JP4393218B2 - ウイルス除去用血液処理装置およびウイルス除去方法 - Google Patents

ウイルス除去用血液処理装置およびウイルス除去方法 Download PDF

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本発明は、ウイルスを含有する血液よりウイルス及びウイルス感染細胞を除去するウイルス除去用血液処理装置、並びにウイルス除去方法に関する。特に本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)、SARSウイルスやその関連物質、及び前記ウイルスに感染した細胞を除去するウイルス除去用血液処理装置に関する。
C型肝炎、AIDS、成人T細胞白血病等の疾患は、 ウイルスが主として体液(たとえば血液)を媒介として感染するウイルス性疾患である。また近年、中国から世界に感染が広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)は、SARSウイルスと呼ばれる新型コロナウイルスによる感染が原因と考えられている。
これらの疾患に有効な予防ワクチンは現在のところなく、ウイルスに感染した場合は、若干の副作用の発現にも拘らず薬剤の投与によりウイルスを不活化したり、あるいはウイルスの増殖を防止する方法が採られている。しかしながら、これらの抗ウイルス剤は、その作用が強力であればあるほど、 副作用がそれに伴って大きくなっている。そのため、薬剤の投与を中止しなくてはならない場合があり問題であった。そこで、安全でかつ効率的に患者血液からウイルスを除去できる血液処理装置の開発が望まれていた。
従来のウイルス除去用血液処理装置としては、例えば、特許文献1には、ウイルスに対して親和性を有する物質(ポリ硫酸化合物)を表面に有する多孔質膜により、血球及び血漿中のウイルスを除去する血液処理システムが開示されている。しかしながら、この多孔質膜は、血漿や血液などに代表される高蛋白濃度の液体中では、蛋白質の非特異的吸着が強いため、ウイルスを選択的に除去することはできない。
また、特許文献2には、平均直径3μm未満の繊維からなる白血球除去材を内蔵した白血球除去手段を有する血液浄化装置が開示されている。本装置は、白血球と血漿中の免疫グロブリン及び免疫グロブリン複合体等の悪性物質を除去する装置である。しかしながら、文献2には、ウイルスに感染した細胞とウイルスを同時に除去することは開示されておらず、また有用な血小板を除去してしまうという問題があった。
更に、特許文献3には、血液中のウイルス及び白血球を除去する表面を有する水不溶性の担体をウイルス含有血液と接触させることによって、血液からウイルスと白血球を同時に除去し、かつ血小板は高回収率で回収することができるウイルス除去装置が開示されている。このウイルス除去装置のウイルス除去性能は高いが、ウイルス除去治療の目標は、患者血液から完全にウイルスを陰性化することであり、高い除去能力はもちろんのこと、多量(約4リットル以上)の血液を処理できる能力を併せ持つことが要求される。しかしながら、特許文献3のウイルス除去装置では、処理する血液の状態によって、又は血液抗凝固剤の投与量不足若しくは混合不良などが起こった際に装置内の圧力損失が大きくなってしまうことから処理速度を落とさねばならず、そのために処理時間が長くなってしまうという問題があった。
特開平8−173528号公報 特公平5−50301号公報 国際公開第03/033053号パンフレット
本発明は、多量のウイルス含有血液よりウイルス及びウイルス感染細胞を効率良く除去でき、多量の血液を処理しても血球処理手段での圧力損失を低く抑えることができるウイルス除去用血液処理装置、及びウイルス除去方法を提供することを目的とする。特に、本発明は、ウイルス感染者の治療や血液製剤からのウイルス除去に適用できるウイルス除去用血液処理装置、及びウイルス除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、血液入口、上流側血液回路、血漿分離手段、下流側血液回路がこの順に接続され、さらに血漿分離手段の血漿出口、上流側血漿回路、血漿浄化手段、下流側血漿回路がこの順に接続され、下流側血漿回路の末端は下流側血液回路の途中に設けられた血液血漿混合手段に接続されている血液処理装置において、血液血漿混合手段の下流側に少なくともウイルス及びウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段を設け、かつ血漿浄化手段として最大孔径を特定範囲内に制御した多孔性濾過膜を使用することにより、大量の血液からほぼ完全にウイルスを除去できることを見出した。また、驚くべきことに多量の血液を処理しても装置内の圧力損失が高まることがなくなり、処理速度の向上、処理時間の大幅な短縮が可能に成ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明によれば、 血液入口、上流側血液回路、血漿分離手段、下流側血液回路がこの順に接続され、さらに血漿分離手段の血漿出口、上流側血漿回路、血漿浄化手段、下流側血漿回路がこの順に接続され、下流側血漿回路の末端は下流側血液回路の途中に設けられた血液血漿混合手段に接続されている血液処理装置において、
さらに下流側血液回路の血液血漿混合手段の下流側に少なくともウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段が設けられ、かつ血漿浄化手段が、ウイルスを除去するための最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなることにより、大量の血液を処理しても血球処理手段における圧力損失の上昇を抑制できることを特徴とする、血液よりウイルス及びウイルス感染細胞を除去するための血液処理装置が提供される。
好ましくは、多孔性濾過膜の平均孔径は5nm以上45nm以下である。
好ましくは、水不溶性担体の表面に少なくとも末端親水基及び末端疎水基を有する。
好ましくは、水不溶性担体の表面における末端親水基/末端疎水基の比率は0.01以上80以下である。
