JP4911925B2 - 抗シロアリ剤 - Google Patents

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Description

本発明は、イミダゾール化合物を含有し、安全性及び防除性の高い抗シロアリ剤(シロアリ防除剤)に関する。
シロアリは、木造建築物などの木造物や地下埋設されたケーブル類などを食害して、これらを破壊する。このようなシロアリの防除剤としては、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、ピレスロイド系化合物が使用されてきたが、安全性及び防除性のいずれをも充足するのは困難であった。
また、ピラゾール化合物、トリアジン化合物にもシロアリに対する防除効果や食毒効果があることが知られている。例えば、特表2001−504823号公報(特許文献1)には、殺虫有効量の化合物を建物の周囲又は下の不連続な位置に散布する建物の保護方法が開示されており、有効成分が、シロアリが巣に持ち帰った場合に巣にいるシロアリを殺すことができる殺虫剤(1−アリールピラゾール型殺虫剤)であることが開示されている。また、特開2003−81716号公報(特許文献2)には、特定のトリアジン化合物を有効成分として含有するシロアリ用食毒剤が開示されている。しかし、このようなシロアリ防除剤又は食毒剤でも、シロアリの防除効果が未だ不十分である。
特表2001−504823号公報(請求項1、5及び6) 特開2003−81716号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、シロアリ防除効果に優れるとともに、安全性の高い抗シロアリ剤を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定のイミダゾール化合物が、安全性も高く優れたシロアリ防除効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の抗シロアリ剤は、イミダゾール化合物、例えば、下記式(1)で表されるイミダゾール化合物を含有する。
Figure 0004911925
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
本発明には、以下の抗シロアリ剤も含まれる。
(i)前記式(1)において、炭化水素基が、炭素数1〜16の炭化水素基である前記抗シロアリ剤。
(ii)前記式(1)において、炭化水素基が、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である前記抗シロアリ剤。
(iii)前記式(1)において、R2がアルキル基であり、R1、R3及びR4が水素原子である前記抗シロアリ剤。
(iv)前記式(1)において、R2がアリール基であり、R3がアルキル基であり、R1及びR4が水素原子である前記抗シロアリ剤。
(v)木部又は土壌を処理するために用いられる前記抗シロアリ剤。
(vi)ベイト剤として用いられる前記抗シロアリ剤。
また、本発明には、前記抗シロアリ剤を、シロアリによる加害が可能な被処理域又は被処理体に適用してシロアリを防除又は予防する方法も含まれる。さらに本発明には、以下のシロアリの防除又は予防方法も含まれる。
(i)前記抗シロアリ剤を、土壌及び木材から選択された被処理体に適用する前記防除又は予防方法。
(ii)前記抗シロアリ剤を、シロアリに対して接触又は摂食させる前記防除又は予防方法。
なお、本明細書中、シロアリの「防除又は予防」とは、シロアリの駆除の他、シロアリを駆除又は弱体化させたり、忌避効果などにより、シロアリの繁殖、発生、定着などを予防(又は防止)することを意味する。
本発明では、特定のイミダゾール化合物で抗シロアリ剤を構成するので、シロアリ防除効果に優れ、安全性の高い抗シロアリ剤を提供できる。このような抗シロアリ剤を用いると、特に、シロアリに対して接触及び/又は摂食させることにより、高いシロアリ防除効果が得られる。また、処理された被処理体の摂食が阻害されることにより、被処理体の被害を予防することができる。
[抗シロアリ剤]
本発明の抗シロアリ剤は、イミダゾール化合物、例えば、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
Figure 0004911925
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
式(1)において、前記炭化水素基(すなわち、置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基)としては、炭素数が、例えば、1〜16、好ましくは1〜14、さらに好ましくは1〜10程度の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、飽和又は不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。
