JP2004000406A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】投入遊技媒体数計測手段と、払出遊技媒体数計測手段と、これらの数から遊技媒体の数に関する数値を算出することができる遊技機であって、
算出された数値が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、それを報知することを特徴とする遊技機。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機、パチスロ遊技機、その他の遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、パチンコ遊技機では、発射ハンドルが操作されることにより遊技盤上に打ち出された遊技球が、遊技盤上に設けられた入賞口や始動口に入ると、遊技球が予め定められた払出数(例えば、5球)で払い出され、さらに、遊技球が始動口に入った場合には、遊技盤に設けられた表示装置において、所謂可変表示ゲームが開始される。この可変表示ゲームは、スロットマシンにおいてなされる遊技を模したゲームであり、複数の変動図柄を当該表示装置に表示し、その各々を変動表示させた後、所定のタイミングでこれらの図柄が順次停止するように表示し、全ての図柄の停止表示が確定したときの図柄の組み合わせが所定の組み合わせとなったとき、大当たり状態が発生するというゲームである。
【0003】
なお、実際には、遊技球が始動口に入った際に大当たり状態を発生させるか否かを決定するための抽選が行われ、この抽選結果に基づいて可変表示ゲームで停止表示される図柄の組み合わせが決定され、決定された図柄の組み合わせが表示装置で表示されるのである。
【0004】
そして、可変表示ゲームが終了した後、大当たり状態が発生した場合、大入賞口の近傍に設けられたシャッタが作動することにより、大入賞口が開放状態となり、その後、大入賞口に予め設定されている数の遊技球(例えば、10球)が入ったときや、所定の期間を経過したときには、再びシャッタが作動することにより大入賞口が閉鎖状態となる。このような大当たり状態では、大入賞口が開放状態となってから閉鎖状態となるまでを1回とする大当たり遊技が、所定の回数(例えば、15回)だけ繰り返されることとなる。この大当たり遊技が行われている間には、大入賞口へ入れた遊技球の数に応じて、予め定められた数の遊技球の払い出しが行われるため、遊技者は多くの遊技球を獲得することができる。
【0005】
ところで、このようなパチンコ遊技機は、遊技者の射倖心を極端に煽ったり、遊技店(所謂パチンコホール)側で不正な利益を得たりすることがないように、出球率、すなわち、単位時間(1時間)あたりの遊技盤上に打ち出された遊技球の数に対する払い出された遊技球の数の割合が、所定の範囲内(例えば、30〜300%)に収まるように設計されている。
【0006】
しかし、設計上、出球率が所定の範囲内に収まっていたとしても、製造過程で遊技盤上に植設される複数の釘の微妙な位置関係等によって、入賞口や始動口等への遊技球の入り易さが異なることがあり、このような場合には、出球率にばらつきが生じてしまう。そこで、通常、パチンコ遊技機は、遊技店に供給される前に、試験場において、出球率について検査されている。
このように、パチンコ遊技機が検査されることにより、極端に出球率が高くなったり低くなったりするようなパチンコ遊技機が遊技店に供給されることがなくなるため、遊技者に対して健全な遊技を提供することが可能になる。
【0007】
しかしながら、このような検査は、パチンコ遊技機を試験場まで搬送し、上記試験場において、実際に所定時間にわたって遊技を継続して行い、各パチンコ遊技機について、遊技盤上に打ち出された遊技球の数や、払い出された遊技球の数等を計測することにより結果を得ているため、検査が煩雑であり、検査を行う側の手間がかかってしまうという問題があった。
【0008】
また、上述したような検査は、例えば、試験場まで搬送するときの衝撃、温度や湿度等の変化、設置する場所の傾き等、予測し難い外乱によって、意外な結果となるおそれがあるため、パチンコ遊技機を製造する遊技機メーカは、検査に対する準備のために大変な労力を要しなければならなかった。
【0009】
さらに、遊技盤上に植設された複数の釘は、遊技店側で、その傾き等を調整することが可能であるため、上述したような検査を行っていたとしても、遊技店側において、ある程度であれば出球率を調整することが可能である。
そのため、遊技店側の思惑によっては、パチンコ遊技機の出球率が極端に高くされたり、低くされたりするおそれがあり、そのような行為が行われた場合には、遊技者に対して健全な遊技を提供することが困難になるという問題があった。
【0010】
なお、出球率(賞球総数又は入賞球総数と、打球数との割合)が、下限値を下回った場合、異常が発生したことを報知し、例えば、遊技を強制的に終了する等、必要な対応が行われるパチンコ遊技機も存在するが、このようなパチンコ遊技機は、出球率について異常が発生したことを報知するのが、該出球率が下限値を下回った場合であるため、出球率のばらつきを充分には抑制することができないという問題があった。また、遊技が強制的に終了した場合、遊技者は、遊技を止めたり、他のパチンコ遊技機で遊技を行うために移動したりしなければならず、苛立ちや不快感を覚えてしまうという問題もあった。
【0011】
一方、上述した通常の抽選方法を用いた遊技方法と異なり、始動口に遊技球が入ると、大当たりを発生させるか否かを決定するための抽選(以下、第1抽選という)が行われ、また、打ち出された遊技球が所定数(例えば、10球)を超えると、当たりフラグをセットするか否か、すなわち大当たり状態を発生させるか否かを決定する抽選(以下、第2抽選という)が行われる遊技方法がある。
【0012】
このような遊技方法では、第1抽選に当選すると大当たりの権利Aを獲得することとなり、第2抽選に当選すると大当たり状態を発生させる権利Bを獲得することとなる。そして、権利Bが発生した(当たりフラグがセットされた)ときに権利Aが存在すると大当たり状態となり、また、当たりフラグがセットされている状態で、権利Aが発生すると大当たり状態となる。なお、大当たりの権利Aは、複数個ストックすることができ、当たりフラグがセットされたときに、複数の大当たりの権利Aが存在すると、その全てにつき、大当たり状態が発生するのである。
【0013】
具体的には、始動口に遊技球が入った際に第1抽選が行われ、大当たりの権利Aが発生するか否かが決定される。大当たりの権利Aが発生すると、第2抽選に基づく当たりフラグがセットされた状態であるか否かが判断され、当たりフラグがセットされていると、大当たり状態が発生する。
【0014】
また、第2抽選に基づく当たりフラグがセットされていない状態で、第1抽選に当選した際には、権利Aがストックされ、さらに第1抽選に当選すると権利Aのストック数が増加する。すなわち、当たりフラグがセットされていない状態で、第1抽選に当選すると、当選するごとに権利Aのストック数が加算されるのである。
【0015】
第2抽選に当選した際には、第1抽選に基づく大当たりの権利Aが存在するか否かが判断される。権利Aがストックされている場合、そのストック数全てに応じた大当たり状態が発生する。
【0016】
上述した遊技方法を用いたパチンコ遊技機によれば、その時点での権利Aのストック数の全てに応じて、大当たり遊技を行う時間が延長される。そのため、遊技者は、たとえ、始動口に入る遊技球の数が少ない状態であっても、遊技球を打ち出している限りは一度に相当量の出球を獲得できる可能性があり、上述した通常の抽選方法を用いたパチンコ遊技機よりも大きな期待感を抱きながら遊技を楽しむことができる。
【0017】
しかしながら、上述したような2種類の抽選結果を用いる遊技方法では、第2抽選に基づいて当たりフラグがセットされるまで、権利Aのストック数が際限なく累増する場合もある。そのような場合、大当たり状態が発生した際、莫大な出球数が払い出される可能性があり、ひいては設計上定められた規定出球率をはるかに超える可能性もあるため、遊技者の射幸心を極端に煽ってしまうおそれがあり、遊技者に対して健全な遊技を提供することが困難になるという問題がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば、出球率等の検査を省略し、抜き打ち検査のみで対応可能とする等の方法をとることが可能で、検査の負担を軽減することができ、さらに、遊技者に対して健全な遊技を提供することができる遊技機を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明は、遊技媒体の数に関する数値が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、上記遊技媒体の数に関する数値が、上記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することを特徴とする。
【0020】
より具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1)遊技に用いられた遊技媒体の数を得るための投入遊技媒体数計測手段と、払い出される遊技媒体の数を得るための払出遊技媒体数計測手段と、これらの数から遊技媒体の数に関する数値を算出する算出手段とを具備する遊技機であって、
上記算出手段により得られた数値が、予め定められた上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、上記算出手段により得られた数値が上記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する報知手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
【0021】
(1)の発明によれば、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、遊技機の所定の位置(例えば、遊技盤の上側)に設けられた装飾ランプを点灯又は点滅させたり、遊技機に設けられたスピーカから警報音を発生させたりすることによって、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するため、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値に近づいていることを容易に認識することができる。このようにすることにより、試験場において行う出球率等の検査を省略することが可能となり、例えば、抜き打ち検査のみで対応可能とすることができる。
【0022】
また、抜き打ち検査を行う場合、検査を行う者は、例えば、遊技機内の制御部等に記憶されたデータ等を調査したりすることなく、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入っていることを知ることができるため、比較的容易に、かつ、確実に、遊技店側の者に遊技媒体に関する数値について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の実効を図ることができる。
【0023】
また、上記抜き打ち検査により必要な対策を講じるように促された場合、遊技店側の者は、遊技者が遊技を終了した後に、遊技盤上に植設された釘を調整するというように、遊技者に遊技を中断させることなく遊技媒体に関する数値を調整することができるため、遊技者に苛立ちや不快感を与えることはなく、このような遊技媒体に関する数値の調整により遊技者に対して健全な遊技を提供することができる。
【0024】
本発明は、さらに、以下のようなものを提供する。
(2) 上記(1)に記載の遊技機であって、
上記算出手段は、上記投入遊技媒体数計測手段及び上記払出遊技媒体数計測手段により得られた数から、遊技に用いられた遊技媒体の数と、払い出された遊技媒体の数との差を算出することを特徴とする。
【0025】
(2)の発明によれば、遊技媒体に関する数値として、遊技に用いられた遊技媒体の数と、払い出された遊技媒体の数との差を算出し、遊技に用いられた遊技媒体の数と、払い出された遊技媒体の数との差が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するため、遊技に用いられた遊技媒体の数と、払い出された遊技媒体の数との差が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを容易に認識することができる。このように、遊技に用いられた遊技媒体の数と、払い出された遊技媒体の数との差が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを認識することができれば、出球率等について、概ね把握することも可能である。従って、試験場において行われる出球率等の検査を省略することが可能となり、例えば、抜き打ち検査のみで対応可能とすることができる。
【0026】
本発明は、さらに、以下のようなものを提供する。
(3) 上記(1)に記載の遊技機であって、
上記算出手段は、上記投入遊技媒体数計測手段及び上記払出遊技媒体数計測手段により得られた数から、遊技に用いられた遊技媒体の数に対する払い出された遊技媒体の数の割合を算出する特徴とする。
【0027】
(3)の発明によれば、遊技媒体に関する数値として、遊技に用いられた遊技媒体の数に対する、払い出された遊技媒体の数の割合を算出し、遊技に用いられた遊技媒体の数に対する、払い出された遊技媒体の数の割合が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを、例えば、スピーカから警報音を発生させたりすることによって報知するため、遊技に用いられた遊技媒体の数に対する、払い出された遊技媒体の数の割合が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを容易に認識することができる。このようにすることにより、試験場において行われる出球率等の検査を省略することが可能となり、例えば、抜き打ち検査のみで対応可能とすることができる。
【0028】
本発明は、さらに、以下のようなものを提供する。
(4)遊技盤上に打ち出された遊技球が入ることにより、予め定められた数の遊技球の払い出しが行われる入賞口を備えるとともに、
打ち出された遊技球の数を得るための打出遊技球計測手段と、払い出された遊技球の数を得るための払出遊技球計測手段と、これらの数から出球率を算出する出球率算出手段とを具備する遊技機であって、
