JPH06114250A - ウイルス選択的除去材料 - Google Patents

ウイルス選択的除去材料

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JPH06114250A
JPH06114250A JP4270632A JP27063292A JPH06114250A JP H06114250 A JPH06114250 A JP H06114250A JP 4270632 A JP4270632 A JP 4270632A JP 27063292 A JP27063292 A JP 27063292A JP H06114250 A JPH06114250 A JP H06114250A
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JP
Japan
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virus
membrane
filter
amine
protein
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JP4270632A
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English (en)
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Masato Onishi
誠人 大西
Takashi Owada
尚 大和田
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】材料表面にアミン化合物を固定化したウイルス
選択的除去材料。 【効果】本発明のウイルス選択的除去材料は、取り扱い
が容易であり、しかもウイルスに対して選択的な相互作
用を有し、多孔性膜等に使用した場合に、簡便で処理速
度の優れた膜になる。また、ウイルスの認識・分離(除
去)・濃縮などに使用することができるため、食品工
業、発酵工業、医薬品工業を初めとした産業界で広く実
用可能な材料である。さらに、血漿などの蛋白質成分を
含む溶液中でもウイルスを認識できるため、医療や生活
現場におけるウイルス汚染やウイルス感染の防止、治
療、診断などに効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミン化合物を表面に
固定化したウイルス選択的除去材料に関し、詳しくは、
血漿中や血液成分を含んだ蛋白溶液より選択的にウイル
スを除去する材料に関する。
【0002】
【従来の技術】多くのウイルス粒子の等電点(pI)
は、3〜6であり、中性領域では負電荷を有しているた
め、不純物の少ない水などからは、静電相互作用により
ウイルスを吸着することができる。そのようなウイルス
除去材料としては、特開平3−123630に記載され
ているように、ポリビニルピリジニウムなどのポリカチ
オン構造を表面に有する材料や多孔質膜がある。しかし
ながら、従来のカチオン性フィルタ−は、血漿中や血液
中などに代表される高蛋白濃度の溶液中では、蛋白質の
カチオン性表面への非特異的吸着が起こるため、ウイル
スを選択的に除去することは困難だった。
【0003】体液中や蛋白溶液中などよりウイルスを除
去するフィルタ−としては、特開平2−167232に
記載の再生セルロ−ス膜がある。この膜の孔径は、ウイ
ルス粒子より小さいため、ウイルスは透過できない。し
かしながら孔径が小さいために透過速度が小さく、ま
た、目詰まりが生じやすいといった問題点を有してい
た。
【0004】生物学的親和性を利用して血中や血漿中な
どよりウイルスを分離する材料として、細胞表層に存在
するウイルスとの結合部位(リセプタ−)を材料表面に
固定化した材料が、国際公開番号89/01813に記
載されている。しかしながら、この方法は、細胞からリ
セプタ−を精製するプロセスやそのリセプタ−を基材に
結合させるプロセスが煩雑であり、また生体由来成分を
用いているため、コスト、性能の安定化、経時的変化な
どが問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、取り扱いが
容易であり、しかもウイルスに対して選択的な相互作用
を有し、多孔性膜等に使用した場合には簡便で処理速度
の優れた膜となるウイルス除去可能な材料を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記発明の目的は以下に
