JP2003010611A - 白血球除去フィルターの製造方法および製造装置 - Google Patents

白血球除去フィルターの製造方法および製造装置

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JP2003010611A
JP2003010611A JP2001202466A JP2001202466A JP2003010611A JP 2003010611 A JP2003010611 A JP 2003010611A JP 2001202466 A JP2001202466 A JP 2001202466A JP 2001202466 A JP2001202466 A JP 2001202466A JP 2003010611 A JP2003010611 A JP 2003010611A
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leukocyte
blood
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JP2001202466A
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Teruhiko Oishi
輝彦 大石
Kyoichi Taniguchi
恭一 谷口
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血液に代表される細胞浮遊液から白血球を
選択除去するためのフィルターであって、特に、赤血
球、血小板、及び血漿成分の損失を極めて少なく抑えつ
つ、白血球を選択的に、かつ効率よく除去するための白
血球選択除去フィルターを製造するための方法、および
装置を提供すること。 【解決手段】 フィルター基材をポリマー溶液に浸漬し
てコーティングする方法において、該ポリマー溶液中で
ニップした後、さらに空中でニップすることを特徴とす
る白血球除去フィルターの製造方法、およびそのための
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液に代表される
細胞浮遊液から白血球を選択除去する白血球除去フィル
ターを製造するための方法、および装置に関する。特
に、赤血球、血小板、血漿成分の損失を極めて少なく抑
えつつ、白血球を選択的に除去するための白血球除去フ
ィルターを効率よく製造するための方法、および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、輸血が行われる際には、従来の全
血輸血に代わり、患者に対し疾病の治療に必要な成分の
みを与え、不要な成分は極力与えない成分輸血が行われ
るようになってきている。成分輸血には、赤血球輸血、
血小板輸血、血漿輸血などがある。赤血球を必要とする
患者に対する赤血球輸血では、濃厚赤血球製剤が投与さ
れる場合が多く、血小板を必要とする患者に対する血小
板輸血では、濃厚血小板製剤が投与される場合が極めて
多い。
【0003】輸血を行う際に問題となることの一つとし
て、輸血後の副作用を挙げることができる。成分輸血は
この輸血後の副作用を回避するための有効な手段の一つ
とされているが、実際には成分輸血においても様々な輸
血後の副作用が起こることが確認されている。例えば、
血小板濃縮液を輸血された患者が、非溶血性発熱反応、
同種免疫反応、輸血後急性肺障害、移植対宿主病(GV
HD)、アレルギー反応、ウイルスならびに細菌感染、
さらに免疫変調などの多岐にわたる副作用を示すことが
報告されている。
【0004】こうした輸血副作用の原因の多くは、血液
製剤中に混入している白血球に由来すると考えられる。
従って、これらの副作用を防ぐのに十分な程度に低い水
準にまで、血液製剤中の白血球を除去することが必要で
ある。血液をはじめとする白血球を含有する細胞浮遊液
から白血球を除去する方法、及び血液製剤から白血球を
除去する方法には、細胞浮遊液を遠心分離に付すること
により白血球を除去する遠心法、細胞浮遊液をフィルタ
ーにかけ、白血球をフィルターに吸着させることにより
除去するフィルター法、血液バッグ中の細胞浮遊液にデ
キストラン添加生理食塩水を加えて混和後、浮遊した白
血球層を吸引除去するデキストラン法などがあるが、白
血球除去能に優れていること、操作が簡便であること及
びコストが低いことなどの利点を有することからフィル
ター法が広く用いられている。
【0005】白血球除去フィルターに関しては種々の報
告がある。例えば、特開昭60−193468号公報に
は、白血球除去効率が高く、しかも血液処理速度を大き
くできる白血球除去フィルターが開示されている。この
白血球除去フィルターは、特定の繊維直径と嵩密度を有
する不織布をフィルター材として用いることを特徴とし
ている。しかしながら、このフィルターは、白血球除去
能に優れているが、血小板通過率が不十分である。
【0006】そこで、白血球除去フィルターのフィルタ
ー基材にコーティングを施すことによって、白血球除去
