JP4911545B2 - 遊技機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機、スロット遊技機等の遊技機において、当たりもしくは大当たりと称されるような所定の遊技価値を付与する遊技制御を行う遊技機の制御装置に関し、さらに詳しくは、このような所定の遊技価値を付与する遊技制御を開始する条件設定に特徴を有する遊技機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、パチンコ遊技機は遊技盤の前面に複数の入賞具を有した遊技領域を形成して構成され、遊技領域内に打ち出されて落下移動する遊技球が入賞具内に入ったときに所定個数(例えば、5個、10個もしくは13個)の賞球を払い出すように構成された遊技具である。このような入賞具として、一つの入賞球に対して一回の所定個数の賞球の払い出しのみを行わせたり、入賞に応じていわゆるチューリップを開放して次の入賞を容易としたり、所定の遊技条件の下でいわゆる大入賞口を開放して特別遊技状態を成立させて大量の入賞球の獲得を可能としたりするものがある。
【0003】
特別遊技状態は遊技領域内に設けられた所定の入賞具への入賞に応じて、遊技領域を構成する遊技盤の中央部に設けられた液晶表示装置(図柄表示装置)により図柄を変動表示させ、この変動図柄が停止したときの停止図柄の種類に応じて当たり遊技状態を成立させるように構成されている。例えば、図柄表示装置においてスロットマシーンの三つの回転ドラムのように数字等が回転変動する表示を行い、三つの回転ドラムが停止したときの数字が一致する停止図柄となったときに特別遊技状態(大当たり遊技状態)を成立させるような構成となっている。このようにして特別遊技状態が成立したときには、遊技領域の下部に設けられた大入賞口を開放して遊技球の入賞が容易となる状態となし、遊技者が大量の遊技球を獲得できるようになっている。
【0004】
このような停止図柄を決定するために、制御演算器(CPU)、メモリ(RAM,ROM)、乱数カウンタ等を有して構成される遊技制御装置がパチンコ遊技機に設けられている。この遊技制御装置では、乱数カウンタは例えば0から所定数まで1ずつ増加する乱数を所定周期で発生し、この乱数がRAM内に更新しながら記憶され、特別遊技用入賞具に遊技球が入賞したときにRAMに更新記憶された乱数が予め設定された値と一致するときに特別遊技状態を成立させるように構成されている。すなわち、上記のように三つの回転ドラムが停止したときの数字が一致する停止図柄を表示させて特別遊技状態を成立させるか否かが、特別遊技用入賞具に遊技球が入賞したときの乱数値が予め設定された値と一致するか否かということに基づいて決定され、一致したときに、上述したように三つの回転ドラムの停止図柄を一致させる表示が行われて、特別遊技状態を成立させる制御が行われる。
【0005】
上記乱数カウンタは0から所定数まで1ずつ増加するとともに所定数に達した時点で0に戻って再び1ずつ増加する乱数といったように、所定の規則性を有して乱数を発生させるものであるため、特別遊技状態が成立した時点と乱数の発生周期が分かれば、特別遊技状態を成立させるような遊技球の入賞信号を外部から制御演算器に与えて任意に特別遊技状態を発生させるような不正な制御が可能である。例えば、乱数の取得タイミングを常時監視し、遊技球が所定の入賞具に入賞して特別遊技状態を成立したときの時間を検出すれば、これ以降は乱数の発生周期に応じて特別遊技状態を発生させるタイミングで擬似入賞信号を制御演算器に出力することにより、任意に特別遊技状態を成立させるような不正な制御が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
最近、このような原理を悪用する「ぶら下げ基板」と称される不正基板を遊技機の裏面等に取り付け、このぶら下げ基板により擬似入賞信号を制御演算器に与えて特別遊技状態を発生させ、不正に多量の入賞球を獲得するという問題が発生した。そこで、このような不正に対する対策方法として、乱数を不規則に発生させることが提案されている(例えば、特開2001−29580号公報)。
【0007】
しかしながら、このように不規則に乱数を発生させる場合でも、制御装置自体をリセットすると記憶手段(RAM等)に記憶された乱数値が初期値(0)にリセットされ、再度この初期値から乱数カウントが開始される、すなわち、リセット後の初期値は常に同一となるため、ぶら下げ基板によりリセット信号を出力させた後に所定のタイミングで擬似入賞信号を送出して、任意に特別遊技状態を発生させるといった不正が発生した。
【0008】
このような不正に対する対策の一つとして、特開平11−70254号公報には、遊技機の電源がオフの状態でもカウンタ値を記憶可能なEEPROMを設け、遊技機の電源をオンとしたときにRAMの初期化(例えば、カウンタ値を初期値に戻す処理)を行うとともにEEPROMに記憶されている値をカウンタ値の初期値として設定し、このように設定された初期値から乱数カウンタによる乱数の設定を行わせることが提案されている。また、特開平11−70256号公報には、電源のオフ後もカウントを継続する手段(RTC : Real Time Counter)を設け、電源をオンとしたときにRAMの初期化を行うとともにRTCにより電源オフ後もカウントされている乱数をカウンタ値の初期値として設定し、このように設定された初期値から乱数カウンタによる乱数の設定を行うことが提案されている。
【0009】