上記出球率算出手段により得られた出球率が、予め定められた上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、上記出球率が上記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
(4)の発明によれば、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、遊技機の所定の位置(例えば、遊技盤の上側)に設けられた装飾ランプを点灯又は点滅させたり、遊技機に設けられたスピーカから警報音を発生させたりすることによって、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するため、出球率が上限値又は下限値に近づいていることを容易に認識することができる。このようにすることにより、試験場において行う出球率の検査を省略することが可能となり、例えば、抜き打ち検査のみで対応可能とすることができる。
また、抜き打ち検査を行う場合、検査を行う者は、例えば、遊技機内の制御部等に記憶されたデータ等を調査したりすることなく、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入っていることを知ることができるため、比較的容易に、かつ、確実に、遊技店側の者に出球率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の実効を図ることができる。
【0030】
また、上記抜き打ち検査により必要な対策を講じるように促された場合、遊技店側の者は、遊技者が遊技を終了した後に、遊技盤上に植設された釘を調整するというように、遊技者に遊技を中断させることなく、出球率を調整することができるため、遊技者に苛立ちや不快感を与えることはなく、このような出球率の調整により遊技者に対して健全な遊技を提供することができる。
【0031】
本発明は、さらに、以下のようなものを提供する。
(5) 上記(4)に記載の遊技機であって、
上記報知手段は、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、上記出球率と上記上限値又は下限値との差の大きさに関連付けて、段階的にその報知方法を変化させながら、上記出球率が上記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することを特徴とする。
【0032】
(5)の発明によれば、出球率の上限値が300%である場合、上限値を基準とした所定範囲を270〜300%とし、例えば、出球率が270〜280%に入ったときには、装飾ランプを点灯させ、出球率が280〜290%に入ったときには、装飾ランプを点滅させ、出球率が290〜300%に入ったときには、スピーカから警報音を発生させるというように、出球率の上限値との差に関連付けて、段階的に、報知方法を変化させながら、出球率が上限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することができる。下限値についても同様である。
このように、出球率に応じて段階的に報知方法を変化させることにより、抜き打ち検査を行う者は、比較的容易に、より詳しい出球率を知ることができ、また、これに基づいて遊技店側の者に出球率について必要な対策を講じるように促すことができるため、効果的に抜き打ち検査を行うことができる。
【0033】
本発明は、さらに、以下のようなものを提供する。
(6) 上記(5)に記載の遊技機であって、
上記報知手段は、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、上記出球率が上記上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法により、上記出球率が上記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することを特徴とする。
【0034】
(6)の発明によれば、出球率の上限値が300%である場合、上限値を基準とした所定範囲を270〜300%とし、例えば、出球率が270〜280%に入ったときには、装飾ランプを点灯させ、出球率が280〜290%に入ったときには、装飾ランプを点滅させ、出球率が290〜300%に入ったときには、スピーカから警報音を発生させるというように、出球率が上限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法により、出球率が上限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することができる。下限値についても同様である。
このように、出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法に変化させることにより、抜き打ち検査を行う者は、出球率が上限値を越えるか、又は、下限値を下回る前に、より確実に、遊技店側の者に出球率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の更なる実行を図ることができる。
【0035】
本発明は、さらに、以下のようなものを提供する。
(7) 上記(5)に記載の遊技機であって、
上記報知手段は、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、上記出球率が上記上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させて、上記出球率が上記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する。
【0036】
(7)の発明によれば、出球率の上限値が300%である場合、上限値を基準とした所定範囲を270〜300%とし、出球率が270〜280%に入ったときには、装飾ランプを点灯させ、出球率が280〜290%に入ったときには、装飾ランプを点滅させ、出球率が290〜300%に入ったときには、スピーカから警報音を発生させるというように、出球率が上限値に近づくに従って、報知方法を変化させて、出球率が上限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することができる。下限値についても同様である。
このように、出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させるため、抜き打ち検査を行う者は、出球率が上限値又は下限値に近づくほど、報知が行われていることを確実に認識することができ、出球率が上限値を超えるか、又は、下限値を下回る前に、より確実に、遊技店側の者に出球率についての必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の更なる実効を図ることができる。
【0037】
[用語の定義等]
本明細書において、以下で用いる「識別情報」とは、文字、記号、絵柄又は模様等の視覚によって識別可能な情報をいう。
「変動表示」とは、識別情報が順次変化する場合、例えば、1つの識別情報である図柄「7」から他の識別情報である図柄「8」へ変化する場合や、図柄「9」から他の図柄「☆」へ変化する場合のほか、識別情報を表示し得る表示領域において1つの識別情報が表示されたままその識別情報が移動して表示されるような場合、例えば、1つの図柄「7」が表示領域内において表示されつつ移動する場合等を含む概念である。
【0038】
本明細書において、「遊技機」とは、特に限定されず、例えば、パチスロ遊技機、スロットマシン、パチンコ遊技機等をいう。
上記パチスロ遊技機は、一般的に、筐体正面の表示窓内に複数の図柄を変動表示する回転リールを複数配列して構成した機械的変動表示装置や、リール上の図柄を画面に表示する電気的変動表示装置を有するとともに、遊技者の操作により、上記変動表示装置を駆動制御して各リールを回転させるためのスタートレバーや、遊技者の操作により、各リールの回転を順次停止させるための停止ボタンを有する。
このパチスロ遊技機による遊技は、まず、遊技者が遊技用のメダル又はコイン(以下、単にメダルという)を投入することによって開始される。そして、遊技者のスタート操作に応じて変動表示装置を駆動制御して各リールを回転させることにより、図柄を変動表示させる。このとき、表示窓内に現れた各リールの図柄が特定の組み合わせ(入賞図柄)になった場合には、メダルを払い出すことによって遊技者に利益を付与する。
【0039】
このようなパチスロ遊技機においては、有効化された入賞ラインに沿って停止表示される図柄の組み合わせは、内部的な抽選処理(以下、内部抽選という)を行い、この抽選結果と遊技者の停止操作のタイミングとに基づいて決定されている。つまり、メダルが払い出される入賞が成立するためには、上述の内部抽選により入賞役に当選(以下、内部当選という)し、かつその内部当選した入賞役(以下、内部当選役という)の入賞成立を示す図柄組み合わせを有効ラインに停止できるタイミングで遊技者が停止操作を行うことが要求される。つまり、たとえ内部当選したとしても、遊技者が、入賞成立を示す図柄組み合わせを有効ラインに停止できるタイミングで停止操作を行わなければ、入賞を成立させることができない。
【0040】
上述のようなパチスロ遊技機には、通常、一般遊技状態と、所定の入賞が成立したときに1回のメダルの払い出しに終わらず、所定期間の間、一般遊技状態よりも遊技者にとって条件のよい遊技状態(ボーナスゲーム)となる大当たり遊技状態とがある。上記一般遊技状態は、例えば「チェリー」や「ベル」といった入賞図柄に係る内部当選役(以下、小役と称する)に入賞することにより、所定枚数のメダルの払い出しが行われたり、再遊技をすることができる権利を得ることができる遊技状態である。なお、上記再遊技の入賞が成立すると、入賞が成立した次のゲームにおいて、入賞が成立したゲームで投入したメダルの枚数と同数のメダルが既に投入された状態となるので、遊技者は、メダルを消費することなく遊技を行うことができる。
以下の説明においては、再遊技に入賞した場合、再遊技に入賞したゲームで投入したメダルの数と同数のメダルが払い出され、次のゲームにおいて、再遊技が入賞したゲームで投入したメダルの数と同数のメダルを投入してゲームを行うものとして扱う。
【0041】
一方、大当たり遊技状態には、ビッグボーナス(以下、「BB」という)遊技状態、レギュラーボーナス(以下、「RB」という)遊技状態といった複数の遊技状態があり、BB遊技状態におけるメダルの払い出し枚数は、通常、RB遊技状態におけるメダル払い出し枚数よりも多くなるように設定されている。
上記RB遊技状態においては、メダルを1枚賭けにして遊技を行い、所定の入賞図柄(例えば、「Replay−Replay−Replay」)が揃うことで、一般遊技状態と比較して多数のメダルが払い出されるゲームが、所定回数行われる。なお、上記RB遊技状態では、上記入賞図柄に係る入賞役が内部当選しやすい状態となっている。
また、上記BB遊技状態においては、所定回数の上記BB遊技状態のゲーム中に所定の入賞図柄(例えば、「Replay−Replay−Replay」)が揃うことでRB遊技状態への移行が発生する。そして、RB遊技状態が終了すると、BB遊技状態に移行する。
なお、上記RB遊技状態への移行は上記BB遊技状態中に所定回数(例えば、3回)発生する。これにより、遊技者は多くのメダルを獲得することができる。
【0042】
また、大当たり遊技状態に移行するための抽選方法として、上述した1種類の抽選方法により、大当たり遊技状態に移行するか否かを決定する抽選方法以外に、スタートレバーを操作することによって、大当たりを発生させるか否かを決定するための内部抽選が行われ、一方、行われたゲームが所定数(例えば、10ゲーム)を超えると、大当たりを状態を発生させるか否かを決定するための抽選が行われる抽選方法もある。
【0043】
上記パチンコ遊技機とは、一般的に、遊技者が発射ハンドルを操作することにより、遊技盤内に遊技球を発射し、落下する過程で障害釘等に当たることにより、落下速度が抑えられたり、進行方向が変えられたりした遊技球が、遊技盤上に設けられた各種入賞口、始動口等に入ったときに、賞球として遊技球が払い出される遊技機である。
なお、上記パチンコ遊技機に関しては、後に図面を用いて詳細に説明することとする。
【0044】
「入賞口」とは、遊技球が入ることができるように遊技盤上に設けられた開口であり、この入賞口に遊技球が入ると、遊技球が所定の払出数(例えば、5球)で払い出される。
【0045】
本明細書において、始動口とは、遊技球が入ることができるように遊技盤上に設けられた開口であり、この始動口に遊技球が入ると、遊技球が所定の払出数(例えば、5球)で払い出されるとともに、パチンコ遊技機内に設けられた制御部において大当たりとなるか否かを決定する抽選が行われる。また、遊技盤上に設けられた表示装置において変動図柄が変動表示し、可変表示ゲームが開始される。上記入賞口と始動口との相違点は、遊技球が入ることにより大当たりとなるか否かを決定する抽選が行われるか否かであり、その他の構成要素等については同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、本明細書において、上記始動口は、上述した「入賞口」に含むものとし、大当たり状態が発生している間に所定の周期で断続的に開放状態となる大入賞口についても、上述した「入賞口」に含むものとする。ただし、遊技球が入ったことを受けて、大当たりとなるか否かを決定する抽選は行われるが、遊技球が入ったことのみにより遊技球が払い出されることのない始動口は、本発明に係るパチンコ遊技機に設けられた入賞口に該当しない。
【0046】
「遊技媒体」とは、上述したような遊技機の外部と内部との間で、遊技を行うために必要な遊技価値を媒介するものをいう。上記遊技媒体としては、例えば、遊技球、メダル、コイン、トークン等のほか、遊技者に付与された遊技価値の情報を記憶したカード等が挙げられる。
なお、以下の説明については、主にパチスロ遊技機やスロットマシンに関する事項について記載することとし、パチンコ遊技機に関する事項については、後に詳述することとする。
【0047】
「投入遊技媒体数」とは、遊技に用いられた遊技媒体の数をいい、例えば、パチスロ遊技機やスロットマシンにおいて、単位ゲーム数(100ゲーム)あたりに、遊技を行うために遊技機に投入されたメダルの枚数をいう。なお、上記パチスロ遊技機等が、クレジット機能を有するものである場合には、クレジットされたメダルの中から、一のゲームを行うために賭けられたメダルの枚数も上記投入遊技媒体数に含むものとする。
