JPH1142406A - 白血球除去フィルター材 - Google Patents

白血球除去フィルター材

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JPH1142406A
JPH1142406A JP9184590A JP18459097A JPH1142406A JP H1142406 A JPH1142406 A JP H1142406A JP 9184590 A JP9184590 A JP 9184590A JP 18459097 A JP18459097 A JP 18459097A JP H1142406 A JPH1142406 A JP H1142406A
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JP
Japan
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fiber
leukocyte
filter material
less
porous element
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JP9184590A
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English (en)
Inventor
Jun Tanaka
純 田中
Tatsuya Fukuda
達也 福田
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
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Asahi Medical Co Ltd
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Publication date
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Priority to EP98929710A priority patent/EP1000651B1/en
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 単位体積当りの白血球除去能が高く、白血球
含有液の流れが良好であり、且つ血球に対するダメージ
の少ない白血球除去フィルター材を提供する。 【解決手段】 平均孔径が1.0μm以上100μm未
満の多孔質素子と、該多孔質素子に保持された平均繊維
径が0.03μm以上1.0μm未満の繊維構造体から
なるフィルター材であって、該フィルター材の空隙率が
50%以上95%未満、該繊維構造体の該フィルター材
に対する保持量が0.01wt%以上30wt%未満、
該多孔質素子の平均孔径と該繊維構造体の平均繊維径の
比が2以上2000未満であり、該繊維構造体が網目状
構造を形成している白血球除去フィルター材において、
前記繊維構造体がフィブリル指数10以上のセルロース
繊維をフィブリル化する事によって得られるフィブリル
である事を特徴とする白血球除去フィルター材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白血球含有液から
白血球を除去するための白血球除去フィルター材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、輸血の分野においては、供血者か
ら採血した血液に抗凝固剤を添加した全血製剤を輸血す
る、いわゆる全血輸血に加えて、全血製剤から受血者が
必要とする血液成分を分離し、その血液成分を輸注す
る、いわゆる成分輸血が一般的に行われている。成分輸
血には、受血者が必要とする血液成分の種類により、赤
血球輸血、血小板輸血、血漿輸血などがあり、これらの
輸血に用いられる血液成分製剤には、赤血球製剤、血小
板製剤、血漿製剤などがある。また、近年、血液製剤中
に含まれている混入白血球を除去してから血液製剤を輸
血する、いわゆる白血球除去輸血が普及してきている。
これは、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱
反応などの比較的軽微な副作用や、受血者に深刻な影響
を及ぼすアロ抗原感作、ウィルス感染、輸血後GVHD
などの重篤な副作用が、主として輸血に用いられた血液
製剤中に混入している白血球が原因で引き起こされるこ
とが明らかにされたためである。頭痛、吐き気、悪寒、
発熱などの比較的軽微な副作用を防止するためには、血
液製剤中の白血球を、残存率が10-1〜10-2以下にな
るまで除去すればよいと言われている。また、重篤な副
作用であるアロ抗原感作やウィルス感染を防止するため
には、白血球を残存率が10-4〜10-6以下になるまで
除去すればよいと言われている。
【0003】血液製剤から白血球を除去する方法には、
大きく分けて遠心分離機を用いて血液成分の比重差を利
用して白血球を分離除去する遠心分離法と、繊維素材
や、連続気孔を有する多孔質体などの多孔質素子からな
るフィルター材を用いて白血球を除去するフィルター法
の2種類がある。フィルター法は、白血球除去能に優れ
ていること、操作が簡便であること、及びコストが安い
ことなどの利点を有するため現在普及してきている。更
に、フィルター法の中でも、フィルター材として不織布