好ましくは、水不溶性担体の表面に、ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマー由来のユニット8モル%以上45モル%以下と疎水性基を有する重合性モノマー由来のユニット30モル%以上90モル%以下と水酸基を有する重合性モノマー由来のユニット2モル%以上50モル%以下とから構成されるポリマーを有する。
好ましくは、ウイルスはC型肝炎ウイルス(HCV)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)、又はSARSウイルスのいずれかである。
好ましくは、血球処理手段は、血液中のリンパ球を活性化させる能力を有する。
好ましくは、本発明の血液処理装置は、血液から血漿を分離する工程、
分離した血漿を最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなる血漿浄化手段を通過させて血漿中のウイルスを除去し処理する工程、
処理した血漿と前記血漿を分離した残りの血液とを混合する工程、
及び、前記混合した血液を少なくともウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段を通過させて処理する工程を含むウイルス除去方法に用いるためのものである。
本発明によればさらに、血液から血漿を分離する工程、
分離した血漿を最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなる血漿浄化手段を通過させて血漿中のウイルスを除去し処理する工程、
処理した血漿と前記血漿を分離した残りの血液とを混合する工程、
及び、前記混合した血液を少なくともウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段を通過させて処理する工程を含むウイルス除去方法に用いるための血液処理装置の製造のための、ウイルスを除去するための最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜とウイルス感染細胞を除去するための水不溶性担体の使用が提供される。
好ましくは、本発明の血液処理装置は、少なくとも3.5Lの血液を処理することができることを特徴とする。
好ましくは、本発明の血液処理装置は、少なくとも5Lの血液を処理することができることを特徴とする。
好ましくは、前記血球処理手段は、平均繊維直径が1.0μm以上50μm未満の不織布であり、前記不織布が、円筒状メッシュの周囲に巻きつけて積層されていることを特徴とする。
本発明のウイルス除去用血液処理装置及びウイルス除去方法は、多量のウイルス含有血液よりウイルス及びウイルス感染細胞を効率良く除去でき、また大量の血液を処理しても血球処理手段における圧力損失の上昇を抑制できることから、特にウイルス感染者の治療や血液製剤からのウイルス除去に適用できる。
本発明の実施の形態について具体的に説明する。
血液中の血漿成分に存在するフリーのウイルス及び蛋白結合ウイルスは、血漿浄化手段に用いられる多孔性濾過膜のサイズセパレーションにより、ほぼ完全に除去される。また、血液細胞内に存在するウイルスは、血球処理手段に用いられるウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体により除去される。すなわち、本発明の血液処理装置は、血漿浄化手段と血球処理手段を併せ持たせたことにより、フリーなウイルス、蛋白結合ウイルスおよび細胞内ウイルスの全てのウイルスを血液中からほぼ完全に除去することができるようになったものである。
また、本発明では血球処理手段を血液血漿混合手段の下流側に配置することにより、多量の血液を処理しても血球処理手段での圧力損失が高まることがなくなった。この理由は定かではないが、推定すると、血球処理手段での圧力損失上昇は、血液中の液性血液凝固因子が血球処理手段に用いられる水不溶性担体と接触し活性化され、担体表面に閉塞膜を形成するために発生すると考えられている。従って、血漿分離手段により分離された血漿が、血漿浄化手段に用いられる多孔質膜を通過する際に、ウイルスと共に液性血液凝固因子が除去され、その後の血球処理手段における接触活性化を抑制したことが考えられる。
本発明で言うウイルスとは、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)、又はSARSウイルス等が挙げられる。なお、本発明で言うウイルスとは、血液中のフリーのウイルスのみでなく、蛋白結合ウイルス、血液細胞内に感染したウイルス等も含む。本発明の血液処理装置によるウイルス除去のメカニズムは、多孔性濾過膜のサイズセパレーション及び、水不溶性担体表面特性とウイルス及びウイルス感染細胞との親和力によると考えられる。従って、上記に挙げた以外のウイルスに対しても、サイズ及び表面特性が類似したウイルスであれば、本発明の血液処理装置を有効に使用できる。
本発明の血液処理装置において血漿浄化手段に用いられる多孔性濾過膜は、ウイルスをサイズセパレーションにより除去するため、その孔径を規定することは極めて重要である。一般に、ウイルス粒子の直径は、C型肝炎ウイルス(HCV)で約55〜60nm、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)や、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)で約100〜120nm、SARSウイルスが約60〜220nmと言われている。本発明で用いる多孔性濾過膜の最大孔径は、20nm以上50nm以下である必要がある。最大孔径が50nmより大きくなると、ウイルスが多孔性濾過膜を通過するリスクが高くなるため好ましくない。また、最大孔径が20nm未満では、血漿中の有用な蛋白質が膜を通過できなくなるため好ましくない。多孔性濾過膜の最大孔径は、より好ましくは30nm以上50nm以下、更に好ましくは35nm以上45nm以下である。