能と血小板通過率とを同時に高めることが検討された
が、いずれの場合においても、白血球除去能と血小板通
過率のいずれかが不十分であった。例えば、特開昭55
−129755号公報には、ポリエーテルウレタン、ポ
リヒドロキシエチルメタクリレート、シリコーンなどの
抗血栓材料で表面をコーティングした繊維からなる不織
布をフィルター材とするフィルターを用いて、赤血球お
よび血小板の混入が少ない白血球およびリンパ球を採取
する方法が開示されている。しかしながら、このフィル
ターを用いた際の白血球除去率は低い。
【0007】特開昭60−119955号公報には、塩
基性含窒素官能基を有し、窒素含量が0.05重量%〜
3.5重量%である重合体に対し、血小板が非常に吸着
されにくいことを開示している。しかしながら、この公
報はこの重合体に対する白血球の親和性(吸着のされや
すさ)に関して何ら開示していない。
【0008】特公平6−51060号公報には、周囲表
面部分に非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基とを含
有する繊維に対し、血小板は吸着されにくく、白血球は
吸着されやすいことが記載され、またそのような繊維か
らなる不織布をフィルター基材として用いる白血球除去
フィルターが開示されている。さらにこの公報には、こ
のフィルターをウシ血液の処理に用いるとき、白血球除
去能に優れ、高い血小板通過率を示すことが記載されて
いる。しかしこのフィルターは、ヒト白血球の除去能に
は優れているが、ヒト血小板の通過率が不十分であっ
た。このフィルターを、血小板含有率の高いヒトの濃厚
血小板製剤の処理に用いるときには、血小板含有率の低
下度が許容範囲内であるために、この点は従来あまり問
題にされていなかったが、このフィルターを濃厚血小板
製剤に比べ血小板含有率の低いヒト全血の処理に用いる
と、血小板含有率の低下度が許容しがたいものになって
しまうという問題点があることが分かった。
【0009】また、特許2854857号公報には、キ
トサン又はキトサン誘導体でコーティングしたポリエチ
レンテレフタレート製不織布をフィルター材として用い
る白血球除去フィルターが開示されている。しかし、こ
のフィルターをヒト全血処理に用いると、赤血球および
血小板の通過率は高いが、白血球除去率が極めて低く、
白血球の除去に関して要求される性能を満足しない。
【0010】なお、上記の例をはじめとする従来の白血
球除去フィルターの製造においては、比較的低濃度のコ
ーティング剤を含むコーティング液を用い、フィルター
基材の表面を被覆するコーティング剤の量が比較的少量
となるようにしている。これは、コーティング剤が比較
的高価なため、コーティング剤の量が多くなると白血球
除去フィルターの製造コストが高くなることや、高濃度
のコーティング剤を含むコーティング液を用いると、コ
ーティング液の粘度が高くなるため、均一なコーティン
グが困難になることによる。更に、高濃度のコーティン
グ剤を含むコーティング液を用いると、白血球除去率が
低下する傾向にあることが、上記特許第2854857
号公報に記載されている。
【0011】また、ポリマー溶液にフィルター基材を浸
漬して白血球除去フィルターを製造する方法として、上
記特許第2854857号公報には、ポリマー溶液中に
フィルター基材を30ないし120分浸漬し、1次乾燥
を1〜2時間、2次乾燥を24〜48時間行うことが、
WO87/05812にはフィルター基材を円形などに
切断し、これをポリマー溶液に浸した後、余分なポリマ
ー溶液を除去し、フィルターホルダーにセットして乾燥
空気を送りながら乾燥する方法が開示されている。
【0012】しかし、これらの製造方法では、フィルタ
ー製造に長時間を要し生産効率が悪いので、本発明者ら
は、フィルター基材にポリマー溶液をコーティングした
後、フィルターの少なくとも表面の一部を減圧吸引する
ことにより連続的に白血球除去フィルターを製造する方
法、およびポリマー溶液をコーティングした後の乾燥工
程を低温と高温との2段階で行うことにより高い白血球
選択除去能を保持しながら効率的に白血球除去フィルタ
ーを製造する方法を提案した(特開2001−1128
61号公報、特願2000−23174号)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術を更に改善しようとするもので、本発明の課
題は、血液に代表される細胞浮遊液から白血球を選択除
去する白血球除去フィルターを効率良く製造する方法、
および装置を提供することにある。特に、赤血球、血小
板、血漿成分及び白血球を含む全血製剤から、赤血球、
血小板及び血漿成分の損失を極めて少なく抑えつつ、白
血球を選択的に除去することができる白血球除去フィル
ターを効率よく製造する方法、および装置を提供するこ
とを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、ポリマー溶液にフィル
ター基材を浸漬して白血球除去フィルターを製造する際
に、フィルター基材へのポリマーの浸透性を改善すれば
