JP3356844B2 - 血液浄化システム - Google Patents

血液浄化システム

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JP3356844B2 JP28368893A JP28368893A JP3356844B2 JP 3356844 B2 JP3356844 B2 JP 3356844B2 JP 28368893 A JP28368893 A JP 28368893A JP 28368893 A JP28368893 A JP 28368893A JP 3356844 B2 JP3356844 B2 JP 3356844B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中もしくは血漿中
のウイルスを不活化させる血液浄化システムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、血液中もしくは血漿中に含まれる
病因物質とみられるウイルス、低密度リポ蛋白質(LD
L)、免疫複合体、ビリルビン、エンドトキシン等を除
去する血液浄化システムの実用化が進められてきてい
る。
【0003】例えば、特公平4−22589号、特開昭
59−129067号、特開昭58−7258号、特開
平1−192368号には、血液を血漿成分と血球成分
に分離し、平均孔径0.01〜0.1μの濾過膜を利用
して、該血漿成分から病因物質を除去するシステムが記
載されているが、膜孔径が小さいため、膜の透過性能
(濾過速度)が遅くなり、短時間に大量の血液を処理す
ることに適していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血液
中もしくは血漿中のウイルスを不活化できるとともに、
短時間に大量の血液を処理することが可能な血液浄化シ
ステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記発明の目的は、以下
に示す血液浄化装置によって達成される。 (1) 採血手段、血液処理器および返血手段からな
り、該血液処理器内には、最大孔径が0.1〜1.0μ
m、膜厚が20μm〜2mmであり、ウイルスを不活化
する物質としてアミン化合物を固定化した多孔質膜が積
層されて収納されてなることを特徴とする血液浄化シス
テム。 (2) 前記血液処理器は、血漿分離器と血漿処理器と
から構成されている上記(1)に記載の血液浄化システ
ム。 (3) 前記アミン化合物は、アジリジン化合物もしく
は1級、2級アミノ基を分子内に有する単量体の重合体
または共重合体である上記(1)または(2)に記載の
血液浄化システム。 (4) 前記アミン化合物は、ポリエチレンイミンであ
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液浄化
システム。
【0006】本発明において病因物質とは、肝炎ウイル
スやHIV(エイズウイルス)、動脈硬化や家族性高コ
レステロール血症の病因である低密度リポ蛋白質(LD
L)、自己免疫疾患の病因であるIgGや免疫複合体、
肝不全の病因であるビリルビン、敗血症の病因である細
菌やエンドトキシン、リューマチ関連物質等があり、特
に本発明の血液浄化システムは血液中のウイルスやその
関連物質を吸着除去もしくは不活化することに効果があ
る。また、その除去率は、少なくとも90%、好ましく
は99%以上であることが望ましい。ウイルスといって
も種類が多く、使用目的によっても標的となるウイルス
は異なるが、「ウイルス除去率」は、例えば、指標ウイ
ルスとしてヘルペスウイルス(HSV−1)、φX17
4、エイズウイルス(HIV)などを用いて求めること
ができる。
【0007】そこで、本発明の血液浄化システムについ
て、図1を用いて説明する。本発明の血液浄化システム
1は、採血手段2、血液処理器3および返血手段4から
構成され、採血手段2と返血手段4の間に血液処理器3
が配置されている。採血手段2は採血針5と送血管6よ
り構成され、送血管6の先端に採血針5が取り付けら
れ、他端は血液処理器3に連結している。同様に返血手
段4は返血針7と返血管8より構成され、返血管8の先
端に返血針7が取り付けられ、他端は血液処理器3に連
結している。また、送血管6の途中に、抗凝固剤注入管
10と、抗凝固剤を封入した抗凝固剤容器9で構成され
た抗凝固剤添加手段が設けられていても良い。
【0008】また図2に示すように血液処理器3が血漿