本発明で用いる多孔性濾過膜でいう多孔性とは、膜の一方の面から他方の面に貫通した孔が、膜面に無数に開口した状態を言う。この場合、孔は必ずしも直状の管として膜を貫通している必要はなく、膜の内部で屈曲していてもよい。また、いくつかの孔が膜の内部で融合していたり、逆にひとつの孔が枝分かれしていてもよく、これらが混在していてもよい。また、本発明で言う最大孔径とは、ASTM(米国材料試験協会)−F316−86の原理に基づき、多孔性濾過膜の孔内を液体で満たした状態より膜の内側から空気で加圧し、最初に気泡が発生する圧力をバブルポイント圧として求め、孔径に換算した値をいう。測定にはPorus Materials社(米国)のパームポロメーター等が使用できる。
また、多孔性濾過膜の平均孔径を規定することも重要である。本発明で用いる多孔性濾過膜の平均孔径は、好ましくは5nm以上45nm以下であることが望ましい。平均孔径が45nmより大きくなると、ウイルスが多孔性濾過膜を通過するリスクが高くなるため好ましくない。また、平均孔径が5nm未満では、血漿中の有用な蛋白質が膜を通過できなくなるため好ましくない。多孔性濾過膜の平均孔径は、より好ましくは10nm以上45nm以下、更に好ましくは25nm以上40nm以下である。なお、本発明で言う平均孔径とは、凝縮性ガスが微細な孔内で毛管凝縮し、非凝縮性ガスの透過を妨げる原理を利用し、窒素等の非凝縮性ガスと、水蒸気等の凝縮性ガスの混合ガスを多孔性濾過膜に流したときの透過能をガスの混合比を変えて測定し、孔径分布を求めたときの平均値をいう。測定には西華産業(株)のナノパームポロメーター等が使用できる。
本発明で用いる多孔性濾過膜の形状、寸法等は特に限定されるものでなく、平膜状であっても中空糸状であってもよいが、中空糸状のものは膜面積当たりの占有体積を小さくできるのでより好ましい。中空糸状の場合、中空糸の内径は100μm以上500μm以下、好ましくは150μm以上400μm以下、中空糸の膜厚は10μm以上150μm以下、好ましくは20μm以上100μm以下のものが好適に用いられる。
本発明の血液処理装置において血漿浄化手段に用いられる多孔性濾過膜の材質は特に限定されないが、血液処理用途に用いられる公知の材質であれば、たとえばポリスルホンを基材とし、親水性を得るためにポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子を有したポリスルホン系膜、あるいは再生セルロース系膜、セルロースジアセテート膜、セルローストリアセテート膜、ポリメチルメタクリレート膜、ポリアクリロニトリル膜、ポリエチレンやポリプロピレンを基材とし、親水性を得るためエチレン−ビニルアルコール共重合体などの親水性高分子を有したポリオレフィン系膜を用いることができる。なかでも、ポリスルホンにポリビニルピロリドンを添加してなるポリスルホン系膜、再生セルロース系膜、セルロースジアセテート膜は、本発明で用いるための好ましい具体例として挙げられる。
上記した多孔性濾過膜を血漿浄化手段として使用する際には、例えば該膜が中空糸状の場合、両端をポッティングして所定の膜面積を有するモジュールに成型し、必要に応じて滅菌処理を行う。モジュール化は公知の方法に従えばよく、特に限定はしない。滅菌方法も用途に応じて公知の方法から選択すればよく、例えば、乾燥状態でエチレンオキサイトガス、高圧蒸気、放射線照射、あるいはモジュールに水を充填して高圧蒸気、放射線照射等の処理をすればよい。
本発明の血液処理装置において血球処理手段に用いられる水不溶性担体は、ウイルス感染細胞を含む血液から、ウイルス感染細胞を除去することができるものである。本発明におけるウイルス感染細胞とは、ウイルスにより活性化されたマクロファージ等の白血球を挙げることができる。本発明で用いる水不溶性担体は、ウイルス感染細胞を効率良く除去することができるが、ウイルスに感染していない細胞も同時に除去してもよい。但し、有用な赤血球、血小板は回収できることが望ましい。
血球処理手段に用いられる水不溶性担体は、驚くべきことに表面に少なくとも末端親水基及び末端疎水基を有することが好ましいことが分かった。好ましい末端親水基は、荷電を有さない中性基の官能基が有用に用いられる。例示すると水酸基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシイソブチル基等の水酸基含有アルキル基、メトキシジエチレングリコール、メトキシトリエチレングリコール基等のメトキシポリエチレングリコール基等が好ましく用いられる。中でも水酸基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシイソブチル基が好ましく用いられる。
本発明で言う末端とは、主鎖の末端或いは側鎖の末端である。末端基は主鎖に対し直接結合していてもよいし、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を介して結合していてもよい。後者の場合、これらの結合を含まない末端部をいう。
本発明の血球処理手段に用いられる水不溶性担体表面において、好ましい末端疎水基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチニル基等の炭素数1以上30未満のアルキル基、フェニル基等の芳香環、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の脂肪族環等が挙げられる。血小板通過性の観点より好ましくは炭素数10以上30以下のアルキル基、メチル基、エチル基等のアルキル基、最も好ましくは炭素数10以上20以下のアルキル基、及びメチル基、エチル基が挙げられる。
上記した水不溶性担体により、ウイルス感染細胞を効率的に除去できる理由は定かではないが、ウイルス感染細胞の表面特性及びサイズの両面より効率的に除去できたと考えられる。一般に血液細胞はウイルスを細胞表面上の特定レセプターを介して取り込み、ウイルスに感染するといわれている。このとき細胞表面上のレセプターは変化し、水不溶性担体表面の末端官能基との親和性が高まったものと推定される。
