JPH11267421A - 血液浄化材料 - Google Patents

血液浄化材料

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JPH11267421A
JPH11267421A JP10072329A JP7232998A JPH11267421A JP H11267421 A JPH11267421 A JP H11267421A JP 10072329 A JP10072329 A JP 10072329A JP 7232998 A JP7232998 A JP 7232998A JP H11267421 A JPH11267421 A JP H11267421A
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JP
Japan
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blood
purification material
blood purification
substrate
immobilized
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JP10072329A
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Inventor
Tadahiro Motomura
忠広 本村
Masato Onishi
誠人 大西
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血液中に含まれる病因物質およびその関連物質
の少なくとも一部を除去する材料の提供。 【解決手段】遊離のアミノ基、および抗凝固活性物質が
存在する基材表面を持ち、目詰まりすることなく、血液
中の病因物質の少なくとも一部を除去して血液を浄化す
ることを特徴とする血液浄化材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液凝固の問題な
く、血液のpHの変動を抑え、血液中に含まれる病因物
質およびその関連物質の少なくとも一部を除去する材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】血液中の病因物質としてウイルスや感染
細胞およびLDL(Low-Density Lipoprotein)やエンド
トキシン等多くの物が挙げられ、これらを除去する手段
が開発されている。これら多くの手段は、特開平3−1
23630号に記載されているようなカチオン性化合物
を表面に有する材料や特開平2−36878号のように
表面に-COOH や-SO3H 等を有し、表面のpHが2.5〜
6.9また7.4〜10.5である材料、すなわち表面
が弱酸性または弱塩基性を示す固体物質からなるものが
挙げられている。これらの技術に共通する問題として材
料と血液が接触した際の血液蛋白質の変性により、血液
凝固の危険性があることが挙げられる。実際に特開平2
−36878号に記載されている方法では、血液を除去
剤に接触させると血液のpHが変化することが確認され
ており、血液成分蛋白質の変性等が生じ、必ずしも血液
にとって好ましい条件ではなかった。該表面を塩形成す
るなどの方法で中性にし、血液凝固は防止できるが、特
開平2−36878号においては、表面に存在するアニ
オン性官能基が塩を形成している場合には、病因物質の
除去ができないことが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、病因物質お
よびその関連物質を血液凝固の危険性が無く、選択的に
除去する材料を提供しようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、以
下の血液浄化材料を提供する。 (1)遊離のアミノ基、および抗凝固活性物質が存在す
る基材表面を持ち、血液中の病因物質の少なくとも一部
を除去して血液を浄化することを特徴とする血液浄化材
料。 (2)前記遊離のアミノ基の量が0.1×10-4eq/
g超である(1)に記載の血液浄化材料。 (3)前記病因物質が、ウイルス、ウイルス構成物質、
感染細胞、および生体産生物質である(1)または
(2)に記載の血液浄化材料。 (4)前記抗凝固活性物質がヘパリンである(1)〜
