JP5701353B2 - アルゼンチンアリ防除剤および防除方法 - Google Patents

アルゼンチンアリ防除剤および防除方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルゼンチンアリを防除するためのアルゼンチンアリ防除剤、および、その防除剤を用いるアルゼンチンアリ防除方法に関する。
アルゼンチンアリ(亜爾然丁蟻)Linepithema humileは、ハチ目アリ科カタアリ亜科アルゼンチンアリ属に分類されるアリの一種であり、侵入した地域のアリを駆逐根絶して、生態系を破壊することから、特定外来生物に指定されている。
このようなアルゼンチンアリを駆除するための殺虫組成物として、i)ピレスロイド及びii)イミダクロプリド、ニチアジン、チアメトキサム、ジノテフラン、ニテンピラム、チアクロプリド、クロチアニジン及びクロロフェナピルからなる群から選ばれる第二の殺虫剤との混合物からなる殺虫剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特表2007−518737号公報
特許文献1に記載の殺虫剤組成物は、アルゼンチンアリ以外の、ドイツゴキブリ、アメリカゴキブリ、灰褐色ゴキブリ、東洋ゴキブリ、家ハエ、噛み付きハエ、ごみハエ、赤いトフシアリ(RIFA)、臭い家アリ、オオアリ、ファラオアリ、蚊、ダニ、ノミ、ワラジ虫、ダンゴ虫、ムカデ、蜘蛛、シルバーフィッシュ、サソリおよびトコジラミなどの一般家庭害虫に対して広く適用されるものであり、特に、アルゼンチンアリに対して優れた防除効果を奏するという記載はなく、また、特許文献1では、アルゼンチンアリに対する実施例も不記載である。
一方、近年、アルゼンチンアリの繁殖に備えて、アルゼンチンアリに対して優れた防除効果を奏するアルゼンチンアリ防除剤の開発が急務とされている。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アルゼンチンアリに対して優れた防除効果を奏するアルゼンチンアリ防除剤と、そのアルゼンチンアリ防除剤を用いるアルゼンチンアリ防除方法とを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明者らは、アルゼンチンアリに対して優れた防除効果を奏する新規な防除剤について検討を重ねたところ、特定の有効成分が、アルゼンチンアリに対する防除効果に優れているという知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)炭素数6〜20のアルコールの少なくとも1種または/および炭素数6〜12の脂肪酸の少なくとも1種を有効成分として、または/および、クロチアニジンを有効成分として含有することを特徴とする、アルゼンチンアリ防除剤、
(2)前記アルコールが、炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖アルコールであり、前記脂肪酸が、炭素数8〜10の飽和脂肪酸であることを特徴とする、前記(1)に記載のアルゼンチンアリ防除剤、
(3)前記クロチアニジンが、マイクロカプセル剤として調製されていることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のアルゼンチンアリ防除剤、
(4)炭素数6〜20のアルコールの少なくとも1種または/および炭素数6〜12の脂肪酸の少なくとも1種を有効成分として、または/および、クロチアニジンを有効成分として含有するアルゼンチンアリ防除剤を、散布することを特徴とする、アルゼンチンアリ防除方法
を提供するものである。
本発明のアルゼンチンアリ防除剤を散布するアルゼンチンアリ防除方法によれば、アルゼンチンアリに対して優れた防除効果を奏することができる。
本発明のアルゼンチンアリ防除剤は、炭素数6〜20のアルコールの少なくとも1種または/および炭素数6〜12の脂肪酸の少なくとも1種を有効成分(以下、第1有効成分とする。)として含有するか、あるいは、クロチアニジンを有効成分(以下、第2有効成分とする。)として含有するか、あるいは、第1有効成分および第2有効成分の両方を含有する。
第1有効成分は、単独で用いることができ、あるいは、第2有効成分と併用することもできる。第1有効成分は、アルゼンチンアリに対して、優れた忌避効果および殺蟻効果を有している。
第1有効成分において、炭素数6〜20のアルコールとしては、炭素数6〜20の直鎖状および/または分岐状のアルコールが含まれる。
直鎖状アルコールとしては、炭素数6〜18のものが好ましく、その例としては、例えば、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノールなどが挙げられ、なかでも、炭素数8以上のものが好ましく、炭素数14以下のものが好ましい。
分岐状アルコールとしては、炭素数6〜20のものが好ましく、その例としては、例えば、3−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−オクタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ノナノール、イソノナノール、オキソコール900、イソデカノール、デカノール、イソトリデカノール、トリデカノール、オキソコール1213、オキソコール1415、オキソコール1215、2−ブチル−1−ヘプタノール、2−ブチル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノールなどが挙げられ、炭素数8〜18のものがより好ましく、炭素数10〜18のものがさらに好ましい。