ウイルス感染細胞表面との親和性を高めるため、水不溶性担体表面の末端親水基と末端疎水基とのバランスをとることは重要である。好ましい末端親水基/末端疎水基の比率としては、0.01以上80以下であることが望ましい。末端親水基/末端疎水基の比率が80より大きい場合、疎水性が低すぎるために、ウイルス感染細胞との親和性が低下するため好ましくない。一方、末端親水基/末端疎水基の比率が0.01未満では、疎水性が強すぎるために血液との濡れが悪く、担体表面が有効に利用できなくなることから好ましくない。以上の観点より、末端親水基/末端疎水基の比率はより好ましくは、0.1以上10以下,最も好ましくは0.5以上2以下である。
本発明において末端親水基及/末端疎水基の比率とは、水不溶性担体表面に存在する親水基及び疎水基の比率であり、担体と血液が接触できる表面部分での各官能基のモル比をいう。これら末端基の存在比率は、公知の固体核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、XPMS、ESCA等により求めることができる。また、コーティングなどにより担体表面を修飾する場合、コートしているポリマーでの存在比率をモル比を用いて示すことも可能である。なお本発明における表面とは、ウイルス及びウイルス感染細胞が接触できる表面をいい、ウイルス及びウイルス感染細胞が接触できない材料内部は含まない。
本発明の血液処理装置において血球処理手段に用いられる水不溶性担体は、末端親水基及び末端疎水基を有する他に、さらに担体表面に末端陽性基を有していてもよい。末端陽性基は、特に表面に陰性荷電を有するウイルス感染細胞の吸着向上の面で有用に用いられる。末端陽性基を例示すると、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等がポリマー主鎖あるいは側鎖の末端に結合して形成される3級アミノ基、複素環等の芳香環等が挙げられる。中でもジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が有用に用いられる。
また、水不溶性担体の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル等の高分子材料を例示できる。
これら高分子材料が表面修飾なしでウイルス感染細胞に対して親和性を有する場合は、そのまま用いることも可能である。また表面修飾なしでそれら機能を発揮できない場合は、機能発揮を目的として種々の公知の方法により表面修飾することが可能である。例えば、コーティング法、グラフト重合法、エポキシ基、アミノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、酸ハライド基、シアノジェンハライド基などの官能基を担体表面に導入した後、目的官能基を有する化合物と直接またはカップリング剤やスペーサーを介して結合する方法等が例示できる。この中で、コーティングが工業的にも容易に行え、性能の安定性にも優れるため最も好ましい。
コーティング法による表面修飾化合物としては、末端親水基及び末端疎水基を同時に側鎖に有する高分子化合物が挙げられるが、特にポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマー由来のユニットと、疎水性基を有する重合性モノマー由来のユニットと、水酸基を有する重合性モノマー由来のユニットから構成されるポリマーは、表面修飾化合物として好適に用いられる。
前記ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマーとしては、例えば、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールビニルエーテル、エトキシジエチレングリコールビニルエーテル、メトキシトリエチレングリコールビニルエーテル、エトキシトリエチレングリコールビニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。その中で、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレートが、高い生体適合性を有することから好ましく用いられる。更に、入手が容易であること、取り扱いやすいことや重合しやすい等の理由により、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが最も好ましい。なお、本発明で(メタ)アクリレートというときには、アクリレート及び/またはメタクリレートのことを言う。
前記ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマー由来のユニットは8モル%以上45モル%以下を占めることが望ましい。45モル%を超えるとポリマーの疎水性が低くなるため、血液等の水溶液と接触したときに溶出しやすくなるため好ましくない。また、8モル%未満では血小板回収性が低下することがあり好ましくない。前記ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマー由来のユニットの割合は、好ましくは、20モル%以上40モル%以下、更に好ましくは25モル%以上35モル%以下である。
本発明で言うユニットとは、ポリマー分子中のそれぞれの重合性モノマー由来の繰り返し最小単位を意味する。ユニットについて例示するならば、二重結合が単に開いて付加重合する場合については、CH2=CXY(X:HまたはH以外の置換基、Y:X以外の置換基)であるビニル化合物の重合性モノマーのユニットとしては繰り返し最小単位となる−(CH2−CXY)−である。またポリマーを重縮合にて合成する場合を例示するならば、ポリマーの前駆体のA−(R)−B(R:重合にて脱離しない部分、A、B:重合にて反応し脱離する部分)から、ABが脱離して重合する際の繰り返し最小単位となる−(R)−をユニットとして例示することができる。
前記疎水性基を有する重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどが挙げられる。その中で、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが適度な疎水性を有することや、重合しやすいことから好ましく用いられる。更に、生体に対する安全性が高い点でメチル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
