JP3644812B2 - 筒状フィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は流体中の固形物を濾過することのできる筒状フィルタ、好適には、液体中の固形物を濾過することのできる筒状フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、液体中の固形物を濾過できるフィルタとして、メルトブロー法やジェット紡糸法などによって形成した微細な繊維からなる不織布を、多孔筒の周囲に巻回したものが知られている。
例えば、特開平3−278810号公報には、メルトブロー法やジェット紡糸法などによって作製された不織布(緻密層)と、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法、スパンボンド不織布、繊維接着型不織布、水流絡合不織布、或いはニードルパンチ不織布(拡散層)とを積層し、この積層不織布を多孔筒に巻回したカートリッジフィルタが開示されている。このカートリッジフィルタは微粒子を高い捕集効率で捕集することができ、しかも目詰まりが生じにくく、使用寿命の長いものである。
ところが、このカートリッジフィルタをトルエン中に含まれる固形物を濾過するために使用したところ、カートリッジフィルタ全体が膨潤してしまい、リークが生じたり、所定濾過精度が得られないなど、使用に耐えないものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、どのような流体に対しても使用することができ、しかも所定の濾過精度を有する筒状フィルタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の流体中の固形物を濾過する筒状フィルタは、この流体により膨潤しない多孔筒の周囲に、その流体により膨潤する不織布(以下、「膨潤不織布」ということがある)が、その流体により膨潤しない不織布(以下、「非膨潤不織布」ということがある)の内側となるように巻回された構造を有し、該膨潤する不織布がポリプロピレン繊維からなるメルトブロー法又はジェット紡糸法により製造された不織布からなるものである。このように、膨潤不織布は膨潤しない多孔筒と非膨潤不織布とによって挟まれているため、ほとんど膨潤が生じない。したがって、本発明の筒状フィルタはどのような流体に対しても使用することができ、しかも所定の濾過精度を発揮することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の筒状フィルタにおいては、多孔筒と非膨潤性不織布とによって膨潤不織布を挟持して、膨潤不織布の膨潤を抑えることができるように、多孔筒として、処理流体により膨潤しないものを使用する。この多孔筒の材質、穴の形状、穴の大きさ、穴の比率などは特に限定されるものではない。また、この多孔筒は常法の成形方法によって容易に製造することができる。
【0006】
なお、本発明において「処理流体により膨潤しない」とは、次のようにして得られる膨潤率が1%以下のものをいう。
まず、試験片(例えば、多孔筒)を約10cm角に裁断し、面積Aを測定する。次いで、実際に処理する流体(例えば、トルエン溶液)で満たした容器中に、前記の試験片を入れて(液体の場合、浸漬する)、24時間放置する。その後、容器から試験片を取り出し、試験片の面積Bを測定する。この時、(B/A−1)×100の式から算出される値を膨潤率(%)という。
【0007】
本発明においては、このような多孔筒の周囲に、処理流体により膨潤する膨潤不織布が、その処理流体により膨潤しない非膨潤不織布の内側となるように巻回されているため、膨潤不織布の膨潤が抑制され、所定の濾過精度を発揮することができる。
なお、この膨潤不織布の「処理流体により膨潤する」とは、前述の「処理流体により膨潤しない」場合と同様の操作により得られる膨潤率が3%以上のものをいう。
【0008】
この膨潤不織布は濾過精度を高めるために使用するため、この膨潤不織布の平均繊維径は0.5〜50μm(より好ましくは0.5〜35μm)で、平均最多孔径は1〜50μm(より好ましくは1〜35μm)であるのが好ましい。
なお、本発明における平均繊維径とは、不織布構成繊維の任意の100点において測定した繊維径の平均値をいう。なお、不織布構成繊維が異形断面形状を有する場合には、その断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。また、最多孔径は孔径分布測定機(COULTER社製、COULTER POROMETER)を用いて孔径を測定し、その結果、孔径分布の最も多い孔径値をいう。
