JP3677367B2 - 筒状フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体中の固形物を濾過することのできる筒状フィルタ、好適には、液体中の固形物を濾過することのできる筒状フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体中の固形物を濾過できるフィルタとして、メルトブロー法やジェット紡糸法などによって形成した微細な繊維からなる不織布を、多孔筒の周囲に巻回し、成形したものが知られていた。このフィルタは目詰まりが生じやすく、使用寿命の短いものであった。
【0003】
他方、目詰まりが生じにくいように、処理液体の上流側から下流側に向かって、順次、見掛密度の高い不織布を多孔筒の周囲に巻回した筒状フィルタが知られていた。この筒状フィルタはある程度、使用寿命が長いものの、製造上手間がかかるわりには使用寿命が短いものであった。そのため、使用寿命がより長く、より簡単に製造できる筒状フィルタが待ち望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、使用寿命が長く、しかも簡単に製造できる筒状フィルタを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の筒状フィルタは、少なくとも、平均繊維径D(μm)と最多孔径P(μm、孔径分布測定機を用いて孔径を測定した結果、孔径分布の最も多い孔径値)との間に、D≧Pの関係が成立する、厚さ0.5〜1.5mmの粗不織布が、多孔筒の周囲に巻回されたものである。
【0006】
このように、本発明の筒状フィルタは、平均繊維径D(μm)と最多孔径P(μm)との間に、D≧Pの関係が成立する粗不織布が多孔筒に巻回されているため、この粗不織布領域に侵入した処理流体中の一部の固形物は、粗不織布の開孔部における表面及び内部で捕捉され、一部の固形物は粗不織布構成繊維と衝突して粗不織布層全体に拡散されて、粗不織布層全体で固形物を濾過できるため、目詰まりが生じにくく、使用寿命が長くなると考えられる。
【0007】
また、粗不織布の厚さが0.5〜1.5mmという嵩高であるため、この粗不織布を多孔筒の周囲に巻回する際の荷重によって、容易に嵩を減じ、粗不織布内において粗密構造を形成できるため、固形物の粒径分布範囲が広くても、段階的に濾過できると考えられる。
【0008】
更に、本発明の筒状フィルタは、少なくとも粗不織布を多孔筒の周囲に巻回すれば形成できるため、簡単に製造できるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の粗不織布は固形物を濾過するのはもちろんのこと、目詰まりが生じにくいように、処理流体中における固形物の拡散を助長する働きをする。そのため、粗不織布の平均繊維径D(μm)と最多孔径P(μm)との間に、D≧Pの関係が成立する必要があり、D≧P+5の関係が成立するのがより好ましい。なお、上限は特に限定するものではないが、P+20≧Dであるのが好ましい。
【0010】
本発明における平均繊維径とは、不織布(粗不織布以外の不織布の場合も含む)の構成繊維の任意の100点において測定した繊維径の平均値をいう。なお、不織布(粗不織布以外の不織布の場合も含む)の構成繊維が異形断面形状を有する場合には、その断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。また、最多孔径は孔径分布測定機(COULTER社製、COULTER POROMETER)を用いて孔径を測定し、その結果、孔径分布の最も多い孔径値をいう。
【0011】
なお、本発明の粗不織布の平均繊維径は、筒状フィルタの使用用途によって異なるが、30〜50μmであるのが好ましい。従って、粗不織布の最多孔径は50μm以下であるのが好ましい。
【0012】
本発明の粗不織布は多孔筒に巻回する際の荷重によって容易に嵩を減じ、多孔筒側ほど緻密な構造となり、粗不織布内において粗密構造が生じるように、厚さ0.5〜1.5mmであるのが好ましい。厚さ0.5mm未満では粗密構造が生じにくく、他方、厚さが1.5mmを越えると粗不織布層の数が少なくなって、使用寿命が短くなってしまい、また、加工性(作業性)が悪いためで、厚さは0.6〜1.2mmであるのがより好ましい。
【0013】
また、本発明の粗不織布の面密度は50〜120g/m2であるのが好ましい。面密度が50g/m2よりも小さいと、厚さ0.5mm以上の粗不織布を形成しにくく、しかも多孔筒への巻き長さが長くなって、加工性(作業性)が悪くなり、他方、面密度が120g/m2を越えると、厚さが1.5mmを越えやすくなるためで、より好ましくは、60〜100g/m2である。
【0014】