ポリマーの被覆性が向上して、その結果、赤血球、血小
板及び血漿成分の損失を少なく抑えつつ、白血球を選択
的に除去することができるという高性能の白血球除去フ
ィルターを製造することができるという思いがけない効
果を発見して、本発明に至ったものである。
【0015】すなわち、本発明は、(1)フィルター基
材をポリマー溶液に浸漬してコーティングする白血球除
去フィルターの製造方法において、該ポリマー溶液中で
ニップした後、さらに空中でニップする工程を含むこと
を特徴とする方法、(2)超音波振動させたポリマー溶
液中でニップすることを特徴とする上記(1)に記載の
方法、(3)空中でニップした後、低温と高温との少な
くとも2つの異なる温度で低温から高温へと順次乾燥す
ることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の方
法、(4)フィルター基材をポリマー溶液に浸漬する手
段と、該ポリマー溶液中でニップする手段と、空中でニ
ップする手段とを含むことを特徴とする白血球除去フィ
ルターの製造装置、(5)ポリマー溶液を超音波振動さ
せる手段を有することを特徴とする上記(4)に記載の
製造装置、及び(6)さらに乾燥手段を有することを特
徴とする上記(4)又は(5)に記載の製造装置、に関
するものである。
【0016】本発明においては、フィルター基材をポリ
マー溶液に浸漬してコーティングする方法において、該
ポリマー溶液中でニップした後、さらに空中でニップす
る工程を採用することによって、思いがけず白血球除去
性能が高く且つ血小板通過率も高い白血球除去フィルタ
ーを効率よく得ることができることを見出した。
【0017】すなわち、本発明者らは、前記の課題を解
決するために、鋭意研究を重ねたところ、フィルター基
材をポリマー溶液に浸漬するのみでは、ポリマー溶液の
粘性の影響により、フィルター基材の微細な空隙部分に
該溶液が浸透して行かないことが分かった。そこで、空
隙部分にもポリマー溶液を浸透させる方法を検討したと
ころ、ポリマー溶液内でニップすることによって微細な
空隙部分にも該溶液が浸透して、フィルター基材全体が
より均一にポリマーコートされることを見出した。さら
に、本発明者らは、ポリマー溶液中でニップした結果と
して白血球除去能と血小板通過率が向上するという思い
がけない結果を見出して本発明に至ったものである。
【0018】また、ポリマー溶液中でニップした後、空
中でニップを行わなければ、乾燥に時間がかかり効率よ
くフィルターを得ることができないのみでなく、所望の
血小板通過率を有するフィルターを得ることができな
い。さらにまた、ポリマー容液中でニップした後、空中
でニップを行い、その後の乾燥工程を低温と高温との2
段階で行うことによって、より一層効率的に白血球除去
能と血小板通過率が高い白血球除去フィルターを製造す
ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に記
述する。本発明の製造方法は、血小板と白血球との両方
を含有する、血液に代表される細胞浮遊液から、血小板
通過率および白血球除去能に優れた白血球除去フィルタ
ーを効率良く製造するのに非常に有効な方法である。そ
のためには、まず、フィルター基材をポリマー溶液に浸
漬して、次に該溶液中でニップして、さらに空中でニッ
プすることが必要である。
【0020】ポリマー溶液中でニップすることによって
フィルター基材内の微細な空隙部分にもポリマー溶液を
浸透させることが可能である。さらに、空中でニップす
ることにより、フィルター基材の厚み方向に対して均一
にポリマー溶液をコーティングでき、その結果、高い血
小板通過率を有するフィルターを得ることができるとい
う思わぬ効果を奏することができる。
【0021】また、さらに、超音波振動させたポリマー
溶液中でニップすることによりポリマー溶液の浸透性を
より向上させることができる。ポリマー溶液を振動させ
るために照射する超音波の波数及び出力は設備の規模、
要求能力によって異なるが、波数としては20kHz
(キロヘルツ)〜1MHz(メガヘルツ)程度、好まし
くは40〜500kHz程度が使用される。出力は装置
の大きさによって決定されるが、100W(ワット)〜
2kW程度必要である。
【0022】本発明においては、空中でニップした後、
低温と高温との少なくとも2つの異なる温度で低温から
高温へと順次乾燥することにより血小板通過率の低下を
起こさずにさらに効率良くフィルターを生産することが
可能になる。乾燥工程は、具体的には、0℃以上80℃
未満の温度で乾燥した後、45℃以上のより高い温度で
乾燥することが好ましい。低温での乾燥温度が0℃未満
では生産性が悪く、低温での乾燥温度が80℃以上にな
ると血小板通過率が低下する傾向にある。低温乾燥温度
は、より好ましくは、10℃〜60℃、さらに好ましく
は10℃〜45℃である。高温乾燥温度は、より好まし
くは45℃〜150℃、さらに好ましくは45℃〜10
0℃である。また、低温で乾燥後のフィルター中の残存
溶剤量は、30%以下であることが好ましく、18%以