を用いて白血球を粘着又は吸着により除去する方法は、
白血球除去能が特に優れていることから現在最も普及し
ている。上記の繊維素材や多孔質体を用いたフィルター
装置による白血球除去の機構は、主としてフィルター材
表面と接触した白血球が、フィルター材表面に粘着又は
吸着されることによるとされている。例えば、EP−A
−0155003には、不織布をフィルター材として用
いた技術が開示されている。また、繊維径0.01μm
以下、長さが1〜50μm程度の小繊維片が多数集合し
てなる塊と、繊度が約0.05〜0.75dで平均長さ
が3〜15μmの紡織可能な短繊維とを分散媒中に分散
させ、得られた分散液から分散媒を除去することによっ
て製造した白血球除去フィルター材がWO93/018
80に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現行の白血球除去フィ
ルターは、残存白血球数1×105個以下の白血球除去
能を有している。かかる状況の下で、白血球除去フィル
ターに対する二つの大きな要求が、市場において提起さ
れている。第一の要求は、有用成分の回収率を向上させ
るとともに、生理食塩水や空気の存在によってフィルタ
ー内及び回路内に残留している有用成分を回収する操作
を不要化して取扱い性を向上させることである。特に血
液製剤の原料である血液は、善意による献血でまかなわ
れている貴重な血液である場合が多く、白血球除去フィ
ルター内に残留して回収不能となった血液は、そのまま
フィルターと共に廃棄されて無駄になってしまうので、
現行の白血球除去フィルターよりも有用成分の回収率を
向上させることは極めて有意義である。しかし、従来技
術を用いた白血球除去フィルターでは、格段に有用成分
の回収率を向上させることは困難である。第二の要求
は、現行の白血球除去フィルターよりも高い白血球除去
率を達成し、患者に輸注された白血球が原因で起こる重
篤な副作用を完全に予防することである。しかし、従来
技術を用いた白血球除去フィルターでは、かかる副作用
を完全に予防できるほどに高い白血球除去率を達成する
ことは困難である。本発明の目的は、単位体積当たりの
白血球除去能が従来のフィルター材に比べて極めて高
く、しかも白血球含有液の流れが良好な白血球除去フィ
ルター材を提供することにあり、更に赤血球、血小板等
の血球に対して与える悪影響の少ない、血液適合性の良
好な白血球除去フィルター材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のフィブ
リル指数を持つセルロース繊維をフィブリル化して得ら
れる繊維を構成要素とするフィルターを用いることによ
って、より具体的には特定の孔径を持つ多孔質素子と該
多孔質素子に保持された超極細の繊維構造体とよりな
り、特定の構造を持つ白血球除去フィルター材におい
て、繊維構造体として特定のフィブリル指数を持つセル
ロース繊維をフィブリル化して得られるフィブリルを用
いる事によって、驚くべき程白血球除去能が高く、白血
球含有液の流れが良好で、しかも血液適合性の良好な白
血球除去フィルター材が得られる事を見出し、本発明を
完成させたものである。即ち本発明は、フィブリル指数
が10以上のセルロース繊維をフィブリル化してなる繊
維を構成要素とする白血球除去フィルターを提供する。
更に本発明は、平均孔径が1.0μm以上100μm未
満の多孔質素子と、該多孔質素子に保持された平均繊維
径が0.03μm以上1.0μm未満の繊維構造体から
なるフィルター材であって、該フィルター材の空隙率が
50%以上95%未満、該繊維構造体の該フィルター材
に対する保持量が0.01wt%以上30wt%未満、
該多孔質素子の平均孔径と該繊維構造体の平均繊維径の
比が2以上2000未満であり、該繊維構造体が網目状
構造を形成している白血球除去フィルター材において、
前記繊維構造体がフィブリル指数10以上のセルロース
繊維をフィブリル化する事によって得られるフィブリル
である事を特徴とする白血球除去フィルター材である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で言う平均繊維径とは、繊
維構造体を構成している繊維の走査型電子顕微鏡写真を
撮り、無作為に選択した100本以上の繊維の直径を測
定し、それらを数平均して得られた値である。平均繊維
径の測定は、該繊維を基材である多孔質素子に保持させ
る前に行ってもよく、又は該繊維を基材である多孔質素
子に保持させた後に行ってもよい。特に多孔質素子が繊
維集合体からなる場合は、繊維を多孔質素子に保持させ
る前に平均繊維径の測定を行った方がより正確に測定を
行えるので好ましい。平均繊維径が0.03μm未満の
繊維は、繊維の強度が弱く、白血球含有液を処理してい
る時に衝突する白血球やその他の血球成分などにより繊
維が切れ易くなるので本発明の目的には好ましくない。
また、平均繊維径が1.0μm以上の繊維は、フィルタ
ー材の開孔率が小さくなって白血球含有液の流れが悪く
なってしまうので本発明の目的には好ましくない。白血
球の中でも比較的直径が小さい低粘着性のリンパ球等を
効率良くフィルター材と多点で接触させて捕捉するため
には、繊維の平均繊維径は0.03μm以上0.8μm
未満である事が好ましい。また、本発明における繊維構
造体では、平均繊維径の非常に小さい繊維が網目状構造
を形成している。このような網目状繊維構造体が多孔質
