JP2804055B2 - ウィルスの抗原あるいは抗体を含有する非感染性物質の調製方法 - Google Patents

ウィルスの抗原あるいは抗体を含有する非感染性物質の調製方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、血液から血漿を分離した後、あるいはウィ
ルスを含有する細胞培養液より上澄溶液を採集した後、
ウィルスを高分子膜を用いて分離除去し、ウィルス性疾
患の治療に有用なウィルスの抗原あるいは抗体を含有す
る非感染性物質の調製方法に関する。
(従来の技術) B型肝炎、エイズ、成人T細胞白血病などの疾患は、
ウィルスが主として体液(たとえば血液)を媒介として
感染するウィルス性疾患である。これらのウィルス性疾
患に対する予防方法としてワクチン投与が得られてい
る。しかし、ワクチン投与によつて効果があるのは、
人感染性ウィルスが特定されしかも、そのウィルスが変
化しないこと、投与される人間に抗体産生能力がある
ことが必要であるエイズの原因ウィルスHIVに対しては
の条件が満足しがたく、成人T細胞白血病の原因ウィ
ルスHTLV−Iについては、細胞のない状態でのHTLV−I
の分離に現在成功していないためワクチン製造が出来な
い状態にある。また弱い人感染性を持つかあるいは無毒
性とされる生ワクチンではウィルスを体内へ注入するた
め、ウィルスの遺伝子が変化して突然、人感染性を持つ
恐れもある。また従来のワクチン製造では、流行性の感
染(たとえばインフルエンザ)に対しては対応出来ない
場合も多い。またB型肝炎の原因ウィルス(HBV)のワ
クチンの製法の主流は人由来の血漿であり、この製法で
は未知ウィルス、例えば非A非B型肝炎ウィルス混入の
恐れがある。
一方、ウィルスのキャリヤーは発症する恐れを持ちな
がら、ほとんど有効な手段がない。特にレトロウィルス
に属するHIVやHTLV−Iのキャリヤーへの対策は社会的
にも重要である。
既にウィルス性疾患として発症している場合には、若
干の副作用の発現もやむをえず、薬剤の投与によりウィ
ルスを不活化したり、あるいはウィルスの増殖を防止す
る方法、あるいは免疫を弱めたり増強する方法がとられ
ている。しかしながら、これらの抗ウィルス剤にしても
免疫制御剤にしてもその作用が強力であればあるほど、
副作用がそれに伴なって大きくなっている。
(発明が解決しようとする課題) ウィルス性疾患の予防を目的とした場合には、流行
あるいはウィルスの変化に迅速に対応する、未知ウィ
ルスの感染の可能性を低める、ことが必要である。未発
症ではあるがウィルスのキャリヤーに対して発症の防止
あるいは免疫力増強を目的とした場合には、上記のを
考慮する必要がある。ウィルス性疾患の治療を目的とす
る場合には、副作用を極力おさえる必要がある。
上記〜の必要性を満足するために、中和抗体の作
用を利用して、短期間内で該抗体の体内濃度を高めるこ
とによりウィルスに感染した際の免疫力を健康人に与
え、また体内のウィルスの増殖を防止し、人間が元来保
有している免疫能を高め体内への注入による抗体によっ
て健康体を取り戻すうえで有用なウィルスの抗原あるい
は抗体を含有する非感染性物質の調整方法を提供するこ
とが本発明の目的である。
(課題を解決する手段) 本発明は表面抗原を異にするウィルスに対する抗体を
含有する非感染性液状物質の調製方法であって、ウィル
スの抗体が陽性な血漿あるいは細胞培養上澄液を、特定
された孔構造と特定された高分子素材によって構成され
る多孔性中空繊維で濾過する方法である。
すなわち本発明の特徴は、まずウィルスの抗原あるい
は抗体が陽性の血液あるいは懸濁液から遠心分離や膜分
離などで血球成分あるいは細胞成分を分離、除去した血
漿あるいは細胞培養上澄液を利用する点にある。これら
の液体中には抗原あるいは抗体のみでなく、ウィルスも
混在している。遠心分離や膜分離のようにタンパク質の
変性が生じないようにして血球成分や細胞成分を除去す