分離機能を有する場合、返血手段4が血球成分返血管8
aと血漿成分返血管8bに分かれ、返血針7の手前で互
いを合流させても良いし、図3に示すように、血液処理
器3を血漿分離器3aと血漿処理器3bで構成し、送血
管6と血球成分返血管8aの間に血漿分離器3aを、血
漿分離器3aと血漿成分返血管8bの間に血漿処理器3
bを配置し、返血針7の手前で互いを合流させた血液浄
化システムでも良い。
【0009】さらに図4〜8にしめすように、一時的貯
血容器11を、採血手段2と血液処理器3の間に設け、
返血手段4と採血手段2を合流させ、採血針5を返血針
として使用する血液浄化システムでも良い。勿論、図
4、7、8に示すように抗凝固剤を一時的貯血容器に封
入、また図5、6に示すように抗凝固剤注入管10と抗
凝固剤容器9で構成された抗凝固剤添加手段を配置、さ
らに図7、8に示すように返血手段4を血球成分返血管
8aと血漿成分返血管8bで構成、また図8に示すよう
に血液処理器3を血漿分離器3aと血漿処理器3bで構
成した血液浄化システムでも良い。
【0010】そして、本発明の血液浄化システムに用い
られる採血針5および返血針7は、公知の金属製の針、
または樹脂製の針が用いられる。送血管6、抗凝固剤注
入管10、返血管8としては、例えば、塩化ビニル樹
脂、シリコーンゴム等の透明性を有する可撓性合成樹脂
製管が好適に使用できる。一時的貯血容器11および抗
凝固剤容器9としては、軟質合成樹脂(例えば、塩化ビ
ニル樹脂)により形成された、密封型の容器、あるいは
開放型容器、例えば、菌不透過性の疎水性フィルターを
有する硬質合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、硬質
塩化ビニル樹脂)製容器等が好適に使用できる。抗凝固
剤はACD液、CPD液、クエン酸ナトリウム、ヘパリ
ン、FUT、FOY等で、生理的等張液であることが好
ましい。
【0011】また、血液処理器3は、血液の流入口、流
出口を有するハウジング内に、少なくとも1枚の血液処
理ユニットを積層し、該血液処理ユニットが血漿分離膜
と血漿流路形成体からなり、該血漿分離膜表面および/
または該血漿流路形成体表面に、該血液中の病因物質を
吸着除去もしくは不活化する物質を固定化したものであ
る。
【0012】ここで、血液中の病因物質を吸着除去もし
くは不活化する物質とは、病因物質の種類によって異な
り、ウイルスではアミン化合物やポリ硫酸化物、低密度
リポ蛋白質(LDL)では合成ポリアニオンや硫酸デキ
ストラン、IgGや免疫複合体ではスルファチアゾール
やプロテインAが好ましい。
【0013】特にアミン化合物では、分子内に複数の1
級もしくは2級アミンを有する化合物が好ましく、その
ような化合物としては、アジリジン化合物や1級、2級
のアミノ基を分子内に有する単量体の重合体または共重
合体を好適に例示できる。アジリジン化合物とは、1分
子中にアジリジン基を少なくとも1個含有する化合物を
構成成分とする重合体または共重合体のことであり、そ
のアジリジン基は、アルキル基その他の置換基で置換さ
れているものであっても良い。さらに具体的にはエチレ
ンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、N−ヒ
ドロキシエチルエチレンイミン、N−アミノエチルエチ
レンイミン、アリルアミン、ビニルアミンなどのモノマ
−単位を含んだ化合物、ポリエチレンイミンやポリプロ
ピレンイミンなどの重合体、上記のモノマ−の相互また
は他の共重合性モノマ−との共重合体を例示できる。ま
た、サイクラムやバイサイクラム系化合物をはじめとす
るアジリジン化合物の環状ポリアミン類やそれらの誘導
体も例示できるが、好ましくは、エチレンイミンの重合
体や共重合体であるポリエチレンイミンや環状ポリアミ
ン化合物である。また、これらアジリジン化合物のアジ
リジン成分量は、少なくとも5%以上、好ましくは20
%以上であり、アジリジン化合物の平均分子量は600
以上が好ましい。
【0014】さらにポリ硫酸化物としては、硫酸基やそ
の塩を分子内に有する糖、アミノ酸、ビニル化合物、
(メタ)アクリル酸誘導体の重合体や共重合体が例示で
きる。これらは硫酸化物単量体の重合、もしくは重合体
の硫酸化により作成される。また、血液中の病因物質を
吸着除去もしくは不活化する物質の血液処理ユニットへ
の固定は、血液処理ユニットを構成する多孔質膜などの
基材の一方の表面でも良いし、両者の表面に行っても良