前記疎水性基を有する重合性モノマー由来のユニットは、30モル%以上90モル%以下を占めることが望ましい。30モル%未満では、ポリマーの疎水性が低くなるため、血液等の水溶液と接触したときに溶出しやすくなる。90モル%を超えるとポリマーの疎水性が高くなるため、血液との濡れが悪く、担体表面が有効に利用できなくなることから好ましくない。前記疎水性基を有する重合性モノマー由来のユニットの割合は、好ましくは、35モル%以上80モル%以下、更に好ましくは40モル%以上70モル%以下である。
前記水酸基を含む重合性モノマーとは、分子内に水酸基を有し、ポリアルキレンオキシド鎖を含まない重合性モノマーであり、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシルブチル基等のアルキルヒドロキシル基を有する重合性モノマーが重合体主鎖より適度なスペーサー効果と親水性を有する点で好ましく用いられる。前記水酸基を含む重合性モノマーとしては2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、重合体主鎖より適度なスペーサー効果を有することにより、2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレートが好ましい。さらに3級水酸基を有することから適度な親水性を有する点で2−ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
前記水酸基を有する重合性モノマー由来のユニットは、2モル%以上50モル%以下を占めることが望ましい。2モル%未満では、ポリマーの親水性が低くなるため、血液との濡れが悪く、担体表面が有効に利用できなくなることから好ましくない。50モル%を超えるとポリマーの疎水性が低くなるため、血液等の水溶液と接触したときに溶出しやすくなる。前記水酸基を有する重合性モノマー由来のユニットの割合は、好ましくは、5モル%以上40モル%以下、更に好ましくは10モル%以上30モル%以下である。
血球処理手段に用いられる水不溶性担体の形状は、スポンジ状、ビーズ状、平膜、不織布、織布等が例示できる。中でもウイルス及びウイルス感染細胞を除去でき、高い表面積を有することができる点よりスポンジ状、不織布が好ましく用いられ、最も好ましくは不織布が挙げられる。
水不溶性担体が不織布の場合、フィラメントは、モノフィラメントでもマルチフィラメントでも構わないし、多孔質フィラメントでも異型フィラメントでも構わない。また不織布では、平均繊維直径が 1.0μm以上50μm未満の不織布が好ましい。繊維径が大きくなると基材の表面積確保が困難となり、ウイルスの吸着面積が減少するばかりでなく、ウイルス感染細胞の除去性が低下するため好ましくない。
一方、繊維径が小さくなると除去材の目詰まりが発生しやすく、かつ赤血球や血小板の回収が困難になるため好ましくない。以上の観点より、更に好ましい平均繊維径は1.0μm以上30μm未満、最も好ましくは1.5μm以上20μm未満である。
なお、本発明における平均繊維径とは、以下の方法に従って求められる値をいう。すなわち、フィルター材を構成する1枚または複数枚の繊維体から実質的に均一と認められる部分をサンプリングし、走査電子顕微鏡などを用いて、写真に撮る。サンプリングに際しては、繊維体の有効濾過断面積部分を、1辺が0.5cm の正方形によって区分し、その中から6ケ所をランダムサンプリングする。ランダムサンプリングするには、例えば上記各部分に番地を指定した後、乱数表を使うなどの方法で、必要ケ所の区分を選べばよい。またサンプリングした各区分について、3ケ所以上好ましくは5ケ所以上を拡大倍率2500倍で写真に撮る。サンプリングした各区分について中央部分及びその近傍の箇所の写真を撮っていき、その写真に撮られた繊維の合計本数が100本を超えるまで写真を撮る。ここで直径とは、繊維軸に対して直角方向の繊維の幅をいう。測定した全ての繊維の直径の和を、繊維の数で割った値を平均繊維径とする。但し、複数の繊維が重なり合っており、他の繊維の陰になってその幅が測定できない場合、また複数の繊維が溶融するなどして、太い繊維になっている場合、更に著しく直径の異なる繊維が混在している場合、等々の場合には、これらのデータは削除する。
更に、不織布の場合、ウイルス感染細胞の除去性及び赤血球や血小板の回収性を上げる上でその嵩密度が0.10g/cm3以上0.45g/cm3未満であることも重要である。嵩密度が0.10g/cm3未満の場合ウイルス感染細胞の除去性が低下するため好ましくない。一方嵩密度が0.45g/cm3以上の場合、極端に血小板の通過性が低下するため好ましくない。更に、上記の観点より好ましくは0.15g/cm3以上0.45g/cm3未満、最も好ましくは0.15g/cm3以上0.40g/cm3未満である。
上記した水不溶性担体を血球処理手段として使用する際には、入口及び出口を有する容器に水不溶性担体を充填してモジュールを作成し、必要に応じて滅菌処理を行う。モジュール化は公知の方法に従えばよく、特に限定はしない。滅菌方法も用途に応じて公知の方法から選択すればよく、例えば、乾燥状態でエチレンオキサイトガス、高圧蒸気、放射線照射、あるいはモジュールに水を充填して高圧蒸気、放射線照射等の処理をすればよい。
血液中のウイルスをさらに効率良く除去するためには、血球処理手段は、血液中のリンパ球を活性化させる能力を有することが望ましい。リンパ球は活性化によりウイルス及びウイルス感染細胞を攻撃、排除する免疫機能を有するため、リンパ球を活性化させることにより、血球処理手段で除去できなかった微量のウイルス及びウイルス感染細胞を排除することが可能になる。本発明で言うリンパ球とは、Tリンパ球及び/又はBリンパ球をいい、好ましくは、ウイルス排除機能をもつ細胞障害性Tリンパ球(CTL)及び/又は抗体産生機能を持つBリンパ球が挙げられる。