(3)のいずれかに記載の血液浄化材料。 (5)前記基材が平均孔径0.1〜10μmの多孔質膜
であり、該多孔質膜表面にポリアミン化合物を固定化し
たことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の
血液浄化材料。 (6)前記基材が平均粒径25〜300μmの多孔質ビ
ーズであり、該多孔質表面にポリアミン化合物を固定化
したことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載
の血液浄化材料。 (7)前記基材が繊維径が平均100μm以下の不織布
であり、該不織布表面にポリアミン化合物を固定化した
ことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の血
液浄化材料。 本発明により、併せて、本発明の血液浄化材料を用いる
血液中のウイルス感染価を検出限界以下にする方法も提
供される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の血液浄化材料は、基材表面に遊離のアミノ基と
抗凝固活性物質を有する。血液中の病因物質の少なくと
も一部を除去するとは、血液中のウイルスやこれらの感
染細胞およびこれらから生成される生理活性物質等の病
因物質を基材が除去する構造を有する場合をいい、多孔
質材、ビーズ、不織布等のように基材そのものの形状が
血液中の病因物質のフィルターとして働く。本発明の血
液浄化材料は、上述のフィルター構造に加えて、遊離の
アミノ基を基材表面に有することにより、病因物質を吸
着または不活性化させる機構を有する。
【0006】血液浄化材料表面の遊離のアミノ基とは、
抗凝固活性物質と塩を形成していない遊離の状態で残存
するアミノ基を指す。アミノ基としては、1級、2級、
3 級、4 級のアミノ基を例示でき、アミノ基を有するポ
リアミン化合物のアミノ基もこれらに含まれる。アミノ
基は、分子内に複数のアミノ基を有するポリアミン化合
物によって基材表面に固定される。ポリアミン化合物
は、特に限定されないが、アジリジン化合物等のアルキ
レンイミン化合物や1級、2級アミノ基を分子内に有す
る重合体または共重合体が例示される。アジリジン化合
物とは、1分子中にアジリジン基を少なくとも1個含有
する化合物を構成成分とする重合体または共重合体であ
り、このアジリジン基は、アルキル基やその外の置換基
で置換されていても構わない。アルキレンイミン化合物
として、好ましくは、エチレンイミン、プロピレンイミ
ン、ブチレンイミン、N―ヒドロキシエチルエチレンイ
ミン、N−アミノエチルエチレンイミン等のモノマー単
位を含んだ重合体、共重合体が挙げられる。また、1
級、2級アミノ基を分子内に有する重合体や共重合体と
してアリルアミン、ビニルアミン等のモノマー構成単位
を持つ重合体や共重合体が好適例として挙げられる。ポ
リアミン化合物として、特に好ましいのは、ポリエチレ
ンイミンおよびポリプロピレンイミンである。
【0007】本発明の血液浄化材料の表面に存在する抗
凝固活性物質と結合していない遊離のアミノ基量は、過
塩素酸による非水逆滴定によって求められる。固定され
る遊離のアミノ基の存在量は、除去される病因物質およ
びその関連物質の量に影響し、用途によって選択される
が、0.1×10-4eq/g超であり、好ましくは0.
1×10-4超〜3×10-4eq/gである。0.1×1
-4eq/g以下だと病因物質の除去効果が十分でな
い。3×10-4eq/gを超えるとそれ以上効果は向上
しない。
【0008】抗凝固活性物質としては、抗凝固活性を有
する化合物であれば、特に限定されないが、ヘパリン、
フサン、FOY(gabexate mesilate)、アルガトロバ
ン、クエン酸等が好適例として挙げられ、好ましくはヘ
パリンである。抗凝固活性物質は、徐放されるか、該材
料表面に存在したままで抗凝固活性を発現する。例えば
抗凝固活性物質としてヘパリンを使用する場合は、血液
浄化材料の表面に存在する抗凝固活性物質の量は好まし
くはテストチームヘパリン(第一化学薬品)を使用し、
求めたヘパリン活性で0.1×10-2〜2.0×10-2
U/cm2 mol/g、より好ましくは0.05×10
-2×1.0×10-2U/cm2 mol/gである。
【0009】アミノ基と抗凝固活性物質は、互いに塩を
形成していなくてもよいが、塩を形成していることが好
ましい。本発明では抗凝固活性物質と塩を形成していな
