JP3172542B2 - 白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法 - Google Patents

白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法

Info

Publication number
JP3172542B2
JP3172542B2 JP03288191A JP3288191A JP3172542B2 JP 3172542 B2 JP3172542 B2 JP 3172542B2 JP 03288191 A JP03288191 A JP 03288191A JP 3288191 A JP3288191 A JP 3288191A JP 3172542 B2 JP3172542 B2 JP 3172542B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter material
leukocyte
blood
filter
capturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03288191A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04212373A (ja
Inventor
建 建部
泰 根本
泰幸 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP03288191A priority Critical patent/JP3172542B2/ja
Publication of JPH04212373A publication Critical patent/JPH04212373A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3172542B2 publication Critical patent/JP3172542B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、白血球捕捉用フィルタ
ー材およびその製造方法に関するものである。詳しく述
べると、本発明は白血球に対して安定した捕捉能を示し
かつ異物の混入の虞れのない白血球捕捉用フィルター材
およびその製造方法に関するものである。本発明は、さ
らに高圧蒸気滅菌可能な白血球捕捉用フィルター材およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】輸血の形態が従来の全血輸血から、患者
が必要としている成分のみを輸血する成分輸血へと変化
して久しいが、この成分輸血においては、いかに分画し
た血液成分の純度を高くするかが課題となってくる。従
来、献血によって得られた血液は、遠心操作によって赤
血球濃厚液(CRC)、濃縮血小板血漿(PC)および
乏血小板血漿(PPP)に分離される。このようにして
分離された赤血球濃厚液は、赤血球の成分製剤として赤
血球を必要とする患者への成分輸血に広く用いられてい
るが、赤血球濃厚液は、多くの白血球を含み、いわゆる
全成分血液であるとの考え方が定着しつつあり、赤血球
のみを必要としている患者に、赤血球濃厚液の輸血によ
り併せて多量の白血球が輸血されていることが問題視さ
れている。このように赤血球濃厚液のような赤血球分画
中に含まれる白血球は、輸血後の副作用を防止する上か
らも極力除去する必要があり、このために従前より多く
の工夫がなされている。赤血球製剤の純度を高くする方
法としては、血球の比重差を利用した重力遠心分離方
法、血球の粘着ないしは付着等の作用を利用した捕捉材
利用の方法、赤血球凝集剤を用いた白血球分離方法等の
方法が使用されている。
【0003】これらの方法の中で、捕捉材利用の方法が
白血球除去効率の良さ、手技の簡便なことなどから広く
用いられている。ここで捕捉材利用の方法においては、
白血球を効率よく捕捉することと同時に赤血球収率向上
を目的とした生理食塩水等による洗浄、回収操作におい
て、捕捉された白血球が脱離してこないことが求められ
る。捕捉材としては天然セルロース、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリアクリロニトリル、ガラス繊維などの繊
維径の非常に小さな繊維をカラム内にそのまま詰めたも
のや不織布等に二次加工したものが多くの場合用いられ
ている。
【0004】しかしながら、上述の方法において繊維そ
のものをカラムに詰める場合においては繊維を均一に充
填するのがむずかしく、作製に手間がかかると同時に繊
維の詰め方により操作時におけるチャンネリングの発生
の恐れが大きく、さらに白血球の充分な捕捉を行なうよ
うに繊維の充填密度を高めると、濾過時間を非常に長い
ものとしてしまい、加えて、繊維同士の絡合が充分でな
いために操作中に繊維が流出してしまう恐れのあるもの
であった。また繊維を不織布等に二次加工した場合にお
いては上記のごとき問題は起こりにくいものの捕捉され
た血球による目詰まりが発生しやすいという問題の残る
ものであった。さらに、KSegawa.et al.
Japanese Journal of Trans
ffusion Medicine. Vol.No.
4 36 (4):497−503.1990によれば
繊維を二次加工して作られたフィルター材で採血当日調
製した冷却していない(25℃)赤血球濃厚液(CR
C)を濾過すると、冷却保存した(4℃)CRCを濾過
したときと比べて白血球除去率が低いという欠点があっ
た。
【0005】このような繊維に代わる捕捉材として多孔
質体を利用することも種々提唱されている。例えば、特
公昭61−39060号には、平均孔径が25〜60μ
mの連続細孔を有する多孔質体の利用が提唱されてい
る。しかしながら、この技術においては、他の血球細胞
に比較して単球および顆粒球が高い粘着性を有すること
を利用してこれらの細胞を捕捉しようとするものであっ
て、上記のごときリンパ球を含むすべての白血球を捕捉
除去しようとする要望を満たすためには十分なものとは
言えなかった。
【0006】また、特公昭63−26089号には、平
均孔径が5〜20μmの連続細孔を有する多孔質体の利
用が述べられている。この技術においては、白血球細胞
の粘着性と細孔での瀘過によって白血球を捕捉しようと
することが述べられている。しかしながら、この技術に
おいて規定されるものは多孔質体の細孔の大きさのみで
あり、実際、このような細孔径を有し、かつ空孔率、バ
ブルポイントが本発明のものと異なる各種の多孔質体を
用いて本発明者らが白血球分離実験を行なった結果、有
効な白血球分離がなされない場合が多く、特に、かなり
の厚さ、具体的には少なくとも10mm以上の厚さを有
するものでない限り、ある程度満足すべき白血球捕捉性
がほとんど得られないということが明らかとなった。こ
のように捕捉材としての多孔質体の肉厚が10mm以上
と大きなものとなると、捕捉された血球による目詰まり
が発生しやすいという問題があるのみならず、プライミ