素子に保持されている。本発明において繊維構造体が多
孔質素子に保持されているとは、上記の網目状繊維構造
体が、基材である多孔質素子の細孔部分を覆うように存
在して基材に固定されている状態を意味する。本発明の
フィルター材の物理構造上の特徴を以下に述べる。本発
明のフィルター材においては、平均繊維径が0.03μ
m以上1.0μm未満の複数の繊維が網目状構造を形成
して繊維構造体を構成し、該繊維構造体が、平均孔径が
1.0μm以上100μm未満の細孔を有する多孔質素
子に保持されていることが好ましい。しかし、繊維構造
体を構成している繊維は、束状にはなっておらず、それ
ぞれの繊維が開繊された状態にある、いわゆる単繊維で
あって、これらの複数本の単繊維が物理的に絡まりあっ
て網目状構造を形成している。本発明で言う網目状構造
としては、繊維構造体を構成している繊維が湾曲的な構
造を有するために、形成される網目が曲線状になってい
る構造が挙げられる。この網目状の繊維構造体が、白血
球含有液の流れに対して垂直な断面において多孔質素子
に均一に保持されていると、白血球を効率良く捕捉する
ことができるので好ましい。繊維構造体が白血球含有液
の流れに対して垂直な断面において多孔質素子に均一に
保持されているとは、白血球含有液の流れに対して垂直
な断面内において無作為にサンプリングしたフィルター
材の各部分での繊維構造体の導入量(密度)がほぼ等し
い事を意味し、この導入量は実際にはサンプリングした
フィルター材の各部分における一定量のフィルター材中
に存在する繊維構造体の量のばらつきを測定する事で求
めることができる。また、白血球含有液の流れに対して
垂直な断面内において無作為にサンプリングしたフィル
ター材の各部分での繊維構造体の導入量がほぼ等しい上
に、各部分での網目の大きさの分布がほぼ等しく、ほぼ
同一の網目構造体が形成されている事が特に好ましい。
なお、このような状態を本明細書中では、「均一な網目
構造が形成されている」と表現する。より具体的に説明
すると、均一な網目構造が形成されているとは、無作為
にサンプリングしたフィルター材の各部分での網目構造
が、電子顕微鏡で観察した際に近似した大きさの網目の
分布と、類似した網目の形態とを有しており、ほぼ同一
であると認められる状態をいう。均一な網目構造が形成
されていない状態とは、無作為にサンプリングしたフィ
ルター材の各部分での網目構造を観察したとき、各部分
での網目の大きさの分布が大きく異なり、その形態も明
らかに異なると判断できる状態をいう。
【0007】本発明の白血球除去フィルター材において
は、例えば平均繊維径が0.03μm以上1.0μm未
満の繊維構造体としてフィブリル指数が10以上のセル
ロース繊維をフィブリル化する事によって得られるフィ
ブリルを用いているので、上記した様な網目状構造が非
常に好ましい形態で形成される。網目状構造を形成して
いるセルロースフィブリルが細いにも拘らず切れ難く、
適度な柔らかさを持っているので、赤血球は無理な変形
をしなくても通り抜けることが可能であり、通液抵抗が
低く、赤血球に与えるダメージが少ない。また、白血球
に対しては、セルロースフィブリルが細いため強いアフ
ィニティーを示し、強固に捕捉できるものと考えられ
る。また、セルロースという素材そのものが、元々赤血
球、血小板等の血球に対してはアフィニティーが小さ
く、これらの細胞を刺激し難い材料であるため、血液適
合性についても申し分ない。ここで、セルロースフィブ
リルを得るためのセルロース繊維としてはフィブリル指
数が10以上のセルロース繊維である必要がある。ここ
で言うフィブリル指数とは、特表平8−501356号
に記載の方法によって求められる数値を言う。即ち、八
つのファイバを4mLの水の入った20mLのサンプル
ボトルへ入れ、且つボン(ドイツ)、ゲルハルト(Ge
rhardt)社のRO−10タイプのラボラトリメカ
ニカルシェーカ中で12段階(又は同等のシェーク条
件)で3時間振盪し、その後、0.276mmのファイ
バ長さ当たりのフィブリル数を顕微鏡下で教えることに
よって求められる数値である。フィブリル指数が10以
上のセルロース繊維はフィブリル化が容易であり、ま
た、得られるフィブリルが均質であり、また繊維径も比
較的均一なものが得られ易い。また、フィブリルが適度
な湾曲構造を持っており、前述した網目構造を作り易い
という特徴がある。好ましいフィブリル指数は15以上
であり、更に好ましいのは20以上である。フィブリル
指数が10以上のセルロース繊維としては、リヨセル、
スーパーポリノジック等のセルロース繊維が例示でき
る。
【0008】本発明のフィルター材においては、平均繊
維径が0.03μm以上1.0μm未満の繊維構造体が
網目状構造を形成し、それが平均孔径が1.0μm以上
100μm未満の多孔質素子に保持され、且つフィルタ
ー材の空隙率が50%以上95%未満であり、多孔質素
子の平均孔径と繊維構造体の平均繊維径の比が2以上2
000未満である事が好ましい。ここで平均孔径とは、
水銀圧入法で測定して得られた値である。即ち、水銀圧
入圧1psiaの時の水銀圧入量を0%、水銀圧入圧2
650psiaの時の水銀圧入量を100%とした場
合、50%の水銀圧入量に相当する細孔径を平均孔径と
した。平均孔径が1.0μm未満であると白血球含有液
が流れないので本発明の目的には適さず、平均孔径が1
00μm以上であると繊維構造体を維持することがしば
