JP3033961B2 - ウィルス捕捉体およびその製造方法 - Google Patents

ウィルス捕捉体およびその製造方法

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JP3033961B2 JP1257704A JP25770489A JP3033961B2 JP 3033961 B2 JP3033961 B2 JP 3033961B2 JP 1257704 A JP1257704 A JP 1257704A JP 25770489 A JP25770489 A JP 25770489A JP 3033961 B2 JP3033961 B2 JP 3033961B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ウィルス捕捉体およびその製造方法に関す
るものである。詳しく述べると本発明は、流体中に存在
するウィルスを接触により簡単かつ効率よく捕捉するウ
ィルス捕捉体およびその製造方法に関するものである。
(従来の技術) 天然水中には、未処理や部分的に処理された下水の排
出にともない、また陸上の流出物により、ヒト、動物あ
るいは植物に由来する各種ウィルスが存在する。
従来、天然水を利用するには、あらかじめ沈澱や瀘過
などにより懸濁物質を除去し、清澄水としているが、こ
のようなウィルスに関する除去はあまり留意されていな
い。例えば都市用水処理などにおける活性炭での吸着処
理、瀘過処理などのような従来の不純物除去処理におい
てもウィルスはある程度除去されているが、ウィルス除
去の観点からは十分なものではない。すなわち、活性炭
は水中に存在する有機物の除去には効果を発揮するが、
ウィルスの除去能は低い。また、孔径が0.2〜0.45μm
の精密瀘過膜は、細菌をその孔径の大きさによって除去
することができるが、サイズの小さなウィルスは透過し
てしまうためその除去は困難であった。
また、従来、例えば注射液、輸液などに使用するため
にウィルスを含まない水を製造しているが、これらは水
を蒸留処理する方法、孔径の小さな限外瀘過膜を用いる
方法、あるいはいわゆる逆浸透膜を用いた方法によるも
のであり、いずれも使用する装置、操作方法が高度で複
雑な技術を必要とし、加えて多量の処理には不適当であ
るという問題点を有するものであった。
また、空孔率30〜90容積%、膜厚5〜100μm、空気
瀘過速度5〜30×104/m2・hr・0.5atmで、膜の微小空
孔が下記の構造、すなわち、微小空孔が延伸方向に配列
したミクロフィブリルと該ミクロフィブリルに対しほぼ
直角に連結した節部とから形成される平均幅が0.05〜0.
30μmである短冊状最小空孔が積層された形態を有し、
該微小空孔は膜の一方の面から他方の面へ順次相互につ
ながっている構造を有するポリオレフィン多孔質膜を用
いたウィルスの除去も提唱されている(特開昭60−1428
60号)。しかしながら、このような延伸法により開孔さ
れたポリオレフィン多孔質膜においては、膜強度が十分
なものとはならず実用上問題があり、さらに十分な処理
速度が得られないものであった。
(発明が解決しようとする課題) 従って、本発明は新規なウィルス捕捉体およびその製
造方法を提供することを目的とするものである。本発明
はまた多量処理に適し、かつ捕捉性の優れたウィルス捕
捉体およびその製造方法を提供することを目的とするも
のである。本発明はさらに、簡単にかつ一般水道程度の
水圧において水または水溶液中のウィルスを除去できる
ウィルス捕捉体およびその製造方法を提供することを目
的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸目的は、ハロゲン化物により4級化されてなる
含窒素複素環を分子内に有する単量体を一構成成分とし
た重合体を基材表面に化学的に保持させたことを特徴と
するウィルス捕捉体により達成される。
本発明はまた、含窒素複素環を分子内に有する単量体
を一構成成分とした重合体を保持する基材が、織布、不
織布および多孔質体からなる群より選ばれた少なくとも
1つの形態を有するウィルス捕捉体を示すものである。
本発明はさらに、含窒素複素環を分子内に有する単量体
を一構成成分とした重合体を保持する基材が、水に対し
て低膨潤性のものであるウィルス捕捉体を示すものであ