ングボリュームの増大、瀘過時間の長時間化などといっ
た欠点も同時に発生してくるものであった。
【0007】さらに、白血球捕捉用フィルター材とし
て、平均気孔径5〜60μmの連続開放気孔を有する三
次元網目状連続組織のポリビニルホルマール多孔質体の
使用も提唱されている(特開昭64−75014号)。
このポリビニルホルマールからなる多孔質体は、上記の
ような孔径のみが制御された多孔質体とは異なり、その
複雑な細孔構造を生かし、薄肉においても比較的効率の
よい白血球細胞除去が期待できるものであった。ところ
で、今後、このような白血球捕捉用フィルターとして、
血液バッグシステムにフィルターを組込んだインライン
タイプのものが要望されるところであり、一般に、塩化
ビニル樹脂等の可撓性樹脂から形成される血液バッグ中
に薬剤を収納してなる血液バッグシステムは高圧蒸気滅
菌法により滅菌が施されるため、このようなインライン
タイプとして白血球捕捉用フィルターを使用するには耐
高圧蒸気滅菌性という特性も必要となってくるものであ
る。しかしながら、上記ポリビニルホルマール多孔質体
からなるフィルター材の場合、高圧蒸気滅菌には耐えら
れないものであるため、このような用途への適用が困難
なものであった。
【0008】また、多孔質体からなるフィルター材で冷
却保存した(4℃)CRCを濾過すると、CRCの保存
日数が伸びるにつれて血小板の除去率が低下するという
欠点があった。
【0009】さらに、多孔質体からなるフィルター材と
繊維からなるフィルター材を単に重ね合せたフィルター
も考えられるが、その場合両者の間に空間ができ、チャ
ンネリングを起こして濾過効率が低下するという欠点が
ある。
【0010】このように白血球捕捉用フィルターとして
充分かつ安定した性能を示す捕捉材は今だ得られていな
いのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、新
規な白血球捕捉用フィルター材およびその製造方法を提
供することを目的とする。本発明はまた、白血球に対し
て高くかつ安定した捕捉能を有し、血液中より効率よく
白血球を分離し得る白血球捕捉用フィルター材およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。本発明はさら
に、操作時における異物の流出の恐れがなく、安全に白
血球除去操作を行ない得る白血球捕捉用フィルター材お
よびその製造方法を提供することを目的とする。本発明
はまた、高圧蒸気滅菌が可能である白血球捕捉フィルタ
ー材およびその製造方法を提供することを目的とするも
のである。本発明はさらに、血液や血液製剤の保存温
度、保存日数に依存しない安定な白血球・血小板除去能
力を持つ白血球捕捉用フィルター材およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、少なくと
も1種の高分子材料よりなり、平均気孔径が1〜60μ
m、比表面積が0.5〜10m2 /g、空孔率が30〜
95%、バブルポイントが0.08〜0.30kg/c
2 、肉厚が0.1〜9.0mmでありかつ表面開孔率
が6〜90%である三次元網目状連続繊維の多孔質体
ィルター材を不織布からなる繊維フィルター材の少なく
とも一方の表面に固着したことを特徴とする白血球捕捉
用フィルター材により達成される。
【0013】本発明はまた、平均気孔径が2〜50μ
m、更に好ましくは5〜20μm、比表面積が1〜5m
2 /g、更に好ましくは1.5〜3.0m2 /g、空孔
率が50〜95%、更に好ましくは60〜95%、バブ
ルポイントが0.13〜0.27kg/cm2 、肉厚が
0.1〜5.0mm、更に好ましくは0.1〜3.0m
mでありかつ表面開孔率が10〜85%、更に好ましく
は13〜80%である白血球捕捉用フィルター材を示す
ものである。
【0014】本発明はまた、高分子材料がポリウレタ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレー
ト、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリア
ミド、ポリエーテルポリアミドブロックコポリマーおよ
びエチレン−ビニルアルコールコポリマーからなる群か
ら選ばれたいずれかのものである白血球捕捉用フィルタ
ー材を示すものである。本発明はさらに、高分子材料が
ポリウレタンである白血球捕捉用フィルター材を示すも
のである。
【0015】本発明はさらに、前記不織布からなる繊維
フィルター材の平均直径が10μm以下、さらに好まし
くは8.5μm以下である白血球捕捉用フィルター材を
示すものである。
【0016】上記諸目的は、前記白血球捕捉用フィルタ
ー材の製造方法であって、少なくとも1種の高分子材料
と、該高分子材料の良溶剤と、この良溶剤と相溶性のあ
る非溶剤に溶解ないしは膨潤する1種または2種以上の
気孔形成剤とを含む原料組成物を、多孔性基材表面にコ
ーティングし、前記高分子材料に対する非溶剤および良
溶剤を含有する浴中に導き浸漬させることによって凝固
させ、その後気孔形成剤をその良溶剤中に溶出除去させ
ることを特徴とする白血球捕捉用フィルター材の製造方
法によっても達成される。
【0017】本発明はまた、高分子材料がポリウレタ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレー
ト、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリア
ミド、ポリエーテルポリアミドブロックコポリマーおよ
びエチレン−ビニルアルコールコポリマーからなる群か
ら選ばれたいずれかのものである白血球捕捉用フィルタ
ー材の製造方法を示すものである。本発明はさらに高分
子材料がポリウレタンである白血球捕捉用フィルター材
の製造方法を示すものである。本発明はまた、気孔形成
剤が水溶性化合物である白血球捕捉用フィルター材の製
造方法を示すものである。本発明はさらに、気孔形成剤
が水溶性高分子である白血球捕捉用フィルター材の製造
方法を示すものである。本発明はさらにまた、気孔形成
剤がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メ
チルセルロース、ポリエーテル、多糖類、ポリアクリル
酸またはその塩、ポリアクリルアミドからなる群から選
ばれたいずれかのものである白血球捕捉用フィルター材
の製造方法を示すものである。
【0018】本発明はさらに、該高分子材料よりなる三
次元網目状連続組織の多孔質体フィルター材を、平均直
径が10μm以下、さらに好ましくは8.5μm以下
で、血液を変性させないところの繊維よりなる該多孔性
基材の少なくとも一方の表面に形成してなる白血球捕捉
用フィルター材の製造方法を示すものである。
【0019】
【作用】しかして、本発明の白血球捕捉用フィルター材
は、少なくとも1種の高分子材料よりなり、平均気孔径
が1〜60μm、比表面積が0.5〜10m2 /g、空
孔率が30〜95%、バブルポイントが0.08〜0.