ここで、「クレジット機能」とは、予めメダルを投入して遊技価値として蓄積しておくか、又は、入賞が成立した際に付与されるメダルを遊技価値として蓄積しておくことにより、ゲームを開始する前に、遊技機にメダルを投入することなく、予め蓄積されている遊技価値を使用して遊技を行うことできる機能のことをいう。また、「一のゲーム」とは、遊技者がスタート操作を行ってから、全てのリールが停止するか、又は、遊技媒体の払い出しがなされるまでの期間において行われる遊技をいう。
【0048】
「投入遊技媒体数計測手段」とは、投入された遊技媒体の数を計測するための手段のことをいい、例えば、メダル投入口に投入されたメダルが通過するメダル取込径路に設置された投入メダル通過検出器や、上記投入メダル通過検出器からの検出信号を受信する制御部等は、投入遊技媒体数計測手段として機能する。
なお、上記投入メダル通過検出器としては、機械的なものであってもよく、メダルの通過を光で検知する透過式又は反射式の光センサによるものであってもよい。また、上記パチスロ遊技機等が、クレジット機能を有するものである場合は、クレジットされたメダルの中から、一のゲームを行うために賭けられたメダルの枚数に関する検出信号を制御部に送信する手段等についても、上記投入遊技媒体計測手段に含むものとする。
【0049】
「払出遊技媒体数」とは、払い出される遊技媒体の数をいい、例えば、パチスロ遊技機やスロットマシンにおいて、内部当選役が入賞することにより、実際に払い出されるメダルの枚数をいう。なお、上記パチスロ遊技機等がクレジット機能を有するものである場合には、内部当選役が入賞することにより、クレジットされたメダルの枚数についても上記投入遊技媒体数に含むものとする。
【0050】
「払出遊技媒体数計測手段」とは、払い出された遊技媒体の数を計測するための手段のことをいい、例えば、入賞が成立した場合に応じて、遊技者に対してメダルの払出を行うメダル払出装置に設置された払出メダル検出器や、上記払出メダル検出器からの検出信号を受信する制御部等は、払出遊技媒体数計測手段として機能する。
なお、上記パチスロ遊技機等が、クレジット機能を有するものである場合は、クレジットされたメダルの枚数に関する検出信号を制御部に送信する手段等についても、上記払出遊技媒体計測手段に含むものとする。
【0051】
「払出数」とは、上記パチスロ遊技機の場合は、RB遊技状態において入賞役に入賞した場合や、BB遊技状態や一般遊技状態において小役に入賞した場合に払い出されるメダルの数をいう。
以下の説明においては、RB遊技状態において、入賞により払い出されるメダルの数を、RB遊技状態における入賞の払出数ともいうこととする。一般遊技状態における小役の入賞と、BB遊技状態における小役の入賞とについても同様に、それぞれ、一般遊技状態における入賞の払出数、BB遊技状態における入賞の払出数ということとする。
【0052】
また、上記パチンコ遊技機の場合は、上述した入賞口や始動口に遊技球が入ったことを受けて、払い出される遊技球の数をいう。なお、始動口については、遊技球が入ったことを受けて、遊技球が払い出されるように設定されていてもよく、払い出されないように設定されていてもよい。
以下の説明においては、入賞口に1つの遊技球が入ったことを受けて払い出される遊技球の数を、入賞口の払出数ともいうこととする。大入賞口と始動口とについても同様に、それぞれ大入賞口の払出数、始動口の払出数ということとする。入賞口の払出数、大入賞口の払出数及び始動口の払出数は、特に限定されるものではなく、また、全ての払出数が同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0053】
「遊技媒体の数に関する数値」とは、上述した投入遊技媒体数や払出遊技媒体数に基づいて定められる数値をいい、例えば、投入遊技媒体数と払出遊技媒体数との差を算出した数値や、投入遊技媒体数に対する払出遊技媒体数の割合を算出した数値等を挙げることができる。また、遊技媒体の数に関する数値は、上記投入遊技媒体数及び上記払出遊技媒体数をも含むものとする。上記投入遊技媒体数及び上記払出遊技媒体数は、上記遊技媒体の数に関する数値を算出するための基になる情報であり、密接に関連するからである。
以下、遊技媒体の数に関する数値として、投入遊技媒体数と払出遊技媒体数との差を算出した数値と、投入遊技媒体数に対する払出遊技媒体数の割合を算出した数値とについて説明するが、本発明において、遊技媒体の数に関する数値は、これらの数値に限定されるわけではない。
例えば、投入遊技媒体数及び払出遊技媒体数を基に算出することができる他の数値(具体的には、パチスロ遊技機におけるゲーム数等)についても、遊技媒体の数に関する数値ということができる。上述したように、上記遊技媒体の数に関する数値には、上記投入遊技媒体数及び払出遊技媒体数が含まれ、他の数値(パチスロ遊技機におけるゲーム数等)は、これらの投入遊技媒体数及び払出遊技媒体数を基に算出することができる数値だからである。
【0054】
「投入遊技媒体数と払出遊技媒体数との差を算出した数値」とは、例えば、上記パチスロ遊技機において、単位ゲーム数(例えば、100ゲーム)あたりに投入されたメダルの枚数に対する払い出されたメダルの枚数の差のことをいい、本明細書では、上記数値のことを差枚数ともいうこととする。
【0055】
ここで、単位ゲーム数(100ゲーム)あたりの、投入されるメダルの枚数をD(枚)、払い出されるメダルの枚数をE(枚)とした場合、差枚数W(枚)は下記(1)を用いて算出することができる。
W=E−D・・・(1)
【0056】
なお、RB遊技状態における入賞の払出数をF(枚)、入賞回数をG(回)とする場合、RB遊技状態において、払い出されるメダルの数はF×G(枚)となる。
また、BB遊技状態における入賞の払出数をH(枚)とし、入賞回数をI(回)とし、また、BB遊技状態中に、RB遊技状態に移行する回数をL(回)とする場合、BB遊技状態において、払い出されるメダルの数は(H×I)+(F×G)×L(枚)となる。
【0057】
また、単位ゲーム数あたり、BB遊技状態及びRB遊技状態以外の一般遊技状態の場合に、払出数U(枚)の小役にV(回)入賞することとし、BB遊技状態がM(回)、RB遊技状態がN(回)発生することとする場合、払い出されるメダルの数Eは、下記(2)の式を用いて算出することができる。
E={(H×I)+(F×G)×L}×M+(F×G)×N+(U×V)・・・(2)
なお、BB遊技状態及び/又は一般遊技状態において、小役の種類が、複数種類存在する場合もあるが、ここでは、BB遊技状態及び一般遊技状態において、小役の種類が1種類であるとして説明している。
【0058】
また、払出数U(枚)の小役に入賞する回数V、BB遊技状態に当選する回数M、及び、RB遊技状態に当選する回数Nは、遊技者がゲームを開始することを受けて行なわれる抽選に当選する確率によるものであるが、当該抽選に当選する確率は予め定められている。
ただし、遊技が行われていないときであれば、上記BB遊技状態に当選する回数M、及び、RB遊技状態に当選する回数Nは、パチスロ遊技機内部の設定を変更することにより、調整可能である。
【0059】
上記差枚数は、単位ゲーム数(例えば、100ゲーム)ごとに、投入されたメダルの数Dと、払い出されたメダルの数Eとを測定して、投入された遊技球の数Dと、払い出された遊技球の数Eとから算出することも可能である。
【0060】
例えば、10ゲームを行う際に投入されたメダルの数D1と、払い出されたメダルの数E1とを測定し、その後、10ゲームごとに、投入されたメダルの数D2、D3、・・・と、払い出されたメダルの数E2、E3、・・・とを測定していく。そして、100ゲーム経過後、すなわち、D10とE10とを測定したとき、D1〜D10をDとし、E1〜E10をEとして、単位ゲーム数(100ゲーム)あたりの差枚数を算出する。
その後、10ゲームを経過したとき、すなわち、D11とE11とを測定したとき、D2〜D11をDとし、E2〜E11をEとして、単位ゲーム数(100ゲーム)あたりの差枚数を算出するのである。
このように、10ゲームごとに100ゲームあたりの差枚数を算出した場合、100ゲームごとに、投入されたメダルの数Dと払い出されたメダルの数Eとを測定して差枚数を算出する方法と比べると、時間の間隔を細かくして差枚数を算出することができ、細かく算出した差枚数により、差枚数が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することができるため、差枚数が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったか否かを、より正確に抜き打ち検査を行う者に認識させることができる。
【0061】
上記パチスロ遊技機において、上記差枚数を算出する方法としては、例えば、パチスロ遊技機内に設けられた制御部から送信する命令信号、すなわち、メダルを使用するための命令信号と、メダルを払い出すための命令信号とに基づいて差枚数を算出する方法等を挙げることができる。
【0062】
上記パチンコ遊技機の場合、「投入遊技媒体数と払出遊技媒体数との差を算出した数値」とは、例えば、単位時間(1時間)あたりの遊技盤上に打ち出される遊技球と払い出される遊技球の数との差をいう。なお、本明細書では、上記数値のことを差球数ともいうこととする。
【0063】
単位時間(1時間)あたりの遊技盤上に打ち出される遊技球の数をA(球)、払い出される遊技球の数をB(球)とした場合、差球数Y(球)は下記(3)式を用いて算出することができる。
Y=B−A(球)・・・(3)
なお、遊技盤上に打ち出される遊技球の数Aは、単位時間あたりの最大数が定められており、その数を超えて遊技盤上に遊技球を打ち出すことができないように設定されている。
【0064】
大当たり状態が発生しているときには、大入賞口が開放状態となってから、該大入賞口に予め設定されている数の遊技球が入るまで、又は、所定の期間が経過するまでを1回とする大当たり遊技が、複数回繰り返される。
大入賞口の払出数がJ球であるとき、K回繰り返される大当たり遊技の全てにおいて、大入賞口にL球の遊技球を入れることができた場合、払い出される遊技球の数は(J×L)×K球となる。
【0065】
なお、複数回繰り返される大当たり遊技により払い出される遊技球の数の合計の最大値を、賞球数(C)ということとすると、上述した例によれば、大入賞口がL球の遊技球を入れることにより閉鎖状態となる場合、賞球数(C)は(J×L)×Kとなる。
【0066】
また、入賞口の払出数がP球であり、始動口の払出数がQ球である場合、単位時間(1時間)あたりに、入賞口に遊技球がR回、始動口に遊技球がS回入るとし、大当たり状態がT回発生することとすると、払い出される遊技球の数Bは、下記(4)式を用いて算出することができる。
B={(J×L)×K}×T+(P×R)+(Q×S)・・・(4)
なお、大入賞口に遊技球が入る回数L、入賞口に遊技球が入る回数R、及び、始動口に遊技球が入る回数Sは、遊技盤に植設された複数の釘の位置関係により変化するものであり、遊技が行われていないときに、上記複数の釘の角度等を変更することにより、或る程度であれば調整することが可能である。
【0067】
また、大当たり状態が発生する回数Tは、始動口に遊技球が入ったことを受けて行われる抽選に当選する確率によるものであるが、当該抽選に当選する確率は予め定められている。また、大当たり状態が発生しているときに繰り返される大当たり遊技の回数Kについても、予め定められている。
【0068】
上記差球数は、単位時間(例えば、1時間)ごとに、打ち出された遊技球の数Aと、払い出された遊技球の数Bとを測定して、打ち出された遊技球の数Aと、払い出された遊技球の数Bとから算出することも可能である。
【0069】
例えば、10分間で打ち出された遊技球の数A1と、払い出された遊技球の数B1とを測定し、その後、10分ごとに、打ち出された遊技球の数A2、A3、・・・と、払い出された遊技球の数B2、B3、・・・とを測定していく。そして、1時間を経過したとき、すなわち、A6とB6とを測定したとき、A1〜A6をAとし、B1〜B6をBとして、単位時間(1時間)あたりの差球数を算出する。
その後、10分を経過したとき、すなわち、A7とB7とを測定したとき、A2〜A7をAとし、B2〜B7をBとして、単位時間(1時間)あたりの差球数を算出するのである。
このように、10分ごとに1時間あたりの差球数を算出した場合、1時間ごとに、打ち出された遊技球の数Aと払い出された遊技球の数Bとを測定して差球数を算出する方法と比べると、時間の間隔を細かくして差球数を算出することができ、細かく算出した差球数により払出数を変化させることができるため、差球数が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったか否かを、より正確に抜き打ち検査を行う者に認識させることができる。
【0070】
上記パチンコ遊技機において、上記差球数を算出する方法としては、例えば、実際に、遊技盤上に打ち出される遊技球を検知することができるセンサと、払い出される遊技球を検知することができるセンサとを設け、それぞれのセンサが検知した遊技球の数に基づいて、差球数を算出する方法(以下、遊技球を検知して差球数を算出する方法ともいう)や、パチンコ遊技機内に設けられた制御部から送信する命令信号、すなわち、遊技盤上に遊技球を打ち出すための命令信号と、遊技球を払い出すための命令信号とに基づいて差球数を算出する方法(以下、制御部内のみで差球数を算出する方法ともいう)等を挙げることができる。
【0071】
「投入遊技媒体数に対する払出遊技媒体数の割合を算出した数値」とは、例えば、上記パチスロ遊技機において、単位ゲーム数(例えば、100ゲーム)あたりに投入されるメダルの枚数に対する払い出されるメダルの枚数の割合のことをいい。本明細書では、上記数値のことを払戻率ともいうこととする。
また、上記パチンコ遊技機における「投入遊技媒体数に対する払出遊技媒体数の割合を算出した数値」は、例えば、単位時間(1時間)あたりの遊技盤上に打ち出される遊技球の数に対する払い出される遊技球の数の割合のことをいい、本明細書では上記数値のことを出球率ということとする。なお、出球率については、後の記載において詳述することとする。
【0072】
単位ゲーム数(100ゲーム)あたりの、遊技に使用されるメダルの数をD(枚)、払い出されるメダルの数をE(枚)とした場合、払戻率Z(%)は下記(5)式を用いて算出することができる。
Z=(E/D)×100(%)・・・(5)
なお、単位ゲーム数あたりの遊技に使用されるメダルの数Dは、一のゲームに使用するメダルの数を一定枚数(例えば、3枚)にすることにより、常に一定数以下とすることができる。
また、単位ゲーム数あたりに払い出されるメダルの数Eは、上述した(2)式により求めることができる。
【0073】
上記払戻率は、単位ゲーム数(例えば、100ゲーム)ごとに、投入されたメダルの数をD、払い出されたメダルの数をEとを測定して、投入されたメダルの数Dと、払い出されたメダルの数Eとから算出することが可能である。
