JP2002291875A - 白血球除去フィルター及びその製造方法 - Google Patents

白血球除去フィルター及びその製造方法

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JP2002291875A
JP2002291875A JP2001101026A JP2001101026A JP2002291875A JP 2002291875 A JP2002291875 A JP 2002291875A JP 2001101026 A JP2001101026 A JP 2001101026A JP 2001101026 A JP2001101026 A JP 2001101026A JP 2002291875 A JP2002291875 A JP 2002291875A
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blood
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JP2001101026A
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English (en)
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Teruhiko Oishi
輝彦 大石
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血液に代表される細胞浮遊液から白血球を
選択除去するためのフィルターであって、特に、赤血
球、血小板、及び血漿成分の損出を極めて少なく抑えつ
つ、白血球を選択的に、かつ効率よく除去するための白
血球選択除去フィルターを提供すること。 【解決手段】 ポリマーでコーティングされたフィルタ
ー基材を含む血液から白血球を選択除去するためのフィ
ルターにおいて、フィルター基材に対するポリマーのコ
ート量が100mg(ポリマー)/m(フィルター基
材全表面単位面積当たり)以上で、且つ通気圧損がフィ
ルター基材の通気圧損の2倍以下であることを特徴とす
るフィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液に代表される
細胞浮遊液から白血球を選択除去する白血球選択除去フ
ィルターに関する。特に、赤血球、血小板、血漿成分の
損失を極めて少なく抑えつつ、白血球白除能を選択的
に、且つ効率よく除去するための白血球選択除去フィル
ターに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、輸血が行われる際には、従来の全
血輸血に代わり、患者に対し疾病の治療に必要な成分の
みを与え、不要な成分は極力与えない成分輸血が行われ
るようになってきている。成分輸血には、赤血球輸血、
血小板輸血、血漿輸血などがある。赤血球を必要とする
患者に対する赤血球輸血では、濃厚赤血球製剤が投与さ
れる場合が多く、血小板を必要とする患者に対する血小
板輸血では、濃厚血小板板製剤が投与される場合が極め
て多い。
【0003】輸血を行う際に問題となることの一つとし
て、輸血後の副作用を挙げることができる。成分輸血は
この輸血後の副作用を回避するための有効な手段の一つ
とされているが、実際には成分輸血においても様々な輸
血後の副作用が起こることが確認されている。例えば、
血小板濃縮液を輸血された患者が、非溶血性発熱反応、
同種免疫反応、輸血後急性肺障害、移植対宿主病(GV
HD)、アレルギー反応、ウイルスならびに細菌感染、
さらに免疫変調などの多岐にわたる副作用を示すことが
報告されている。こうした輸血副作用の原因の多くは、
血液製剤中に混入している白血球に由来すると考えられ
る。従って、これらの副作用を防ぐのに十分な程度に低
い水準にまで、血液製剤中の白血球を除去することが必
要である。
【0004】血液をはじめとする白血球を含有する細胞
浮遊液から白血球を除去する方法、及び血液製剤から白
血球を除去する方法には、細胞浮遊液を遠心分離に付す
ることにより白血球を除去する遠心法、細胞浮遊液をフ
ィルターにかけ、白血球をフィルターに吸着させること
により除去するフィルター法、血液バッグ中の細胞浮遊
液にデキストラン添加生理食塩水を加えて混和後、浮遊
した白血球層を吸引除去するデキストラン法などがある
が、白血球除去能に優れていること、操作が簡便である
こと及びコストが低いことなどの利点を有することから
フィルター法が広く用いられている。
【0005】白血球除去フィルターに関しては種々の報
告がある。例えば、特開昭60−193468号公報に
は、白血球除去効率が高く、しかも血液処理速度を大き
くできる白血球除去フィルターが開示されている。この
白血球除去フィルターは、特定の繊維直径と嵩密度を有
する不織布をフィルター材として用いていることを特徴
としている。しかしながら、このフィルターは、白血球
除去能に優れているが、血小板通過率が不十分である。
【0006】そこで、白血球除去フィルターのフィルタ
ー基材にコーティングを施すことによって、白血球除去
能と血小板通過率とを同時に高めることが検討された
が、いずれの場合においても、白血球除去能と血小板通
過率のいずれかが不十分であった。例えば、特開昭55
−129755号公報には、ポリエーテルウレタン、ポ
リヒドロキシエチルメタクリレート、シリコーンなどの
抗血栓材料で表面をコーティングした繊維からなる不織
布をフィルター材とするフィルターを用いて、赤血球お
よび血小板の混入が少ない白血球およびリンパ球を採取
する方法が開示されている。しかしながら、このフィル
ターを用いた際の白血球除去率は低い。特開昭60−1
19955号公報には、塩基性含窒素官能基を有し、窒
素含量が0.05重量%〜3.5重量%である重合体に
対し、血小板が非常に吸着されにくいことを開示してい
る。しかしながら、この公報はこの重合体に対する白血
球の親和性(吸着のされやすさ)に関しては何ら開示し
ていない。
【0007】特公平6−51060号公報には、周囲表