い。この多孔質膜は中空糸状であっても平膜状であって
も良い。また表面へ固定は、血液中よりウイルスを選択
的に除去する場合には、例えば乾燥時のESCAでの表
面分析において、アジリジン化合物やアミン化合物の割
合が表面において炭素原子換算で60%以下、好ましく
は40%以下であり、例えば、ポリオレフィン系基材に
ポリエチレンイミンを固定化する場合は、窒素原子/炭
素原子(N/C)の比率が、0.005〜0.2である
ことが好ましく、さらに好ましくは、0.01〜0.1
である。N/Cが0.25を超えると、ポリエチレンイ
ミンが表面を60%以上を覆うこととなり、血液中の蛋
白質との相互作用が強くなるため、ウイルス選択的除去
能力が低下する。基材自体が窒素原子を含む場合は、基
材の窒素/炭素比で補正して存在比を算出すればよい。
また、過塩素酸などを用いた滴定法などにより測定した
アミン量での換算では、1×10-4eq/g以上が好まし
い。さらにポリ硫酸化物もNaOHなどを用いた滴定に
より1×10-4eq/g以上が好ましい。
【0015】さらに、固定化する方法は公知の方法が適
用可能である。例えば、グラフト重合法、コ−ティング
法、化学修飾法、酸化法などにより、エポキシ基、アミ
ノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、酸クロライド基などの官能基を基材表面に導入した
後、アミン化合物のアミノ基と直接もしくはカップリン
グ剤やスペ−サ−を介して基材表面に固定化することが
できる。好ましくは、グラフト重合法であり、グリシジ
ルアクリレ−トもしくはグリシジルメタクリレ−トなど
のエポキシ基を有する単量体を構成成分とするグラフト
鎖を基材表面に導入するのが好ましい。
【0016】次に、本発明に使用される血液処理器3の
構造を図9、図10により説明するが、血液処理器の形
状は特に限定されない。公知である平膜のプリーツを用
いたモジュールや中空糸モジュールであっても良い。本
発明に使用される血液処理器3は、ハウジング20と、
ハウジング内に積層された血液処理ユニット25からな
っている。ハウジング20は、血液流入口20a、濾過
残液の血液流出口(濃厚赤血球流出口)20cおよび瀘
液の血液流出口(血漿流出口)20bを有する筒状筺体
であり、底板28によりこの筒状筺体の開口が封止され
ている。底板28は側面にOリング29を有している。
【0017】このようなハウジング20、底板28の構
成材料としては、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
ト等の合成樹脂、ガラスあるいはステンレス等の金属等
が挙げられる。
【0018】血液処理ユニット25は、片面に多数の凸
部を持った血漿分離膜24と血漿流路形成体23により
形成され、中心に血液流入口20aと連通する開口部2
1および周辺付近に血漿流出口20bと連通する血漿流
通口22を備えている。そして円形血漿流路形成体23
を上下2枚の円形血漿分離膜24により多数の凸部が外
側になるように被包し、その周辺部および中心開口部2
1の周縁部を融着するとともに、血漿流通口22の外周
にシール材26を貼着することにより、血液処理ユニッ
ト25が形成されている。
【0019】ここで、血漿分離膜24は、無数の細孔が
形成された多孔性部材であり、血漿は通過するが赤血
球、白血球等の血球は実質的に通過しない性質を有する
膜であり、血漿流路形成体23は、通液性を有する材料
で構成され、その内部に血漿流路が形成され、血漿分離
膜24と血漿流路形成体23の一方の表面、あるいは両
者の表面には、血液中の病因物質を吸着除去もしくは不
活化する物質が固定されている。
【0020】また、血漿分離膜24および血漿流路形成
体23は、最大孔径が0.1μm以上のフィルタ−であ
り、平膜、中空糸膜、不織布、織布などを例示できる。
最大孔径が0.1μm以下だと、孔径が小さくなるため
十分な濾過量が得られなくなるからである。また、フィ
ルタ−の透水量は、10 ml/min/m2/mmHg 以上、好まし
くは100 ml/min/m2/mmHg 以上であることが、濾過圧
を低くできるため好ましい。さらに、フィルタ−の空孔
部の割合(空孔率)は、20%以上、好ましくは50%
以上である。また、不織布状の基材の場合、フィルタ−
材を形成するフィラメントは、モノフィラメントであっ
てもマルチフィラメントであってもよいが、平均直径が
100μm以下、好ましくは、50μm以下であると、
膜の表面積が大きくなり吸着部位が増加することとなる