下がさらに好ましい。低温での残存溶剤量が30%を超
えると血小板通過率が低下する傾向にある。
【0023】尚、フィルター中の残存溶剤量は、下記算
出式より求める。 Ws=(W1−W2)/W2×100 (ここで、Ws:フィルター中の残存溶剤量(%) W1:フィルター重量(g) W2:乾燥により溶剤を除去した後のフィルター重量
(g))
【0024】本発明でいうニップとは、フィルター基材
を一定の間隙を有する2つのロール間を通過させること
をいう。ニップロール間の間隙の大きさは、フィルター
基材の厚みと同等以下でフィルター基材を破損しなけれ
ば良く、フィルター基材の空隙率が50%〜95%であ
れば、フィルター基材の厚みの0.10倍〜1.20倍
にすることが好ましい。間隙の大きさが0.10倍未満
ではフィルター基材が破損しやすく、1.20倍より大
きいと得られたフィルターの血小板通過率が低下する傾
向にある。空中でニップ後の乾燥は、乾燥気体中または
減圧雰囲気中で行うことができる。
【0025】このようにして得られた白血球除去フィル
ターは、例えば、フィルター基材が繊維からなる場合、
各繊維の表面はポリマーで被覆され、ポリマー被覆層と
各繊維とは接着した構造を有する。ポリマーとフィルタ
ー基材との接着をよくするために、フィルター基材をポ
リマー溶液に浸漬する前に、フィルター基材の表面をγ
(ガンマー)線照射、コロナ放電、プラズマ処理、UV
処理、または化学薬品等を用いて酸化することも有効で
ある。また、コーティングの後でガス中または液体中で
熱処理することにより、フィルター基材とポリマーとの
接着を強めたり、上記ポリマー材料内で架橋反応を起こ
させてコーティング層を安定化させたりすることもでき
る。
【0026】また、ライン速度は、ニップする単位時間
当たりのフィルターの長さを意味するが、本発明におい
て適用可能なライン速度は、0.1m/分〜200m/
分、好ましくは1m/分〜50m/分である。ライン速
度が0.1m/分未満では、ニップ(空中時)する前に
溶剤の多くが蒸発してしまうため、ニップの効果が充分
に発揮されない傾向にあり、200m/分より大きいと
乾燥による脱溶剤不足により巻き取り後にフィルター同
士が接着してしまい生産性が悪くなる傾向にある。
【0027】本発明に用いられるポリマー溶液は、ポリ
マー、および溶剤から構成される。本発明に用いられる
ポリマーとしては、水中で膨潤するが、水に溶解しない
ものであれば良く、特に限定されないが、スルホン酸
基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド
基、シアノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基、リン酸
基、オキシエチレン基、イミノ基、イミド基、イミノエ
ーテル基、ピリジン基、ピロリドン基、イミダゾール
基、4級アンモニウム基等を単独あるいは複数種有する
ポリマーを例示することができる。
【0028】特に、合成ポリマーは、天然ポリマーに比
べて、構造や分子量の制御性及び夾雑物が少ない点で非
常に優れている。なかでもビニルモノマーにより合成さ
れたポリマーであることが好ましい。例えば、天然に存
在するセルロース系ポリマー及びキチン・キトサン系ポ
リマーは、分子量が高いことから夾雑物等が少ない点で
優れているが、安定した分子量のものを供給することが
不可能である。これに対し、ビニルモノマーにより合成
されたポリマーは、天然ポリマーと同程度の高い分子量
であっても溶剤に溶解した時の粘性が非常に低いため
に、取り扱いが容易でフィルター基材へのコーティング
が容易な点から好ましい。なお、本発明でいうビニル系
ポリマー(通称vinylpolymers)とは、広
義の意味でのビニル系ポリマーであり、主鎖が非環式炭
素(acyclic carbon)からなる重合体を
意味する。その具体例としては、「J.Brandru
p;E.H.Immergut.1989.“Poly
mer Handbook Third Editio
n” AWiley−interscience Pu
blication, ppVII−5〜VII−18」に示
される、ポリアクリル酸のα−置換体とその誘導体、ポ
リビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニル
エステル、ポリスチレンとその誘導体、およびこれらを
含む共重合体等を挙げることができる。
【0029】ビニル系ポリマーのなかでも、非イオン性
親水基を有するポリマーは、血小板を吸着しにくい点に
おいて好ましい。さらに非イオン性親水基と塩基性含窒
素官能基とを有するポリマーは、血小板非吸着性の他に
白血球除去性能及び血液濾過時の目詰まりが起こりにく
い点で好ましい。このようなポリマーは、非イオン性親
水基を含有するビニルモノマーと、塩基性含窒素官能基
を含有するビニルモノマーを共重合することによって得
られる。
【0030】本発明において非イオン性親水基としては
ヒドロキシル基およびアミド基などが挙げられる。非イ