る。本発明はさらに、最大孔径0.1〜10.0μm、膜厚10
〜1000μm、空孔率20〜90%、通水量1ml/min・m2・mmH
g以上の多孔質膜の形態を有するウィルス捕捉体を示す
ものである。本発明はまた、直径100μm以下の多数の
交差するフィラメントより形成されたフィルター材の形
態を有するウィルス捕捉体を示すものである。本発明は
さらに、含窒素複素環がピリジン環であるウィルス捕捉
体を示すものである。本発明はさらにまた、含窒素複素
環がハロゲン化物により4級化されているものであるウ
ィルス捕捉体を示すものである。
上記諸目的はまた、含窒素複素環を分子内に有する単
量体を一構成成分とした共重合体を、プラズマグラフト
重合法により基材表面に化学的に保持させたのち、ハロ
ゲン化物で4級化することを特徴とするウィルス捕捉体
の製造方法によっても達成される。
(作用) 本発明のウィルス捕捉体は、含窒素複素環を分子内に
有する単量体を一構成成分とした重合体を基材表面に化
学的に保持させたことを特徴とするものである。このよ
うに本発明のウィルス捕捉体においては、その表面に不
溶化された高分子イオンが存在し、このウィルス捕捉体
の電解質高分子表面が、ウィルスと良好な静電的相互作
用をもたらし、さらにこの含窒素複素環を分子内に有す
る単量体を一構成成分とした重合体の分子構造が、ウィ
ルスとの間に適当な疎水性相互作用やファン・デル・ワ
ールス相互作用などの吸着力をもたらすものと考えら
れ、ウィルスを大きさで除去する逆浸透膜や瀘過膜と異
なり、通常の水道の水圧程度で簡単にかつ効率的にウィ
ルス除去を行なうことができるものである。なお、本明
細書において「化学的に結合させる」とは、コーティン
グ法のように、予め合成された高分子を単に基材表面に
被覆するのではなく、何らかの化学的作用、例えば架橋
反応やグラフト反応あるいは静電結合や高分子錯体の形
成などを利用して基材表面に堅固に保持させることを指
すものである。従って、本発明のウィルス捕捉体は、含
窒素複素環を分子内に有する単量体を一構成成分とした
重合体を単にコーティングしたものと異なり、該高分子
の溶出・剥離という問題が生じることがなく、安全性の
高いものとなり、その用途も拡大する。さらに単なるコ
ーティング法では、前記重合体の一つであるポリビニル
ピリジニウムなどのように親水性の高いものを、ポリオ
レフィンなどの疎水性の基材に均一にコートすることは
困難であるが、化学作用を伴なう方法を駆使することに
より所望のウィルス捕捉体が得られることとなるもので
ある。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明す
る。
本発明のウィルス捕捉体は、含窒素複素環を分子内に
有する単量体を一構成成分とした重合体を基材表面に化
学的に保持させたことを特徴とするものである。
本発明のウィルス捕捉体において、含窒素複素環を分
子内に有する単量体を一構成成分とした重合体は、ウィ
ルス捕捉体表面の少なくとも一部に存在していればよ
く、必ずしも、全表面に存在するあるいはウィルス捕捉
体自体がこのような重合体により構成される必要はな
い。
含窒素複素環を分子内に有する単量体としては、例え
ば、1−ビニルピラゾール、3,5−ジメチル−1−ピラ
ゾール、3−メチル−5−フェニル−1−ビニルピラゾ
ール,1−フェニル−4−ビニルピラゾール、5−ビニル
ピラゾリン、3−メチル−5−ビニルピラゾリン、1−
ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、4−ビ
ニルイミダゾール、1−メチル−2−ビニルイミダゾー
ル、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−メチル
−2−ビニルイミダゾール、1−メチル−5−ビニルイ
ミダゾール、1−エチル−5−ビニルイミダゾール、1
−エチル−5−ビニルイミダゾール、1−プロピル−5
−ビニルイミダゾール、1−ブチル−5−ビニルイミダ
ゾール、1−ビニル−2,4−ジメチルイミダゾール、1
−ビニル−2−イミダゾリン、1−ビニル−2−メチル
−2−イミダゾリン、2−ビニル−3−メチル−2−イ
ミダゾリン、1−ビニル−2−イミダゾリノン、3−ビ
ニル−5,5−ジメチルヒダントイン、1−ビニル−2−
ピロリドン、3−ビニル−2−ピロリドン、1−ビニル
