JP4148309B2 - 微小凝集物除去フィルター材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小凝集物を含有する濃厚赤血球製剤等の赤血球含有血液から、微小凝集物を除去するための微小凝集物除去フィルター材、及びその微小凝集物除去フィルター材を用いた微小凝集物除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
輸血の分野においては、供血者から採血した血液に抗凝固剤を添加した全血製剤を輸血する、いわゆる全血輸血に加えて、全血製剤から受血者が必要とする血液成分を分離し、その血液成分を輸注する、いわゆる成分輸血が一般的に行われるようになっている。成分輸血には、受血者が必要とする血液成分の種類により、赤血球輸血、血小板輸血、血漿輸血などがあり、これらの輸血に用いられる血液成分製剤には、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などがある。
【0003】
また、最近では、血液製剤中に含まれている混入白血球を除去してから血液製剤を輸血する、いわゆる白血球除去輸血が普及してきている。これは、輸血に伴う頭痛、吐き気、悪寒、非溶血性発熱反応などの比較的軽微な副作用や、受血者に深刻な影響を及ぼすアロ抗原感作、ウィルス感染、輸血後GVHDなどの重篤な副作用が、主として輸血に用いられた血液製剤中に混入している白血球が原因で引き起こされることが明らかにされたためである。
【0004】
頭痛、吐き気、悪寒、発熱などの比較的軽微な副作用を防止するためには、血液製剤中の白血球を、残存率が10-1〜10-2以下になるまで除去すればよいと言われている。また、重篤な副作用であるアロ抗原感作やウィルス感染を防止するためには、白血球を残存率が10-4〜10-6以下になるまで除去すればよいと言われている。
【0005】
血液製剤から白血球を除去する方法には、大きく分けて遠心分離機を用いて血液成分の比重差を利用して白血球を分離除去する遠心分離法と、不織布などの繊維素材や、連続気孔を有する多孔質体などからなるフィルター材を用いて白血球を除去するフィルター法の2種類がある。白血球を粘着又は吸着により除去するフィルター法は、白血球除去能に優れていること、操作が簡便であること、及びコストが安いことなどの利点を有するため現在普及している。
【0006】
一般に、濃厚赤血球製剤には、製剤調製時に行う遠心操作や製剤を保存している間に、タンパク質や血球成分の一部が凝集して微小凝集物が生成する。微小凝集物は概ね200μm以下の大きさである。このような微小凝集物を含んだ血液製剤から白血球を除去するとき、白血球除去能に優れるフィルター材で直接処理しようとすれば、白血球除去フィルターは細孔径が小さいために該フィルター材上層部分が微小凝集物により目詰まりしてしまい、その結果、所望量の血液製剤を最後まで処理することが困難となる。
EP 0155003B1、WO93/03740、特開平6−247862(旭メディカル)、及びUSP 4、925、572(ポール・コーポレーション)には白血球除去フィルター材の上流に、凝集物を除去する目の粗いフィルター材を配置することで、白血球除去フィルター材が微小凝集物で目詰まりすることを回避する技術手段が開示されており、現在では白血球除去フィルター装置に一般的に採用されている。
【0007】
しかし、微小凝集物は白血球とは異なり、大きさの分布も広く、その成分もタンパク質や血球成分が様々な形態で凝集したものであり表面性状も様々である。そのため従来技術のような微小凝集物除去フィルター材を使用しても、微小凝集物の除去は十分ではない。
【0008】
近年市場においては、従来より短時間で所望量の赤血球含有血液を処理したいといった、白血球除去フィルターに対する新たな要求が提起されている。しかしながら、前述のような上流に凝集物を除去する目の粗いフィルター材を配置し、白血球除去フィルター材が微小凝集物で目詰まりすることを回避する技術手段では、微小凝集物除去フィルター材で除去できなかった微小凝集物が、下流側に配置された白血球除去フィルター材の上層部分にまで到達し捕捉されて蓄積し、次第に処理速度が低下し、所望量の赤血球含有血液を最後まで効率良く濾過することが困難となることがあった。
また、特に保存期間が長いこと等が原因で微小凝集物が多い赤血球含有血液を濾過する場合は、微小凝集物が白血球除去フィルター材の上層部分で極度に目詰まりを起こすことがあり、所望量の赤血球含有血液を最後まで濾過することが困難な場合もある。
【0009】
このような場合に対応可能とする技術手段のひとつとして、微小凝集物除去フィルター材を増量して微小凝集物除去能力を高めることが考えられる。
ところが近年、市場においては、有用成分の回収率を向上させるとともに、生理食塩水や空気によってフィルター内及び回路内に残留している有用成分を回収する操作を不要化して、作業を省力化させるという、白血球除去フィルターに対する大きな要求が提起されている。一方、特に血液製剤の原料である血液は、善意による献血でまかなわれている貴重な血液である場合が多い。白血球除去フィルター内に残留して回収不能となった血液は、そのままフィルターと共に廃棄されて無駄になってしまうので、有用成分の回収率を向上させることは極めて有意義である。前記のような微小凝集物除去フィルター材を増量する方法は、白血球除去フィルター装置全体の体積を大きくし、フィルター内に残留する血液製剤量を増大させるために、有用成分の回収率向上の観点からは好ましくない。
【0010】
また、微小凝集物除去フィルター材の体積を増加させることなく微小凝集物の除去能力を高める別の技術手段として、繊維径のより細い繊維状のフィルター材を使用することが考えられる。しかし、このようなフィルター材は、微小凝集物除去フィルター材上層部分で微小凝集物が集中して捕捉されて目詰まりを起こしてしまい、その結果、所望量の血液を最後まで処理することが困難となるため、微小凝集物の除去には適さない。
【0011】
以上のとおり、従来の技術手段では微小凝集物の除去能力が高く、血液製剤の処理速度を高い状態で維持できる白血球除去フィルター用の、微小凝集物除去フィルター材を提供することは困難であった。
【0012】