30kg/cm2 、肉厚が0.1〜9.0mmでありか
つ表面開孔率が6〜90%である三次元網目状連続多孔
質体を多孔性基材の少なくとも一方の表面に形成してな
ることを特徴とする。
【0020】このようにマトリックスが三次元網目状連
続組織を有し、上記のごとき一定の範囲の気孔径、比表
面積、空孔率、バブルポイントおよび肉厚からなる特性
を満たす高分子多孔質体の層を多孔性基材上に有するフ
ィルター材で、血液もしくは赤血球濃厚液等の白血球懸
濁液を処理すると、白血球懸濁液中に含まれる白血球
は、多孔体のマトリックス間に形成される連続開放気孔
よりなる複雑な流路を通過する間に該気孔内面に効率よ
く吸着捕集されるものである。さらにフィルター材の流
路は、多孔体の三次元網目状連続組織、すなわち多孔体
のマトリックスにより形成される連続開放気孔である。
従って、フィルター材の流路は多孔体の成形時に形成さ
れることとなるゆえ、該多孔体を用いて白血球捕捉用フ
ィルター材を製造する際の製造工程は極めて簡易なもの
で、また製品の性能のバラツキは少ないものとなる。さ
らに多孔体のマトリックスは連続組織であるために安定
したものであり、操作時における該多孔体からの異物の
流出あるいは流路のチャンネリングなどの問題も本質的
に生じないものである。さらにこのような高分子多孔質
体は、例えばポリウレタンなどのように比較的耐熱性の
高い樹脂により形成することが可能であるために、高圧
蒸気滅菌にも十分耐え得るものである。
【0021】さらに、該多孔性基材が平均直径が10μ
m以下の血液を変性させない繊維からなる織布、不織
布、編布よりなる群から選ばれたものであることより、
平均直径が10μmより大きな繊維でできた多孔性基材
を用いた場合と比べて、繊維の表面積が大きいため、白
血球、血小板の粘着に有利である上に、繊維間距離が小
さくなるので繊維と繊維の間の空間が小さくなり、かつ
繊維が白血球や血小板よりも小さな径のため引掛かり易
くなり白血球、血小板の除去率が向上する。
【0022】すなわち、本発明の白血球捕捉用フィルタ
ー材は、三次元網目状連続多孔質のフィルター材で捕捉
しきれなかった白血球、血小板を多孔性基材である繊維
フィルター材で捕捉し、また、多孔性基材である繊維フ
ィルター材では捕捉しきれない新鮮な冷却していないC
RC中の白血球は三次元網目状連続多孔質のフィルター
材で捕捉するという相補関係にある二種のフィルター材
を一体化した点を特徴とするものである。
【0023】本発明は多孔質フィルター材が繊維よりな
る多孔性基材表面に形成され両者は固着した状態である
ため、両者の間に空間ができて濾過血液等がチャンネリ
ングを起こす心配もない。
【0024】以下、本発明を実施態様に基づきより詳細
に説明する。本発明に係わる上記のごとき構造を有する
白血球捕捉用フィルター材の三次元網目状連続多孔質体
層において、連続開放気孔の平均気孔径は1〜60μ
m、さらに望ましくは2〜50μm、最も望ましくは5
〜20μmであることが好ましい。すなわち、気孔径が
1μm未満であると白血球除去操作時において、処理さ
れる血液、赤血球濃厚液等の白血球懸濁液中に含まれる
赤血球までもが捕捉されてしまい、赤血球回収率が低下
するとともに圧倒的に数の多い赤血球が捕捉されること
によって目詰まりを引起こす虞れがあり、一方、気孔径
が60μmを越えるものであると、処理される白血球懸
濁液との接触頻度が低下するために、白血球の捕捉率が
低下してしまう虞れがあるためである。なお本明細書に
おける「平均気孔径」とは、水銀圧入法によって測定さ
れたときの値を表すものである。
【0025】また本発明の白血球捕捉フィルター材の連
続多孔質体層においては、比表面積が0.5〜10m2
/g、望ましくは1〜5m2/g、最も望ましくは1.
5〜3.0m2 /gである。すなわち、比表面積が0.
5m2 /g未満では、白血球捕捉量が少なすぎて実用に
至らず、一方比表面積が10m2 /gを越えるものであ
ると、気孔径が小さくなりすぎる虞れがあるためであ
る。なお本明細書における「比表面積」とは、水銀圧入
法によって測定されたときの値を表すものである。
【0026】また本発明の白血球捕捉用フィルター材の
連続多孔質体層の空孔率は、30〜95%、望ましくは
50〜95%、より望ましくは60〜95%程度である
ことが好ましい。すなわち空孔率が30%未満であると
白血球除去処理操作における処理時間が遅すぎて実用に
至らず、一方、空孔率が95%を越えるものであるとフ
ィルター材としての強度が不足してしまうためである。
なお本明細書における「空孔率」とは、水銀圧入法によ
って測定されたときの値を表すものである。
【0027】さらに、本発明の白血球捕捉用フィルター
材の連続多孔質体層において、バブルポイントは、0.