【0009】
この膨潤不織布の厚さは特に限定するものではないが、1.5mmを越えると、膨潤の程度が大き過ぎて非膨潤不織布などによる膨潤の抑制効果が低い場合があり、0.3mm未満であると、所望の濾過精度を得ることができない場合があるため、0.3〜1.5mmの厚さであるのが好ましく、0.4〜1.2mmの厚さであるのがより好ましい。
【0010】
また、膨潤不織布の面密度は上記の厚さを満たすことができるように、60〜100g/m2であるのが好ましく、70〜90g/m2であるのがより好ましい。
【0011】
このような濾過精度に優れる膨潤不織布は、例えば、メルトブロー法やジェット紡糸法などにより容易に得ることができる。このような方法により製造した不織布は製造する際に繊維が延伸されていないためか、本来であれば処理流体によって膨潤しない樹脂成分からなる場合であっても膨潤する場合がある。例えば、処理流体が常温のトルエン溶液やキシレン溶液である場合に、メルトブロー法により製造したポリプロピレンからなる不織布は膨潤する。
【0012】
このようなメルトブロー法やジェット紡糸法などにより製造される不織布を構成する樹脂成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどを例示できる。これらの中でも濾過精度に優れるように繊維径を小さくすることが容易で、しかも汎用性に優れているポリプロピレンが好適である。
【0013】
このような膨潤不織布は濾過精度の点で優れるものであるが、膨潤の問題が生じるため、非膨潤不織布と膨潤しない多孔筒で挟むことにより膨潤不織布の膨潤を抑制している。
【0014】
この非膨潤不織布は膨潤不織布の膨潤を抑制する作用以外に、処理流体の拡散層としての働きや、プレフィルタ層としての働きをするように、処理流体流入側に最も近い膨潤不織布と非膨潤不織布とが次の関係を満たすのが好ましい。つまり、処理流体流入側に最も近い膨潤不織布と非膨潤不織布との平均繊維径及び最多孔径の差が大きいと、濾過効率の差が大きくなり過ぎるため、処理流体流入側に最も近い膨潤不織布と非膨潤不織布との差が、平均繊維径において35μm以内、最多孔径において28μm以内であるのが好ましい。したがって、非膨潤不織布の平均繊維径は、35.5〜85μm(より好ましくは35.5〜70μm)で、平均最多孔径は29〜78μm(より好ましくは29〜63μm)であるのが好ましい。
【0015】
この非膨潤不織布の厚さは特に限定するものではないが、0.1〜1mm程度であるのが好ましく、0.2〜0.8mm程度であるのがより好ましい。また、非膨潤不織布の面密度は10〜100g/m2程度であるのが好ましく、15〜80g/m2程度であるのがより好ましい。
【0016】
このような非膨潤不織布は、例えば、カード法、エアレイ法、或いはスパンボンド法などの乾式法によって形成した繊維ウエブを、水流やニードルパンチにより絡合したり、繊維ウエブを構成する繊維を部分的又は全体的に融着したり、接着剤により部分的又は全体的に接着したり、或はこれらの方法を適宜組み合わせることによって製造できる。なお、スパンボンド法により繊維ウエブを形成した場合には、繊維ウエブを結合するための処理を省略することができる。これらの中でも、スパンボンド法又は水流絡合法により形成した非膨潤不織布は、繊維同士が強固に固定されておらず、多孔筒に巻回する際の荷重によって容易に嵩を減じ、粗密構造を形成しやすいので、好適に使用できる。
【0017】
この非膨潤不織布は、例えば、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維、綿や麻などの植物繊維、羊毛などの動物繊維、或いは二種類以上の樹脂成分からなる、分割性、融着性、巻縮発現性などを有する複合繊維の中で、処理流体によって膨潤しない繊維1種類以上から構成される。例えば、処理流体がトルエン溶液やキシレン溶液の場合、ポリエステル繊維から非膨潤不織布はこの処理流体によって膨潤しないので好適に使用できる。
【0018】
したがって、処理流体がトルエン溶液又はキシレン溶液の場合、流体により膨潤する不織布がポリプロピレン繊維からなるメルトブロー不織布であり、流体により膨潤しない不織布がポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布又は水流絡合不織布であるのが最も好ましい。