−3−メチル−2−ピロリドン、1−ビニル−4−メチ
ル−2−ピロリドン、1−ビニル−5−メチル−2−ピ
ロリドン、1−ビニル−3,3−ジメチル−2−ピロリド
ン、1−ビニル−5−フェニル−2−ピロリドン、1−
ビニル−3−ベンジル−2−ピロリドン、2−ビニル−
2−オキサゾリン、4−メチル−2−ビニル−2−オキ
サゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニル−2,3−ジメチルオキサゾリン、5−メ
チル−N−ビニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、
N−ビニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、N−ビ
ニル−2,2,5,5−テトラメチル−4−オキサゾリドン、
3−メチル−4−イソプロペニルイソオキサゾール、3
−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、3−ビニル−
1,2,4−オキサジアゾール、2−ビニル−1,2,4−トリア
ゾール、2−ビニル−1,2,3−トリアゾール、4−ビニ
ル−1,2,3−トリアゾール、1−ビニルテトラゾール、
2−ビニルテトラゾール、1−メチル−5−ビニルテト
ラゾール、2−メチル−5−ビニルテトラゾール、1−
ビニルインゾール、2−メチル−1−ビニルインドー
ル、3−メルル−1−ビニルインドール、N−ビニルベ
ンゾトリアゾール、2−ビニルベンゾイミダゾール、N
−ビニルベンゾイミダゾール、N−ビニル−2−メチル
ベンゾイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、9−ビ
ニルカルバゾール、2−ビニルピリジン、3−ビニルピ
リジン、4−ビニルピリジン、2−ビニル−3−メチル
ピリジン、2−ビニル−4−メチルピリジン、5−ビニ
ル−2−メチルピリジン、4−ビニル−3,5−ジメチル
ピリジン、3−ビニルピペリジン、1−メチル−2−ビ
ニルピペリジン、4−ビニルピリミジン、2−N,N−ジ
メチルアミノ−4−ビニルピリミジン、2−ビニルピラ
ジン、2−ビニル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジ
ン、1−ビニル−テトラヒドロピリミジン、5,6−ジヒ
ドロ−2−ビニル−4H−1,3−オキサジン、1−ビニル
−2−ピペリドン、3−ビニル−1,3−オキサジン−2
−オン、4−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−
N,N′−トリメチレンウレア、3−(2−ビニル)−6
−メチル−4,5−ジヒドロピロダジノン、2,4−ジメチル
−6−ビニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6
−ビニル−1,3,5−トリアジン、1−ビニル−3,5−ジブ
チルイソシアヌレート、1−ビニル−2−エトキシ−4
−ピリミジン、1−ビニルウラシル、1−ビニル−3−
メチルウラシル、6−メチル−1−ビニルウラシル、1
−ビニルチミン、2−ビニルキノリン、4−メチル−2
−ビニルキノリン、9−ビニルアクリジン、9−ビニル
アデニン、6−アセチル−9−ビニルアデニン、9−ビ
ニルヒポキサンチン、9−ビニルグアニン、5−メチル
−2−ビニルイミノビベンジル、N−ビニルフタルイミ
ド、N−ビニルスクシンイミド等がある。
これらの単量体のうち、特に含窒素複素環としてピリ
ジン環を有するもの、例えば2−ビニルピリジン、3−
ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニル−3
−メチルピリジン、2−ビニル−4−メチルピリジン、
5−ビニル−2−メチルピリジン、4−ビニル−3,5−
ジメチルピリジンなどがウィルスに対する捕捉性、経済
性および重合容易性の面から好ましいものである。
さらに、これら単量体の含窒素複素環は、適当なハロ
ゲン化物、特にベンジルブロマイド、ベンジルクロライ
ドなどのようなフェニル基を有するハロゲン化物により
4級化されていても構わないし、塩の形であってもよ
い。
また、含窒素複素環を分子内に有する単量体を一構成
成分とした重合体は、前記したような含窒素複素環を有
