JP2915932B2 - 複合機能性多孔質膜 - Google Patents

複合機能性多孔質膜

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、複合機能性多孔質膜に関するものである。
詳しく述べると本発明は、例えば、血液浄化、人工臓器
あるいは細胞培養などの医療分野、生物学分野等におい
て使用される多孔質膜に関するものである。
(従来の技術) ポリプロピレンなどのポリオレフィンよりなる多孔質
膜は、その耐薬品性、寸法安定性、機械的強度などの物
性が優れていることから多くの分野で注目されている。
しかしながら、ポリオレフィン多孔質膜は、疎水性膜で
あり、またポリオレフィン素材自体が特別な機能を有す
るということがないためその用途は限定されるものであ
った。すなわち、多孔質膜の孔径を利用した限外濾過膜
であるとかあるいは人工肺などで使用されるガス交換膜
としては一応の機能は有しているものの、高度な機能を
発現する多孔質膜としては実用に耐え得るものではなか
った。
ところで、このような多孔質膜などの固体材料を活用
して種々の機能を発揮させようとする場合に、その表面
状態が影響する場合が少なくない。このため、各種の素
材よりなる固体材料の表面特性を改質し、種々の用途に
利用しようとする試みが従来より数多く行なわれてい
る。多孔質膜において、一般によく行なわれる表面処理
としては親水化処理が挙げられ、例えば親水性架橋重合
体を保持させる方法(特開昭63-190602号など)である
とか、親水性高分子をグラフト重合する方法(特開昭62
-262705号など)などが開発・提唱されている。また、
選択透過性や選択吸着性を付与することを目的として、
例えば、多孔質膜の表面にスルホン基およびカルボキシ
基を導入しカチオンないしカチオン性化合物を選択的に
除去させようとするもの(特開昭62-210005号)である
とか、あるいは多孔質膜の空孔部に日的とした物質に親
和性を有する化合物を埋め込んだものなどが提唱されて
いる。
しかしながら、このように多孔質膜の表面に所望の機
能を有する高分子を保持させ、基材である多孔質膜が本
来有していない性質・機能を付与しようとした場合、し
ばしば多孔質膜であるがゆえの種々の問題が生じてく
る。例を挙げると、保持させた高分子の物性により多孔
質膜全体としての物性・機械的強度が著しく影響される
ということがある。この場合、プラスに働くよりはマイ
ナスに作用することのほうが多く、例えばポリプロピレ
ン多孔質膜に細胞親和性・ウィルス捕捉性を有するポリ
ビニルピリジンや低密度リポプロテイン選択吸着性を有
するポリメタクリル酸をグラフト鎖として結合させると
膜の物性が著しく脆弱となるものであった。このこと
は、模本体を構成する高分子の実質部分、すなわち連続
相の部分が少なくかつ細いという多孔質形状に起因する
ものである。
またさらに、このように多孔質膜の表面にある所望の
機能を有する高分子を保持させて、各種の機能的用途に
使用しようとした場合、当該特定の機能は表面に保持さ
れた高分子によって付与されるものの、副次的な機能が
十分でないために未だ満足のゆく供用がなされないこと
がある。例えば、上記のごとく選択的透過性や選択的吸
着性などの機能を多孔質膜の表面に保持した高分子によ
り付与したとしても、基材としてポリオレフィン製多孔
質膜のごとき疎水性の多孔質膜を用いていれば、その疎
水性までもは改質されない場合がほとんどであり、実際
にこの機能膜を使用する前にアルコール−水置換法など
によって親水化処理を施す必要が残っているといった問
題である。
(発明が解決しようとする課題) 従って、本発明は新規な複合機能性多孔質膜を提供す
ることを目的とするものである。本発明はまた、基材と
なる多孔質膜の有する特性を損なうことなく、新たな機
能を付与した複合機能性多孔質膜を提供することを目的
とするものである。本発明はまた、親水性、機械的強
度、選択的吸着性、あるいは細胞親和性などといった複
数の異なる機能を付与した複合機能性多孔質膜を提供す
ることを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸目的は、多孔質膜を構成する合成高分子よりな
る連続相の少なくとも一部の表面に、親水性、ゴム弾
性、耐γ線性、耐分解溶出性、血液適合性、生体適合
性、細胞親和性、徐放性、抗菌性、選択透過性、選択吸
着性、触媒活性、反応性、イオン交換性、防汚性および