オン性親水基を含有するモノマーとしては上述のヒドロ
キシル基およびアミド基を含むモノマー、例えば2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール(酢
酸ビニルとして重合後、加水分解させる)、(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられ
る。また、非イオン性親水基としては、前記のヒドロキ
シル基およびアミド基の他にポリエチレンオキサイド鎖
も挙げられる。ポリエチレンオキサイド鎖を含むモノマ
ーとしては、メトキシエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレートなどのアルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート類などが挙げられる。以上の
モノマーの中でも、入手しやすさ、重合時の扱いやす
さ、血液を流した時の性能などから、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0031】また、塩基性含窒素官能基としては、第一
級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、4級ア
ンモニウム基、及びピリジン基、イミダゾール基などの
含窒素芳香族等が挙げられる。塩基性含窒素官能基を含
むモノマーとしては、アリルアミン;ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の誘導
体;p(パラ)−ジメチルアミノメチルスチレン、p−
ジメチルアミノエチルスチレン等のスチレン誘導体;2
−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ビニルイ
ミダゾール等の含窒素芳香族化合物のビニル誘導体;お
よび上記ビニル化合物をハロゲン化アルキル等によって
第4級アンモニウム塩とした誘導体を挙げることができ
る。以上のモノマーの中でも、入手しやすさ、重合時の
取り扱いやすさ、血液を流した時の性能などから、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0032】ポリマーの溶解に用いられる溶剤は、例え
ば、ポリマーが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ートとジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートから
なる共重合体であればエチレングリコール、ジエチレン
グリコール等のグリコール類;メタノール、エタノー
ル、n(ノルマル)−プロピルアルコール、イソ−プロ
ピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ−ブチル
アルコール、t(ターシャリー)−ブチルアルコール等
のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミドおよび
メチルセルソルブ等を挙げることができ、これらの溶剤
は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよ
い。また、それらに水を混合したものを用いることもで
きる。
【0033】本発明の白血球除去フィルターの製造の際
に用いられるフィルター基材の形態としては、メルトブ
ロー法やフラッシュ紡糸法あるいは抄造法等により作製
された不織布の他、紙、織布、メッシュおよび高分子多
孔質体などの公知のフィルター材料のいずれかの形態で
あっても良いが、不織布は特に好適な形態である。な
お、ここで不織布とは、編織によらずに繊維あるいは糸
の集合体が、化学的、熱的、または機械的に結合された
布状のものをいう。
【0034】繊維素材としては、ポリアミド、芳香族ポ
リアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ
トリフルオロクロルエチレン、ポリスチレン、ポリメチ
ル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ−4−メチルペンテン等の合成繊維や、セルロ
ース、セルロースアセテート等の再生繊維などを例示す
ることができる。
【0035】不織布および織布からなるフィルター基材
であれば、その平均繊維直径は0.3μm〜10μm、
好ましくは0.3μm〜3μm、さらに好ましくは0.
5μm〜1.8μmである。平均繊維直径が0.3μm
未満の場合には、血液を濾過する際の圧力損失が高すぎ
て実用的でない恐れがあり、逆に10μmを超えると繊
維と白血球との接触確率が低すぎるために、本発明の白
血球除去が充分に発揮されない恐れがある。なお、ここ
で平均繊維直径とは、フィルター基材を構成する不織布
または織布から一部をサンプリングし、電子顕微鏡写真
により測定した平均直径である。
【0036】また、不織布または織布からなるフィルタ
ー基材の空隙率は、50%以上95%未満が好ましく、