なおリンパ球活性化の程度は、公知のフローサイトメトリー法により処理前後のリンパ球分画を比較することで測定できる。例えばCTLであれば、抗CD8/抗CD25を標識とし、抗CD8(+)抗CD25(+)/抗CD8(+)抗CD25(−)の比を求める。B細胞であれば抗CD19/抗CD25を標識とし、抗CD19(+)抗CD25(+)/抗CD19(+)抗CD25(−)の比を求める。本発明におけるリンパ球活性化の程度としては、処理前後における上記比の変化率が3倍以上あることが望ましい。さらに望ましくは5倍以上である。
本発明で言う血漿分離手段とは、血液を血漿と、血球等が濃縮された血液とに分離するものであり、血漿分離用膜を用いた膜分離法、遠心分離法等の公知の方法により実施できる。特に大量の血液を低コストで効率よく分離できる点で膜分離法による方法が好ましい。血漿分離手段が血漿分離用膜を用いた膜分離法である場合、血漿分離用膜の孔径、形状、材質等は特に限定されるものでなく、公知の血漿分離用膜が用いられる。例えば、平均孔径0.1μm以上2μm以下のポリオレフィン系中空糸膜が好適に用いられる。
本発明で言う血液血漿混合手段とは、浄化された血漿と血球等が濃縮された血液とを混合するためのものである。混合は攪拌などにより完全に行うことが望ましいが、Y字型コネクターなど2つの流体を合流させるための装置であっても十分にその目的を達成することができる。
本発明で言う血液回路、血漿回路とは、血液入口、血漿分離手段、血球処理手段、血液血漿混合手段、血漿浄化手段、血液出口の間に液密に接続され、血液または血漿を連続的に処理するためのもので、公知の体外循環用血液回路等を使用できる。
以下図面を用いて、本発明の血液処理装置について詳細に説明する。
図1は、本発明の血液処理装置の一例を示す説明図である。血液は、血液入口1より入り、必要に応じ、例えばローラーポンプ、フィンガーポンプ等の血液送液ポンプ13aにより、上流側血液回路2を経由して血漿分離手段3に送られる。血漿分離手段3に送られた血液は、ここで血球等が濃縮された血液と血球等を含まない血漿に分離される。血漿分離手段3により分離された血漿は、血漿出口5から、必要に応じローラーポンプの如き血漿分離ポンプ13bにより、上流側血漿回路6を経由して血漿浄化手段7に送られ、ここで血漿中に存在するウイルスが多孔性濾過膜により除去される。多孔性濾過膜を通過できない血漿は、ウイルス含有血漿採取容器12に貯蔵される。多孔性濾過膜を通過し、ウイルスが除去された血漿は、必要に応じローラーポンプの如き血漿返漿ポンプ13cにより、下流側血漿回路8を経由して血液血漿混合手段9に送られ、ここで、血漿分離手段3から下流側血液回路4を経由して送られてきた、血球等が濃縮された血液と混合される。混合された血液は、血球処理手段10に送られる。ここで血液中に存在するウイルス感染細胞及び、血漿中の残存ウイルスが除去され、血液出口11に送られる。また、必要に応じ、圧力計14a、14b、14c及び14d,並びにドリップチャンバ15a、15b、15c及び15dを用いて装置内の圧力損失をモニターすることができる。
また、本発明において、血液と言うときには、血漿、血清などの血液成分も含む。血液を処理するときは、血液の抗凝固目的で抗凝固剤を血液中に加えることができる。抗凝固剤を例示すると、抗凝固活性を有する化合物であれば、特に限定されないが、ヘパリン、低分子ヘパリン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸ガペキセート、クエン酸塩等が好適例として挙げられ、好ましくはヘパリンが良好に用いられる。
前記抗凝固剤を加える方法としては、例えば図1において、血液入口1と血液送液ポンプ13aとの間に抗凝固剤注入手段を挿入して用いることができる(図示せず)。抗凝固剤液注入手段は、通常用いられる定量ポンプに代表される、ローラーポンプ、フィンガーポンプ、輸液ポンプ、シリンジポンプ等を用いたあらゆる手段を用いることができる。具体的には、高精度で微量注入ができるローラーポンプ、フィンガーポンプ等が有用に用いられる。
本発明によれば、血液から血漿を分離し、分離した血漿を最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなる血漿浄化手段を通過させて処理し、上記で処理した血漿と前記血漿を分離した残りの血液とを混合し、次いで、前記混合した血液を少なくともウイルス及びウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段を通過させて処理することを含む、ウイルス除去方法が提供される。例えば、被験者から取得した血液を用いて該血液から上記方法に従ってウイルスを除去し、得られたウイルが除去された血液を被験者に返血することにより、ウイルス疾患の治療を行うことができる。上記したウイルス除去方法は、本発明のウイルス除去用血液処理装置(一例としては図1に記載の血液処理装置)を用いて行うことができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示す構成で血液処理装置を作成した。
(1)血漿浄化手段7の作成
多孔性濾過膜として、内径175μm、膜厚40μm、最大孔径40nm、平均孔径25nmのエチレン・ビニルアルコール共重合体製多孔性中空糸膜を用い、該中空糸膜を夫々束ねて、束の両端をポリウレタン系接着剤を用いてポリカーボネート製容器に固定し、モジュールを作成した。該モジュールに注射用水を充填した後γ線滅菌し、血漿浄化手段とした。モジュールあたりの有効膜面積は2m2であった。
(2)血漿分離手段3の作成
内径330μm、膜厚50μm、最大孔径40μm、平均孔径300nmのポリエチレン製中空糸膜に、親水化材としてエチレン・ビニルアルコールを被覆した中空糸膜を用い、該中空糸膜を夫々束ねて、束の両端をポリウレタン系接着剤を用いてポリカーボネート製容器に固定し、モジュールを作成した。該モジュールに生理食塩水を充填した後γ線滅菌し、血漿分離手段とした。モジュールあたりの有効膜面積は0.5m2であった。
(3)血球処理手段10の作成