炭素数6〜20のアルコールは、単独使用または2種以上併用することができる。併用する場合には、好ましくは、2−ブチル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールの混合物、2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールの混合物、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノールの混合物などが挙げられる。
炭素数6〜20のアルコールの配合割合は、アルゼンチンアリ防除剤の総量に対して、例えば、0.01〜100重量%、好ましくは、0.01〜99.9重量%、さらに好ましくは、1〜50重量%、とりわけ好ましくは、2〜20重量%である。
炭素数6〜12の脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、イソカプリン酸、ラウリン酸などの直鎖状または分岐状の飽和脂肪酸、または、それらの不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくは、炭素数7〜12の脂肪酸が挙げられ、さらに好ましくは、炭素数8〜10の飽和脂肪酸が挙げられる。
炭素数6〜12の脂肪酸は、単独使用または2種以上併用することができる。
炭素数6〜12の脂肪酸の配合割合は、アルゼンチンアリ防除剤の総量に対して、例えば、0.01〜100重量%、好ましくは、0.01〜99.9重量%、さらに好ましくは、1〜50重量%、とりわけ好ましくは、2〜10重量%である。
第1有効成分は、炭素数6〜20のアルコールを単独で含んでいてもよく、炭素数6〜12の脂肪酸を単独で含んでいてもよく、さらには、炭素数6〜20のアルコールと、炭素数6〜12の脂肪酸との両方を含んでいてもよい。
炭素数6〜20のアルコールと、炭素数6〜12の脂肪酸との両方を含む場合には、炭素数6〜20のアルコール100重量部に対して、炭素数6〜12の脂肪酸を、例えば、1〜10000重量部、好ましくは、10〜1000重量部の割合で含有する。
また、第1有効成分は、炭素数6〜20のアルコールまたは/および炭素数6〜12の脂肪酸を含んでいれば、その剤型は、特に制限されず、目的および用途に応じて、例えば、溶液剤、水和剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤、ローションなどの液剤、例えば、粉剤、粒剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフエア、フロアブル剤、発泡剤などの固形剤、例えば、ペースト剤、クリームなどの半固形剤、その他、ムース剤(上記液剤に、さらに界面活性剤などの起泡剤を配合したもの)、噴霧剤、エアゾール剤、塗料などとして調製することができる。
液剤または半固形剤は、例えば、第1有効成分を、適宜の液体希釈剤で希釈し、公知の方法により調製することができる。
液体希釈剤としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレングリコールなどの多価アルコール類、例えば、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、環状エーテル(例えば、ジオキサン、テロラヒドロフランなど)、モノまたはジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルなど)などのエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン炭化水素類、例えば、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、例えば、ギ酸、酢酸などのカルボン酸類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンなどの非ブロトン性極性溶媒類、例えば、ケロセンなどの石油系溶剤類、例えば、エチルナフタレン、フェニルキシリルエタンなどの高沸点芳香族炭化水素類、例えば、2−エチルヘキシルフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、例えば、エクソンナフサNo.7、エクソンナフサNo.6、エクソールD80、アイパ−L、アイパ−M、アイパ−H(以上、エクソン化学社製)などの脂肪族系有機溶剤類、例えば、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上、エクソン化学社製)、日石ハイゾールSAS296、日石ハイゾールSAS−LH、アルケンL(以上、日本石油化学社製)、PAD(日鉱石油社製)などの芳香族系有機溶剤類、例えば、アジピン酸2−エチルヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジアリルなどの可塑剤などが挙げられる。
液体希釈剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、水和剤の場合には、さらに固体希釈剤または担体を用いることができる。
固体希釈剤または担体としては、例えば、珪藻土、雲母、粘土、カオリン、タルク、石英粉末、ベントナイト、活性炭、セラミック粉末、微粉末シリカなどが挙げられる。これら固体希釈剤または担体も、単独使用または2種以上併用することができる。
固形剤は、例えば、第1有効成分を適宜の固体希釈剤または担体で希釈し、造粒するなど、公知の方法により調製することができる。
固体希釈剤または担体としては、上記例示の固体希釈剤以外に、例えば、滑石粉、ロウ石粉などのタルク粉、微粉末クレイなどのクレイ類、炭酸カルシウムなどの鉱物性粉末、例えば、硫黄粉末、例えば、尿素粉末、例えば、木粉、澱粉などの植物性粉末、例えば、農薬、園芸用製剤などが挙げられる。
これら固体希釈剤または担体は、増量剤として用いることができ、単独使用または2種以上併用することができる。
エアゾール剤は、例えば、第1有効成分を、必要に応じて適宜の溶剤で希釈し、噴射剤とともに容器に充填するなど、公知の方法により調製することができる。