【0074】
例えば、最初の10ゲームで投入されたメダルの数D1と、払い出されたメダルの数E1とを測定し、その後、10ゲームごとに、投入されたメダルの数D2、D3、・・・と、払い出された遊技球の数E2、E3、・・・とを測定していく。そして、100回遊技が行われたとき、すなわち、D10とE10とを測定したとき、D1〜D10をとし、E2〜E10をEとして、単位ゲーム数(100ゲーム)あたりの払戻率を算出する。その後、10ゲーム遊技が行われたとき、すなわち、D11とE11とを測定したとき、D2〜D11をDとし、E2〜E11をEとして、単位ゲーム数(100ゲーム)あたりの払戻率を算出するのである。
【0075】
このように、10ゲームごとに100ゲームあたりの払戻率を算出した場合、100ゲームごとに、投入されたメダルの数Dと払い出されたメダルの数Eとを測定して払戻率を算出する方法と比べると、時間の間隔を細かくして払戻率を算出することができ、細かく算出した払戻率により、払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することができるため、払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったか否かを、より正確に抜き打ち検査を行う者に認識させることができる。
【0076】
本発明において、上記払戻率を算出する方法としては、例えば、パチスロ遊技機内に設けられた制御部から送信する命令信号、すなわち、メダルを使用するための命令信号と、メダルを払い出すための命令信号とに基づいて差枚数を算出する方法等を挙げることができる。
【0077】
「出球率」とは、単位時間(1時間)あたりの遊技盤上に打ち出される遊技球の数に対する払い出される遊技球の数の割合をいう。
単位時間(1時間)あたりの遊技盤上に打ち出される遊技球の数をA(球)、払い出される遊技球の数をB(球)とした場合、出球率X(%)は下記(6)式を用いて算出することができる。
X=(B/A)×100(%)・・・(6)
なお、遊技盤上に打ち出される遊技球の数Aは、単位時間あたりの最大数が定められており、その数を超えて遊技盤上に遊技球を打ち出すことができないように設定されている。
また、単位時間(1時間)あたりに払い出される遊技球の数(B)は、上述した(4)式により求めることができる。
【0078】
また、入賞口に遊技球が入る回数R、始動口に遊技球が入る回数S及び大入賞口に遊技球が入る回数Lは、遊技盤に植設された複数の釘の位置関係により変化するものであり、遊技が行われていないときに、上記複数の釘の角度等を変更することにより、或る程度であれば調整することが可能である。しかし、これらの値は、遊技が行われているとき、遊技者の発射ハンドルの操作、すなわち、遊技球が遊技盤上に打ち出される強さや方向によって、変化するものである。
【0079】
本発明では、上述した入賞口に遊技球が入る回数R、始動口に遊技球が入る回数S及び大入賞口に遊技球が入る回数Lが変化することによって、払い出される遊技球の数Bが変化し、その結果、出球率Xが上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、所定の報知方法で、出球率Xが上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する。なお、報知方法については、後述することとする。
【0080】
上記出球率は、単位時間(例えば、1時間)ごとに、打ち出された遊技球の数Aと、払い出された遊技球の数Bとを測定して、打ち出された遊技球の数Aと、払い出された遊技球の数Bとから算出することが可能である。
また、上記出球率は、以下のようにして算出することも可能である。
【0081】
例えば、10分間で打ち出された遊技球の数A1と、払い出された遊技球の数B1とを測定し、その後、10分ごとに、打ち出された遊技球の数A2、A3、・・・と、払い出された遊技球の数B2、B3、・・・とを測定していく。そして、1時間を経過したとき、すなわち、A6とB6とを測定したとき、A1〜A6をAとし、B1〜B6をBとして、単位時間(1時間)あたりの出球率を算出する。
その後、10分を経過したとき、すなわち、A7とB7とを測定したとき、A2〜A7をAとし、B2〜B7をBとして、単位時間(1時間)あたりの出球率を算出するのである。
このように、10分ごとに1時間あたりの出球率を算出した場合、1時間ごとに、打ち出された遊技球の数Aと払い出された遊技球の数Bとを測定して出球率を算出する方法と比べると、時間の間隔を細かくして出球率を算出することができ、細かく算出した出球率により、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することができるため、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったか否かを、より正確に抜き打ち検査を行う者に認識させることができる。
【0082】
本発明に係るパチンコ遊技機において、上記出球率を算出する方法としては、例えば、実際に、遊技盤上に打ち出される遊技球を検知することができるセンサと、払い出される遊技球を検知することができるセンサとを設け、それぞれのセンサが検知した遊技球の数に基づいて、出球率を算出する方法(以下、遊技球を検知して出球率を算出する方法ともいう)や、パチンコ遊技機内に設けられた制御部から送信する命令信号、すなわち、遊技盤上に遊技球を打ち出すための命令信号と、遊技球を払い出すための命令信号とに基づいて出球率を算出する方法(以下、制御部内のみで出球率を算出する方法ともいう)等を挙げることができる。なお、遊技球を検知して出球率を算出する方法、及び、制御部内のみで出球率を算出する方法については、後述することとする。
【0083】
「報知手段」は、例えば、上記パチスロ遊技機において、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する手段をいう。
「報知方法」とは、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する方法をいう。
上記報知方法は、特に限定されるものではないが、遊技者以外の第三者(例えば、遊技店側の者や、抜き打ち検査を行う者等)に対して、報知が行われていることを比較的容易に認識させ得る方法であることが望ましい。抜き打ち検査のみで対応可能とするとともに、検査の負担を軽減するという本発明の効果を充分に得ることができるからである。
【0084】
そのような報知方法としては、例えば、パチスロ遊技機の所定の位置(例えば、筐体の上側)に設けられた装飾ランプを点灯又は点滅させる方法や、パチスロ遊技機に設けられたスピーカから警報音を発生させる方法や、液晶表示装置に特定の画像を表示させたり、図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法や、筐体上にLED表示装置等を設け、当該LED表示装置等を点灯又は点滅させたり、特定の文字、図形、記号等を表示させたりする方法等を挙げることができる。
これらの報知方法は、単独で用いられることとしてもよく、組み合わせて用いられることとしてもよく、差枚数又は払戻率に応じて選択された1又は2以上の方法が用いられることとしてもよい。
【0085】
また、上述した報知方法により報知を行うタイミングは、特に限定されるものではなく、例えば、10回ごとに差枚数又は払戻率を算出する場合、10回ごとに報知を行うというように、差枚数又は払戻率を算出するタイミングに併せて行うこととすればよい。
【0086】
さらに報知を行う期間は、特に限定されるものではないが、報知方法に応じて設定されることが望ましい。
例えば、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法や、液晶表示装置に特定の画像を表示させたり、図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法や、筐体上にLED表示装置等を設け、当該LED表示装置等を点灯又は点滅させたり、特定の文字、図形、記号等を表示させたりする方法が用いられる場合、報知を行う期間は、差枚数又は払戻率を算出してから、次に差枚数又は払戻率を算出するまでの間、継続して報知を行うこととしてもよく、所定の期間(例えば、1分間)にわたって報知を行うことを断続的に繰り返すこととしてもよい。一方、スピーカから警報音を発生させる方法が用いられる場合、継続して報知を行うこととすると、遊技者の遊技に対する集中を阻害し、白けさせてしまうおそれがあることから、所定の期間(例えば、数秒程度)にわたって報知を行うことを断続的に繰り返すようにすることが望ましい。
【0087】
なお、上記装飾ランプを点灯又は点滅させる方法が用いられるパチスロ遊技機において、上記装飾ランプ、及び、当該装飾ランプを点灯若しくは点滅させるための命令信号の送信や電力の供給を行う制御部は、報知手段として機能する。
また、スピーカから警報音を発生させる方法が用いられるパチスロ遊技機において、上記スピーカ、及び、警報音となる音データを選択して該音データから音信号を生成し、上記音信号と上記スピーカに送信する制御部は、報知手段として機能する。
また、液晶表示装置に特定の画像を表示させたり、図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法が用いられるパチスロ遊技機において、上記液晶表示装置、及び、該液晶表示装置に表示する画像の生成と電子データの伝送とを行う制御部は、報知手段として機能する。
また、LED表示装置等を点灯又は点滅させたり、特定の文字、図形、記号等を表示させたりする方法が用いられるパチスロ遊技機において、上記LED表示装置、及び、上記LED表示装置への信号の送信や電力の供給を行う制御部は、報知手段として機能する。
【0088】
上述した報知方法のなかでは、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法、及び/又は、スピーカから警報音を発生させる方法が用いられることが望ましい。パチスロ遊技機に接近していない者に対しても、比較的容易に、報知が行われていることを認識させることができるため、抜き打ち検査を行う者は、パチスロ遊技機に接近することなく検査を行うことができ、検査の負担をより軽減することができるからである。
【0089】
また、本発明では、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、差枚数又は払戻率と上限値又は下限値との差の大きさに関連付けて、段階的にその報知方法を変化させながら、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することが望ましい。
差枚数又は払戻率に応じて、段階的に報知方法を変化させることにより、抜き打ち検査を行う者は、比較的容易に、より詳しい差枚数又は払戻率を知ることができ、これにより具体的に、遊技店側の者に差枚数又は払戻率について必要な対策を講じるように促すことができ、効果的に抜き打ち検査を行うことができるからである。
【0090】
また、差枚数又は払戻率の、上限値又は下限値との差に関連付けて、段階的にその報知方法を変化させる場合、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法により、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することが望ましい。
差枚数又は払戻率が上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法に変化させることにより、抜き打ち検査を行う者は、差枚数又は払戻率が上限値を超えるか、又は、下限値を下回る前に、より確実に、遊技店側の者に差枚数又は払戻率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の更なる実効を図ることができるからである。
【0091】
なお、より気付きやすい報知方法とは、以下に示す報知方法をいう。
すなわち、一の報知手段が、他の一の報知手段と比べて、遊技店側の者や、検査を行う者等の遊技者以外の第三者にとって、より労力又は負担のかかる行為(例えば、パチスロ遊技機に接近したり、該パチスロ遊技機を看視したりする行為)等を媒介とせず、該パチスロ遊技機において、報知が行われていることを認識することができる方法である場合、上記一の報知方法は、上記他の一の報知方法と比べて、より気付きやすい方法であるといえる。
【0092】
上述した方法のなかにおいて、液晶表示装置に特定の画像を表示させたり、図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法は、LED表示装置を点灯又は点滅させたり、特定の文字図形、記号等を表示させたりする方法と比べると、より気付きやすい報知手段であるといえる。両者は、パチスロ遊技機の正面にいる者でなければ、報知が行われているか否かを認識することが困難であるという点において共通するが、通常、LED表示装置より、液晶表示装置の方が大きく、当該液晶表示装置を用いた場合、大きな画像等を表示させて報知することが可能であるからである。
【0093】
また、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法は、液晶表示装置に特定の画像を表示させたり、図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法と比べると、より気付きやすい報知方法であるといえる。両者は、パチスロ遊技機を見なければ、報知が行われているか否かを認識することができないという点において共通するが、装飾ランプを点灯又は点滅させた場合、パチスロ遊技機の正面にいる者でなくても、パチスロ遊技機に接近することなく、報知が行われていることを認識することができるからである。なお、装飾ランプを点滅させる方法は、装飾ランプを点灯させる方法と比べると、より遊技者以外の第三者の注意を引くことができるという点から、より気付きやすい報知方法であるといえる。
【0094】
また、スピーカから警報音を発生させる方法は、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法と比べると、遊技者以外の第三者が、パチスロ遊技機を見ることなく、報知が行われていることを認識することができるという点において、より気付きやすい方法であるといえる。
