである。セルロース系ポリマーはその溶液をフィルター基材にコーティングする方法や、セルロース系ポリマーを含有するフィルター材料を使用する方法などによりフィルター基材の少なくとも表面に有することができる。なお、本発明には、前記特開平11−9687号公報及び特開平11−9923号公報に記載されるようなセルロースミクロフィブリルを多孔質素子の片面または両面に保持させるようなフィルター構造は包含されない。
【0013】
本発明に用いられるセルロース系ポリマーとしては、セルロースエステルおよびセルロースエーテルが用いられる。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースの水酸基の一部または全部が単独あるいは複数種の酸によりエステル化してあれば良く、特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸および硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸のいずれか単独あるいは複数種の酸からなるセルロースエステルを挙げることができる。
【0014】
本発明に用いられるセルロースエーテルとしては、セルロースの水酸基の一部または全部がエーテル化されてあれば良く、特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアンエチルセルロース、カルボキシメチルセルロール、アミノエチルセルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられる。以上のセルロースエーテルの中でも、入手しやすさ、血小板通過率に優れることなどから、メチルセルロースが好ましく用いられる。
【0015】
また、本発明で用いられるセルロース系ポリマーの重量平均分子量は、40,000〜3,000,000の範囲であることが好ましく、40,000〜1,000,000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量が40,000未満では血小板通過率が低下する傾向にあり、重量平均分子量が3,000,000を超えると溶解性が悪い傾向にある。
【0016】
本発明におけるフィルター中のセルロース系ポリマーの含有量は、フィルターの単位重量に対するセルロース系ポリマーの重量として0.1mg(セルロース系ポリマー量)/g(フィルター量)以上、200mg/g以下である。好ましくは0.5mg/g〜100mg/g、より好ましくは1mg/g〜100mg/gである。フィルター中のセルロース系ポリマーの含有量が0.1mg/g未満では用いるセルロース系ポリマーによっては、十分な効果が得られない場合があるため好ましくなく、また200mg/gを超えるとフィルター基材の持つ白血球との表面特性をセルロース系ポリマーが阻害してしまう可能性があるため好ましくない。
【0017】
フィルター中のセルロース系ポリマーの含有量の測定は、溶剤抽出法により行う。より具体的には以下の方法で求められる。まず、フィルター基材を溶解しないがセルロース系ポリマーを溶解するセルロース系ポリマーの良溶剤(25℃)中にフィルターを24時間浸漬する(浴比:フィルター1gに対して溶剤200mlの割合)。この時フィルター周辺で濃度分極がおこらないようにフィルターを浸漬した溶剤を十分攪拌しながら行う。セルロース系ポリマーがメチルセルロースであれば、良溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及びメタノール、エタノール等のアルコール類を用いることができる。
【0018】
次に溶剤中に抽出されたセルロース系ポリマーの濃度の測定は、NMR(核磁気共鳴分光計)およびIR(赤外線吸光光度計)によりセルロース系ポリマーであることを確認した後、NMR、IR、RI(屈折計)等により測定し、この値からフィルター中のセルロース系ポリマーの含有量を下記算出式より求める。
Cf=Cs×Ws÷Wf
( ここで、Cf:フィルター中のセルロース系ポリマーの含有量(mg/g)
Cs:溶剤中のセルロース系ポリマーの濃度(mg/ml)
Ws:セルロース系ポリマーの抽出に用いた溶剤量(ml)
Wf:被抽出に用いたフィルター重量(g))
【0019】
セルロース系ポリマーをフィルター基材の表面部分に導入する方法は、セルロース系ポリマーを溶剤に溶解した溶液をコーティングする方法やセルロース系ポリマーを添加した原液を用いてフィルター基材を成形することによりセルロース系ポリマーをフィルター基材中に含有させても良い。コーティングに用いる溶剤は、セルロース系ポリマーがメチルセルロースであれば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及びメタノール、エタノール等のアルコール類を用いることができる。
【0020】
白血球選択除去フィルターの製造の際に用いられるフィルター基材としては、メルトブロー法やフラッシュ紡糸法あるいは抄造法等により作成された不織布の他、紙、織布、メッシュおよび高分子多孔質体などの公知のフィルター材料のいずれの形態であっても良いが、不織布は特に好適な形態である。なお、ここで不織布とは、編織によらずに繊維あるいは糸の集合体が、化学的、熱的、または機械的に結合された布状のものをいう。
【0021】
繊維素材としては、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリトリフルオロクロルエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン等の合成繊維や、セルロース、セルロースアセテート等の再生繊維などを例示することができるが、好ましくは、ポリエステルである。
【0022】
不織布および織布からなるフィルター基材であれば、その平均繊維直径は0.3μm〜10μm、好ましくは0.3μm〜3μm、さらに好ましくは0.5μm〜1.8μmである。平均繊維直径が0.3μm未満の場合には、全血等を濾過する際の圧力損失が高すぎて実用的でない恐れがあり、逆に10μmを超えると繊維と白血球との接触確率が低すぎるために、本発明の白血球除去性能が充分に発揮されないおそれがある。
なお、ここで平均繊維直径とは、フィルターを構成する不織布または織布から一部をサンプリングし電子顕微鏡写真により測定した平均直径である。
【0023】