このような提案によれば、ぶら下げ基板によりリセット信号が出力されてRAMの値がリセットされても、RAMに設定されるカウンタ値の初期値は上記のようにEEPROMもしくはRTCにより設定された乱数に置き換えられるため、ぶら下げ基板は乱数値をこれに合わせて設定することができず、不正に特別遊技状態を設定するようなことを防止できる。しかしながら、この場合には、電源オフ後においても直前の乱数値を記憶保持するEEPROMや、電源オフ後も乱数カウントを継続するRTC(Real Time Counter) を必要とするなど、制御基板そのものの構成を変更する必要がある。このため、制御基板のコストアップに繋がるという問題があり、さらに、EEPROMを使用した場合は、EEPROM自体を取り替えて不正を行うおそれや、乱数カウンタ値の書き換え速度が遅く遊技制御処理時間を圧迫することがあり、RTCを使用した場合は、バックアップ用電源の強力化が必要となるという問題点がある。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、いわゆる「ぶら下げ基板」等を用いた不正に対して、制御基板の構成変更を行うことなく制御ソフトにより対処可能な遊技機の制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明に係る遊技機の制御装置は、乱数カウンタ値を記憶する書き換え可能な記憶手段と、この記憶手段に記憶された乱数カウンタ値を所定の規則性を有した演算の結果に基づいて更新する乱数カウンタ更新手段と、所定のタイミングで記憶手段に記憶された乱数を読み取って抽選値を求め、この読み取った抽選値が予め設定された値と一致するときに所定の遊技価値を付与する遊技制御を行う演算制御器とを有して構成され、リセット信号に応じて記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値を初期値にセットする初期値設定手段をさらに有している。そして、乱数カウンタ更新手段は、演算制御器に備えられて、演算制御器により所定時間間隔で、記憶手段に記憶された乱数カウンタ値を所定の規則性を有した演算の結果に基づいて更新し、初期値設定手段は、演算制御器に備えられて、演算制御器によるリセットのための割込処理により、リセット信号を受けたときに、記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値を演算制御器内のレジスタに記憶した後に記憶手段を初期化し(すなわち、常に一定の値、例えば零に設定し)、次に、レジスタに記憶した乱数カウンタ値を記憶手段に記憶される乱数カウンタ値の初期値としてセットする。
【0012】
このような構成の遊技機の制御装置を用いれば、「ぶら下げ基板」が不正に取り付けられ、ぶら下げ基板からのリセット信号により制御装置がリセットされる場合でも、初期値設定手段はリセット直前の乱数カウンタ値(記憶手段に更新記憶されている値)をレジスタに記憶した後に記憶手段(例えば、RAM)等を初期化し、このように初期化された記憶手段にレジスタに記憶した乱数カウンタ値を初期値としてセットするため、リセット後の乱数カウンタ値の初期値はランダムとなり、ぶら下げ基板が用いられてもこれにより特別遊技状態を発生するタイミングを把握することが不可能となる。この結果、ぶら下げ基板による不正を確実に防止することができる。
【0013】
なお、制御装置に対する電源供給が遮断されたときに、記憶手段に電力を供給してその記憶内容を保持させるためのバックアップ電源を設けるのが好ましい。このようにすれば、電源オフからオンにされたときにおいても、リセット時と同様にしてバックアップ電源により継続して記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値をレジスタに記憶させた後に記憶手段をリセットし、レジスタの記憶値を記憶手段の初期値として置き換えて初期値をセットし直すことができ、電源オン時における乱数カウンタ値の初期値もランダムに設定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る制御装置により制御される遊技機の代表例としてのパチンコ機PMの外観を図1〜図3に示している。なお、図1においては、プリペイドカードにより遊技球の払い出しを行うプリペイドカードユニットPCUをパチンコ機PMの側部に取り付けた状態を示している。
【0018】
パチンコ機PMは、その基本構成として、方形枠状に形成された木製もしくはプラスチック製の外枠1と、この外枠1の前面を覆って取り付けられた前枠2とを有する。外枠1は上枠板1a、左右枠板1b,1c、底枠板1dから方形枠状に構成され、下部前面に幕板1eが設けられるとともに幕板1eの裏側に補強連桿1fが取り付けられている。前枠2は、外枠1における底枠板1dおよび幕板1eの前面を除く外枠1の前面を覆う方形枠状に構成され、外枠1の正面左側上下部においてヒンジ部材3a,3bにより開閉および着脱自在に取り付けられている。前枠2の正面右側に施錠装置4が設けられており、ヒンジ部材3a,3bにより開閉自在に支持された前枠2が外枠1の前面を覆って閉止された状態で施錠装置4により外枠1と係合され、閉止状態のまま保持されるような構成となっている。
【0019】
前枠2の前面にはその上部を開閉自在に覆う方形状のガラス扉5が取り付けられており、施錠装置4により前枠2の前面を覆う閉止状態で保持される。方形枠状の前枠2の裏側に一体に繋がって方形枠状の収容枠6が形成されており、この収容枠6によりその詳細構造を後述する遊技盤10が着脱交換可能に収容保持される。このように収容枠6により遊技盤10が保持された状態で、収容枠6の枠開口から遊技盤10の前面の遊技領域11をガラス扉5のガラス板5aに所定間隔をおいて臨ませており、遊技領域11の前面とガラス扉5のガラス板5aの内面との間に遊技球が落下移動する遊技領域空間が形成されている。また、前枠2の下部には、上下の球皿7a,7bや、打球発射装置8が図示のように設けられている。
【0020】
遊技盤10は方形状のベニヤ板の前面に樹脂シートからなるセル板を貼付して構成されており、収容枠6の収容面域内に裏面側から装着され、収容枠6の後面側周囲に配設された複数の係合レバー12により固定保持される。遊技盤10の前面には所定の図柄が施されたセル板が接着貼付されており、その上に図4に示すように略円形状の外レール13aおよび内レール13bが取り付けられている。これら外および内レール13a,13bに囲まれて遊技盤10の前面に遊技領域11が形成されており、遊技領域11内に各種の遊技部品と多数本の遊技釘(図示の容易化のため遊技釘は図示せず)が配設されている。打球発射装置8により発射される遊技球は両レール13a,13bの間の通路13cを通って遊技領域11内に打ち出され、遊技領域11の前面とガラス板5aとの間の遊技領域空間内を落下移動する。
