JPH0584071A - ウイルス捕捉方法およびウイルス回収方法 - Google Patents

ウイルス捕捉方法およびウイルス回収方法

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JPH0584071A
JPH0584071A JP24972691A JP24972691A JPH0584071A JP H0584071 A JPH0584071 A JP H0584071A JP 24972691 A JP24972691 A JP 24972691A JP 24972691 A JP24972691 A JP 24972691A JP H0584071 A JPH0584071 A JP H0584071A
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JP
Japan
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virus
trapping
molecule
monomer
less
Prior art date
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Pending
Application number
JP24972691A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiaki Taguchi
文章 田口
Takashi Owada
尚 大和田
Masato Onishi
誠人 大西
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アニオン性基を分子内に有する単量体を1構
成成分とした重合体を基材表面の少なくとも一部に保持
させてなるウイルス捕捉体に流体を通過させることで、
該流体中のウイルスを除去できる。 【効果】 流体中よりポリオウイルス等のウイルスを除
去し、安全な飲料水及び精密な理化学用水が確保でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体中に存在するウイ
ルスを容易にかつ高率で捕捉または除去する方法、なら
びにウイルスを濃縮回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】我々の生活を取り巻く生活環境水中に
は、活水処理が完全になされず排出された下水あるいは
漏洩等により人、動物や細菌類などに由来する各種ウイ
ルスが存在する。特に、上下水道が完備されていない地
域や発展途上国では、飲料水中に存在するウイルスや細
菌による疾患のため、多くの人々が苦しんでいる。ま
た、先進国においても、古い建築物や高層ビルの給水塔
・給水管の汚染、下水の上水への混入、浄水システムの
事故等により、生活用水への危険性が指摘されるように
なっている。
【0003】さらには、大量迅速処理が要求される現在
の浄水施設や上水設備では、ウイルスの水道水中への混
入が懸念されており、今後ますますウイルス感染の危険
性が高くなると考えられる。
【0004】近年、飲料用水汚染が国内外で大きな問題
となっており、我が国においても家庭用浄水器等が急速
な勢いで普及している。しかしながら、現在ある家庭用
浄水器等は、水道水中に含まれる悪臭物質や細菌を除去
し、美味しい水を供給することを目的としたものが多
く、ウイルスについてあまり留意されていない。
【0005】活性炭も水中に存在する有機物や塩素の除
去には効果を発揮するがウイルス除去性能は低い。
【0006】ウイルスを捕捉する方法として、含窒素複
素環を分子内に有する単量体を構成成分とした重合体を
基材表面に保持させた濾材を用いる方法(平成1年特許
願257704号)が提唱されており、多種多様のウイ
ルスを迅速かつ強固に吸着することができる。
【0007】しかしながら、最近の本発明者等の研究に
よると、ポリオウイルスのあるタイプが上記の方法では
捕捉できないことが明らかとなった。
【0008】ポリオウイルスの捕捉法としては、ソブシ
ー(M.K.SOBSEY)やグラス(J.S.GLA
SS)による研究(アプライド・アンド・エンバイロメ
ンタル・マイクロバイオロジー(Applied and Environm
ental Microbiology),Vol.40,No.2,P2
01−210,1980、同誌Vol.47,No.