前記炭化水素基の具体例としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール(aryl)基、アラルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基のうち、アルキル基、アルケニル基又はアリール基などである場合が多い。
前記アルキル基としては、直鎖状及び分岐状アルキル基のいずれであってもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(例えば、C1-10アルキル基など)などが例示できる。これらのアルキル基のうち、C1-6アルキル基、特にC1-4アルキル基が好ましい。
前記アルケニル基としては、直鎖状及び分岐状アルケニル基のいずれであってもよく、例えば、ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニル、ブテニル、ブタジエニル、メタリル、ブテニル、ヘキセニル、オクテニル(例えば、C2-10アルケニル基など)などが例示できる。これらのアルケニル基のうち、C2-6アルケニル基(特に、ビニル基及びアリル基)が好ましい。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロノニル(例えば、C3-9シクロアルキル基など)が挙げられる。これらのシクロアルキル基のうち、C3-8シクロアルキル基、特にC3-6シクロアルキル基などが好ましい。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、アズレニル基などのC6-14アリール基の他;トリル基、キシリル基などのC1-4アルキル−C6-14アリール基;ビフェニリル基などのC6-10アリール−C6-14アリール基;ベンジルフェニル基などの(C6-10アリール−C1-4アルキル)C6-14アリール基などが挙げられる。これらのアリール基のうち、C6-12アリール基、C1-3アルキル−C6-12アリール基、特にC6-10アリール基(フェニル基など)などが好ましい。
前記アラルキル基としては、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチルなどの炭素数7〜16程度のアラルキル基が例示できる。これらのアラルキル基のうち、C6-10アリール−C1-4アルキル基(例えば、C6-10アリール−C1-2アルキル基など)、特にベンジル基が好ましい。
前記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、C1-6アルコキシ基[例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ(好ましくはC1-3アルコキシ基)など]、C2-6アシルオキシ基[アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ(好ましくはC2-4アシルオキシ基)など]、アミノ基、C1-3アルキルアミノ基[例えば、C1-3アルキル基として、メチル、エチル、プロピル基などを有するN−モノC1-3アルキルアミノ基及びN,N−ジC1-3アルキルアミノ基など]、ニトロ基、カルボキシル基、C1-4アルコキシ−カルボニルオキシ基(メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基など)、ハロゲン原子(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素原子など)などが挙げられる。これらの置換基のうち、ヒドロキシル基、前記アルコキシ基、ハロゲン原子などが好ましい。
炭化水素基は、これらの置換基を1つ又は複数有していてもよい。置換基の個数は、例えば、1つの炭化水素基に対して、例えば、1〜3個、好ましくは1又は2個である。前記炭化水素基が複数の置換基を有する場合、置換基の種類は、同種又は異種のいずれであってもよい。
置換基を有していてもよい炭化水素基のうち、アルキル基(C1-4アルキル基など)、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシエチル基などのヒドロキシC1-4アルキル基など)、アルケニル基(C2-5アルケニル基など)、アリール基(C6-10アリール基など)、アラルキル基(C6-10アリール−C1-2アルキル基など)などが好ましい。
前記式(1)において、R1で表される基としては、例えば、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基などが好ましい。また、R2で表される基としては、例えば、水素原子、アミノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリール基などが好ましい。R3で表される基としては、例えば、ニトロ基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基などが好ましい。R4で表される基としては、例えば、C1-4アルキル基又は水素原子(特に、水素原子)が挙げられる。