面部分に非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基とを含
有する繊維に対し、血小板は吸着されにくく、白血球は
吸着されやすいことが記載され、またそのような繊維か
らなる不織布をフィルター基材として用いる白血球除去
フィルターが開示されている。さらにこの公報には、こ
のフィルターをウシ血液の処理に用いるとき、白血球除
去能に優れ、高い血小板通過率を示すことが記載されて
いる。しかしこのフィルターは、ヒト白血球の除去能に
は優れているが、ヒト血小板の通過率が不十分であっ
た。このフィルターを、血小板含有率の高いヒトの濃厚
血小板製剤の処理に用いるときには、血小板含有率の低
下度が許容範囲内であるために、この点は従来あまり問
題にされていなかったが、このフィルターを濃厚血小板
製剤に比べ血小板含有率の低いヒト全血の処理に用いる
と、血小板含有率の低下度が許容しがたいものになって
しまうという問題点があることが分かった。
【0008】また、特許第2854857号公報には、
キトサン又はキトサン誘導体でコーティングしたポリエ
チレンテレフタレート製不織布をフィルター材として用
いる白血球除去フィルターが開示されている。しかし、
このフィルターをヒト全血処理に用いると、赤血球およ
び血小板の通過率は高いが、白血球除去率が極めて低
く、白血球の除去に関して要求される性能を満足しな
い。
【0009】なお、上記の例をはじめとする従来の白血
球除去フィルターの製造においては、比較的低濃度のコ
ーティング剤を含むコーティング液を用い、フィルター
基材の表面を被覆するコーティング剤の量が比較的少量
となるようにしている。これは、コーティング剤が比較
的高価なため、コーティング剤の量が多くなると白血球
除去フィルターの製造コストが高くなることや、高濃度
のコーティング剤を含むコーティング液を用いると、コ
ーティング液の粘度が高くなるため、均一なコーティン
グが困難になることによる。更に、高濃度のコーティン
グ剤を含むコーティング液を用いると、白血球除去率が
低下する傾向にあることが、上記特許第2854857
号公報に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、血液
に代表される細胞浮遊液から白血球を選択除去する白血
球選択除去フィルターを提供することにある。特に、赤
血球、血小板、血漿成分及び白血球を含む全血製剤か
ら、赤血球、血小板及び血漿成分の損失を極めて少なく
抑えつつ、白血球を選択的に、かつ効率よく除去するた
めの白血球選択除去フィルターに関する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決したものである。フィルター基材に白血球除去能と血
小板通過率とを同時に高めるポリマーをコートすること
によって、フィルター基材単独よりも白血球除去能と血
小板通過率を高めることができるが、特許第28548
57号公報に記載されているように、ポリマーコート量
が高くなるにつれて血小板通過率は向上するが、白血球
除去能は低下してしまうことがこれまでの常識であっ
た。本発明者は、この白血球除去能の低下の原因が、フ
ィルター表面に存在するポリマーによる膜張り(図2参
照)であり、この膜張りが多い程、血液製剤がこの膜張
り箇所を流れなくなることからフィルターと白血球との
接触確率が低下し、結果として白血球除去能が低下する
ことを見出した。図1には、ポリマーをコートしないフ
ィルター基材の表面を超深度形状測定顕微鏡で測定した
写真(倍率1,000)を示す。図2には、ポリマーの
コート量を高くしたときのフィルター基材の表面を超深
度形状測定顕微鏡で測定した写真(倍率1,000)を
示す。図1と図2を対比してみれば分かるように、コー
ト量を高くしたとき、フィルター表面に膜張りが発生し
ていることが分かる。本発明者は、膜張りはポリマーコ
ート量を高めるほど多く発生し、膜張りと通気圧損とが
比例関係にあることから、高いポリマーコート量である
にもかかわらず、通気圧損の低いフィルターが得られれ
ば、該フィルターの性能は血小板通過率と白血球除去能
との両方に優れると考え、本発明に至ったものである。
本発明者は、先に、コートポリマー中の低分子量成分の
含有量を低下させてポリマーの精製度をあげることによ
って、白血球の選択除去能を向上させることができるこ
とを見出して特許出願したが(JP00/07707、
特願2001−19829号)、本発明では、ポリマー
の精製度を向上させることなく、白血球除去能と血小板
通過率を同時に高めることに成功したものである。
【0012】本発明は、ポリマーでコーティングされた
フィルター基材を含む血液から白血球を選択除去するフ
ィルターにおいて、フィルター基材に対するポリマーの
コート量が100mg(ポリマー)/m(フィルター
基材全表面単位面積当たり)以上で、且つ通気圧損がフ
ィルター基材の通気圧損の2倍以下であることを特徴と
するフィルターに関するものである。さらに、本発明
は、このようなフィルターを製造する方法に関するもの
であり、ポリマーと該ポリマーの溶剤とからなる溶液を
フィルター基材にコーティングする際に、コーティング
溶液にpH緩衝液などの添加剤を添加することを特徴と
するフィルターの製造方法に関するものである。添加剤
を添加することで、高濃度のコーティング液を用いても
コーティング液の粘度が高くなることなく、均一なコー
ティングが得られる。
【0013】より詳細には、本発明は、(1)ポリマー
でコーティングされたフィルター基材を含む血液から白
血球を選択除去するフィルターにおいて、フィルター基
材に対するポリマーのコート量が100mg/m以上
で、且つ通気圧損がフィルター基材の通気圧損の2倍以
下であることを特徴とするフィルター、(2)ポリマー
が合成ポリマーであることを特徴とする上記(1)に記
載のフィルター、(3)ポリマーがビニル系ポリマーで
あることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のフ
ィルター、(4)ポリマーが非イオン性親水基を有する
ことを特徴とする上記(1)〜(3)に記載のフィルタ
ー、(5)ポリマーが非イオン性親水基と塩基性含窒素
