JP2919280B2 - 木材害虫防除剤 - Google Patents
木材害虫防除剤Info
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Description
より詳細には木材が使用された建築物や家具等を侵食す
るシロアリやヒラタキクイムシ等に対して摂食阻害作
用、忌避作用、殺虫作用等の活性を有する木材害虫防除
剤に関する。
リやヒラタキクイムシ等を初めとする木材害虫用の防除
剤としては、一般の殺虫剤として使用されている、例え
ばホキシム、クロルピリホス等の有機リン系殺虫剤、プ
ロポキサー、バッサ等のカルバメート系殺虫剤、アレス
リン、パーメスリン等のピレスロイド系殺虫剤等が挙げ
られる。
あるが、有機リン系やカルバメート系の殺虫剤のなかに
は人体に対するコリンエステラーゼ活性阻害作用を有す
るものがあり、ピレスロイド系殺虫剤では魚毒性の高い
ものが多く、環境汚染の点から十分に安全であるとは言
い難い。また、これら化合物の中には効力の持続性、対
価格性能比等の問題から共力剤であるオクタクロロジプ
ロピルエーテル(以下、S−421と記す)を配合して
市販されているものが多い。このS−421は優れた共
力剤ではあるが、塩素系薬剤として環境汚染の点からそ
の使用を疑問視する声が出ている。
全性の高い脂肪酸エステルが害虫防除剤として使用され
た例としては、全炭素数が10又は11で、かつ常圧下
における沸点が200〜230℃の範囲にある脂肪酸鎖
状エステルの中から選ばれた少なくとも1種を有効成分
として成る羊毛害虫用忌避剤(特開昭58−39603
号公報)が挙げられる。
象がイガ、コイガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツ
オブシムシ等の羊毛害虫であり、シロアリ等の木材害虫
用の防除剤としての検討は全くなされていない。また、
前記脂肪酸鎖状エステルの沸点は200〜230℃の間
にあることが望ましく、それ以上高い沸点では羊毛用害
虫に作用しにくいと記載されているが、木材害虫防除の
場合は効力の持続性の点からは、むしろ高沸点であるこ
とが望ましく、この温度の範囲内にある必要はない。
リン酸ブチルのように一般に可塑剤として大量に使用さ
れ、防虫分野では、防虫用電気マットの防虫剤の輝散速
度を調整するために用いられているものもあるが、木材
害虫用防除剤としての検討は全くなされていない。
く、環境にやさしい木材害虫防除剤を得ることを目的と
して研究を行った結果、高級アルコール及び高級脂肪酸
エステルが人体に対する毒性が低く、環境にもやさしい
木材害虫防除剤であることを見出し本発明を完成するに
至った。
材害虫防除剤は、炭素数8〜14の飽和脂肪族アルコー
ル、及び炭素数1〜18のアルコール類と炭素数1〜1
8のカルボン酸類とからなる炭素数8〜25の脂肪酸エ
ステルから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含
有していることを特徴としている(1)。
(1)記載の木材害虫防除剤において、シロアリ等を対
象木材害虫とすることを特徴としている(2)。
は、炭素数が8以上のOH基を単数又は複数有するもの
が好ましく、その炭素数は8〜14程度が好ましい。前
記高級アルコールの具体例としては、例えばオクタノー
ル、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカ
ノール、トリデカノール、テトラデカノール等が挙げら
れる。これら高級アルコールは、直鎖状のものでも側鎖
をもつものでも構わない。
しては、総炭素数が8〜25の脂肪酸エステルが好まし
い。前記脂肪酸エステルは、炭素数が1〜18のアルコ
ール残基と炭素数が1〜18の脂肪族カルボン酸残基と
からなるものが好ましく、その具体例としては、例えば
ペンタン酸アリル、カプロン酸アリル、ヘプタン酸アリ
ル、カプリル酸アリル、ノナン酸アリル、カプリン酸ア
リル、ノナン酸メチル、ノナン酸エチル、カプリン酸エ
チル、カプリン酸ブチル、カプリン酸ヘプチル、カプリ