5,P956−960,1984)があるが、90%以
上の確率での捕捉はできておらず、特に通常の水道水の
pH領域(pH5〜8)における捕捉率は50%を下回
っており、特に期待できるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオウイ
ルス等の従来の方法では捕捉が困難であるウイルスを捕
捉する方法を提供することを目的とする。
【0010】また、ウイルス感染の可能性が少ない安全
な飲料水や生活用水を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決する為に鋭意研究を行った結果、下記の本発明
により解決できることを見いだした。
【0012】 ウイルスを含有する流体よりウイルス
を捕捉する方法において、アニオン性基を分子内に有す
る単量体を1構成成分とした重合体を基材の少なくとも
一部に保持させてなるウイルス捕捉体に、該ウイルスを
含有する流体を通過させ、該ウイルスを該ウイルス捕捉
体に吸着させることを特徴とするウイルス捕捉方法。
【0013】 前記基材が、空孔率20〜90%、通
水量10ml/min/m2/mmHg以上、湿潤時の
寸法変化率が10%以下の特性を有する膜型多孔質体で
ある上記記載のウイルス捕捉方法。
【0014】 前記基材が、多数の交差するフィラメ
ントより形成され該多数のフィラメントの直径がすべて
100μm以下で、湿潤時の寸法変化率が10%以下の
特性を有する膜型フィルターである上記記載のウイル
ス捕捉方法。
【0015】 前記アニオン性基を分子内に有する単
量体が、アニオン性基部位に、−COOHまたは−CO
OM(Mは、金属元素を示す。)を有する分子である上
記記載のウイルス捕捉方法。
【0016】 上記記載のウイルス捕捉体に、前記
ウイルスを含有する流体を通過させてウイルスを吸着さ
せた後、該ウイルスを含有する流動体より高いpHを有
する誘出液を通過させて吸着されたウイルスを回収する
ウイルス回収方法。
【0017】 流体よりウイルスを捕捉する方法にお
いて、アニオン性基を分子内に有する単量体を1構成成
分とした重合体を基材表面の少なくとも一部に保持させ
てなるウイルス捕捉体と、カチオン性基を分子内に有す
る単量体を1構成成分とした重合体を基材表面の少なく
とも一部に保持させてなるウイルス捕捉体に、該ウイル
スを含有する流体を通過させることにより、ウイルスを
該ウイルス捕捉体に吸着させることを特徴とするウイル
ス捕捉方法。
【0018】 前記基材が、空孔率20〜90%、通
水量10ml/min/m2/mmHg以上、湿潤時の
寸法変化率が10%以下の特性を有する膜型多孔質体で
ある上記のウイルス捕捉方法。
【0019】 前記基材が、多数の交差するフィラメ
ントより形成され該多数のフィラメントの直径がすべて
100μm以下で、湿潤時の寸法変化率が10%以下の
特性を有する膜型フィルターである上記記載のウイル
ス捕捉方法。
【0020】本発明によるウイルスを捕捉する方法によ
ると、アニオン性基を分子内に有する単量体を1構成成
分とした重合体を基材の少なくとも一部に保持させてな
る濾材からなるウイルス捕捉体により、流動体中のポリ
オウイルス等の従来の方法では捕捉が困難であったウイ
ルスの捕捉が可能となり、また、含窒素複素環を分子内
に有する単量体を構成成分とした重合体を基材表面に保
持させた濾材を用いる方法(平成1年特許願25770
4号)等の従来の方法と組み合わせることにより、ウイ
ルス捕捉率を従来の方法によるものより向上させること
ができる。
【0021】また、ポリオウイルスに対する捕捉率も、
従来の方法では捕捉率の悪かった通常の水道水等のpH
5〜8の領域における捕捉率を、90%以上に向上させ
ることができる。
【0022】また、ポリオウイルスを含んでいた流動体
より高いpHを示す流動体を流すことにより、ウイルス
捕捉体に吸着したウイルスを回収できる。この時のpH
8以上の流動体を流すことが好ましく、特に好ましいの
はpH9〜11の範囲である。
【0023】本発明に使用するウイルス捕捉体の基材に
多孔質膜形状を使用する場合は、その最大孔径が0.1
〜10.0μm、より好ましくは0.2〜2.0μm、
膜厚10〜1000μm、より好ましくは20〜200
μm、空孔率20〜90%、より好ましくは40〜80
%、通水量が10ml/min・m2・mmHg以上、
より好ましくは100ml/min・m2・mmHg以
上であることが望ましい。
【0024】多孔質体としては、平膜状、中空糸膜状な
どの膜状形状、スポンジ形状などのフィルター形状が好
ましい。
【0025】その際最大孔径が0.1μm以下である
と、充分な流動体の透過速度が得られなくなり、10.