示す材料によって達成される。 (1)表面にアミン化合物を固定化した材料。 (2)アミン化合物がアジリジン化合物の重合体または
共重合体である(1)に記載の材料。 (3)アミン化合物が、材料表面に導入された反応性官
能基を有する表面グラフト鎖を介して材料表面に導入さ
れた(1)又は(2)に記載の材料。
【0007】本発明においてウイルス選択的除去材料と
は、ウイルス活性を不活化もしくは低減させる材料であ
る。本材料は、感染予防やウイルス分離(収集)などを
目的として使用される材料であって、媒体と接触して使
用される。ウイルス活性の除去率は、性状の異なる複数
のウイルスに対して少なくとも90%、好ましくは99
%以上であることが望ましい。ウイルスといっても種類
が多く、使用目的によっても標的となるウイルスは異な
るが、「ウイルス除去率」は、例えば、指標ウイルスと
してヘルペスウイルス(HSV−1)、φX174、エ
イズウイルス(HIV)などを用いて求めることができ
る。
【0008】本発明の材料は、蛋白質を含む溶液からも
ウイルスを選択的に除去することが可能な材料である。
蛋白質を含む溶液として、血液、血漿、体液、培養液、
あるいはこれらの液体由来の蛋白成分を含む溶液などを
好適に例示できるが、特に、血漿や血漿蛋白質を含む液
体からウイルスを選択的に吸着除去できる材料であるこ
とが特徴であり、そのような材料をフィルターに使用し
た例は、本発明−が最初である。
【0009】本発明のウイルス選択的吸着材料は、表面
にアミン化合物が固定化された水不溶性材料である。ア
ミン化合物とは、アンモニアの水素をアルキルやアリ−
ル基で置換した化合物であり、分子内に1級〜3級のア
ミノ基を有している。分子内に複数の1級もしくは2級
アミンを有する化合物が好ましく、そのような化合物と
しては、アジリジン化合物の重合体または共重合体を好
適に例示できる。アジリジン化合物とは、1分子中にア
ジリジン基を少なくとも1個含有する化合物を構成成分
とする重合体または共重合体のことであり、そのアジリ
ジン基は、アルキル基その他の置換基で置換されている
ものであっても良い。さらに具体的には、アジリジン化
合物は、一般に、次式で表される。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1,R2,R3、R4及びR5は水
素、脂肪族及び芳香族炭化水素、ハロゲンその他の置換
基を示す。)
【0012】またアジリジン化合物の重合体または共重
合体の特定の例としては、例えば、エチレンイミン、プ
ロピレンイミン、ブチレンイミン、N−ヒドロキシエチ
ルエチレンイミン、N−アミノエチルエチレンイミンな
どのモノマ−単位を含んだ化合物、ポリエチレンイミン
やポリプロピレンイミンなどの重合体、上記のモノマ−
の相互または他の共重合性モノマ−との共重合体を例示
できる。これらアジリジン化合物のポリマ−と反応し得
る官能基を末端に有する重合体とのブロック共重合体や
グラフト共重合体なども含まれるが、アジリジン成分量
は、少なくとも5%以上、好ましくは20%以上であ
る。また、サイクラムやバイサイクラム系化合物をはじ
めとするアジリジン化合物の環状ポリアミン類やそれら
の誘導体も例示できるが、好ましくは、エチレンイミン
の重合体や共重合体であるポリエチレンイミンや環状ポ
リアミン化合物である。またアジリジン化合物の平均分
子量は600以上が好ましい。
【0013】ポリエチレンイミンなどのポリアミン化合
物は、基材表面を覆うほど固定化させないことが好まし
い。例えば、乾燥時のESCAでの表面分析において、
アジリジン化合物やアミン化合物の割合が表面において
炭素原子換算で60%以下、好ましくは40%以下であ
る。
【0014】例えば、ポリオレフィン系材料に固定化し
たポリエチレンイミンの場合は、窒素原子/炭素原子
(N/C)の比率が、0.005〜0.2であることが
好ましく、さらに好ましくは、0.01〜0.1であ
る。N/Cが0.25を超えると、ポリエチレンイミン
が表面を60%以上を覆うこととなり、蛋白質との相互
作用が強くなるため、ウイルス選択的除去能力が低下す
る。基材自体が窒素原子を含む場合は、基材の窒素/炭
素比で補正して存在比を算出すればよい。
【0015】材料表面に固定化するとは、アジリジン化
合物を含む重合体が材料表面から溶出することのないよ
うに、基材表面の反応性基と結合させることであり、共
有結合により結合させることが好ましい。材料に固定化
されたアミンの量は、過塩素酸などを用いた滴定法など
により測定できる。フィルタ−材料の場合、1×10-4
eq/g 以上のアミンが材料表面に固定化されている
ことが好ましい。