なお、上述した方法は、2以上を組み合わせて用いることにより、単独で用いる場合と比べて、より気付きやすい報知方法とすることができる。例えば、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法と、スピーカから警報音を発生させる方法とを組み合わせて、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法と比べて、より気付きやすい報知方法とすることも可能である。
【0095】
さらに、本発明では、差枚数又は払戻率と上限値又は下限値との差に関連付けて、段階的にその報知方法を変化させる場合、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させて、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することも望ましい。
差枚数又は払戻率が上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させるため、抜き打ち検査を行う者は、差枚数又は払戻率が上限値又は下限値に近づくほど、報知が行われていることを確実に認識することができ、差枚数又は払戻率が上限値を超えるか、又は、下限値を下回る前に、より確実に、遊技店側の者に差枚数又は払戻率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の更なる実効を図ることができるからである。
【0096】
上記パチンコ遊技機の場合、「報知手段」は、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する手段をいう。
「報知方法」とは、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する方法をいう。
上記報知方法は、特に限定されるものではないが、遊技者以外の第三者(例えば、遊技店側の者や、抜き打ち検査を行う者等)に対して、報知が行われていることを比較的容易に認識させ得る方法であることが望ましい。抜き打ち検査のみで対応可能とするとともに、検査の負担を軽減するという本発明の効果を充分に得ることができるからである。
【0097】
そのような報知方法としては、例えば、パチンコ遊技機の所定の位置(例えば、遊技盤の上側)に設けられた装飾ランプを点灯又は点滅させる方法や、パチンコ遊技機に設けられたスピーカから警報音を発生させる方法や、可変表示ゲームが行われる表示装置に特定の画像を表示させたり、変動図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法や、遊技盤上にLED表示装置等を設け、当該LED表示装置等を点灯又は点滅させたり、特定の文字、図形、記号等を表示させたりする方法等を挙げることができる。
これらの報知方法は、単独で用いられることとしてもよく、組み合わせて用いられることとしてもよく、差球数又は出球率に応じて選択された1又は2以上の方法が用いられることとしてもよい。
【0098】
また、上述した報知方法により報知を行うタイミングは、特に限定されるものではなく、例えば、10分ごとに差球数又は出球率を算出する場合、10分ごとに報知を行うというように、差球数又は出球率を算出するタイミングに併せて行うこととすればよい。
【0099】
さらに、報知を行う期間は、特に限定されるものではないが、報知方法に応じて設定されることが望ましい。
例えば、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法や、可変表示ゲームが行われる表示装置に特定の画像を表示させたり、変動図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法や、遊技盤上にLED表示装置等を設け、当該LED表示装置等を点灯又は点滅させたり、特定の文字、図形、記号等を表示させたりする方法が用いられる場合、報知を行う期間は、差球数又は出球率を算出してから、次に差球数又は出球率を算出するまでの間、継続して報知を行うこととしてもよく、所定の期間(例えば1分間)にわたって報知を行うことを断続的に繰り返すこととしてもよい。
一方、スピーカから警報音を発生させる方法が用いられる場合、継続して報知を行うこととすると、遊技者の遊技に対する集中を阻害し、白けさせてしまうおそれがあることから、所定の期間(例えば数秒程度)にわたって報知を行うことを断続的に繰り返すようにすることが望ましい。
【0100】
なお、上記装飾ランプを点灯又は点滅させる方法が用いられるパチンコ遊技機において、上記装飾ランプ、及び、当該装飾ランプを点灯若しくは点滅させるための命令信号の送信や電力の供給を行う制御部は、報知手段として機能する。
また、スピーカから警報音を発生させる方法が用いられるパチンコ遊技機において、上記スピーカ、及び、警報音となる音データを選択して該音データから音信号を生成し、上記音信号を上記スピーカに送信する制御部は、報知手段として機能する。
また、可変表示ゲームが行われる表示装置に特定の画像を表示させたり、変動図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法が用いられるパチンコ遊技機において、上記表示装置、及び、該表示装置に表示する画像の生成と電子データの伝送とを行う制御部は、報知手段として機能する。
また、LED表示装置等を点灯又は点滅させたり、特定の文字、図形、記号等を表示させたりする方法が用いられるパチンコ遊技機において、上記LED表示装置、及び、上記LED表示装置への信号の送信や電力の供給を行う制御部は、報知手段として機能する。
【0101】
上述した報知方法のなかでは、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法、及び/又は、スピーカから警報音を発生させる方法が用いられることが望ましい。パチンコ遊技機に接近していない者に対しても、比較的容易に、報知が行われていることを認識させることができるため、抜き打ち検査を行う者は、パチンコ遊技機に接近することなく検査を行うことができ、検査の負担をより軽減することができるからである。
【0102】
また、本発明では、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、差球数又は出球率と上限値又は下限値との差の大きさに関連付けて、段階的にその報知方法を変化させながら、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することが望ましい。
差球数又は出球率に応じて段階的に報知方法を変化させることにより、抜き打ち検査を行う者は、比較的容易に、より詳しい差球数又は出球率を知ることができ、これにより具体的に、遊技店側の者に差球数又は出球率について必要な対策を講じるように促すことができ、効果的に抜き打ち検査を行うことができるからである。
【0103】
また、差球数又は出球率と上限値又は下限値との差に関連付けて、段階的にその報知方法を変化させる場合、差球数又は出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法により、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することが望ましい。
差球数又は出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法に変化させることにより、抜き打ち検査を行う者は、差球数又は出球率が上限値を超えるか、又は、下限値を下回る前に、より確実に、遊技店側の者に差球数又は出球率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の更なる実効を図ることができるからである。
【0104】
なお、より気付きやすい報知方法とは、以下に示す報知方法をいう。
すなわち、一の報知方法が、他の一の報知方法と比べて、遊技店側の者や、検査を行う者等の遊技者以外の第三者にとって、より労力又は負担のかかる行為(例えば、パチンコ遊技機に接近したり、該パチンコ遊技機を看視したりする行為)等を媒介とせず、該パチンコ遊技機において、報知が行われていることを認識することができる方法である場合、上記一の報知方法は、上記他の一の報知方法と比べて、より気付きやすい方法であるといえる。
【0105】
上述した方法のなかにおいて、可変表示ゲームが行われる表示装置に特定の画像を表示させたり、変動図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法は、LED表示装置を点灯又は点滅させたり、特定の文字図形、記号等を表示させたりする方法と比べると、より気付きやすい報知方法であるといえる。両者は、パチンコ遊技機の正面にいる者でなければ、報知が行われているか否かを認識することが困難であるという点において共通するが、通常、LED表示装置より、可変表示ゲームが行われる表示装置の方が大きく、当該表示装置を用いた場合、大きな画像等を表示させて報知することが可能であるからである。
【0106】
また、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法は、可変表示ゲームが行われる表示装置に特定の画像を表示させたり、変動図柄やキャラクタ画像等を特定の態様で表示させたりする方法と比べると、より気付きやすい報知方法であるといえる。両者は、パチンコ遊技機を見なければ、報知が行われているか否かを認識することができないという点において共通するが、装飾ランプを点灯又は点滅させた場合、パチンコ遊技機の正面にいる者でなくても、パチンコ遊技機に接近することなく、報知が行われていることを認識することができるからである。なお、装飾ランプを点滅させる方法は、装飾ランプを点灯させる方法と比べると、より遊技者以外の第三者の注意を引くことができるという点から、より気付きやすい報知方法であるといえる。
【0107】
また、スピーカから警報音を発生させる方法は、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法と比べると、遊技者以外の第三者が、パチンコ遊技機を見ることなく、報知が行われていることを認識することができるという点において、より気付きやすい報知方法であるといえる。
なお、上述した方法は、2以上を組み合わせて用いることにより、単独で用いる場合と比べて、より気付きやすい報知方法とすることができる。例えば、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法と、スピーカから警報音を発生させる方法とを組み合わせて、装飾ランプを点灯又は点滅させる方法と比べて、より気付きやすい報知方法とすることも可能である。
【0108】
さらに、本発明では、差球数又は出球率と上限値又は下限値との差に関連付けて、段階的にその報知方法を変化させる場合、差球数又は出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させて、差球数又は出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知することも望ましい。
差球数又は出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させるため、抜き打ち検査を行う者は、差球数又は出球率が上限値又は下限値に近づくほど、報知が行われていることを確実に認識することができ、差球数又は出球率が上限値を超えるか、又は、下限値を下回る前に、より確実に、遊技店側の者に差球数又は出球率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の更なる実効を図ることができるからである。
【0109】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
以下に説明する実施例においては、本発明の遊技機に好適な実施例として、本発明をパチンコ遊技機に適用した場合を示すこととし、このパチンコ遊技機において、遊技媒体に関する数値として、出球率が算出される場合について説明することとする。
また、出球率を算出する方法として、遊技球を検知して出球率を算出する方法が用いられるパチンコ遊技機であって、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、装飾ランプの点灯、装飾ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させて、報知を行うパチンコ遊技機について説明することとする。
勿論、本発明の遊技機は、このようなパチンコ遊技機に限定されるものではなく、上述したような、遊技媒体に関する数値を算出する方法と、報知方法とが用いられるパチンコ遊技機は、本発明の遊技機に該当する。
【0110】
図1は、本発明に係るパチンコ遊技機を模式的に示す正面図である。
パチンコ遊技機10には、本体枠12と、本体枠12に組み込まれた遊技盤14と、遊技盤14の前面に設けられた本体枠12の窓枠16と、窓枠16の下側で本体枠12の前面に設けられた上皿20及び下皿22と、下皿22の右側に設けられた発射ハンドル26と、が配置されている。
また、下皿22の下側には、スピーカ46が設けられており、遊技状況に応じて、適宜、効果音、BGM(パックグラウンドミュージック)、音声等が出力される。なお、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際には、スピーカ46から警報音が発せられる。
【0111】
また、遊技盤14の前面には複数の障害釘(図示せず)が打ちこまれている。なお、釘を打ち込むような構成とせず、遊技盤14を樹脂素材で成形し、この樹脂素材の遊技盤14に金属製の棒状体を遊技盤14の前方向に突出するように植設する構成としてもよく、上述したようなパチンコ遊技機10(パチコン機)にも本発明を適用することができる。なお、本明細書において、パチンコ遊技機10とは、パチコン機をも含む概念である。
【0112】
さらに、発射ハンドル26は本体枠12に対して回動自在に設けられており、遊技者は発射ハンドル26を操作することによりパチンコ遊技を進めることができるのである。発射ハンドル26の裏側には、発射モータ28が設けられている。発射ハンドル26が遊技者によって時計回り方向へ回動操作されたときには、発射モータ28に電力が供給され、上皿20に貯留された遊技球が遊技盤14に順次発射される。ここでは、発射モータ28を用いているが、遊技球の打ち出しを行うための打ち出しソレノイドを用いることも可能である。
なお、遊技盤14上に遊技球を打ち出すための手段、及び、打ち出された遊技球を検知する手段については、後で図面を用いて説明する。
【0113】
発射された遊技球は、遊技盤14上に設けられたガイドレール30に案内されて遊技盤14の上部に移動し、その後、上述した複数の障害釘との衝突によりその進行方向を変えながら遊技盤14の下方に向かって落下する。
