JPH0355685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は住宅などに使用される木製階段の踏
板の構成に関する。

［従来の技術］ 従来の木製階段の踏板には厚さが20〜35mm程度
の厚い挽板を使用していたが、木材の枯渇により
良質の挽板は容易に入手しずらくなり価格も大幅
に高騰した為、比較的安価で継続的に入手出来る
合板やLVLなどの単板積層材を基板とし、その
表面に薄い化粧単板を貼着した化粧板が階段の踏
板として使用される様になつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 所で、従来の合板やLVLなどの単板積層材を
基板とし、その上面に化粧単板を貼着した踏板は
製造工程の短縮と価格の低減を目的として、あら
かじめ化粧単板と合板用の単板を重ねて仕組んで
おき、一度の接着作業で必要厚さに接着後、化粧
単板の繊維方向が踏板の長手方向となる様に切断
する方法により造られていた。

所が、厚さ20mm以上にもなる単板積層材を一度
の接着工程で製造しようとすると少なくとも厚さ
が２mm程度で割れや欠損のない良質の単板を10枚
以上は選別して用意する必要がある。また、単板
を接着する装置であるホツトプレスも、厚い単板
積層材を熱圧出来る熱板間隔の広い特別な構造の
プレスを必要とし、さらには一枚の積層材を熱圧
する時間もかなり長くなり生産性は思つたよりも
低く、積層材には熱圧接着による反りが発生し易
く、一度発生した反りは積層材が厚いため容易に
矯正できず踏板としては使用できなかつた。そし
て、単板にはそれぞれ多少の厚さムラがあるため
多数枚の単板を積層接着した合板やLVLはかな
りの厚さのムラを有しており、踏板として使用す
ることは表裏面を切削して厚さの規制を行なう必
要があるが、表裏面の単板を切削して薄くすると
積層材の曲げ強度が低下する。さらには、化粧単
板と積層材の表単板の繊維方向が同一方向に貼着
されているため、積層材の表単板の伸縮によつて
化粧単板に割れが生じ易いなどの問題点があつ
た。

［問題点を解決するための手段］ そこで、この考案では上記の問題点を多量に生
産されている安価な汎用合板を必要な厚さにまで
積層接着すると共に積層合板の表単板と化粧単板
の繊維方向を限定することにより解決したもの
で、すなわち、奇数枚の表裏用および芯板用単板
と表裏単板よりは厚さの厚い偶数枚の添え芯板用
単板を一枚づつその繊維方向が互いに直交するよ
うに接着した数枚の合板の表単板の繊維方向を同
一方向に揃えて張り合わされた積層合板の表単板
の繊維方向が短手方向で、その積層合板の表単板
上に貼着された化粧単板の繊維方向が長手方向で
ある矩形の合板製階段踏板に係る。

以下、図面を参照しながらこの考案を説明す
る。第１図はこの考案の実施例を示す一部を切り
欠いた斜視面図で、第２図はそのＡ−A′部分拡
大断面図を示している。

この考案で用いる合板１は奇数枚の表裏用およ
び芯板用単板と表裏単板よりは厚さの厚い偶数枚
の添え芯板用単板を一枚づつその繊維方向が互い
に直交するように接着した常用の合板で、通常は
コンクリート型枠用として多量に生産されている
厚さ11〜12mm程度の５プライ合板が最も好まし
い。

上記の合板１は２〜４枚程度、各合板１，１′，
１″……の表単板２，２′，２″……の繊維方向が
同一方向となるように接着して積層合板４とす
る。この場合、各合板１，１′，１″……の裏単板
３，３′，３″……の繊維方向も表単板２，２′，
２″……の繊維方向と同一になることは言うまで
もない。

接着方法としては各合板１，１′，１″……間に
常用の硬化型接着剤であるユリア樹脂、フエノー
ル樹脂、エポキシ樹脂などの接着剤を塗布して圧
締接着する。なお、常温硬化型接着剤を用いて常
温中で接着することが積層合板４に反りや狂いを
発生させないで好ましい。

積層合板４の厚さが設定以上の厚さとなる場合
は積層合板４の表裏単板２，３面を研削するか、
あらかじめ各合板の表裏単板２，２′，２″……、
３，３′，３″……面を研削して厚さを調整してお
く。