より好ましくは70%以上90%未満である。空隙率が
50%未満の場合には血液の流れが悪く、また95%以
上ではフィルター基材の機械的強度が弱いため適さな
い。空隙率の測定は、所定の面積に切断したフィルター
基材の乾燥時の重量(W3)を測定し、さらに厚みを測
定して体積(V)を算出する。このフィルター基材を純
水中に浸漬し、脱気した後含水したフィルター基材の重
量(W4)を測定する。これらの値から以下に示す算出
式により空隙率が求められる。なお、下記の算出式中の
ρは純水の密度である。 空隙率(%)=(W4−W3)×100/ρ/V
【0037】高分子多孔質体としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニ
ルホルマール、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、
セルロース、セルロースアセテート、ポリウレタン、ポ
リビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エーテルイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフッ
化ビニリデン、ポリイミドなどの多孔質体を例示するこ
とができる。
【0038】高分子多孔質体は、平均気孔径が1μm〜
60μm、好ましくは1μm〜30μm、より好ましく
は1μm〜20μmである。1μm未満では血液等の白
血球および血小板含有液の流れが悪く、60μmを超え
ると多孔質体と白血球との接触確率が低すぎるために白
血球の除去率が低くなり、好ましくない。ここでいう平
均気孔径とは、ASTM F316−86に記載されて
いるエアーフロー法に準じてPOROFIL(COUL
TER ELECTRONICS LTD.製)液中に
て測定した平均孔径を示す。
【0039】次に本発明の製造装置について、その一例
を図面を参照して説明する。図1において、フィルター
基材供給ロール(1)から供給された長尺フィルター基
材は、ポリマー溶液中に浸漬する手段(2)とポリマー
溶液中でニップする手段(9)により均一にポリマーコ
ートされ、さらに空中でニップする手段(5)でニップ
された後、フィルター巻き取りロール(6)で巻き取ら
れる。
【0040】さらに、ポリマー溶液を超音波振動させる
手段(3)により超音波振動させたり、空中でニップす
る手段の後段に低温乾燥手段(11)および高温乾燥手
段(12)を順次通過して乾燥させることにより生産効
率を大幅に向上できる。フィルター基材をポリマー溶液
に浸漬する手段2は、フィルター基材7とポリマー溶液
8とを接触できるものであれば特に限定されない。
【0041】ポリマー溶液中でニップする手段9として
は、一定の間隙を有する2つのロール(ニップロール)
が好ましく用いられる。ポリマー溶液中でニップするこ
とによりフィルター基材の微細な空隙部分にも該溶液を
浸透させることが可能である。この時、ポリマー溶液を
超音波振動させる手段3を用いてポリマー溶液を超音波
振動させると、より効果的である。
【0042】空中でニップする手段5としては、ポリマ
ー溶液をコーティング後にフィルター基材に含まれた余
分なポリマー溶液及び残存溶剤を絞り出すことができれ
ば特に限定されないが、ポリマー溶液中でニップする手
段同様に、一定の間隙を有する2つのロール(ニップロ
ール)が好ましく用いられる。さらに、ニップロール等
を用いる場合は、付着したポリマー溶液を取り除く為に
ブレード又はクリーニングロール等を組み合わせること
が好ましい。
【0043】また、血小板通過率を低下させずに生産性
をさらに向上させるために用いられる乾燥手段として
は、フィルターの入り側に低温側の乾燥手段11を用
い、後段に高温側の乾燥手段12を用いる。乾燥手段と
しては、風流式による温調された気体をフィルターに当
てる方法や、単に乾燥気体中を通過させる方法等が用い
られる。
【0044】本発明の製造方法および/または製造装置
を用いて得られた白血球除去フィルターは、通常公知の
血液の入口と出口を有する適当な血液濾過用のフィルタ
ー基材容器に充填して使用することが可能である。本発
明のフィルターは、その厚みによって異なるが、1枚で
用いても良いし、複数枚重ねて用いても良い。重ねる枚
数としては血液濾過条件によって異なり臨界的ではない
が、通常数枚から数十枚が用いられる。また、フィルタ
ー基材が織布または不織布の場合、他の繊維からなるフ
ィルター基材を用いたフィルター、または孔径の異なる
フィルター基材を用いたフィルターと重ねて用いること
も可能である。
【0045】また、フィルターを複数枚重ねて用いる場
合、フィルター基材のうち少なくとも最も孔径の小さい
又は繊維径の小さいフィルター基材を用いているフィル
ター(メインフィルター)が、本発明の製造方法により
作製されていることが好ましく、全てのフィルターが本
発明の製造方法により作製されていることがより好まし
い。また、孔径あるいは繊維径の異なる複数のフィルタ
ー基材を組み合わせた場合のフィルター基材に対するポ