血球処理手段に使用する水不溶性担体の表面被覆材として、2−ヒドロキシイソブチルメタアクリレート(以下HBMAと略す)、メトキシジエチレングリコールメタアクリレート(以下MDGと略す)及びメチルメタクリレート(以下MMAと略す)のランダム共重合体を通常のラジカル開始剤を用いて合成した。重合条件としては、エタノール300mlに対し、MDGモノマー、HEMAモノマー及び、MMAモノマーを(モル比/MDG:HBMA:MMA=30:20:50)、開始剤としてアゾビスバレロニトリル(V−65)0.1g存在下、64℃で5時間重合を行った。得られた重合溶液は、水10L中に攪拌しながら滴下し、共重合体を析出させて水不溶分を回収した。得られた共重合体中の組成比は、モノマー仕込み比と同じであった。
該共重合体1gをエタノールと純水の混合溶媒100ml(エタノール:水=70:30)に溶解させ、その溶液に、平均繊維径2.9μm、目付90g/m2、厚み0.42mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬させ、余分な液を除去した後に室温で乾燥させて水不溶性担体(A)を得た。次に該共重合体0.1gをエタノールと純水の混合溶媒100ml(エタノール:水=70:30)に溶解させ、その溶液に、平均繊維径12μm、目付30g/m2、厚み0.20mmのポリエチレンテレフタレート製不織布を浸漬させ、余分な液を除去した後に室温で乾燥させて水不溶性担体(B)を得た。
水不溶性担体(A)を幅150mm、長さ750mmに切断し、直径28mmのポリエチレン製円筒状メッシュの周囲に巻きつけた。その外側に幅150mm、長さ1500mmの水不溶性担体(B)を巻きつけて積層した。更に外側に幅150mm、長さ130mmのポリエチレン製のメッシュを巻き、この円筒の両端をウレタンで閉塞し、天井部と底部にそれぞれ血液の入口と出口を有するポリカーボネート容器に、円筒の外周面が容器の血液入口に、内周面が血液の出口にそれぞれ通じるように納めた。容器内に生理食塩液を充填した状態でγ線滅菌を実施し、血球処理手段とした。
(4)血液処理装置の作成
前記血漿浄化手段7、前記血漿分離手段3、前記血球処理手段10を血液回路および血漿回路を用いて図1のように接続した。血液血漿混合手段9として塩化ビニル樹脂製Y字型コネクタ、血液入口1及び出口11には採血針として合成樹脂性の瓶針、血液回路および血漿回路として塩化ビニル樹脂製の内径3mmのチューブを用いた。また、血液出口と血液送液ポンプ13aの間に抗凝固剤注入手段として、ペリスタポンプを含む抗凝固剤注入ラインを取り付け、血液処理装置とした。
(5)ウイルス除去能の評価(1)
牛新鮮血液5L(白血球数:5,200/μL、血小板数:280,000/μL)にC型肝炎ウイルス含有血漿50mlを添加し、ウイルス量2500000個/Lのウイルス含有血液を作成した。前記血液処理装置により、抗凝固剤としてヘパリンを用いて(血液中ヘパリン濃度:2000IU/L)、血液処理流速60mL/分、血漿処理流速30mL/分で室温にて処理した。5L処理前後血液100μLをバイアルにサンプリングし、5000rpmで1分間遠心分離を行い、上清中のC型肝炎ウイルス量をHCV−RNAとして測定した。C型肝炎ウイルス量の測定には、日本ロッシュ社製、アンプリコアーHCVモニターを用いた。
C型肝炎ウイルスの除去率(%)は、以下の式により算出した。
ウイルス除去率(%)= [(Vc−Vd)/Vc ]×100
Vc:処理前血液中のウイルス濃度
Vd:処理後血液中のウイルス濃度
結果はウイルス除去率99%であり、高いウイルス除去率を示した。また、5Lの血液処理において、血液処理手段での圧力損失(=圧力計14cと圧力計14dの圧力損失)が200mmHgをこえることはなく、安定した処理が可能であった。
(6)ウイルス除去能の評価(2)
前記血液処理装置を用いて、C型肝炎患者の体外循環血液処理を実施した。抗凝固剤としてヘパリンを用い(血液中ヘパリン濃度:1000IU/L))に、血液処理流速60mL/分、血漿処理流速30mL/分で5Lの血液を処理した。体外循環開始1時間時において、血液処理装置前後でサンプリングした血液のC型肝炎ウイルス量を上記と同様に測定し、ウイルス除去率を算出した。結果はウイルス除去率98%であり、高いウイルス除去率を示した。また、ウイルスが感染していると考えられているマクロファージの除去率は97%であり、高い除去率を示した。また、5Lの血液処理において、血液処理手段での圧力損失(=圧力計14cと圧力計14dの圧力損失)が200mmHgをこえることはなく、安定した処理が可能であった。
〔比較例1〕
図1に示す血液処理装置において、血球処理手段を除いたこと以外は実施例1と同様な血液処理装置を作成した。該血液処理装置を用いて、C型肝炎患者の体外循環血液処理を実施した。抗凝固剤としてヘパリンを用い(血液中ヘパリン濃度:1000IU/L)、血液処理流速60mL/分、血漿処理流速30mL/分で5Lの血液を処理した。体外循環開始1時間時において、血液処理装置前後でサンプリングした血液のC型肝炎ウイルス量を上記と同様に測定し、ウイルス除去率を算出した。結果はウイルス除去率98%であり、高いウイルス除去率を示した。しかし、ウイルスが感染していると考えられているマクロファージの除去率は5%であり、ウイルス感染細胞の除去はできなかった。また、5Lの血液処理において、血液処理手段での圧力損失(=圧力計14cと圧力計14dの圧力損失)が200mmHgをこえることはなく、安定した処理が可能であった。
〔比較例2〕
図1に示す血液処理装置において、血球処理手段を血漿分離手段の上流側に配置したこと以外は実施例1と同様に血液処理装置を作成した。牛新鮮血液5L(白血球数:6,400/μL、血小板数:320,000/μL)にC型肝炎ウイルス含有血漿50mlを添加し、ウイルス量2500000個/Lのウイルス含有血液を作成した。前記血液処理装置により、抗凝固剤としてヘパリンを用いて(血液中ヘパリン濃度:2000IU/L)、血液処理流速60mL/分、血漿処理流速30mL/分で室温にて処理した。結果は、3.5L処理時点で血液処理手段での圧力損失(=圧力計14cと圧力計14dの圧力損失)が200mmHgをこえたために、5Lの血液を処理できなかった。