08〜0.30kg/cm2 、より好ましくは0.13
〜0.27kg/cm2 である。すなわち、バブルポイ
ントが0.08kg/cm2 未満では、回収液中に白血
球が洩れ出し、一方0.30kg/cm2 を越えるもの
であると、目詰りを起す虞れが高いためである。ここで
「バブルポイント」とは、多孔質体のフィルター材の分
野で広く用いられている言葉であり、完全に濡らされた
フィルター材の孔を通って空気が押出されるときの圧力
である。
【0028】加えて本発明における三次元網目状連続多
孔質体層の肉厚は、0.1〜9.0、mmより望ましく
は0.3〜5.0mm、最も望ましくは0.5〜3.0
mm程度であることが好ましい。すなわち、多孔質体の
肉厚が0.1mm未満であると白血球除去処理操作時に
おいて、十分な量の白血球を捕捉しきれず、一方9.0
mmを越えるものであると、処理速度が遅すぎて実用性
に欠けるものとなるためである。さらに、本発明の白血
球捕捉フィルターの連続多孔質体層において、表面開孔
率が6〜90%、好ましくは10〜85%、最も好まし
くは13〜80%である。
【0029】本発明の白血球捕捉用フィルター材の三次
元網目状連続多孔質体層を構成する高分子としては、高
圧蒸気滅菌に耐えうる耐熱性を有するものであれば特に
限定はなく、各種のものを用いることができる。具体的
には、例えば、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、
ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニト
リルコポリマー、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド
ブロックコポリマーあるいはエチレン−ビニルアルコー
ルコポリマーなどが挙げられるが、もちろんこれらに限
定されるものではない。本発明の白血球捕捉用フィルタ
ー材においては、このような高分子材料の比較的良好な
耐熱性を享受でき、高圧蒸気滅菌条件にも十分耐えうる
ものとなるために、例えば、血液バッグシステムに組込
まれるインラインタイプの白血球捕捉用フィルター材と
して好適に使用されるものとなる。なお、このような高
分子材料として特にポリウレタンは好ましいものの1つ
として挙げることができるものである。
【0030】本発明で使用される多孔性基材としては、
(1)平均直径が10μm以下、好ましくは8.5μm
以下であり、(2)血液を変性させず、(3)物理的ア
ンカリングで多孔質体層が接着し、容易には剥離せず、
(4)多孔質体層の乾燥に伴う収縮力に耐え得る剛性を
有し、(5)多孔質体層の原料に用いられる溶剤、凝固
浴中の溶剤、水等に容易に侵されず、(6)血液がほと
んど抵抗なく通過できる、繊維からなる織布、不織布、
および編布であればいずれも使用でき、さらにオートク
レーブ滅菌可能であればなおよい。このような条件を満
たす材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリア
クリレート、ポリオレフィン等がある。これらの厚みは
特に限定されないが、通常0.05〜1mm,好ましく
は0.1〜0.5mmである。
【0031】上記のごとき特性を有する本発明の白血球
捕捉用フィルター材は、例えば次のようにして製造され
る。すなわち、少なくとも1種の高分子材料と、該高分
子材料の良溶剤と、この良溶剤と相溶性のある非溶剤に
溶解ないしは膨潤する1種または2種以上の気孔形成剤
とを含む原料組成物を、多孔性基材表面にコーティング
し、前記高分子材料に対する非溶剤および良溶剤を含有
する浴中に導き浸漬させることによって凝固させ、その
後気孔形成剤をその良溶剤中に溶出除去させることによ
り製造されるものである。
【0032】この製造方法において、用いられる高分子
材料としては、前記したようなものがあり、1種あるい
は2種以上組合せて用いられる。またこの高分子材料の
配合量は、原料組成物中に5〜70重量%、より好まし
くは10〜50重量%程度が適当である。すなわち、高
分子材料の配合量が5重量%未満であると、得られる多
孔質体の強度が十分とならない虞れが大きく、一方、7
0重量%を越えるものであると、原料組成物の粘度が極
度に上昇し取扱いが困難なものとなるためである。
【0033】高分子材料の良溶剤としては、用いられる
高分子材料を溶解するとともに、ゲル化の際に使用され
る非溶剤との相溶性を示すものが用いられる。従って、
用いられた高分子材料の種類によって適宜選択され得る
が、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジオキサン、
メチルセルソルブアセテート、テトラヒドロフラン、N
−メチルピロリドン、エチルアルコール、メチルアルコ
ール、メチルエチルケトン、フェノール、ギ酸の他、芳
香族炭化水素あるいは塩素化炭化水素、フッ素化アルコ
ール等が代表的なものとして示される。
【0034】また気孔形成剤としては、使用される高分
子材料および溶剤等により異なるが、上記高分子材料の
良溶剤と相溶性のある非溶剤に溶解するあるいは膨潤す
るものが用いられる。特に、その取扱いの容易さから水
溶性高分子などの水溶性化合物であることが望まれる。
具体的には、例えば、一般に非溶剤として使用される
水、アルコール等に溶解するジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、アセトン、酢酸エチル等を良溶剤