溶剤としては、例えば、上記例示の液体希釈剤が挙げられる。噴射剤としては、例えば、フロン、液化天然ガス、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
第2有効成分において、クロチアニジンは、単独で用いることができ、あるいは、第1有効成分と併用することもできる。第2有効成分は、アルゼンチンアリに対して、優れた殺蟻効果を有している。
クロチアニジンの配合割合は、アルゼンチンアリ防除剤の総量(マイクロカプセルの場合には、固形分)に対して、例えば、0.01〜99.9重量%、好ましくは、0.1〜20重量%、さらに好ましくは、1〜10重量%である。
第2有効成分は、クロチアニジンを含んでいれば、その剤型は、特に制限されず、目的および用途に応じて、上記例示の液剤、固形剤、半固形剤、その他、ムース剤、噴霧剤、エアゾール剤、塗料などとして調製することができる。また、第2有効成分は、好ましくは、マイクロカプセル剤として調製する。マイクロカプセル剤として調製すれば、クロチアニジンの効力持続性の向上を図ることができる。
マイクロカプセル剤は、例えば、界面重合法、in situ重合法(界面反応法)、コアセルベーション法、液中乾燥法、融解分散冷却法、液中硬化皮膜法、コーティング法(気中懸濁法)、スプレードライ法、静電合体法、真空蒸着法など、公知の方法により調製することができる。具体的には、例えば、特開昭61−249904号公報、特公平6−92282号公報、特公平6−92283号公報、特開平10−114608号公報、特開2000−247821号公報に記載の方法が挙げられる。
クロチアニジンをマクロカプセル剤として調製するには、好ましくは、特開2000−247821号公報に記載の界面重合法が挙げられる。
この方法では、例えば、クロチアニジンと、沸点200℃以上の高沸点芳香族系有機溶媒を50重量%以上含む分散媒と、3級アミンを含む分子量1000以上の分散剤とを配合してスラリーを調製し、そのスラリーを湿式粉砕後、界面重合法によりマイクロカプセル化する。界面重合法では、例えば、スラリーに、ポリイソシアネートなどの油溶性膜形成物質を配合し、それを水中に分散させた後、ポリアミンやポリオールなどの水溶性膜形成物質を滴下する。すると、水溶性膜形成物質と油溶性膜形成物質とが、分散媒と水(油と水)との界面で反応して、クロチアニジンが内包されたマイクロカプセル剤を得ることができる。
第2有効成分は、上記方法により調製されている場合には、そのまま、つまり、マイクロカプセル剤の水懸濁剤として用いることができ、さらには、必要により、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤などを適宜配合した上で、乾燥させることにより、あるいは、適宜の溶媒に溶解または分散させて、スプレードライ法などで乾燥させることにより、例えば、粉状物(粉剤)、粒状物(粒剤)などとして用いることもできる。
マイクロカプセル剤は、その体積基準の平均粒子径(体積平均粒子径)が、例えば、1〜200μm、好ましくは、2〜100μmに調整する。体積平均粒子径は、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布装置により測定された粒子径の大きさとその分布状態(粒度分布)に基づいて、求めることができる。なお、体積平均粒子径は、油溶性膜形成物質を水中に分散させた後の攪拌速度を調整することにより、調整することができる。
また、マイクロカプセル剤は、特開2004−189734号に記載の方法により、体積基準での平均粒子径が6〜100μmで、かつ、体積基準での粒子径が4μm以下のマイクロカプセルの体積比率が20%以上50%未満となるように、調製することができる。
また、特開2007−31334号に記載されるように、マイクロカプセル剤に合成樹脂微粒子を付着させることもできる。
さらには、マイクロカプセル剤は、その壁膜の厚みが1.8〜4μmとなるように調製することができ、また、セメント、石こうを配合することにより、硬化性(水硬性)の防除剤として調製することもできる。
また、本発明のアルゼンチンアリ防除剤は、第1有効成分または/および第2有効成分を含有する他、必要により種々の添加剤、例えば、防腐防力ビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定化剤、結合剤、皮膜形成樹脂、乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤、増粘剤、流動助剤、固結防止剤、凝集剤、紫外線散乱剤、水分除去剤、着色剤などを添加することができる。これら添加剤は、その目的および用途に応じて、適宜の割合で添加される。
防腐剤防カビ剤としては、例えば、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネート、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(IPBC)、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマールなどの有機ヨード系化合物、例えば、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾールなどのベンズイミダゾール系化合物、例えば、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物、例えば、1−(2−(2’,4’−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール、1−(2−(2’,4’−ジクロロフェニル)−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール、α−(2−(4−クロロフェニル)エチル)−