しば困難となり本発明の目的には適さない。白血球含有
液の流れを良好に保つためには、多孔質素子の平均孔径
と繊維構造体の平均繊維径の比が2以上2,000未満
であることが好ましい。多孔質素子の平均孔径と繊維構
造体の平均繊維径の比が2未満であると、多孔質素子の
細孔径と繊維構造体を構成する繊維の直径の差がほとん
どなく、多孔質素子の細孔が繊維によって閉塞されてし
まい白血球含有液の流れが極端に悪くなるため本発明の
目的には適さない。多孔質素子の平均孔径と繊維構造体
の平均繊維径の比が2000以上であると、多孔質素子
の細孔径が大きく、繊維構造体が多孔質素子の細孔を覆
うように保持させることが困難となり、白血球除去能の
極端な低下を招くほか、繊維構造体と多孔質素子との交
絡が不十分となって、繊維構造体が脱落する虞があり適
さない。多孔質素子の平均孔径と繊維構造体の平均繊維
径の比が10以上1,800未満であることがより好ま
しい。本発明で言う多孔質素子としては、平均孔径1μ
m以上100μm未満の繊維集合体、多孔膜、スポンジ
状の連続多孔質体等が挙げられる。多孔質素子として
は、上記繊維集合体、特に長繊維からなる繊維集合体が
好ましい。好ましい繊維集合体の形態としては、不織
布、織布、編布などが挙げられるが、特に不織布が好ま
しい。多孔質素子が繊維集合体である場合は、白血球含
有液の流れを良好に保つために、繊維集合体の平均孔径
と繊維構造体の平均繊維径の比が、10以上1,000
未満であることが特に好ましい。多孔質素子の材質は、
ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリア
ミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、セルロー
ス、セルロースアセテートなどの、不織布、織布、編
布、多孔膜、スポンジ状の連続多孔質体などを形成する
ことができる材料であればいずれも用いることができ
る。
【0009】更に、本発明の白血球除去フィルター材に
おいては、繊維構造体のフィルター材に対する保持量が
0.01wt%以上30wt%未満であることが好まし
い。保持量が0.01wt%未満であると、白血球含有
液中の白血球を捕捉するのに十分な繊維量が得られない
ので本発明の目的には適さない。保持量が30wt%以
上であると、多孔質素子に導入された繊維量が多くなり
過ぎ、多孔質素子の細孔部分を閉塞させてしまい白血球
含有液が流れなくなるので本発明の目的には適さない。
繊維構造体のフィルター材に対する保持量が0.03w
t%以上10wt%未満であることがより好ましい。保
持量の測定は、多孔質素子に繊維構造体を保持させる前
と後の重量の変化から求めることができる。また、繊維
構造体の保持量が、フィルター材単位重量当たり約3w
t%未満と少量であるときは、重量測定よりも精度よく
繊維構造体の保持量を求めるために、繊維構造体のみを
溶解させて抽出し、抽出された成分を定量する方法を用
いることができる。具体的にその定量方法を説明する
と、以下の通りである。セルラーゼを溶解した溶液に、
本発明の白血球除去フィルター材を浸漬、振とうし、繊
維構造体のセルロースをグルコースに分解し、グルコー
スを抽出する。抽出されたグルコースを、市販のグルコ
ース定量試薬を用いて定量し、得られたグルコース量か
ら多孔質素子に保持された繊維構造体の量を算出する。
高い白血球除去能を達成するためには繊維構造体が多孔
質素子全体に保持されていることが好ましい。しかし、
製造方法に由来する制限により、多孔質素子の内部深く
にまで繊維構造体を保持させることが困難である場合
は、多孔質素子の片側の表面に繊維構造体を保持させて
もよく、このような場合、繊維構造体の保持量を増やし
てフィルター材の白血球除去能を簡便に向上させる手段
として、多孔質素子の両側の表面に繊維構造体を保持さ
せてもよい。いずれの場合も、繊維構造体を多孔質素子
に略均一に保持させることが高い白血球除去能を達成す
るために好ましい。
【0010】本発明の白血球除去フィルター材において
は、空隙率が50%以上95%未満であることが好まし
い。フィルター材の空隙率が50%未満であると、白血
球含有液の流れが悪く本発明の目的には適さない。空隙
率が95%以上であると、フィルター材の機械的強度が
弱く白血球含有液を処理する際にフィルター材が潰れて
しまい、もはやフィルター材としての機能を示さなくな
るため本発明の目的には適さない。空隙率の測定は、所
定の面積に切断したフィルター材の乾燥時の重量
(W1)を測定し、更に厚みを測定して体積(V)を算
出する。このフィルター材を純水中に浸漬し、脱気した
後含水したフィルター材の重量(W2)を測定する。こ
れらの値から以下に示す算出式により空隙率が求められ
る。なお、下記の算出式中のρは純水の密度である。 空隙率(%)=(W2−W1)×ρ×100/V 本発明の白血球除去フィルター材の好ましい厚さは、白
血球含有液の流れ方向で0.1mm以上30mm未満で
あることが好ましい。厚さが0.1mm未満であると、
白血球含有液中の白血球とフィルター材との衝突頻度が
減少するため、高い白血球除去能を達成することが困難
であり好ましくない。厚さが30mm以上であると、白
血球含有液の通過抵抗が高くなるために、処理時間の延
長や赤血球膜の破壊に伴う溶血が生じるなどの理由によ
り好ましくない。フィルター材の流れ方向の厚さが0.