好ましいイミダゾール化合物は、特にR1〜R3の少なくともいずれか(すなわち、イミダゾール環の1位、2位及び4位の位置)が、置換基を有していてもよい炭化水素基(置換又は未置換炭化水素基)を有している。また、このような化合物では、R4(5位)は水素原子であってもよい。なお、イミダゾール化合物は、R1〜R3のうち、2つ(例えば、R1及びR3(1,4−位)、R1及びR2(1,2−位)、R2及びR3(2,4−位))が置換又は未置換炭化水素基であってもよい。
好ましいR1〜R4の組み合わせとしては、以下の組み合わせ(i)〜(iii)などが挙げられる。
(i)R1(1位):置換又は未置換炭化水素基(例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基),R2(2位):水素原子又はアルキル基,R3(4位)及びR4(5位):水素原子
(ii)R1(1位):水素原子,R2(2位):置換又は未置換炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基),R3(4位):水素原子又はアルキル基,R4(5位):水素原子
(iii)R1(1位):水素原子,R2(2位):水素原子,R3(4位):置換又は未置換炭化水素基(例えば、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アラルキル基),R4(5位):水素原子
これらのうち、上記(ii)の組み合わせ、特に、前記式(1)において、R2がアルキル基であり、R1、R3及びR4が水素原子であるイミダゾール化合物(2−メチルイミダゾールなどの2−C1-4アルキルイミダゾールなど)、R2がアリール基であり、R3がアルキル基であり、R1及びR4が水素原子であるイミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどの2−C6-10アリール−4−C1-4アルキル−イミダゾールなど)などが好ましい。
なお、前記式(1)で表されるイミダゾール化合物としては、公知の化合物(例えば、市販品など)を使用してもよく、又は慣用の方法に従って合成した化合物を用いてもよい。例えば、イミダゾール以外のイミダゾール化合物(置換イミダゾール化合物など)などでは、例えば、イミダゾールに、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、又は置換基を有していてもよい炭化水素基などを、慣用の官能基の導入方法に従って、導入することにより製造してもよい。
本発明の抗シロアリ剤は、前記イミダゾール化合物を有効成分として含有する限り、特に制限されず、前記イミダゾール化合物単独で構成してもよく、前記イミダゾール化合物による特性を損なわない範囲で、イミダゾール化合物と他の成分とで構成された組成物であってもよい。他の成分としては、他の有効成分(他のシロアリ防除成分、抗菌成分(防腐防カビ剤)など)、担体(又は基剤)、添加剤などが使用できる。
抗シロアリ剤中におけるイミダゾール化合物の含有量は、用途や剤形に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜90重量%、さらに好ましくは1〜50重量%(特に2〜30重量%)程度である。なお、液状抗シロアリ剤(液剤)では、イミダゾール化合物の割合は、例えば、0.001〜90重量%程度の範囲から選択でき、好ましくは0.001〜30重量%、さらに好ましくは0.005〜0.01〜20重量%(特に0.05〜10重量%)程度であってもよい。
前記他のシロアリ防除成分は、合成物であっても、天然物であってもよく、慣用のシロアリ防除成分、例えば、有機リン系化合物(ホキシム、クロルピリホス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオン、イソフェンホスなど)、カーバメート系化合物(バッサ、プロポキサーなど)、ピレスロイド系化合物(シフルトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、フェンパレレート、エトフェンプロックス、ビフェントリン、シフェノトリン、シラフルオフェン、ピレトリン、プラレトリンなど)、ネオニコチノイド系化合物(ニテンピラム、アセタミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムなど)、フェニルピラゾール系化合物(フィプロニールなど)、ピロール系化合物(クロルフェナピルなど)、ネライストキシン系化合物(ベンスルタップなど)、アミジノヒドラゾン系化合物(ヒドラメチルノンなど)、セミカルバゾン系化合物、高級アルコール類(トリデカノール、ヘキサデカノールなど)、オルトホウ酸などのホウ酸、キチン合成阻害剤(ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロンなど)、幼若ホルモン様化合物(メトプレン、ハイドロプレンなど)、脂肪酸(デカン酸、オクタン酸など)、ヒバ油、ヒバ中性油などが例示できる。これら他のシロアリ防除成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
他のシロアリ防除成分の割合は、前記イミダゾール化合物100重量部に対して、0〜100重量部程度の割合から選択でき、例えば、0.1〜80重量部、好ましくは1〜50重量部程度である。