0μm以上であるとウイルスの捕捉率が低くなる。好ま
しくは0.2〜2.0μmである。
【0026】また、空孔率が20%以下であると、充分
な流動体の透過速度が得られなくなり、90%以上にな
ると物理的に弱くなる。
【0027】さらに、通水量が10ml/min・m2
・mmHg以上、より好ましくは100ml/min・
2・mmHg以上であることが低圧で濾過できるため
好ましい。
【0028】また、本発明に使用するウイルス捕捉体の
基材に直径100μm以下の多数の交差するフィラメン
トを使用すると、通水量に優れ、さらに迅速かつ吸着能
力に優れ、さらに直径が30μm以下のフィラメントよ
りなるフィルター材であると、濾材の表面積を大きくで
きウイルス捕捉性を高めることができる。
【0029】その際使用するはフィラメントは、モノフ
ィラメントであってもマルチフィラメントのどちらでも
良い。
【0030】また、各ウイルス捕捉体に用いる基材は、
少なくとも一部にアニオン性基を分子内に有する単量体
を1構成成分とした重合体保持させると、アニオン性基
を有する重合体は親水力が強いため水分で膨張して寸法
変化が生じるためと、孔径の縮小化を少なくし透水速度
を大きく保たせるために湿潤時の寸法変化率が10%以
下であることが好ましい。
【0031】以上のことより、本発明のウイルス捕捉体
に用いる基材としては、ポリフッ化ビニリデン、セルロ
ース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、
ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリアミド、ポロテトラフルオロエチレン、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等の熱可塑性樹脂や
これらの共重合体あるいはこれらのブレンド物などを用
いることが好ましい。
【0032】このうち、特に、機械的強度、耐薬品性に
優れたポリオレフィンおよび一部もしくは全ての水素が
ハロゲンで置換されたポリオレフィンを主成分としてい
る基材が好ましい。
【0033】本発明に用いるアニオン性基を分子内に有
する単量体としては、分子内にカルボキシル基、スルホ
ン酸基、リン酸基などのアニオン化能を有する官能基を
持つ単量体のアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスル
ホン酸、エチレンスルホン酸、ビニルリン酸などを用い
ることができるが、ウイルスの回収を考えた場合には、
特に、−COOHまたは−COOM(Mは、金属元素を
示す。)部位を分子内に有する単量体であるメタクリル
酸、アクリル酸等が好ましい。
【0034】また、アニオン性基を分子内に有する単量
体を1構成成分とする重合体とは、アニオン性単量体を
含む高分子を1構成成分とする重合体であれば特に限定
する必要はなく、他の単量体とのコポリマーや金属、フ
ィラー、セラミックなどを含有していてもよい。
【0035】本発明に用いるカチオン性基を分子内に有
する単量体としては、分子内に1級アミン、2級アミ
ン、3級アミン、4級アンモニウム塩などのカチオン化
能を有する官能基を持つ単量体で、ビニルピリジン、ビ
ニルピリジニウム、アリルアミン、p−アミノスチレ
ン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、エチ
レンイミン、ビニルトリメチルアンモニウム、N−ビニ
ル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、オキシエチル−
1−メチルピリジニウム、N−アクリルアミドプロピル
−3−トリメチルアンモニウム、2−ヒドロキシ−3−
メタクロイロキシプロピルトリメチルアンモニウム、
N,N−ジメチル−3,5−メチレンピペリジウム、2
−アクリロキシエチルジメチルスルホニウム、グリシジ
ルトリブチルホスホニウムなどがある。
【0036】好ましいカチオン性単量体としては、ウイ
ルスや微生物を迅速かつ強固に捕捉できるピリジニウム
構造を分子内に有する単量体がよい。
【0037】また、カチオン性基を分子内に有する単量
体を1構成成分とする重合体とは、カチオン性単量体を
含む高分子を構成成分とする重合体であればよく、他の
単量体とのコポリマーや金属、フィラー、セラミックな
どを含有していてもよい。
【0038】また、前記カチオン性基を分子内に有する
単量体を1構成成分とする重合体は、該捕捉体の一部に
存在していればよいが、全表面に存在あるいは濾材自体
がこのような重合体により構成されていてもよい。
【0039】また、本発明において、アニオン性基を分
子内に有する単量体を1構成成分とする重合体とカチオ
ン性基を分子内に有する単量体を1構成成分とする重合
体とを同時に用いる場合のウイルス捕捉体は、一方の面