い遊離のアミノ基が存在する。抗凝固活性物質と塩を形
成していないアミノ基すなわち、アミノ基が遊離の状態
で残存している場合は、アミノ基は単独で−COOH、−SO
3HやHCl などと塩を形成するのが好ましい。塩を形成し
ていると、血液のpH変化を抑えることができるからで
ある。遊離のアミノ基と抗凝固活性物質は血液に触れた
ときにそれぞれの機能を発揮すると考えられる。
【0010】本発明の血液浄化材料の基材は、特に限定
されないが、セルロースやその誘導体など天然高分子系
材料、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポ
リエステル、ポリサルホン、ポリアクリロニトリル、ま
たはポリフッ化ビニリデン等の高分子からなり、多孔質
体や網目状構造をとるものが例示される。好ましくは、
ポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0011】本発明の血液浄化材料の基材が、多孔質膜
である場合は、その平均孔径は、ASTM-F316 に準拠した
パームポロメーター(ポーラスマテリアル社製)を用い
て求めた値で、0.1〜10μmであるのが好ましい。
孔径が0.1μm未満だと十分なろ過量が得られず、目
詰まりを起こしやすく、10μmを超えると除去能力が
低下するからである。また、本発明の血液浄化材料から
なる多孔質膜に対する透水量は、25±2℃、0.7kg
/cm2の圧力下で、10ml/min/m2/mmHg以上であること
が、ろ過圧を低くできるため好ましい。
【0012】血液浄化材料の該基材が多孔質ビーズであ
る場合、平均粒径25〜300μmの多孔質ビーズであ
ることが好ましい。多孔質ビーズの平均粒子径が25μ
mより小さいと、ろ過圧が高くなり、好ましくない。ま
た、300μmを超えると体積当たりの表面積が小さく
なり、十分なアミノ基を固定できない。さらに、該多孔
質表面にエポキシ基やシアノジェンハライド基、ホルミ
ル基、カルボキシル基、酸クロライド等の官能基があっ
てもよい。
【0013】本発明の血液浄化材料の基材が、不織布で
ある場合は、その繊維径が平均100μm以下で、目付
量が50〜250g/m2 であることが好ましい。繊維
径が平均100μmを超えると基材の表面積確保が困難
となり、該基材表面にポリアミン化合物を固定化するこ
とが困難となる。また、不織布はモノフィラメントでも
マルチフィラメントでもよい。さらに、異形フィラメン
トでも多孔質フィラメントでもよい。
【0014】アミノ基の血液浄化材料表面への固定法
は、血液と接触しても溶出しなければ、どのような方法
でも良く、特に限定されないが、例えば、コーティング
やプラズマグラフト法、基材上に存在するエポキシ基、
シアノジェンハライド基、ホルミル基、カルボキシル
基、または酸クロライド等よって表面に固定されてもよ
いく、カルボジイミドの様なカップリング剤を介して固
定されてもよい。
【0015】抗凝固活性物質は、溶媒に溶解後、塗布、
スピンコーティング、ディッピング、噴霧などの被覆方
法により医療器具の表面に被覆される。
【0016】一例を挙げると、ポリオレフィン、塩ビ等
の樹脂材料をプラズマ処理し、その後アクリレート基、
グリシジル基等を有する有機化合物ガスと接触させて、
これらの基を表面にグラフト重合し、これをポリアミン
化合物水溶液に浸漬してアミノ基を表面に固定し、また
はアミノ基を気相重合して固定し、さらにヘパリン水溶
液に浸漬してアミノ基とヘパリンのN−硫酸基とを結合
させる。
【0017】本発明の血液浄化材料は、病因物質および
その関連物質の不活化もしくは除去に使用でき、血液中
のウイルス感染価、すなわち非感染細胞を血液添加培地
で培養した後、娘ウイルス検出が検出されるか否かによ
り求められる感染価を検出限界以下にすることができ
る。ここで感染価とは娘HIVが検出された血漿の希釈
倍率であるが、詳細は実施例に記す。血液中の病因物質
には、その関連物質も含まれ、ウイルス、ウイルス構成
物、感染細胞、および生体産生物質等が挙げられる。よ
り具体的にはHIV、HCV、HBV等のウイルスやこ
れらの感染細胞およびLDL (Low-Density Lipoprotei
n)やエンドトキシン等多くの物質が例示される。また、
その関連物質とは、例えば、HIVを例に挙げるなら
ば、HIV感染細胞、HIVを構成する蛋白質、それら