このような粗不織布は、例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、或はメルトブロー法などの乾式法によって形成した繊維ウエブを、水流絡合法やニードルパンチ法などの絡合する方法、繊維ウエブ構成繊維を部分的又は全体的に融着する方法、接着剤により部分的又は全体的に接着する方法、或はこれらの方法を適宜組み合わせることによって形成できる。なお、スパンボンド法又はメルトブロー法により繊維ウエブを形成した場合、繊維同士を結合するための処理は省略することができる。これらの中でも、メルトブロー法、スパンボンド法、或は水流絡合法により形成した粗不織布は、繊維同士が強固に固定されていないため、多孔筒に巻回する際の荷重によって容易に嵩を減じ、粗密構造を形成しやすいので、好適に使用できる。
【0015】
この粗不織布を構成する繊維としては、例えば、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維、綿や麻などの植物繊維、羊毛などの動物繊維などを使用できる。また、繊維は一種類の樹脂成分からなる必要はなく、二種類以上の樹脂成分から構成されていても良い。これらの中でもポリオレフィン系繊維(特にポリプロピレン繊維)は耐薬品性に優れ、汎用性にも優れているため、好適に使用できる。
【0016】
本発明の筒状フィルタは、上記のような粗不織布のみを多孔筒の周囲に巻回したものであっても良いし、固形物の濾過性能をより向上させるために、上述の粗不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径が小さい密不織布も多孔筒の周囲に巻回したものであっても良いが、後者の方がより好ましい。
【0017】
この密不織布と粗不織布とを含む筒状フィルタの場合、処理流体流出側に最も近い、密不織布と粗不織布とが存在する箇所において、密不織布と粗不織布との平均繊維径及び/又は最多孔径との差が大きいと、密不織布と粗不織布との濾過効率の差が大きいために、密不織布の負荷が大きくなって、目詰りが生じやすく、使用寿命が短くなるため、密不織布と粗不織布との差が、平均繊維径において、30μm以内、最多孔径において、5μm以内であるのが好ましい。前述のように、粗不織布の平均繊維径は30〜50μmであるのが好ましいため、密不織布の平均繊維径は5〜50μmであるのが好ましい。また、粗不織布の最多孔径は50μm以下であるのが好ましいため、密不織布の最多孔径は50μm以下であるのが好ましい。
【0018】
なお、後述のような中間不織布が密不織布と粗不織布との間に存在している場合、処理流体流入側に最も近い、中間不織布と粗不織布とが存在する箇所において、中間不織布と粗不織布との平均繊維径及び/又は最多孔径との差は、上述の密不織布と粗不織布との差と同程度であるのが好ましく、また、密不織布に最も近い最多孔径を有する中間不織布と密不織布との差が、平均繊維径において25μm以内であり、最多孔径において5μm以内であるのが好ましい。
【0019】
本発明の密不織布も多孔筒に巻回する際の荷重によって嵩を減じ、多孔筒側ほど緻密な構造となり、密不織布内においても粗密構造を形成できるように、厚さ0.5〜1.5mmであるのが好ましい。厚さ0.5mm未満では粗密構造が生じにくく、他方、厚さが1.5mmを越えると目詰りが生じやすいため使用寿命が短くなり、また、加工性(作業性)が悪いためで、厚さは0.6〜1.2mmであるのがより好ましい。
【0020】
また、本発明の密不織布の面密度は、上記の厚さを満たすことができるように、60〜100g/m2であるのが好ましく、70〜90g/m2であるのがより好ましい。
【0021】
このような密不織布は粗不織布と同様の方法、或はジェット紡糸法により形成できるが、上述のような平均繊維径及び/又は最多孔径の不織布を形成しやすい、メルトブロー法やジェット紡糸法により形成するのが好ましい。また、この密不織布を構成する繊維としても、粗不織布と同様の繊維を使用でき、同様の理由で、ポリオレフィン系繊維(特にポリプロピレン繊維)を好適に使用できる。
【0022】
本発明の筒状フィルタにおいては、上述のような密不織布と粗不織布とが多孔筒の周囲に、密不織布と密不織布との間に粗不織布が存在するように巻回されているのが好ましい。このように巻回されていることによって、粗不織布によって固形物を濾過及び拡散できると共に、粗不織布層によって拡散された固形物を密不織布で濾過できるため、目詰まりが生じにくく、より長寿命になると考えられる。
【0023】
この密不織布と密不織布との間に粗不織布が存在する領域は、濾過精度に優れ、目詰まりがより生じにくく、使用寿命を長くなるように、処理流体流出側から不織布巻回厚さの4分の3の範囲内に存在するのが好ましく、処理流体流出側から不織布巻回厚さの3分の2の範囲内に存在するのがより好ましい。
【0024】
なお、密不織布と粗不織布とを多孔筒に巻回する場合、粗不織布による固形物の拡散を最大限に利用するために、粗不織布と粗不織布との間に粗不織布が存在する領域、つまり粗不織布のみを巻回した領域を有するのが好ましい。この粗不織布のみの領域は、処理流体流入側から不織布巻回厚さの4分の3の範囲内にあるのが好ましく、処理流体流入側から不織布巻回厚さの3分の2の範囲内にあるのがより好ましい。