リマーのコート量は、同一の孔径あるいは繊維径のフィ
ルター基材を単独(1枚)あるいは複数(枚)をまとめ
て測定し、同一の孔径あるいは繊維径のフィルター基材
ごとに算出する。
【0046】以下にこの発明の実施例を示すが、本発明
は、これに限定されるものではない。親水性ポリマーの
分子量分布及び平均分子量は、N,N−ジメチルホルム
アミドに1ミリモル/L(リットル)となるようにLi
Br(臭化リチウム)を添加した溶液(以下「溶液A」
という)にポリマーを溶解した溶液(ポリマー濃度1m
g/mL)をカラムを接続したゲルパーミネーションク
ロマトグラフィー(GPC)(本体:東ソー(株)製
HLC−8020+解析プログラム:GPC:LALL
S ver.2.03)を用いて、40℃の温度でRI
(示差屈折計)にて測定した。カラムは、ガードカラム
(東ソー(株)製 TSK guardcoloum
XL−H)と本カラム(前段カラム:東ソー(株)製
TSKgel GMHXL B0032、後段カラム:東
ソー(株)製 TSKgel α−M B0011)か
ら成るものを使用した。また、使用条件(測定条件)
は、移動相(展開液):溶液A、FLOW Rate:
1mL/分、カラム温度:40℃にて行った。尚、ポリ
マーの分子量分布及び平均分子量の算出には、ポリマー
ラボラトリー社製ポリメチルメタクリレート(M−M−
10セット)の既知の分子量と該ポリメチルメタクリレ
ートのGPC測定値(Retention Time)
との関係を用いた。
【0047】
【実施例1】(ポリマーコート溶液の調整)2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート97モル%とジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート3モル%からなる共
重合体(重量平均分子量570,000、塩基性窒素原
子の含量0.32重量%、非イオン性親水基97モル
%、塩基性窒素原子の量3モル%、ピークトップ分子量
3.75×105、低分子量成分の含有量26.0%)
からなる重合溶液(共重合体濃度39重量%、エタノー
ル溶液)に4倍体積量のエタノールを加えて40℃にて
均一に溶解した。この溶液を25℃の室温下で12時間
放置することにより熱誘起相分離法にて液液相分離した
後、ポリマー濃厚相溶液のみを分別回収した。ここで、
低分子量成分とは、ピークトップ分子量の1/4以下の
分子量をもつ重合度の低い成分をいう。得られたポリマ
ー濃厚相溶液には、塩基性窒素原子の含量0.32重量
%、非イオン性親水基97モル%、塩基性窒素原子の量
3モル%、ピークトップ分子量3.92×105、低分
子量成分の含有量14.5%の2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート共重合体が溶解していることが確認され、
液液相分離精製によりポリマー中の低分子量成分が低減
していることが明らかとなった。さらに、得られたポリ
マー濃厚相溶液を40℃にて真空乾燥することにより乾
燥ポリマーを得た。この乾燥ポリマー10重量%をイソ
−プロピルアルコールと水からなる混合溶剤(イソ−プ
ロピルアルコール濃度50重量%)90重量%に25℃
の温度で溶解して均一なポリマーコート溶液を調整し
た。
【0048】(コーティング)図1に示す装置を用い
て、平均繊維直径1.2μmのポリエチレンテレフタレ
ート繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率7
9%、厚さ0.25mm、密度0.16g/cm3、巾
150mm、比表面積2.01m2/g)15mを連続
的に上記25℃のコート溶液に浸漬して、さらに該溶液
中に固定した間隙が0.13mmであるロール間を通過
させることによりポリマー溶液中でニップした後、同様
に間隙が0.13mmであるロール間を通過させること
により空中でニップした。さらに、40℃第1乾燥室内
(風速15m/秒)を3m通過させて、80℃の第2乾
燥室内(風速15m/秒)を3m通過させた後巻き取っ
た。得られたフィルター中のポリマーのコート量は12
4mg/m2であった。ライン速度は、1m/分に固定
した。巻き取り時の残エタノール量は1%以下であり、
巻き取り後にフィルター同士が接着することはなく、効
率良く生産することができた。
【0049】(フィルターの溶着)このようにして製造
したフィルターから任意に選んだ一部を50mm×50
mmの正方形に切断したものを16枚重ねた後、これを
血液の導入口を有する軟質ポリ塩化ビニル樹脂製シート
(シートの大きさ50mm×50mm、シート部のみの
厚さ0.368mm)と血液の導出口を有する軟質ポリ
塩化ビニル樹脂製シート(シートの大きさ50mm×5
0mm、シート部のみの厚さ0.368mm)ではさ
み、血液の導入口と導出口のまわりを円形状に高周波溶
着した。フィルターの有効濾過断面積は10mm×10
mm×3.14=314mm2であり、厚みは4.7m
m(この時、両面のシートを取り除いた時の厚みは4.