【0114】
図2は、遊技盤14を模式的に示す拡大正面図である。なお、上述した図1に示した構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付した。また、図2は、上述した障害釘について省略したものを示した。
【0115】
遊技盤14の前面の略中央には、後述する如き表示部である表示装置32が設けられている。この表示装置32の上部の中央には、表示装置52が設けられている。この表示装置52は、例えば、7セグメント表示器で構成されており、表示情報である普通図柄が、変動と停止とを繰り返すように可変表示される。表示装置32の左右の側部には、球通過検出器55a及び55bが設けられている。
この球通過検出器55a又は55bは、その近傍を遊技球が通過したことを検出したときには、始動口44を開放状態とするか否かを決定する抽選が行われるとともに、上述した表示装置52において、普通図柄の変動表示が開始され、所定の時間経過した後、普通図柄の変動表示を停止する。この普通図柄は、数字や記号等からなる情報であり、例えば、「0」から「9」までの数字や「☆」等の記号である。
この普通図柄が所定の図柄、例えば、「7」となって停止して表示されたときには、後述する始動口44の左右の両側に設けられている可動片58a及び58bを駆動するためのソレノイド57(図示せず)に電流を供給し、始動口44に遊技球が入りやすくなるように可動片58a及び58bを駆動し、始動口44を開放状態となるようにする。なお、始動口44を開放状態とした後、所定の時間が経過したときには、可動片を駆動し始動口44を閉鎖状態として、遊技球が入りにくくなるようにするのである。
【0116】
上述した表示装置52の左右の両側には4つの保留ランプ34a〜34dが設けられている。さらに、表示装置52の上部には一般入賞口50が設けられている。また、遊技盤14の下部には、遊技球の大入賞口38が設けられている。この大入賞口38の近傍には、シャッタ40が開閉自在に設けられている。シャッタ40は大当たり状態が発生したときには、断続的に開放状態となるようにソレノイド48(図示せず)により駆動される。
【0117】
上述した表示装置32の左右の両側には一般入賞口54a及び54bが設けられている。さらに、表示装置32下部の左右の両側には一般入賞口54c及び54dが設けられている。また、遊技盤14の左右の端部には、特別入賞口56a及び56bが設けられ、大入賞口38の左右の両側には、特別入賞口56c及び56dが設けられている。
【0118】
また、後述する可変表示ゲームが開始されて表示装置32に表示される複数、例えば、3つの識別情報である図柄を変動表示状態に移行する契機となる始動口44が設けられている。上述した大入賞口38、始動口44、一般入賞口50及び54a〜54d、並びに、特別入賞口56a〜56dには、球検知センサ42が設けられており、遊技球が入ったとき、すなわち、遊技球が通過したことを球検知センサ42が検知したときには、払出装置59(図示せず)により、入賞口の種類に応じて予め設定されている数の遊技球が下皿22に払い出されるようになされている。また、払出装置59には、払い出される遊技球を検知する払出球検知センサ53が設けられている。払出球検知センサ53及び払出球検知センサ53から遊技球を検知したことを示す検出信号を受信する制御部は、払出遊技球計測手段として機能する。
【0119】
さらにまた、表示装置32の左右の両側には、遊技球の経路を所定の方向に誘導するための転動誘導部材60a及び60bも設けられている。また、遊技盤14の外側の上左側と上右側とには装飾ランプ36a及び36bが設けられている。なお、装飾ランプ36a及び36bは、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、点灯したり、点滅したりする。
【0120】
なお、上述した表示装置32において後述する演出画像を表示する部分は、液晶ディスプレイパネルからなるものであってもブラウン管からなるものであってもよい。また、上述した例においては、表示装置32は、パチンコ遊技機であるパチンコ遊技機10の遊技盤14において、前面の略中央に設けられている場合を示したが、遊技者が見ることができるような位置であればパチンコ遊技機の何処の位置に表示装置32を設けることとしてもよい。
【0121】
また、装飾ランプが設けられる位置や大きさや数は、図1及び図2に示す例に限定されるものではない。また、装飾ランプとは別に、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、点灯したり、点滅したりするランプが設けられていてもよい。
【0122】
図3は、遊技盤14上に遊技球を打ち出すための手段、及び、打ち出された遊技球を検知する手段を模式的に示す説明図である。なお、図3では、遊技盤14上に遊技球を打ち出すための手段として、打ち出しソレノイドが設けられている場合について説明する。
【0123】
ガイドレール30の下端には、打ち出しソレノイドSが設けられており、打ち出しソレノイドSが動作することにより、遊技球を遊技盤14上に打ち出すことができる。打ち出しソレノイドSの近傍のガイドレール30には、発射球通過検出器61が設けられており、これは機械的な発射球通過検知スイッチとすることが可能である。また、発射球通過検出器61として、遊技球の通過を光で検知する透過式又は反射式の光センサが設けられていてもよい。
【0124】
ガイドレール30の途中部分には、打ち出しソレノイドSの打ち出し力不足により、又は、打ち出しソレノイドSが2個の遊技球を打ち出したことにより、ガイドレール30に沿って逆戻りする遊技球を排出する排出口63が設けられており、さらに、排出口63から排出される遊技球を検知する戻り球検知スイッチ65が設けられている。この戻り球検知スイッチ65の遊技球の検知により、実際に遊技球が打ち出された遊技球の数を確実にカウントすることができる。
図3に示すように構成された発射球通過検出器及び戻り球検知スイッチ、並びに、当該発射球通過検出器と戻り球検知スイッチとからの検出信号を受信する制御部は、打ち出された遊技球の数を得るための打出遊技球計測手段として機能する。
【0125】
図4は、本発明の実施例であるパチンコ遊技機の制御回路を示すブロック図である。図4では、遊技盤14上に遊技球を打ち出す手段として、発射モータ28が設けられている場合について説明する。
【0126】
上述した発射ハンドル26は、制御回路60のインターフェイス回路群62に接続され、インターフェイス回路群62は、入出力バス64に接続されている。発射ハンドル26の回動角度を示す角度信号は、インターフェイス回路群62により所定の信号に変換された後、入出力バス64に供給される。入出力バス64は、演算処理装置である中央処理回路(以下、CPUと称する)66にデータ信号又はアドレス信号が入出力されるようになされている。また、上述したインターフェイス回路群62には、球検知センサ42も接続されており、遊技球が大入賞口38、始動口44、一般入賞口50及び54a〜54d、並びに、特別入賞口56a〜56dを通過したときには、球検知センサ42は、検出信号をインターフェイス回路群62に供給する。さらに、インターフェイス回路群62には、球通過検出器55も接続されており、球通過検出器55は遊技球がその近傍を通過したことを検出したときには、検出信号をインターフェイス回路群62に供給する。
【0127】
また、入出力バス64には、払出球検知センサ53、発射球通過検出器61、及び、戻り球検知スイッチ65が接続されており、それぞれ遊技球を検出したときには、検出信号をインターフェイス回路群62に供給する。
発射球通過検出器61、戻り球検知スイッチ65、及び、発射球通過検出器61と戻り球検知スイッチ65とからの検出信号を受信する制御部は、打ち出された遊技球の数を得るための打出遊技球計測手段として機能する。また、払出球検知センサ53、及び、払出球検知センサ53からの検出信号を受信する制御部は、払い出された遊技球の数を得るための払出遊技球計測手段として機能する。
【0128】
上述した入出力バス64には、ROM68及びRAM70も接続されている。ROM68は、パチンコ遊技機の遊技全体の流れを制御する制御プログラムを記憶する。さらに、ROM68は、表示装置32において可変表示ゲームが実行される際に、変動表示や停止表示される変動図柄の画像データ、演出画面として表示される動体物からなるキャラクタ画像データ、表示装置32の背景を構成する背景画像データ及び動画映像画像データ、遊技に用いる音データ、並びに、大入賞口等の払出数に関するデータ、制御プログラムを実行するための初期データや、装飾ランプ36の点灯や点滅の動作パターンを制御するプログラム等を記憶する。
なお、この装飾ランプ36の点灯や点滅の動作パターンを制御するプログラムには、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、装飾ランプ36を点滅させたり、点滅させたりするプログラムが含まれている。
【0129】
上述した図柄画像データは、表示装置32において図柄を変動表示するときや、停止表示する際に用いるものであり、多様の表示態様、例えば、拡大した画像、縮小した画像、変形した画像等に応じた画像データを含むものである。また、上述した動体物からなるキャラクタ画像データ、背景画像データ及び動画映像画像データは、遊技を演出するように、動画像、静画像若しくはこれらの組み合わせた画像を画面画像として表示装置32に表示するためのものである。さらに、上述した動体物からなるキャラクタ画像データは、キャラクタの動作を表示すべく動作の各々に対応した画像データを含むものである。
さらに、音データも遊技を演出するためのものであり、後述するスピーカ46から効果音等の音声を発するために用いるものである。
なお、この音データには、警報音を発生させる音データが含まれており、ROM68には、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、警報音を発生させる音データにより、警報音を発生させるプログラムが記憶されている。
【0130】
また、RAM70は、上述したプログラムで使用するフラグや変数の値を記憶する。例えば、新たな入力データやCPU66による演算結果や遊技の履歴を示す累積リーチデータ、累積変動数及び累積大当たり回数を記憶する。
さらに、遊技盤上に打ち出された遊技球の数と、払い出された遊技球の数とを記憶し、遊技盤上に打ち出された遊技球の数と払い出された遊技球の数とに基づいて算出される出球率を記憶する。
【0131】
制御部であるCPU66は、所定のプログラムを呼び出して実行することにより演算処理を行い、この演算処理の結果に基づいて動体物からなるキャラクタ画像データ、背景画像データ、動画映像画像データ及び変動図柄画像データ、並びに、音データを電子データとして伝送その他の制御を行うのである。
【0132】
また、CPU66は、上述した識別情報である変動図柄の画像データを読み出して、表示装置32において図柄が変動表示されるように制御したり、複数の識別情報である図柄の相互の組み合わせ状態が表示装置32において所定のタイミングで停止表示されるように制御する。
さらに、CPU66は、RAM70に記憶された、遊技球上に打ち出された遊技球の数と、払い出された遊技球の数とから出球率を算出する出球率算出手段として機能する。
【0133】
さらに、入出力バス64には、インターフェイス回路群72も接続されている。インターフェイス回路群72には、表示装置32、スピーカ46、発射モータ28、ソレノイド48及び57、保留ランプ34、装飾ランプ36、並びに、払出装置59が接続されており、インターフェイス回路群72は、CPU66における演算処理の結果に応じて上述した装置の各々を制御すべく駆動信号や駆動電力を供給する。
【0134】
なお、ROM68に記憶されたプログラムのうち、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、装飾ランプ36を点滅させたり、点灯させたりするプログラムが実行されたときには、制御部(CPU66)から装飾ランプ36に対して命令信号が送信され、装飾ランプ36は、該命令信号に基づいて、点滅したり、点灯したりする。
このとき、装飾ランプ36、及び、CPU66やROM68等を含む制御部は、報知手段として機能する。
【0135】
また、ROM68に記憶されたプログラムのうち、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、警報音を発生させる音データにより、警報音を発生させるプログラムが実行されたときには、制御部(CPU66)において、上記音データから音信号が生成され、当該音信号がスピーカ46に送信される。その結果、スピーカ46から警報音が出力される。
このとき、スピーカ46、及び、CPU66やROM68等を含む制御部は、報知手段として機能する。
【0136】
表示部である表示装置32の画面画像は、変動図柄が表示される識別画像と演出画面が表示される演出画像とからなり、CPU66の制御によりこれらの2つの画像を重ね合わせて合成することにより、一つの画像として表示する。
【0137】
このように複数の画像、例えば、図柄画像と演出画像とを重ね合わせて合成することによりに、演出画像を背景として、図柄が変動するシーンを演出することができ、多彩な表示形態が可能となるのである。
【0138】
ソレノイド48は、上述した如きシャッタ40を開閉駆動するためのものであり、ソレノイド57は、始動口44の左右の両側に設けられた可動片58a及び58bを開閉駆動するためのものである。
保留ランプ34は、表示装置32に表示する図柄の組み合わせが有効となった回数を示すものであり、装飾ランプ36は、上述したように、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、点灯又は点滅する以外に、遊技が大当たりとなったときやリーチとなったときに遊技者にその旨を示すべく点滅又は点灯するものである。
払出装置59は、CPU66からの制御信号により、遊技状況(例えば入賞口等に遊技球が入ったこと等)に応じて、上皿20又は下皿22に、予め定められた数の遊技球を払い出すものである。
【0139】
上述した演算処理装置(CPU66)から制御部が構成され、表示装置32から表示部が構成され、パチンコ遊技機10からパチンコ遊技機が構成される。