にアニオン性基を保持させ他方の面にカチオン性基を保
持させた1枚の膜体でもよく、また、別々に作成した2
種類の膜体を積層して用いてもよい。
【0040】上記に示した各単量体の基材への保持方法
としては、コーティング法や反応性基を利用してのグラ
フト重合法、架橋不溶化法、あるいは光反応、紫外線、
電子線、γ線を利用した架橋重合法などの公知の方法を
使用することができる。
【0041】なかでも、前記各単量体がグラフト重合可
能な重合開始点を少なくとも一部の表面に有する高分子
基材にガス状で供給されて表面グラフト重合される方法
が特に好ましい。
【0042】グラフト重合可能な重合開始点とは、単量
体が分子内に二重結合を有しかつラジカル重合可能なも
のであれば、高分子ラジカルを膜表面に生成させればよ
い。高分子ラジカルの生成法としては、電子線、ガンマ
線、紫外線、プラズマ、オゾン、ラジカル生成剤(水素
引抜剤)等があるが、プラズマを用いる方法が該単量体
をガス状で供給し、固体−気相重合により表面グラフト
重合を進行させ、ドライプロセスでウイルス捕捉体を製
造することが可能となるので好ましい。
【0043】さらに、このようなプラズマグラフト法を
用いて化学的に結合させると、基材表面に結合されたグ
ラフト鎖は、水溶液中において溶解したような状態で存
在することとなり、架橋不溶化法などにより固定化され
たものと比べてウイルス捕捉能力が高くなるために好ま
しい。
【0044】なお、本明細書中の通水量は、0.7(k
gf/cm2)の圧力下で測定した値であり、空孔率は
下記の式1で表される値である。
【0045】
【式1】 空孔率(%)=空孔部の体積/(空孔部の体積+捕捉体
実質部の体積)×100 また、フィラメントの直径は、走査型電子顕微鏡で観察
したフィラメントの直径と短径の平均値のことであり、
異形フィラメントであっても多孔質フィラメントであっ
てもよい。
【0046】ウイルスの定量は、プラーク(溶菌斑)法
により行った。すなわち、検体を宿主細胞もしくは宿主
細菌と接触させた後、ウイルスに感染することにより生
成するプラーク(溶菌斑)数を測定することにより求め
た。
【0047】ウイルス捕捉率は、下記の式2により算出
した。
【0048】
【式2】 ウイルス捕捉率(%)=(1−生存ウイルス数/原液中
のウイルス数)×100 湿潤時の寸法変化率は、5cm×1cmの短冊状に切断
した試料を、25±1℃の蒸留水に1時間浸漬した後、
長軸方向の寸法変化を下記の式3で表した値である。
【0049】
【式3】 寸法変化率(%)=(浸漬後の長さ(cm)−5)/5
×100 以下、実施例を示し本発明のウイルス捕捉方法について
詳細に説明する。
【0050】
【実施例】
(実施例1)メルトフローインデックスが30及び0.
3のポリプロピレン混合物(混合重量比 100:4
0)100重量部当たり、400重量部の流動パラフィ
ン(数平均分子量324)及び0.3重量部の結晶核形
成剤としての1,3,2,4−ビス(p−エチルベンジ
リデン)ソルビトールを二軸型押出機により溶融混練し
ペレット化した。
【0051】このペレットを上記押出機を用いて150
〜200℃で溶融し、スリット幅0.6mmのTダイス
より空気中に押し出して、Tダイス直下に置かれた冷却
液槽のガイドローラーの回転によってポリエチレングリ
コールよりなる冷却固化液中に導き、冷却固化した後巻
き取った。
【0052】巻き取ったフィルム状物を一定長に切断
し、縦横両方向を固定し、1,1,2−トリクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン中に10分間×4回
(合計40分)浸漬して流動パラフィンの抽出を行い、
次いで135℃の空気中で2分間熱処理し、最大孔径
0.8μm、空孔率69%、膜厚120μmのポリプロ
ピレンフィルターを得た。
【0053】このようにして得られたポリプロピレンフ
ィルターに、アルゴンプラズマ(100W,0.1To
rr、15秒間)を照射した後、メタクリル酸を1.8
Torrで2分間接触させて表面グラフト重合を行い、
−COOH基を表面に有する空孔率67%、通水量97
(ml/min/m2/mmHg)、寸法変化率1%以
下のウイルス捕捉体(a)を得た。
【0054】得られたウイルス捕捉体(a)をφ25に
打ち抜き、ニュークリポア製スウインロックフィルター
ホルダーを用いて、ポリオウイルス type 1 L
sc2ab株を約104PFU含むリン酸緩衝液(各
pH5.4,pH6.6,pH8.0)10mlを濾過
し、ウイルス捕捉率を測定したところ、pH5.4の時
99.8%、pH6.6の時98.8%、pH8.0の
時97.8%であった。
【0055】(実施例2)フィラメント径が約10μ
m、厚さ500μmのポリプロピレン不織布(東燃石油
化学(株)製)に、アルゴンプラズマ(300W、0.