【0025】
なお、上述の粗不織布と密不織布以外に、これら不織布の中間的な性質を有する不織布、つまり、密不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径が大きく、かつ粗不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径の小さい中間不織布を1つ以上多孔筒に巻回すると、この中間不織布により、固形物の濾過及び拡散をより段階的に行なうことができるため、濾過精度に優れ、目詰まりがより生じにくく、使用寿命がより長くなる。なお、この中間不織布はどこに配置されていても良いが、固形物の濾過及び拡散をより効果的に行うことができるように、密不織布と密不織布との間に粗不織布が存在する領域と粗不織布のみが存在する領域の間の領域に配置するのが好ましい。
【0026】
この中間不織布の平均繊維径及び最多孔径は、前述の密不織布及び粗不織布との関係から、平均繊維径は5〜50μmであるのが好ましく、最多孔径は50μm以下であるのが好ましい。また、この中間不織布も多孔筒に巻回する際の荷重によって緻密構造を形成できるように、厚さ0.5〜1.5mmであるのが好ましく、0.6〜1.2mmであるのがより好ましい。更に、面密度は60〜100g/m2であるのが好ましく、70〜90g/m2であるのがより好ましい。
【0027】
このような中間不織布は密不織布と同様の方法により形成できるが、メルトブロー法、ジェット紡糸法、スパンボンド法、或は水流絡合法により形成するのが好ましい。また、この中間不織布を構成する繊維として、ポリオレフィン系繊維(特にポリプロピレン繊維)を好適に使用できる。
【0028】
更に、本発明の筒状フィルタにおいては、上述の粗不織布、密不織布、及び中間不織布以外に、粗不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径の大きい極粗不織布を有することができる。このような極粗不織布を有することによって、固形物の拡散効果をより大きくして、濾過寿命がより長くすることができる。なお、この極粗不織布はどこに配置されていても良いが、拡散がより効果的に生じるように、粗不織布よりも極粗不織布が処理流体流入側にくるように配置するのが好ましい。
【0029】
この極粗不織布平均繊維径及び最多孔径は、前述の粗不織布との関係から、平均繊維径は30μm以上であるのが好ましい。また、この極粗不織布の厚さは0.1〜1mmであるのが好ましく、0.2〜0.8mmであるのがより好ましい。更に、面密度は10〜100g/m2であるのが好ましく、15〜80g/m2であるのがより好ましい。
【0030】
このような極粗不織布も粗不織布と同様の方法により形成できるが、メルトブロー法、ジェット紡糸法、スパンボンド法、或は水流絡合法により形成するのが好ましい。また、この極粗不織布を構成する繊維として、ポリオレフィン系繊維(特にポリプロピレン繊維)を好適に使用できる。
【0031】
なお、多孔筒の周囲に、少なくとも粗不織布を巻回する場合、一般に一定の荷重下において粗不織布を多孔筒に巻回するため、多孔筒に近い粗不織布ほどより大きな力が加わり、多孔筒に近いほど緻密な粗不織布となりやすいので、多孔筒側が処理流体流出側であるのが好ましい。そのため、密不織布も巻回する場合には、多孔筒と接触しているのが密不織布であるのが好ましい。また、最外層は粗不織布、極粗不織布、又は極粗不織布と同等以上の平均繊維径及び/又は最多孔径を有する織物、編物、或はネットなどを配置できる。
【0032】
このような本発明の筒状フィルタの製造方法としては、次のようにして製造することができる。
【0033】
例えば、粗不織布、密不織布、及び中間不織布を多孔筒に巻き付けた筒状フィルタの場合、まず、粗不織布、密不織布、中間不織布、及び金属やプラスチックからなる多孔筒を準備する。次いで、各不織布を所要長さに裁断した後、各不織布の一方の端部が一致するように積層したり、粗不織布上に密不織布及び中間不織布を粗不織布の長さ方向に並列に積層する。そして、この積層した不織布を多孔筒の周囲に巻き付けることにより、本発明の筒状フィルタを形成できる。このように、本発明の筒状フィルタは簡単に製造することができる。
【0034】
なお、密不織布の長さを粗不織布の長さよりも短くし、密不織布と粗不織布の一端を一致させて多孔筒に巻き付ければ、密不織布と密不織布との間に粗不織布が存在する領域が、処理流体流出側から不織布巻回厚さの4分の3の範囲内に存在し、しかも粗不織布のみを巻回した領域を、処理流体流入側から不織布巻回厚さの4分の3の範囲内に存在する筒状フィルタを形成できる。
【0035】
また、密不織布が多孔筒と接触するように巻き付ければ、多孔筒側が処理流体流出側の筒状フィルタとすることができ、密不織布以外の不織布が多孔筒と接触するように巻き付ければ、多孔筒側が処理流体流入側の筒状フィルタを形成できる。
【0036】
更に、積層した不織布を多孔筒に巻き付ける際の荷重は一定であっても、巻き始めから巻き終わりまで連続的に又は不連続的に可変であっても良いが、一定荷重であると、品質の安定した筒状フィルタを形成できる。この荷重が一定である場合、巻き始めの方がより大きな力が加わり、各不織布が変形しやすく、各不織布が粗密構造をより形成しやすいので、多孔筒側が処理流体流出側の筒状フィルタを容易に形成できる。
【0037】
以上のように、本発明の筒状フィルタは固形物の粒径分布が広くても効率良く濾過でき、しかも使用寿命の点で優れているため、食品・飲料、電子、医薬、化学、水処理、写真、塗料、メッキ、染色、機械・鉄鋼など各製造プロセスにおいて使用する、又は使用した液体などの流体の濾過に使用することができる。
【0038】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
スパンボンド法により、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径35μm、最多孔径30μm、面密度100g/m2、厚さ1mmの粗不織布を形成した。他方、メルトブロー法により、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径6μm、最多孔径25μm、面密度80g/m2、厚さ1mmの密不織布を形成した。
【0040】
次いで、粗不織布を320cm長に裁断し、密不織布を40cm長に裁断した後、粗不織布の一端と密不織布の一端とが一致するように重ね合わせ、次いで、ポリプロピレン製多孔筒(肉厚0.15cm、以下の実施例においても同じ)の周囲に、荷重一定(0.39MPa)で、密不織布が多孔筒と接触するように巻き付けて、内径2.8cm、外径6.5cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、密不織布は多孔筒側(処理流体流出側)から、0.6cm(不織布巻回厚さの約3分の1)までの範囲内に存在していた。
【0041】
(実施例2)
粗不織布として、水流絡合法により形成した、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径40μm、最多孔径32μm、面密度60g/m2、厚さ0.7mmの不織布を使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、320cm長の粗不織布と40cm長の密不織布とを、多孔筒の周囲に巻き付けて、内径2.8cm、外径6.5cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、密不織布は多孔筒側(処理流体流出側)から、0.5cm(不織布巻回厚さの10分の3)までの範囲内に存在していた。
【0042】
(実施例3)
スパンボンド法により、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径35μm、最多孔径30μm、面密度100g/m2、厚さ1mmの粗不織布を形成した。また、スパンボンド法により、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径37μm、最多孔径50μm、面密度15g/m2、厚さ0.2mmの極粗不織布を形成した。他方、メルトブロー法により、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径6μm、最多孔径25μm、面密度80g/m2、厚さ1mmの密不織布を形成した。
【0043】
次いで、粗不織布及び極粗不織布を320cm長に裁断し、密不織布を40cm長に裁断した後、極粗不織布の一端、粗不織布の一端、及び密不織布の一端とが一致するように順に重ね合わせ、次いで、ポリプロピレン製多孔筒の周囲に、荷重一定(0.39MPa)で、密不織布が多孔筒と接触するように巻き付けて、内径2.8cm、外径6.5cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、密不織布は多孔筒側(処理流体流出側)から、0.6cm(不織布巻回厚さの約3分の1)までの範囲内に存在していた。
【0044】
(実施例4)
次のような5種類の不織布を形成した。
粗不織布;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径35μm、最多孔径30μm、面密度100g/m2、厚さ1mmのスパンボンド不織布
密不織布;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径2.3μm、最多孔径10μm、面密度80g/m2、厚さ0.9mmのメルトブロー不織布
中間不織布A;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径6μm、最多孔径25μm、面密度80g/m2、厚さ1.0mmのメルトブロー不織布