なお、本明細書では、制御部に含まれる演算処理装置が1つであるとして説明しているが、本発明に係るパチンコ遊技機では、制御部に含まれる演算処理装置は1つである必要はなく、上記制御部は、例えば、主にパチンコ遊技機10の各部を主導的に制御することにより遊技を進行させる演算処理装置Pと、演算処理装置Pからの命令信号等に基づいて、主に表示部に表示させる画像を生成する演算処理装置Qとを含んで構成されていてもよい。また、上記制御部に含まれるROM及びRAMも、必ずしも1つである必要はない。
【0140】
以下においては、パチンコ遊技機10は起動しており、上述したCPU66において用いられる変数は所定の値に初期化され、定常動作しているものとする。
また、警報音以外の音については、説明を省略するが、遊技状況に応じて、BGM、効果音、音声等が適宜出力されていることとする。
【0141】
図5は、遊技盤上に打ち出された遊技球の数を計測するために実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。なお、このサブルーチンは、予め実行されているパチンコ遊技機10のパチンコ遊技を制御する制御プログラムから所定のタイミング(例えば、10分ごと)で呼び出されて実行されるものである。
【0142】
まず、CPU66は、RAM70に記憶された、遊技盤上に打ち出された遊技球の数(発射検知数A)を0とする(ステップS100)。
次に、発射モータ28により打ち出された遊技球が、発射球通過検出器61により、検出されたか否かを判断する(ステップS101)。すなわち、CPU66は、発射球通過検出器61からの検出信号を受信したか否かを判断する。
検出されていないと判断した場合には、処理をステップS101に戻す。
【0143】
発射球通過検出器61により検出されたと判断した場合には、次に、打ち出された遊技球が戻り球検知スイッチ65により検出されたか否かを判断する(ステップS102)。すなわち、CPU66は、戻り球検知スイッチ65からの検出信号を受信したか否かを判断する。
【0144】
戻り球検出スイッチ65により遊技球が検出されたと判断した場合、処理をステップS101に戻す。
一方、戻り球検出スイッチ65により遊技球が検出されていないと判断した場合には、RAM70に記憶された発射検知数Aに1を加算(インクリメント)し、A+1として、RAM70に累積記憶する(ステップS103)。
【0145】
次に、ステップS100の処理を実行してから所定の期間が経過したか否かについて判断する(ステップS104)。所定の期間が経過していないと判断した場合、処理をステップS101に戻し、再びステップS101〜S103の処理を実行する。
なお、上述したステップS104に代えて、ステップS101〜S103の処理が実行されている間に、所定の期間が経過したとき、強制的に、後述するステップS105の処理を実行して、本サブルーチンを終了することとしてもよい。
【0146】
このように、ステップS104において所定の期間が経過したと判断するまで、ステップS101〜S103の処理を繰り返し実行することにより、所定の期間内に打ち出された遊技球の数を計測することが可能となる。
ステップS104において、所定の期間が経過したと判断した場合には、所定の期間内における発射検知数AをRAM70に記憶させて(ステップS105)、本サブルーチンを終了する。
なお、この遊技盤上に打ち出された遊技球の数を計測するためのサブルーチンが実行されているとき、発射球通過検出器61、戻り球検知スイッチ65、及び、発射球通過検出器61と戻り球検知スイッチ65とから検出信号を受信する制御部(CPU66)は、打ち出された遊技球の数の得るための打出遊技球計測手段として機能する。
【0147】
図6は、上述した制御回路60において実行される遊技球を検出するサブルーチンを示すフローチャートである。なお、このサブルーチンは、予め実行されているパチンコ遊技機10のパチンコ遊技を制御する制御プログラムから所定のタイミングで呼び出されて実行されるものである。
【0148】
最初に、入賞口に遊技球が入った否かを検出する(ステップS11)。この入賞口は、例えば、上述した図2に示した例においては、一般入賞口50及び54a〜54d並びに特別入賞口56a〜56dである。ステップS11において、入賞口に遊技球が入ったと判断したときには、払出装置59を駆動させ、遊技球を所定の払出数Pで払い出す処理を実行する(ステップS12)。なお、払出数Pは、入賞口の種類に応じて、個別に設定されていてもよく、全て同じであってもよい。
【0149】
次に、始動口に遊技球が入ったか否かを判断する(ステップS13)。この始動口は、例えば、上述した図2に示した例においては、始動口44である。このステップS13において、始動口に遊技球が入ったと判断したときには、払出装置59を駆動させ、遊技球を所定の払出数Qで払い出す処理を実行し(ステップS17)、さらに、後述する可変表示ゲームを実行する(ステップS14)。
【0150】
さらに、球通過検出器を遊技球が通過したか否かを判断する(ステップS15)。この球通過検出器は、例えば、上述した図2に示した例においては、球通過検出器55a及び55bである。
【0151】
このステップS15において、球通過検出器を遊技球が通過したと判断したときには、上述したように、表示装置52において普通図柄を変動表示させる処理を実行する(ステップS16)。なお、上述したように、変動表示された普通図柄が停止したときに所定の図柄となったときには、可動片58a及び58bを駆動して始動口44を開放状態となるようにして、始動口44に遊技球が入りやすくなるようにするのである。
【0152】
図7は、払い出された遊技球の数を計測するために実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。なお、このサブルーチンは、予め実行されているパチンコ遊技機10のパチンコ遊技を制御する制御プログラムから、例えば、図5に示した打出遊技球計測処理ルーチンが実行されると同時に、呼び出されて実行されるものである。
【0153】
まず、CPU66は、RAM70に記憶された、払い出された遊技球の数(払出検知数B)を0とする(ステップS110)。
次に、払出球検知センサ53により遊技球が検知されたか否かを判断する(ステップS111)。検知されていないと判断した場合には、処理をステップS111に戻す。
【0154】
払出球検知センサ53により検知されたと判断した場合には、RAM70に記憶された払出検知数Bに1を加算(インクリメント)し、B+1として、RAM70に累積記憶する(ステップS113)。
次に、ステップS110の処理を実行してから所定の期間が経過したか否かについて判断する(ステップS114)。なお、ここでいう所定の期間は、図5を用いて説明したサブルーチンにおける所定の期間と、同じであってもよく、異なっていてもよい。
所定の期間が経過していないと判断した場合、処理をステップS111に戻し、再びステップS111及びS113の処理を実行する。
【0155】
このように、ステップS114において所定の期間が経過したと判断するまで、ステップS111及びS113の処理を繰り返し実行することにより、所定の期間に払い出された遊技球の数を計測することが可能になる。
ステップS114において、所定の期間が経過したと判断した場合には、所定の期間内における払出検知数BをRAM70に記憶させて(ステップS115)、本サブルーチンを終了する。
なお、この払い出された遊技球の数を計測するためのサブルーチンが実行されているとき、払出球検知センサ53、及び、払出球検知センサ53からの検出信号を受信する制御部(CPU66)は、払い出された遊技球の数を得るための払出遊技球計測手段として機能する。
【0156】
図8は、上述した制御回路60において実行される報知を行うサブルーチンを示すフローチャートである。このサブルーチンは、例えば、遊技盤上に打ち出された遊技球の数を計測するためのサブルーチン(図5参照)と、払い出された遊技球の数を計測するためのサブルーチン(図7参照)とが実行されたことを受けて実行されるサブルーチンである。
以下の説明において、出球率の下限値は300%であり、上限値は300%であるとし、下限値を基準とした所定の範囲は30〜35%であり、上限値を基準とした所定の範囲は270〜300%であるとする。また、上述した所定の範囲のうち、33〜35%及び270〜280%を範囲α、31〜33%及び280〜290%を範囲β、30〜31%及び290〜300%を範囲γとする。
さらに、出球率が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内(範囲α、範囲β及び範囲γ)のうち、最も上限値又は下限値から遠い範囲(範囲α)に入った際、装飾ランプが点灯し、また、出球率が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内のうち、次に上限値又は下限値から遠い範囲(範囲β)に入った際、装飾ランプが点滅し、また、出球率が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内のうち、最も上限値又は下限値に近い範囲(範囲γ)に入った際、スピーカから警報音が発せられる場合について説明することとする。
【0157】
まず、CPU66は、上述したステップS105においてRAM70に記憶させた発射検知数A、及び、ステップS115においてRAM70に記憶させた払出検知数Bを読み出し、上記(6)式により出球率を算出する処理を行う(ステップS120)。
このステップS120において、制御部(CPU66)は、打ち出された遊技球の数と、払い出された遊技球の数とから出球率を算出する出球率算出手段として機能する。
【0158】
次に、算出した出球率が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったか否かを判断する(ステップS121)。出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったと判断したときには、次に、算出した出球率が、上述した範囲α、範囲β、範囲γのうちのどの範囲に入ったかを判断する(ステップS122)。
【0159】
ステップS122において、出球率が範囲αに入ったと判断した場合、CPU66は、装飾ランプ36を点灯させる命令信号を送信し(ステップS123)、装飾ランプ36を点灯させる。そして、装飾ランプ36は、所定の期間、例えば、次に上述したステップS120の処理が行われるまでの間、点灯した後、消灯する。
【0160】
また、ステップS122において、出球率が範囲βに入ったと判断した場合、CPU66は、装飾ランプ36を点滅させる命令信号を送信し(ステップS124)、装飾ランプ36を点滅させる。そして、装飾ランプ36は、所定の期間、例えば、次に上述したステップS120の処理が行われるまでの間、点滅した後、消灯する。
【0161】
さらに、ステップS122において、出球率が範囲γに入ったと判断した場合、CPU66は、ROM68に記憶された音データのうち、警報音を発生させる音データを選択する(ステップS125)。そして、該音データから音信号を生成し、スピーカ46に該音信号を送信する。その結果、スピーカ46から警報音が発せられることになる。そして、警報音は、例えば、次に上述したステップS120の処理が行われるまでの間、断続的に発せられる。
なお、上記警報音は、特に限定されるものではなく、効果音や、音声等であってもよく、BGMのテンポや音質を変化させて警報音としてもよい。また、音データ等を用いて警報音を発生させる代わりに、電子音を警報音としてもよい。
【0162】
ステップS121において、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入っていないと判断した場合、又は、ステップS123、S124若しくはS125の処理を実行した場合には、本サブルーチンを終了する。
【0163】
図8に示すサブルーチンが繰り返し実行されると、例えば、出球率が275%になったときには、装飾ランプ36が点灯し、その後、出球率が上昇して285%になったときには、装飾ランプ36が点滅し、さらに、出球率が上昇して295%になったときには、スピーカ46から警報音が発せられることになるのである。
このように、図8に示すようなサブルーチンが実行されることにより、出球率が上限値又は下限値に近づくに従って、装飾ランプの点灯、装飾ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させて、報知を行うことができる。
【0164】
なお、図8に示すサブルーチンでは、出球率が上限値に近づいたときと、下限値に近づいたときとの報知方法が同じである場合について説明したが、例えば、出球率が上限値に近づいたときには、装飾ランプを赤色に点灯させ、出球率が下限値に近づいたときには、装飾ランプを青色に点灯させるというようにして、出球率が上限値に近づいたときと、下限値に近づいたときとの報知方法を異なるようにすることも可能である。
【0165】
次に、可変表示ゲームについて説明する。図9は、上述したステップS14において呼び出されて実行される可変表示ゲーム処理をおこなうサブルーチンを示すフローチャートである。
【0166】
図9に示すサブルーチンが呼び出されることにより、表示装置32において表示されていた固定画面を通常画面へと切り替え、可変表示ゲームを開始するのである。ここで、可変表示ゲームは、スロットマシンにおいてなされる遊技を模したゲームであり、複数の識別情報である複数の図柄を表示装置32に表示し、その各々が変動するように表示した後、所定のタイミングでこれらの図柄が順次停止するように表示し、全ての図柄が停止したときにおける図柄の組み合わせが所定の組み合わせとなったときに、パチンコ遊技を遊技者に有利な状態に移行するためのゲームであり、この変動表示と停止表示とを1つの行程として実行されるゲームである。
【0167】
例えば、「1」、「2」、…、「12」からなる12個の数字からなる図柄の1つの組として、これらの12個の図柄を表示装置32に順次表示し、その図柄が移動するように表示しつつ、図柄自身が変化するように表示する。例えば、表示装置32において、図柄の「1」を表示装置32の上から下へスクロールするように表示した後、図柄の「2」を上から下へスクロールするように表示し、続いて図柄の「3」を同様に上から下へスクロールするように表示するのである。図柄の「1」から図柄の「12」までをこのような態様で表示した後、再び図柄の「1」をスクロールするように表示し、同様の表示を順次繰り返すのである。
【0168】
表示装置32においてこのように図柄を表示することにより、「1」から「2」へと、「2」から「3」へと、図柄がスクロールされながら図柄が順次変化するように「12」まで表示され、次に再び「1」が表示されることとなるのである。このように1つの図柄の位置を移動させつつ図柄自体が順次変化するように図柄を表示する態様を変動表示という。また、ある図柄を停止させて表示する態様を停止表示という。