刺激応答性から選ばれたいずれかの機能を有する高分子
のうち1種類以上と、機械的強度を付与する高分子から
なるグラフト鎖とが保持されており、破断伸度が5%以
上であることを特徴とする複合機能性多孔質膜によって
達成される。
本発明は、また多孔質膜を構成する合成高分子がポリ
オレフィンもしくはハロゲン化ポリオレフィンを主成分
とし、かつ平均細孔径0.01〜20μm、膜厚0.01〜2.0mm
である複合機能性多孔質膜を示すものである。
(作用) このように本発明によれば、それぞれ別々の機能を有
する2種類以上の合成高分子を、基材となる多孔質膜の
表面にグラフト結合するものであるために、1種類の高
分子のみをグラフト結合したときに生じる他の機能の劣
化という問題を、この高分子とともにグラフト結合され
た別の高分子によって発揮される作用によって補うこと
ができ、実質的に基材となる多孔質膜の有する特性を損
なうことなく、新たな機能を付与することができるため
に、機能内膜として実用上使用可能なものとなる。ま
た、目的とする用途へ適用するに際して、基材となる多
孔質膜に1種類の高分子をグラフト結合して改質するの
みでは、必要とされる複数の機能に対処しきれなかった
ような態様においても、本発明は上記のようにそれぞれ
別々の機能を有する複数種の合成高分子をグラフト結合
することにより改質を行なうものであるため何なく対応
するものである。
さらに、本発明の複合機能性多孔質膜においては、機
能性高分子をグラフト結合により基材と共有結合させ一
体化しているので、例えばコーティングなどにより表面
改質を行なったものと比較して改質剤が溶離したり剥離
するといったことが生じにくく、高度な安全性が要求さ
れる医療用用途などにおいても使用することができるこ
ととなる。
なお、本発明の複合機能性多孔質膜において、少なく
と機械的強度を付与する高分子がグラフト結合されてい
ると、主目的となる他の機能を付与する高分子をさらに
グラフト結合しても使用上支障のない機械的強度を発揮
することとなるために望ましいものである。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明す
る。
本発明の複合機能性多孔質膜は、多孔質膜を構成する
合成高分子よりなる連続相の少なくとも一部の表面に、
親水性、ゴム弾性、耐γ線性、耐分解溶出性、血液適合
性、生体適合性、細胞親和性、徐放性、抗菌性、選択透
過性、選択吸着性、触媒活性、反応性、イオン交換性、
防汚性および刺激応答性から選ばれたいずれかの機能を
有する高分子のうち、1種類以上と、機械的強度を付与
する高分子からなるグラフト鎖とが保持されており、破
断伸度が5%以上であることを特徴とするものである。
本発明の複合機能性多孔質膜の形状としては、特に限
定されるものではなく、中空糸状、平膜状、環状などの
いずれであってもよい。なお、その膜厚および平均細孔
径などに関しても特に限定はないが、膜厚は0.01〜2.0m
m程度であるものが望ましい。すなわち、膜厚がこの範
囲を越えるように極端に薄いものであると強度的に扱い
にくくなり、−方、極端に厚いものであるとグラフト処
理が膜厚方向に不均一となる虞れが高いためである。さ
らに、医療用多孔質膜として使用する場合は、その平均
細孔径が0.01〜20μmであることが望ましい。
また基材となる多孔質膜に関しても特に限定されるも
のではなく、種々のものを用いることができるが、好ま
しくは優れた物性的、化学的特徴を有するものが望まし
く、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン
等のポリオレフィン類、エチレン−ジクロロエジフルオ
ロエチレンコポリマー等の一部塩素化ないしフッ素化ポ
リオレフィン類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリア
ミド類、ポリエチレンテレフタレート等の飽和ポリエス
テル類、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン
などが挙げられるが、好ましくはポリオレフィンもしく
はハロゲン化ポリオレフィンを主成分とするものでああ
る。
一方、このような基材となる多孔質膜の連続相の少な
くとも一部の表面に高分子体としてグラフト結合される
ものとしては、その付与しようとする機能に応じて各種
のものを用いることができるが、そのいくつかを以下に
例示する。