として選択した場合、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、メチルセルロース、ポリエーテル、多糖
類、ポリアクリル酸またはその塩、ポリアクリルアミド
などが気孔形成剤として使用可能である。これらの気孔
形成剤の添加量は、原料組成物中に1〜60重量%、よ
り好ましくは5〜50重量%程度が適当である。すなわ
ち、気孔形成剤の添加量が1重量%未満であると、得ら
れる多孔質体が前記したような三次元網目状連続組織、
すなわち多孔質体のマトリックスにより形成される連続
開放気孔を形成しない虞れが大きく、一方、60重量%
を越えるものであると、原料組成物の粘度が極度に上昇
し取扱いが困難なものとなるためである。
【0035】またさらに、この原料組成物中には必要に
応じて、原料組成物中の50重量%以下、好ましくは3
〜20重量%の配合量で、気孔径調整剤を添加すること
も可能である。この気孔径調整剤は、高分子材料の非溶
剤に溶解し、かつ良溶剤には溶解しないもので、しかも
気孔形成剤と相溶性を有するあるいは非溶解性であって
も均一混和が可能なものであり、例えばアルギン酸、カ
ルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、各種澱
粉、デキストリンあるいはナトリウム、カリウム、カル
シウム、ストロンチウム、アルミニウム等の塩化物、硫
酸塩等の無機塩が用いられる。
【0036】これらの成分を含む原料組成物の調製は、
溶剤の沸点以下、好ましくは10〜80℃程度の温度で
行なわれ、均一な分散体が形成されるまで十分に攪拌混
合される。次にこのように調製された原料組成物は、先
端部に扁平なスリットを有する適当なダイ、例えばTダ
イ等を有する押出機により押出されて、基材の表面にコ
ーティングされ、前記高分子材料に対する非溶剤および
良溶剤を含有する浴中に導かれ、この浴中に浸漬させる
ことによって凝固されると同時に気孔形成剤をその良溶
剤中に溶出除去される。
【0037】前記高分子材料に対する非溶剤としては、
使用された良溶媒と相溶性を示すものであればよいが、
前記したように通常水、アルコールあるいはその混合物
などが用いられる。また、このようなゲル化を行なう浴
中には、必要に応じて、前記非溶剤以外に、該高分子材
料の良溶剤等を添加しておくことも可能である。また、
この浴の温度は良好なゲル化を達するために、0〜80
℃、より好ましくは15〜70℃程度の温度に保たれて
いることが望ましい。さらに、このような浴への浸漬の
みでは気孔形成剤の溶出除去が十分とはならない場合に
は、必要に応じて、この浸漬処理の後に該高分子材料の
非溶剤による洗浄工程を設けることも可能である。
【0038】また原料組成物のコーティング法としても
特に限定されるものではなく、ドクターナイフ法、ロー
ラーコーティング法、ディッピング法、スピンコーティ
ング法などの公知のいずれの方法によってもよい。ま
た、押出されて成形されるために厚さの調整のためのス
ライスや孔径調整のための圧縮等の二次加工が必要な
い。
【0039】図1は、本発明の白血球捕捉用フィルター
材の一実施態様を用いた白血球捕捉用フィルターの断面
図である。本実施態様において白血球捕捉用フィルター
1は、血液流入口2と血液流出口3とを備えてなるハウ
ジング4内に上記したような構成を有する白血球捕捉用
フィルター材5がハウジング4の内部空間を横切って設
けられているものである。なお、このような白血球捕捉
用フィルター1において、白血球捕捉用フィルター材5
をハウジング4内に保持するために、例えば白血球捕捉
用フィルター材5の前後に通液性の支持材6a 、6b を
設け、該支持材6a 、6b により白血球捕捉用フィルタ
ー材5を挟持することは任意である。この白血球捕捉用
フィルター1は、例えば図2に示されるような回路中に
組入れられて実際に使用される。図2に示される回路に
おいて、処理しようとする血液を入れた血液バッグ7お
よび生理食塩水を入れた生理食塩水バッグ8が白血球捕
捉用フィルター1より上方に位置させられ、それぞれク
レンメ9a 、9b を具備してなる導液チューブ10a、
10b により白血球捕捉用フィルター1の血液流入口2
に連通されており、一方、白血球捕捉用フィルター1の
下方には生理食塩水回収用バッグ11と処理された血液
を回収するための血液回収用バッグ12が位置させら
れ、それぞれクレンメ9c 、9d を具備してなる導液チ
ューブ10c 、10d により白血球捕捉用フィルター1
の血液流出口3に連通されている。白血球分離操作はま
ずクレンメ9b 、9c を開き、クレンメ9a 、9d を閉
じた状態で生理食塩水バッグ8より生理食塩水を白血球
捕捉用フィルター1に流し、白血球捕捉用フィルター1
内をプライミングする。なおプライミングに用いられた
生理食塩水は生理食塩水回収バッグ11に回収される。
プライミングを行なった後に今度はクレンメ9a 、9d
を開き、クレンメ9b 、9c を閉じて血液バッグ7より
血液を白血球捕捉用フィルター1に流す。白血球捕捉用
フィルター1内において血液は上記のごとき構成を有す
る白血球捕捉用フィルター材5を通過する際に該白血球
捕捉用フィルター材5により白血球成分を吸着捕捉さ
れ、白血球を分離されたものとなる。このように白血球