さらに近年は、血液製剤の高品質保持を目的として、血液センターで血液製剤から白血球除去フィルターを使用して白血球を除去後、血液製剤を保存するというシステムが検討されている。このような場合、血液製剤を保存する前に微小凝集物の成分の一つと考えられる白血球や血小板が除去されるため、血液製剤を血液センターで保存している間に生成する微小凝集物の量は減少するが、それでも保存中に微小凝集物の生成は避けることが出来ない。血液センターで保存した血液製剤を病院で患者に輸血すると、血液製剤中に含まれる微小凝集物が原因となり副作用を引き起こすことも考えられる。そのため、病院での輸血の際に血液製剤中に含まれる微小凝集物を濾過し除去することが好ましい。しかし、この血液製剤は一度白血球除去フィルターで濾過しているため、血液成分のロスが既に発生しており、微小凝集物を濾過するフィルターでの血液成分のロスを極力少なくすることが求められる。その場合、高い微小凝集物除去能力を有するフィルター材を充填した微小凝集物除去フィルターを用いれば、フィルター装置の体積を小さくすることができ、フィルター装置内に残留して回収できなくなる血液の量を最小限にすることができるので非常に好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明者らは以前、親水性部分と塩基性部分とを独立して表面に有するフィルター材、例えば、ジアルキルアミノ基を有する重合性モノマーとヒドロキシル基を有する重合性モノマーからなるポリマーを、繊維状多孔質基材にコーティングした白血球除去フィルターを提供したが(WO93/03740及び特開平6−247862)、該フィルター材で、血漿タンパク濃度が少ない濃厚赤血球製剤を濾過する検討を行ったところ、微小凝集物除去率が低下する現象が観察された。このような現象の見られたフィルター材を電子顕微鏡で観察したところ、フィルター材表面に多量の赤血球が付着しているのが観察された。多量の赤血球がフィルター材に付着することで、フィルター材表面の本来微小凝集物を吸着すべき吸着座席に赤血球が吸着し、微小凝集物がフィルター材表面に吸着することを阻害してしまったと考えられる。上述したポリマーにおいて、ジアルキルアミノ基含量を少なくすると赤血球の付着は抑制することができるが、その場合には微小凝集物除去能を期待通りに向上させることが困難であることも分かった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決することを課題とする。
すなわち、本発明の第一の課題は、微小凝集物除去率が格段に高く、血液製剤処理速度を高い状態で維持でき、赤血球含有血液の流れが極めて良好な、微小凝集物を含む濃厚赤血球製剤等の赤血球含有血液から微小凝集物除去するフィルター材を提供することにある。
本発明の第二の課題は、微小凝集物を含有する濃厚赤血球製剤等の赤血球含有血液から、赤血球の吸着を抑制しつつ微小凝集物を非常に高い効率で除去する方法を提供することである。
さらに、本発明の第三の課題は、微小凝集物を除去するフィルターでの血液成分のロスを極力少なくする血液製剤からの微小凝集物除去フィルターを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、繊維状多孔質基材の、少なくとも表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有するフィルター材を用いることにより前記の課題を解決できることを見い出し本発明に至った。
本発明は、このような構造的特徴を有する親水性塩基性基をフィルター材表面に導入することによって、驚くべきことに赤血球の吸着を抑制する効果が認められ、かつ微小凝集物に対しては極めて高い親和性を発揮し、有用成分である赤血球の通過率が高く、通過抵抗の極めて小さい微小凝集物除去フィルター材となることを見出しものである。
【0016】
すなわち、本発明は、
(1)微小凝集物を含有する赤血球含有血液から微小凝集物を除去するフィルター材であって、該フィルター材は、平均繊維径が8μm以上50μm未満の繊維状多孔質体を基材とし、少なくともその表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有しており、該親水性塩基性基において、該親水性部分が該塩基性部分より末端側に位置していることを特徴とする微小凝集物除去フィルター材、
(2)少なくとも1つの親水性部分が親水性塩基性基の最末端に位置している上記(1)の微小凝集物除去フィルター材、
(3)親水性部分がヒドロキシル基である上記(1)又は(2)の微小凝集物除去フィルター材、
(4)塩基性部分が第2級及び/又は第3級アミノ基である上記(1)〜(3)のいずれかの微小凝集物除去フィルター材、
(5)親水性塩基性基がヒドロキシアルキルアミノ基である上記(1)の微小凝集物除去フィルター材、
(6)親水性塩基性基を含むモノマー及び/又は親水性塩基性基を含むモノマーを構成成分とするポリマーが繊維状多孔質基材の表面に導入されてなる上記(1)〜(5)のいずれかの微小凝集物除去フィルター材、
(7)親水性塩基性基を含むモノマーを構成成分とするポリマーが、親水性塩基性基を含まないモノマーとの共重合体である上記(6)の微小凝集物除去フィルター材。
(8)親水性塩基性基を含む重合性モノマーは(メタ)アクリル酸誘導体である上記(6)又は(7)の微小凝集物除去フィルター材、
(9)フィルター材の単位表面積当たりの親水性塩基性基の密度は0.1μeq/m2以上1000μeq/m2未満である上記(1)〜(8)のいずれかにの微小凝集物除去フィルター材、
(10)フィルター材の表面において、親水性部分の数に対する塩基性部分の数は0.01以上0.5以下である(1)〜(9)のいずれかに記載の微小凝集物除去フィルター材、(11)少なくとも、1)導入口、2)上記(1)の微小凝集物除去フィルター材を含むフィルター、3)導出口、を含む装置を用い、導入口から微小凝集物を含有する赤血球含有血液製剤を注入し、導出口から該フィルターで濾過された液を回収することからなる、微小凝集物を含有する赤血球含有血液製剤から微小凝集物を除去する方法、及び
(12)微小凝集物除去フィルター材の下流側に、白血球除去フィルター材を配置した、上記(11)の微小凝集物を含有する赤血球含有血液製剤から微小凝集物を除去する方法、に関するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の微小凝集物除去フィルター材とは、フィルター材の物理構造を形成する多孔質基材、即ち、平均繊維径が8μm以上50μm未満の繊維状多孔質基材と、該基材の表面に親水性塩基性基を有し、かつ親水性部分が塩基性部分より親水性塩基性基の末端側に位置した形態のフィルター材である。本発明の微小凝集物除去フィルター材の基材としては、繊維状多孔質基材が適する。
【0018】
本発明で言う平均繊維径とは、繊維状多孔質基材を構成している繊維を走査型電子顕微鏡で写真を撮り、無作為に選択した100本以上の繊維の直径を測定し、それらを数平均して得られた値である。繊維状多孔質基材を構成している繊維の平均繊維径が8μm未満の場合は、フィルター材の細孔径及び開孔径が小さいために、微小凝集物がフィルター材上層部分で集中して捕捉され目詰まりを起こす。このため、所望量の血液を処理する際、途中で処理速度が低下し、最後まで赤血球含有血液を効率良く処理することが困難となるため本発明の目的には適さない。また、繊維状多孔質基材を構成している繊維の平均繊維径が50μm以上の場合は、単位体積あたりのフィルター材の表面積が小さく、微小凝集物がフィルター材に接触する頻度が激減するなどの理由から吸着量が少なくなる。このため、濾過する赤血球含有血液中の微小凝集物を十分に除去することが困難となるので本発明の目的には適さない。本発明に適する繊維状多孔質基材は、平均繊維径が8μm以上50μm未満、好ましくは平均繊維径が10μm以上40μm未満、最も好ましくは平均繊維径が12μm以上35μm未満である。
【0019】