【0021】
パチンコ機PMは、このように遊技領域11の前面の遊技領域空間を落下移動する遊技球を遊技釘により弾いたり、導いたりして落下方向をランダムに変え、移動途中で入賞具に入賞したときにこの入賞に応じて賞球の支払いを行うように構成されている。このため、遊技領域11には、回転自在に取り付けられた左右の上風車14a,14b、左右の下風車14c,14d、左右の通過ゲート15a,15b、左右の一般入賞具16a,16b、下部中央に位置する電動チューリップ式の始動入賞具17、その上側に位置する表示装置20、下部に位置するアタッカー装置30等からなる遊技部品が図示のように設けられている。また、遊技領域11の最下部には入賞具に入賞しなかったアウト球を排出するアウト口18が設けられている。さらに、遊技領域11の左右に入賞時等に点灯、点滅表示を行う複数のLEDを有した左右ランプ飾り19a,19bが設けられている。
【0022】
左右の通過ゲート15a,15bはそれぞれ落下する遊技球がここを通過することができるように上下に貫通する通路を有し、ここを通過する遊技球の有無を検出する通過センサ15c,15dを内蔵している。一般入賞具16a,16bは遊技球が上方から入り込む入賞開口を有しており、遊技球がここに入賞したときに所定の数(例えば、10個)の賞球が上もしくは下の球皿7a,7bに払い出される。一般入賞具16a,16bはここへの遊技球の入賞の有無を検出する入賞検出センサ16c,16dを内蔵している
【0023】
始動入賞具17はいわゆる電動チューリップ構成の入賞具からなり、内部に配設された羽根開閉ソレノイド機構17d(図示せず)により左右のチューリップ羽根17a,17bを開閉させることができる。この始動入賞具17において、破線で示すように左右のチューリップ羽根17a,17bが閉じた状態では上方に向いた狭い開口からのみ遊技球の入賞が可能であるが、所定の条件下でチューリップ羽根17a,17bが左右に開いて遊技球が入賞しやすい状態となる。始動入賞具17は遊技球の入賞を検出する入賞検出センサ17cを内蔵しており、遊技球の入賞を検出すると、所定条件の下で後述するように表示装置20において特別変動図柄の変動表示を開始させる。なお、始動入賞具17に遊技球が入賞したときにも所定の数(例えば、5個)の入賞球が上もしくは下の球皿7a,7bに払い出される。
【0024】
表示装置20は、ランプ飾り21に囲まれて中央に液晶表示器22が設けられており、遊技中において液晶表示器22の画面に種々の表示がなされる。ランプ飾り21は複数のLEDを内蔵しており、入賞時に点灯、点滅表示を行う。さらに、ランプ飾り21にはLEDによる点灯表示が行われる4個の特別図柄変動記憶表示部23が設けられている。
【0025】
アタッカー装置30は、図5〜図8にその構成を詳しく示すように、遊技盤10の開口に装着される装置枠31を有して構成される。この装置枠31の下部中央に補助変動表示器32が設けられるとともにその周囲にLEDによる点灯表示が行われる4個の補助図柄変動記憶表示部33が設けられている。装置枠31の左右には一般入賞具34a,34bが設けられており、その上方に開口して形成された入賞口に遊技球が入賞すると所定の数(例えば、10個)の賞球が上もしくは下の球皿7a,7bに払い出される。この一般入賞具34a,34bにも遊技球の入賞を検出する入賞検出センサ34c,34dが内蔵されている。
【0026】
装置枠31の中央に長方形状の開口からなる大入賞口31aが形成されており、この大入賞口31aを開閉自在に覆って開閉扉35が取り付けられている。開閉扉35は扉開放ソレノイド機構36により開放されるようになっており、大入賞口31aの内部には、特定領域を構成する第1入賞口37aと、非特定領域を構成する第2入賞口37bと、左右に揺動制御される特定領域誘導板38とが設けられている。これら第1および第2入賞口37a,37bに遊技球が入賞すると所定の数(例えば、13個)の賞球が上もしくは下の球皿7a,7bに払い出される。これら第1および第2入賞口37a,37b内には遊技球の入賞の有無を検出する入賞検出センサ37c,37dが内蔵されている。特定領域誘導板38は電気駆動される誘導板駆動機構38aを内蔵しており、この誘導板駆動機構38aにより、第1入賞口37a側への入賞割合が低くなる特定領域誘導位置と、第2入賞口37b側への入賞割合が低くなる非特定領域誘導位置とに揺動移動されるように構成されている。
【0027】
開閉扉35は、通常は扉開放ソレノイド機構36が非作動で、図5に示すように大入賞口31aを覆って閉止された状態となっており、遊技領域空間を落下移動する遊技球が大入賞口31aに入り込むことができない状態となっている。そして、遊技中において所定の遊技条件の下で特別遊技状態が成立したときに、扉開放ソレノイド機構36が作動され、図6〜図8に示すように開閉扉35が前方にほぼ90度倒されて大入賞口31aが開放される。この状態では、遊技領域空間を落下移動する遊技球は開閉扉35に受け止められて大入賞口31a内に導かれるため、遊技球は第1および第2入賞口37a,37bに非常に入賞しやすい状態となる。なお、このとき、特定領域誘導板38が特定領域誘導位置および非特定領域誘導位置のいずれにあるかに応じて、第1および第2入賞口37a,37bのいずれか一方に入りやすくなる。
【0028】
以上のような構成の遊技盤10が取り付けられた前枠2の裏面側には、外枠1に囲まれた領域内に位置して裏機構BMが設けられている。裏機構BMは、全体として収容枠の背面外郭サイズに合わせたほぼ方形状に形成され、収容枠6の背面の上部側に装備されて遊技球の貯留・供給処理を行う球貯留供給機構50や、収容枠6の背面の中央部および下方部にかけて装備されて遊技球の排出および払い出し処理を行う球払い出し機構40等を有して一体に構成される。
【0029】