【0016】材料表面に固定化する方法は公知の方法が
適用可能である。例えば、グラフト重合法、コ−ティン
グ法、化学修飾法、酸化法などにより、エポキシ基、ア
ミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、酸クロライド基などの官能基を基材表面に導入した
後、アミン化合物のアミノ基と直接もしくはカップリン
グ剤やスペ−サ−を介して基材表面に固定化することが
できる。好ましくは、高分子材料表面に反応性官能基を
有する表面グラフト鎖を導入する工程と、該反応性官能
基にアジリジン化合物の重合体または共重合体を固定化
する工程とを有する方法である。また、反応性官能基を
有するグラフト鎖は、グリシジルアクリレ−トもしくは
グリシジルメタクリレ−トなどのエポキシ基を有する単
量体を構成成分とするグラフト鎖が好ましい。
【0017】この上記構成の材料が好ましい理由を、我
々は以下のように考える。反応性官能基を有する表面グ
ラフト鎖(たとえばポリグリシジルアクリレ−ト)は、
微視的には表面上で基材(たとえばポリプロピレン)と
相分離して存在しているため、該反応性官能基と結合さ
せたアミン化合物も材料表面で微視的には局在化してい
ると推測される。その結果、アミン化合物の表面存在量
が少なくなり、また、蛋白質との相互作用も少なくなる
ように局在化(相分離)されているため、蛋白質の非特
異的な吸着が少なくなりウイルス除去能が発現されやす
い。
【0018】一方、コ−ティング法や基材自体が有する
官能基にアミン化合物を結合させる方法は、前述のよう
な効果が期待されず、その結果、蛋白質の非特異的な吸
着が多くなりウイルス除去能が発現されにくい。
【0019】ウイルス選択的除去材料の形態は特に限定
されず、ビ−ズ状、繊維状、フィルタ−状、チュ−ブ状
など任意の形態を取り得るが、好ましくは、最大孔径が
0.1μ〜50μの範囲にあるフィルタ−であり、平
膜、中空糸膜、不織布、織布などを例示できる。血漿や
培養液などを対象とした場合は、最大孔径が0.1μ〜
5μ が好ましく、細胞などが含まれる場合は、最大孔
径が、5〜50μが好ましい。最大孔径が0.1μ以下
だと、孔径が小さくなるため十分な濾過量が得られなく
なるからである。また、孔径が0.1μ以下だとサイズ
により捕捉されるウイルスもある。本発明のフィルタ−
の透水量は、10 ml/min/m2/mmHg 以上、好ましくは1
00 ml/min/m2/mmHg 以上であることが、濾過圧を低く
できるため好ましい。
【0020】また、不織布状の基材の場合、フィルタ−
材を形成するフィラメントは、モノフィラメントであっ
てもマルチフィラメントであってもよいが、平均直径が
100μm以下、好ましくは、50μm以下であると、
膜の表面積が大きくなり吸着部位が増加することとなる
ため好ましい。
【0021】さらに、フィルタ−の空孔部の割合(空孔
率)は、20%以上、好ましくは50%以上である。
【0022】基材の材質は、特に限定されず、セルロ−
スやその誘導体などの天然高分子、あるいはポリオレフ
ィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエ
ステル、ポリサルホン、ポリアクリルニトリルなどの高
分子材料を例示できるが、好ましくは、寸法安定性に優
れ水に対して低膨潤性の材料、たとえばポリプロピレン
やポリフッ化ビニリデンなどにより基材膜が構成されて
おり、表面処理により親水性フィルタ−に改質されてい
るものが好ましい。
【0023】また、本発明のウイルス選択的除去材料
が、蛋白溶液中よりウイルスを選択的に除去するために
は、低吸着性表面であることが好ましい。さらに、フィ
ルタ−においては、孔を閉塞せず十分な透過性能を維持
できるように、水に非膨潤性(膨潤率が20%以下)で
あり、ガラス転移点が290K以下の柔軟な高分子によ
り表面改質されていることが好ましい。そのような重合
体として、メトキシエチルアクリレ−トに代表されるア
ルコキシアルキルアクリレ−ト類の単量体を主な構成成
分とする重合体や共重合体を例示することができる。
【0024】蛋白質を含む溶液とは、血液、血漿、血
清、尿などの体液成分や体液成分を含む液体、細胞や微
生物などの培養液やそれら生物の生産物を含む液体など
を好適に例示できる。ウイルスが混入している可能性の
ある液体を、本発明の材料に接触させることにより、ウ
イルス活性やウイルス感染の可能性を低下させたりする
ことが可能となるが、その具体的方法としては、バッチ
方式での浸漬法、種々の形状のカラムを利用したフロ−
方式、フィルタ−を用いた濾過方式などが例示できる