成分を除去された血液は連通する血液回収バッグ12に
回収される。血液バッグ7より血液を流し終わったな
ら、白血球捕捉用フィルター1内に残った血液を回収す
るために、さらにクレンメ9b を開き白血球捕捉用フィ
ルター1内に再び生理食塩水を流して白血球捕捉用フィ
ルター1内に残存する血液を押し出して血液回収用バッ
グ12に回収し、ほぼ血液を回収し終えた時点でクレン
メ9d を閉じクレンメ9c を開いて血液回収に用いた生
理食塩水を生理食塩水回収用バッグ11内に回収して、
白血球分離操作を終える。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。実施例1〜5および比較例1〜2ポリウレタ
ン(商品名ミラクトランE395RNAT、日本ミラク
トラン株式会社製)を、N−メチルピロリドン(三菱化
成株式会社製、NMP)に15w/v%の濃度となるよ
うに50℃で溶解し、さらに表1に示す所定の割合にて
孔形成剤としてのメチルセルロースを添加し、さらに気
孔径調整剤としての塩化カルシウム2水和物をメチルセ
ルロースの1/10量添加した。そして、2軸プラネタ
リーミキサー(株式会社井上制作所製)により50℃で
1時間混練し、真空脱泡することによって、原液を調製
した。
【0041】次に、上記のようにして調製された原液
を、50℃の温度でコーターによりポリエステル製不織
布(平均繊維径18μm、目付密度8.5×10-3g/
cm2 、厚さ0.15mm)上にコートし、不織布ごと
50℃の50%NMP水溶液中に1時間浸漬し、原液を
凝固させた。その後、この凝固物を流水中で洗浄するこ
とにより孔形成剤を溶出除去し、多孔質体を得た。得ら
れた多孔質体を、60℃のオーブン中で乾燥させ、さら
に121℃で20分間の高圧蒸気滅菌を施し、以下の評
価実験に供した。結果を表1および表2に示す。
【0042】実施例6〜9および比較例3 添加したメチルセルロースの量をポリウレタンに対して
125phrとし、凝固浴のNMP濃度を、表1に示す
所定の割合に設定した以外は、実施例1〜5と同様な方
法で多孔質体を得、同様に評価実験を行なった。結果
を、表1および表2に示す。
【0043】比較例4 実施例1〜9および比較例1〜3で用いたものと同じポ
リエステル製の不織布(JH−1004N日本バイリー
ン株式会社製)を用いて、血球濾過による上記と同様の
評価実験を行なった。結果を表2に示す。
【0044】実施例10および比較例5〜6 気孔径調整剤としての塩化カルシウム2水和物をポリウ
レタンに対して10phr添加した以外は、表1に示す
所定の割合に設定して、実施例1〜5と同様な方法で原
液を調製した。
【0045】次に上記のようにして調製された原液を、
50℃の温度でコーターにより表3に示す不織布上にコ
ートする以外は、実施例1〜5と同様な方法で多孔質体
を得、同様に評価実験を行なった。結果を、表1および
表2に示す。
【0046】比較例7〜8 比較例7では比較例5,6の不織布を、比較例8では実
施例10の不織布をそれぞれ単体で用いて血球濾過によ
る上記と同様の評価実験を行なった。結果を表2に示
す。
【0047】比較例9 比較例6の多孔質体部分を比較例8の不織布に接着形成
することなく、単に重ね合わせて血球濾過による上記と
同様の評価実験を行なった。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1の評価実験結果は、全て多孔質体部分
のものであり、多孔性基材として用いられている不織布
部分は含まれない。
【0050】
【表2】
【0051】表2のCRCは赤血球濃厚液であり、CR
Cの欄の「新」と「旧」はCRCの保存温度と保存日数
の違いによるものである。新:採血直後にCRCを調製
し、25℃で8時間以内に血球濾過による前記の評価実
験に供したものである。旧:採血後にCRCを調製し、
4℃で10日間保存したものを血球濾過による前記の評
価実験に供したものである。また、表2の評価実験結果
は、比較例5のみ多孔質体部分だけのものであり、他の
実施例ないし比較例は多孔質体部分を多孔性基材である
不織布部分の表面に接着形成してなる白血球捕捉用フィ
ルター材のものである。
【0052】
【表3】
【0053】評価実験 (1)平均気孔径 水銀圧入計(カルロエルバ社マクロポアユニット120
&ポロシメーター2000)を用いて測定した。
【0054】(2)比表面積 水銀圧入計(カルロエルバ社マクロポアユニット120
&ポロシメーター2000)を用いて測定した。
【0055】(3)空孔率 水銀圧入計(カルロエルバ社マクロポアユニット120
&ポロシメーター2000)を用いて測定した。
【0056】(4)バブルポイント 測定直前に多孔質体の片側に水を張り完全に湿らせ、他
方の側の空気圧を次第に上げていき、フィルターを通過
する空気の着実で連続した微細な気泡の流れが見られる
ときの圧力をバブルポイントとした。
【0057】(5)肉厚 マイクロメータを用いて測定した。
【0058】(6)表面開孔率 得られたフィルター材の表面を、走査型電子顕微鏡(J
SM−840、日本電子株式会社製)にて500倍に拡
大して観察し、その画像をオンラインにて画像解析装置
(TOSPIX−U、東芝株式会社製)に送り、画像全
体の面積に対する孔部分の面積の割合を100分率で求
めた。
【0059】(7)白血球除去率 直径4.7cmに打抜いた多孔質体を、図3に示すよう
に血液流入口2と血液流出口3とを備えてなるハウジン