1mm以上15mm未満であることがより好ましい。
【0011】本発明のフィルター材を得る方法として、
平均繊維径が0.03μm以上1.0μm未満の繊維を
溶媒中に分散させ、平均孔径が1.0μm以上100μ
m未満の多孔質素子に抄造し保持させることを特徴とす
る製造方法を採用する場合、得られる白血球除去フィル
ター材においては、繊維構造体の平均繊維径に対する多
孔質素子の平均孔径の比が16以上300未満であるこ
とがより好ましい。また、繊維構造体のフィルター材に
対する保持量が0.3wt%以上5.0wt%未満であ
ることが好ましい。そして、繊維構造体の平均繊維径が
0.05μm以上0.5μm未満であることが更に好ま
しい。本発明の白血球除去フィルター材を後加工として
非水溶性高分子溶液などの結合剤で処理すると、一般的
には繊維構造体を構成している繊維どうしを束状に束ね
てしまったり、複数の繊維の間に膜状物を形成してしま
うなど、網目状構造を壊す可能性があるので、そのよう
な結合剤で処理しないことが好ましい。一方、繊維が比
較的太くて短く、多孔質素子との物理的な交絡が不十分
である場合には、後加工として比較的希薄な非水溶性高
分子溶液などの結合剤で本発明の白血球除去フィルター
材を処理すれば、多孔質素子に繊維を効果的に固定する
ことができ、繊維の脱落を防止することができるため好
ましい。本発明の白血球除去フィルター材の表面を血小
板又は赤血球が粘着しにくい表面に改質して血小板や赤
血球の回収率を向上させ、白血球のみを除去することな
どもできる。フィルター材表面を改質する方法として
は、表面グラフト重合、高分子材料のコーティング又は
放電処理などが挙げられる。表面グラフト重合又は高分
子材料のコーティングによってフィルター材表面を改質
する場合に用いられる高分子材料としては、非イオン性
親水基を有する高分子材料が好ましい。非イオン性親水
基としてはヒドロキシル基、アミド基、ポリエチレンオ
キシド鎖などが挙げられる。非イオン性親水基を有する
高分子材料の合成に用いることができるモノマーとして
は、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルアルコール
(酢酸ビニルを重合して得られた高分子を加水分解する
ことにより調製したもの)、メタクリルアミド、N−ビ
ニルピロリドンなどが挙げられる。上記モノマーの中で
も、入手の容易さ、重合時の扱い易さ、白血球含有液の
処理性能などの観点から、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ま
しい。上記表面グラフト重合又は高分子材料のコーティ
ングに用いられる高分子材料が、非イオン性親水基及び
/又は塩基性含窒素官能基を有する重合性モノマーをモ
ノマー単位として0.1〜20モル%含むコポリマーで
あることが好ましい。塩基性含窒素官能基としては、第
1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、4級
アンモニウム基など、及びピリジル基、イミダゾル基等
の含窒素芳香環基などが挙げられる。塩基性含窒素官能
基を有する重合性モノマーとしては、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレ
ート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジ
メチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
等のメタクリル酸の誘導体、アリルアミン、p−ビニル
ピリジン、4−ビニルイミダゾール等の含窒素芳香族化
合物のビニル誘導体、及び上記のビニル化合物をハロゲ
ン化アルキル等と反応させることにより得られる4級ア
ンモニウム塩を挙げることができる。上記の重合性モノ
マーの中でも、入手の容易さ、重合時の扱い易さ、白血
球含有液の処理性能などからジメチルアミノエチルメタ
クリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートが好
ましい。得られたコポリマーにおける、塩基性含窒素官
能基を有する重合性モノマーのモノマー単位含量が0.
1%未満であると、フィルター材表面への血小板の粘着
の抑制効果があまり見られないため好ましくない。ま
た、コポリマーにおける、塩基性含窒素官能基を有する
重合性モノマーのモノマー単位含量が20%以上である
と、白血球だけでなく、血小板や赤血球などの有用成分
がフィルター材表面に粘着し易くなるため好ましくな
い。コポリマー中の塩基性含窒素官能基を有する重合性
モノマーの含量がモノマー単位として0.2〜5%であ
ることがより好ましい。
【0012】以下、白血球除去フィルター材の製造方法
について例示する。本発明のフィルター材中の繊維構造
体が網目状構造を形成するためには、平均繊維径が0.