が、好ましくは、フィルタ−による濾過である。
【0025】本発明のウイルス選択的除去材料は、カラ
ムや膜モジュ−ルなどを用いる公知の分離方法や分離装
置で使用することができる。また、感染予防や診断など
の健康管理製品や医療製品として、材料単独での使用は
もちろんのこと、練り込み・内包・積層などの方法によ
り複合化して使用することもできる。
【0026】また本発明のウイルス選択的除去材料は、
血漿などの蛋白質が混在する液体中のウイルスを除去す
る目的で主に使用できるが、血液や体液の飛散や接触に
より、ウイルス感染の危険性の生じる恐れがある環境で
の使用も好適に例示できる。たとえば医療現場や救急治
療、ウイルス感染者や感染の恐れのある生物に適用する
医療用具や日常生活品、あるいはウイルス感染を防ぐ目
的で健常な人が使用する日常生活品などである。また、
エア−フィルタ−等への使用等、ウイルスフリ−の環境
を提供する製品などへも使用することができる。
【0027】
【作用】アミン化合物は、真核細胞や原核細胞を問わず
生物が保有しており、陰性電荷に富む細胞膜や核酸を初
めとして種々の生体高分子に作用してそれらの機能に影
響を与えることが知られている。(例えば、化学と生
物、第28巻、3号、162〜171ペ−ジ、1991
年、白幡晶著:フィジィオロジィー オブ ポリアミ
ン、ユー バッハラッハ・ワイ エム ヘイマー著、シ
ーアーシー プレス、ボカ レイトン、1989年(Th
e Physiology of Polyamines, ed by U.Bachrach and
Y.M.Heimer, CRC Press, Boca Raton, 1989):バイオ
ケミカル ジャーナル、260巻、1−10頁、198
9年、エフ シューバー著(The biochemical Journal,
vol.260, p1-10, 1989. F. Schuber)など )
【0028】一方、ポリビニルピリジニウムなどの分子
内に4級アンモニウム構造を有する多価陽イオン化合物
や疎水性基を有する化合物は、血液や培養液のように蛋
白質などが共存する条件下では、それらの蛋白質とのと
の相互作用が強くなり非特異的な吸着が増加して、細胞
やウイルスなどへの選択性が失われてしまうこととな
る。細胞の多くは、細胞表面に負に荷電した糖蛋白質を
有しており、高分子ポリカチオンと静電的に結合するこ
とが知られているが、4級アンモニウム塩を有する強塩
基性化合物や疎水性部を有するような高分子量のポリカ
チオンでは静電相互作用が強すぎるため、細胞への選択
性や細胞へのダメ−ジが大きくなる。
【0029】本発明の材料は、ウイルスに対して作用し
やすい塩基性と分子構造を有する一方、共存する蛋白質
などとの相互作用が小さいため、ウイルスを選択的に捕
捉する。
【0030】脊椎動物のウイルスは、単純なウイルスで
2〜3種類、きわめて複雑なポックルウイルスなどでは
100種以上にも及ぶ蛋白質やポリペプチドを有してい
る。エンヴェロ−プを持たない単純なウイルスではカプ
シドと呼ばれる蛋白質の殻を有しており、エンヴェロ−
プを有するウイルスではエンヴェロ−プより突出するペ
プロマ−と呼ばれる糖蛋白質がウイルス粒子の表面に存
在している。そのため、ウイルス粒子は正もしくは負の
表面電荷を有している。多くのウイルスは、アニオン性
のリン脂質やシアル酸、あるいはカプシド蛋白質などに
由来するアニオン性部位を有し、高分子の多価カチオン
などへ静電的相互作用により吸着することが知られてい
る。しかしながら、4級アンモニウム塩を有する強塩基
性化合物や疎水性部を有するような高分子量のポリカチ
オンでは静電相互作用が強すぎるため、培養液中や血漿
中などのような蛋白質の共存下より選択的にウイルスを
吸着できないこととなる。
【0031】アミン化合物のなかでも、ポリエチレンイ
ミンは、分子内にアミンを多く有する水溶性ポリマ−で
あり、しかも価格が安価であるためリガンドとして好適
である。さらに、ポリエチレンイミン自体は蛋白との相
互作用が比較的弱く、また材料表面に固定化された場合
でも、表面存在量を制御することでタンパク質の非特異
的な吸着を抑制し、選択的にウイルスを吸着することが
可能となる。
【0032】
【実施例】以下実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。実施例における特性は、以下の条件あるいは方法
で測定した。
【0033】1.透水量 25℃±2℃で測定した値である。
【0034】2.空孔率 下式(A)により算出した。
【0035】
【数1】