なお、本発明者らは、WO99/11304で非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を少なくともその表面に有する繊維状多孔質基材からなる白血球除去フィルターを提供したが、その繊維径は0.001〜3.0μmである。この繊維径は、白血球除去には適するが、微小凝集物を含む血液製剤の濾過に用いると目詰まりを生じてしまうという問題がある。
【0020】
本発明に適する繊維状多孔質基材としては、長繊維からなる繊維集合体、短繊維からなる繊維集合体のいずれもが適する。特に長繊維からなる繊維集合体は、流出異物が少ないこと、及び製造コストが安いことなどからより好ましい。好ましい繊維集合体の形態としては、不織布、織布、編布などが挙げられるが、開孔率が高いなどの特徴から不織布が特に好ましい。繊維集合体の材質は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテートなどの不織布、織布、編布を形成することができる材料であればいずれも用いることができる。
【0021】
本発明の微小凝集物除去フィルター材の表面は、非イオン性の親水性部分と塩基性部分を含む親水性塩基性基を有しており、該親水性塩基性基において、該親水性部分が該塩基性部分より末端側に位置している。また、本発明のフィルター材の表面において、親水性塩基性基の末端側に少なくとも1つの親水性部分を有してさえいれば、親水性塩基性基の末端側ではない部分に親水性部分を有していても本発明のフィルター材の形態に含まれるものである。ここで、「繊維状多孔質基材の表面に親水性塩基性基を有している」とは、親水性塩基性基を含むモノマーやポリマーが共有結合、イオン結合、物理吸着、包埋、沈殿不溶化等のあらゆる公知の方法によってフィルター材を形成する繊維状多孔質基材の表面に脱落しないように導入されていることを言うか、あるいは親水性塩基性基を有する高分子材料でフィルター材を形成する繊維状多孔質基材が形成され、その繊維状多孔質基材の表面に、親水性塩基性基が存在していることを言う。いずれの場合も本発明の微小凝集物除去フィルター材の形態に含まれるものである。
【0022】
さらに本発明で言う「親水性塩基性基」の末端側とは、フィルター材表面の化学構造式において、親水性塩基性基を保持している部分(以下、保持部分とも言う)から塩基性部分までの距離(長さ)より長い位置の部分を言う。ここで保持部分とは、親水性塩基性基がフィルター材を形成する繊維状多孔質基材に接触している部分を言う。具体的には、例えば、親水性塩基性基そのもの、又は親水性塩基性基を含むモノマーやポリマーを、フィルター材を形成する繊維状多孔質基材に共有結合やイオン結合等により導入した場合には、繊維状多孔質基材と結合した部分を保持部分とする。また、親水性塩基性基を含む重合性モノマーを構成成分とするポリマーを、フィルター材を形成する繊維状多孔質基材の表面にコーティング等により物理吸着的に導入した場合には、該ポリマーの主鎖を保持部分とする。また、側鎖として親水性塩基性基を有する高分子材料でフィルター材を形成している場合には、該高分子材料の主鎖に側鎖が結合している部分を保持部分とする。
【0023】
即ち、本発明の微小凝集物除去フィルター材とは、フィルター材を赤血球含有血液と接触させたときに、塩基性部分よりも血液中に含まれている微小凝集物、赤血球や白血球等の血球細胞とより接触しやすい位置に、少なくとも1つの親水性部分を配置した、特定構造の親水性塩基性基を表面に有するフィルター材である。
【0024】
さらに本発明の親水性塩基性基において、親水性部分が該親水性塩基性基の最末端に位置していることがより好ましい。親水性部分を親水性塩基性基の最末端に配置することによって、さらに赤血球の付着を抑制する効果が高まる傾向にあるためである。
【0025】
本発明で言う非イオン性の親水性部分として、具体的にはヒドロキシル基、アミド基、エーテル基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホキシド基、スルホニル基、ホスホリル基、ホスホ基、カルボキサミド、スルホンアミド、チオ酸アミド、シアノ基、シアナート、チオシアナート、イソチオシアナートなどが挙げられる。この中でも特に化学的に安定でかつ親水性の高いヒドロキシル基、アミド基、又はエーテル基が好ましく、さらにヒドロキシル基あるいはエチレンオキサイド単位の繰り返し数が2以上10以下のポリエチレンオキサイド鎖がより好ましく、ヒドロキシル基が最も好ましい。
【0026】
本発明で言う塩基性部分とは、正荷電を有する部分を言う。塩基性部分は正荷電を有しているため、微小凝集物を静電的な相互作用によって親和性を向上させる効果がある。
本発明で用いることのできる塩基性部分として、具体的には第2級アミノ基、第3級アミノ基、及び第4級アンモニウム基のアミノ基、ピロール、ピラゾール、ピロリジン、ピペリジン等の骨格を有する含窒素複素環基が挙げられる。この中でも第2級及び第3級アミノ基は化学的に安定で、かつ医療用具としての安全性が高いという点で好ましい。
【0027】
本発明で言う親水性塩基性基としては、前述した非イオン性の親水性部分と塩基性部分を含む構造の官能基であり、より具体的には下記の式(1)又は(2)で表される構造の官能基を言う。
【化1】
R1 : 親水性部分を含む構造
R2 : 親水性部分を含む構造またはアルキル基、水素等の親水性部分を有さない構造
【化2】
R1 : 親水性部分を含む構造
R2、R3: 親水性部分を含む構造またはアルキル基、水素等の親水性部分を有さない構造
【0028】
このような親水性塩基性基の中でも、正荷電の窒素原子に炭素原子を介して少なくとも1個以上のヒドロキシル基が結合した、モノヒドロキシアルキルアミノ基、ビス(ヒドロキシアルキル)アミノ基、あるいはトリス(ヒドロキシアルキル)アミノ基が好ましく、さらにヒドロキシアルキルアミノ基構造におけるアルキル部分の炭素数は1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の親水性塩基性基を、フィルター材を形成する多孔質基材の表面に導入する方法は特に限定はなく、公知の様々な方法を用いることができる。例えば、放射線グラフトやプラズマグラフトなどのグラフト法によって親水性塩基性基を有するモノマーを導入する方法、または親水性塩基性基を有するポリマーをコーティングするする方法、基材表面の活性基と親水性塩基性基を有するモノマーやポリマー等の化学種を反応させる方法、等が挙げられる。
【0030】