ン酸デシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラ
ウリン酸アリル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸ブチ
ル、ラウリン酸アミル、ミリスチン酸メチル、ミリスチ
ン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸アリ
ル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミ
チン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸ア
リル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、オレ
イン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、
酢酸オクタデシル等が挙げられる。これら高級アルコー
ル又は高級脂肪酸エステルは単独で用いてもよく、2種
類以上を併用してもよい。
する場合の薬剤(木材害虫防除剤)中の含有量は0.0
1〜90wt%が好ましく、1〜80wt%がより好ま
しい。また、脂肪酸エステルを有効成分として使用する
場合の薬剤中の含有量は、0.1〜90wt%が好まし
く、1〜80wt%がより好ましい。両者を併用する場
合には、その成分の割合に応じて、含有量を設定すれば
よい。
プリル酸、ノナン酸、カプリン酸、オレイン酸、ラウリ
ン酸等のカルボン酸を有効成分として添加してもよい。
前記カルボン酸は炭素数8〜18のものが好ましく、直
鎖又は枝分かれしたもののどちらでも構わない。また、
前記カルボン酸の薬剤中の好ましい含有量は、0.01
〜90wt%である。
でいる限り、製剤の形態は特に制限されるものではない
が、その形態としては、例えば溶液剤、水和剤、懸濁
剤、分散剤、乳剤、油剤、ローション等の液剤;ペース
ト剤、クリーム等の半固形剤;噴霧剤、エアゾール剤、
塗料等が挙げられる。これらは使用目的や適用部位に応
じて適宜選択することができる。また、これらの製剤は
公知の方法により製造することができる。
成分の効果を阻害しない限り、前記製剤の種類に応じ
て、例えば防虫剤、防腐防カビ剤、樹脂類、溶剤、その
他の添加剤(例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤のよう
な安定剤、乳化剤、着色剤、顔料等)等を含んでいても
よい。
ロルピリホス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオ
ン、イソフェンホス等の有機リン系殺虫剤、サイフルス
リン、パーメスリン、トラロメスリン、フェンバレレー
ト、エトフェンプロックス、Hoe−498等のピレス
ロイド系殺虫剤、イミダクロプリド等のニトログアニジ
ン系殺虫剤、ニトロメチレン系殺虫剤やコハク酸ジブチ
ル、ジエチルトルアミド等の害虫忌避剤、S−421等
の効力増強剤等が挙げられる。
モ-2,3- ジヨード-2- プロペニルエチルカーボナート、
3-ヨード-2- プロピニルブチルカーバメート、2,3,3-ト
リヨードアリルアルコール、パラクロロフェニル-3- ヨ
ードプロパルギルホルマール等の有機ヨード系防腐剤、
2-(4- チアゾリル) ベンズイミダゾール、2-チオシアノ
メチルチオベンゾチアゾール等のベンズイミダゾールお
よびベンゾチアゾール系防腐剤、1-(2-(2',4'-ジクロロ
フェニル)-1,3-ジオキソラン-2- イル- メチル)- 1H-
1,2,4- トリアゾール、1-(2-(2',4'-ジクロロフェニル)
-4-プロピル-1,3- ジオキソラン-2- イル- メチル)- 1
H-1,2,4- トリアゾール、α-(2-(4- クロロフェニル)-
エチル)-α-(1,1-ジメチルエチル)- 1H-1,2,4- トリア
ゾール-1-エタノール等のトリアゾール系防腐剤等が挙
げられる。
アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等が挙げられ