る点が重要である。沈澱剤や凝集剤を添加してこれらの
成分を除去する方法では、これらの添加剤が混入する恐
れがあり、またタンパク質の生理活性が低下する可能性
があり好ましくない。また人血漿の場合は複数人由来の
血漿が特に望ましい。これは血漿中の抗体あるいは抗原
の種類は、同一ウィルスのキヤリヤーといえども同一で
はない可能性があり、特にHIVの場合には表面抗原を異
にする場合が一般的であることに原因する。
本発明の第二の特徴は、ウィルスを分離除去する膜が
親水性高分子で構成されている点にある。親水性高分子
で構成された多孔性中空繊維とは、内壁面および外壁面
を電子顕微鏡で観察した際、明瞭に孔が認められ、その
孔の存在比率(面積比率)が5%以上を占めている中空
繊維であり、かつその素材の90%以上が親水性高分子で
構成されているものを意味する。
親水性高分子は血液中のタンパク質の吸着が少なく、
同一の膜面積当たり、従来公知の、たとえばポリオレフ
イン類、セルロースエステル類と比較して、タンパク質
の吸着量は1/3以下である。しかも吸着後のタンパク質
の脱着が著しく早く、たとえばタンパク質を吸着させた
本発明の中空繊維を生理食塩水へ浸漬させると直ちにタ
ンパク質が脱離する。そのためタンパク質による膜の目
づまりが起こりにくい。さらに重要なことは親水性高分
子を用いることにより濾液中の抗原あるいは抗体の濃度
の濾過に伴う低下が防止でき、かつそれらの生理活性を
保持出来る。しかし逆にウィルスを膜の吸着作用によっ
て除去する効果は殆ど期待できない。
親水性高分子としては例えば再生セルロース、ポリビ
ニルアルコール等が挙げられる。中でも、銅アンモニア
法再生セルロースが最も望ましい。ここで銅アンモニア
法再生セルロースとはセルロース銅アンモニア溶液より
得られたセルロースを意味する。銅アンモニア法再生セ
ルロースでは水溶液中のタンパク質の吸着が他の高分子
素材に比べて著しく小さい。そのため吸着に原因した中
空繊維表面でのケーク層の形成が銅アンモニア法再生セ
ルロースではほぼ完全に防止でき、中空繊維の濾過速度
の経時的な減少を抑えることができる。
再生セルロースでありながら、銅アンモニア法再生セ
ルロース多孔性中空繊維は力学的性質が優れている。ま
た親水性も高く、水溶液系の濾過に好適である。
また銅アンモニア法再生セルロースは、再生するため
に不可欠な酸処理により銅の除去に伴う微細な孔の発生
が認められるため、タンパク質の透過性においても特異
な挙動を示す。
親水性高分子として再生セルロースを用いる場合は、
0.1NNaOH水溶液中での溶解成分が少なければ、少ないほ
ど望ましい。40℃、48時間、0.1NのNaOH水溶液中に浸漬
した際、溶解分が100ppm以下であれば、この再生セルロ
ース多孔性中空繊維は血漿中のウィルスを除去するのに
最も適している。
上述のようなセルロースからなる多孔性中空繊維を作
製するには、高純度セルロースからなる原液を用いて銅
アンモニア法再生セルロースを作製するか、あるいは多
孔性中空繊維を作製後に、0.1NのNaOH水溶液で72時間以
上洗浄処理すればよい。高純度セルロース原料を用いれ
ば、上記溶解分が著しく減少するので、より好ましい。
ここで、「高純度セルロース」とは。α−セルロース含
有量が95wt%以上で、重合度が500以上の木綿リンター
および木材パルプを指す。これらの原料について、ブリ
ーチン、洗浄工程中での分解および酸化を防止しつつ、
不純物の混入を避けるため、常に精製された水を用いる
と良い。
本発明の第三の特徴は、特定された孔構造である。す
なわち特定の平均孔径範囲と面内空孔率と多層構造を持
つ多孔性中空繊維を用いる点にある。
すなわち中空繊維の膜厚(d,μm単位で表示)が10μ
m以上であり、水濾過速度法による平均孔径(μm単位
で表示)が除去すべきウィルス径の1.5倍以下、0.2μm
以下、0.004×dμm以下のいずれをも満足し、かつ0.0