する単量体の一種による単独重合体であっても、あるい
はこれらの含窒素複素環を有する単量体を複数種もしく
はこれらの含窒素複素環を有する単量体と共重合可能な
その他の単量体を複数種を組合せて形成されるランダム
もしくはブロック共重合体であってもよい。
これらの含窒素複素環を有する単量体と共重合可能な
その他の単量体としては、例えば、アクリル酸、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアク
リレート、ブチルアクリレート類、メタクリル酸、メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピ
ルメタクリレート、ブチルメタクリレート類、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレ
ート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレンな
どが挙げられる。
前記したように本発明のウィルス捕捉体は、含窒素複
素環を分子内に有する単量体を一構成成分とした重合体
を基材表面に化学的に保持したものであれば特に限定さ
れるものではないが、好ましくは、水に対して低膨潤性
の基材表面に含窒素複素環を一構成成分とした重合体を
化学的に保持させたものが望ましい。すなわち、このよ
うな水に対して低膨潤性基材の表面に含窒素複素環を一
構成成分とした重合体を保持させた場合には、使用時に
おいて水によりウィルス捕捉体が膨潤して流路が閉塞し
通水性が低下してしまうなどといった問題の生じる虞れ
が少ないためである。なお、ここで水に対して「低膨潤
性」の基材とは、1×10cmの短冊状のサンプルを蒸溜水
に24時間浸漬したときの長手方向における寸法変化(膨
潤)率が5%以下の基材を指すものである。このような
基材としては、ポリフッ化ビニリデン、セルロース誘導
体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレ
タン、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリエチレン
テレフタレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等の熱可塑性
樹脂や共重合体あるいはこれらのブレンド物などがあ
る。このうち特に、機械的強度、耐薬品性に優れたポリ
オレフィンおよび一部もしくは全ての水素がハロゲンで
置換されたポリオレフィンを主成分としている基材が好
ましい。
このような基材表面への、含窒素複素環を有する単量
体を一構成成分とする重合体の保持方法は、該高分子溶
液を架橋不溶化する方法、前記単量体のグラフト重合
法、プラズマ重合法等を用いることができ、化学的な保
持を生むものであれば特に限定されないが、前記単量体
がグラフト重合可能な重合開始点を少なくとも一部の表
面に有する高分子基材にガス状で供給されて表面グラフ
ト重合されたものが好ましい。グラフト重合可能な重合
開始点とは、単量体が分子内に二重結合を有しかつラジ
カル重合可能なものであれば、高分子ラジカルを膜表面
に生成させればよい。高分子ラジカルの生成法として
は、電子線、ガンマ線、紫外線、プラズマ、オゾン、ラ
ジカル生成剤(水素引抜剤)等があるが、プラズマを用
いる方法が該単量体をガス状で供給し、固体−気相重合
により表面グラフト重合を進行させ、ドライプロセスで
ウィルス捕捉体を製造することが可能となるので好まし
い。なお、このようにして形成される含窒素複素環を有
する単量体を一構成成分とする合成高分子層の厚みは5m
m以下、好ましくは10〜200μmである。
また本発明のウィルス捕捉体の形態は特に限定され
ず、使用用途などに応じて、例えば不織布、織布、編
布、多孔質体、フィルム、微粒子等あるいはこれらの組
合せなど各種の態様を取り得る。これらの形態のうち、
特に、不織布、織布あるいは多孔質体が、例えば浄水器
などのような処理装置に組立てやすく、かつ処理表面積
を大きくとれることから好ましい。なお、多孔質体とし
ては、平膜状、中空糸膜状などの膜状形状、スポンジ形
状などの塊状形状が含まれる。
このウィルス捕捉体が、多孔質膜形状を有する場合、
その最大孔径が0.1〜10.0μm、より好ましくは0.2〜2.