グラフト法またはポリマーのコーティング法に用いることのできる親水性塩基性基を有する重合性モノマーとしては、N−モノ(ヒドロキシアルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノ(ヒドロキアルキル)アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ビス(ヒドロキシアルキル)アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−(メトキシポリオキシエチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ビス(メトキシポリオキシエチル)アミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸誘導体、N−ヒドロキシアミノスチレンなどのスチレン誘導体、N−(ヒドロキシアルキル)アミノエチレン等のビニル誘導体などが挙げられる。なお、本明細書中で(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタアクリレートを表し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタアクリル酸を表すものとする。ここに例示したモノマーの中でも、合成のし易さ、及び取扱い性に優れるなどの理由により、(メタ)アクリル酸の誘導体が好ましく、さらにモノ(ヒドロキシアルキル)アミノ基又はビス(ヒドロキシアルキル)アミノ基を有する(メタ)アクリル酸の誘導体であることがより好ましい。
【0031】
グラフト法又はポリマーコーティング法によってフィルター材を形成する繊維状多孔質基材の表面を改質する場合、親水性塩基性基を有さない、その他の重合性モノマーを導入しても良い。その他の重合性モノマーとしては特に限定なく、如何なるものも用いることができるが、取扱い性に優れる等の理由により、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートに代表される(メタ)アクリル酸誘導体であることが好ましい。
【0032】
さらに親水性塩基性基を有する重合性モノマーとその他の重合性モノマーを構成成分とするポリマーを用いてコーティングを行う場合、ポリマーはランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体など、あらゆる共重合体を使用することができるが、重合のし易さからランダム共重合体がより好ましい。また、上記の共重合体を構成する重合性モノマーの種類は特に限定ないが、製造のし易さ等の理由により、2種又は3種の重合性モノマーからなる共重合体が好ましい。
共重合体の場合、親水性塩基性基を有する重合性モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーとの共重合体が好ましい。このときの親水性塩基性基を有する重合性モノマーの含量は、5モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましい。
【0033】
本発明の微小凝集物除去フィルター材の表面に親水性塩基性基を導入する別の方法として、エポキシ基やカルボキシル基、酸ハロゲン化物等の活性基を予め表面に有する繊維状多孔質基材に、ジエタノールアミンに代表されるヒドロキシアルキルアミン類等の親水性塩基性基を有する化学種を反応させることにより親水性塩基性基を導入する方法が挙げられる。また、基材の表面に予めこのような活性基が存在しない場合には、活性基を有するモノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸をγ線、電子線等による放射線グラフト法で繊維状多孔質基材の表面に導入したり、あるいは上記の活性基を有するモノマーを構成成分とするポリマーを合成し、このポリマーをコーティングする等の方法によって、繊維状多孔質基材の表面に活性基を導入しても良い。
上述した様々な方法の中でも、グラフト法、ポリマーコーティング法は操作が比較的簡便であるため好ましく、特にポリマーコーティング法は製造性に優れるため、より好ましい導入方法である。
【0034】
本発明の微小凝集物除去フィルター材の表面における親水性塩基性基の導入密度は0.1μeq/m2以上1000μeq/m2未満であることが好ましい。親水性塩基性基の導入密度が0.1μeq/m2未満であると微小凝集物除去能が低下する傾向にあり好ましくない。一方、1000μeq/m2を超えるとコストが高くなるため好ましくない。より好ましくは0.2μeq/m2以上100μeq/m2未満、更に好ましくは0.5μeq/m2以上30μeq/m2である。
【0035】
本発明におけるフィルター材表面の親水性塩基性基の導入密度は、X線光電子分光法(XPS)、オージエ電子分光法(AES)、2次イオン質量分析法(SIMS)、多重全反射フーリエ変換赤外線分光法(ATR−FTIR)等の公知の方法で測定することができる。
また、フィルター材表面を適当な方法を用いて抽出し、その抽出物質に含まれる親水性塩基性基を核磁気共鳴スペクトル法(NMR)等の公知の方法を用いて測定しても良い。さらに、酸塩基滴定や色素吸着法から親水性塩基性基の導入密度を求めても良い。
以上のような様々な方法の中でも色素吸着法は操作が簡便なため好ましい。色素吸着法とは、負の荷電を有するトリパンブルーのような色素を親水性塩基性基中の塩基性部分に吸着させ、トリパンブルー溶液の吸光度の変化量からフィルター材表面にある親水性塩基性基の量を定量化する方法である。より具体的にはトリパンブルーを含む、pHが約6の水溶液を調整してこれを元液とする。次にこの元液をフィルター材に適当量含浸させ、16時間以上室温下で接触させた後、元液をフィルター材に含浸させた後の上清液を578nmの可視光で測定し、元液と上清液の吸光度の差からフィルター材単位重量当たり、又はフィルター材単位表面積当たりの導入密度を算出する。
【0036】
なお、色素吸着法や前述したその他の様々な方法によってフィルター材単位重量当たりの親水性塩基性基の導入密度を算出し、これをフィルター材単位表面積当たりの導入密度に変換する場合には、水銀圧入法によってフィルター材単位重量当たりの表面積を測定し、この値でフィルター材単位重量当たりの親水性塩基性基の導入密度を除すことによって求めることができる。水銀圧入法によるフィルター材単位重量当たりの表面積は以下の手順によって測定される。
【0037】
まず、実質的に均一と思われるフィルター材の部分から適当量サンプリングを行い、その重量(W)を測定する。次に水銀ポロシメーター(ポアサイザー9310 PC2A型 株式会社島津製作所、又はこれと同等の装置)にサンプリングしたフィルター材をセットし、0.1〜400psiaの圧力範囲で表面積(A)を測定し、次式(I)からフィルター材単位重量当たりの表面積を求める。
単位重量当たりの表面積=A/W(m2/g) (I)
ただし、フィルター材の3箇所以上からサンプリングを行い、サンプリングした各箇所について求めた値の平均値をフィルター材単位重量当たりの表面積とする。
【0038】
本発明における微小凝集物除去フィルター材の表面において、非イオン性の親水性部分の数に対する塩基性部分の数は0.01以上0.5以下であることが好ましい。親水性部分に対する塩基性部分の数が0.01未満であると、充分な微小凝集物除去能の向上効果が得られないおそれがあるため好ましくない。また、親水性部分の数に対する塩基性部分の数が0.5を超えると赤血球の微小凝集物除去フィルター材表面への吸着量が増える傾向にあるため好ましくない。より好ましい親水性部分の数に対する塩基性部分の数は0.03以上0.5以下である。ただし、非イオン性の親水性部分がポリエチレンオキサイド鎖である場合には、エチレンオキシド鎖の繰り返し単位によらず、即ちポリエチレンオキシド鎖の長さにかかわらず、ポリエチレンオキシド鎖1本を1つの親水性部分として数えることとする。