1μm以上で、面内空孔率が0.5以下であり、膜厚方向に
10層以上の層を持つ層状構造を持つ。これらの特徴を持
つため、抗原あるいは抗体の膜透過率が30%以上、ウィ
ルスの透過率を0.01%以下にすることが出来る。
ここで膜厚方向に層状構造を持つ中空繊維とは、外
壁面または内壁面に平行な面内では、均一な構造を持
ち、ある孔径分布と平均孔径、面内空孔率がそれぞれ
の面で定義され、膜表面からの距離を異にする面の相
互については、孔径分布、平均孔径、Preのいずれかが
膜表面からの距離に依存して変化し、膜面に平行な2
方向のいずれにおいても均質な構造を持つことを意味す
る。均質な構造とは、孔が無秩序に配列している構造で
あり、任意の2ヶ所で平均孔径を電子顕微鏡で測定した
場合、後述の(1)式で算出される3次の平均孔半径r3
の値の差が相対値として、20%以内で一致することを意
味する。また、膜表面に垂直な断面の構造は、直径0.1
〜2μmの粒子(粒子直径を2S2とする)の堆積物で近
似される。本発明で言う層の数とは、膜厚をdとする
と、d/4S2で定義される。内壁面の平均孔径および面内
空孔率のいずれもが膜内部の任意の面でのそれらよりも
大きい方が、抗原あるいは抗体の透過率が高く望まし
い。もし内壁面および膜内部のいずれの面でも平均孔径
および面内空孔率が近い場合には、プレフィルターとし
て平均孔径が0.08μm以上で、かつDfより大きい親水性
多孔膜を併用するとさらに好ましい。
平均孔径が大きくなるに従って、濾過速度が大きくな
る。したがって平均孔径が大きければ大きいほどよい。
しかし平均孔径が大きくなると濾液中にウィルスが透過
してくるおそれがある。従って、水濾過速度法による平
均孔径が0.2μm以下、かつ0.004×d(μm)以下の要
件を充足しないとウィルスの透過率を0.01%以下にする
ことが困難になる。エイズウィルスを除去するには平均
孔径が0.10μm以下、B型肝炎ウィルスの場合は0.06μ
m以下が好ましい。更に水濾過速度法による平均孔径が
ウィルス径の1.5倍以下であることがウィルスの透過率
0.01%以下となるための必要条件である。即ち、感染性
ウィルスの径はほぼ決まっているから、濾過の対象とな
る血漿あるいは細胞培養上澄液に含まれるウィルスの種
類に応じて、平均孔径がウィルス径の1.5倍以下を充足
する多孔性中空繊維を使用する必要がある。
ウィルス径の1例を挙げれば、エイズウィルス(HI
V)0.1μm、B型肝炎ウィルス(HBV)0.042μm、成人
T細胞白血ウィルス(ATLV−I)0.1μmである。この
阻止効率は、膜厚方向の層の数が10層以上になると急速
に上昇する。層の数が10層以上であれば、たとえば平均
孔径Dfが除去すべきウィルス径の直径の1.0倍以上でも
濾液中のウィルス透過率は0.01%以下となる。層の数が
多くなればなるほど水濾過速度法による平均孔径が大き
くても上記のウィルスの除去能を持つ。一方、抗原ある
いは抗体は中空繊維の素材か親水性高分子であれば、層
の数が増大しても、平均孔径が0.01μm以上であれば透
過率はほとんど低下しない。
一般に、面内空孔率が大きくなるとウィルス除去能が
減少する。工業的に安定にウィルス除去能を保証するに
は面内空孔率は0.5以下でなくて面内空孔率と膜厚dと
の適当な組合せを選択することが好ましい。膜厚は、従
来の非対称膜では薄ければ薄いほど良いと信じられてい
たが、ウィルス透過率を前述のように0.01%以下にする
ためには、膜厚は10μm以上必要である。また力学的性
質との関係から、膜厚は大きければ大きいほど良い。し
かし膜厚が大きくなるとタンパク質の吸着量が増大し、
あるいは濾過速度が減少する。タンパク質をほぼ完全に
透過させ、さらに抗体をも透過させる層状構造体として
の作用が十分発揮できること、および層状構造体の作製
の容易さから、膜厚dは100μm以下であることが好ま
しい。
この様に特定された構造を持つ膜を用いることによ