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノールなどのトリアゾール系化合物、例えば、ジンク−ビス−(2−ピリジン−チオール−1−オキシド)、フタル酸亜鉛などの有機亜鉛系化合物、その他、例えば、4−イソプロピルトロポロン(ヒノキチオール)、ホウ砂などの天然化合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、4,4’チオビス−6−t−ブチル−3−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールの混合物)、p−オクチルフェンノール、モノ(またはジまたはトリ)−(α−メチルベンジル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤、例えば、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤、例えば、2,5−ジ(t−アミル)ヒドロキノリンなどのヒドロキノリン系酸化防止剤、例えば、ジラウリルチオジウロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤、例えば、トリフェニルホスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、例えば、サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物、その他、例えば、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エトキシ−2’−エチルシュウ酸ビスアニリド、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
皮膜形成樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、金属石鹸類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(例えば、竹本油脂社製、商品名ニューカルゲンBX−C)などのアルキルナフタレンスルホン酸、2−スルホコハク酸ジアルキルナトリウム(例えば、第一工業製薬社製、商品名ネオコールSW−C)などの2−スルホコハク酸ジアルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤(例えば、三洋化成社製、商品名トキサノンGR−30)、α―オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩(例えば、第一工業製薬社製、商品名ディクスゾール60A)、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(例えば、第一工業製薬社製、商品名イノゲン・イーエー−142(EA−142))、ポリオキシエチレンアリールエーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールポリオキシエチレン、ショ糖脂肪酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体(例えば、三洋化成社製、商品名ニューポールPE−64)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、花王社製、商品名レオドールTW−0120V)などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩型界面活性剤(例えば、花王社製、商品名サニゾールC)などが挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とその塩、キサンタンガムなどが挙げられる。
流動助剤としては、例えば、PAP助剤(例えば、イソプロピルリン酸)、ワックス、ポリエチレン、脂肪酸金属塩、パラフィン、シリコーンオイルなどの有機滑剤、例えば、タルクなどの無機滑剤が挙げられる。
固結防止剤としては、例えば、ホワイトカーボン、珪藻土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタンなどが挙げられる。
凝集剤としては、例えば、流動パラフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソブチレン重合体(例えば、出光石油化学社製、商品名IPソルベントー2835)などが挙げられる。
紫外線散乱剤としては、例えば、二酸化チタンなどが挙げられる。
水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末などの乾燥剤が挙げられる。
着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料、染料などが挙げられる。
さらに、本発明のアルゼンチンアリ防除剤は、必要により、他の防虫剤、害虫忌避剤、効力増強剤などの他の有効成分を配合することもできる。これら他の有効成分は、その目的および用途に応じて、適宜の割合で配合される。
他の有効成分としては、例えば、ホキシム、クロルピリホス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオン、イソフェンホスなどの有機リン系化合物、例えば、バッサ、プロポキサーなどのカルバメート系化合物、例えば、シフルトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、フェンパレレート、エトフェンプロックス、シラフルオフェンなどのピレスロイド系化合物、例えば、イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリドなどの、クロチアニジン以外のネオニコチノイド系化合物、例えば、フィプロニルなどのフェニルピラゾール系化合物、例えば、ベンスルタップなどのネライストキシン系化合物、例えば、クロルフェナピルなどのピラゾール系化合物、例えば、ヒバ油、ヒバ中性油、デカン酸、オクタン酸などの脂肪酸やホウ酸などの他、ニーム(特開平3−41011号公報)、モリンガ属、マラー属などの植物(特開平6−329514号公報)などが挙げられる。