【0039】
本発明の第二の課題は、微小凝集物を含む濃厚赤血球製剤等の赤血球含有血液から、赤血球付着を抑制しつつ微小凝集物を非常に高い効率で除去する微小凝集物除去方法を提供することである。本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、少なくとも導入口と導出口を有する容器内に本発明の微小凝集物除去フィルター材を適切に充填した装置で、微小凝集物を含有する赤血球含有血液を濾過し、濾過された液を回収することによって、上記第二の課題を達成できることを見出した。
また、この方法によって、赤血球など有効血液成分のロスが少なく微小凝集物を除去するという課題を達成できることも見出した。
【0040】
本発明の微小凝集物除去フィルター材を充填した装置で濾過する赤血球含有血液としては、濃厚赤血球製剤などが挙げられる。このような赤血球含有血液を、本発明の微小凝集物除去フィルター材を充填した装置で濾過することによって微小凝集物を効率よく除去することができ、さらに濃厚赤血球製剤などの、赤血球を1×109個/mL以上の濃度で含む赤血球含有血液に対しては、赤血球の付着をも抑制する、良好な結果を与えることができる。
【0041】
また、赤血球製剤の中でも血漿タンパク濃度が25g/L以下、さらには10g/L以下の赤血球含有血液を本発明の微小凝集物除去フィルター材を充填した装置を用いて濾過すると、特に赤血球付着抑制に関して顕著な効果を発揮することができる。
【0042】
以上述べたように、本発明の微小凝集物除去フィルター材は微小凝集物との親和性が極めて高く、かつ赤血球付着を抑制する効果も有するため、高い微小凝集物除去能と良好な血液流れ性を達成することができる。
さらに、本発明の微小凝集物除去フィルター材と白血球除去フィルターとの組み合わせによって、従来の白血球除去フィルター装置よりも短時間で所望量の赤血球含有血液を処理することができる。これは、本発明の微小凝集物除去フィルター材の使用によって、白血球除去フィルター材の上層部分での微小凝集物の目詰まりを防ぎ、これによって処理速度の低下を回避し、最後まで血液製剤を高い処理速度で効率良く処理することが可能となるためである。即ち、本発明の微小凝集物除去フィルター材を含むフィルターの下流側に、公知の白血球除去フィルター材を含むフィルターを配置したフィルターを、少なくとも導入口と導出口とを含む装置に充填し、導入口から微小凝集物を含有する赤血球含有血液を注入し、導出口から該フィルターで濾過された液を回収することによって、最後まで血液製剤を高い処理速度で効率良く処理することができる。
【0043】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
以下の実施例又は比較例において、微小凝集物除去率は次のようにして求めた。
濾過前の濃厚赤血球製剤(以下、濾過前液と言う)、及び回収された濃厚赤血球製剤(以下、回収液と言う)の微小凝集物濃度と、濾過前液の体積及び回収液の体積を測定し、以下の式に従って微小凝集物除去率(%)を求めた。
微小凝集物除去率(%)={(回収液中の微小凝集物濃度×回収液体積)/(濾過前液中の微小凝集物濃度×濾過前液体積)}×100
なお、濾過前液及び回収液の体積は、それぞれの重量を血液製剤の比重(1.075)で割った値とした。
濾過前液及び回収液の微小凝集物濃度は、以下の操作によって求めた。開孔径40μmのナイロン製メッシュを直径25mmの円形に切り抜き、フィルターフォルダーに装填した。このフィルターに血液をシリンジを用いてゆっくりと濾過した。濾過した血液量は、濾過前液の場合は2mL、回収液の場合は20mLで行った。濾過後、フィルターフォルダーからナイロン製メッシュを取り出し、捕捉された微小凝集物の個数を顕微鏡観察によって計数し、濾過前液及び回収液の微小凝集物濃度を測定した。
【0044】
【実施例1】
N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(GA)の合成
トルエン(純度99%(GC)、和光純薬工業社製)中に、グリシジルメタクリレートを1mol/Lの濃度になるように加え、更にこの溶液に、ジエタノールアミンを1.1mol/Lの濃度になるよう、発熱しない程度に徐々に滴下しながら加え、全量を500mLとした。重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を0.005mol/Lの濃度になるように加えた後、60℃で6時間反応させた。反応終了後の溶液を、減圧蒸留、分別抽出、さらに液体クロマトグラフィー等によって精製し、親水性塩基性基であるヒドロキシエチルアミノ基を有する、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、GAと言う)を合成した。
【0045】
コーティング用ポリマーの合成
次に、エタノール(特級)中に、上記のGAと2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと言う)からなるポリマーを通常の溶液ラジカル重合によって合成した。重合条件としては、エタノール中のモノマー濃度を1mol/Lとし、重合開始剤としてV−65(和光純薬工業社製)を0.01mol/Lの濃度となるように加え、窒素雰囲気下50℃で、4.5時間重合させた。重合終了後の反応液を蒸留水に滴下してポリマーを析出させ、その後凍結乾燥させた。得られたポリマー中のGA含量を酸塩基滴定により測定したところ、該ポリマーは約5mol%のGA成分を含有していた(以下、このポリマーをHGA−5と言う)。
【0046】
フィルター装置の作製
血液の導入口と導出口を有し、有効濾過断面積が67mm×67mmの容器に、スパンボンド法によって製造された、平均繊維径が32.2μmのポリエステル製不織布を血液の導入口側に厚み1.0mmで配置し、その下層に平均繊維径が13.1μmのポリエステル製不織布を厚み0.7mmで配置し、充填密度が0.28g/cm3となるように充填した。HGA−5ポリマーを0.1重量%の濃度で溶解させたエタノール液をこの容器に充填し、1分間静置した。その後窒素ガスによって余分な液を吹き飛ばし、さらに60℃で16時間真空乾燥させることによってフィルター装置を作製した。作製したフィルター装置内の微小凝集物除去フィルター材は、その表面に1.9μeq/m2の平均導入密度で親水性塩基性基を有していた。
【0047】
赤血球含有溶液の濾過
400mLの血液に抗凝固剤として56mLのCPD液(組成:クエン酸ナトリウム26.3g/L、クエン酸3.27g/L、グルコース23.20g/L、リン酸二水素ナトリウム二水和物2.51g/L)を加えて調整した全血456mLを遠心分離した後、血漿及びバフィーコートを除去し、赤血球保存液として95mLのMAP液(組成:クエン酸ナトリウム1.50g/L、クエン酸0.20g/L、グルコース7.21g/L、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.94g/L、塩化ナトリウム4.97g/L、アデニン0.14g/L、マンニトール14.57g/L)を加えた濃厚赤血球製剤(ヘマトクリットは約63〜64%、血漿タンパク濃度は約0.9〜1.2g/L)を調整し、4℃で20日間保存した。