【0036】3.膜の最大孔径 ASTM−F316を参考にしてバブルポイント法によ
り求めた値である。最大孔径は、製膜後の膜全体に均一
に存在する孔の最大孔径を表わす値であり、ピンホ−ル
や製膜後に作られた該最大孔径より大きな孔などは含ま
れない。
【0037】4.フラメント直径 走査型電子顕微鏡で観察したフィラメントの長径と短径
の平均値のことであり、異形フィラメントであっても多
孔質フィラメントであっても同様である。
【0038】5.ウイルスの定量 プラ−ク(溶菌班)法により行った。すなわち、検体を
宿主細胞もしくは宿主細菌と接触させてたのち、ウイル
スに感染することにより生成するプラ−ク(溶菌班)数
を測定することにより求めた。ウイルス除去(捕捉)率
は、下式(B)により算出した。
【0039】
【数2】
【0040】(実施例1)メルトフローインデックスが
30及び0.3のポリプロピレン混合物(混合重量比1
00:40)100重量部当り、320重量部の流動パ
ラフィン(数平均分子量324)及び0.3重量部の結
晶核形成剤としての1,3、2,4ービス(p−エチル
ベンジリデン)ソルビトールを二軸型押出機により溶融
混練しペレット化した。このペレットを上記押出機を用
いて150〜200℃で溶融し、スリット幅0.6mm
のTダイスより空気中に押し出して、Tダイス直下に置
かれた冷却液相のガイドローラーの回転によってポリエ
チレングリコ−ルよりなる冷却固化液中に導き冷却固化
した後、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフ
ルオロエタンに浸漬して流動パラフィンの抽出を行なっ
た。続いて、135℃の空気中で2分間熱処理し、最大
孔径0.5μ、空孔率58%、膜厚80μのポリプロピ
レンフィルタ−を得た。
【0041】このようにして得られたポリプロピレンフ
ィルタ−に、アルゴンプラズマ(100W、0.1To
rr、15秒間)を照射した後、2−メトキシエチルア
クリレ−トガス(1.0 Torr)に3分間、グリシ
ジルアクリレ−トガス(0.7Torr)に3分間接触
させて表面グラフト重合を行い、表面に反応性官能基を
有する親水性多孔質膜を得た。続いて、1wt%のポリ
エチレンイミン(分子量1800)と1.0wt%のピ
リジンを含む水溶液に、60℃、18時間浸漬すること
により膜表面にポリエチレンイミンを固定化した。得ら
れた膜は、水及び塩化メチレン/メタノ−ル共沸溶媒で
良く洗浄した後、試料とした。
【0042】ポリプロピレン膜の表面に導入されたポリ
(2−メトキシエチルアクリレ−ト)とグリシジル基に
結合したポリエチレンイミンは、IR(ATR法)によ
り確認した。ESCAで求めた窒素/炭素比は0.06
であった。また、過塩素酸滴定により求めたアミンの量
は、3.3×10-4 eq/gであった。該膜の空孔率は
55%、透水量390ml/min/m2/mmHg、最大孔径0.5
2μであった。
【0043】この膜を、ニュ−クリポア製スウインロッ
クフィルタ−ホルダ−(φ25mm)にセットし、ヘル
ペスウイルス type I H.F. 株を約104 (PFU/ml)とな
るように添加したPBSバッファ−(PH7.35〜P
H7.6)、及び人新鮮血より採取した血漿を、各々1
0ml濾過してウイルス除去率を測定したところ、PB
Sバッファ−中で99.9%以上、人血漿中で99.9
%であった。また、φX174(バクテリオファ−ジ)
についても同様に試験を行った結果、人血漿中で99.
8%、水中で99.9%以上の除去率を示した。
【0044】(実施例2)グリシジルアクリレ−トのか
わりにグリシジルメタクリレ−トを使用した他は、実施
例1と同様で、ポリフッ化ビニリデンフィルター(ミリ
ポア社製)にポリエチレンイミン(分子量70,00
0)を固定化したフィルタ−を作製した。この膜のES
CAで求めた窒素/炭素比は0.08、過塩素酸滴定に
より求めたアミンの量は、4.8×10-4 eq/gであ
った。この膜の空孔率は61%、透水量380ml/min/m
2/mmHg、最大孔径0.50μであった。
【0045】この膜を、ニュ−クリポア製スウインロッ
クフィルタ−ホルダ−(φ25mm)にセットし、ヘル
ペスウイルス type I H.F. 株を約104 (PFU/ml)含む
PBSバッファ−(PH7.35〜PH7.6)と人新
鮮血より採取した血漿を、各々10ml濾過し、ウイル
ス除去率を測定したところ、PBSバッファ−中で9
9.9%以上、人血漿中で99.9%であった。また、
φX174(バクテリオファ−ジ)についても同様に試
験を行った結果、人血漿中で99.8%,水中で99.