裏機構BMは、さらに、球貯留供給機構50の隣に位置して配設されたターミナル制御部57と、球払い出し機構40の上(背面側)にこれを覆うようにして配設されたゲーム制御基板58a,58bとを有している。ターミナル制御部57は、遊技ホール側からの電源供給ライン、パチンコゲーム内容の情報を送受する信号ライン等が繋がっており、電源および信号の入出力制御を行う。ゲーム制御基板58a,58bは基板上にCPU,RAM,ROM等の種々の電子部品を搭載して構成され、後述するようなパチンコゲームの制御を行う。なお、裏機構BMの中央部に開口が形成されており、遊技盤10に設けられた表示装置20の裏面側の表示制御基板25がこの開口内に位置している。この表示制御基板25はゲーム制御基板58a,58bからの信号に基づいて表示装置20を構成する液晶表示器22に所定の表示を行うためのものであり、後述する特別図柄の表示等の制御を行う。
【0030】
このような構成の裏機構BMはヒンジ55a,55bにより開閉自在となって前枠2の裏面側に取り付けられており、前枠2の裏面を覆う閉止状態で閉止レバー56a,56b,56cにより係止保持される。
【0031】
上記裏機構BMを構成する球貯留供給機構50の断面構造を図9に示しており、予備賞球用のタンク部材51、タンク部材51内に貯留された予備賞球を整列して供給させる整列樋部材52を有して構成される。タンク部材51は、機外の補給装置(図示せず)から供給される相当数の遊技球を予備賞球として貯留して下端の球出口から排出し得るようになっている。整列樋部材52は、タンク部材51の球出口の下方にこれと対向して予備賞球の受け入れ口が位置するようにして取り付けられ、所要の球流れ勾配を有している。この整列樋部材52は、タンク部材51から供給された予備賞球Bを二列の賞球路52a内に整列状に収容して、偏向出口52bに送り出すようになっている。
【0032】
球払い出し機構40は、図10に示すように、球貯留供給機構51と一体に繋がった開閉機枠体41を有して構成される。この開閉機枠体41には、遊技済み球(入賞球すなわちセーフ球と、アウト球)の集合排出経路42、排出された賞球を球皿側に送り出す賞球排出経路43、球貯留供給機構50から送られてくる賞球の流入通路44等が設けられており、さらに、賞球の流入通路44に設けられた球払い出し装置45やその他の関連機構、部材等が装備されている。
【0033】
集合排出経路42は、上方部に区画形成された球受け室48aと、この球受け室48aの下部に合わせて開口された球通口48bとに連絡しており、遊技盤10のアウト口18から転出されたアウト球と各入賞具から転出されたセーフ球とを球受け室48a内に受け入れ、最終的には集合排出経路42の下端出口から機裏側へ排出するようになっている。
【0034】
賞球排出経路43は、背面側上部から下方に亘って区画形成された賞球路43aと、この賞球路43aの上方に開口連通された上球出口43bと、賞球路43aの下端に開口された下球出口43cとを有する。賞球排出経路43においては、球払い出し装置45から払い出された賞球を、賞球路43aの上方から上球出口43bを介して上の球皿7aへ排出する。さらに、上球出口43bの周辺から溢れ出た余剰賞球は賞球路43aを通って下球出口43cから下の球皿7bへ排出する。なお、この賞球排出経路43では、下球出口43cの近傍に取り付けられた球感知レバー49aと、このレバー49aにより押動されるスイッチ49bとを有し、賞球排出経路43内の賞球充満状態を検知できるようになっている。
【0035】
以上のように構成されたパチンコ機PMにおいて、ゲーム制御基板58a,58b等によりゲームの制御が行われるが、この制御装置について以下に説明する。まず、制御装置の構成を図11に示しており、この制御装置は裏機構BMを構成するゲーム制御基板58a,58b等から構成されるコントロールユニット60を有する。
【0036】
コントロールユニット60には、各種検出器70からの検出信号が入力ポート60aを介して入力される。この各種検出器70としては、例えば、一般入賞具16a,16bに内蔵された入賞検出センサ16c,16d、アタッカー装置30に設けられた一般入賞具34a,34bに内蔵された入賞検出センサ34c,34d、左通過ゲート15aに内蔵された通過センサ15c、右通過ゲート15bに内蔵された通過センサ15d、始動入賞具17に内蔵された入賞検出センサ17c、アタッカー装置30の第1入賞口37aに内蔵された入賞検出センサ37c、第2入賞口37bに内蔵された入賞検出センサ37d等があり、これらから検出信号がコントロールユニット60に入力される。
【0037】
コントロールユニット60はこれら入力信号に応じて各種作動制御を行うものであり、この制御対象としては、例えば、賞球の払い出しを行う球払い出し装置45と、始動入賞具17のチューリップ羽根17a,17bの開閉制御を行う羽根開閉ソレノイド機構17dと、アタッカー装置30の開閉扉35を開放させる扉開放ソレノイド機構36と、特定領域誘導板38を揺動させる誘導板駆動機構38aと、表示装置20を構成する液晶表示器22と、特別図柄変動記憶表示部23と、アタッカー装置30に設けられた補助変動表示器32と、補助図柄変動記憶表示部33とがあり、これらがコントロールユニット60により作動制御される。
【0038】
但し、これら制御対象においては、図11に示すように、出力ポート60bを介して出力される制御信号に応じて作動される図柄表示装置71、ランプ点滅装置72、サウンド装置73、遊技作動制御装置74により各種作動の制御がなされる。例えば、球払い出し装置45、羽根開閉ソレノイド機構17d、扉開放ソレノイド機構36および誘導板駆動機構38aは遊技作動制御装置74により作動が制御される。また、液晶表示器22、特別図柄変動記憶表示部23、補助変動表示器32および補助図柄変動記憶表示部33は図柄表示装置71により表示制御がなされ、これと同時にランプ点滅装置72により遊技領域内のランプ飾り19a,19b,21等の点滅制御がなされ、サウンド装置73により図示しないスピーカから所定のサウンドを発生させる制御がなされる。
【0039】