と生体成分との複合体もしくは、HIVに感染して生成
されるIL−1,IL−6,TNFなどのサイトカイン
等を例示できる。
【0018】本発明の血液浄化材料は、血漿のように多
くの蛋白質を含む溶液からも病因物質および関連物質を
選択的に除去することを特徴とする。HIVを例に挙げ
ると、AIDS治療には、ウイルス負荷の低減、ウイル
ス再感染の阻止、ウイルス複製の阻止が重要とされるの
で、本発明の血液浄化材料をHIV感染者の治療に利用
することができる。HIV血症となった患者の体液から
HIVやその関連物質を除去することは、ウイルス負荷
の低減やウイルス再感染の阻止に役立ち、患者のQOL
の改善や病態進行の抑制に効果が現れる可能性がある。
【0019】本発明の血液浄化材料は、吸着機能を有す
る断片膜、人工透析器、献血装置、治療器、血液製剤製
造用途などに組み合わせて利用できる。
【0020】
【実施例】まず、病因物質としてHIVを例に実施例を
示すが、HIVおよびその関連物質除去性能は以下に示
すHIV感染価の希釈倍率であらわす。濾過前後の血漿
を10%FCSを含むRPMI1640を用いて2倍希釈づつの
多段階希釈を行い、これにヒトリンパ球を加え、培養
し、感染成立の有無をHIV抗原(p24抗原)の検出
で確認し、感染が確認された希釈倍率の値を感染価とす
る。この測定では、希釈倍率が高いほど、HIVの量が
多く、検出されなければ、HIVは存在しない(The Ne
w England Journal of Medicine,324,954-960(1991))。
【0021】(実施例1)平均孔径0.45μm、膜厚
80μmのポリプロピレン製多孔質膜にアルゴンプラズ
マ(100W、0.1Torr、15秒間) を照射した
後、2−メトキシエチルアクリレートガス(1.0To
rr)に3分間、さらに、グリシジルメタクリレートガ
ス(0.7Torr) に3分間接触させて表面グラフト
重合を行い、表面にエポキシ基を有する親水性多孔質膜
を得た。続いて、0.3wt%のポリエチレンイミン
(分子量70,000)と0.01wt%のピリジンを含む水
溶液に10秒間浸漬、さらに、90℃、10分間固定化
を行い、膜表面にポリエチレンイミンを固定化した。膜
はその後8時間水洗した。
【0022】この膜を30分間、5U/mlのヘパリン
生理食塩水溶液に浸漬した後、ニュークリポア製スイン
ロックフィルターホルダー(φ25mm)にセットし、H
IV陽性の患者から採血したヒト血漿3mlを非加圧濾
過した。濾過前後のHIV感染価を測定し、結果を表1
に示した。
【0023】(実施例2)繊維径1μm、平均孔径5.
2μm、透水量638ml/min/m2 (0.7kg/c
m2) のポリプロピレン製不織布(東燃タピルス製)に実
施例1と同様な方法で表面グラフト重合を行い、表面に
エポキシ基を有する親水性不織布を得た。続いて、0.
3wt%のポリエチレンイミン(分子量70,000)と0.
01wt%のピリジンを含む水溶液に10秒間浸漬、さ
らに、90℃、10分間固定化を行い、不織布表面にポ
リエチレンイミンを固定化した。さらにホルダーに不織
布をセットする前に30分間、5U/mlのヘパリン生
理食塩水溶液に浸漬した。この不織布を3枚重ねて実施
例1と同様な方法で濾過前後のHIV感染価を測定し、
結果を表1に示した。
【0024】(実施例3)平均粒子径250μmのエポ
キシ活性化セルロースビーズを1wt%のポリエチレン
イミン(分子量70,000)と0.01wt%のピリジンを
含む水溶液に浸漬し、60℃、8時間固定化を行い、ビ
ーズ表面にポリエチレンイミンを固定化した。さらにビ
ーズを30分間、5U/mlのヘパリン生理食塩水溶液
に浸漬した。このビーズ0.2mlをφ0.2cm×長
さ1cmのクロマト管に充填し、HIV陽性の患者から
採血したヒト血漿3mlを濾過し、濾過前後のHIV感
染価を測定し、結果を表1に示した。なお、実施例1〜
3では病因物質のみが選択的に除去され、血液特性の変
化はなかった。
【0025】(比較例1)平均孔径0.08μm、膜厚
80μmのポリプロピレン製多孔質膜にも実施例1と同
様な方法で表面グラフト重合を行い、表面にエポキシ基
を有する多孔質膜を得、さらに同様な方法でポリエチレ
ンイミンを固定化したが、ヘパリン溶液には浸漬しなか
った。この膜をニュークリポア製スインロックフィルタ
ーホルダー(φ25mm)にセットし、HIV陽性の患者
から採血したヒト血漿3mlを非加圧下で濾過し、濾過