る。
No.7、エクソンナフサNo.6、エクソールD80
(以上、エクソン化学(株)製)等の脂肪族系有機溶
剤、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上、エク
ソン化学(株)製)、日石ハイゾールSAS 296、
日石ハイゾールSAS−LH、アルケンL(以上、日本
石油化学(株)製)、PAD(日鉱石油(株)製)、フ
タル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジアリ
ル等の芳香族系有機溶剤等が挙げられる。
対象となる木材害虫としては、例えばシロアリ目、コウ
チュウ目、ハチ目に属する昆虫が挙げられる。前記シロ
アリ目に属する昆虫の具体例としては、例えばヤマトシ
ロアリ、イエシロアリ等のミゾガシラシロアリ科に属す
るもの、ダイコクシロアリ等のレイビシロアリ科に属す
るものが挙げられる。前記コウチュウ目に属する昆虫の
具体例としては、ヒラタキクイムシ、ナラヒラタキクイ
ムシ、ケヤキヒラタキクイムシ、アラゲヒラタキクイム
シ等のヒラタキクイムシ科に属するもの、ケブカシバン
ムシ、マツザイシバンムシ、クシヒゲシバンムシ、クロ
ノコヒゲシバンムシ、チビキノコシバンムシ等のシバン
ムシ科に属するもの、チビタケナガシンクイムシ、ニホ
ンタケナガシンクイムシ、コナナガシンクイムシ、オオ
ナガシンクイムシ等のナガシンクイムシ科に属するも
の、イエカミキリ等のカミキリムシ科に属するもの、オ
サゾウムシ等のオサゾウムシ科に属するもの、サクセス
キクイムシ等のキクイムシ科に属するものが挙げられ、
その他にタマムシ科やゾウムシ科に属するものが挙げら
れる。前記ハチ目に属する昆虫の具体例としては、例え
ばクマバチ等のコシブトハナバチ科に属するもの、ムネ
アカオオアリ等のアリ科に属するものが挙げられる。本
発明に係る木材害虫防除は、これら昆虫のなかで、特に
シロアリに対して優れた防除効果を発揮する。
した防除方法について説明する。
剤は、種々の形態で使用することができるが、これら種
々の形態の木材害虫防除剤を害虫の侵入源や発生源、例
えば、台所、浴室、居間、床のコーナー部、床下、天
井、柱、壁、土壌等にその効果を十分発揮させることが
できる程度の量だけ存在させておけばよい。その方法と
しては、木材害虫の侵入源や発生源に応じた種々の方
法、例えば、塗布、散布、浸漬、注入、混和、噴霧等が
挙げられる。なお、土壌中に前記木材害虫防除剤を存在
させる場合は、土壌表面への散布、土壌に形成した溝へ
の散布、土壌との混和等の方法を採ることができる。ま
た、前記のように特定の場所に散布等を行うだけでな
く、例えば合成樹脂シート、紙、布等のシート状基剤
に、塗布、浸漬、混練等を行うことにより、前記木材害
虫防除剤を付着あるいは含ませ、この木材害虫防除剤が
付着したシートを木材害虫の侵入箇所や発生箇所に設置
したり、貼り付けることによっても害虫を効果的に防除
することができる。
除剤を使用すると、上記した木材害虫に対する大きな忌
避効果が認められ、あるいは一定の時間以上前記木材害
虫防除剤の存在する近傍で活動すると木材害虫は動けな
くなったり、死亡したりすることが確認されており、特
にシロアリに対する前記効果は顕著である。
は、シロアリやヒラタキクイムシ等の木材害虫に対して
摂食阻害作用、忌避作用、殺虫作用等の活性を有する。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
例1〜5) 実施例及び参考例に係る木材害虫防除剤として下記の表
1及び表2に示したカルボン酸エステル、アルコール
(実施例)、及びカルボン酸(参考例)をそれぞれn−
ヘキサンに対して10重量%となるように添加して前記
化合物を含有する試料溶液を得た。
±2℃で恒量になるまで乾燥させた後、冷却し、供試用
の石英砂とした。次に、この石英砂12gに、前記試料
溶液を各試料の量が石英砂に対して1重量%となるよう
にその表面に均一に付着させ、溶媒(n−ヘキサン)を
輝散させた後、さらにこれらの石英砂に水分を付着さ