1Torr、30秒間)を照射した後、メタクリル酸を
1.8Torrで5分間接触させ表面グラフトを行い、
−COOH基を表面に有し、寸法変化率1%以下の不織
布状ウイルス捕捉体(b)を得た。
【0056】得られたウイルス捕捉体(b)をφ25に
打ち抜き3枚重ね、ニュークリポア製スウインロックフ
ィルターホルダーを用いて、ポリオウイルス type
1Lsc 2ab株を約104PFU含むリン酸緩衝
液(pH6.6)10mlを濾過し、ウイルス捕捉率を
測定したところ、99%であった。
【0057】(実施例3)実施例1で基材として用いた
ポリプロピレンフィルターに、アルゴンンプラズマ(1
00W、0.1Torr、15秒間)を照射した後、メ
タクリル酸を1.8Torrで2分間接触させ表面グラ
フト重合させた後、未反応のメタクリル酸を減圧除去
し、続いてメトキシエチルアクリレートを供給して、
0.9Torrで3分間、表面グラフト重合させウイル
ス捕捉体(c)を得た。
【0058】得られたウイルス捕捉体(c)をメタノー
ルで充分洗浄した後、φ25に打ち抜き、ニュークリポ
ア製スフィンロックホルダーを用いて、ポリオウイルス
type 1 Lsc 2ab株を約104PFU含
むリン酸緩衝液(pH5.4)10mlを濾過し、ウイ
ルス捕捉率を測定したところ、99.5%であった。
【0059】続いて吸着したウイルスを回収するため、
pH8.0のリン酸緩衝液10mlを誘出液として加圧
濾過し、濾過液よりウイルス捕捉体(c)に吸着してい
たウイルスの回収率を求めたところ100%であった。
【0060】(実施例4)実施例1で基材として用いた
ポリプロピレンフィルターに、アルゴンンプラズマ(1
00W、0.1Torr、15秒間)を照射した後、ビ
ニルピリジンを0.8Torrで5分間接触させ表面グ
ラフト重合させた後、0.1モルのベンジルクロライド
を含むメタノール中で55℃で3時間、4級化反応を行
うことにより、ピリジニウム構造を表面に有し、湿潤時
の寸法変化率1%以下のウイルス捕捉体(d)を得た。
【0061】得られたウイルス捕捉体(d)と実施例1
で作製したウイルス捕捉体(a)とをφ25に打ち抜
き、2枚重ね周辺部を160℃で熱融着することにより
アニオン性基を分子内に有する単量体を1構成成分とし
た重合体よりなる表面とカチオン性基を分子内に有する
単量体を1構成成分とした重合体よりなる表面とを有す
る空孔率67%、通水量38(ml/min/m2/m
mHg)、寸法変化率1%以下のウイルス捕捉体(e)
を得た。
【0062】得られたウイルス捕捉体(e)をニューク
リポア製スフィンロックホルダーを用いて、ヘルペスウ
イルス type I H.F.株を約104PFU含
むリン酸緩衝液(pH7.35〜7.60)10mlを
濾過し、ウイルス捕捉率を測定したところ、捕捉率は1
00%であった。
【0063】また、ポリオウイルス type 1 L
sc 2ab株を約104PFU含むリン酸緩衝液(p
H7.35〜7.60)10mlを濾過し、ウイルス捕
捉率を測定したところ、捕捉率は99.9%であった。
【0064】細菌に感染するウイルス(バクテリオファ
ージ)T7、T4、φ×174の3種類についても同様
に捕捉率を測定したところ、いずれの場合にも99.9
%以上の捕捉率が得られた。
【0065】(比較例)実施例1で基材として用いたポ
リプロピレンフィルターに、アルゴンンプラズマ(10
0W、0.1Torr、15秒間)を照射した後、ビニ
ルピリジンを0.8Torrで5分間接触させ表面グラ
フト重合させた後、0.1モルのベンジルクロライドを
含むメタノール中で55℃で3時間、4級化反応を行う
ことにより、ピリジニウム構造を表面に有する空孔率9
7%、通水量72(ml/min/m2/mmHg)、
寸法変化率1%以下のウイルス捕捉体(f)を得た。
【0066】得られたウイルス捕捉体(f)をφ25に
打ち抜き、ニュークリポア製スウインンロックフィルタ
ーホルダーを用いて、ヘルペスウイルス type I
H.F.株を約104PFU含むリン酸緩衝液(pH
7.35〜7.60)10mlを濾過し、ウイルス捕捉
率を測定したところ、捕捉率は100%であった。
【0067】しかしながら、ポリオウイルス type
1 Lsc 2ab株を約104PFU含むリン酸緩
衝液(pH7.35〜7.60)10mlを濾過し、ウ