前後のHIV感染価を測定し、表1に示した。平均孔径
0.08μmの多孔質膜の場合では、目詰まりを起こ
し、血漿が濾過途中で流れなくなった。
【0026】(比較例2)平均粒子径20μmのエポキ
シ活性化セルロースビーズを1wt%のポリエチレンイ
ミン(分子量70,000)と0.01wt%のピリジンを含
む水溶液に浸漬し、60℃、8時間固定化を行い、ビー
ズ表面にポリエチレンイミンを固定化した。さらにヘパ
リン溶液に実施例3と同じ方法で浸漬した。このビーズ
0.2mlをφ0.2cm×長さ1cmのクロマト管に
充填し、HIV陽性の患者から採血したヒト血漿3ml
を濾過した。平均粒径20μmの多孔質ビーズの場合で
は、目詰まりを起こし、血漿が濾過途中で流れなくなっ
た。
【0027】(比較例3、4)平均孔径0.45μm、
膜厚80μmのポリプロピレン製多孔質膜にアルゴンプ
ラズマ(100W、0.1Torr、15秒間) を照射
した後、2−メトキシエチルアクリレートガス(1.0
Torr) に3分間接触させて表面グラフト重合を行
い、親水性多孔質膜を得た(比較例3)。同様に繊維径
1μm、平均孔径5.2μm、透水量638ml/mi
n/cm 2 (0.7kg/cm2) のポリプロピレン製不織布
(東燃タピルス製)に比較例3と同様な方法で表面グラ
フト重合を行い、親水性不織布を得た(比較例4)。こ
れらの膜をニュークリポア製スインロックフィルターホ
ルダー(φ25mm)にセットし、HIV陽性の患者か
ら採血したヒト血漿3mlを非加圧下で濾過し、濾過前
後のHIV感染価を測定し、結果を表1に示した。
【0028】(比較例5)表面処理していない平均粒子
径250μmのセルロースビーズを0.2mlをφ0.
2cm×長さ1cmのクロマト管に充填し、HIV陽性
の患者から採血したヒト血漿3mlを非加圧下で濾過
し、濾過前後のHIV感染価を測定し、結果を表1に示
した。
【0029】(比較例6〜8)ヘパリンを固定(浸漬)
しないで実施例1〜3と同様な実験を行なった。3例
共、30分ほどすると、ろ液の血漿が白濁して一部凝固
した。
【0030】(比較例9)実施例1と同一の平均孔径
0.45μm、膜厚80μmのポリプロピレン製多孔質
膜にアルゴンプラズマ(100W、0.1Torr、1
5秒間) を照射した後、2−メトキシエチルアクリレー
トガス(1.0Torr) に3分間、グリシジルメタク
リレートガス(0.7Torr) に3分間接触させて表
面グラフト重合を行い、表面にエポキシ基を有する親水
性多孔質膜を得た。続いて、0.05wt%のポリエチ
レンイミン(分子量70,000)と0.01wt%のピリジ
ンを含む水溶液に10秒間浸漬、さらに、90℃、10
分間固定化を行い、膜表面にポリエチレンイミンを固定
化した。固定化されたアミン量は、0.1×10-4eq
/gであった。実施例1と同様な方法でHIV陽性の患
者から採血したヒト血漿3mlを非加圧下で濾過し、濾
過前後のHIV感染価を測定し、結果を表1に示した。
【0031】(比較例10)平均孔径0.45μm、膜
厚80μのポリプロピレン製多孔質膜表面に実施例1と
同様な方法で2−メトキシエチルアクリレートおよびグ
リシジルメタクリレートを重合させ、表面にエポキシ基
を有する親水性多孔質膜を得た。さらにこの膜をヘパリ
ン濃度0.5g/ml、pH11に調整したヘパリン水
溶液に50℃、8時間浸漬し、ヘパリンを固定した。過
剰のヘパリンは、8時間水洗して除いた。テストチーム
ヘパリン(第一化学薬品)によって固定されたヘパリン
の活性を求めたところ、6×10-2U/cm2 であっ
た。ヘパリンが固定された膜はニュークリポア製スイン
ロックフィルターホルダー(φ25mm)にセットし
た。実施例1と同様にHIV陽性患者から採血したヒト
血漿3mlを非加圧濾過し、濾過前後のHIV感染価を
測定した。
【0032】 −:データなし
【0033】以下の実施例においては病因物質としてエ
ンドトキシンを例に挙げて本発明をさらに詳細に説明す
る。 実施例A 実施例1と同様な方法で膜表面にポリエチレンイミンを
固定した。この膜を用いてエンドトキシンの除去を行な
った。この膜をφ25mmに打ち抜き、さらに30分
間、5U/mlのヘパリン生理食塩水溶液に浸漬した
後、ニュークリポア製スインロックフィルターホルダー
にセットした。一方、エンドトキシン(E.coli
0111:B4)は、健康なボランティアから採血、分