この濃厚赤血球製剤325gを24℃の室温になるまで放置し、HGA−5をコーティングしたフィルターを用い、落差0.3mで濾過した。フィルター内に血液を満たして濾過を開始後、血液バッグ内に血液がなくなるまで濾過を行い、濾過した血液を回収した。この時の濾過時間は、フィルターの導出口より血液が流出し始めた時から血液バッグ内の血液がなくなるまでとした。
以上の結果、微小凝集物除去率は69%であった。
また、血液濾過後のフィルター材を電子顕微鏡で観察したところ、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0048】
【実施例2】
実施例1と同様の合成方法によって、GA成分を約25mol%含有するポリマー(以下、HGA−25と言う)を得、実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は全て実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は7.5μeq/m2であり、微小凝集物除去率は87%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0049】
【実施例3】
実施例1と同様の合成方法によって、GA成分を約40mol%含有するポリマー(以下、HGA−40と言う)を得、実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は10.5μeq/m2であり、微小凝集物除去率は98%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0050】
【実施例4】
実施例1と同様の合成方法によって、GA成分を約70mol%含有するポリマー(以下、HGA−70と言う)を得、実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は15.7μeq/m2であり、微小凝集物除去率は97%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0051】
【比較例1】
実施例1と同様の重合方法によって、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(以下、DEと言う)とHEMAとからなるポリマーを合成した。得られたポリマー中のDE含量は約5mol%であり(以下、このポリマーをHDE−5と言う)、このポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への塩基性基(ジエチルアミノ基)の平均導入密度は1.6μeq/m2であり、微小凝集物除去率は43%であった。
フィルター材への赤血球の吸着は少なく、フィルターの目詰まりもなかったが、微小凝集物除去率が低かった。
【0052】
【比較例2】
比較例1と同様の重合方法によって、DEを約25mol%含有するポリマー(以下、このポリマーをHDE−25と言う)を得、実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への塩基性基の平均導入密度は8.2μeq/m2であり、微小凝集物除去率は46%であった。血液濾過後のフィルター材を生理食塩水で洗浄した後、0.2%のグルタルアルデヒドで固定し、さらに凍結乾燥させた。このような前処理を施した、血液を濾過した後のフィルター材を走査型電子顕微鏡で観察したところ、著しく赤血球が吸着している様子が観察された。また、フィルターは中程度に目詰まりしていることが分かった。
【0053】
【比較例3】
比較例1と同様の重合方法によって、DEを約40mol%含有するポリマー(以下、このポリマーをHDE−40と言う)を得、実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への塩基性基の平均導入密度は12.7μeq/m2であり、微小凝集物除去率は41%であった。また、血液濾過後のフィルター材には赤血球が著しく吸着している様子が観察された。フィルターの目詰まりは著しかった。
【0054】
【比較例4】
実施例1と同様の重合方法によって、N,N−ジエチルアミノメチルメタクリレート(以下、DMと言う)とHEMAとからなるポリマーを合成した。得られたポリマー中のDM含量は約3mol%であり(以下、このポリマーをHDM−3と言う)、このポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への塩基性基(ジメチルアミノ基)の平均導入密度は1.1μeq/m2であり、微小凝集物除去率は40%であった。
フィルター材への赤血球の吸着は少なく、フィルターの目詰まりもなかったが、微小凝集物除去率が低かった。
【0055】
【比較例5】
比較例1と同様の重合方法によって、DMを約30mol%含有するポリマー(以下、このポリマーをHDM−30と言う)を得、実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への塩基性基の平均導入密度は8.9μeq/m2であり、微小凝集物除去率は52%であった。血液濾過後のフィルター材を生理食塩水で洗浄した後、0.2%のグルタルアルデヒドで固定し、さらに凍結乾燥させた。このような前処理を施した、血液を濾過した後のフィルター材を走査型電子顕微鏡で観察したところ、著しく赤血球が吸着している様子が観察された。また、フィルターは中程度に目詰まりしていた。
【0056】
【比較例6】
実施例1と同様の重合方法によって、N,N−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、DPと言う)とHEMAとからなるポリマーを合成した。得られたポリマー中のDP含量は約40mol%であり(以下、このポリマーをHDP−40と言う)、このポリマーを実施例1と同様の方法でコーティングする以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材の表面に親水性部分を末端に有さない親水性塩基性基を11.7μeq/m2の平均導入密度で導入した。微小凝集物除去率は51%であった。血液を濾過した後のフィルター材を走査型電子顕微鏡で観察したところ、著しく赤血球が吸着している様子が観察され、フィルターは中程度に目詰まりしていた。
【0057】
【実施例5】
N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(GM)の合成