03μm以上1.0μm未満の繊維が湾曲した形状を有
し、繊維自体が柔軟で湾曲し易く、繊維が比較的短いな
どの性質を有することが好ましい。フィブリル指数が1
0以上のセルロース繊維から得られるフィブリルは、こ
の要求を満たす。平均繊維径が0.03μm以上1.0
μm未満の上記繊維は、フィブリル指数が10以上のセ
ルロース繊維を、ミキサーなどを用いて物理的にかき混
ぜたり、高圧液体流を噴射したり、高圧ホモジナイザー
で処理する等して製造することができる。フィブリル指
数が10以上のセルロース繊維を、必要に応じて酸処理
又はアルカリ処理に付した後、ミキサーなどを用いて液
体中で物理的にかき混ぜてフィブリル化させることによ
って上記特定の平均繊維径の繊維を得る方法は、繊維径
が極めて細くなり、しかも湾曲した形状の繊維が容易に
得られ、繊維が網目状構造を形成し易くなるので特に好
ましい。フィブリル指数が10以上のセルロース繊維を
フィブリル化することによって、平均繊維径が0.03
μm以上1.0μm未満の繊維を得るこの方法を、以下
具体的により詳細に説明する。まず、市販の繊維径約1
2μmのフィブリル指数が10以上であるセルロース繊
維を所定の長さに切断した後、約3wt%硫酸水溶液に
浸漬し、緩やかにかき混ぜながら70℃で30分間酸処
理を施す。酸処理したこのセルロース繊維を水洗した
後、ミキサーを用いて10,000rpmで30分間か
ら90分間水中で激しくかき混ぜると、このセルロース
繊維はフィブリル化して細径化してゆき、最終的に目的
とする繊維を得ることができる。このようにして得られ
た平均繊維径が0.03μm以上1.0μm未満の繊維
を分散媒中に約0.01g/Lから約1g/Lの濃度に
なるように分散させて、繊維分散液を得る。分散媒とし
ては、純水の他、界面活性剤を約0.1%から5%含有
する水溶液、又は繊維の分散性をより向上させるために
ポリアクリルアミドを約0.1%から5%添加して粘度
を高めた水溶液などが用いられる。次に漏斗様の容器の
底面に平均孔径が1.0μm以上100μm未満の多孔
質素子を配置しておき、ここに上記の繊維分散液を注ぎ
込み、一旦溜めてから一気に排水した後、該多孔質素子
を乾燥させて本発明のフィルター材を得ることができ
る。本発明ではこのような製造方法を抄造という。この
時、繊維が短かければ多孔質素子の内部深くにまで保持
させることができるので好ましい。上記の製造方法によ
って製造されたフィルター材に、更に約3kg/cm2
から200kg/cm2の高圧液体流処理を施すこと
は、繊維をより均一に、しかも多孔質素子の厚さ方向の
内部深くにまで保持させることができるので好ましい。
【0013】次に本発明の白血球除去フィルターを用い
た白血球除去フィルター装置について例示する。白血球
除去フィルター装置は、本発明のフィルター材を含むフ
ィルターを、少なくとも、導入口及び導出口を持つ容器
内に適切に充填した装置である。フィルター材は、白血
球含有液の流れ方向に1個又は複数個積層して容器内に
充填してもよい。一方、フィルター材の表面改質を目的
として高分子材料を含む溶液をフィルター材に流し込
み、コーティング処理を施す場合などは、本発明の装置
内の最下層のフィルター材が容器内壁に張り付いてしま
って白血球含有液の偏流れを生じさせることがある。こ
のような場合、最下層に比較的目の粗いフィルター材を
挿入することによって、フィルター材が容器内壁に張り
付いて起こる白血球含有液の偏流れを防止することがで
きる。白血球除去フィルター装置は、そのフィルター材
の上流側及び/又は下流側に他のフィルター材を更に含
んでいてもよい。一般に、白血球含有液には微小凝集物
が含まれている場合が多い。このような微小凝集物が多
く含まれている白血球含有液から白血球を除去するため
に、プレフィルターを使用することもできる。プレフィ
ルターとしては、平均繊維径が8μm〜50μmの繊維
の集合体や平均孔径20μm〜200μmの細孔を有す
る連続多孔質体などが好ましく用いられる。白血球除去
フィルター装置のフィルター材の白血球含有液の流れ方
向に垂直な断面積は3cm2以上100cm2未満である
ことが好ましい。断面積が3cm2未満であると白血球
含有液の流れが極端に悪くなるので好ましくない。断面
積が100cm2以上であるとフィルターの厚さを薄く
せざるを得なくなり、高い白血球除去能を達成できない
上、フィルター装置の大型化を招くので好ましくない。
【0014】以下本発明の白血球除去フィルター材を含
む白血球除去フィルター装置を用いて白血球含有液から
白血球を除去する方法について例示する。白血球除去方
法は、白血球除去フィルター装置で白血球含有液を処理
し、濾過された液を回収することからなる。より詳細に
は、1)導入口、2)本発明のフィルター材を含むフィ
ルター、及び3)導出口を含む装置を用い、導入口から
白血球含有液を注入し、導出口からフィルター材で濾過
された液を回収することからなる、白血球含有液から白
血球を除去する方法である。白血球除去フィルター装置
で濾過する白血球含有液としては、全血製剤、濃厚赤血
球製剤、濃厚血小板製剤の他、体液などが挙げられる。
白血球含有液が全血製剤又は濃厚赤血球製剤である場
合、1単位当たりの装置容量が3mL以上20mL未満
である白血球除去フィルター装置で白血球含有液を処理
することが好ましい。ここで1単位とは、約300mL
から550mLの量の全血製剤又は濃厚赤血球製剤をい
う。1単位当たりの装置容量が3mL未満であると、高
い白血球除去率を達成できない可能性が高いので好まし
くない。1単位当たりの装置容量が20mL以上である
と、装置内部に残留する回収不能な白血球含有液中の有
用成分、言い換えると有用成分の損失量が多くなるので
好ましくない。白血球除去フィルター装置で全血製剤又
は濃厚赤血球製剤を濾過することにより、回収された液
中の白血球を、残存白血球数1×103個/単位未満に
まで除去することができる。白血球含有液が濃厚血小板
製剤である場合、5単位当たりの装置容量が1mL以上
10mL未満である白血球除去フィルター装置で白血球
含有液を処理することが好ましい。ここで5単位とは、
約170mLから200mLの量の濃厚血小板製剤を指
す。5単位当たりの装置容量が1mL未満であると、高
い白血球除去率を達成できない可能性が高いので好まし