官能基とを有することを特徴とする上記(1)〜(4)
に記載のフィルター、(6)ポリマー、該ポリマーの溶
剤、及び添加剤からなる溶液を、フィルター基材にコー
ティングすることを特徴とする上記(1)〜(5)に記
載のフィルターの製造方法、および(7)添加剤がpH
緩衝液であることを特徴とする上記(6)に記載の製造
方法、に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の白血球選択除去
フィルターについて詳細に説明する。本発明のフィルタ
ーは、ポリマーでコーティングされたフィルター基材を
包含し、フィルター基材に対するポリマーのコート量が
100mg/m以上で、且つ通気圧損がフィルター基
材の通気圧損の2倍以下であることを特徴とする。
【0015】本発明に用いられるポリマーとしては、水
中で膨潤するが、水に溶解しないものであれば良く、特
に限定されないが、スルホン酸基、カルボキシル基、カ
ルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ヒドロキ
シル基、メトキシ基、リン酸基、オキシエチレン基、イ
ミノ基、イミド基、イミノエーテル基、ピリジン基、ピ
ロリドン基、イミダゾール基、4級アンモニウム基等を
単独あるいは複数種有するポリマーを例示することがで
きる。
【0016】特に、合成ポリマーは、天然ポリマーに比
べて、構造や分子量の制御性及び夾雑物が少ない点で非
常に優れている。なかでもビニルモノマーにより合成さ
れたポリマーであることが好ましい。例えば、天然に存
在するセルロース系ポリマー及びキチン・キトサン系ポ
リマーは、分子量が高いことから夾雑物等が少ない点で
優れているが、安定した分子量のものを供給することが
不可能である。これに対し、ビニルモノマーにより合成
されたポリマーは、天然ポリマーと同程度の高い分子量
であっても溶剤に溶解した時の粘性が非常に低いため
に、取り扱いが容易でフィルター基材へのコーティング
が容易な点から好ましい。なお、本発明でいうビニル系
ポリマー(通称vinylpolymers)とは、広
義の意味でのビニル系ポリマーであり、主鎖が非環式炭
素(acyclic carbon)からなる重合体を
意味する。その具体例としては、「J.Brandru
p;E.H.Immergut.1989.“Poly
mer Handbook Third Editio
n" AWiley−interscience Pu
blication, pVII−5〜VII−18」に示さ
れる、ポリアクリル酸のα−置換体とその誘導体、ポリ
ビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエ
ステル、ポリスチレンとその誘導体、およびこれらを含
む共重合体等を挙げることができる。
【0017】ビニル系ポリマーのなかでも、非イオン性
親水基を有するポリマーは、血小板を吸着しにくい点に
おいて好ましい。さらに非イオン性親水基と塩基性含窒
素官能基とを有するポリマーは、血小板非吸着性の他に
白血球除去性能及び血液濾過時の目詰まりが起こりにく
い点で好ましい。このようなポリマーは、非イオン性親
水基を含有するビニルモノマーと、塩基性含窒素官能基
を含有するビニルモノマーを共重合することによって得
られる。
【0018】本発明において非イオン性親水基としては
ヒドロキシル基およびアミド基などが挙げられる。非イ
オン性親水基を含有するモノマーとしては上述のヒドロ
キシル基およびアミド基を含むモノマー、例えば2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール(酢
酸ビニルとして重合後、加水分解させる)、(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられ
る。また、非イオン性親水基としては、前記のヒドロキ
シル基およびアミド基の他にポリエチレンオキサイド鎖
も挙げられる。ポリエチレンオキサイド鎖を含むモノマ
ーとしては、メトキシエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレートなどのアルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート類などが挙げられる。以上の
モノマーの中でも、入手しやすさ、重合時の扱いやす
さ、血液を流した時の性能などから、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0019】また、塩基性含窒素官能基としては、第一
級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、4級ア
ンモニウム基、及びピリジン基、イミダゾール基などの
含窒素芳香族等が挙げられる。塩基性含窒素官能基を含
むモノマーとしては、アリルアミン;ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の誘導
体;p(パラ)−ジメチルアミノメチルスチレン、p−
ジメチルアミノエチルスチレン等のスチレン誘導体;2
−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ビニルイ
ミダゾール等の含窒素芳香族化合物のビニル誘導体;お
よび上記ビニル化合物をハロゲン化アルキル等によって
第4級アンモニウム塩とした誘導体を挙げることができ
る。以上のモノマーの中でも、入手しやすさ、重合時の
取り扱いやすさ、血液を流した時の性能などから、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0020】血小板の非吸着性のみを考慮した時のポリ
マーのコート量は、100mg(ポリマー)/m(フ
ィルター基材全表面単位面積当たり)以上、好ましくは
150mg/m以上である。コート量が100mg/
未満では、血小板通過率のばらつきが大きいため、
目的とする血小板通過率を得ることができにくい。
【0021】さらに、ポリマーコート量を高めた時に生
じる白血球除去能の低下を抑えるためには、通気圧損が
フィルター基材の通気圧損の2倍以下、好ましくは1.