グ4内に固定し、このようにして作製したフィルター1
の血液流入口2にポリ塩化ビニル製チューブ13aを用
いて血液収納容器14の血液導出口15を接続し、一
方、該フィルター1の血液流出口3には、前記チューブ
13aとほぼ等しい長さを有するポリ塩化ビニル製チュ
ーブ13bを接続し、このチューブ13bの開口末端1
6下に血液回収容器17を配置した。なお、血液収納容
器14に入れた血液の液面18とチューブの開口末端1
6までの距離は70cmとされた。そしてこの70cm
の落差で50ミリリットルの血液を流し、処理前後の血
液中の白血球数を自動血球測定装置(東亜医用電子株式
会社製、シスメックスNE−6000)を用いて算定の
後、下記の数式1により算出した。
【0060】
【数1】 白血球除去率(%)=[1−(濾過後白血球数)/(濾過前白血球数)] ×100(%) (8)血小板除去率 直径4.7cmに打抜いた多孔質体を、図3に示すよう
に血液流入口2と血液流出口3とを備えてなるハウジン
グ4内に固定し、このようにして作製したフィルター1
の血液流入口2にポリ塩化ビニル製チューブ13aを用
いて血液収納容器14の血液導出口15を接続し、一
方、該フィルター1の血液流出口3には、前記チューブ
13aとほぼ等しい長さを有するポリ塩化ビニル製チュ
ーブ13bを接続し、このチューブ13bの開口末端1
6下に血液回収容器17を配置した。なお、血液収納容
器14に入れた血液の液面18とチューブの開口末端1
6までの距離は70cmとされた。そしてこの70cm
の落差で50ミリリットルの血液を流し、処理前後の血
液中の血小板数を自動血球測定装置(東亜医用電子株式
会社製、シスメックスNE−6000)を用いて算定の
後、下記の数式2により算出した。
【0061】
【数2】 血小板除去率(%)=[1−(濾過後血小板数)/(濾過前血小板数)] ×100(%)
【0062】
【発明の効果】以上述べたように本発明の白血球捕捉用
フィルター材は、表面開孔率が高いので、気孔径を小さ
くしても濾過抵抗が少なく、このため白血球除去率はそ
のままで濾過時間を短かくすることができ、また表面開
孔率が高いので、ポリビニルアルコールスポンジやポリ
ウレタン合成皮革のようにスライスしたり表面研磨をす
る二次加工をする必要がなく、したがって研磨粉やその
他の異物が混入する心配がない。さらに、肉厚が薄いの
で、プライミングボリュームを少なくすることや、濾材
を複数枚重ねることもでき、モジュールの設計の自由度
が高いという利点がある。
【0063】さらに、本発明の白血球捕捉用フィルター
は、三次元網目状連続多孔質体の層により濾過された
血液が引き続き空間を通ることなく繊維よりなる多孔性
基材より濾過されて、血液の保存温度、保存日数に影響
されることなく白血球、血小板が効率よく安定して除去
され、しかもチャンネリングを起こすこともないので濾
過時間も短くすることができる。
【0064】また、本発明の白血球捕捉用フィルター材
の製造方法、スライスや圧縮等の二次加工をしなくて
も上記したような優れた特性を有する白血球捕捉用フィ
ルター材を容易に作製することができるものである。
【0065】また、凝固浴に良溶剤が含まれているの
で、得られるフィルター材の表面開孔率が高くなり、ま
た、多孔性基材上にコートされているので、肉厚を薄く
しても強度的な問題がなく、さらに乾燥時の収縮もない
ので表面開孔率の低下がない。また、用いる多孔性基材
をプレフィルターとして利用できるものとすることで、
プレフィルターを組込む工程を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の白血球捕捉用フィルター材の一実施態
様を用いた白血球捕捉用フィルターの構造を示す断面図
である。
【図2】本発明の白血球分離用フィルター材の一実施態
様を用いた白血球捕捉用フィルターを組込んだ血液処理
回路を示す回路図である。
【図3】白血球除去率測定のために用いられた装置構成
を示す図面である。
【符号の説明】
1…白血球捕捉用フィルター 2…血液流入
口 3…血液流出口 4…ハウジン
グ 5…白血球捕捉用フィルター材 6a ,6b …
支持材 7…血液バッグ 8…生理食塩
水バッグ 9a ,9b ,9c ,9d …クレンメ 10a ,10b ,10c ,10d …導液チューブ 11…生理食塩水回収用バッグ 12…血液回
収用バッグ 13a ,13b …チューブ 14…血液収
納容器 15…血液導出口 16…開口末
端 17…血液回収容器 18…血液の
液面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−46857(JP,A) 特開 平1−224324(JP,A) 特開 昭64−75015(JP,A) 特開 昭63−255070(JP,A) 特開 昭60−97001(JP,A) 特開 昭61−114701(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/00 - 1/34 A61K 35/00 - 35/14 G01N 33/00 - 33/48

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種の高分子材料よりなり、
    平均気孔径が1〜60μm、比表面積が0.5〜10m
    2 /g、空孔率が30〜95%、バブルポイントが0.