また、不織布および織布からなるフィルター基材の空隙率は、50%以上95%未満が好ましく、より好ましくは70%以上90%未満である。空隙率が50%未満の場合には血液等の白血球、血小板含有液の流れが悪く、また95%以上ではフィルター基材の機械的強度が弱いため適さない。空隙率の測定は、所定の面積に切断したフィルター基材の乾燥時の重量(W1)を測定し、さらに厚みを測定して体積(V)を算出する。このフィルター基材を純水中に浸漬し、脱気した後含水したフィルター基材の重量(W2)を測定する。これらの値から以下に示す算出式により空隙率が求められる。
なお、下記の算出式中のρは純水の密度である。
空隙率(%)=(W2−W1)×100/ρ/V
【0024】
高分子多孔質体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニルホルマール、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、セルロース、セルロースアセテート、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリメタアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドなどの多孔質体を例示することができる。
【0025】
高分子多孔質体は、平均気孔径が1μm〜60μm、好ましくは1μm〜30μm、より好ましくは1μm〜20μmである。1μm未満では血液等の白血球および血小板含有液の流れが悪く、60μmを超えると多孔質体と白血球との接触確率が低すぎるために白血球の除去率が低くなり、好ましくない。ここでいう平均気孔径とは、ASTM F316−86に記載されているエアーフロー法に準じてPOROFIL(COULTER ELECTRONICS LTD.製)液中にて測定した平均孔径を示す。
【0026】
本発明の製造方法を用いて得られた白血球選択除去フィルターは、通常公知の血液の入口と出口を有する適当な血液濾過用のフィルター基材容器に充填して使用する。
充填の際のフィルターの充填密度は、コーティング前のフィルター基材の種類により異なるが、0.02g/cm3〜0.7g/cm3であることが好ましく、0.15g/cm3〜0.38g/cm3であることがより好ましい。0.02g/cm3未満の場合には、機械的強度が不足し、血液を濾過させる際に変形する恐れがあるために好ましくない。0.7g/cm3を超えるとフィルターの反発力が高すぎて容器内に充填することが困難になるために好ましくない。
【0027】
なお、ここで白血球選択除去フィルターの充填密度とは、容器内に納められた状態での有効濾過面積部分についてのフィルター重量を、フィルターの(有効濾過面積×厚み)で割った値である。ただし、不織布の様に数枚を重ねて用いる場合、不織布間に隙間ができる場合には、不織布1枚ずつについて測定する。
フィルター基材が織布または不織布の場合、その厚みによって異なるが1枚で用いても良いし、複数枚重ねて用いても良い。重ねる枚数としては血液濾過の条件によって異なり臨界的ではないが、通常数枚から数十枚が用いられる。
【0028】
以下にこの発明の実施例を示すが、これに限定されるものではない。
【実施例1】
(ポリマー溶液の調整)
メチルセルロース(関東化学社製、製品番号25577−02、重量平均分子量54,000)1重量%をN,N−ジメチルホルムアミド99重量%に40℃の温度で溶解して均一な溶液とした。
【0029】
(コーティング)
図1に示す装置を用いて、平均繊維直径1.2μmのポリエチレンテレフタレート繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率79%、厚さ0.25mm、密度0.16g/cm3、巾150mm)15mを連続的に上記の40℃の溶液に浸漬した後、間隙が0.13mmであるロール間を通過させることによりニップした。さらに、長さ140mm×巾3mmのスリット状の穴を有するサクション(絶対圧力710mmHg)にてフィルターの一表面を吸引後巻き取った。ライン速度(ニップおよび吸引する単位時間当たりのフィルターの長さ)は、3m/分に固定した。巻き取り後、50℃で60時間真空乾燥した。得られたフィルター中のN,N−ジメチルホルムアミドの残存量は1ppm以下であった。
【0030】
(血液評価)
このようにして製造したフィルターの巾方向の両端10mmを切断除去した後任意に選んだフィルターの一部を25mmの円形状に切断し、4枚をフィルターホルダー(柴田科学器械工場(株)製)にセットし、(フィルターの充填密度0.16g/cm3)、そこへ抗凝固剤としてCPD(citrate−phosphate−dextrose)を添加したヒトの1日保存血6mlを、シリンジポンプを用いて2.7ml/minの一定速度で室温にて流した。
不織布通過前後について、一定量の血液を採取してチュルク液にて希釈し血球計算板を用いて白血球濃度を測定した。また、血液中の血小板の濃度は、多項目自動血球計数装置(SYSMEX製 K−4500)にてストマライザー3WP(東亞医用電子(株)製)を希釈液に用いて測定した。
【0031】
白血球除去率及び血小板通過率は次式により算出した。
【数1】
Figure 0004148310
【数2】
Figure 0004148310
このフィルターの血液評価を5回行い平均値として表1に示した。全血濾過においては、80%以上の血小板通過率が求められており、白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られた。不織布濾過前後での血液中のヘマトクリツト値に差は見られなかった。
また、フィルターの血液濾過時において、血液の入り圧の上昇はほとんどなく、目詰まりによる血液流速の低下は起こらなかった。
なお、フィルター中のセルロース系ポリマー(メチルセルロース)の含有量の測定は、N,N−ジメチルホルムアミドを溶剤に用いて行った。
【0032】
【実施例2】
ヒトの1日保存血の代わりにヒトの新鮮全血(採血後にCPDを添加して3時間経過した全血)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表1に示す。白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られた。また、フィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下は起こらなかった。