くない。5単位当たりの装置容量が10mL以上である
と、装置内部に残留する回収できない有用成分が多くな
るので好ましくない。本発明の白血球除去フィルター装
置で濃厚血小板製剤を濾過することにより、回収された
液中の白血球を、残存白血球数1×103個/5単位未
満にまで除去することができる。白血球除去フィルター
装置を用いて、病院のベッドサイドで輸血を行うと同時
に白血球を除去する場合は、1g/分以上20g/分未
満の速度で白血球含有液を濾過することが好ましい。一
方、白血球除去フィルター装置を用いて、血液センター
で輸血用の血液製剤から白血球を除去する場合は、20
g/分以上100g/分未満の速度で白血球含有液を濾
過することが好ましい。白血球除去フィルター装置は、
輸血後に様々な副作用をひきおこす原因となる白血球を
輸血用血液製剤から除去する以外にも、自己免疫疾患の
体外循環療法において白血球を除去する目的でも使用す
ることができる。自己免疫疾患の体外循環療法は、白血
球含有液である患者の体液を、連続的に白血球除去フィ
ルター装置で濾過して、回収された液を体内に戻すこと
により体液から白血球を除去することからなる。以上述
べたように、本発明の白血球除去フィルター材は、白血
球との親和性が極めて高いので、処理速度を低下させる
ことなく効率良く白血球含有液を処理することができ
る。また、血液適合性に優れ、赤血球や血小板に与える
ダメージが少ない。
【0015】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を更に詳細に説明
するが本発明の範囲はこれらの実施例にのみ限定される
ものではない。
【実施例1】極細繊維の調製は、次に示す方法で行っ
た。フィブリル指数10以上のセルロース繊維としてモ
ノフィラメント繊維径約12μmのリヨセル糸(テンセ
ル、コートルズ社製)を用いた。このセルロース繊維の
フィブリル指数は10点測定したところ36、19、2
1、50、14、13、18、28、17、27と全て
10より大きかった。繊維長が約3mmになるよう切断
し、これを3wt%硫酸水溶液に浸漬し、60rpmで
緩やかにかき混ぜながら70℃で30分間酸処理を施し
た。純水で硫酸を洗い流した後、得られた繊維のうち
1.5gを純水1Lに分散させ、ホモジナイザーを用
い、10,000rpmで30分間激しくかき混ぜ極細
繊維を調製した。基材である多孔質素子は、メルトブロ
ー法により製造された平均繊維径が1.0μmのポリエ
ステル製不織布に、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(以
下、DMと略す)からなるコポリマー(コポリマー中の
DM含量は3モル%)を用いてコーティング処理を施し
たものを用いた。より詳しくは、上記ポリエステル製不
織布を上記コポリマーの0.2%エタノール溶液中に4
0℃で1分間浸漬した後、余分なコポリマー溶液を軽く
絞って除去し、専用の容器に充填して窒素を送り込みな
がら乾燥させた。多孔質素子の平均孔径は8.5μm、
厚さは0.19mm、嵩密度が0.22g/cm3、目
付が42g/m2であった。平均孔径の測定は、ポアサ
イザ9320(島津製作所)を用い、1〜2,650p
siaの圧力範囲で測定し、水銀圧入圧1psiaの時
の水銀圧入量0%、水銀圧入圧2,650psiaの時
の水銀圧入量を水銀圧入量100%とした時、水銀圧入
量50%にあたる細孔径を平均孔径とした。上記の多孔
質素子を直径15cmの真円形に切断し、直径15cm
の磁性漏斗の底面に配置し、更に多孔質素子表面から約
1cmの高さまで純水を溜めた。ここに極細繊維の水分
散液(繊維濃度0.1g/L)50mLを静かに注ぎ、
緩やかにかき混ぜた後、磁性漏斗の底面から一度に排水
して多孔質素子上に極細繊維を保持させ、40℃で16
時間真空乾燥することによってフィルター材を得た。こ
の操作を2回繰り返して多孔質素子の表側と裏側の両表
面上に極細繊維が保持されたフィルター材を作製した。
多孔質体に保持された繊維構造体の平均繊維径は0.2
3μmであった。平均繊維径の測定は、走査型電子顕微
鏡(日立製作所製S−2460N)を用いて、得られた
フィルター材の電子顕微鏡写真を撮影し、極細繊維を無
作為に選択して100箇所以上の繊維径を測定し、それ
らを数平均して求めた。従って、多孔質素子の平均孔径
と繊維構造体の平均繊維径の比は37.0、多孔質素子
の平均繊維径と繊維構造体の平均繊維径の比は4.3と
なる。また、フィルター材の空隙率は84%、繊維構造
体のフィルター材に対する保持量は1.0wt%であっ
た。空隙率の測定は、直径25mmの円形に切断したフ
ィルター材の乾燥時の重量(W1)を測定し、更に厚み
をピーコックを用いて測定して体積(V)を算出する。
このフィルター材を純水中に浸漬し、約30秒間超音波
を照射しながら脱気した後、含水したフィルター材の重
量(W2)を測定する。これらの値から以下に示す算出
式により空隙率を求めた。なお、下記の算出式中のρは
純水の密度であり、本実験では1.0g/cm3を代入
した。 空隙率(%)=(W2−W1)×ρ×100/V
【0016】極細繊維の保持量の測定は、以下に示す方
法で行った。即ち、0.1mol/Lの酢酸緩衝液(p
H4.8)100mLにセルラーゼ(和光純薬工業株式
会社製)50mgを溶解した溶液5mLに、直径25m
mの円形に切断したフィルター材3枚を浸漬する。50
℃で24時間緩やかに振とうし、極細繊維をグルコース
に分解、抽出する。分解、抽出されたグルコースは、グ
ルコース定量試薬であるグルコースCII−テストワコ
ー(和光純薬工業株式会社製)を用いて定量し、グルコ
ース量から多孔質素子に導入された極細繊維の保持量を
算出した。上記のようにして作製したフィルター材7枚
を積層したものを、有効濾過部断面積9.0cm
2(3.0cm×3.0cm)の容器に充填して白血球
除去フィルター装置を作製した。フィルター材の総体積
は1.20cm3であった。400mLの血液に56m
LのCPD液(組成:クエン酸ナトリウム26.3g/
L、クエン酸3.27g/L、グルコース23.20g
/L、リン酸二水素ナトリウム二水和物2.51g/
L)を加えて調製した全血456mLを遠心分離した
後、多血小板血漿を除去し、95mLのMAP液(組
成:クエン酸ナトリウム1.50g/L、クエン酸0.