せ、それぞれ乾燥石英砂に対する含水率が10重量%と
なるようにした。なお比較例のため、薬剤で処理するこ
となく、前記の場合と同様に水を付着させた石英砂を調
製した。
管連結用の摺り合わせ部を有する2つの有底円筒状のガ
ラス容器(内径5cm、高さ約12cm)を置き、二つ
のガラス容器を連結連通させることのできるガラス管
(内径1.5cm、長さ約10cm)を用意した。前記
ガラス容器及びガラス管は、予め乾燥滅菌しておいた。
次に、一方のガラス容器に薬剤等が付着していない供試
用の石英砂約60gを充填し、他方のガラス容器にはア
カマツ砕片約3gを充填した。さらに、ガラス管の中央
部には、前記した実施例及び参考例に係る試料溶液で処
理した石英砂又は薬剤未処理の石英砂を充填し、このガ
ラス管により前記2つのガラス容器を連結した。そし
て、薬剤等が付着していない供試用の石英砂を充填した
一方のガラス容器中の石英砂の上に、巣から採取したイ
エシロアリ(Coptotermes formosanus)の職蟻200頭
と兵蟻20頭を入れ、この試験装置を温度28±2℃、
湿度70%以上の恒温室に3週間放置した。
砂が充填されたガラス容器に入れたイエシロアリがガラ
ス管を通過して他のアカマツ砕片が充填してあるガラス
容器の方に移動しているか否かを観察した。なお、この
試験は、各試料について3回繰り返した。
液で処理された石英砂を用いた試験においては、イエシ
ロアリの移動は全く観察されなかった。これに対し、薬
剤未処理の石英砂をガラス管に充填した場合には、イエ
シロアリは石英砂を充填したガラス管内を移動し、アカ
マツ砕片に到達していた。このように実施例及び参考例
に係る試料溶液が付着した石英砂はイエシロアリに対す
る強い忌避効果が認められた。
理を行った石英砂及び未処理石英砂を、予め乾燥滅菌し
たシャーレ(直径6cm)にそれぞれ敷き詰めた。次
に、巣から採集したイエシロアリの職蟻10頭を、無作
為にこれら石英砂の上に置いた。次に、水が入れられた
容器に各シャーレを入れ、その容器を温度28±2℃の
恒温室に1週間静置し、1日後と1週間後にそれぞれイ
エシロアリの健康状態を観察した。その結果を下記の表
1及び表2に示している。なお、比較例1は試料溶液を
付着させていない石英砂を使用した場合を示している。
に、一部(カプリン酸ヘプチル、カプリン酸デシル、オ
レイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチ
ル、酢酸オクタデシル、テトラデカノール)の薬剤を使
用したものでは、イエシロアリが一週間後も全て健全な
ままの状態でいたものもあったが、実施例及び参考例に
係る試料溶液で処理された石英砂を用いた場合には、一
日後又は一週間後に大部分が死亡に至っており、単に忌
避の効果だけでなく、イエシロアリを殺生し又は正常な
活動機能を阻害する効果を有することが実証された。
イエシロアリを殺生し又は正常な活動機能を阻害する程
の効果はないものの、上記の試験例1により強い忌避効
果があることが実証された。
虫防除剤は、炭素数8〜14の飽和脂肪族アルコール、
及び炭素数1〜18のアルコール類と炭素数1〜18の
カルボン酸類とからなる炭素数8〜25の脂肪酸エステ
ルから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有し
ているので、木材害虫に対して摂食阻害作用、忌避作
用、殺虫作用等の活性を有する。
アリ等に対し、より確実な摂食阻害作用、忌避作用、殺
虫作用等の活性を有する。
Claims (2)
- 【請求項1】 炭素数8〜14の飽和脂肪族アルコー
ル、及び炭素数1〜18のアルコール類と炭素数1〜1
8のカルボン酸類とからなる炭素数8〜25の脂肪酸エ
ステルから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含
有している木材害虫防除剤。 - 【請求項2】 シロアリを対象木材害虫とする請求項1
記載の木材害虫防除剤。
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