【0033】
【実施例3】
コーティング前にフィルターの前処理として、Co60を線源とするγ(ガンマー)-線を100KGy照射した以外は、実施例1と同様な操作を行った。この時の血液評価結果を表1に示す。白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られた。フィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下は起こらなかった。
【0034】
【実施例4】
実施例1で用いた不織布の代わりに平均繊維直径1.2μmのポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率75%、厚さ0.23mm、密度0.17g/cm3、巾150mm)を用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。この時の血液評価結果を表1に示す。白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られ、フィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下も起こらなかった。
【0035】
【実施例5】
コーティング前にフィルターの前処理として、コロナ放電処理機(春日電機(株)社製 AGI−020S)にて放電量330W/m2/分、放電度80W/cm2にて不織布の両面を2回ずつ処理した以外は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表1に示す。白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られ、フィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下も起こらなかった。ここで、放電量とはコロナ放電に用いられた電力量(W(ワット))をフィルター基材のコロナ放電処理速度(m/分)と電極長(m)との積で除した値を意味し、放電度とは電極より照射されるコロナの強さを意味し、電極の単位面積(cm2)あたりに供給されている電力量(W)を意味する。
【0036】
【実施例6】
実施例1で用いたポリマー溶液の代わりに、実施例1で用いたメチルセルロース3重量%をN,N−ジメチルホルムアミド97重量%に40℃の温度で溶解した均一溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表2に示す。白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られ、フィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下も起こらなかった。
【0037】
【実施例7】
実施例1で用いたメチルセルロースの代わりにメチルセルロース(関東化学社製、製品番号25224−02、重量平均分子量490,000)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表2に示す。白血球除去能および血小板通過率共に高い結果が得られた。また、フィルターの血液濾過時において、目詰まりによる血液流速の低下は起こらなかった。
【0038】
【実施例8】
実施例1で用いたメチルセルロースの代わりに、酢酸セルロース(ダイセル化学工業社製、商品名L30、重量平均分子量52,000)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表2に示す。白血球除去率及び血小板通過率共に高い結果が得られた。また、フィルターの血液濾過時において、血液の入り圧の上昇はほとんどなく、目詰まりによる血液流速の低下は起こらなかった。
【0039】
【比較例1】
フィルター基材の前処理をしない以外は実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表2に示す。
【0040】
【比較例2】
実施例1で用いたメチルセルロースの代わりに、メチルセルロース(和光純薬工業社製、製品コード番号136−07172、重量平均分子量26,000)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。この時の血液評価結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004148310
【表2】
Figure 0004148310
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造方法から得られた白血球選択除去フィルターは、血小板と白血球の両方を含有する、血液に代表される細胞浮遊液から、白血球を選択的に除去でき、血小板の損失を小さく抑えながら白血球を除去でき、血小板通過率及び白血球除去性能に優れた性能を有することから医薬用途、医療用途及び一般工業用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の白血球選択除去フィルターの製造のための製造装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 フィルター基材供給ロール
2 ポリマー溶液コーティング槽
3 ポリマー溶液保温用恒温槽
4 ロール
5 ニップ用ロール
6 サクション(残溶剤吸引装置)
7 圧力計
8 溶剤をトラップする手段
9 フィルター巻き取り用ロール
10 フィルター基材
11 ポリマー溶液
12 含浸ロール
13 圧力調整装置
14 恒温槽内の温調水

Claims (2)

  1. 重量平均分子量が40,000〜3,000,000のメチルセルロースをフィルター基材の少なくとも表面部分に有し、フィルター中の該メチルセルロースの含有量が0.1mg/g〜110.5mg/gであることを特徴とする血小板通過率が80%以上で白血球除去能が97.5%以上であるヒトの全血濾過用白血球選択除去フィルター。
  2. ヒトの全血が採血後にCPDを添加して3時間経過したヒトの新鮮全血又はヒトの1日保存血であることを特徴とする請求項1に記載の全血濾過用白血球選択除去フィルター。
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