また、他の有効成分として、昆虫成長制御剤(IGR)として知られる、例えば、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロンなどのキチン合成阻害剤や、例えば、メトプレン、ハイドロプレンなどの幼若ホルモン様化合物なども挙げられる。
そして、本発明のアルゼンチンアリ防除剤は、第1有効成分と、必要により添加剤および他の有効成分を、適宜配合することにより得ることができる。また、第2有効成分と、必要により添加剤および他の有効成分を、適宜配合することにより得ることができる。さらに、第1有効成分および第2有効成分と、必要により添加剤および他の有効成分を、適宜配合することにより得ることができる。
上記により得られた本発明のアルゼンチンアリ防除剤は、アルゼンチンアリの駆除または予防が必要なところ、例えば、土壌(地盤面など)、例えば、木材、例えば、建物(すなわち、家屋、倉庫、門扉、塀およびこれらの付属設備など。)における基礎構造部、上部構造部および地下構造部、例えば、建物の付属設備としての地下埋設物、例えば、アルゼンチンアリの生息域・発生域などに、散布する。
散布は、被害または予防の程度により異なるが、例えば、単位面積あたり、通常、1〜5000g/m、好ましくは、10〜1000g/m程度となるように、散布する。散布方法も、被害または予防するところにより異なるが、例えば、通常の散布方法に加えて、塗布、浸漬、注入、噴霧、噴射など、適宜の方法が用いられる。
そして、本発明のアルゼンチンアリ防除剤は、第1有効成分が配合されている場合には、アルゼンチンアリに対する優れた忌避効果および殺蟻効果を奏し、また、第2有効成分が配合されている場合には、アルゼンチンアリに対する優れた殺蟻効果を奏する。
そのため、本発明のアルゼンチンアリ防除剤を、アルゼンチンアリを防除するためのアルゼンチンアリ防除剤として、上記したように、アルゼンチンアリの駆除または予防が必要なところに散布すれば、アルゼンチンアリの大量発生の予防や大量駆除を効果的に実現することができる。
試験例
以下に試験例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
試験例1
1)参考防除剤1〜3の調製
KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、RKS GmbH製)318gと、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、新日本石油化学社製)154gと、Disperbyk−164(3級アミン含有ポリエステル変性ポリウレタン系高分子重合体、分子量10000〜50000、ビッグケミー社製)48gとを配合して、均一になるまで攪拌混合し、混合液(1)を調製した。
次いで、混合液(1)に、クロチアニジン480gを配合し、T.K.オートホモディスパー(特殊機化工業社製)にて攪拌することにより、クロチアニジンを含有するスラリー液(1)を得た。このスラリー液(1)のクロチアニジン濃度は、48重量%であった。
次いで、上記スラリー液(1)を、ビーズミル(ダイノーミル KDL A型、ガラスビーズ径1.5mm)に投入し、20分間湿式粉砕した。湿式粉砕後のスラリー液(1)中におけるクロチアニジンの平均粒子径は、480nmであった。
さらに、湿式粉砕後のスラリー液(1)83gに対し、タケネートD−140N(イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、三井化学ポリウレタン社製)の溶剤置換物260gを配合し、均一になるまで攪拌することにより、スラリー液(2)を得た。
上記スラリー液(2)を、クラレポバール217(ポリビニルアルコール、クラレ社製)60gと、ニューカルゲンFS−4(ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アニオン界面活性剤、竹本油脂社製)0.15gとを含有する水溶液885g中に加え、常温下で微少滴になるまで、T.K.オートホモミキサー(特殊機化工業社製)にて数分間攪拌混合して、混合液(2)を調製した。このとき、T.K.オートホモミキサーの回転数は、2400回転/分とした。
次いで、混合液(2)を、75℃の恒温槽中で、3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミン10gを、それに滴下して反応させて、分散液を調製した。
反応後、得られた分散液に、凍結防止剤と、増粘剤と、防腐剤とを配合し、さらに、全体の重量が1992gとなるように水を配合して、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(1)(水懸濁剤)を得た。
得られたマイクロカプセル剤(1)は、体積平均粒子径が30μmであり、壁膜の平均膜厚が2.0μmであった。
なお、マイクロカプセル剤(1)の体積平均粒子径は、コールターカウンタ(「マルチサイザー3」:ベックマン・コールター社製)で測定した(以下同様)。また、マイクロカプセルの壁膜の平均膜厚Tは、下記式(1)から算出した(以下同様)。
T=(D/6)×(W1/W2)×(D2/D1) …(1)
(式(1)中、W1は、壁膜形成物質の重量(g)を示し、W2は、膜内物質の重量(g)を示し、D1は、壁膜形成物質の平均密度(g/cm)を示し、D2は、膜内物質の平均密度(g/cm)を示す。
得られたマイクロカプセル剤(1)を水で希釈して、有効成分(クロチアニジン)の濃度が500ppm、167ppm、100ppmとなるように調製し、参考防除剤1〜3を得た。