6倍以下であることが必要である。通気圧損がフィルタ
ー基材の通気圧損の2倍を超えると白血球除去能が低下
するばかりか血液製剤処理時の濾過速度が低いため実用
的でなくなる恐れがある。
【0022】本発明でいう通気圧損とは、充分に乾燥し
た有効濾過断面積250mm〜350mmのフィル
ター又はフィルター基材(同一のフィルター又はフィル
ター基材を厚さ3.5mm〜4.5mmになるように複
数枚重ねたもの、両面に存在するハウジング(容器)等
の厚みは除く)に対して25℃にて0.05(N(ノル
マル))L(リッター)/分〜0.10(N)L/分の
割合にて該フィルター又はフィルター基材に定流量の乾
燥窒素を通気・濾過した時の該乾燥窒素の入り圧を意味
する。通気圧損を測定する時、フィルター又はフィルタ
ー基材は、通常公知の血液の導入口と導出口とを有する
ハウジング(容器)に入れて測定する。フィルターとフ
ィルター基材との通気圧損を比較するときは、濾過面
積、枚数、窒素ガスの流量等を同一にして比較する。こ
の時ハウジング(容器)のみで測定した通気圧損を必ず
差し引いた値で比較する。
【0023】また、フィルター基材の通気圧損は、ポリ
マーコート前のフィルター基材でもポリマーコートした
フィルターから取り出したフィルター基材のどちらでも
良い。ポリマーコートしたフィルターからフィルター基
材を取り出すには、フィルター基材を溶解しないがポリ
マーを溶解する溶剤にてポリマーを完全に溶解して取り
除いた後、該溶剤を乾燥等により完全に取り除くことに
より得ることができる。フィルター基材からポリマー及
び溶剤が完全に取り除かれたかを調べるには、多重全反
射赤外線分光計を用いる赤外線吸光光度法や元素分析及
び核磁気共鳴分光法などの通常の公知の方法により測定
することが可能である。
【0024】本発明でいう全表面積(m)とは、コー
トに用いたフィルター基材の重量(g)と該フィルター
基材の比表面積(m/g)との積から得られる値をい
う。また、本発明でいう比表面積とは、(株)島津製作
所製『アキュソーブ2100E』又はこれと同様仕様機
を用いて、0.50g〜0.55gの範囲で秤量したフ
ィルター基材を試験管に充填し、上記アキュソーブ本体
で1×10-4mmHgの減圧度(室温下)にて20時
間脱気処理した後、吸着ガス:クリプトンガス、吸着温
度:液体窒素温度にて測定した値をいう。
【0025】なお、本発明におけるフィルター基材全表
面単位面積(m)当たりのポリマーコート量Y(mg
/m)は、フィルター基材単位カット面積(m)当
たりのポリマーコート量X(mg/m)と基材目付A
(g/m)、基材の比表面積B(m/g)から次式
で求めることができる。ここで基材目付とは基材の単位
カット面積当たりの重量(g/m)を意味する。 Y=X/(A×B)
【0026】以下、本発明の白血球除去フィルターの製
造方法の例を説明する。本発明の白血球除去フィルター
は、ポリマー、該溶剤、および添加剤を均一に溶解した
溶液(以下「ポリマー溶液」という)をフィルター基材
にコーティング、または、ポリマー溶液中にフィルター
基材を浸漬した後、機械的な圧縮、重力、遠心分離、ガ
スによる吹き飛ばし、または、減圧吸引などによって余
剰の溶液をフィルター基材から除去し、乾燥するか、ま
たは、非溶剤に浸漬して脱溶剤した後乾燥することによ
り製造される。
【0027】コーティングの前に、ポリマーとフィルタ
ー基材との接着をよくするために、フィルター基材の表
面をγ(ガンマー)線照射、UV(紫外線)照射、コロ
ナ放電、プラズマ処理、又は化学薬品等を用いて酸化す
ることも有効である。また、コーティングの後でガス
中、または液体中で熱処理することにより、フィルター
基材とポリマーとの接着を強めたり、ポリマー内で架橋
反応を起こさせてコーティング層を安定化させたりする
こともできる。なお、コーティングはフィルター基材を
成形する時に同時に行っても良いし、成形後行っても良
い。
【0028】フィルター基材にポリマー溶液をコーティ
ングする方法としては、フィルター基材に所望のコーテ
ィング量よりも余分にコーティングしておいた後に規定
のコーティング量に減少させる後計量法、およびフィル
ター基材にコーティングする前にあらかじめ所望のコー
ティング量になるように計量しておいたポリマー溶液を
フィルター基材に転移させる前計量法があるが、いずれ
でも良い。コーティング後の乾燥方法としては、乾燥気
体中または減圧雰囲気中で、常温で、または、加熱しな
がら乾燥するなどの方法が用いられる。
【0029】ポリマーの溶解に用いられる溶剤は、例え
ば、ポリマーが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ートとジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートから
なる共重合体であればエチレングリコール、ジエチレン
グリコール等のグリコール類;メタノール、エタノー
ル、n(ノルマル)−プロピルアルコール、イソ−プロ
ピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ−ブチル
アルコール、t(ターシャリー)−ブチルアルコール等
のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミドおよび
メチルセルソルブ等を挙げることができ、これらの溶剤
は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよ
い。また、それらに水を混合したものを用いることもで
きる。
【0030】添加剤は、溶剤と相溶性があり、ポリマー
を溶解しないものであればよく、溶液粘度及び溶解状態
を制御する目的で用いられる。例えば、ポリマーが2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートからなる共重合体であれ
ば、水;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウ
ム等の塩類;塩酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸等の酸
類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム等のアルカリ類が用いられ、特にこれらを適宜組み
合わせたpH緩衝液が好ましく用いられる。pH緩衝液
としては、例えば、リン酸2水素カリウムとリン酸2水
素ナトリウムとを含む水溶液からなる緩衝液、4ホウ酸
ナトリウムと炭酸ナトリウムとを含む水溶液からなる緩
衝液、フタル酸水素カリウムと塩酸とを含む水溶液から
なる緩衝液、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとを
含む水溶液からなる緩衝液、及び「(社)日本化学会、
「化学便覧基礎編 改訂2版」丸善(株)出版、197
5年、pp1490−1499」に示される緩衝液等を
挙げることができる。
【0031】本発明の白血球除去フィルターの製造の際
に用いられるフィルター基材の形態としては、メルトブ
ロー法やフラッシュ紡糸法あるいは抄造法等により作製
された不織布の他、紙、織布、メッシュおよび高分子多
孔質体などの公知のフィルター材料のいずれかの形態で
あっても良いが、不織布は特に好適な形態である。な
お、ここで不織布とは、編織によらずに繊維あるいは糸
の集合体が、化学的、熱的、または機械的に結合された
布状のものをいう。
【0032】繊維素材としては、ポリアミド、芳香族ポ
リアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ
トリフルオロクロルエチレン、ポリスチレン、ポリメチ
ル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ−4−メチルペンテン等の合成繊維や、セルロ
ース、セルロースアセテート等の再生繊維などを例示す
ることができる。
【0033】不織布および織布からなるフィルター基材
であれば、その平均繊維直径は0.3μm〜10μm、
好ましくは0.3μm〜3μm、さらに好ましくは0.