実施例1のGAの合成と同様の方法によって、グリシジルメタクリレートとN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミンより、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、GMと言う)を合成した。
【0058】
コーティング用ポリマーの合成
実施例1と同様の重合方法によって、GMとHEMAとからなるポリマーを合成した。得られたポリマー中のGM含量は約25mol%であった(以下、このポリマーをHGMA−25と言う)。
【0059】
赤血球含有血液の濾過
このポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ基)の平均導入密度は7.5μeq/m2であり、微小凝集物除去率は85%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0060】
【実施例6】
実施例1と同様の重合方法によって、GAとHEMAとメチルメタクリレート(以下、MMAと言う)からなるポリマーを合成した。得られたポリマーは、酸塩基滴定、核磁気共鳴スペクトル(NMR)及び元素分析によってGAを約20mol%、HEMAとMMAをそれぞれ約40mol%含有していた(以下、このポリマーをHMGA−20と言う)。このポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は6.7μeq/m2であり、微小凝集物除去率は86%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0061】
【実施例7】
エチレンオキサイド鎖とアミノ基を有する重合性モノマー(EA)の合成
トリオキシエチルモノメチルエーテルを0.1mol/Lの濃度となるように調整したピリジン溶液に塩化チオニルを0.13mol/Lの濃度となるように冷却しながら徐々に添加した後、室温で約1時間攪拌させた。冷却しながら水、希硫酸を加え、過剰の塩化チオニルを分解させた後、反応生成物をクロロホルムで抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、減圧蒸留することで末端のヒドロキシル基が塩素化した化合物を合成した。N−メチルアリルアミン(0.1mol)を50mLの無水エタノールに溶かし、冷却した後、上記塩素化した化合物(0.1mol)を加え、30分間かき混ぜることによって、親水性部分であるエチレンオキサイド鎖と塩基性部分であるアミノ基を有する重合性モノマー(以下、EAと言う)を合成した。
【0062】
コーティング用ポリマーの合成
実施例1と同様の重合方法によって、EAとHEMAからなるポリマーを合成した。得られたポリマー中のEA含量は約25mol%であった(以下、このポリマーをHEA−25と言う)。
【0063】
赤血球含有血液の濾過
このポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした以外は実施例1と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は6.5μeq/m2であり、微小凝集物除去率は83%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりなかった。
【0064】
【実施例8】
平均繊維径が13.1μmのポリエステル不織布(5g)を、6mLのメタクリル酸を含む第3ブチルアルコールの10%水溶液(300mL)に浸漬した。この試料液に約1kGyのγ線を照射することによってメタクリル酸を不織布表面にグラフト重合させた。γ線を照射した不織布を室温下、メタノールで10分間振とう洗浄し、さらに40℃の温水で2時間振とう洗浄した。40℃で16時間真空乾燥させた後、トリエタノールアミンを0.02mol/Lの濃度で含むクロロホルム液にグラフト重合させた不織布を浸責し、さらに硫酸を添加して6時間、還流加熱した。このような操作によって、不織布表面のカルボキシル基とトリエタノールアミンのヒドロキシル基でエステル化を起こさせ、親水性塩基性基(ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基)を表面に有する微小凝集物除去フィルター材を作製した。フィルター材表面への親水性塩基性基の導入密度は6.6μeq/m2であった。
得られたフィルター材を有効濾過断面積が67mm×67mmの容器に、厚みが3.0mm、充填密度が0.27g/cm3となるように充填したフィルター装置を作製した。
実施例1と同様の操作でこのフィルター装置を用いて濃厚赤血球製剤を濾過したところ、微小凝集物除去率は94%であった。
実施例1と同様に、フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかった。
【0065】
【比較例7】
平均繊維径が1.8μmのポリエステル製不織布を、血液の導入口と導出口を有し、有効濾過断面積が67mm×67mmの容器に、充填密度が約0.23g/cm3、厚み2.1mmとなるように充填した。HGA−25ポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした。このフィルター材は、WO99/11304に記載されている、白血球除去能に極めて優れる白血球除去フィルター材である。この装置を使用して実施例1と同様に操作を行って濃厚赤血球製剤を濾過した。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は7.7μeq/m2であった。濃厚赤血球製剤を濾過し始めてすぐに流速が低下し、血液が流れなくなった。ポリエステル製不織布の最上層を、比較例2と同様の操作を行って走査型電子顕微鏡で観察したところ、赤血球の吸着は観察されなかったが、微小凝集物が捕捉され目詰まりしている様子が観察された。
【0066】
【比較例8】
平均繊維径が58.4μmのポリエステル製不織布を、血液の導入口と導出口を有し、有効濾過断面積が67mm×67mmの容器に、充填密度が約0.28g/cm3、厚み2.0mmとなるように充填した。HGA−25ポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングし、実施例1と同様に操作を行って濃厚赤血球製剤を濾過した。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は7.3μeq/m2であった。微小凝集物除去率は43%であった。
フィルター材への赤血球の吸着はなく、フィルターの目詰まりもなかったが、微小凝集物除去率が低かった。
【0067】
以上の、実施例1〜8及び比較例1〜8の結果を表1にまとめた。
【表1】
【0068】