り、ウィルスを含む血漿を濾過する際、該血漿中のウィ
ルスを0.01%以下に低下させ、共存する該ウィルスの抗
体および血漿タンパクを透過させることができる。
本発明の特徴は、高いウィルス阻止率および血漿タン
パク、抗体の高い透過率を持つ親水性高分子より構成さ
れた多孔性中空繊維を用いることにある。
ウィルスを含む血漿から得た、該ウィルスの抗体を含
むウィルスフリー血漿を、ウィルス性疾患の患者の体内
に戻すことにより、患者の血漿からウィルスを除去でき
る。この際複数人の患者由来の血漿を利用するため、血
漿中の抗体の種類は多種で広範囲にわたる。そのためエ
イズウィルスのように表面抗原を異にする一群のウィル
スにおいてでさえ、抗体の持つ中和機能を濾液血漿は有
する。更に、完全には除去できず、僅かに残存したウィ
ルスは、該ウィルスフリー血漿中の抗体により中和さ
れ、ウィルス性疾患の発症が抑えられる。ここで、抗体
の感染防御機能を充分に発揮するため、出来るだけ多人
数の抗体保有者あるいは患者の血漿を用いることが必要
である。すなわち、複数の抗体保有者から抗体を含むウ
ィルスフリー血漿が製造され、該ウィルスフリー血漿が
患者の体内に戻される。複数の抗体保有者の血漿を用い
ることにより、表面抗原を異にする多種のウィルスをよ
り完全に中和することができる。
本発明の具体的な実施態様の一例を示すが、本発明の
具体的態様はウィルス種によって当然決定すべきであ
る。ウィルスを含む血液を遠心分離や膜分離などで得ら
れたウィルスを含む血漿から、複数人由来のウィルスフ
リー血漿を製造し、その血漿をウィルス性疾患の患者へ
戻すところの一種の血漿交換法に適用した例を示す。ウ
ィルスを含む血漿を、水濾過速度法による平均孔径が0.
10μm以下、かつウィルス径の0.5倍以上1.0倍以下で、
極小平均孔径が0.04〜0.20μm、極小面内空孔率(Pr
e)が0.1〜0.5であり、膜厚方向に10層以上の層を持つ
層状構造を有し、膜厚が10μm以上であり、しかもウィ
ルスは99.99%以上阻止し、かつ該ウィルスの抗体は透
過させる再生セルロース多孔性中空繊維で濾過し、濾過
後の血漿をウィルス性疾患の患者の体内に戻すことによ
り治療をする。
実施例に先だち、技術用語の定義とその測定方法を示
す。
(平均孔半径r3、面内孔空率) 中空繊維をアクリル樹脂で包埋後、ウルトラミクロト
ーム(LKB社(スウェーデン)製Ultratome III8800型)
を用いて、中空繊維の繊維軸に平行に内壁表面〜外壁表
面の種々の位置で厚さ約1μmの超薄切片を切り出す。
その試料切片の電子顕微鏡写真を撮影する。試料切片の
各々は内壁面からの距離を異にする。注目する切片の1c
m2当たり、孔半径がr〜r+drに存在する孔の数N
(r)drと表示する。平均孔半径r3および面内空孔率
(Pre)はそれぞれ(1)式、(2)式で与えられる。
(水濾過速度法による平均孔径) 再生セルロースからなる多孔性中空繊維の水の濾過速
度Q(ml/分)を測定し、(3)式を用いて平均孔径を
算出した。
D;膜厚(μm)、ΔP;膜間圧力(mmHg) A;膜の有効濾過面積(m2) Prρ;膜の空孔率 μ;水の粘性(cP) Prρは水膨潤時の見かけ密度ρaw、セルロース固体の
密度1.561g/cm3を用いて(4)式で算出した。
Prρ=(1−ρaw/1.561) (4) (発明の効果) 本発明に用いた親水性の多層構造を持つ中空繊維は、
ウィルス阻止率が高く、しかもタンパク質の吸着が少な
く、血漿タンパク質および抗体の透過性が高い。かかる
中空繊維を用い、ウィルスを含む血漿あるいは懸濁液を
濾過することにより、抗原あるいは抗体を含むウィルス
フリー血漿あるいは懸濁液が得られる。この血漿あるい
は懸濁液をウィルス性疾患の患者に戻すかあるいは健常
人に注入することにより、該疾患を治療または予防する
ことが期待できる。
(実施例) (実施例1) セルロースリンター(α−セルロース含有量96%以