まず「親水性」を付与するとは、ポリオレフィンなど
を素材とする疎水性多孔質膜を水系の溶媒においても使
用できるようにするものであるが、この機能を付与しよ
うとする場合にグラフト結合される合成高分子として
は、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリ
ルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリド
ンなどの親水性単量体を重合させたものが用いられる。
また、「機械的強度」を付与するとは、膜の物性を実
用上支障のない程度にまで補強することであるが、この
機能を付与しようとする場合にグラフト結合される合成
高分子としては、特に柔軟性のある高分子が多孔質膜の
脆弱化を抑制するので好ましく、エチルアクリレート、
メトキシエチルアクリレート、ブチルアクリレートある
いはヘキシルアクリレートなどの単量体を重合させたも
のが好適である。
また、「ゴム弾性」を付与する合成高分子としては、
例えばアクリル系ゴムとして知られているエチルアクリ
レートを主成分とした高分子を好適に例示できる。
また、「耐γ線性」を付与する合成高分子としては、
分子内に芳香環を有するスチレンやベンジルアクリレー
トなどを主成分とする高分子を好適に例示できる。
また、「耐分解溶出性」を付与する合成高分子として
は、基材となる多孔質膜自体によって異なってくるが、
易分解溶出性の高分子に耐分解溶出性の高分子をグラフ
ト結合してやればよく、例えば、多孔質膜がN,N−ジメ
チルアクリルアミドのような水溶性高分子や高分子電解
質を表面に有するものであれば、耐分解性・耐溶出性の
高いビニルベンゼンやエチルヘキシルアクリレートとい
った疎水性高分子などをグラフト結合する。
また、「血液適合性」を付与する高分子としては、蛋
白質や血小板の粘着を抑制する排除体積効果の大きい水
溶性のアクリルアミド系高分子やヘパリンなどの抗凝血
作用を有する物質を結合した高分子を好適に例示でき
る。
また、「生体適合性」および「細胞親和性」を付与す
る高分子としては、ビニルビリジンあるいはジエチルア
ミノエチルアクリレートなどを主成分とする高分子が例
示されるが、フィブロネクチンなどの細胞接着因子を結
合させた高分子をグラフト鎖としてもよい。
また、「徐放性」を付与する高分子としては、徐放さ
せたい薬剤が保持可能であれば構わないが、溶液中でヒ
ドロゲル化するイソプロピルアクリルアミドなどを好適
に例示できる。
また、「選択透過性」および「選択吸着性」について
は、目的物質に対し親和性を有する物質や静電的な反発
作用を有する物質を含む高分子を利用することができ、
例えばアミノ酸の異性体に対する選択透過性を付与しよ
うとする場合には、光学活性なクラウンエーテルを分子
内に結合した高分子などを、また例えばLDL(低密度リ
ポプロテイン)に対する選択吸着性を付与しようとする
場合には、ポリメタクリル酸などを用いることができ
る。
また、「抗菌性」を付与する高分子としては、例えば
ポリN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのヨウ化
エチル4級塩などのような分子構造中に4級アンモニウ
ム塩を有する高分子を好適に例示できる。
また、「反応性」を付与する高分子としては、反応性
の高い官能基を有する単量体、例えばエポキシ基を有す
るグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレート
などを含むものを好適に例示できる。
また、「触媒活性」を付与する高分子としては、フタ
ロシアニンなどの人工酵素や天然酵素のような触媒活性
を有する化合物を結合した高分子などを好適に例示でき
る。
また「イオン交換性」を付与するには、分子内にカチ
オン基あるいはアニオン基を有する単量体よりなる高分
子をグラフト結合すればよい。
また、「防汚性」を付与するには、フッ素径高分子を
グラフト鎖として導入することで表面エネルギーを小さ
くするか、あるいは水溶性高分子をグラフト鎖として導
入して排除堆積効果を利用して蛋白質や脂質による汚れ
を防止することが考えられる。
さらに、「刺激応答性」を付与するには、熱、光、p
H、電位差などで立体構造が変化したり相転位する高分
子をグラフト鎖として導入することが考えられ、例えば
ポリイソプロピルアクリルアミドやポリビニルメチルエ
ーテル、その他各種の高分子電解質や刺激応答性分子を