【0019】
本発明の筒状フィルタを構成する不織布としては、基本的に上述の膨潤不織布と非膨潤不織布とからなるが、前述の膨潤率が1%を越え、3%未満の準膨潤不織布を併用しても良い。また、いずれの不織布(つまり、膨潤不織布、準膨潤不織布、非膨潤不織布)も平均繊維径、平均最多孔径、厚さ、面密度、製造方法、不織布構成繊維のいずれか1つ以上の点において相違する、種類の異なる不織布を2種類以上併用しても良い。
例えば、本発明の筒状フィルタにおいて濾過精度を左右するのは、主として膨潤不織布であるため、平均繊維径及び/又は平均最多孔径の異なる膨潤不織布を2種類以上使用することにより、段階的に固形分を濾過し、濾過寿命のより長い筒状フィルタを製造することができる。
【0020】
また、筒状フィルタの最外層として、非膨潤不織布よりも平均繊維径及び/又は平均最多孔径が大きく、しかも処理流体によって膨潤しない樹脂成分からなる織物、編物、或はネットなどを配置することもできる。
【0021】
本発明の筒状フィルタは前述の処理流体により膨潤しない多孔筒の周囲に、膨潤不織布が非膨潤不織布の内側となるように巻回され、膨潤不織布全体が膨潤しない多孔筒と非膨潤不織布との間に存在することになるため、膨潤不織布の膨潤が抑制される。
【0022】
なお、この膨潤不織布が非膨潤不織布の内側に存在するとしても、膨潤不織布のみからなる領域が広くなると、膨潤不織布の膨潤を抑制することが困難となる場合があり、又、濾過性能や拡散性能を高めて濾過寿命がより長くなるように、膨潤不織布と非膨潤不織布とが交互に積層された領域を有するのが好ましい。このような膨潤不織布と非膨潤不織布とが交互に積層された領域は、例えば、非膨潤不織布の上に膨潤不織布を積層した後、膨潤不織布が内側(多孔筒側)となるように前記多孔筒に巻き付けることにより、容易に製造することができる。
【0023】
また、膨潤不織布が筒状フィルタの最外層付近に存在すると、膨潤抑制作用が作用しにくい傾向があるため、膨潤不織布以外からなる領域(好適には非膨潤不織布のみからなる領域)が、筒状フィルタの最外層から不織布巻回層の厚さの6分の1の距離以上まで伸びているのが好ましく、筒状フィルタの最外層から不織布巻回層の厚さの3分の1の距離以上まで伸びているのがより好ましく、筒状フィルタの最外層から不織布巻回層の厚さの5分の2の距離以上まで伸びているのが最も好ましい。
【0024】
このような本発明の筒状フィルタは、例えば、次のような方法で製造することができる。
まず、処理流体により膨潤しない多孔筒、膨潤不織布、及び非膨潤不織布を用意する。次いで、各不織布を所要長さに裁断する。その後、非膨潤不織布上に膨潤不織布を適宜箇所に積層する。そして、この積層不織布の膨潤不織布が内側(多孔筒側)となるように、多孔筒の周囲に巻き付けることにより、本発明において好適である、膨潤不織布と非膨潤不織布とが交互に積層された領域を有する筒状フィルタを製造できる。このように、本発明の筒状フィルタは非常に簡単に製造することができる。
【0025】
また、膨潤不織布の長さを非膨潤不織布の長さよりも短くし、膨潤不織布を非膨潤不織布の一端側に偏在するように積層し、この積層不織布の膨潤不織布を偏在させた一端側から、膨潤不織布が内側(多孔筒側)となるように多孔筒に巻き付ければ、膨潤不織布以外からなる領域(この場合、非膨潤不織布のみからなる領域)が、筒状フィルタの最外層から不織布巻回層の厚さの6分の1の距離以上まで伸びている筒状フィルタを容易に製造することができる。
【0026】
なお、積層した不織布を多孔筒に巻き付ける際の荷重は一定であっても、巻き始めから巻き終わりまで連続的に又は不連続的に可変であっても良いが、一定荷重であると、品質の安定した筒状フィルタを製造できる。この荷重が一定であっても、膨潤不織布が好適に存在する巻き始めの方がより大きな力が加わり、膨潤不織布の膨潤が抑制される。また、巻き始めの方がより大きな力が加わるため、膨潤不織布及び非膨潤不織布、場合によっては準膨潤不織布の厚みが潰され、粗密構造を形成し、より濾過性能に優れるという効果が生じる。
【0027】
本発明の筒状フィルタは上述のように、どのような流体に対しても所定の濾過精度を示すので、様々な流体(例えば液体、気体)中に含まれる固形物を濾過するために使用することができ、特に、食品・飲料、電子、医薬、化学、水処理、写真、塗料、メッキ、染色、機械・鉄鋼など各製造プロセスにおいて使用する、又は使用した液体などの濾過に使用することができる。