5μm〜1.8μmである。平均繊維直径が0.3μm
未満の場合には、血液を濾過する際の圧力損失が高すぎ
て実用的でない恐れがあり、逆に10μmを超えると繊
維と白血球との接触確率が低すぎるために、本発明の白
血球除去が充分に発揮されない恐れがある。なお、ここ
で平均繊維直径とは、フィルター基材を構成する不織布
または織布から一部をサンプリングし、電子顕微鏡写真
により測定した平均直径である。
【0034】また、不織布または織布からなるフィルタ
ー基材の空隙率は、50%以上95%未満が好ましく、
より好ましくは70%以上90%未満である。空隙率が
50%未満の場合には血液の流れが悪く、また95%以
上ではフィルター基材の機械的強度が弱いため適さな
い。空隙率の測定は、所定の面積に切断したフィルター
基材の乾燥時の重量(W1)を測定し、さらに厚みを測
定して体積(V)を算出する。このフィルター基材を純
水中に浸漬し、脱気した後含水したフィルター基材の重
量(W2)を測定する。これらの値から以下に示す算出
式により空隙率が求められる。なお、下記の算出式中の
ρは純水の密度である。 空隙率(%)=(W2−W1)×100/ρ/V
【0035】高分子多孔質体としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニ
ルホルマール、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、
セルロース、セルロースアセテート、ポリウレタン、ポ
リビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エーテルイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフッ
化ビニリデン、ポリイミドなどの多孔質体を例示するこ
とができる。
【0036】高分子多孔質体は、平均気孔径が1μm〜
60μm、好ましくは1μm〜30μm、より好ましく
は1μm〜20μmである。1μm未満では血液等の白
血球および血小板含有液の流れが悪く、60μmを超え
ると多孔質体と白血球との接触確率が低すぎるために白
血球の除去率が低くなり、好ましくない。ここでいう平
均気孔径とは、ASTM F316−86に記載されて
いるエアーフロー法に準じてPOROFIL(COUL
TER ELECTRONICS LTD.製)液中に
て測定した平均孔径を示す。
【0037】本発明の製造方法を用いて得られた白血球
除去フィルターは、通常公知の血液の入口と出口を有す
る適当な血液濾過用のフィルター基材容器に充填して使
用することが可能である。本発明のフィルターは、その
厚みによって異なるが、1枚で用いても良いし、複数枚
重ねて用いても良い。重ねる枚数としては血液濾過条件
によって異なり臨界的ではないが、通常数枚から数十枚
が用いられる。また、フィルター基材が織布または不織
布の場合、他の繊維からなるフィルター基材を用いたフ
ィルター、または孔径の異なるフィルター基材を用いた
フィルターと重ねて用いることも可能である。
【0038】また、フィルターを複数枚重ねて用いる場
合、フィルター基材のうち少なくとも最も孔径の小さい
又は繊維径の小さいフィルター基材を用いているフィル
ター(メインフィルター)のフィルター基材に対するポ
リマーのコート量が100mg/m以上で、且つ通気
圧損がフィルター基材の通気圧損の2倍以下であること
が好ましく、全てのフィルターのフィルター基材に対す
るポリマーのコート量が100mg/m以上で、且つ
通気圧損がフィルター基材の通気圧損の2倍以下である
ことがより好ましい。
【0039】孔径あるいは繊維径の異なる複数のフィル
ター基材を組み合わせた場合のフィルター基材に対する
ポリマーのコート量は、同一の孔径あるいは繊維径のフ
ィルター基材を単独(1枚)あるいは複数(枚)をまと
めて測定し、同一の孔径あるいは繊維径のフィルター基
材ごとに算出する。
【0040】以下にこの発明の実施例を示すが、本発明
は、これに限定されるものではない。親水性ポリマーの
分子量分布及び平均分子量は、N,N−ジメチルホルム
アミドに1ミリモル/L(リットル)となるようにLi
Br(臭化リチウム)を添加した溶液(以下「溶液A」
という)にポリマーを溶解した溶液(ポリマー濃度1m
g/mL)をカラムを接続したゲルパーミネーションク
ロマトグラフィー(GPC)(本体:東ソー(株)製
HLC−8020+解析プログラム:GPC:LALL