ペンダントとして有する各種の高分子を用いることがで
きる。
本発明の複合機能性多孔質膜は、上記のごとき各種の
機能を有する高分子のうち、それぞれ異なる機能を有す
る2種類以上の高分子をグラフト鎖として結合したもの
であるが、その組合せとしては任意であり、使用する用
途に応じて適宜選択できるものであるが、少なくとも機
械的強度を付与する高分子がグラフト鎖として保持され
ていることが望ましい。すなわち、各種の機能を有する
高分子を保持させても実際の使用に堪えうる多孔質膜と
するには、ほとんどの場合において、機械的強度を備え
ていることが必要となるためである。なお、機械的強度
としては破断伸度が5%以上となることが望ましく、こ
れは破断伸度が5%未満であると膜が脆弱となり、打ち
抜いたりモジュール化する工程や実際の使用時に破損し
やすくなるためである。
このように多孔質膜を構成する合成高分子よりなる連
続相の少なくとも一部の表面に、別々の機能を有する少
なくとも2種類の高分子がグラフト鎖として結合してい
る本発明の複合機能性多孔質膜を製造するには、結合さ
せようとする高分子の種類に応じて、例えば化学グラフ
ト化法、光グラフト化法、放射線グラフト化法、放電グ
ラフト化法、あるいはカップリング剤による結合法、単
量体からの高分子化法などを用いて複数回のグラフト処
理を行なうことによって、それぞれ所望のグラフト鎖を
結合すればよいが、先にグラフト結合されたグラフト鎖
が、後続するグラフト処理によって切断されたりあるい
は構造的に変化を受けてしまうことがないようにする必
要がある。このような面から、基材となる多孔質膜に低
温プラズマを照射したのち、ガス状で供給される単量体
と接触させてグラフト重合により所望の高分子鎖を結合
させる方法(特開昭62-262705号)により行なうことが
望ましい。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1〜6 メルトフローインデックスが30および0.3のポリプロ
ピレン混合物(混合重量比100:40)100重量部当り、350
重量部の流動パラフィン(数平均分子量324)および0.3
重量部の結晶核形成剤としての1,3,2,4−ビス(p−エ
チルベンジリデン)ソルビトールを二軸押出機により溶
融混練し、ペレット化した。このペレットを上記押出機
を用いて150〜200℃で溶融し、スリット幅0.6mmのTダ
イより空気中に押し出し、Tダイ直下に置かれた冷却液
相のガイドローラーの回転によって冷却固化液中に導き
冷却固化した後、巻取った。巻取ったフィルム状物を一
定長に切断し、縦横両方向を固定し、1,1,2−トリクロ
ロ−1,2,2−トリフルオロエタン中に10分間づつ計4回
浸漬して、流動パラフィンの抽出を行ない、次いで135
℃の空気中で2分間熱処理を行なって、平均細孔径0.45
μm、膜厚100μm、破断伸度8.5%のポリプロピレン製
多孔質膜を得た。
このようにして得られた多孔質膜に、低温プラズマ
(Ar、0.1Torr)を15秒間照射した後、14.85℃(288K)
の温度条件で、第1表に示した単量体と気相接触させ表
面グラフト重合を行なった。すなわちまず、単量体1と
所定時間接触させて最初のグラフト鎖を成長させた後、
0.01Torr以下にまで減圧し、次いで単量体2を供給して
2番目のグラフト鎖を成長させた。さらに単量体3も同
様に単量体2を減圧除去した後、多孔質膜と接触させグ
ラフト重合を行なった。なお、各単量体での反応条件
は、第1表に示す。
このようにして得られた複合機能性多孔質膜は、溶剤
(旭硝子(株)、商品名レジソルブ)で2日間洗浄され
た後、乾燥され、その特性を調べられた。
この結果いずれの多孔質膜も十分な親水性を示すと同
時に、第1表に示すようにその破断伸度も高く機械強度
的にも優れたものであり、実用上支障は生じなかった。
比較例1〜4 実施例1〜6と同様の方法で製膜したポリプロピレン
多孔質膜に対し、実施例1〜6と同様に低温プラズマを
用いるが接触させる単量体は1つだけにとどめた表面グ
ラフト重合により、各種の機能性グラフト鎖を結合させ
た。
このようにして得られた複合機能性多孔質膜を実施例
1〜6と同様に、溶剤洗浄処理した後、その特性を調べ
たが、いずれの多孔質膜も第1表に示すようにその破断
伸度が低下しており脆弱で実用上支障の生じるものであ
った。
実施例7〜9 ポリフッ化ビニリデン粉末(三菱油化(株)製、kyna