【0028】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、膨潤率は80%キシレン溶液と、100%トルエン溶液に対する値を記載した。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
直径2.5mmの円形状の穴を有し、内径が2.8cmで肉厚が0.67mmのステンレス製多孔筒(いずれの溶液に対しても膨潤率0%、多孔筒全表面積に対する全穴の面積の比率が11%)を用意した。
【0030】
また、ポリエステル繊維からなり、平均繊維径37μm、平均最多孔径50μm、面密度70g/m2、厚さ0.3mmのスパンボンド不織布(非膨潤不織布)を用意した。このスパンボンド不織布はキシレン溶液に対する膨潤率が0%であり、トルエン溶液に対する膨潤率も0%であった。
【0031】
他方、ポリプロピレン繊維からなり、平均繊維径4μm、平均最多孔径23μm、面密度80g/m2、厚さ1.2mmのメルトブロー不織布A(膨潤不織布A)を用意した。このメルトブロー不織布Aはキシレン溶液に対する膨潤率が7.3%であり、トルエン溶液に対する膨潤率は9.5%であった。
【0032】
また、ポリプロピレン繊維からなり、平均繊維径5.2μm、平均最多孔径25μm、面密度80g/m2、厚さ1.1mmのメルトブロー不織布B(膨潤不織布B)を用意した。このメルトブロー不織布Bはキシレン溶液に対する膨潤率が7.1%であり、トルエン溶液に対する膨潤率は9.4%であった。
【0033】
更に、ポリプロピレン繊維からなり、平均繊維径7.1μm、平均最多孔径34μm、面密度80g/m2、厚さ1 mmのメルトブロー不織布C(膨潤不織布C)を用意した。このメルトブロー不織布Cはキシレン溶液に対する膨潤率が7.3%であり、トルエン溶液に対する膨潤率は9.4%であった。
【0034】
次いで、非膨潤不織布を800cm長に、膨潤不織布A〜Cをそれぞれ40cm長に裁断した後、非膨潤不織布の一端と膨潤不織布Aとの一端とが一致するように膨潤不織布Aを非膨潤不織布に積層し、次いで、膨潤不織布Aの他端と膨潤不織布Bの一端とが接触するように膨潤不織布Bを非膨潤不織布上に積層し、更に、膨潤不織布Bの他端と膨潤不織布Cの一端とが接触するように膨潤不織布Cを非膨潤不織布上に積層した。
【0035】
次いで、この積層不織布の膨潤不織布Aがステンレス製多孔筒と接触するように、積層不織布をステンレス製多孔筒の周囲に荷重一定(0.3MPa)で巻き付けて、内径2.8cm、外径6.3cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、非膨潤不織布のみからなる領域が筒状フィルタの最外層から不織布巻回層の厚さの2分の1の距離まで伸びていた。
【0036】
(実施例2)
ポリエステル繊維100%をカード機により開繊した後、水流により絡合させた、平均繊維径40μm、平均最多孔径52μm、面密度60g/m2、厚さ0.7mmの水流絡合不織布(非膨潤不織布)を用意した。この水流絡合不織布はキシレン溶液に対する膨潤率が0%であり、トルエン溶液に対する膨潤率も0%であった。
また、実施例1と同じ多孔筒及び膨潤不織布A〜Cを用意した。
【0037】
次いで、実施例1と全く同様に、水流絡合不織布上に膨潤不織布A〜Cを積層した後、この積層不織布の膨潤不織布Aがステンレス製多孔筒と接触するように巻き付けて、内径2.8cm、外径6.3cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、非膨潤不織布のみからなる領域が筒状フィルタの最外層から不織布巻回層の厚さの3分の1の距離まで伸びていた。
【0038】
(比較例)
ポリプロピレン繊維からなり、平均繊維径36μm、平均最多孔径50μm、面密度70g/m2、厚さ0.4mmのスパンボンド不織布を用意した。なお、このスパンボンド不織布はキシレン溶液に対する膨潤率が8.6%であり、トルエン溶液に対する膨潤率は8.9%であった。
また、実施例1と同じ多孔筒及び膨潤不織布A〜Cを用意した。
【0039】
次いで、実施例1と全く同様に、スパンボンド不織布上に膨潤不織布A〜Cを積層した後、この積層不織布の膨潤不織布Aがステンレス製多孔筒と接触するように巻き付けて、内径3cm、外径6.3cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。