前記抗菌成分としては、例えば、有機ヨード系化合物(3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネート、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(IPBC)、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマールなど)、ベンズイミダゾールおよびベンゾチアゾール系化合物[2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾールなど]、トリアゾール系化合物[1−(2−(2′,4′−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール、1−(2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール(一般名:プロピコナゾール)、α−(2−(4−クロロフェニル)エチル)−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(一般名:テブコナゾール)など]、天然物[4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)、ホウ砂など]、抗菌性金属[銀化合物(例えば、金属銀;AgCl,AgF,AgF2などのハロゲン化銀;Ag2O,AgOなどの酸化物;Ag2Sなどの硫化物;Ag2SO4,Ag2CrO4,Ag3PO4,Ag2CO3,Ag2SiO3などの酸素酸塩など)、銅化合物、亜鉛化合物など]などが挙げられる。これらの抗菌成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの抗菌成分の割合は、イミダゾール化合物100重量部に対して、0〜2000重量部程度の割合から選択でき、例えば、50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量部程度である。
担体(又は基剤)としては、抗シロアリ剤の剤形(後述する剤形)に応じて、適宜選択でき、水性及び油性のいずれであってもよい各種担体、例えば、液状担体[シリコーンオイル、動物性油脂、植物性油脂(例えば、なたね油など)などの油性担体;水性溶媒、有機溶媒など]、ゲル担体(アルギン酸類、セルロース又はその誘導体、ポリエチレングリコールなど)、固形又は半固形担体[粉粒状担体{農薬、園芸用製剤などに繁用される各種担体、例えば、粘土鉱物(ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)など)、合成ゼオライト、炭(木炭、竹炭など)、タルク類(滑石粉、ロウ石粉など)、クレイ類(微粉末クレイなど)、軽石類(流紋岩系天然ガラス、パーライト(ネオライト興産(株)製)など)、鉱物性粉粒物(ケイ砂、バーミキュライト、雲母、炭酸カルシウムなど)、金属酸化物(酸化チタンなど)、硫黄粉末、尿素粉末、植物性粉粒物(ピートモス、木粉、澱粉など)の他;デンプン、デキストリンなどの糖類(多糖類など);カルボキシビニルポリマー、架橋ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;セルロースエーテル類;金属石鹸類など}、被膜形性能を有する樹脂、ロウ、固形パラフィン、長鎖脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸など)など]などが挙げられる。前記担体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
前記液状担体のうち、水性又は有機溶媒としては、水、アルコール類[商品名:ISOFOL 14(コンデアジャパン(株)製);エタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類など]、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフランなどの環状エーテル;カルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのカルビトール類など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブなどのアルキルセロソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、アジピン酸ジイソノニルなどの脂肪酸エステル(アルキルエステルなど)など)、炭化水素類[ナフテンを主成分とした炭化水素溶剤(商品名:ナフテゾール240(新日本石油化学(株)製));ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;トルエン、キシレン、商品名:日石ハイゾールSAS−310(新日本石油化学(株)製)などの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類など]、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、水又は水溶性有機溶媒(低級脂肪族アルコール、(ポリ)アルキレングリコール、脂肪族多価アルコール類、アセトンなど)を用いる場合が多い。前記溶媒のうち、揮発性の高い溶媒(例えば、エタノールなどの低級アルコール、アセトン、アセトニトリル、短鎖鎖状エーテルなど)を用いてもよい。