2)殺蟻試験(室内試験)
下記の殺蟻試験を参考防除剤1〜3について、それぞれ実施した。
直径3.2cm×高さ7cmのガラス瓶に、大阪府下で採取したアルゼンチンアリ10頭と、キムワイプ(紙ウエス、日本製紙社製)とを投入した。
水分として2滴の水を滴下し、次いで、アルゼンチンアリに触れないように、上記防除剤をキムワイプの乾燥部分に2滴滴下した。さらに、アルゼンチンアリが外部に抜け出さないようにガラス瓶に蓋をして、経時的にアルゼンチンアリの転倒率を観察した。その結果を表1に示す。なお、表1には、防除剤を滴下していない対照(非処理)を併記した。
Figure 0005701353
試験例2
1)参考防除剤4の調製
T.K.オートホモミキサーの回転数を4000回転/分としたこと以外は、マイクロカプセル(1)と同様にして、クロチアニジンを2重量%含有するマイクロカプセル剤(2)を得た。得られたマイクロカプセル剤(2)は、体積平均粒子径が4.5μmであり、壁膜の平均膜厚が0.3μmであった。
そして、得られたマイクロカプセル剤(2)と、試験例1で得られたマイクロカプセル剤(1)とを、重量比1:1で混合した後、水で希釈して、有効成分(クロチアニジン)の濃度が500ppmとなるように調製し、参考防除剤4を得た。
2)参考防除剤5の調製
KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、RKS GmbH製)318gと、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、日本石油化学社製)154gと、Disperbyk−164(3級アミン含有ポリエステル変性ポリウレタン系高分子重合体、分子量10000〜50000、ビッグケミー社製)48gとを均一になるまで攪拌混合し、混合液(1)を調製した。
次いで、混合液(1)に、クロチアニジン480gを配合し、T.K.オートホモディスパー(特殊機化工業社製)にて攪拌することにより、クロチアニジンを含有するスラリー液(1)を得た。このスラリー液(1)のクロチアニジン濃度は、48重量%であった。
上記スラリー(1)を、ビーズミル(ダイノーミル KDL A型、ガラスビーズ径0.5mm)に投入し、20分間湿式粉砕した。湿式粉砕後のスラリー液(1)中におけるクロチアニジンの平均粒子径は、480nmであった。
さらに、湿式粉砕後のスラリー(1)283gに、タケネートD−140N(イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体、三井化学ポリウレタン社製)溶剤置換物213gを配合し、均一になるまで攪拌することにより、スラリー液(2)を得た。
上記スラリー(2)のうち248gを、クラレポバール217(ポリビニルアルコール、クラレ社製)42gと、ニューカルゲンFS−4(ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アニオン界面活性剤、竹本油脂社製)0.9gとを含有する水溶液492g中に加え、常温下で微少滴になるまで、T.K.オートホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌混合して、1次混合液を調製した。このとき(1段目)の水溶液の粘度は、0.4Pa・sで、ミキサーの回転数は5000回転/分、攪拌時間は5分であった。
次いで、1次混合液を緩やかに攪拌しながら、それに、水207gおよびスラリー(2)の残り248gを加えて、常温下でT.K.オートホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌混合して、混合液(2)を調製した。このとき(2段目)の水溶液の粘度(すなわち、水207gが加えられ、スラリー(2)が配合されていない状態における水溶液の粘度であって、別途、この状態の水溶液を調製して測定した粘度)は、0.04Pa・sで、ミキサーの回転数は2500回転/分、攪拌時間は5分であった。
次いで、混合液(2)を、75℃の恒温槽中で、3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミン7.6gを、それに滴下して反応させて、分散液を調製した。
反応後、得られた分散液に、凍結防止剤と、増粘剤と、防腐剤とを配合し、さらに、全体の重量が1800gとなるように水を配合して、クロチアニジンを7.5重量%含有するマイクロカプセル剤(3)を得た。
そして、得られたマイクロカプセル剤(3)を、水で希釈して、有効成分(クロチアニジン)の濃度が500ppmとなるように調製し、参考防除剤5を得た。
2)殺蟻試験(現場試験)
参考防除剤1、4および5を、それぞれ、大阪府下のアルゼンチンアリの活動が見られる地帯において、2mの面積に0.3L/m散布し、その活動を観察した。1週間後、散布した地帯においてアルゼンチンアリの死体の集積状態が確認でき、その駆除効果が確認できた。
試験例3
1)参考防除剤6の調製
カガライト4M号(カガライト工業(株)製、軽石の細粒)を篩に通して、粒径0.15mm以下の担体(1)を得た。得られた担体(1)100重量部に対し、試験例1で得られたマイクロカプセル剤(1)50重量部を配合し、乾燥しながら均一に混合して、混合物(1)を得た。得られた混合物(1)を、粒径0.15mm以下の土砂(真砂土)で約4倍に希釈し、防除成分(1)を得た。
次いで、得られた防除成分(1)50重量部と、乾燥土砂(1)(粒径が0.5mmを上回り1.5mm以下である土砂(真砂土)7重量部と、粒径が0.25mmを上回り0.5mm以下である土砂(真砂土)10重量部と、粒径0.15以上0.25mm以下の土砂(真砂土)15重量部と、粒径0.15mm未満の土砂(真砂土)68重量部とを配合し、攪拌混合したもの。)50重量部とを配合し、均一に混合して、混合物(2)を得た。