コントロールユニット60は、図11に示すように、CPU(演算制御器)61と、プログラムなどを記憶したROM62と、制御中における種々のデータ等を一時的に保存するRAM63(書き換え可能な記憶手段)と、RAM63の記憶データを電源スイッチオフ後においても保持させるためのバックアップ電源64とを備えて構成される。なお、この図に示すROM62およびRAM63は複数の記憶領域を有し、これら複数の記憶領域のうちには図示のように乱数カウンタ値を更新記憶する乱数カウンタ部63aを備えるものがあり、CPU61による割込処理により所定時間間隔で乱数カウンタ部63aの乱数カウンタ値が1ずつ増加された値に更新記憶されるようになっている。なお、この乱数カウンタ値は0〜上限値(例えば、630)までの整数からなり、初期値0からCPUによる割込処理毎に1ずつ増加する値が乱数カウンタ値として発生されるとともにこれが乱数カウンタ部63aに更新記憶され、この乱数カウンタ値が上限値に到達したときに初期値0に戻され、以下同様にして1ずつ増加する値が更新記憶される。
【0040】
コントロールユニット60は電源回路66からの電力供給を受けて作動されるように構成されている。また、このように電源回路66からの電力供給を開始するとき(電源投入時)にRAM63を初期値にリセットするリセット信号を出力するリセット回路68が設けられている。
【0041】
このような構成の制御装置において、コントロールユニット60によるゲーム制御内容について説明する。パチンコ機PMを用いたゲームでは、上の球皿7aに遊技球を投入して打球発射装置8の発射ハンドルを手で操作し、遊技球を一球ずつ遊技領域11内に射出する。これに応じて遊技球は、遊技領域11の前面とガラス板5aの内面とに挟まれた遊技領域空間内を遊技釘や風車14a〜14d等に反発されたり、ガイドされたりしてランダムに移動方向を変えながら下方に落下移動する。
【0042】
この落下移動のときに、遊技球がいずれかの一般入賞具16a,16b,34a,34b内に入賞すると、その入賞が入賞検出センサ16c,16d,34c,34dにより検出され、その検出信号がコントロールユニット60に送られる。この検出信号を受けるとコントロールユニット60から球払い出し装置45に作動信号が出力され、球払い出し装置45が作動して、各入賞球に対して所定数(例えば、10球)の賞球を上もしくは下の球皿7a,7bに払い出す。
【0043】
一方、遊技領域空間を落下移動する遊技球が左通過ゲート15aを通過すると、これが通過センサ15cにより検出されて検出信号がコントロールユニット60に送られる。コントロールユニット60はこの通過検出信号に基づいて、図12のフローに示すチューリップ開放制御S10を行う。この制御においては、通過センサ15cにより遊技球が左通過ゲート15aを通過したという検出がなされてその検出信号が入力される(ステップS11)と、ステップS12に進み、一桁の数字を変動させながら表示する補助変動表示器32の表示において、この一桁の数字から停止図柄となる数字を乱数抽選により決定し、補助変動表示器32を作動させる(ステップS13)。なお、この乱数抽選は通過センサ15cにより遊技球が左通過ゲート15aを通過したという検出がなされたときに、チューリップ開放抽選用の乱数カウンタ値を更新記憶しているRAM63の乱数カウンタ部63aから記憶されている乱数カウンタ値を抽選値として読み取り、この抽選値が予め設定されている当たりとなる所定の数(例えば、7)と一致するかということに基づいて行われる。これにより補助変動表示器32において一桁の数字を変動させながら表示し、所定時間の後にステップS12において決定した停止図柄を補助変動表示器32に表示させる(ステップS14)。
【0044】
そして、このように決定された停止図柄が当たりとなる所定の数(例えば、7)であるか否かを判断し(ステップS15)、停止図柄が所定の数(例えば、7)であるときにはステップS16に進み、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ羽根開閉ソレノイド機構17dを作動させてチューリップ羽根17a,17bを開放させる。なお、停止図柄が所定の数以外のときにはチューリップ開放制御は行わずこのままフローを終了する。
【0045】
上記のようにしてチューリップ開放制御S10を行っている間に別の遊技球が左通過ゲート15aを通過することがある。このときに通過センサ15cから通過検出信号がコントロールユニット60に入力されると、コントロールユニット60はこれをRAM63の一つから構成されるチューリップ開放制御回数メモリに記憶するとともに4個のLEDからなる補助図柄変動記憶表示部33の一つを点灯させる。そして、上記チューリップ開放制御S10が完了した時点で、チューリップ開放制御回数メモリの記憶に対応したチューリップ開放制御S10を行う。但し、この制御開始に伴い、チューリップ開放制御回数メモリの記憶を消去するとともに補助図柄変動表示部33の点灯表示を消灯させる。このようなチューリップ開放制御回数メモリへの記憶および補助図柄変動表示部33での点灯表示は、同時に4個の通過検出まで可能であり、5個目の通過は無視される。すなわち、チューリップ開放制御S10の間に左通過ゲート15aを4個の遊技球が通過するまではそれを記憶して保留しておくが、それ以上の遊技球が通過しても制御上では記憶されずに無視される。このため、補助図柄変動記憶表示部33は四個のLED表示から構成されている。
【0046】
このようにしてチューリップ羽根17a,17bが開放された状態で、もしくはチューリップ羽根17a,17bが閉じられた状態で始動入賞具17に遊技球が入賞した場合には、特別遊技制御手段65により、図13に示す特別遊技設定制御S20が行われる。なお、このように特別遊技設定制御が行われるまでの、上述した遊技を通常遊技と称する。この制御においては、始動入賞具17への遊技球の入賞が入賞検出器17cにより検出される(ステップS21)と、まずこの入賞に対して特別遊技状態を発生させるか否かの乱数抽選を行う(ステップS22)とともに賞球払い出し制御手段64により所定の数(例えば、5個)の賞球を上もしくは下球皿7a,7bに払い出す制御を行う(ステップS23)。この乱数抽選は、始動入賞具17への遊技球の入賞が入賞検出器17cにより検出されたときに、特別遊技開始抽選用の乱数カウンタ値を更新記憶しているRAM63の乱数カウンタ部63aから記憶されている乱数カウンタ値を抽選値として読み取り、この抽選値が予め設定されている当たりとなる所定の数と一致するかということに基づいて行われる。