以上の結果から、繊維状多孔質基材の少なくとも表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有する本発明の実施例1〜8の微小凝集物除去フィルターでは、微小凝集物除去率が優れ、赤血球の付着、目詰まりもなかったのに対して、非イオン性親水基と塩基性基とを独立に有する比較例1〜5のフィルターでは、微小凝集物除去率が低く、赤血球の付着、あるいは目詰まりを起こすことが分かった。また、非イオン性の親水性塩基性基を有するが、親水性部分を末端に有さない比較例6では、微小凝集物除去率も低く、赤血球の付着も著しく、目詰まりも起こすことが分かった。さらに、繊維状多孔質基材の少なくとも表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有していても繊維状多孔質基材の繊維径が本発明の範囲外である比較例7〜8のフィルターでは、目詰まりが生じたり、微小凝集物除去率が低いという問題点があることが分かった。
【0069】
【実施例9】
血液の導入口と導出口を有し、有効濾過断面積が67mm×67mmの容器に、スパンボンド法によって製造された、平均繊維径が32.2μmのポリエステル製不織布を血液の導入口側に厚み1.0mmで配置し、その下層に平均繊維径が13.1μmのポリエステル製不織布を厚み0.7mmで配置し、充填密度が0.28g/cm3となるように充填した。HGA−25ポリマーを実施例1と同様の方法でフィルターにコーティングした。上記フィルターから、フィルター材を取り出し、これを血液の導入口と導出口を有し、有効濾過断面積が67mm×67mmの容器に、血液の導入口側に厚み1.7mm、充填密度が0.28g/cm3となるように配置し、その下層に平均繊維径が1.7μmのポリエステル製不織布を厚み4.0mm、充填密度が0.23g/cm3となるようにで配置して充填した。実施例1と同様の操作で調製し、4℃で16日間保存した濃厚赤血球製剤を得た。この濃厚赤血球製剤325gを25℃の室温になるまで放置し、上記フィルターを用い、落差1.0mで濾過した。フィルター内に血液を満たして濾過を開始後、血液バッグ内に血液がなくなるまで濾過を行い、濾過した血液を回収した。この時の濾過時間は、フィルターの導出口より血液が流出し始めた時から回収液量が250gとなるまでとした。また、血液を0gから50g濾過するのに要した時間(t(1))と、血液を200gから250g濾過するのに要した時間(t(2))を計測し、下式から流速維持率を測定した。
流速維持率(%)={t(1)/t(2)}×100
濾過に要した時間は10.8分、流速維持率は91%であった。血液濾過後のフィルター材のうち、平均繊維径が1.7μmのポリエステル製不織布の最上層を、比較例2と同様の操作で走査型電子顕微鏡を使用して観察したところ、微小凝集物はほとんど観察されなかった。
【0070】
【比較例9】
実施例9と同様の方法でフィルターにHDE−5コーティングし、フィルター材を取り出して使用した以外は実施例9と同様に操作を行った。フィルター材表面への親水性塩基性基の平均導入密度は1.7μeq/m2であった。濾過に要した時間は14.8分、流速維持率は68%であった。血液濾過後のフィルター材のうち、平均繊維径が1.7μmのポリエステル製不織布の最上層を、比較例2と同様の操作で走査型電子顕微鏡で観察したところ、微小凝集物が捕捉されている様子が観察された。平均繊維径が1.7μmのポリエステル製不織布の最上層が微小凝集物で目詰まりを起こしたために、濾過時間の延長、流速維持率の低下が起こったと推測される。
【0071】
実施例9と比較例8との対比によると、繊維状多孔質基材の少なくとも表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有する本発明の微小凝集物除去フィルターを用いるとき(実施例9)では、血液濾過の間流速を維持できたのに対して、非イオン性親水基と塩基性基とを独立に有する比較例9のフィルターでは、目詰まりを起こすために濾過時間の延長、流速維持率の低下が起きることが分かった。
【0072】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明では、平均繊維径が8μm以上50μm未満の繊維状多孔質基材の少なくとも表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有するフィルター材を用いることにより、微小凝集物除去率が格段に高く、血液製剤処理速度を高い状態で維持でき、フィルターへの赤血球の吸着を抑制し、且つフィルターでの血液成分のロスを極力少なくできるという効果を奏することができた。
Claims (12)
- 微小凝集物を含有する赤血球含有血液から微小凝集物を除去するフィルター材であって、該フィルター材は、平均繊維径が8μm以上50μm未満の繊維状多孔質体を基材とし、少なくともその表面に非イオン性の親水性部分と塩基性部分とを含む親水性塩基性基を有しており、該親水性塩基性基において、該親水性部分が該塩基性部分より末端側に位置していることを特徴とする微小凝集物除去フィルター材。
- 少なくとも1つの親水性部分が親水性塩基性基の最末端に位置している請求項1記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 親水性部分がヒドロキシル基である請求項1又は2記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 塩基性部分が第2級及び/又は第3級アミノ基である請求項1〜3のいずれかに記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 親水性塩基性基がヒドロキシアルキルアミノ基である請求項1記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 親水性塩基性基を含むモノマー及び/又は親水性塩基性基を含むモノマーを構成成分とするポリマーが繊維状多孔質基材の表面に導入されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 親水性塩基性基を含むモノマーを構成成分とするポリマーが、親水性塩基性基を含まないモノマーとの共重合体である請求項6記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 親水性塩基性基を含む重合性モノマーが(メタ)アクリル酸誘導体である請求項6又は7に記載の微小凝集物除去フィルター材。
- フィルター材の単位表面積当たりの親水性塩基性基の密度は0.1μeq/m2以上1000μeq/m2未満である請求項1〜8のいずれかに記載の微小凝集物除去フィルター材。
- フィルター材の表面において、親水性部分の数に対する塩基性部分の数は0.01以上0.5以下である請求項1〜9のいずれかに記載の微小凝集物除去フィルター材。
- 少なくとも、1)導入口、2)請求項1記載の微小凝集物除去フィルター材を含むフィルター、3)導出口、を含む装置を用い、導入口から微小凝集物を含有する赤血球含有血液製剤を注入し、導出口から該フィルターで濾過された液を回収することからなる、微小凝集物を含有する赤血球含有血液製剤から微小凝集物を除去する方法。
- 微小凝集物除去フィルター材の下流側に、白血球除去フィルター材を配置した、請求項11記載の微小凝集物を含有する赤血球含有血液製剤から微小凝集物を除去する方法。
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