    08〜0.30kg/cm2 、肉厚が0.1〜9.0m
    mでありかつ表面開孔率が6〜90%である三次元網
    目状連続組織の多孔質体フィルター材を不織布からなる
    繊維フィルター材の少なくとも一方の表面に固着したこ
    とを特徴とする白血球捕捉用フィルター材。
  2. 【請求項2】 高分子材料がポリウレタン、ポリフッ化
    ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
    リエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−
    アクリロニトリルコポリマー、ポリアミド、ポリエーテ
    ルポリアミドブロックコポリマーおよびエチレン−ビニ
    ルアルコールコポリマーからなる群から選ばれたいずれ
    かのものである請求項1に記載の白血球捕捉用フィルタ
    ー材。
  3. 【請求項3】 前記不織布からなる繊維フィルター材の
    平均直径が10μm以下である請求項1または2のいず
    れかに記載の白血球捕捉用フィルター材。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の白血球捕捉用フィルタ
    ー材の製造方法であって、少なくとも1種の高分子材料
    と、該高分子材料の良溶剤と、この良溶剤と相溶性のあ
    る非溶剤に溶解ないしは膨潤する1種または2種以上の
    気孔形成剤とを含む原料組成物を、多孔性基材の少なく
    とも一方の表面にコーティングまたは含浸し、前記高分
    子材料に対する非溶剤および良溶剤を含有する浴中に導
    き浸漬させることによって凝固させ、その後気孔形成剤
    をその良溶剤中に溶出除去させることを特徴とする白血
    球捕捉用フィルター材の製造方法。
  5. 【請求項5】 高分子材料がポリウレタン、ポリフッ化
    ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
    リエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−
    アクリロニトリルコポリマー、ポリアミド、ポリエーテ
    ルポリアミドブロックコポリマーおよびエチレン−ビニ
    ルアルコールコポリマーからなる群から選ばれたいずれ
    かのものである請求項4に記載の白血球捕捉用フィルタ
    ー材の製造方法。
  6. 【請求項6】 気孔形成剤が水溶性化合物である請求項
    4または5に記載の白血球捕捉用フィルター材の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 気孔形成剤がポリビニルアルコール、ポ
    リビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリエーテ
    ル、多糖類、ポリアクリル酸またはその塩、ポリアクリ
    ルアミドからなる群から選ばれたいずれかのものである
    請求項4ないし6のいずれかに記載の白血球捕捉用フィ
    ルター材の製造方法。
JP03288191A 1990-06-25 1991-02-27 白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3172542B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03288191A JP3172542B2 (ja) 1990-06-25 1991-02-27 白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-166350 1990-06-25
JP16635090 1990-06-25
JP03288191A JP3172542B2 (ja) 1990-06-25 1991-02-27 白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04212373A JPH04212373A (ja) 1992-08-03
JP3172542B2 true JP3172542B2 (ja) 2001-06-04

Family

ID=26371471

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03288191A Expired - Fee Related JP3172542B2 (ja) 1990-06-25 1991-02-27 白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3172542B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101386424B1 (ko) 2008-08-21 2014-04-17 코오롱인더스트리 주식회사 백혈구 제거용 필터 및 그의 제조방법
KR101386391B1 (ko) 2008-08-21 2014-04-18 코오롱인더스트리 주식회사 백혈구 제거용 필터 및 그의 제조방법
KR101452251B1 (ko) * 2008-08-21 2014-10-23 코오롱인더스트리 주식회사 백혈구 제거용 필터 및 그의 제조방법
WO2018101156A1 (ja) 2016-11-29 2018-06-07 富士フイルム株式会社 血液成分選択吸着濾材および血液フィルター

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002102626A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Terumo Corp 白血球除去用フィルターおよび白血球除去器
JP4863714B2 (ja) * 2003-08-07 2012-01-25 旭化成クラレメディカル株式会社 複合多孔膜とその製造方法
JP2007304016A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Sekisui Chem Co Ltd 血液分離装置
JP4965212B2 (ja) * 2006-09-29 2012-07-04 旭化成メディカル株式会社 血液処理フィルター
JP5997930B2 (ja) * 2011-06-07 2016-09-28 メタウォーター株式会社 水質測定装置及びろ過ユニット
CN108601869B (zh) 2016-02-15 2021-09-28 旭化成医疗株式会社 血液处理过滤器
US11419970B2 (en) * 2016-12-22 2022-08-23 Daicel Corporation Blood filter
US11344653B2 (en) 2016-12-22 2022-05-31 Daicel Corporation Bone fixing material
WO2020013193A1 (ja) * 2018-07-13 2020-01-16 株式会社カネカ 白血球除去用フィルター材、白血球除去フィルターおよびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101386424B1 (ko) 2008-08-21 2014-04-17 코오롱인더스트리 주식회사 백혈구 제거용 필터 및 그의 제조방법
KR101386391B1 (ko) 2008-08-21 2014-04-18 코오롱인더스트리 주식회사 백혈구 제거용 필터 및 그의 제조방법
KR101452251B1 (ko) * 2008-08-21 2014-10-23 코오롱인더스트리 주식회사 백혈구 제거용 필터 및 그의 제조방법
WO2018101156A1 (ja) 2016-11-29 2018-06-07 富士フイルム株式会社 血液成分選択吸着濾材および血液フィルター

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04212373A (ja) 1992-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0408462B1 (en) Filter material for seizure of leukocytes and method for production thereof
JP3941838B2 (ja) 白血球除去フィルター材
EP1000651B1 (en) Leukapheretic filter medium
EP0869835B1 (en) Leukocyte filtration method and apparatus
JP3172542B2 (ja) 白血球捕捉用フィルター材及びその製造方法
EP0488095B1 (en) High efficiency removal of low density lipoprotein-cholesterol from whole blood
KR960009418B1 (ko) 혈소판 분리필터
US5418061A (en) Microporous polysulfone supports suitable for removal of low density lipoprotein-cholesterol
JPH0647262A (ja) 全血からの低密度リポタンパク質の高効率除去
JPH0642905B2 (ja) 血液透析膜
CN107213806B (zh) 一种用于滤除白细胞的滤膜及其制备方法
KR910006820B1 (ko) 백혈구 분리용 필터
JPH0825886B2 (ja) 白血球捕捉用フィルター材およびその製造方法
JP2832835B2 (ja) ウイルス除去方法
EP0570232A2 (en) Microporous polysulfone supports suitable for removal of low density lipoprotein-cholesterol
JP4070035B2 (ja) 白血球除去材料
JPH03173824A (ja) 白血球分離器
JP4833443B2 (ja) 造血幹細胞の採取方法
JP4135892B2 (ja) 白血球除去フィルターユニット内の残留血液回収方法及び残留血液回収装置
JP4215177B2 (ja) 白血球除去材
JP4148310B2 (ja) 白血球選択除去フィルター
JPS58180425A (ja) 血液フイルタ−
JP2002238996A (ja) 白血球除去フィルター装置及び白血球除去方法
JP3301443B2 (ja) 白血球および血小板除去フィルター
JP4284436B2 (ja) 白血球除去フィルター材の製造方法及びフィルター材

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080323

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090323

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100323

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees