JP4916030B2 - 面材と桟材との接着方法及びその接着装置 - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1には、枠体に構成された桟材(芯材)の表裏に面材(表面材)を接着する方法として、2種類の高周波電流(高周波加熱ともいう)を用いた接着方法が開示されている。
ひとつは平板状の上部電極と、同じく平板状の下部電極とで桟材と面材とからなる被加工材を上下方向から挟み込んで高周波電流を流し、接着層を加熱硬化する方法である。これによれば、被加工材の厚み方向に高周波電流が流れ、全体を均一に加熱することができる。よってこの接着方法は、同じ形状の板材を複数枚重ね、重ねられた板材の間の接着層を加熱硬化するのに適した接着方法といえる。
もうひとつは陽極と陰極とを交互に配列した棒状の電極を面材の表面に当接するよう配列し、該電極間に高周波電流を流して面材と桟材との間の接着層を加熱硬化する方法である。これによれば、電極間に高周波電流を流すと、木材より誘導体損失係数が大きい接着層が電磁波を受け、接着層が選択的に自己発熱する(下記特許文献1・図3参照)。よって、効率よく接着層に高周波電流が流れ、該接着層を加熱硬化することができるとされている。
しかしながら、桟材が枠体になっていない場合は、面材の端縁部に沿って、棒状の桟材を精度よく接着することは難しく、上述の方法では面材に対する桟材の位置決めは不確実なものなってしまうため採用できない。特に床暖房パネルに用いる片面フラッシュのパネルを作製する場合は、桟材の内側に所定寸法の断熱材、面状ヒータを格納するため、桟材の内側寸法を精度よく接着する必要があった。また桟材の表裏に面材を備えたフラッシュパネルを作製する場合には、高周波誘導加熱によって面材と桟材とを接着したのち、桟材の側面に別途、側面用の同一素材の板材を貼り付けなければならず、この場合は角部をきれいに仕上げるのが難しいという問題があった。
そして面材の両端縁部に沿って配された桟材の上面にのみ接着層を備えたものを接着する場合、上述のふたつの方法では、高周波電流を流す必要のない場所にも電流を流すことになるので効率が悪く、高周波電流を流した後に、面材と桟材とをプレスする工程が長いこと、高周波電源容量が大きいなどの問題が指摘されている。
前記電極体は、所定位置に固定配置される固定電極体と、前記桟材を前記固定電極体との間に挟んで配置される可動電極体とで構成され、
前記接着層を上面に備えた前記桟材の一側面を前記固定電極体に当接するよう配置して位置決めをし、前記接着層を介して前記桟材の上に前記面材を載置し、前記可動電極体を上記桟材の他側面側に配置した後、この状態で前記電極体間に高周波電流を流し、前記接着層を加熱硬化して、前記面材に対し前記桟材を接着固定することを特徴とする。
そしてこれを実現する接着装置としては、対向して配置された電極体間に高周波電流を流して、面材と桟材との間の接着層を加熱硬化し、前記面材に対して前記桟材を接着固定する接着装置であって、前記電極体は、所定位置に固定配置される固定電極体と、前記桟材を前記固定電極体との間に挟んで配置される可動電極体とで構成され、前記面材と前記桟材との重なり方向の両側に配設され、前記面材と前記桟材とを前記接着層を介して挟圧するプレス台を備えたものとすることができる。
図1(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る面材と桟材との接着方法の一例を説明するための説明図、図2は同実施形態における接着方法で接着される面材と桟材とを示す分解斜視図である。
本実施形態の接着方法によって得られるパネル10Aは、面材1と、面材1の長手方向の端縁部1aと桟材2の外側面2aが面一になるよう接着された桟材2とからなり、桟材2の内側に形成される空間部11(図1(d)参照)に断熱材、面状ヒータを格納し、床暖房用のパネル10Aとして好適に用いられるものである。
面材1は、パネル10Aとなったときに所定寸法となるよう長方形状にカッティングされ、厚さが2mm〜4mmの薄状平板からなり、合板、LVL、パーティクルボード(PB)などの木質系基材が用いられる。その表面には、樹脂化粧シート(不図示)が貼り付けられており、樹脂化粧シートとしては、塩化ビニルシート、ポリプロピレン樹脂シートなどを用いることができ、その表面に、木目模様などの印刷が施されたものを用いることができる。
桟材2は、面材1の長さ寸法に合わせて縦長の直方体にカッティングされ、1枚のパネル10Aに対して、面材1の端縁部1aに沿ってその両側に1本ずつ設けられる。桟材2としては、合板、LVL、パーティクルボード(PB)などの木質系基材が用いられる。
面材1の裏面側には、厚さが120〜200μmのアルミシート6が、面材1と桟材2との接着部位と重ならないよう直接貼り付けられている。これにより、空間部11に格納される面状ヒータから発する熱の伝わりを促進させることができる。
面材1と桟材2とを重なり方向にプレスするための上面プレス台50と下面プレス台51とを備えたプレス台5と、下面プレス台51の所定位置に固定配置された固定電極体40と、桟材2の外側面2a側に可動配置された可動電極体41とを備えた一対の電極体4とを備えた接着装置7を用意する。
下面プレス台51は面材1の幅寸法を考慮して両端位置に計2台配置される。すなわち、桟材2の上に面材1を載置した際に面材1の両端縁部1aの下方に下面プレス台51の外側面がくるように下面プレス台51が配置される。下面プレス台51の上面には、面材1の端縁部1aに沿って桟材2が接着されるよう桟材2の幅寸法を考慮して固定電極体40が固定配置される(図1(a)参照)。この固定電極体40の固定位置によって桟材2の接着位置の位置決めがなされることになる。ここでは固定電極体40が陰極、可動電極体41が陽極の極性を持ったものが用いられ、図中42は供給電源を示している。また40aは固定電極体40の当接面を示しており、桟材2の内側面2bと当接する。41aは可動電極体41の当接面を示しており、面材1の端縁部1a、桟材2の外側面2aと当接する。
接着剤としては、酢酸ビニール、塩化ビニールなどの熱可塑性接着剤或いは、フェノール、レゾルシノール、ユリヤ、メラミンなどの熱硬化性接着剤などが用いられる。
そして可動電極体41の当接面41aを桟材2の外側面2a側に配置した後、上面プレス台50と下面プレス台51とによって面材1と桟材2とを重ね合わせた状態で白抜矢示方向に加圧する(図1(d)参照)。この状態で、固定電極体40、可動電極体41間に高周波電流を流す。すると、電流は陽極の可動電極体41から陰極の固定電極体40へと流れる(図1(d)矢印方向)。これにより、接着層3は高周波加熱され、接着層3が加熱硬化し、面材1に対して桟材2が接着固定されパネル10Aを得る。
発明者が実験したところによれば、1×6尺のパネル10Aの場合、従来のように棒状の電極を面材の表面に複数配列させて高周波加熱をしたときには、パネル10Aを30秒間にわたって高周波加熱する必要があり、このときの消費電力は30kwであった。これに対し、上述の接着方法によれば、高周波加熱時間は5秒間でよく、消費電力は8kwであった。
更に精度よく桟材2を面材1に接着できるので、桟材2の内側に形成される空間部11に断熱材、面状ヒータなどを精度よく格納することができる。
そして、高周波誘導加熱を利用して面材1と桟材2とを接着する方法なので、均一に接着層3を加熱することができ、接着ムラが生じることがない。またプレス台5によって面材1と桟材2とを挟圧した状態で接着することにより、より一層強固な接着を実現することができる。
また上記実施形態では、面材1の裏面側にアルミシート6が貼り付けられた例について説明したが、これを備えていないものにも適用できることは言うまでもなく、またアルミシート6ではなく、調湿性シートなどが貼り付けられたものとしてもよい。
更に配置される電極体4は固定電極体40を陽極、可動電極体41を陰極としても、同様の効果を得ることができる。
図3(a)〜(d)は、本発明の第2の実施形態に係る面材と桟材との接着方法の一例を説明するための説明図、図4(a)(b)は同実施形態におけるパネルの作製要領を説明するための説明図、図5は同実施形態における接着方法で接着される面材と桟材とを示す分解斜視図、図6は同実施形態におけるパネルの作製要領の変形例を説明するための説明図である。第1の実施形態と共通する部分は共通の符号を付し、共通する説明は割愛する。
本実施形態の接着方法によって得られるパネル10Bは、面材1A、1Bと、短手桟材20及び長手桟材21とを組み合わせて枠体に構成された桟材2とからなり、桟材2の表裏全面に面材1A、1Bが配置されたフラッシュパネルを構成している。後記するようにパネル10Bの角部12(図4(b)参照)を美しく処理できるので、扉材、棚、各種家具の天板などとして好適に用いられるものである。
面材1Aは桟材2の上面に配置され、面材1Bは桟材2の下面に配置される。
面材1Aは面材1Bより、幅方向に両長手桟材21の外側面21aの幅寸法分だけ大きくカッティングされており、面材1Aの両端縁部1aから外側面21aの幅寸法分だけ内側に、且つ桟材2が配置される面に、断面V字型の溝部1cが長手方向に沿って形成されている。
面材1Bは、桟材2の外周と同寸法に形成されている。
桟材2は、後記する面材1Aに接着された両長手桟材21の間に納まるよう形成された短手桟材20と、面材1A、1Bの長手方向の寸法に合わせて形成された長手桟材21とからなり、これらを組み合わせて内側が空間部11となる枠体を形成している(図5参照)。桟材2としては、合板、LVL、パーティクルボード(PB)などの木質系基材が用いられる。
面材1A、1Bと桟材2とを重なり方向に上下両側からプレスするための上面プレス台50と下面プレス台51とを備えたプレス台5と、下面プレス台51の所定位置に固定配置された陽極の固定電極体40と、長手桟材21の内側面21b側に可動配置された陰極の可動電極体41とを備えた一対の電極体4とを備えた接着装置7を用意する。図中43は固定電極体40を支持固定するとともに、面材1Aの端縁部1aに当接するよう配置される押子である。押子43の内側面には、面材1Aの溝部1cの内側部1dと長手桟材21の外側面21aとが一致するように固定電極体40が設けられている。よって長手桟材21の接着位置の位置決めは、押子43と固定電極体40とによってなされる。
40aは固定電極体40の当接面を示しており、長手桟材21の外側面21aと当接する。41aは可動電極体41の当接面を示しており、長手桟材21の内側面21bと当接する。
尚、図例のものは押子43と固定電極体40とが一体になったものを示しているが、一体でなくてもよく、例えば固定電極体40は第1の実施形態のように下面プレス台51の上面に固定配置されたものとしてもよい。
そして可動電極体41の当接面41aを長手桟材21の内側面21b側に配置した後、上面プレス台50と下面プレス台51とによって面材1Aと長手桟材21とを重ね合わせた状態で白抜矢示方向に加圧する(図3(d)参照)。この状態で、固定電極体40、可動電極体41間に高周波電流を流す。すると、電流は陽極の固定電極体40から陰極の可動電極体41へと流れる(図3(d)矢印方向)。これにより、接着層3は高周波加熱され、接着層3が加熱硬化し、面材1に対して長手桟材21が接着固定される。
また該接着方法によれば、対向して配置される電極体4の一方、すなわち固定電極体40は桟材2の位置決め、押子43は面材1Aの位置決めをするために固定配置されているので、長手桟材21が面材1Aに対して精度よく配置された状態で、接着することができる。よって難しいとされていた面材1Aと長手桟材21の位置決めが容易にでき、精度よく長手桟材21を面材1Aに接着させることができる。また高周波電流が図3(d)に示すように接着層3の厚み方向ではなく、層方向に沿って流れるので高周波電流が効率よく作用して短時間、省電力で強固な接着を行うことができる。
更に、高周波誘導加熱を利用して面材1Aと長手桟材21とを接着する方法なので、均一に接着層3を加熱することができるので、接着ムラが生じることがない。またプレス台5によって面材1と桟材2とを挟圧した状態で接着することにより、より一層強固な接着を実現することができる。
面材1Aと長手桟材21とを接着した後、接着装置7から外し、長手桟材21と長手桟材21との間に短手桟材20を接着する(図4(a)参照)。接着剤は面材1Aと長手桟材21とを接着した接着剤と同じものを用いることができる。