ため好ましい。
【0021】また血漿分離膜および血漿流路形成体の基
材の材質は、特に限定されず、セルロ−スやその誘導体
などの天然高分子、あるいはポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリサ
ルホン、ポリアクリルニトリルなどの高分子材料を例示
できるが、好ましくは、寸法安定性に優れ水に対して低
膨潤性の材料、例えばポリプロピレンやポリフッ化ビニ
リデンなどである。
【0022】さらに、血漿分離膜および血漿流路形成体
の表面が、アクリルアミド、アルコキシアルキル(メ
タ)アクリレート等の親水性単量体の表面グラフト重合
等により親水性に改質されているものが好ましい。ま
た、血液中よりウイルスを選択的に除去するためには、
低吸着性表面であることが好ましく、さらに、孔を閉塞
せず十分な透過性能を維持できるように、水に非膨潤性
(膨潤率が20%以下)であり、ガラス転移点が290
K以下の柔軟な高分子により表面改質されていることが
好ましい。そのような重合体として、メトキシエチルア
クリレ−トに代表されるアルコキシアルキルアクリレ−
ト類の単量体を主な構成成分とする重合体や共重合体を
例示することができる。
【0023】そして、血漿流路形成体23として不織布
を用いた場合には、繊維径を小さくすることができ、切
断面の剛性が弱くなり、血漿分離膜24を傷付けること
を防止することができる。1枚の不織布により形成して
もよいが、2枚以上の不織布を複数枚重ねて形成するこ
とが好ましい。複数枚重ねることにより、不織布間に空
隙が形成されやすく、血漿の流通抵抗を少なくすること
ができる。不織布層(血漿流路形成体)の厚みは、50
〜500μmが好ましい。50μm以上であれば、血漿
流通口22周辺以外の部分を流れるための血漿の抵抗が
十分小さくでき、十分な血漿分離能および血漿浄化能を
得ることができる。また、500μm以下であれば、装
置を十分に小型化することができる。さらに、血漿流路
形成体23は、上下方向からの圧縮力が加わった時にお
いても、血漿流路を十分確保できる。十分な血漿分離能
および血漿浄化能を維持できるように、特にシール材2
6を配した血漿流通口22周辺において、血漿流路形成
体23が潰れないようにすることが好ましい。
【0024】そして、複数枚の血液処理ユニット25間
には、各ユニットに対応した中心開口部および血漿流通
口を備えた円形血液流路形成体27が配設されている。
血液流路形成体27は、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリカーボネイト等の、JISZ2
243に従って測定したブリネル硬さ10以上の硬い材
料で構成され、厚さは10〜200μm、特に20〜5
0μmであるのが好ましく、厚さが10μm未満である
と均一な血液流路の形成が難しく、200μmを越える
と血液処理器が大型化する。また、血液処理ユニット2
5の外表面に凸部を形成するかわりに、該血液流路形成
体27の外表面に凸部を形成しても良い。
【0025】そして、複数組の血液処理ユニット25と
円形血液流路形成体27を重ね合わせてハウジング20
内に挿入し、底板28を押圧してハウジング20内に嵌
合させて、Oリング29により液密状態としている。ま
た、上記の押圧により、血液処理ユニット25と血液流
路形成体27とが、前記流通口22の外周部にてシール
材26により液密に結合され、各流通口22が連通す
る。ハウジング20の血液流入口20aから流入した血
液が血漿分離膜24と血液流路形成体27との間を流
れ、血液流出口20cに至る血液流路と、血漿分離膜2
4により濾過された血漿が血漿分離膜24の内面、血漿
流路形成体23の内面を流れ、血漿流出口20bに至る
血漿流路が形成されている。
【0026】また、図3、8にしめすように血液浄化効
率を高めるために、血液処理器3を血漿分離器3aと血
漿処理器3bで構成するのが好ましい。即ち、血漿分離
器3aは上記血液処理器3と同様の構造で構成するが、
血漿分離膜表面および血漿流路形成体表面には血液中の
病因物質を吸着除去もしくは不活化する物質を固定せ
ず、血液からの血漿成分の分離のみを行う。そして上記
血液処理器3と同様の構造で、血漿分離膜表面および血
漿流路形成体表面には血液中の病因物質を吸着除去もし
くは不活化する物質を固定した血漿処理器3bで、血漿
分離器3aで分離された血漿を浄化する。
【0027】
【作用】本発明の血液浄化システム1の作用を図2、図
9を参照して説明する。人体の静脈に採血手段2である
採血針5を穿刺し送血管6を通って血液が採取され、ま
た抗凝固剤容器9より抗凝固剤注入管10から送血管6
内に抗凝固剤が注入され、血液処理器3内に血液流入口
20aから抗凝固剤が添加された血液が流入する。血液
処理器3の血漿分離膜24により分離された濃厚赤血球
成分は血液流出口20cを通って、返血手段4である血
球成分返血管内8aに流出され、また血漿分離膜24に
より分離された血漿は、該血漿分離膜24表面および/
または血漿流路形成体23表面に固定されたアミノ化合
物等の物質により、血漿中に含まれていた病因物質を吸
着もしくは不活化され、血漿流出口20bから血漿成分
返血管8bに流出され、前記濃厚赤血球成分とともに返
血針7から人体内に戻される。その結果、血液中の病因
物質が吸着あるいは不活化された血液が体内に戻され、
血液が浄化される。従って、病因物質に対応した病気の
治療に効果がある。
【0028】次に、本発明の他の血液浄化システムの作
用を、図7、9を参照して説明する。回路閉塞手段10
0を開放、回路閉塞手段101、102、104を閉塞
にして、人体の静脈に採血手段2である採血針5を穿刺
し、送血管6を通って一時的貯血容器11に血液が採取
される。一時的貯血容器11には抗凝固剤があらかじめ
封入してある。次に、回路閉塞手段101、102、1
04を開放、回路閉塞手段100を閉塞にして、一時的
貯血容器11から連結管12を通って血液処理器3内に
血液流入口20aから抗凝固剤が添加された血液を流入
させる。血液処理器3の血漿分離膜24により分離され
た濃厚赤血球成分は血液流出口20cを通って、返血手
段4である血球成分返血管内8aに流出され、また血漿
分離膜24により分離された血漿は、該血漿分離膜24
表面および/または血漿流路形成体23表面に固定され
たアミノ化合物等の物質により、血漿中に含まれていた
病因物質を吸着もしくは不活化され、血漿流出口20b
から血漿成分返血管8bに流出され、前記濃厚赤血球成
分とともに採血針5から人体内に戻される。その結果、
血液中の病因物質が吸着あるいは不活化された血液が体
内に戻され、血液が浄化される。従って、病因物質に対
応した病気の治療に効果がある。
【0029】
【実施例】以下実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。実施例における特性は、以下の条件あるいは方法
で測定した。
【0030】1.透水量 25℃±2℃で測定した値である。
【0031】2.空孔率 下式(A)により算出した。
【0032】
【数1】
【0033】3.膜の最大孔径 ASTM−F316を参考にしてバブルポイント法によ
り求めた値である。最大孔径は、製膜後の膜全体に均一
に存在する孔の最大孔径を表わす値であり、ピンホ−ル
や製膜後に作られた該最大孔径より大きな孔などは含ま
れない。
【0034】4.フラメント直径 走査型電子顕微鏡で観察したフィラメントの長径と短径
の平均値のことであり、異形フィラメントであっても多
孔質フィラメントであっても同様である。
【0035】5.ウイルスの定量 プラ−ク(溶菌斑)法により行った。すなわち、検体を
宿主細胞もしくは宿主細菌と接触させてたのち、ウイル
スに感染することにより生成するプラ−ク(溶菌斑)数
を測定することにより求めた。ウイルス除去(捕捉)率
は、下式(B)により算出した。
【0036】
【数2】
【0037】<実施例1>図7に示す構成で血液浄化シ
ステムを作成した。 1)採血手段 採血針として樹脂製の瓶針、送血管として塩化ビニル樹
脂製の内径3mmの塩化ビニル樹脂製チューブを用い
た。
【0038】2)一時的貯血容器 内容量400mlの塩化ビニル樹脂製バッグを用いた。
【0039】3)血液処理器 血漿分離膜 最大孔径0.55μm、空孔率58%、膜厚80μmの
ポリプロピレン製平膜の血液接触面上に、スクリーン版
を用いて紫外線硬化型樹脂(大日本インク社製、商品
名:ダイキュアMV)を所定のパターンにて印刷し、直
ちに紫外線を照射して、紫外線硬化型樹脂を膜面上に付
着硬化させることにより、高さ80μm、底部直径30
0μm、頂部間隔750μmである均一な凸部を形成し
たものを用いた。
【0040】血漿流路形成体 ポリプロピレン製不織布(三井石油化学工業、PK−1
03)に、アルゴンプラズマ(100W、0.1Tor
r、1.5秒間)を照射した後、2−メトキシアクリレ
ートガス(1.0Torr)に3分間、グリシジルアク