0μm、膜厚10〜1000μm、より好ましくは20〜200μ
m、空孔率20〜90%、より好ましくは40〜80%、通水量
が1ml/min・m2・mmHg以上、より好ましくは10ml/min・m
2・mmHg以上であることが望まれる。このような特性を
有する多孔質膜形状である場合、孔径による瀘過機能と
前記したような親和力によるウィルス捕捉性の2つの機
能を1つのウィルス捕捉体で有することとなり、さらに
その処理速度も優れたものとなる。また、このウィルス
捕捉体が織布、不織布などである場合には、これらが直
径100μm以下、より好ましくは10μm以下のフィラメ
ントを多数交差することによって形成されているもので
あることが望まれる。すなわち、このように直径10μm
以下のフィラメントにより構成されていると、単位面積
当りの表面積を大きくしてウィルス捕捉能を高めること
ができるものである。ここで、上記「最大孔径」とは、
ASTM−F316に記載されているバブルポイント法でイソプ
ロピルアルコールを溶媒にして測定した値であり、「空
孔率(%)」は全体積に占める空孔部の体積を百分率で
表わしたものであり、またフィラメントの「直径」は走
査型電子顕微鏡で観察したフィラメントの長径と短径の
平均値のことである。なお、フィラメントは異形フィラ
メントであっても多孔質フィラメントであってもよい。
本発明のウィルス捕捉体は、例えば、飲料水や、細胞
培養、組織培養等の用水、あるいは注射液、点眼液、輸
液等の医療用水溶液などといった無機物、有機物あるい
は高分子水溶液などの広範囲の水、水溶液あるいは血液
の処理に用いられ得るが、特に、簡便な構成および操作
においてかつ迅速な処理速度で、十分なウィルス捕捉性
を発揮することができることから、簡易浄水器、水処理
システムなどのような比較的多量の水または水溶液の処
理を行なうものに好適に用いられる。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1 メルトフローインデックス(M.I.)が30および0.3の
ポリプロピレン(重量比100:60の混合物)100重量部当
り、有機充填剤として流動パラフィン(数平均分子量32
4)435重量部および結晶核形成剤として1,3,2,4−ビス
(p−エチルジベンジリデン)ソルビトール0.2重量部
を二軸押出機(池具鉄工株式会社製)で溶融混練しペレ
ット化したものを上記押出機を用いて150〜200℃で溶融
し、スリット幅0.6mmのTダイより空気中に押し出し、
Tダイ直下に置かれた冷却液相のガイドローラーの回転
によって冷却固化液中に導き冷却固化した後巻取った。
巻取ったフィルム状物を一定長に切断し、縦横軸両方向
を固定し、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフロオロエ
タン中に10分間、計4回浸漬して流動パラフィンの抽出
を行い、次いで135℃の空気中で2分間熱処理を行っ
て、最大孔径0.45μm、膜厚120μmのポリプロピレン
製多孔質膜を得た。
このようにして得られたポリプロピレン多孔質膜に、
低温プラズマ(アルゴン0.1torr)を15秒間照射した
後、4−ビニルピリジン単量体をガス状で供給し、288K
の温度で10分間表面グラフト重合を行って、ウィルス捕
捉体を作製した。さらに、表面グラフト鎖中のピリジン
環由来の窒素を、ベンジルブロマイドを用いて4級化し
たタイプのウィルス捕捉体を作成した。
これらの多孔質膜よりなるウィルス捕捉体に、ウィル
ス(バクテリオファージT7)を含む溶液(約105/ml)を
3ml/min・cm2の透水速度で通水し、ウィルスの除去性能
を測定したところ、4級化したタイプで99.999%、非4
級化タイプで99.99%の除去率であった。さらにこれら
ウィルス捕捉体の通水量を測定した結果、400〜500ml/m
in・m2・mmHgであった。
実施例2 ポリプロピレン不織布(東燃石油化学(株)、タピル
ス)を基材として、実施例1と同様にビニルピリジンを
表面グラフト重合した後、ベンジルクロライドにより表
面グラフト鎖中のピリジン環由来の窒素を4級化して、
不織布形状のウィルス捕捉体を作成した。この不織布形
状のウィルス捕捉体を5枚重ねて、実施例1と同様にウ
ィルスを含む溶液を透水し、ウィルスの除去性能を測定
したところ99.9%以上の除去率であった。さらにこのウ
ィルス捕捉体の通水量を測定した結果、2700ml/min・m2
・mmHgであった。
実施例3 ポリフッ化ビニリデン粉末(三菱油化(株)製、kyna
r K301)18重量部を、アセトン73.8重量部およびジメ
チルホルムアミド8.2重量部に溶解してなる溶液を、ポ
リエチレンテレフタレートフィルム上にキャストした
後、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン浴
中に5分間浸漬し、乾燥して膜厚135μm、最大孔径0.4
5μmのポリフッ化ビニリデン多孔質膜を得た。
この多孔質膜に実施例1と同様の方法で、1−ビニル
−2−イミダゾリンを表面グラフト重合し、ベンジルク