抗シロアリ剤に使用する前記添加剤としては、慣用の添加剤、例えば、乳化剤[例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤などの各種界面活性剤(特にアニオン性又は非イオン性界面活性剤(例えば、商品名:ナロアクティーN−100(三洋化成(株)製))など)など]、増粘剤、pH調整剤、結合剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、展着剤、湿潤剤、浸透剤、流動助剤、固結防止剤、凝集剤、乾燥剤、消臭剤、着色剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の抗シロアリ剤は、任意の剤形で用いることができ、例えば、液剤(溶液剤、水和剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤、ローション剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア、フロアブル剤など)、固形剤(粉剤、粒剤、錠剤、発泡剤など)、半固形剤(ペースト剤、クリーム剤など)、噴霧剤又はエアゾール剤などの形態で用いることができる。また、これらの剤形に応じて、前記担体及び添加剤を適宜選択して用いる。例えば、溶液剤や乳剤などの液状抗シロアリ剤(液剤)の場合、前記例示の溶媒などの液状担体、乳化剤又は界面活性剤、pH調整剤などを組み合わせて用いてもよい。
また、抗シロアリ剤は、前記液状抗シロアリ剤と適当な固体希釈剤(例えば、前記固体(粉粒状)担体)とを混合し、必要により乾燥させた形態で用いてもよい。固体希釈剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。固体希釈剤のうち、タルク類、ケイ砂などの鉱物性粉粒物、木粉などの植物性粉粒物などが汎用される。
このような形態において、固体希釈剤と液剤との割合(重量比)は、例えば、固体希釈剤/液剤=100/1〜1/5、好ましくは50/1〜1/3、さらに好ましくは30/1〜1/2(特に10/1〜1/1)程度である。
本発明の抗シロアリ剤は、シロアリによる加害が可能(シロアリが生育又は繁殖可能)な被処理域又は被処理体(例えば、土壌及び/又は木材などの木部、コンクリート、基礎断熱材など)に適用することにより、シロアリを有効に防除又は予防できる。抗シロアリ剤は、被処理体の形態などに応じて、例えば、予め抗シロアリ剤と被処理体とを混合することにより被処理体に適用してもよく、製造された被処理体の表面に塗布することなどにより適用してもよい。例えば、抗シロアリ剤の適用方法は、抗シロアリ剤を木材などの木部に直接処理する方法、侵入を防ぐために土壌に処理しバリア層を構築する方法、基礎断熱材に混合又は散布して木材への加害を間接的に防ぐ方法などであってもよい。また、適用方法は、家屋内外のベイト剤的な処理を目的とし、土中に埋め込んだり、被害部に貼り付ける方法や、抗シロアリ剤を接着剤に混合するなどして、合板、集成材、木質ボードなどに適用する方法であってもよい。さらに、抗シロアリ剤は、合成樹脂シート、紙、布などのシート又はフィルム状基材に、塗布、含浸、混練などにより保持させてシート剤を調製し、このシート剤を、例えば、後述する害虫の進入箇所や発生箇所などに載置したり貼りつけたりすることによっても、有効に作用させることができる。本発明には、このようなシロアリの防除又は予防方法も含まれる。本発明の抗シロアリ剤は、特に、土壌や木部などを処理するために用いるのに有用である。
抗シロアリ剤を土壌の処理に用いる場合(土壌処理剤として使用する場合)は、散布(例えば、土壌表面へ散布、土壌に形成した溝へ散布)する方法、土壌と混和する方法などにより、抗シロアリ剤を土壌に適用できる。また、このような用途では、散布又は混和などにより抗シロアリ剤を適用するため、抗シロアリ剤の形態(又は剤形)は、粉剤や粒剤などの固形剤、液剤、液剤と粉粒状担体との混合物などであるのが好ましい。なお、土壌には、ケイ砂などが含まれていてもよい。
また、抗シロアリ剤を木部の処理に用いる(木部処理剤として使用する)場合、抗シロアリ剤は、通常、塗布、含浸、注入、噴霧などによって木部に適用できる。そのため、抗シロアリ剤の形態(又は剤形)は、液剤(乳剤、前記油性液状担体を用いた油剤など)、半固形剤、噴霧剤(液剤、粉剤を用いた噴霧剤など)などであってもよい。また、抗シロアリ剤は、シロアリが加害する可能性のある場所に適用することができ、特に、シロアリが発生又は侵入し易い箇所、例えば、台所、浴室、トイレなどの水回り床下部、居間、床のコーナー部、天井、土台、柱、壁、家具などの木製製品などに適用するのが好ましい。