20g/L、グルコース7.21g/L、リン酸二水素
ナトリウム二水和物0.94g/L、塩化ナトリウム
4.97g/L、アデニン0.14g/L、マンニトー
ル14.57g/L)を加えて調製した濃厚赤血球(R
C−MAP)を調製した。4℃で7日間保存した濃厚赤
血球(RC−MAP:ヘマトクリット値61%、白血球
数4,120個/μL)50gを上記白血球除去フィル
ター装置にて濾過した。濾過を開始する直前の濃厚赤血
球の温度は10℃であった。該フィルター装置での濃厚
赤血球の濾過は、落差1.0mで実施し、血液バッグ内
に濃厚赤血球がなくなるまで濾過を行い、濾過した血液
を回収した(以下、回収された濃厚赤血球を回収液とい
う)。濃厚赤血球を濾過した際の平均処理速度は12.
3g/分であった。濾過前の濃厚赤血球(以下、濾過前
液という)及び回収液の体積、白血球数を測定し、白血
球残存率を求めた。 白血球残存率=(回収液中の白血球数)/(濾過前液中
の白血球数) なお、濾過前液及び回収液の体積は、それぞれの重量を
血液製剤の比重(1.075)で割った値とした。濾過
前液の白血球濃度は、チュルク液によって10倍希釈し
た濾過前液を、ビュルケルチュルク型の血球計算盤に注
入して、光学顕微鏡を用いて白血球数を計数することに
より測定した。また、回収液の白血球濃度の測定は、以
下に示す方法によって行った。回収液を、リューコプレ
ート液(SOBIODA社製)にて5培に希釈する。希
釈液をよく混和した後、室温にて6〜10分間放置し
た。これを、2,750×gで6分間遠心し、上澄を除
去して液量を1.02gに調整した。この試料液を良く
混和した後、ナジェット型の血球計算盤に注入し、光学
顕微鏡を用いて白血球数を計数して、白血球濃度を測定
した。以上の結果、白血球残存率は、10-3.15であっ
た。また、濾過前後の遊離ヘモグロビンを比較したが全
く差は見られなかった。
【0017】
【発明の効果】本発明の白血球除去フィルター材は、白
血球含有液から、輸血副作用の原因となる白血球を高い
効率で除去できると共に、有用血液成分の高い回収率が
得られ、更には有用血液成分の受けるダメージが少ない
ので輸血時に使用される白血球除去フィルターのフィル
ター材として非常に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブリル指数が10以上のセルロース
    繊維をフィブリル化してなる繊維を構成要素とする白血
    球除去フィルター。
  2. 【請求項2】 平均孔径が1.0μm以上100μm未
    満の多孔質素子と、該多孔質素子に保持された平均繊維
    径が0.03μm以上1.0μm未満の繊維構造体から
    なるフィルター材であって、該フィルター材の空隙率が
    50%以上95%未満、該繊維構造体の該フィルター材
    に対する保持量が0.01wt%以上30wt%未満、
    該多孔質素子の平均孔径と該繊維構造体の平均繊維径の
    比が2以上2000未満であり、該繊維構造体が網目状
    構造を形成している白血球除去フィルター材において、
    前記繊維構造体がフィブリル指数10以上のセルロース
    繊維をフィブリル化する事によって得られるフィブリル
    である事を特徴とする白血球除去フィルター材。
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CA 2294500 CA2294500C (en) 1997-06-26 1998-06-26 Leukocyte-removing filter medium
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002102626A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Terumo Corp 白血球除去用フィルターおよび白血球除去器
JP2004529076A (ja) * 2000-12-05 2004-09-24 ハーベスト・テクノロジーズ・コーポレイション 赤血球の沈殿方法
JP2014217945A (ja) * 2014-06-23 2014-11-20 北越紀州製紙株式会社 多孔質体及びその製造方法

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