r K301)18重量部を、アセトン73.8重量部およびジメチ
ルホルムアミド8.2重量部に溶解してなる溶液を、ポリ
エチレンテレフタレートフィルム上にキャストした後、
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリプルオロエタン浴中に
5分間浸漬し、乾燥して膜厚85μm、平均細孔径0.45μ
m、破断伸度9.0%のポリフッ化ビニリデン多孔質膜を
得た。
このようにして得られたポリフッ化ビニリデン多孔質
膜に対し、実施例1と同様に低温プラズマを用いた表面
グラフト重合により、各種の機能性グラフト鎖を結合さ
せた。
このようにして得られた複合機能性多孔質膜を実施例
1〜6と同様に、溶剤洗浄処理した後、その特性を調べ
た結果、いずれの多孔質膜も十分な親水性を示すと同時
に、第1表に示すようにその破断伸度も高く機械強度的
にも優れたものであり、実用上支障は生じなかった。
比較例5〜7 実施例7〜9と同様の方法で製膜したポリフッ化ビニ
リデン多孔質膜に対し、実施例1〜6と同様に低温プラ
ズマを用いるが接触させる単量体は1つだけにとどめた
表面グラフト重合により、各種の機能性グラフト鎖を結
合させた。
このようにして得られた複合機能性多孔質膜を実施例
1〜6と同様に、溶剤洗浄処理した後、その特性を調べ
たが、いずれの多孔質膜も第1表に示すようにその破断
伸度が低下しており脆弱で実用上支障の生じるものであ
った。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明の複合機能性多孔質膜は、
多孔質膜を構成する合成高分子よりなる連続相の少なく
とも一部の表面に、親水性、ゴム弾性、耐γ線性、耐分
解溶出性、血液適合性、生体適合性、細胞親和性、徐放
性、抗菌性、選択透過性、選択吸着性、触媒活性、反応
性、イオン交換性、防汚性および刺激応答性から選ばれ
たいずれかの機能を有する高分子のうち1種類以上と、
機械的強度を付与する高分子からなるグラフト鎖とが保
持されており、破断伸度が5%以上であることを特徴と
するものであるから、1種類の高分子をグラフト結合し
た場合に生じる特性の劣化を、別の高分子によるグラフ
ト鎖により補うことができ、実質的に基材となる多孔質
膜の有する特性を損なうことなく、新たな機能を付与す
ることができ、また、目的とする用途へ適用するに際し
て、基材となる多孔質膜に複数の機能を付加することも
容易であるために、機能性膜としての実用性が極めて高
いものとなる。
さらに、本発明の複合機能性多孔質膜においては、少
なくとも機械的強度を付与する高分子がクラフト結合さ
れているため、主目的となる他の機能を付与する高分子
をさらにグラフト結合しても使用上支障のない機械的強
度を発揮することとなるため、例えば従来使用に堪えら
れなかったポリビニルピリジンやポリメタクリル酸など
をグラフト重合したポリプロピレン多孔質膜などもこの
ように機械的強度を付与する高分子をグラフト結合して
おくことで使用可能なものとなる。
従って、本発明の複合機能性多孔質膜は、血液浄化用
多孔質膜、細胞培養用担体、浄水用膜、人工臓器用膜を
はじめとした医療用や各種産業用フィルターとして広い
用途に適用することが可能となるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 71/78 B01D 71/78

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質膜を構成する合成高分子よりなる連
    続相の少なくとも一部の表面に、親水性、ゴム弾性、耐
    γ線性、耐分解溶出性、血液適合性、細胞親和性、徐放
    性、抗菌性、選択透過性、選択吸着性、触媒活性、反応
    性、イオン交換性、防汚性および刺激応答性から選ばれ
    たいずれかの機能を有する高分子からなるグラフト鎖の
    うち1種類以上と、機械的強度を付与する高分子からな
    るグラフト鎖とが保持されており、破断伸度が5%以上
    であることを特徴とする複合機能性多孔質膜。
  2. 【請求項2】多孔質膜を構成する合成高分子がポリオレ
    フィンもしくはハロゲン化ポリオレフィンを主成分と
    し、かつ平均細孔径0.01〜20μm、膜厚0.01〜2.0mmで
    ある請求項1に記載の複合機能性多孔質膜。
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