離したヒト血漿に1000pg/mlになるように添加
した。このエンドトキシン添加血漿3mlを先述のホル
ダーにセットした膜に濾過した。濾過前後のエンドトキ
シン量をエンドスペシー(生化学工業製)を用いて測定
し、結果を表2に示した。
【0034】実施例B 繊維径1μm、平均孔径5.2μm、透水量638ml
/min/m2 (0.7kg/cm2 )のポリプロピレ
ン製不織布(東燃タピルス製)に実施例1と同様な方法
で不織布表面にポリエチレンイミンを固定化した。さら
に、この不織布を3枚重ねて実施例Aと同様に30分
間、5U/mlのヘパリン生理食塩水溶液に浸漬した
後、濾過前後のエンドトキシン量をエンドスペシー(生
化学工業製)を用いて測定し、結果を表2に示した。
【0035】実施例C 平均粒子径250μmのエポキシ活性化セルロースビー
ズに実施例3と同様な方法でビーズ表面にポリエチレン
イミンを固定化した。さらにビーズを30分間、5U/
mlのヘパリン生理食塩水溶液に浸漬した。このビーズ
0.2mlをφ0.2cm×長さ1cmのクロマト管に
充填し、実施例Aと同様なエンドトキシン添加血漿3m
lを濾過し、濾過前後のエンドトキシン量をエンドスペ
シー(生化学工業製)を用いて測定し、結果を表2に示
した。
【0036】比較例D,E 平均孔径0.45μm、膜厚80μmのポリプロピレン
製多孔質膜にアルゴンプラズマ(100W、0.1To
rr、15秒間)を照射した後、2−メトキシエチルア
クリレートガス(1.0Torr)に3分間接触させて
表面グラフト重合を行い、親水性多孔質膜を得た(比較
例D:比較例3と同一)。同様に繊維径1μm、平均孔
径5.2μm、透水量638ml/min/cm
2 (0.7kg/cm2 )のポリプロピレン製不織布
(東燃タピルス製)に比較例4と同様な方法で表面グラ
フト重合を行い、親水性不織布を得た。これらの膜をニ
ュークリポア製スインロックフィルターホルダー(φ2
5mm)にセットし、実施例Aと同様なエンドトキシン
添加血漿3mlを濾過し、濾過前後のエンドトキシン量
をエンドスペシー(生化学工業製)を用いて測定し、結
果を表2に示した。
【0037】比較例F 未処理の平均粒子径250μmのセルロースビーズ0.
2mlをφ0.2cm×長さ1cmのクロマト管に充填
し、実施例Aと同様なエンドトキシン添加血漿3mlを
濾過し、濾過前後のエンドトキシン量をエンドスペシー
(生化学工業製)を用いて測定し、結果を表2に示し
た。
【0038】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、血液凝固の問題なく、
血液のpHの変動を抑え、血液中に含まれる病因物質お
よびその関連物質の少なくとも一部を除去できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遊離のアミノ基、および抗凝固活性物質が
    存在する基材表面を持ち、血液中の病因物質の少なくと
    も一部を除去して血液を浄化することを特徴とする血液
    浄化材料。
  2. 【請求項2】前記基材表面の遊離のアミノ基の量が0.
    1×10-4eq/g超である請求項1に記載の血液浄化
    材料。
  3. 【請求項3】前記病因物質が、ウイルス、ウイルス構成
    物質、感染細胞、および生体産生物質である請求項1ま
    たは2に記載の血液浄化材料。
  4. 【請求項4】前記基材が平均孔径0.1〜10μmの多
    孔質膜であり、該多孔質膜表面にポリアミン化合物を固
    定化したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の血液浄化材料。
  5. 【請求項5】前記基材が平均粒径25〜300μm の
    多孔質ビーズであり、該多孔質表面にポリアミン化合物
    を固定化したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の血液浄化材料。
  6. 【請求項6】前記基材が繊維径が平均100μm以下の
    不織布であり、該不織布表面にポリアミン化合物を固定
    化したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の血液浄化材料。
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