9%以上の除去率を示した。
【0046】(実施例3)実施例1と同様の方法で作製
したポリプロピレンフィルターに、アルゴンプラズマ
(100W、0.2Torr、20秒間)を照射した
後、グリシジルアクリレ−トガス(0.7Torr)を
3分間接触させて表面グラフト重合を行い、表面に反応
性官能基を有する親水性多孔質膜を得た。続いて、1w
t%のポリエチレンイミン(分子量70,000)と
0.5wt%のピリジンを含む水溶液に、60℃、18
時間浸漬することにより膜表面にポリエチレンイミンを
固定化した。得られた膜は、水及び塩化メチレン/メタ
ノ−ル共沸溶媒で良く洗浄した後、試料とした。
【0047】この空孔率は57%、透水量352ml/min
/m2/mmHg、最大孔径0.49μであった。この膜のES
CAで求めた窒素/炭素比は0.07、過塩素酸滴定に
より求めたアミンの量は、4.4×10-4 eq/gであ
った。
【0048】この膜を、ニュ−クリポア製スウインロッ
クフィルタ−ホルダ−(φ25mm)にセットし、実施
例1と同様にヘルペスウイルス type I H.F. 株の除去
率を測定したところ、PBSバッファ−中で99.9%
以上、人血漿中で 98.3%であった。また、φX1
74(バクテリオファ−ジ)についても同様に試験を行
った結果、人血漿中で98.8%,水中で99.9%以
上の除去率を示した。
【0049】(実施例4)実施例1と同様の方法で作製
したポリプロピレンフィルターに、ポリエチレンイミン
のかわりにイミノビスプロピルアミンを固定化した膜を
得た。この空孔率は56%、透水量348ml/min/m2/mm
Hg、最大孔径0.49μであった。この膜のESCAで
求めた窒素/炭素比は0.03、過塩素酸滴定により求
めたアミンの量は、2.4×10-4 eq/gであった。
【0050】この膜を、ニュ−クリポア製スウインロッ
クフィルタ−ホルダ−(φ25mm)にセットし、実施
例1と同様にヘルペスウイルス type I H.F. 株の除去
率を測定したところ、PBSバッファ−中で99.9%
以上、人血漿中で 99.6%であった。また、φX1
74(バクテリオファ−ジ)についても同様に試験を行
った結果、人血漿中で99.8%,水中で99.9%以
上の除去率を示した。
【0051】(実施例5)ポリプロピレン製不織布(東
燃(株)製タピルス)に、実施例1と同様にしてポリエ
チレンイミン(分子量1200)を固定化した膜を得
た。
【0052】このフィルタ−をフィルタ−ホルダ−(φ
47mm)に30枚積層してセットし、実施例1と同様
にヘルペスウイルス type I H.F. 株を用いてウイルス
除去率を測定したところ、PBSバッファ−中で99.