さらに、得られた混合物(2)90重量部と、硬石こう(商品名「ニュープラストーン」、ジーシー社製)10重量部とを配合し、均一に混合して、硬化性の参考防除剤6を得た。
得られた参考防除剤6の有効成分(クロチアニジン)の濃度は、約0.1重量%であった。
なお、得られた参考防除剤6 100重量部と、水20重量部とを混練し、硬化させて得られた硬化物の圧縮強度を、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に記載の圧縮強さ試験で測定した結果、約10N/mmであった。
2)殺蟻試験(現場試験)
参考防除剤6 100重量部と水20重量部を混合して、アルゼンチンアリ生息域上に20cm×20cm厚さ1cmの大きさでセットした。1週間後の観察で、セットしたところに多数のアルゼンチンアリ死骸が認められた。
試験例4
1)参考防除剤7の調製
KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、RKS GmbH製)610gと、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、新日本石油化学社製)360gと、Disperbyk−164(3級アミン含有ポリエステル変性ポリウレタン系高分子重合体、分子量10000〜50000、ビッグケミー社製)10gと均一になるまで攪拌混合し、混合液(1)を調製した。
次いで、混合液(1)に、クロチアニジン20gを配合し、T.K.オートホモディスパー(特殊機化工業社製)にて攪拌することにより、スラリー液(1)を得た。
次いで、上記スラリー液(1)を、ビーズミル(ダイノーミル KDL A型、ガラスビーズ径1.5mm)に投入し、20分間湿式粉砕した。湿式粉砕後のスラリー液(1)中におけるクロチアニジンの平均粒子径は、840nmであった。
さらに、湿式粉砕後のスラリー液(1)112.5gに対し、タケネートD−170N(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー変性体、三井化学ポリウレタン社製)28.3gを配合し、均一になるまで攪拌することにより、スラリー液(2)を得た。
上記スラリー液(2)を、クラレポバール217(ポリビニルアルコール、クラレ社製)を1.5重量%含有する水溶液125g中に加え、常温下で微少滴になるまで、T.K.オートホモミキサー(特殊機化工業社製)にて数分間攪拌混合して、混合液(2)を調製した。このとき、T.K.オートホモミキサーの回転数は、5000回転/分とした。また、攪拌中に、エチレンジアミン4.16gを含む水溶液20gを滴下した。
次いで、混合液(2)を、60℃の恒温槽中で、6時間緩やかに攪拌させながら反応させて、分散液を調製した。
さらに、得られた分散液に、0.1N−HCl水溶液を滴下して、pH7に中和した後、純水を加えて全体の重量が300gになるように調整し、クロチアニジンを0.75重量%含有するマイクロカプセル剤(4)を得た。得られたマイクロカプセル剤(4)は、体積平均粒子径が25μmであった。
さらに、マイクロカプセル剤(4)を70℃に加温、攪拌して、全体の重量が約35%減少するまで乾燥させることにより、参考防除剤7を得た。参考防除剤7の有効成分(クロチアニジン)の濃度は、約1.2重量%であった。
次いで、ガンツパール1105のスラリー(懸濁重合架橋ポリスチレン微粒子、平均粒子径10μm、ガンツ化成社製)100重量部と、参考防除剤7 8.5重量部とを配合して、撹拌、混合しながら乾燥させた。これにより、参考防除剤7にガンツパール1105を付着させた、有効成分(クロチアニジン)の濃度約0.1%の粉剤を得た。得られた粉剤の平均粒子径は、40μmであった。
なお、ガンツパール1105は、例えば、特開平7−292231号公報の比較例1に記載の方法により製造することができる。
2)殺蟻試験(現場試験)
上記により得られた粉剤を、アルゼンチンアリにかかるように50cm四方に渡って約0.5g噴霧した。その4日後に、アルゼンチンアリの多数の死骸が認められた。
試験例5
1)防除剤8の調製
ヤシ油脂肪酸に含まれる単体の脂肪酸としてカプリン酸(商品名「ルナック10−98E」花王(株)製)5重量部と、ISOFOL(登録商標)14T(2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールなどの混合物、サソール・ジャパン社製)10重量部と、プロピレングリコール(和光純薬工業社製)3重量部と、サイリシア380(微粉末シリカ、富士シリシア化学社製)3.5重量部と、サニゾールC(4級アンモニウム塩型界面活性剤、花王社製)1.5重量部と、レオドールTW−0120V(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、花王社製)2重量部と、PEG−400(ポリオキシエチレングリコール、平均分子量400、三洋化成工業社製)2重量部と、レオジックH250(ポリアクリル酸ナトリウム、日本純薬社製)の0.5%水溶液3重量部とを混合し、それを、水70重量部中に分散させて、防除剤8を得た。
2)殺蟻試験(現場試験)
防除剤8を、アルゼンチンアリにかかるように50cm四方に渡って約10g噴霧した。防除剤8がかかったアルゼンチンアリでは即死が認められた。また、防除剤8の噴霧領域を忌避するアルゼンチンアリの行動が確認された。
防除剤8をアルゼンチンアリ生息域に、幅約20cmで一片が1mの四角上に散布した。その後、試験例2で得られた参考防除剤4を、上記四角内の防除剤の未処理域に約0.3L/m散布した。1週間後の観察で、多数の死骸が四角内に確認された。
試験例6
1)参考防除剤9の調製
上記試験例1で得られた参考防除剤1を100重量部に対し、発泡剤としてエマールD−3−D(花王社製、陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)3重量部を配合して、参考防除剤9(剤型:ムース剤)を得た。