【0040】
(濾過精度)
80%キシレン及び100%トルエン溶液に、それぞれJIS8種の塵埃を分散させた濃度10ppmの試験液に含まれる粒子数を、粒度分布測定機(COULTER社製、COULTER MultisizerII)により各粒径別に計測した。次いで、この試験液を均一に攪拌しながら、実施例1〜2及び比較例の筒状フィルタのそれぞれに、流量10L/minで1分間通液した後の濾液を採取して、この1分後の濾液に含まれる粒子数を、粒度分布測定機(COULTER社製、COULTER MultisizerII)により各粒径別に計測した。次いで、それぞれの粒径における捕集効率を下記の式により算出し、100%の捕集効率が得られる粒径を、その筒状フィルタの濾過精度とした。この結果は表1に示す通りであった。
捕集効率(%) = {(A−B)/A}×100
A:濾過前の粒子数、B:濾過後の粒子数
【0041】
【表1】
−−:膨潤によってリークが生じ、測定不可能
【0042】
(筒状フィルタの膨潤率)
実施例1〜2及び比較例の筒状フィルタの断面積と長さを測定し、これらの値から筒状フィルタの体積を算出した。次いで、80%キシレン溶液又は100%トルエン溶液2L中に、実施例1〜2及び比較例の筒状フィルタをそれぞれ浸漬し、5分後に各筒状フィルタを取り出した。そして、取り出した各筒状フィルタの体積を同様に算出し、各筒状フィルタの膨潤率を次の式から算出した。この結果も表1に示す通りであった。
膨潤率(%) = (B/A−1)×100
A:浸漬前の筒状フィルタの体積、B:浸漬後の筒状フィルタの体積
【0043】
表1から明らかなように、本発明の筒状フィルタは処理溶液による膨潤を抑制することができ、ハウジングと筒状フィルタとの密着性を維持できるためリークが生じず、しかも濾過精度にも優れるものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明の流体中の固形物を濾過する筒状フィルタは、この流体により膨潤しない多孔筒の周囲に、その流体により膨潤する不織布が、その流体により膨潤しない不織布の内側となるように巻回された構造を有し、該膨潤する不織布がポリプロピレン繊維からなるメルトブロー法又はジェット紡糸法により製造された不織布からなるものである。このように、膨潤不織布は膨潤しない多孔筒と非膨潤不織布とによって挟まれているため、ほとんど膨潤が生じない。したがって、本発明の筒状フィルタはどのような流体に対しても使用することができ、しかも所定の濾過精度を発揮することができる。
Claims (6)
- 流体中の固形物を濾過する筒状フィルタにおいて、該流体により膨潤しない多孔筒の周囲に、該流体により膨潤する不織布が、該流体により膨潤しない不織布の内側となるように巻回されており、該膨潤する不織布がポリプロピレン繊維からなるメルトブロー法又はジェット紡糸法により製造された不織布であることを特徴とする筒状フィルタ。
- 流体により膨潤する不織布と、流体により膨潤しない不織布とが、交互に積層された領域を有することを特徴とする、請求項1に記載の筒状フィルタ。
- 流体により膨潤する不織布以外からなる領域が、筒状フィルタの最外層から、不織布巻回層の厚さの6分の1の距離以上まで伸びていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の筒状フィルタ。
- 処理流体流入側に最も近い流体により膨潤する不織布と流体により膨潤しない不織布の平均繊維径の差が35μm以内で、最多孔径差が28μm以内であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の筒状フィルタ。
- 流体により膨潤しない不織布がスパンボンド不織布又は水流絡合不織布であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の筒状フィルタ。
- 流体がトルエン溶液又はキシレン溶液であり、流体により膨潤する不織布がポリプロピレン繊維からなるメルトブロー不織布であり、流体により膨潤しない不織布がポリエステル繊維からなるスパンボンド不織布又は水流絡合不織布であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の筒状フィルタ。
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