面材1Aの端部1bを溝部1cで折曲し、面材1Aの端部1bを長手桟材21の外側面21aに接着する。そして長手桟材21の下面21d及び短手桟材20の下面20aに接着剤を塗布して、面材1Bを接着する。これによってパネル10Bを得ることができる。
尚、ここで用いられる接着剤も上述と同じものを用いることができる。また図中、12Aは面材1A側の上方角部、12Bは面材1B側の下方角部を示している。
また図4(b)、図5に示すように、面材1A、1Bの端縁部1aをテーパー状にカッティングすれば、下方角部12B、すなわち面材1Aと面材1Bの突合せ部分の仕上げがよいものとすることができる。
配置される電極体4は固定電極体40を陰極、可動電極体41を陽極としても、同様の効果を得ることができる。
尚、ここでも共通する部分には共通の符号を付し、共通する部分の説明は省略する。よって面材1Aと長手桟材21との接着方法は、上述の例と同じであるのでここでの説明を省略する。
パネル10Bは、枠体に構成された桟材2の表裏全面に面材1A、1Bが配置されたフラッシュパネルを構成しており、面材1Aは桟材2を挟んでその上面に配置され、面材1Bは桟材2を挟んで下面に配置される。
面材1Aと面材1Bとは、パネル10Bとなったときに所定寸法となるよう同形状、同寸法にカッティングされ、幅方向に両長手桟材21の外側面21aの半分幅寸法分だけ大きくカッティングされている。面材1A、1Bの両端縁部1aから外側面21aの半分幅寸法分だけ内側に且つ桟材2が配置される面に、断面V字型の溝部1cが長手方向に沿って形成されている。
桟材2は、面材1Aに接着された長手桟材21と長手桟材21との間に納まるよう形成された短手桟材20と、面材1A、1Bの長手方向の寸法に合わせて形成された長手桟材21とからなる。
このように当該変形例は、桟材2の上面に接着される面材1Aと下面に接着される面材1Bとを同じ構成、形状のものと用いることができるという利点が ある。
尚、ここで用いられる接着剤も上述と同じものを用いることができる。
1a 端縁部
2 桟材
3 接着層
4 電極体
40 固定電極体
41 可動電極体
5 プレス台
50 上面プレス台
51 下面プレス台
7 接着装置
10A、10B パネル
Claims (4)
- 対向して配置された電極体間に高周波電流を流して、面材と桟材との間の接着層を加熱硬化し、前記面材に対して前記桟材を接着固定する面材と桟材との接着方法であって、
前記電極体は、所定位置に固定配置される固定電極体と、前記桟材を前記固定電極体との間に挟んで配置される可動電極体とで構成され、
前記接着層を上面に備えた前記桟材の一側面を前記固定電極体に当接するよう配置して位置決めをし、前記接着層を介して前記桟材の上に前記面材を載置し、前記可動電極体を上記桟材の他側面側に配置した後、この状態で前記電極体間に高周波電流を流し、前記接着層を加熱硬化して、前記面材に対し前記桟材を接着固定することを特徴とする面材と桟材との接着方法。 - 請求項1において、
前記面材と前記桟材との重なり方向の両側にプレス台を配設し、両プレス台にて前記面材と前記桟材とを前記接着層を介して挟圧することを特徴とする面材と桟材との接着方法。 - 請求項1又は請求項2において、
前記面材の端縁部の内側には、断面V字型の溝部が形成されており、前記電極体間に高周波電流を流し、前記接着層を加熱硬化して、前記面材に対し前記桟材を接着固定した後、前記面材の端部を前記溝部で折曲し、該面材の端部を前記桟材の外側面に接着することを特徴とする面材と桟材との接着方法。 - 対向して配置された電極体間に高周波電流を流して、面材と桟材との間の接着層を加熱硬化し、前記面材に対して前記桟材を接着する接着装置であって、
前記電極体は、所定位置に固定配置される固定電極体と、前記桟材を前記固定電極体との間に挟んで配置される可動電極体とで構成され、
前記面材と前記桟材との重なり方向の両側に配設され、前記面材と前記桟材とを前記接着層を介して挟圧するプレス台を備えていることを特徴とする面材と桟材とを接着する接着装置。
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