本発明の抗シロアリ剤では、特に、抗シロアリ剤をシロアリと接触(付着)させることにより、シロアリを効果的に死滅又は弱体化させることができ、その結果、高いシロアリ防除効果が得られる。
ベイト剤は、例えば、液剤の形態で、前述の木部処理剤として適用してもよいが、通常、固形剤(粉剤、粒剤、錠剤など)や半固形剤(ペースト剤など)などの形態で、シロアリが通過し易い場所に配置することにより適用できる。なお、ベイト剤には、通常、シロアリ食餌物やシロアリ嗜好物が含有される。
シロアリ食餌物又は嗜好物としては、例えば、セルロース類[例えば、木粉(マツ木粉など)、腐朽木材、植物細切片(おが屑、樹皮の細切物など)、紙類など]、糖類[単糖類(マンノース、ガラクトース、ラムノースなど)、オリゴ糖類(ラクトース、ラフィノースなど)、糖アルコール類(マンニトール、キシリトールなど)、環式糖アルコール類(イノシトールなど)、多糖類(ジュランガム、キサンタンガムなど)など]などが挙げられる。これらのシロアリ食餌物又は嗜好物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのシロアリ食餌物又は嗜好物のうち、マツ木粉、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ジュランガムなどが好ましい。
シロアリ食餌物又は嗜好物の割合は、イミダゾール化合物100重量部に対して、例えば、0.1〜1000重量部、好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは5〜200重量部程度であってもよい。
本発明の抗シロアリ剤は、種々のシロアリに適用して、高い防除効果が得られる。このようなシロアリとしては、シロアリ目に属する昆虫が該当し、例えば、ヤマトシロアリ、イエシロアリなどのミゾガシラシロアリ科に属する昆虫、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリなどのレイビシロアリ科に属する昆虫などが挙げられる。
本発明の抗シロアリ剤は、優れたシロアリ防除効果を有するとともに、安全性も高い。そのため、土壌や木部などの処理に適用される各種シロアリ防除用製剤として有用である。特に、シロアリと接触又はシロアリに摂食させることにより、シロアリを防除するためのベイト剤などとして有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[シロアリ接触試験]
イミダゾール化合物0.1gをガラス瓶中でアセトンに溶解し、この溶液にケイ砂10gを加えて混合し、さらに風乾によりアセトンを蒸発させた。得られた混合物に、蒸留水を全体に対する含有率が8重量%(シロアリ活動の至適含水率)となるように添加、混合した。ガラス瓶中にイエシロアリ職蟻10頭を投入し、死亡したシロアリの頭数を経時的に観察し、接触によるシロアリ防除効果を下記の基準で評価した。
◎:6時間以内に全頭死亡
○:6時間を超えて3日以内に全頭死亡
△:3日を超えて7日以内に全頭死亡
×:7日を超えて一部のシロアリが死亡
××:殺蟻効果なし。
[ろ紙試験(シロアリ食毒試験)]
イミダゾール化合物を濃度1mg/mLで含有するアセトン溶液を調製し、このアセトン溶液を直径12mmのろ紙に対して40μL滴下し、風乾し、アセトンを消失させた。この処理済ろ紙を、ガラス瓶に充填したケイ砂(含水率8重量%)の上に設置し、前記ろ紙に接触可能な状態となるように、ガラス瓶中にイエシロアリ職蟻50頭を投入した。シロアリ投入から21日後、ろ紙食害率(%)を観察し、摂食による食害効果を下記の基準で評価した。
A:ろ紙食害率が0%以上20%未満
B:ろ紙食害率が20%以上40%未満
C:ろ紙食害率が40%以上60%未満
D:ろ紙食害率が60%以上80%未満
E:ろ紙食害率が80%以上100%未満
F:ろ紙食害率が100%。
実施例
表1及び2に示すイミダゾール化合物を用いて、上記接触試験及び食毒試験を行った。接触試験の結果を表1に示し、食毒試験の結果を表2に示す。なお、コントロールとして、イミダゾール化合物を用いない以外は上記試験方法と同様にして試験を行った結果も合わせて示す。なお、全てのイミダゾール化合物は、市販品を使用した。
Figure 0004911925
Figure 0004911925
表から明らかなように、イミダゾール化合物を用いた例では、接触試験及び/又は摂食(食毒)試験について、高い殺シロアリ効果(シロアリ防除効果)を示した。特に、1位、2位にアルキル基を有するイミダゾール化合物に強い殺蟻効果が認められた。また、メチル基を1つ有するイミダゾール化合物は、特に摂食阻害効果が高かった。さらに、2−フェニル−4−メチルイミダゾールは、極めて強い摂食阻害作用を示した。
製剤例−I
乳化用油剤 土壌用 (%は重量基準)
アジピン酸ジイソノニル 30%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 34%
なたね油 10%
ナロアクティーN100 16%
2−フェニル−4−メチルイミダゾール 10%
合計 100%
土壌用乳剤の調製