イルス捕捉率を測定したところ、捕捉率は0%であっ
た。
【0068】
【発明の効果】本発明によるウイルスを捕捉する方法
は、実施例1〜4に示すように、アニオン性基を分子内
に有する単量体を1構成成分とした重合体を基材表面の
少なくとも一部に保持させてなるウイルス捕捉体によ
り、ポリオウイルス type 1Lsc 2ab株の
従来の方法では捕捉が困難であったウイルスの捕捉が可
能となった。
【0069】また、従来の方法ではポリオウイルスの捕
捉率が悪かったpH4〜9の領域における流動体からの
捕捉率を、90%以上に向上させることができる。
【0070】さらに、カチオン性基を分子内に有する単
量体を1構成成分とした重合体を基材表面の少なくとも
一部に保持させてなるウイルス捕捉体を併用すること
で、その効果は向上する。
【0071】そのため、浄水器等を組み合わせることに
より、通常家庭でも安全な飲料水や生活用水が確保でき
る。
【0072】さらに、カチオン性基を分子内に有する単
量体を1構成成分とした重合体を基材表面の少なくとも
一部に保持させてなるウイルス捕捉体を併用すること
で、その効果は向上する。
【0073】また、ポリオウイルスを含んでいた流動体
より高いpHを示す流動体を流すことにより、ウイルス
捕捉体に吸着したウイルスを除去でき、ウイルスの収集
または、ウイルス捕捉体の再利用が可能となる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウイルスを含有する流体よりウイルスを
    捕捉する方法において、アニオン性基を分子内に有する
    単量体を1構成成分とした重合体を基材の少なくとも一
    部に保持させてなるウイルス捕捉体に、該ウイルスを含
    有する流体を通過させ、該ウイルスを該ウイルス捕捉体
    に吸着させることを特徴とするウイルス捕捉方法。
  2. 【請求項2】 前記基材が、空孔率20〜90%、通水
    量10ml/min/m2/mmHg以上、湿潤時の寸
    法変化率が10%以下の特性を有する膜型多孔質体であ
    る請求項1記載のウイルス捕捉方法。
  3. 【請求項3】 前記基材が、多数の交差するフィラメン
    トより形成され該多数のフィラメントの直径がすべて1
    00μm以下で、湿潤時の寸法変化率が10%以下の特
    性を有する膜型フィルターである請求項1記載のウイル
    ス捕捉方法。
  4. 【請求項4】 前記アニオン性基を分子内に有する単量
    体が、アニオン性基部位に、−COOHまたは−COO
    M(Mは、金属元素を示す。)を有する分子である請求
    項1記載のウイルス捕捉方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のウイルス捕捉体に、前記
    ウイルスを含有する流体を通過させてウイルスを吸着さ
    せた後、該ウイルスを含有する流体より高いpHを有す
    る誘出液を通過させることにより吸着された該ウイルス
    を回収するウイルス回収方法。
  6. 【請求項6】 流体よりウイルスを捕捉する方法におい
    て、アニオン性基を分子内に有する単量体を1構成成分
    とした重合体を基材表面の少なくとも一部に保持させて
    なるウイルス捕捉体と、カチオン性基を分子内に有する
    単量体を1構成成分とした重合体を基材表面の少なくと
    も一部に保持させてなるウイルス捕捉体に、該ウイルス
    を含有する流体を通過させ、該ウイルスを該ウイルス捕
    捉体に吸着させることを特徴とするウイルス捕捉方法。
  7. 【請求項7】 前記基材が、空孔率20〜90%、通水
    量10ml/min/m2/mmHg以上、湿潤時の寸
    法変化率が10%以下の特性を有する膜型多孔質体であ
    る請求項6記載のウイルス捕捉方法。
  8. 【請求項8】 前記基材が、多数の交差するフィラメン
    トより形成され該多数のフィラメントの直径がすべて1
    00μm以下で、湿潤時の寸法変化率が10%以下の特
    性を有する膜型フィルターである請求項6記載のウイル
    ス捕捉方法。
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