9%以上、人血漿中で98.3%であった。また、φX
174(バクテリオファ−ジ)についても同様に試験を
行った結果、人血漿中で99.7%、水中で99.9%
以上の除去率を示した。
【0053】(実施例6)ポリウレタン製多孔質フィル
タ−(東洋ポリマ−(株)製ルビセル)に、実施例1と
同様の方法でにしてポリエチレンイミンを固定化したフ
ィルタ−を得た。
【0054】過塩素酸滴定により求めたアミンの量は、
1.6×10-4 eq/gであった。該膜の空孔率は82
%、透水量1.1×104ml/min/m2/mmHg 、最大孔径1
8μであった。
【0055】このフィルタ−を、フィルタ−ホルダ−
(φ47mm)に20枚積層し、ヘルペスウイルス typ
e I H.F. 株を約104 (PFU/ml)含むPBSバッファ−
(PH7.35〜PH7.6)と人血液を、各々30m
l濾過し、ウイルス除去率を測定したところ、PBSバ
ッファ−中で99.9%以上、人血漿中で99.1%で
あった。また、φX174(バクテリオファ−ジ)につ
いても同様に試験を行った結果、人血漿中で99.4
%,水中で99.9%以上の除去率を示した。
【0056】(比較例1)実施例1で基材として用いた
ポリプロピレンフィルタ−に、実施例1と同様の方法
で、2−メトキシエチルアクリレ−トとグリシジルアク
リレ−トを表面グラフト重合させた膜を作製した。該膜
の空孔率は59%、透水量434ml/min/m2/mmHg 、最
大孔径0.5μであった。
【0057】実施例1と同様の方法でウイルス除去試験
を行った。該フィルタ−は、PBSバッファ−中、血漿
中のどちらにおいても、ヘルペスウイルス、φX174
の各除去率は50%以下であり、除去することができな
かった。
【0058】(比較例2)実施例1で基材として用いた
ポリプロピレンフィルタ−に、実施例1と同様の方法
で、平均分子量1200のポリエチレンイミンを60
℃、1時間反応させて、膜表面に固定化した。この膜の
空孔率は57%、透水量365ml/min/m2/mmHg、最大孔
径0.50μであった。この膜のESCAで求めた窒素
/炭素比は0.004、過塩素酸滴定により求めたアミ
ンの量は、0.7×10-4 eq/gであった。
【0059】実施例1と同様にしてウイルス除去率を測
定したところ、ヘルペスウイルスでは、PBSバッファ
−中で99.9%以上、人血漿中で54%、また、φX
174(バクテリオファ−ジ)では、人血漿中で50%
以下、水中で99.9%以上の除去率を示した。水中で
はウイルスを除去できるものの、種々の蛋白質を含む血
漿中ではウイルスを除去することができなかった。
【0060】(比較例3)実施例1で基材として用いた
ポリプロピレンフィルタ−に、アルゴンプラズマ(10
0W、0.1Torr、15秒間)を照射した後、2−
メトキシエチルアクリレ−ト(0.8Torr)を3分
間、4−ビニルピリジン(0.8Torr)で2分間接
触させて表面グラフト重合を行なった後、0.1モルの
ベンジルクロライドを含むメタノ−ル中で55℃で3時
間、4級化反応を行なうことにより、ピリジニウム構造
を表面に有する空孔率57%,透水量104 ml/min/m2/
mmHg、最大孔径0.48μの膜を得た。
【0061】該フィルタ−のウイルス除去率を実施例1
と同様の方法で測定したところ、PBSバッファ−中で
は、ヘルペスウイルス及びφX174を99.9%以上
除去することができたが、人血漿中ではどちらのウイル
スの除去率も50%以下であった。
【0062】
【発明の効果】本発明のウイルス選択的除去材料は、材
料表面にアミン化合物を固定化したものなので、取り扱
いが容易であり、しかもウイルスに対して選択的な相互
作用を有し、多孔性膜等に使用した場合に、簡便で処理
速度の優れた膜になる。また、本発明のウイルス選択的
除去材料は、ウイルスの認識・分離(除去)・濃縮など
に使用することができるため、食品工業、発酵工業、医
薬品工業を初めとした産業界で広く実用可能な材料であ
る。また、血漿などの蛋白質成分を含む溶液中でもウイ
ルスを認識できるため、医療や生活現場におけるウイル
ス汚染やウイルス感染の防止、治療、診断などに効果を
発揮することとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 20/28 A 7202−4G C08J 7/00 A 7310−4F C09D 179/02 PLU 9285−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にアミン化合物を固定化したことを特
    徴とするウイルスを選択的に除去する材料。
JP4270632A 1992-07-06 1992-10-09 ウイルス選択的除去材料 Pending JPH06114250A (ja)

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JP4270632A JPH06114250A (ja) 1992-10-09 1992-10-09 ウイルス選択的除去材料
US08/085,813 US5547576A (en) 1992-07-06 1993-07-06 Pathogenic substance removing material and a blood filter containing the material
EP93401743A EP0586268B1 (en) 1992-07-06 1993-07-06 A pathogenic substance removing material and a blood filter comprising said material
DE69327891T DE69327891T2 (de) 1992-07-06 1993-07-06 Material zur Entfernung von pathogener Substanz und mit diesem Material hergestellter Blutfilter

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002035117A (ja) * 2000-07-26 2002-02-05 Toray Ind Inc 炎症性疾患治療用カラム
JP2012503087A (ja) * 2008-09-19 2012-02-02 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー リガンドグラフト官能化基材
WO2015137330A1 (ja) * 2014-03-11 2015-09-17 東レ株式会社 多孔質膜および浄水器

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