0mm)であった。
【0050】(血液評価)溶着したフィルターに対し、
抗凝固剤としてCPD(citrate−phosph
ate−dextrose)を添加したヒトの新鮮全血
(採血後3時間経過血)9mLを、シリンジポンプを用
いて0.9mL/分の一定速度で室温にて流した。この
時、フィルターの溶着部から血液がもれることはなかっ
た。フィルター通過前後について、1mLの血液を採取
してリューコプレート液9mLを混ぜて遠心した後デカ
ンテーションにて上澄み液を捨てて1mLを調整した液
中の白血球濃度を血球計算板を用いて測定することによ
り、白血球濃度を測定した。また、血液中の血小板の濃
度は、多項目自動血球計数装置(SYSMEX社製 K
−4500)にてストマライザー(SYSMEX社製)
を溶血剤に用いて測定した。
【0051】白血球除去能及び血小板通過率は次式によ
り算出した。
【数1】
【数2】
【0052】フィルターの血液濾過性能評価を3回行
い、平均値として表1に示した。フィルター濾過前後で
の血液中のヘマトクリット値に差は見られなかった。全
血濾過から白血球のみを除去する用途では、平均で80
%以上の血小板通過率が求められており、本フィルター
はこの性能要求を満たしていることが明らかとなった。
また、同程度のコート量のフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。
【0053】
【実施例2】実施例1で使用した重合溶液の代わりに2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート95モル%と
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート5モル%か
らなる共重合体(ピークトップ分子量4.08×1
5、低分子量成分の含有量9.9%、塩基性窒素原子
の含量0.53重量%、非イオン性親水基95モル%、
塩基性窒素原子の量5モル%)からなるポリマー濃厚相
溶液(共重合体濃度30重量%)を用いた以外は、実施
例1と同様な操作を行った。フィルター中のポリマーの
コート量は、126mg/m2であった。この時の血液
評価結果を表1に示す。同程度のコート量のフィルター
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。ここで、ピークトップ分子量4.08×
105、低分子量成分の含有量9.9%の2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート95モル%とジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート5モル%からなるポリ
マー濃厚相溶液は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート95モル%とジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート5モル%からなる共重合体(重量平均分子量
650,000、塩基性窒素原子の含量0.53重量
%、非イオン性親水基95モル%、塩基性窒素原子の量
5モル%、ピークトップ分子量3.62×105、低分
子量成分の含有量21.2%)からなる重合溶液(共重
合体濃度41重量%、エタノール溶液)を用いて実施例
1と同様な方法により得られた。
【0054】
【実施例3】実施例1で用いた不織布の代わりに平均繊
維直径1.2μmのポリ(トリメチレンテレフタレー
ト)繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率7
5%、厚さ0.23mm、密度0.17g/cm3、巾
150mm、比表面積1.98m2/g)を用いた以外
は、実施例1と同様な操作を行った。フィルター中のポ
リマーのコート量は、107mg/m2であった。この
時の血液評価結果を表1に示す。同程度のコート量のフ
ィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。
【0055】
【実施例4】実施例1で使用した乾燥ポリマー13重量
%をイソ−プロピルアルコールと水からなる混合溶剤
(イソ−プロピルアルコール濃度50重量%)87重量
%に25℃の温度で溶解して均一なポリマーコート溶液
を調整した以外は実施例1と同様な操作を行った。フィ
ルター中のポリマーのコート量は、150mg/m2
あった。この時の血液評価結果を表1に示す。同程度の
コート量のフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。
【0056】
【実施例5】ポリマー溶液を超音波振動(波数42kH
z、出力300W)させた以外は実施例1と同様な操作
を行った。フィルター中のポリマーのコート量は、13
0mg/m2であった。この時の血液評価結果を表1に
示す。同程度のコート量のフィルター(
【比較例1】参照)よりも白血球除去能が優れているこ
とが分かった。
【0057】
【比較例1】ポリマー溶液中でのニップを行わなかった
以外は、実施例1と同様な操作を行った。フィルター中
のポリマーのコート量は、123mg/m2であった。
この時の血液評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明の白血球除去フィルターは、血小
板と白血球の両方を含有する、血液に代表される細胞浮
遊液から、白血球を選択的に除去することができ、血小
板通過率及び白血球除去能に優れた性能を有することか
ら医薬用途、医療用途、及び一般工業用途に用いること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルターを製造するための製造装置
の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 フィルター基材供給ロール 2 ポリマー溶液コーティング槽 3 ポリマー溶液保温用恒温槽(兼ポリマー溶液を超音
波振動させる手段) 4 ロール 5 ニップ用ロール 6 フィルター巻き取り用ロール 7 フィルター基材 8 ポリマー溶液 9 含浸ニップ用ロール 10 恒温槽内の温調水 11 乾燥する手段(低温側) 12 乾燥する手段(高温側)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F26B 13/06 F26B 13/06 Fターム(参考) 3L113 AA08 AB02 AC01 AC31 AC67 BA23 DA01 4C077 AA12 BB02 KK13 KK23 LL02 LL13 LL23 NN02 PP09 PP10 PP12 PP18 PP19 4D019 AA03 BA13 BB03 BC05 CB06 CB07 4G036 AB22 4G075 AA23 AA62 BB02 BD16 CA02 CA23

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルター基材をポリマー溶液に浸漬し
    てコーティングする白血球除去フィルターの製造方法に
    おいて、該ポリマー溶液中でニップした後、さらに空中
    でニップする工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 超音波振動させたポリマー溶液中でニッ
    プすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 空中でニップした後、低温と高温との少
    なくとも2つの異なる温度で低温から高温へと順次乾燥
    することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 フィルター基材をポリマー溶液に浸漬す
    る手段と、該ポリマー溶液中でニップする手段と、空中
    でニップする手段とを含むことを特徴とする白血球除去
    フィルターの製造装置。
  5. 【請求項5】 ポリマー溶液を超音波振動させる手段を
    有することを特徴とする請求項4に記載の製造装置。
  6. 【請求項6】 さらに乾燥手段を有することを特徴とす
    る請求項4又は5に記載の製造装置。
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