S ver.2.03)を用いて、40℃の温度でRI
(示差屈折計)にて測定した。カラムは、ガードカラム
(東ソー(株)製 TSK guardcoloum
HXL−H)と本カラム(前段カラム:東ソー(株)製
TSKgel GMHXL B0032、後段カラ
ム:東ソー(株)製 TSKgelα−M B001
1)から成るものを使用した。また、使用条件(測定条
件)は、移動相(展開液):溶液A、FLOW Rat
e:1mL/分、カラム温度:40℃にて行った。尚、
ポリマーの分子量分布及び平均分子量の算出には、ポリ
マーラボラトリー社製ポリメチルメタクリレート(M−
M−10セット)の既知の分子量と該ポリメチルメタク
リレートのGPC測定値(RetentionTim
e)との関係を用いた。
【0041】
【実施例1】(ポリマーコート溶液の調整)2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート97モル%とジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート3モル%からなる共
重合体(重量平均分子量570,000、塩基性窒素原
子の含量0.32重量%、非イオン性親水基97モル
%、塩基性窒素原子の量3モル%、ピークトップ分子量
3.75×10、低分子量成分の含有量26.0%)
10重量%とイソプロピルアルコールと水からなる混合
溶剤(イソ−プロピルアルコール濃度66.7重量%)
67.5重量%、及びホウ酸塩pH緩衝液(和光純薬
(株)製 製品コード番号028−03205 標準緩
衝液 組成:4ホウ酸ナトリウム+炭酸ナトリウム(各
濃度0.01モル/L)水溶液)22.5重量%を25
℃の温度で溶解して均一なポリマーコート溶液を調整し
た。
【0042】(コーティング)図4に示す装置を用い
て、平均繊維直径1.2μmのポリエチレンテレフタレ
ート繊維よりなる不織布(40g/m目付、空隙率7
9%、厚さ0.25mm、密度0.16g/cm、巾
150mm、比表面積2.01m/g)15mを連続
的に上記25℃のコート溶液に浸漬した後、間隙が0.
13mmであるロール間を通過させることによりニップ
した。さらに、40℃の第1乾燥室内(風速15m/
秒)を3m通過させて、80℃の第2乾燥室内(風速1
5m/秒)を3m通過させた後巻き取った。ライン速度
は、1m/分に固定した。巻き取り時の残溶剤(イソ−
プロピルアルコール)量は1%以下であり、巻き取り後
にフィルター同士が接着することはなく、効率良く生産
することができた。
【0043】(フィルターの洗浄)得られた帯状のコー
ティング後のフィルターを1m間隔で折り曲げ、その間
にポリプロピレン製のメッシュを入れることでフィルタ
ー同士が接着するのを防いだ後、90℃の純水中に20
分間浸漬した後40℃の熱風乾燥機中で15m/秒の風
速で3時間乾燥した。このフィルターの一部を元素分析
した結果、ホウ素及びナトリウムは検出されなかった。
また、フィルター中のポリマーのコート量は、120m
g(ポリマー)/m(フィルター基材全表面単位面積
当たり)であった。
【0044】(フィルターの溶着)このようにして製造
したフィルターから任意に選んだ一部を50mm×50
mmの正方形に切断したものを16枚重ねた後、これを
血液の導入口を有する軟質ポリ塩化ビニル樹脂製シート
(シートの大きさ50mm×50mm、シート部のみの
厚さ0.368mm)と血液の導出口を有する軟質ポリ
塩化ビニル樹脂製シート(シートの大きさ50mm×5
0mm、シート部のみの厚さ0.368mm)ではさ
み、血液の導入口と導出口のまわりを円形状に高周波溶
着した。フィルターの有効濾過断面積は10mm×10
mm×3.14=314mmであり、厚みは4.7m
m(この時、両面のシート(ハウジング)を取り除いた
時の厚みは4.0mm)であった。
【0045】(通気圧損の測定)上記の溶着後のフィル
ターの血液導入口から導出口へと乾燥窒素を25℃にて
0.1(N)L/分の流量で通気した時の乾燥窒素の入
り圧を通気圧損として測定した。前記
【0043】と同じポリエチレンテレフタレート繊維不
織布を、50mm×50mmの正方形に切断して16枚
重ねたものから、コーティングをしない以外は同様にし
て、フィルター基材のみの溶着フィルター(対照)を製
造して、同様にフィルター基材の通気圧損を測定した。
血液の導入口を有するシートと導出口を有するシートの
2枚のみを溶着したフィルター容器の通気圧損は、0.