積層合板の厚さを調整するのに積層接着される
各合板の表裏単板面又は積層合板の表裏単板面を
研削しても、踏板の基板としての積層合板の表裏
単板面の繊維方向が矩形の踏板の短手方向と同一
方向になる様に形成されるため、表裏単板面を多
少切削して厚みを薄くしても踏板の曲げ強度には
ほとんど影響することなく厚み調整が出来る。

そして、積層合板４とした後は表単板２の繊維
方向が踏板の短手方向となるように所定の幅と長
さに切断して矩形の踏板基板とする。

ついで、その矩形の踏板基板の表単板２上面に
は繊維方向が長手方向、言換えると表単板２の繊
維方向と交差する方向に化粧単板５が貼着されて
矩形の踏板となる。

なお、踏板の木口側面や裏面には通常化粧や合
成樹脂シートなどの化粧材６が貼着される。

以下、実施例を記す。

［実施例］ 設定厚さが1.5mm単板３枚と3.5mm単板２枚から
構成された厚さ11.0mm、長さ180mm、巾90mmの５
プライ合板３枚の表裏面を研削して厚さ10.8mmの
合板に厚み規制してのち、各３枚の合板の表単板
の繊維方向を同一方向に揃え、表面にユリア樹脂
接着剤を200ｇ／m²塗布し、室温−５Kg／cm²−１
時間の条件で接着して厚さ32.4mmの積層合板を得
た。ついでその積層合板を表単板の繊維方向が短
手方向になるように長さ900mm、幅240mmに切断し
て矩形の踏板基板とした。つぎに、その基板表面
に接着剤を介して繊維方向を踏板基板の長手方向
と同一方向にして厚さ１mmの化粧単板と裏面に厚
さ0.3mmの化粧単板を貼着し、切断木口３面に厚
さ１mmの化粧単板を貼着して求める階段用踏板を
得た。

［考案の効果］ この考案の踏板は上記のように、最も多量かつ
安価に供給されている合板を複数枚貼り合せ、か
つその繊維方向を規制して構成されているため、
以下の様な効果を有している。

ａ○ この考案の踏板は合板を貼り合せた構成のた
め、欠点を持つた合板はあらかじめ容易に選別
可能であることから、従来の様に単板を一度の
工程で積層して厚い積層合板を製造してしまつ
てから欠点の存在を発見し、製品の歩留りを低
下させることはない。

ｂ○ 矩形の踏板基板となる積層合板の表裏面単板
の繊維方向は短手方向に平行となる様に構成さ
れているため、厚み規制を行なうことを目的に
各合板の表裏単板面又は積層合板の表裏単板面
を研削しても、踏板としての曲げ強度に大きく
影響せず、従来の単板積層踏板の様に厚み規制
による強度低下を心配する必要がない。

ｃ○ この考案の矩形の踏板は化粧単板の繊維方向
が長手方向、言換えると積層合板表面単板の繊
維方向と交差する方向に貼着されている為、化
粧単板の日割れが防止出来る。

ｄ○ この考案の踏板は大量かつ安価に供給されて
いる常用の合板を用いて作成されるため、特別
の単板構成や接着設備を用いて製造される従来
の単板積層踏板に比べて非常に安定かつ安価に
供給可能である。

ｅ○ 通常の合板を常温硬化型の接着剤で張り合せ
た場合は、熱の影響による積層材の反りの発生
もなく、製品の歩留りは大幅に向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例になる踏板の一部を
切り欠いた斜視図を示し、第２図はそのＡ−
A′部分拡大断面図を示している。 １……合板、２……表単板、３……裏面単板、
４……積層合板、５……化粧単板、６……化粧
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 奇数枚の表裏用および芯板用単板と表裏単板よ
   りは厚さの厚い偶数枚の添え芯板用単板を一枚づ
   つその繊維方向が互いに直交するように接着した
   数枚の合板１，１′，１″……の表単板２，２′，
   ２″……の繊維方向を同一方向に揃えて張り合わ
   された積層合板４の表単板２の繊維方向が短手方
   向で、その積層合板４の表単板２上に貼着された
   化粧単板５の繊維方向が長手方向であることを特
   徴とする矩形の合板製階段踏板。