【0047】
これと同時に遊技盤10に配設された表示装置20における液晶表示器22を作動させて、液晶表示器22の画面に特別図柄を変動表示させる制御を行う(ステップS24)。これは、あたかもスロットマシーンの三つの回転ドラムが回転するように、各回転ドラムに設けられた数字、文字、絵等の特別図柄がドラムの回転に応じて変動するように液晶表示画面上に表示するものである。
【0048】
このような特別図柄の変動表示を所定時間行った後、ステップS22における抽選結果に応じて所定の停止図柄を液晶表示器22に表示させる(ステップS25)。この停止図柄を表示させる過程において、種々の動画表示や、通称リーチと称されるような遊技者の興味を引いて楽しませる表示となる種々の演出パターンが行われる。この演出パターンは、例えば、三つの図柄のうちの二つの図柄が停止表示され、これら二つの停止図柄が一致するときに、残りの図柄を停止表示して三つの停止図柄を確定させるまでの間において行われる種々の演出パターンであり、これにより遊技者に停止図柄に対する期待を持たせ、遊技性を高めるようにしている。この演出パターンはROM62内の演出パターンメモリに予め設定記憶されており、これをステップS22における乱数抽選結果に基づいて読み出して行われるが、これについての説明は省略する。
【0049】
ここで、ステップS22における抽選結果が当たりであるときには、ステップS25において液晶表示器22に当たり図柄(例えば、三つのドラムに対応する数字が同一となる図柄)が停止表示されて、ステップS26からステップS27に進む。一方、抽選結果が外れであるときにはステップS25において液晶表示器22に外れ図柄(例えば、三つのドラムに対応する数字が相違する図柄)が停止表示され、ステップS26からこの制御を終了する。ステップS22における抽選結果が外れの場合には、このような表示がなされて特別遊技状態から通常遊技状態に戻る。
【0050】
ところで、ステップS22における抽選結果が当たりでステップS26からステップS27に進んだ場合には、ステップS22での抽選結果に基づいて表示される当たり図柄が特定図柄であるか、非特定図柄であるかが判断され、特定図柄のときにはステップS30の第1特別遊技制御が行われ、非特定図柄のときにはステップS40の第2特別遊技制御が行われる。特定図柄とは、例えば、停止図柄となる三つの図柄が所定の文字、絵もしくは7の数字で一致する図柄であり、非特定図柄とは、例えば、停止図柄となる三つの図柄が7以外の数字で一致する図柄である。
【0051】
そこで、ステップS30の第1特別遊技制御について、図14を参照して説明する。第1特別遊技制御は単位遊技を所定回数(例えば、14回)だけ実行可能な特別遊技状態を成立させる制御であり、まず最初に単位遊技を終了させるための単位遊技終了条件を選択する(ステップS31)。単位遊技終了条件は、開閉扉35が開放されて大入賞口31aから第1および第2入賞口37a,37bに入賞する入賞球数と、特定領域すなわち第1入賞口37aに入賞で単位遊技を終了させるか否かという条件と、制限時間とに応じて予め設定されており、ステップS31においてはこの単位遊技終了条件を読み出す。
【0052】
このようにして単位遊技終了条件が選択されるとステップS32に進み、扉開放ソレノイド機構36を作動させてアタッカー装置30の開閉扉35を開放させて第1回目の単位遊技を開始させる。開閉扉35が開放されると、図6〜図8に示す状態となり、開閉扉35は前方に約90度倒れ、遊技領域空間を落下移動する遊技球は開閉扉35に受け止められて大入賞口31aから第1および第2入賞口37a,37b内に非常に入賞しやすい状態となる。このような状態で第1もしくは第2入賞口37a,37b内に遊技球が入賞すると、賞球払い出し制御手段64により、この入賞球に対して所定の数(例えば、13個)の賞球が上もしくは下の球皿7a,7bに払い出される。
【0053】
このとき、特定領域誘導板38が特定領域誘導位置に揺動移動されているときには、特定領域すなわち第1入賞口37aに入賞しやすく、非特定領域誘導位置に揺動移動されているときには、非特定領域すなわち第2入賞口37bに入賞しやすくなる。ここでは、誘導板駆動機構38aにより、開閉扉35が開放された時点においては特定領域誘導位置に揺動移動されて第1入賞口37aに入賞しやすく設定され、第1入賞口37aに遊技球が入賞した時点から後においては非特定領域誘導位置に揺動移動される。
【0054】
このようにして第1回目の単位遊技が開始されると、上記のようにしてステップS31において選択された単位遊技終了条件の達成の有無が判断され(ステップS33)、単位遊技終了条件が達成されるまではステップS32の作動が継続される。
【0055】
上記のようにしてステップS32の作動の下で単位遊技が行われ、ステップS31で選択した単位遊技終了条件を達成したとステップS33において判断されると、ステップS34において開閉扉35を閉止した後、ステップS35において継続条件が達成されているかを判断する。この継続条件とは、単位遊技中に特定領域すなわち第1入賞口37aに遊技球が入賞したか否かという条件であり、単位遊技中に特定領域への入賞があった場合にのみ継続条件が達成されたと判断される。このため、特定領域への入賞がないまま単位遊技が終了された場合には、ステップS35からステップS37に進み、このまま今回の特別遊技を終了させる制御が行われる。
【0056】
一方、ステップS34において継続条件が成立したと判断された場合(今回の単位遊技中に特定領域へ少なくとも一つの入賞球があった場合)には、ステップS36に進む。そして、今回の第1特別遊技状態を開始した後における単位遊技の繰り返し回数(ラウンド数)が14回となるまではステップS32に戻り、次の単位遊技を行わせる。このようにして単位遊技が14回繰り返されたときには、ステップS36からステップS37に進み、今回の第1特別遊技状態を終了させる。
【0057】