1mmHOであった。これらの測定値から、フィルタ
ーの通気圧損とフィルター基材の通気圧損との比を求め
た。
【0046】(血液評価)溶着したフィルターに対し、
抗凝固剤としてCPD(citrate−phosph
ate−dextrose)を添加したヒトの新鮮全血
(採血後3時間経過血)9mLを、シリンジポンプを用
いて0.9mL/分の一定速度で室温にて流した。この
時、フィルターの溶着部から血液がもれることはなかっ
た。フィルター通過前後について、1mLの血液を採取
してリューコプレート液9mLを混ぜて遠心した後デカ
ンテーションにて上澄み液を捨てて1mLを調整した液
中の白血球濃度を血球計算板を用いて測定することによ
り、白血球濃度を測定した。また、血液中の血小板の濃
度は、多項目自動血球計数装置(SYSMEX社製 K
−4500)にてストマライザー(SYSMEX社製)
を溶血剤に用いて測定した。
【0047】白血球除去能及び血小板通過率は次式によ
り算出した。
【数1】
【数2】
【0048】フィルターの血液濾過性能評価及び通気圧
損の測定をそれぞれ3回行い、平均値として表1に示し
た。フィルター濾過前後での血液中のヘマトクリット値
に差は見られなかった。全血濾過から白血球のみを除去
する用途では、平均で80%以上の血小板通過率が求め
られており、本フィルターはこの性能要求を満たしてい
ることが明らかとなった。また、同程度のコート量で通
気圧損の高いフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。なお、図1には、実施例1でポリマーコ
ーティングを行う前のフィルター基材を超深度形状測定
顕微鏡((株)キーエンス社製 機種VK−8500)
にて測定した写真(倍率1,000)を示した。また、
実施例1で作製したフィルターを超深度形状測定顕微鏡
(株)キーエンス社製 機種VK−8500)にて測定
した写真(倍率1,000)を図3に示した。図3は図
1と異ならず、フィルター基材表面にポリマーが膜張り
を生じることはなかった。
【0049】
【実施例2】実施例1で使用したポリマーの代わりに2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート95モル%と
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート5モル%か
らなる共重合体(重量平均分子量650,000、塩基
性窒素原子の含量0.53重量%、非イオン性親水基9
5モル%、塩基性窒素原子の量5モル%、ピークトップ
分子量3.62×10、低分子量成分の含有量21.
2%)10重量%を用いた以外は、実施例1と同様な操
作を行った。フィルター中のポリマーのコート量は、1
25mg/mであった。この結果を表1に示す。同程
度のコート量で通気圧損の高いフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。さらに、血小板通過率においても要求性
能を満たしていることが明らかとなった。
【0050】
【実施例3】実施例1で用いた不織布の代わりに平均繊
維直径1.2μmのポリ(トリメチレンテレフタレー
ト)繊維よりなる不織布(40g/m目付、空隙率7
5%、厚さ0.23mm、密度0.17g/cm、巾
150mm、比表面積1.98m/g)を用いた以外
は、実施例1と同様な操作行った。フィルター中のポリ
マーのコート量は、105mg/mであった。この時
の通気圧損及び血液評価結果を表1に示す。同程度のコ
ート量で通気圧損の高いフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。さらに、血小板通過率においても要求性
能をを満たしていることが明らかとなった。
【0051】
【実施例4】実施例1で用いたpH緩衝液の代わりに、
フタル酸塩pH緩衝液(和光純薬(株)製 製品コード
番号028−03185 標準緩衝液 組成:フタル酸
水素カリウム+塩酸(各濃度0.05モル/L)水溶
液)を用いた以外は、実施例1と同様な操作行った。フ
ィルター中のポリマーのコート量は、107mg/m
であった。この時の通気圧損及び血液評価結果を表1に
示す。同程度のコート量で通気圧損の高いフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。さらに、血小板通過率においても要求性
能をを満たしていることが明らかとなった。
【0052】
【実施例5】実施例1で用いたpH緩衝液の代わりに、
中性リン酸塩pH緩衝液(和光純薬(株)製 製品コー
ド番号025−03195 標準緩衝液 組成:リン酸
2水素カリウム+リン酸2水素ナトリウム(各濃度0.
025モル/L)水溶液)を用いた以外は、実施例1と
同様な操作行った。フィルター中のポリマーのコート量
は、128mg/mであった。この時の通気圧損及び
血液評価結果を表1に示す。同程度のコート量で通気圧
損の高いフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。さらに、血小板通過率においても要求性
能をを満たしていることが明らかとなった。
【0053】
【実施例6】実施例1で用いたpH緩衝液の代わりに、
炭酸塩pH緩衝液(和光純薬(株)製 製品コード番号
037−16145 標準緩衝液 組成:炭酸水素ナト
リウム+炭酸ナトリウム(各濃度0.0249モル/
L)水溶液)を用いた以外は、実施例1と同様な操作行
った。フィルター中のポリマーのコート量は、107m
g/mであった。この時の通気圧損及び血液評価結果
を表1に示す。同程度のコート量で通気圧損の高いフィ
ルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。さらに、血小板通過率においても要求性
能をを満たしていることが明らかとなった。
【0054】
【実施例7】実施例1で使用したポリマー13重量%と
イソ−プロピルアルコールと水からなる混合溶剤(イソ
−プロピルアルコール濃度66.7重量%)65.25
重量%、及びホウ酸塩pH緩衝液(実施例1と同一のも
の)21.75重量%を25℃の温度で溶解して均一な
ポリマーコート溶液を調整した以外は実施例1と同様な
操作を行った。フィルター中のポリマーのコート量は、
148mg/mであった。この時の通気圧損及び血液
評価結果を表2に示す。同程度のコート量で通気圧損の
高いフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。さらに、血小板通過率においても要求性
能をを満たしていることが明らかとなった。
【0055】
【比較例1】実施例1で用いたホウ酸塩pH緩衝液の代
わりに、純水を用いた以外は、実施例1と同様な操作を
行った。フィルター中のポリマーのコート量は、123
mg/mであった。この時の通気圧損及び血液評価結
果を表2に示す。なお、図2には、比較例で作製したフ
ィルターを超深度形状測定顕微鏡にて測定した写真(倍