ロライドで4級化反応を行って、多孔質膜状のウィルス
捕捉体を作製した。この多孔質膜状のウィルス捕捉体
に、実施例1と同様にウィルスを含む溶液を通水し、バ
クテリオファージT7の除去性能を測定したところ99.9%
以上の除去率であった。さらにこのウィルス捕捉体の通
水量を測定した結果、338ml/min・m2・mmHgであった。
比較例1 メトキシエチルメタクリレートを単量体として実施例
1と同様に表面グラフト重合を行なったポリプロピレン
多孔質膜をウィルス捕捉体として使用して、実施例1と
同様に同様にウィルスを含む溶液を通水し、ウィルスの
除去性能を測定したところ、透水量は実施例1の膜と代
わらないにもかかわらず、バクテリオファージT4および
バクテリオファージT7の除去率は90%以下であった。
(発明の効果) 以上述べたように本発明のウィルス捕捉体は、ハロゲ
ン化物で4級化されてなる含窒素複素環を分子内に有す
る単量体を一構成成分とした重合体を基材表面に化学的
に保持させたことを特徴とするものおよび含窒素複素環
を分子内に有する単量体を一構成成分とした重合体を多
孔質体表面に物理的に保持させたことを特徴とするもの
であるから、水道水程度の低い水圧で水溶液中に含まれ
るウィルスを簡単に除去することができ、かつ高い通水
量が得られるものであり、さらに該重合体の溶出・剥離
等といった問題もなく安全性にも優れるものであるた
め、飲料水をはじめとする広範囲の水あるいは水溶液の
浄化処理に適用でき、水を媒体としたウィルスの人体へ
の感染や培養細胞のウィルス・マイコプラズマ等による
汚染を防止するのに高い効果を発揮することとなる。
さらに本発明のウィルス捕捉体において用いられる基
材が織布、不織布および多孔質体からなる群より選ばれ
た少なくとも1つの形態を有するものであり、水に対し
て低膨潤性のものである、さらには最大孔径0.1〜10.0
μm、膜厚10〜1000μm、空孔率20〜90%、通水量1ml/
min・m2・mmHg以上の多孔質膜の形態を有する、あるい
は直径100μm以下の多数の交差するフィラメントより
形成されたフィルター材の形態を有するものであると、
該ウィルス捕捉体の使用がより簡便なものとなり、また
このウィルス捕捉体における窒素複素環を分子内に有す
る単量体が、ピリジン環を分子内に有する単量体であ
る、あるいはまた含窒素複素環がハロゲン化物により4
級化されているものであると、そのウィルス除去性能は
より良好でかつ安定したものとなる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−262705(JP,A) 特開 昭62−234522(JP,A) 特開 平1−224009(JP,A) 特開 昭52−81077(JP,A) 特開 昭53−43086(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/44

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化物により4級化されてなる含窒
    素複素環を分子内に有する単量体を一構成成分とした重
    合体を基材表面に化学的に保持させたことを特徴とする
    ウィルス捕捉体。
  2. 【請求項2】ハロゲン化物により4級化されてなる含窒
    素複素環を分子内に有する単量体を一構成成分とした重
    合体を保持させる基材が、織布、不織布および多孔質体
    からなる群より選ばれた少なくとも1つの形態を有する
    ものである請求項1に記載のウィルス捕捉体。
  3. 【請求項3】ハロゲン化物により4級化されてなる含窒
    素複素環を分子内に有する単量体を一構成成分とした重
    合体を保持させる基材が、水に対して低膨潤性のもので
    ある請求項1または2に記載のウィルス捕捉体。
  4. 【請求項4】最大孔径0.1〜10.0μm、膜厚10〜1000μ
    m、空孔率20〜90%、通水量1ml/min・m2・mmHg以上の
    多孔質膜の形態を有する請求項1〜3のいずれかに記載
    のウィルス捕捉体。
  5. 【請求項5】直径100μm以下の多数の交差するフィラ
    メントにより形成されたフィルター材の形態を有するも
    のである請求項1〜3のいずれかに記載のウィルス捕捉
    体。
  6. 【請求項6】含窒素複素環がピリジン環である請求項1
    〜5のいずれかに記載のウィルス捕捉体。
  7. 【請求項7】含窒素複素環を分子内に有する単量体を一
    構成成分とした重合体を、プラズマグラフト重合法によ
    り基材表面に化学的に保持させたのち、ハロゲン化物に
    より4級化することを特徴とするウィルス捕捉体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】前記基材が多孔質膜である請求項7に記載
    のウィルス捕捉体の製造方法。
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