リレートガス(0.7Torr)に5分間接触させて表
面グラフト重合を行い、続いて、1wt%のポリエチレ
ンイミン(分子量1200)と0.5wt%のピリジン
を含む水溶液に、60℃、18時間浸漬し、表面にポリ
エチレンイミンを固定した。
【0041】血液処理ユニットの製造 上記2枚の血漿分離膜に上記5枚の血漿流路形成体を挟
装し、その外周縁部および中央開口の周縁部を、2mm
の幅で熱融着法により融着し、血漿流通口周縁部にホッ
トメルト系接着剤(東亜合成工業社製:PPET−1009)に
よりシールした。尚、血液浄化ユニットの各所の寸法
は、次の通りである。 外径: 102mm 中央開口径: 22mm 血漿流通口径: 5mm
【0042】血液処理器の製造 血液流入口、血漿流出口および血球成分流出口を有する
ポリカーボネイト製のハウジング内に、上記血液処理ユ
ニットとポリカーボネイト製の円形血液流路形成体(外
形102mm、厚さ50μm、ブリネル硬さ40)を交
互に10枚積層し、血漿流出口と血漿流通口が一致する
ように収納し、シリコーン製のOリングを有するポリカ
ーボネイト製の底板でハウジング下端開口を密封した。
【0043】4)返血手段 返血管として塩化ビニル樹脂製の内径3mmの塩化ビニ
ル樹脂製チューブを用いた。
【0044】5)回路閉塞手段としてクランプを用い
た。
【0045】上記血液浄化システムの性能を下記の通り
評価した。ヘルペスウイルス(type I H.F.株)
を、約104(PFU/ml)となるように添加した人
新鮮血(抗凝固剤としてCPD液を40ml添加)40
0mlを上記血液浄化システムに流した。血液浄化シス
テムに流す前後の血漿に含まれるウイルスをプラーク法
で測定し、ウイルスの除去率を算出したところ、97.
2%であった。また、φX174を指標ウイルスとし
て、同様に試験を行った結果、人新鮮血中で94.3%
の除去率を示した。
【0046】<実施例2>血液浄化システムの構成は、
実施例1と同様。 1)送血手段 実施例1と同様。
【0047】2)一時的貯血容器 実施例1と同様。
【0048】3)血液処理器 血液処理器の血漿流路形成体として、ポリプロピレン製
不織布(三井石油化学工業 PK−103)に、アルゴ
ンプラズマ(100W、0.1Torr、1.5秒間)
を照射した後、グリシジルアクリレートガス(1.0T
orr)に2分間接触させて表面グラフト重合を行い、
表面にポリ硫酸化デキストランを固定させた以外は、上
記実施例1の血液処理器と同様。
【0049】4)返血手段 実施例1と同様。
【0050】5)回路閉塞手段としてクランプを用い
た。
【0051】上記血液浄化システムの性能を下記の通り
評価した。人新鮮血を50ml/minで、上記血液浄
化システムに流し、血液浄化システムに流す前後の血漿
中の総コレステロールを酵素法(コレステロールオキシ
ターゼ法)で測定した結果、280mg/dlから12
0mg/dlと減少していた。しかし、HDL(高密度
リポ蛋白質)のコレステロール値はヘパリン−マンガン
沈殿法により測定した結果、血液浄化システムに流す前
後で、約60〜70mg/mlでありほとんど変化がな
かった。従って、選択的にLDL(低密度リポ蛋白質)
のコレステロールが吸着されていることがわかった。
【0052】<実施例3>血液浄化システムの構成は、
実施例1と同様。 1)送血手段 実施例1と同様。
【0053】2)一時的貯血容器 実施例1と同様。
【0054】3)血液処理器 血漿分離膜 上記実施例1の血漿分離膜にアルゴンプラズマ(100
W、0.1Torr、1.5秒間)を照射した後、2−
メトキシアクリレートガス(1.0Torr)に3分
間、グリシジルアクリレートガス(0.7Torr)に
5分間接触させて表面グラフト重合を行い、続いて1w
t%のポリエチレンイミン(分子量1200)と0.5
wt%のピリジンを含む水溶液に、60℃、18時間浸
漬し、表面にポリエチレンイミンを固定した。また、こ
の膜をφ25mmのフィルターホルダーにセットし、指
標ウィルスを添加した血漿10mlを濾過したところ、
ヘルペスウイルスの除去率が99.2%、φX174の
除去率が99.9%、HIVの除去率が98.9%であ
った。
【0055】血漿流路形成体 表面グラフト重合およびポリエチレンイミンの固定をし
ない以外は、実施例1と同様のポリプロビレン不織布を
用いた。
【0056】血液処理ユニットの製造 上記血漿分離膜および血漿流路形成体を使用する以外は
実施例1と同様。
【0057】血液処理器の製造 実施例1と同様