〔比較例3〕
図1に示す血液処理装置において、血漿浄化手段の最大孔径を80nm、平均孔径を50nmにしたこと以外は実施例1と同様に血液処理装置を作成した。牛新鮮血液5L(白血球数:4,500/μL、血小板数:150,000/μL)にC型肝炎ウイルス含有血漿50mlを添加し、ウイルス量2500000個/Lのウイルス含有血液を作成した。前記血液処理装置により、抗凝固剤としてヘパリンを用いて(血液中ヘパリン濃度:2000IU/L)、血液処理流速60mL/分、血漿処理流速30mL/分で室温にて処理した。5L処理前後の血液をサンプリングし、実施例1と同様にC型肝炎ウイルス除去率を算出した。結果は、ウイルス除去率40%であり除去能が低下した。
産業上の利用の可能性
本発明のウイルス除去用血液処理装置及びウイルス除去方法によれば、ウイルスを含有する多量の血液よりウイルス及びウイルス感染細胞をほぼ完全に除去することができるので、特にウイルス感染者の治療や血液製剤からのウイルス除去用として有用に用いられる。
本発明の血液処理装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 血液入口
2 上流側血液回路
3 血漿分離手段
4 下流側血液回路
5 血漿出口
6 上流側血漿回路
7 血漿浄化手段
8 下流側血漿回路
9 血液血漿混合手段
10 血球処理手段
11 血液出口
12 ウイルス含有血漿採取容器
13a 血液送液ポンプ
13b 血漿分離ポンプ
13c 血漿返漿ポンプ
14a〜d 圧力計
15a〜d ドリップチャンバ

Claims (12)

  1. 血液入口、上流側血液回路、血漿分離手段、下流側血液回路がこの順に接続され、さらに血漿分離手段の血漿出口、上流側血漿回路、血漿浄化手段、下流側血漿回路がこの順に接続され、下流側血漿回路の末端は下流側血液回路の途中に設けられた血液血漿混合手段に接続されている血液処理装置において、
    さらに下流側血液回路の血液血漿混合手段の下流側に少なくともウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段が設けられ、かつ血漿浄化手段が、ウイルスを除去するための最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなることにより、大量の血液を処理しても血球処理手段における圧力損失の上昇を抑制できることを特徴とする、血液よりウイルス及びウイルス感染細胞を除去するための血液処理装置。
  2. 多孔性濾過膜の平均孔径が5nm以上45nm以下である,請求項1に記載のウイルス除去用血液処理装置。
  3. 水不溶性担体の表面に少なくとも末端親水基及び末端疎水基を有する、請求項1または2に記載のウイルス除去用血液処理装置。
  4. 水不溶性担体の表面における末端親水基/末端疎水基の比率が0.01以上80以下である、請求項3に記載のウイルス除去用血液処理装置。
  5. 水不溶性担体の表面に、ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマー由来のユニット8モル%以上45モル%以下と疎水性基を有する重合性モノマー由来のユニット30モル%以上90モル%以下と水酸基を有する重合性モノマー由来のユニット2モル%以上50モル%以下とから構成されるポリマーを有する、請求項3または4に記載のウイルス除去用血液処理装置。
  6. ウイルスがC型肝炎ウイルス(HCV)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)、又はSARSウイルスのいずれかである、請求項1から5の何れか1項に記載のウイルス除去用血液処理装置。
  7. 血球処理手段が、血液中のリンパ球を活性化させる能力を有する、請求項1から6の何れか1項に記載のウイルス除去用血液処理装置。
  8. 血液から血漿を分離する工程、
    分離した血漿を最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなる血漿浄化手段を通過させて血漿中のウイルスを除去し処理する工程、
    処理した血漿と前記血漿を分離した残りの血液とを混合する工程、
    及び、前記混合した血液を少なくともウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段を通過させて処理する工程を含むウイルス除去方法に用いるための、請求項1から7の何れか1項に記載の血液処理装置。
  9. 血液から血漿を分離する工程、
    分離した血漿を最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜からなる血漿浄化手段を通過させて血漿中のウイルスを除去し処理する工程、
    処理した血漿と前記血漿を分離した残りの血液とを混合する工程、
    及び、前記混合した血液を少なくともウイルス感染細胞を除去する水不溶性担体からなる血球処理手段を通過させて処理する工程を含むウイルス除去方法に用いるための血液処理装置の製造のための、ウイルスを除去するための最大孔径20nm以上50nm以下の多孔性濾過膜とウイルス感染細胞を除去するための水不溶性担体の使用。
  10. 前記血液処理装置が、少なくとも3.5Lの血液を処理することができることを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の血液処理装置。
  11. 前記血液処理装置が、少なくとも5Lの血液を処理することができることを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の血液処理装置。
  12. 前記血球処理手段が、平均繊維直径が1.0μm以上50μm未満の不織布であり、前記不織布が、円筒状メッシュの周囲に巻きつけて積層されていることを特徴とする、請求項1から8、10及び11の何れか1項に記載の血液処理装置。
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