中間不織布B;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径3.5μm、最多孔径18μm、面密度80g/m2、厚さ1.2mmのメルトブロー不織布
中間不織布C;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径3.1μm、最多孔径15μm、面密度80g/m2、厚さ1.3mmのメルトブロー不織布
【0045】
次いで、粗不織布を320cm長に裁断し、中間不織布A、B、C及び密不織布を40cm長に裁断した後、粗不織布上に、粗不織布の左端と密不織布の左端とが一致するように積層し、更に、密不織布の右端と中間不織布Cの左端、中間不織布Cの右端と中間不織布Bの左端、中間不織布Bの右端と中間不織布Aの左端とが一致するように、粗不織布上に積層した。
【0046】
次いで、ポリプロピレン製多孔筒の周囲に、荷重一定(0.39MPa)で、密不織布が多孔筒と接触するように巻き付けて、内径2.8cm、外径6.5cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、密不織布は多孔筒側(処理流体流出側)から、0.6cm(不織布巻回厚さの約3分の1)までの範囲内に存在していた。
【0047】
(比較例1)
次のような6種類の不織布を作製した。
不織布A;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径6μm、最多孔径25μm、面密度80g/m2、厚さ1.0mm、長さ40cmのメルトブロー不織布
不織布B;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径7.6μm、最多孔径29μm、面密度80g/m2、厚さ1.0mm、長さ40cmのメルトブロー不織布
不織布C;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径9.1μm、最多孔径36μm、面密度80g/m2、厚さ1.1mm、長さ40cmのメルトブロー不織布
不織布D;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径11.6μm、最多孔径41μm、面密度80g/m2、厚さ0.9mm、長さ40cmのメルトブロー不織布
不織布E;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径14.0μm、最多孔径46μm、面密度80g/m2、厚さ1.2mm、長さ40cmのメルトブロー不織布
不織布F;ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径37μm、最多孔径50μm、面密度15g/m2、厚さ0.2mm、長さ750cmのスパンボンド不織布
【0048】
次いで、不織布F上に、不織布Fの左端と不織布Aの左端とが一致するように積層し、更に、不織布Aの右端と不織布Bの左端、不織布Bの右端と不織布Cの左端、不織布Cの右端と不織布Dの左端、不織布Dの右端と不織布Eの左端が一致するように、不織布F上に積層した。次いで、ポリプロピレン製多孔筒の周囲に、荷重一定(0.39MPa)で、不織布Aが多孔筒と接触するように巻き付けて、内径2.8cm、外径6.5cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。
【0049】
(比較例2)
スパンボンド法により、ポリプロピレン繊維からなる、平均繊維径35μm、最多孔径30μm、面密度200g/m2、厚さ2mmの粗不織布を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、密不織布と積層し、多孔筒に巻き付けて、内径2.8cm、外径6.5cm、長さ25cmの筒状フィルタを作製した。なお、密不織布は多孔筒側(処理流体流出側)から、1.1cm(不織布巻回厚さの約3分の2)までの範囲内に存在していた。
【0050】
(比較例3)
ポリオレフィン系繊維からなる熱接着繊維を円筒状に成形した筒状フィルタ(チッソ(株)製、公称精度3μm、CP−03)を用意した。
【0051】
(比較例4)
メルトブロー法により得た、高融点成分と低融点成分とからなるポリプロピレン極細複合繊維からなり、密度勾配を有する筒状フィルタ(チッソ(株)製、公称精度3μm、BM−A S G O、特公平7−98131に記載)を用意した。
【0052】
(通水抵抗)
実施例1〜4及び比較例1〜4の筒状フィルタそれぞれに、流量25L/minで通水した時の初期圧力損失を測定し、通水抵抗とした。この結果は表1に示す通りであった。
【0053】
【表1】
Figure 0003677367
【0054】
(濾過精度)