上、平均分子量2.6×105)を公知の方法で調整した銅ア
ンモニア溶液中に8wt%の濃度で溶解し、濾過脱泡を行
い紡糸原液とした。この原液を20.0℃±0.1℃に制御し
つつ環状紡口の外側紡口(外径2mm)より1.9ml/分で吐
出した。一方、中空剤としてアセトン44wt%、アンモニ
ア0.6wt%、水55.4wt%の混合溶液を20.0±0.1℃の温度
で中央紡口(外径0.6mm)より2.2ml/分で吐出した。吐
出した液は、アセトン44wt%、アンモニア0.58wt%、水
55.42wt%の混合溶液(25.0±0.1℃に制御されている)
に直接吐出し、5.5m/分の速度で巻取った。この中空繊
維を定長で、20℃のアセトン/水(50/50重量比)に1
時間浸着した。その後、2wt%の硫酸水溶液でセルロー
スへ再生し、その後水洗した。水洗した中空繊維をアセ
トン中に浸着し、水とアセトンとの溶媒置換後、約10%
の延伸下で風乾した。得られた中空繊維は、極小平均孔
径0.084μm、極小面内空孔率0.22、平均孔径0.023μ
m、膜厚30μm、層数50であった。
その中空繊維500本を束ねてモジュールを成型した。
その後中空繊維内部をPBSで洗浄した。B型肝炎ウィ
ルスを含む血漿を中空繊維の内部に注入し、圧力200mmH
gの一定圧力で濾過し、濾液を回収した。
濾過前の原液および濾液中のウィルス濃度をDNAスポ
ットハイブリダイゼーション法で評価した。また濾液中
のHBs抗体をRIA法で評価した。その結果を表1に示す。
表1より、濾液中には肝炎ウィルスが殆ど検出され
ず、HBs抗体は陽性であり、HBs抗体は膜を透過した。
Molt−4細胞培養液中にHIVを懸濁した溶液および新
鮮人血漿を解凍した溶液中にHIVを分散した溶液を上記
のモジュールで圧力200mmHgの一定圧力のもと、濾液を
回収した。
その結果、濾液中のHIV濃度は0.34(PFU/ml)以下
(検出限界以下)であったのに対し、濾過前のそれは、
3.0×105(PFU/ml)であった。抗原P12の透過率は1.0
(100%)であった。
したがってウィルスの抗原あるいは抗体を含有する非
感染性物質が短時間で、かつ、抗原あるいは抗体の回収
率の高い条件下で調製出来た。この物質中にはウィルス
が実質的に存在しないので、これを体内に注入すること
により、それぞれの疾患の予防および治療に効果が期待
出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61M 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面抗原を異にするウィルスに対する抗体
    を含有する非感染性液状物質の調製方法であって、ウィ
    ルスの抗体が陽性の血液あるいは懸濁液から血球成分あ
    るいは細胞成分を分離、除去した血漿あるいは細胞培養
    上澄液を、中空繊維の膜厚(d,μm単位で表示)が10μ
    m以上、水濾過速度法による平均孔径(μm単位で表
    示)が0.01μm以上であって、0.2μm以下、0.004×d
    (μm)以下、および該ウィルス径の1.5倍以下のいず
    れも満足し、面内空孔率が0.5以下、膜厚方向に10層以
    上の層状構造を有する親水性高分子で構成された多孔性
    中空繊維で濾過することを特徴とする方法
  2. 【請求項2】ウィルスがエイズウィルス(HIV)であ
    り、濾過対象とする血漿が複数人からの混合血漿である
    か、あるいは濾過後の血漿が複数人から構成されてお
    り、かつ血漿中のウィルスを除去する多孔性中空繊維が
    銅アンモニア法再生セルロースからなり、平均孔径が0.
    10μm以下であることを特徴とする、特許請求の範囲第
    1項記載の方法
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