【0058】4)返血手段 実施例1と同様。
【0059】5)回路閉塞手段としてクランプを用い
た。
【0060】上記血液浄化システムの性能を実施例1と
同様測定した結果、ヘルペスウイルスの除去率99.6
%、φX174の除去率99.8%であった。
【0061】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の血液浄化シ
ステムによれば、血液中もしくは血漿中のウイルスを不
活化することができる。しかも、短時間に大量の血液を
処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である二針式血液浄化システ
ムを示す図。
【図2】本発明の他の実施例である二針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図3】本発明の他の実施例である二針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図4】本発明の他の実施例である単針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図5】本発明の他の実施例である単針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図6】本発明の他の実施例である単針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図7】本発明の他の実施例である単針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図8】本発明の他の実施例である単針式血液浄化シス
テムを示す図。
【図9】本発明の使用される血液処理器の構成例を示す
分解斜視図。
【図10】図9の血液処理器の断面図。
【符号の説明】
1・・・血液浄化システム 2・・・採血手段 3・・・血液処理器 3a・・・血漿分離
器 3b・・・血漿処理器 4・・・返血手段 5・・・採血針 6・・・送血管 7・・・返血針 8・・・返血管 8a・・・血球成分返血管 8b・・・血漿成分
返血管 9・・・抗凝固剤容器 10・・・抗凝固剤
注入管 11・・・一時的貯血容器 12・・・連結管 20・・・ハウジング 20a・・・血液流
入口 20b・・・血漿流出口 20c・・・血液流
出口 21・・・開口部 22・・・血漿流通
口 23・・・血漿流路形成体 24・・・血漿分離
膜 25・・・血液処理ユニット 26・・・シール材 27・・・血液流路形成体 28・・・底板 29・・・Oリング
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−60660(JP,A) 特開 昭61−11054(JP,A) 特開 平2−46858(JP,A) 特開 平1−115363(JP,A) 特開 昭62−244442(JP,A) 特開 平5−285382(JP,A) 特開 昭62−136241(JP,A) 特開 平3−123629(JP,A) 特開 平6−114250(JP,A) 特公 平4−22589(JP,B2) 特表 昭56−500756(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/36 545 A61M 1/36 540

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 採血手段、血液処理器および返血手段か
    らなり、 該血液処理器内には、最大孔径が0.1〜1.0μm、
    膜厚が20μm〜2mmであり、ウイルスを不活化する
    物質としてアミン化合物を固定化した多孔質膜が積層さ
    れて収納されてなることを特徴とする血液浄化システ
    ム。
  2. 【請求項2】 前記血液処理器は、血漿分離器と血漿処
    理器とから構成されている請求項1に記載の血液浄化シ
    ステム。
  3. 【請求項3】 前記アミン化合物は、アジリジン化合物
    もしくは1級、2級アミノ基を分子内に有する単量体の
    重合体または共重合体である請求項1または2に記載の
    血液浄化システム。
  4. 【請求項4】 前記アミン化合物は、ポリエチレンイミ
    ンである請求項1ないし3のいずれかに記載の血液浄化
    システム。
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