JIS8種の塵埃を水に分散した濃度10ppmの試験液を均一に攪拌しながら、実施例1〜4及び比較例1〜4の筒状フィルタのそれぞれに、流量25L/minで通水して、通水開始1分後の濾液を採取し、この1分後の濾液及び濾過前の試験液に含まれる粒子数を、粒度分布測定機(COULTER社製、COULTER MultisizerII)により各粒径別に計測した。次いで、それぞれの粒径における捕集効率を下記の式により求め、100%の捕集効率が得られる粒径をそのカートリッジの濾過精度とした。この結果も表1に示す通りであった。
捕集効率[%] = {(A−B)/A}×100
A:濾過前の粒子数、B:濾過後の粒子数
【0055】
(使用寿命)
JIS8種の塵埃を水に分散した濃度100ppmの試験液を均一に攪拌しながら、実施例1〜4及び比較例1〜4の筒状フィルタのそれぞれに、流量25L/minで通水して、圧力損失を各通水量毎に測定し、圧力損失が0.2MPaになるまでに処理された総通水量を測定して、これを使用寿命とした。この結果も表1に示す通りであった。
【0056】
通水抵抗が同等なフィルタを比較した(実施例1〜3と比較例1〜3、実施例4と比較例4)、表1の結果から明らかなように、本発明の筒状フィルタは、濾過精度に優れ、かつ使用寿命が著しく長いことがわかる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の筒状フィルタは、少なくとも、平均繊維径D(μm)と最多孔径P(μm)との間に、D≧Pの関係が成立する、厚さ0.5〜1.5mmの粗不織布が、多孔筒の周囲に巻回されたものである。
【0058】
このように、本発明の筒状フィルタは、平均繊維径D(μm)と最多孔径P(μm)との間に、D≧Pの関係が成立する粗不織布が多孔筒に巻回されているため、この粗不織布領域に侵入した処理流体中の一部の固形物は、粗不織布の開孔部における表面及び内部で捕捉され、一部の固形物は粗不織布構成繊維と衝突して粗不織布層全体に拡散されて、粗不織布層全体で固形物を濾過できるため、目詰まりが生じにくく、使用寿命が長くなると考えられる。
【0059】
また、粗不織布の厚さが0.5〜1.5mmという嵩高であるため、この粗不織布を多孔筒の周囲に巻回する際の荷重によって、容易に嵩を減じ、粗不織布内において粗密構造を形成できるため、固形物の粒径分布範囲が広くても、段階的に濾過できると考えられる。
【0060】
更に、本発明の筒状フィルタは、少なくとも粗不織布を多孔筒の周囲に巻回すれば形成できるため、簡単に製造できるものである。

Claims (8)

  1. 少なくとも、平均繊維径D(μm)と最多孔径P(μm、孔径分布測定機を用いて孔径を測定した結果、孔径分布の最も多い孔径値)との間に、D≧Pの関係が成立する、厚さ0.5〜1.5mmの粗不織布が、多孔筒の周囲に巻回されていることを特徴とする、筒状フィルタ。
  2. 粗不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径の小さい密不織布が、多孔筒の周囲に巻回されており、密不織布と密不織布との間に粗不織布が存在する領域を有することを特徴とする、請求項1記載の筒状フィルタ。
  3. 密不織布と密不織布との間に粗不織布が存在する領域が、処理流体流出側から不織布巻回厚さの4分の3の範囲内にあることを特徴とする、請求項2記載の筒状フィルタ。
  4. 粗不織布のみの領域が、処理流体流入側から不織布巻回厚さの4分の3の範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の筒状フィルタ。
  5. 密不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径が大きく、かつ粗不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径の小さい中間不織布が1つ以上、多孔筒の周囲に巻回されていることを特徴とする、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の筒状フィルタ。
  6. 粗不織布よりも平均繊維径及び/又は最多孔径の大きい極粗不織布が多孔筒の周囲に巻回されていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の筒状フィルタ。
  7. メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、水流絡合不織布の中から選ばれる粗不織布からなることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の筒状フィルタ。
  8. 粗不織布の平均繊維径が30〜50μmであることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の筒状フィルタ。
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