アジピン酸ジイソノニル30重量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル34重量部と、なたね油10重量部とに、「ナロアクティーN100」(三洋化成(株)製)16重量部と、2−フェニル−4−メチルイミダゾール10重量部とを投入して、均一に溶解させることにより、乳化用油剤を調製する。
製剤例−II
油剤 木部用 (%は重量基準)
(i) (ii)
アジピン酸ジイソノニル 55% 55.9%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 20% 20%
ナフテゾール240 20% 20%
テブコナゾール 1% 1%
プロピコナゾール 1% 1%
2−フェニル−4−メチルイミダゾール 3% 2%
クロチアニジン − 0.1%
合計 100% 100%
木部用油剤の調製
(i)
アジピン酸ジイソノニル55重量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル20重量部と、「ナフテゾール240」(新日本石油化学(株)製)20重量部とに、テブコナゾール1重量部と、プロピコナゾール1重量部と、2−フェニル−4−メチルイミダゾール3重量部とを投入して、均一に溶解させることにより、油剤を調製する。
(ii)
アジピン酸ジイソノニル55.9重量部と、2−フェニル−4−メチルイミダゾールを2重量部と、クロチアニジン0.1重量部を用いる以外は、製造例−II(i)と同様にして油剤を調製する。
製剤例−III
乳化用油剤 木部、コンクリート用 (%は重量基準)
日石ハイゾールSAS−310 37%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 25%
なたね油 10%
ナロアクティーN100 16%
IPBC 1%
プロピコナゾール 1%
2−フェニル−4−メチルイミダゾール 10%
合計 100%
木部、コンクリート用乳剤の調製
「日石ハイゾールSAS−310」(新日本石油化学(株)製)37重量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル25重量部と、なたね油10重量部とに、「ナロアクティーN100」(三洋化成(株)製)16重量部と、3−ヨードプロパルギル−N−ブチルカーバメート(IPBC)1重量部と、プロピコナゾール1重量部と、2−フェニル−4−メチルイミダゾール10重量部とを投入して、均一に溶解させることにより、乳化用油剤を調製する。
製剤例−IV
油剤 断熱材用 (%は重量基準)
ISOFOL14 61%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 20%
パーライト(10μm) 8%
IPBC 1%
2−フェニル−4−メチルイミダゾール 10%
合計 100%
断熱材用油剤の調製
「ISOFOL14」(コンデアジャパン(株)製)61重量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル20重量部とに、3−ヨードプロパルギル−N−ブチルカーバメート(IPBC)1重量部と、2−フェニル−4−メチルイミダゾール10重量部とを投入して、均一に溶解させ、パーライト10μm(ネオイライト興産(株)製)8重量部を混合し分散させることにより、油剤を調製する。

Claims (8)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004911925
    (式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表されるイミダゾール化合物であって、
    (a)R がアリール基であり、R がアルキル基であり、R 及びR が水素原子である化合物、
    (b)R が水素原子であり、R がアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基であり、R 及びR が水素原子である化合物、又は
    (c)R がアルキル基であり、R が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基であり、R 及びR が水素原子である化合物
    を含有する抗シロアリ剤。
  2. 式(1)において、Rがアルキル基であり、R、R及びRが水素原子である請求項1記載の抗シロアリ剤。
  3. 式(1)で表されるイミダゾール化合物が、2−C 6−10 アリール−4−C 1−4 アルキルイミダゾールである請求項1記載の抗シロアリ剤。
  4. 木部又は土壌を処理するために用いられる請求項1記載の抗シロアリ剤。
  5. ベイト剤として用いられる請求項1記載の抗シロアリ剤。
  6. 請求項1記載の抗シロアリ剤を、シロアリによる加害が可能な被処理域又は被処理体に適用してシロアリを防除又は予防する方法。
  7. 請求項1記載の抗シロアリ剤を、土壌及び木材から選択された被処理体に適用する請求項記載の方法。
  8. 請求項1記載の抗シロアリ剤を、シロアリに対して接触又は摂食させる請求項記載の方法。
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