ステップS40の第2特別遊技制御も上記第1特別遊技とほぼ同一の制御が行われる。このため、その説明は省略するが、第1特別遊技制御と第2特別遊技制御とは、単位遊技終了条件、継続条件および単位遊技を行わせる回数が相違し、第1特別遊技の方が第2特別遊技より多くの賞球を獲得しやすい条件が設定される。
【0058】
次に、図11に示したリセット回路68からのリセット信号に基づくによるリセット処理について図15を参照して説明する。リセット処理は、前述したように、パチンコ機PMの電源スイッチがオン作動されて電源回路66からの電力供給を開始するとき(電源投入時)にリセット回路68からリセット信号が出力されて行われる。より具体的には、リセット回路68からのリセット信号がコントロールユニット60に入力されると、CPU61による割込処理により図11に示すリセット処理が行われる。このため、電源投入時におけるリセット回路68からのリセット信号以外のリセット信号がコントロールユニット60に入力された場合、たとえば、ぶら下げ基板のような不正基板からのリセット信号がコントロールユニット60に入力された場合にも、図11に示すリセット処理が行われる。
【0059】
このリセット処理を行うときには、まず、RAM63の乱数カウンタ部63aに更新記憶されている現在の乱数カウンタ値をCPU61のレジスタ61aに退避記憶させ(ステップS51)、この後、RAM63等を初期化する処理を行う(ステップS52)。次に、レジスタ61aに退避記憶されている乱数カウンタ値が所定の範囲内の値(例えば、0〜630)であるか否かを判断し、この範囲外の値であるときにはこれを範囲内の値に訂正する処理を行う(ステップS53)。この訂正処理は、例えば、乱数カウンタ値が900であったときには、これから乱数カウンタ値の範囲の上限値(630)を減算した値270(=900−630)を訂正乱数カウンタ値とする処理である。この乱数訂正処理は、ステップS51において乱数カウンタ値をレジスタ61aに退避させる前に行っても良い。そして、このように訂正処理がなされた値をRAM63の乱数カウンタ部63aに更新記憶させ、この値を乱数カウンタ部63aの初期値としてセットし直す(ステップS54)。
【0060】
この結果、リセット処理後の乱数カウンタ部63aは、通常の初期化処理により設定される初期値(例えば、0)ではなく、リセット直前に乱数カウンタ部63aに更新記憶されていた値が初期値となり、リセット後の初期値を予測できなくなる。このため、前述したようなぶら下げ基板をコントロールユニット60に繋いで、ぶら下げ基板からリセット信号を出力して乱数カウンタ部63aの乱数カウンタ値を初期値にさせたとしても、この初期値は予測不可能であり、ぶら下げ基板を用いた不正操作を防止できる。
【0061】
上記のリセット処理が行われた後は、乱数カウンタ部63aに記憶されている乱数カウンタ値をCPU61による割込処理により所定時間間隔で増加させるとともに、このように増加された値を乱数カウンタ部63aの乱数カウンタ値として更新記憶する制御が行われる(ステップS55)。なお、本例の装置では、このように乱数カウンタ部63aにおいて更新記憶される乱数カウンタ値が不規則性を有して変化するようにする不規則化処理が行われる(ステップS56)。この不規則化処理としては、例えば、RAM63の複数の記憶領域を用いる等して、複数の乱数カウンタ部63aを設け、各乱数カウンタ部63aで異なる規則性を有して乱数カウンタ値を発生させて更新記憶させ、これら複数のカウンタ値を演算処理した結果の値をRAM63内における所定の記憶領域における乱数カウンタ部63aに更新記憶し、これを上述した乱数抽選における抽選値を決定するための乱数カウンタ値として用いる方法がある。
【0062】
以上のリセット処理においては、RAM63の乱数カウンタ部63aに更新記憶されている乱数カウンタ値をそのままCPU61のレジスタ61aに退避記憶させているが、RAM63内に記憶されているその他の数値データと乱数カウンタ部63に記憶されている乱数カウンタ値を用いて所定の演算を行い、その演算結果として得られる数値を乱数カウンタ値としてCPU61のレジスタ61aに退避記憶させても良い。これにより、リセット処理後に乱数カウンタ部63aにセットし直される初期値を予測することが一層難しくなり、不正防止をより確実に行える。同様の趣旨から、RAM63の複数の記憶領域を用いる等して複数の乱数カウンタ部63aを設け、これら複数の乱数カウンタ部63aに更新記憶されている乱数カウンタ値を用いて所定の演算を行い、その演算結果をレジスタ61aに退避記憶させるようにしても良い。なお、上記所定の演算としては、複数の数値を加減乗除する等、種々の演算がある。
【0063】
以上説明したコントロールユニット60においては、バックアップ電源64により乱数カウンタ部63aの記憶を、電源回路66からの電源が断たれた後も保存するようにしているが、このバックアップ電源64を用いなくても良い。この場合、電源回路66からの電源供給を開始するときにリセット回路68からのリセット信号によるリセット処理が行われるときには、RAM63の乱数カウンタ部63aの記憶は消去されているが、一旦遊技を開始した後は電源がオフとならない限り乱数カウンタ部63aに乱数カウンタ値が更新記憶される。このため、ぶら下げ基板が不正に取り付けられ、遊戯中にここからリセット信号が出されたとしても、上述のように乱数カウンタ部63aの初期値を予測不可能であり、不正な遊技制御を確実に防止できる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リセット信号を受けたときに、演算制御器は、記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値を演算制御器内のレジスタに記憶した後に記憶手段を初期化し、次に、レジスタに記憶した乱数カウンタ値を記憶手段の初期値としてセットするように構成されているので、「ぶら下げ基板」が不正に取り付けられ、ぶら下げ基板からのリセット信号により制御装置がリセットされる場合でも、演算制御器はリセット直前の乱数カウンタ値(記憶手段に更新記憶されている値)をレジスタに記憶した後に記憶手段(例えば、RAM)等を初期化し、このように初期化された記憶手段にレジスタに記憶した乱数カウンタ値を初期値としてセットするため、リセット後の乱数カウンタ値の初期値はランダムとなる。このため、ぶら下げ基板が用いられてもこれにより特別遊技状態を発生するタイミングを把握することが不可能となり、ぶら下げ基板による不正を確実に防止することができる。