率1,000)を示した。コーティングしたポリマーに
よる膜張りが発生しているのが分かる。
【0056】
【比較例2】実施例1で使用したポリマー6重量%とイ
ソ−プロピルアルコールと水からなる混合溶液(イソ−
プロピルアルコール濃度66.7重量%)70.5重量
%、及びホウ酸塩pH緩衝液(実施例1と同一のもの)
23.5重量%を25℃の温度で溶解して均一なポリマ
ーコート溶液を調製した以外は実施例1と同様な操作を
行った。フィルター中のポリマーコート量は、90mg
/mであった。この時の通気圧損及び血液評価結果を
表2に示す。血小板通過率のばらつきが大きいため、目
的とする血小板通過率を得ることができなかった。
【0057】
【参考例1】この参考例では、通気圧損が高くても、ポ
リマー中の低分子量成分を除去するというコートポリマ
ーの精製工程をとることにより、白血球除去能及び血小
板通過率に優れる結果が得られることを参考のために示
した。実施例1で用いたポリマーの代わりに、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート97モル%とジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート3モル%からなる
共重合体(塩基性窒素原子の含量0.32重量%、非イ
オン性親水基97モル%、塩基性窒素原子の量3モル
%、ピークトップ分子量3.92×10、低分子量成
分の含有量14.5%)を用いた以外は、実施例1と同
様な操作を行った。フィルター中のポリマーコート量
は、130mg/mであった。この結果を表2に示
す。ここで、ピークトップ分子量3.92×10、低
分子量成分の含有量14.5%の2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート97モル%とジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート3モル%からなる共重合体は、
以下の操作により得られた。まず、実施例1で用いたポ
リマーを濃度が39重量%になるようにエタノールで均
一に溶解したものに、さらに4倍体積量のエタノールを
加えて40℃にて均一に溶解した。この溶液を25℃の
室温下で12時間放置することにより熱誘起相分離法に
て液液相分離した後、ポリマー濃厚相溶液のみを分別回
収して、さらに40℃にて真空乾燥することにより得ら
れた(特願2001−61711参照)。以上のとお
り、通気圧損が高くても、ポリマー中の低分子量成分を
除去することにより白血球除去能及び血小板通過率に優
れる結果が得られた。
【0058】
【表1】
【表2】
【0059】
【発明の効果】本発明の白血球除去フィルターは、血小
板と白血球の両方を含有する、血液に代表される細胞浮
遊液から、白血球を選択的に除去することができ、血小
板通過率及び白血球除去能に優れた性能を有することか
ら医薬用途、医療用途、及び一般工業用途に用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で使用したフィルター基材を
超深度形状測定顕微鏡((株)キーエンス社製 機種V
K−8500)にて測定した写真(倍率1,000)で
ある。
【図2】比較例1で作製したフィルターを超深度形状測
定顕微鏡にて測定した写真(倍率1,000)である。
【図3】実施例1で作製したフィルターを超深度形状測
定顕微鏡にて測定した写真(倍率1,000)である。
【図4】本発明のフィルターを製造するための製造装置
の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 フィルター基材供給ロール 2 ポリマー溶液コーティング槽 3 ポリマー溶液保温用恒温槽 4 ロール 5 ニップ用ロール 6 フィルター巻き取り用ロール 7 フィルター基材 8 ポリマー溶液 9 含浸ロール 10 恒温槽内の温調水 11 乾燥する手段(低温側) 12 乾燥する手段(高温側)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 39/00 B01D 39/00 A B G01N 33/48 G01N 33/48 B // C08J 7/04 CER C08J 7/04 CERT CEZ CEZT C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 2G045 BA13 BA20 BB04 CA25 FA07 FA16 FA20 HB02 HB05 HB20 JA20 4C077 AA12 BB02 BB03 KK11 MM07 MM09 NN02 PP02 PP03 PP08 PP09 PP10 PP12 PP13 PP14 PP15 4C087 AA05 BB35 BB36 BB38 NA05 NA06 ZA51 4D019 AA03 BA12 BA13 BB02 BB03 BB08 BC13 BD01 CB06 DA03 4F006 AA02 AA12 AA15 AA18 AA19 AA22 AA35 AA37 AA38 AA39 AA40 AA51 AB12 AB16 AB20 AB24 BA10 CA09 DA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマーでコーティングされたフィルタ
    ー基材を含む血液から白血球を選択除去するためのフィ
    ルターにおいて、フィルター基材に対するポリマーのコ
    ート量が100mg(ポリマー)/m(フィルター基
    材全表面単位面積当たり)以上で、且つ通気圧損がフィ
    ルター基材の通気圧損の2倍以下であることを特徴とす
    るフィルター。
  2. 【請求項2】 ポリマーが合成ポリマーであることを特
    徴とする請求項1記載のフィルター。
  3. 【請求項3】 ポリマーがビニル系ポリマーであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター。
  4. 【請求項4】 ポリマーが非イオン性親水基を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィル
    ター。
  5. 【請求項5】 ポリマーが非イオン性親水基と塩基性含
    窒素官能基とを有することを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載のフィルター。
  6. 【請求項6】 ポリマー、該ポリマーの溶剤、および添
    加剤からなる溶液をフィルター基材にコーティングする
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィ
    ルターの製造方法。
  7. 【請求項7】 添加剤がpH緩衝液であることを特徴と
    する請求項6に記載のフィルターの製造方法。
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