2)殺蟻試験(現場試験)
参考防除剤9をポンプディスペンサに充填し、泡状(ムース状)の参考防除剤9を、ノズルからアルゼンチンアリが出入りしている巣穴に注入した。これにより、アルゼンチンアリを駆除(殺虫)することができた。
試験例7
1)参考防除剤10〜15および防除剤16〜25の調製
下記表2に示される脂肪酸またはアルコール50重量部にレオドールTW−120V(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、花王社製)50重量部を混合し、その混合物にレオドールTW−120V(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、花王社製)50重量部を混合し、水で25倍希釈して、脂肪酸またはアルコールを2重量%含有する参考防除剤10〜15および防除剤16〜25(剤型:乳剤)を得た。
Figure 0005701353
※1:ISOFOL(登録商標)12(2−ブチル−1−オクタノール、サソール・ジャパン社製)
※2:ISOFOL(登録商標)14T(2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールなどの混合物、サソール・ジャパン社製)
2)防除剤26の調製
ISOFOL(登録商標)14T(2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールなどの混合物、サソール・ジャパン社製)25重量部と、ISOFOL(登録商標)18T(2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−オクチル−1−ドデカノールなどの混合物:サソール・ジャパン製)25重量部とを混合し、その混合物にレオドールTW−120V(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、花王社製)50重量部を混合し、水で25倍希釈して、アルコールを2重量%含有する防除剤26(剤型:乳剤)を得た。
3)殺蟻試験(現場試験)
参考防除剤10〜15および防除剤16〜26を、それぞれ、アルゼンチンアリの生息域30cm四方に渡って約3g噴霧した(但し、参考防除剤15は、約30℃に加温した状態で噴霧した。)。
参考防除剤10〜15および防除剤16〜26に接触したアルゼンチンアリは、即死または転倒した。
試験例8
カプリル酸そのもの(参考防除剤27)、カプリン酸そのもの(参考防除剤28)、オクタノールそのもの(防除剤29)、デカノールそのもの(防除剤30)、ISOFOL(登録商標)12(2−ブチル−1−オクタノール、サソール・ジャパン社製)そのもの(防除剤31)、ISOFOL(登録商標)14T(2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールなどの混合物、サソール・ジャパン社製)そのもの(防除剤32)を、それぞれ、アルゼンチンアリの生息域30cm四方に渡って約1g噴霧した(但し、防除剤28は、約30℃に加温し、溶融状態で噴霧した。)。
参考防除剤27、28および防除剤29〜32に接触したアルゼンチンアリは、即死または転倒した。
試験例9
1)防除剤33の調製
カプリン酸15重量部、ISOFOL(登録商標)14T(2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノールなどの混合物、サソール・ジャパン社製)60重量部およびレオドールTW−120V(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、花王社製)25重量部を混合し、その混合物を水で10倍希釈して、その希釈液と、上記試験例1で得られた参考防除剤1とを1:1の配合割合で配合し、防除剤33を得た。
2)殺蟻試験(現場試験)
防除剤33をアルゼンチンアリの生息域50cm四方に渡って約10g噴霧した。防除剤33に接触したアルゼンチンアリは即死した。さらに、防除剤33を噴霧したアルゼンチンアリの生息域では、噴霧から3ヶ月後において、アルゼンチンアリの再発生は認められなかった。
産業上利用可能性
上述したように、本発明のアルゼンチンアリを、アルゼンチンアリの駆除または予防が必要なところに散布すれば、アルゼンチンアリの大量発生の予防や大量駆除を効果的に実現することができる。

Claims (6)

  1. 炭素数6〜20の直鎖または分岐鎖アルコール(ゲラニオール、シトロネロール、リナロールおよびテトラヒドロリナロールを除く。)の少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする、アルゼンチンアリ防除剤。
  2. 炭素数6〜12の脂肪酸の少なくとも1種を有効成分としてさらに含有することを特徴とする、請求項1のアルゼンチンアリ防除剤。
  3. 前記アルコールが、炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖アルコール(ゲラニオール、シトロネロール、リナロールおよびテトラヒドロリナロールを除く。)であることを特徴とする、請求項1に記載のアルゼンチンアリ防除剤。
  4. 前記脂肪酸が、炭素数8〜10の飽和脂肪酸であることを特徴とする、請求項2に記載のアルゼンチンアリ防除剤。
  5. 炭素数6〜20の直鎖または分岐鎖アルコール(ゲラニオール、シトロネロール、リナロールおよびテトラヒドロリナロールを除く。)の少なくとも1種を有効成分として含有するアルゼンチンアリ防除剤を、散布することを特徴とする、アルゼンチンアリ防除方法。
  6. 炭素数6〜12の脂肪酸の少なくとも1種を有効成分としてさらに含有するアルゼンチンアリ防除剤を、散布することを特徴とする、請求項5のアルゼンチンアリ防除方法。
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