【0065】
なお、制御装置に対する電源供給が遮断されたときに、記憶手段に電力を供給してその記憶内容を保持させるためのバックアップ電源を設けるのが好ましい。このようにすれば、電源オフからオンにされたときにおいても、リセット時と同様にしてバックアップ電源により継続して記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値をレジスタに記憶させた後に記憶手段をリセットし、レジスタの記憶値を記憶手段の初期値として置き換えて初期値をセットし直すことができ、電源オン時における乱数カウンタ値の初期値もランダムに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遊技機の正面側を示す斜視図である。
【図2】上記遊技機の正面図である。
【図3】上記遊技機の背面図である。
【図4】上記遊技機の遊技盤前面を示す正面図である。
【図5】上記遊技盤を構成するアタッカー装置を示す斜視図である。
【図6】上記遊技盤を構成するアタッカー装置を示す斜視図である。
【図7】上記遊技盤を構成するアタッカー装置を示す正面図である。
【図8】上記遊技盤を構成するアタッカー装置を示す平面図である。
【図9】上記遊技機の上部の構造を示す断面図である。
【図10】上記遊技機の裏機構の構成を示す背面図である。
【図11】上記遊技機のゲーム制御を行う制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】上記制御装置による制御内容を示すフローチャートである。
【図13】上記制御装置による制御内容を示すフローチャートである。
【図14】第1特別遊技状態での制御内容を示すフローチャートである。
【図15】リセット処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
BM 裏機構
PCU プリペイドカードユニット
PM パチンコ機
1 外枠
1a 上枠板
1b,1c 左右枠板
1d 底枠板
1e 幕板
1f 補強連桿
2 前枠
3a,3b ヒンジ部材
4 施錠装置
5 ガラス扉
5a ガラス板
6 収容枠
7a,7b 上下の球皿
8 打球発射装置
10 遊技盤
11 遊技領域
12 係合レバー
13a,13b 外および内レール
13c 通路
14a,14b,14c,14d 風車
15a,15b 通過ゲート
15c,15d 通過センサ
16a,16b 一般入賞具
16c,16d 入賞検出センサ
17 始動入賞具
17a,17b チューリップ羽根
17c 入賞検出センサ
18 アウト口
19a,19b ランプ飾り
20 表示装置
21 ランプ飾り
22 液晶表示器
23 特別図柄変動記憶表示部
25 表示制御基板
30 アタッカー装置
31 装置枠
31a 大入賞口
32 補助変動表示器
33 補助図柄変動記憶表示部
34a,34b 一般入賞具
34c,34d 入賞検出センサ
35 開閉扉
36 扉開放ソレノイド機構
37a 第1入賞口(特定領域)
37b 第2入賞口(非特定領域)
37c,37d 入賞検出センサ
38 特定領域誘導板
38a 誘導板駆動機構
40 球払い出し機構
41 開閉機枠体
42 集合排出経路
43 賞球排出経路
43a 賞球路
43b 上球出口
43c 下球出口
44 賞球の流入通路
45 球払い出し装置
48a 球受け室
48b 球通口
49a 球感知レバー
49b スイッチ
50 球貯留供給機構
51 タンク部材
52 整列樋部材
52a 賞球路
52b 偏向出口
55a,55b ヒンジ
56a,56b,56c 閉止レバー
57 ターミナル制御部
58a,58b ゲーム制御基板
60 コントロールユニット
60a 入力ポート
60b 出力ポート
61 CPU
61a レジスタ
62 ROM
63 RAM
63a 乱数カウンタ部
64 バックアップ電源
66 電源回路
68 リセット回路
70 各種検出器
71 図柄表示装置
72 ランプ点滅装置
73 サウンド装置
74 遊技作動制御装置
Claims (2)
- 乱数カウンタ値を記憶する書き換え可能な記憶手段と、前記記憶手段に記憶された乱数カウンタ値を所定の規則性を有した演算の結果に基づいて更新する乱数カウンタ更新手段と、所定のタイミングで前記記憶手段に記憶された乱数カウンタ値を読み取って抽選値を求め、前記読みとった抽選値が予め設定された値と一致するときに所定の遊技価値を付与する遊技制御を行う演算制御器とを有して構成される遊技機の制御装置において、
リセット信号に応じて前記記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値を初期値にセットする初期値設定手段をさらに有し、
前記乱数カウンタ更新手段は、前記演算制御器に備えられて、前記演算制御器により所定時間間隔で、前記記憶手段に記憶された乱数カウンタ値を所定の規則性を有した演算の結果に基づいて更新し、
前記初期値設定手段は、前記演算制御器に備えられて、前記演算制御器によるリセットのための割込処理により、前記リセット信号を受けたときに、前記記憶手段に記憶されている乱数カウンタ値を前記演算制御器内のレジスタに記憶させた後、前記記憶手段を初期化し、次いで前記レジスタに記憶した前記乱数カウンタ値を前記記憶手段に記憶される乱数カウンタ値の初期値としてセットするように構成されていることを特徴とする遊技機の制御装置。 - 前記制御装置に対する電源供給が遮断されたときに、前記記憶手段に電力を供給してその記憶内容を保持させるためのバックアップ電源を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の制御装置。
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