【0169】
なお、1つの組に属する図柄を表示装置32に表示する際において、表示される図柄は、組に属する1つの図柄のみに限られることはなく、複数、例えば2〜3個の図柄を同時に表示することとしてもよい。例えば、図柄「5」を表示装置32に変動表示しているときに、図柄「5」の下方に図柄「4」の一部又は全体を変動表示し、図柄「5」の上方に図柄「6」の一部又は全体を変動表示することとしてもよい。なお、上述した図柄の組は、スロットマシンにおいて用いられる1本のリールに表示された図柄の組に対応する概念である。
【0170】
更に、可変表示ゲームが表示装置32において実行されるときには、複数の組の各々に属する図柄を表示する。例えば、3つの組に属する図柄の各々を横方向に表示することとした場合には、1つの組に属する図柄は表示装置32の左側に表示され、他の組に属する図柄は表示装置32の中央に表示され、残りの組に属する図柄は表示装置32の右側に表示されるのである。
【0171】
このように識別情報である図柄を表示することにより、表示部である表示装置32には複数の識別情報が表示されることとなるのである。例えば、1つの組に属する図柄のうちの1つの図柄のみを常に表示するように変動表示することとした場合には、表示装置32には3つの図柄、即ち左側に1つの図柄が表示され、中央に1つの図柄が表示され、右側に1つの図柄が表示されることとなるのである。また、可変表示ゲームが実行される際における組の数は、3つに限られることはなく、3以外の複数個の組に属する図柄を表示装置32に表示することとしてもよい。
【0172】
上述したように、このように図柄を表示することにより、複数の図柄、即ち複数の識別情報が表示部である表示装置32に表示されることとなるのである。更に、上述したように、1つの組に属する図柄について複数個の図柄を表示することとしてもよく、例えば、1つの組に属する2つの図柄を同時に変動表示するように表示することとし、3つの組について表示することとした場合には、表示装置32には、合計6個の図柄が変動表示されることとなるのである。
【0173】
複数の組に属する図柄を変動表示した後、変動表示されていた全ての図柄を所定のタイミングで停止表示した際に、これらの図柄の組み合わせが所定の組み合わせに合致して停止表示されたときには、可変表示ゲームが大当たりに当選したとしてパチンコ遊技が遊技者に有利になるような状態に移行する。
【0174】
例えば、3つの組に属する図柄を表示装置32に表示するとした場合に、1つの組に属する図柄が「7」で停止表示され、他の組に属する図柄も「7」で停止表示され、残りの組に属する図柄も「7」で停止表示されたときには、図柄の組み合わせは、所定の組み合わせ「7」−「7」−「7」に合致し、可変表示ゲームが大当たりに当選したとしてパチンコ遊技が遊技者に有利になるような状態に移行するのである。大当たりとなり遊技者に有利になるような状態に移行したときには、上述したソレノイド48に電流を供給して遊技盤14の前面に設けられている大入賞口38のシャッタ40を開放し遊技球を大入賞口38に入り易くするのである。
【0175】
また、この可変表示ゲームが実行されている際には、背景画像やキャラクタ画像等による演出画面も表示装置32に表示される。なお、上述した固定画面とは、表示装置32において実行される可変表示ゲームは実行されておらず、パチンコ遊技装置10においてパチンコ遊技のみが進行している際に表示装置32に表示される画面をいう。
【0176】
また、通常画面とは、表示装置32において可変表示ゲームが開始され表示装置32に表示される図柄が変動表示されてから、可変表示ゲームがリーチとなったり大当たりとなったときに至るまでのあいだに、表示装置32に表示される演出画面をいう。
【0177】
上述した可変表示ゲームが開始されると、まず、CPU66の演算処理による内部抽選処理を実行する(ステップS200)。この内部抽選処理は、変動表示されていた複数の組に属する図柄を全て停止表示させて図柄が確定したときにおける図柄の組み合わせを予め定める処理であり、CPU66は、後述するように、内部抽選処理により定められた図柄の組み合わせで図柄が停止表示されるように図柄の変動表示と停止表示との処理を行うのである。
【0178】
次に、選択された背景画像の画面構成情報がRAM70に生成される(ステップS201)。即ち、上記内部抽選処理が実行された後、CPU66によって、内部抽選処理の結果や、可変表示ゲームの進行状況等に応じて、背景画像を選択する制御プログラムが、ROM68から呼び出され実行される。
【0179】
次に、CPU66によって、実行され得られた結果に基づいて、選択された背景画像の画面構成情報が、随時、CPU66によって、RAM70に生成される。上記背景画像としては、特に限定されるものではなく、可変表示ゲームの進行状況や、上記内部抽選処理の結果に基づき、CPUによって、適宜選択される。
【0180】
次に、選択されたキャラクタ画像の画面構成情報がRAM70に生成される(ステップS202)。即ち、上記制御プログラムの実行結果に基づいて、CPU66により選択されたキャラクタ画像の画面構成情報が、RAM70に生成される。
【0181】
このとき、例えば、1/60秒や、1/30秒等毎の一定間隔の周期(フレームスパン)で、キャラクタ画像の先頭位置が所定の移動量分ずれるように制御することにより、キャラクタ画像に動きを与えて表示させることができる。
なお、キャラクタを示す画像については、必ずしも常に表示装置上に表示されている必要はない。キャラクタ画像についても、特に限定されるものではなく、可変表示ゲームの進行状況や、上記内部抽選処理の結果に基づき、CPUによって、適宜選択される。
【0182】
次いで、識別情報である変動図柄の画面構成情報が、上記制御プログラムの実行結果に基づいて、CPU66によって、RAM70に生成される(ステップS203)。
【0183】
上記変動図柄を構成する各図柄となる画像の画面構成情報は、上述した制御プログラムに基づいて、CPU66によって、例えば、1/60秒や、1/30秒等毎の一定間隔の周期(フレームスパン)で、同一の識別情報を有する変動図柄となる画像について、画面構成情報の先頭位置を、所定の移動量分ずれるようにし、また、各変動図柄となる画像を、所定の順序で順次生成するように制御することにより、変動図柄の変動表示を行うことができる。
【0184】
さらに、フレームスパンや、画面構成情報の読み出しの先頭位置等を調整することによって、変動図柄の変動速度を制御することができるため、背景画像において、展開されている物語等に応じて、変動図柄の変動を滑らかにさせ、背景画像と、変動図柄との融合を図ることも可能である。
【0185】
なお、ROM68に、同一の変動図柄について、異なる形状となる複数の画像データを記憶させ、随時、CPU66から読み出し、表示装置32に送信することにより、変動表示中に、該変動図柄の形状が経時的に変化していくように表示させることも可能である。
【0186】
次いで、ステップ201〜203において、RAM70に生成された画面構成情報に基づいて、CPU66によって、ROM68から、上記画面構成情報に対応する各画像データが読み出される。
その後、上記画面構成情報内の表示される優先順位や、位置等に関する情報によって、表示装置32に表示される画像データとされた後、表示装置32に送信され、表示される(ステップS204)。
【0187】
上述したステップS201〜S204の処理は、後述するステップS207において、複数の組に属する図柄の全てが停止表示されたと判別されるまで繰り返し実行される。このような処理を繰り返し実行することにより、所定の態様で図柄を変動表示することができ、また、キャラクタ画像も所定の動作をするように表示することができる。
【0188】
次に、3つの組のうち、1つの組に属する図柄を停止表示させるタイミングであるか否かを判断する(ステップS205)。図柄を停止表示させるタイミングであると判別したときには、1つの変動図柄が停止表示される(ステップS206)。
上述したステップS205において、図柄を停止表示させるタイミングでないと判別したとき、又は、ステップS206の処理を実行したときには、複数の組に属する図柄の全てが停止表示されたか否かを判断する(ステップS207)。
【0189】
複数の組に属する図柄の全てが停止表示されていないと判別したときには、処理をステップS201に戻す。一方、図柄の全てが停止表示されたと判別したときには、次に、停止表示された複数の変動図柄の図柄の組み合わせが、大当たりとなる図柄の組み合わせと合致したか否かについて判断する(ステップS208)。
ただし、停止表示された3つの変動図柄の図柄の組み合わせが、大当たりとなる図柄の組み合わせと合致するか否かについては、上述したステップS200における内部抽選処理の結果により、予め定められている。
【0190】
ステップS208において、停止表示された複数の変動図柄の図柄の組み合わせが、大当たりとなる図柄の組み合わせと合致したと判断したときは、大当たり状態となり、図10に示す大当たり実行処理のサブルーチンが実行され、例えば、大入賞口が複数の回数開放状態となる(ステップS209)。一方、停止表示された複数の変動図柄の図柄の組み合わせが、大当たりとなる図柄の組み合わせと合致していないと判断した場合、本サブルーチンを終了する。
【0191】
上述した可変表示ゲーム処理ルーチンが実行されることにより、表示装置32において、変動図柄の変動表示と停止表示とが行われ、さらに、一定の物語性を有する動画等が表示され、可変表示ゲームを盛り上げ、遊技者の遊技に対する興味をそそる演出が行われることになる。
【0192】
次に、図9に示すステップS209において、大当たり状態が発生した際に実行される大当たり実行処理ルーチンについて、図10を用いて説明する。
なお、以下の説明では、大当たり状態において断続的に15回の大当たり遊技が提供されることとする。また、当該大当たり遊技は、大入賞口が開放状態となってから、当該大入賞口に10球の遊技球が入るまで、又は、所定の時間が経過するまでを1回とする遊技であるとする。さらに、1回の大当たり遊技を、1ラウンドともいうこととする。
【0193】
この大当り実行処理ルーチンにおいては、まず、大当たり遊技の回数であるnをn=1に設定する(ステップS301)。すなわち、CPU66は、RAM70に設けられた大当たり遊技の回数を記憶するテーブル(ラウンド数記憶テーブル)にn=1であることを記憶させる。
【0194】
次いで、大入賞口38が開放状態となるタイミングであるか否かを判断する(ステップS302)。
上記大入賞口38が開放状態となるタイミングであると判断したときは、大入賞口38を開放する(ステップS303)。
すなわち、CPU66は、インターフェイス回路群72を介して、ソレノイド48に駆動信号を供給することにより、大入賞口38を開放状態とする。これにより、遊技者が大入賞口38へ遊技球を入れることが可能となる。
一方、上記大入賞口38が開放状態となるタイミングでないと判断したときは、ステップS302に戻す。
【0195】
次に、大入賞口38に遊技球が入ったか否かを判断する(ステップS304)。遊技球が大入賞口38に入った否かは、例えば、大入賞口38に設けられたセンサにより遊技球が検出されたか否かにより判断される。
そして、大入賞口38に設けられたセンサにより遊技球が検出された際には、検出信号をインターフェイス回路群に供給する。この検出信号を受け取ったCPU66は、RAM70に設けられた大入賞口に入った遊技球の数を記憶するテーブル(大入賞口遊技球記憶テーブル)に遊技球の数を記憶させ(ステップS305)、さらに、払出装置59を駆動させ、遊技球を所定の払出数Jで払い出す処理を実行する(ステップS306)。
【0196】
ステップS304において、大入賞口38に遊技球が入っていないと判断した場合、又は、ステップS306において遊技球を払い出す処理を実行したとき、次に、大入賞口38に所定の数の遊技球が入ったか否かを判断する(ステップS307)。すなわち、CPU66は、大入賞口遊技球記憶テーブルに記憶された遊技球の数とRAMの別の領域に記憶された所定の遊技球の数(10球)とを比較し、大入賞口38に入った遊技球が所定の数(10球)となっているか否かを判断する。
【0197】
大入賞口38に所定の数の遊技球が入っていないと判断したときは、大入賞口38が開放状態となってから所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS308)。すなわち、CPU66は、ステップS302において開始した経過時間のカウントが、所定の時間に達したか否かについて判断する。
大入賞口38が開放状態となってから所定の時間が経過していないと判断したときは、処理をステップS304に戻す。
【0198】
一方、ステップS307において、大入賞口38に所定の数の遊技球が入ったと判断したとき、又は、ステップS308において所定の時間が経過したと判断したときには、大入賞口38を閉鎖する(ステップS309)。
このように大入賞口38の開放時間は、大入賞口38に入った遊技球の数か、時間かのいずれかの要素により判断され、大入賞口38に所定の数の遊技球が入れば、所定の時間に達しなくとも大入賞口38は閉鎖され、一方、大入賞口38に入った遊技球の数が所定の値に達していなくても、所定の時間が経過すれば、大入賞口38は閉鎖されるのである。
また、大入賞口38の閉鎖は、インターフェイス回路群72を介して、ソレノイド48に駆動信号を供給することにより行う。
【0199】
次に、大当たり遊技の回数であるnに1を加算して、n=n+1とするように設定する(ステップS310)。すなわち、CPU66は、RAM70に設けられたラウンド数記憶テーブルにn=n+1となるように大当たり遊技の回数を記憶させる。
そして、大当たり遊技の回数nが15以下であるか否かを判断する(ステップS311)。すなわち、CPU66は、まず、ラウンド数記憶テーブルに記憶された大当たり遊技の回数を読み出し、この回数とRAMの別の領域に記憶されたn=15のデータとを比較し、大当たり遊技の回数nがn≦15であるか否かを判断する。大当たり遊技の回数nがn≦15であると判断したときには、処理をステップS302に戻す。従って、本サブルーチンでは、nが15を超えるまで、繰り返し大当たり遊技が行われることとなる。
そして、大当たり遊技の回数であるnが15を超えるときは、本サブルーチンを終了する。
なお、上述した大当たり実行処理ルーチンが実行されている間、表示装置32では、大当たり状態が発生していることを遊技者に認識させるとともに、遊技を盛り上げるための演出画像が表示される。
【0200】
上述した例では、出球率を算出する方法として、遊技球の検出して出球率を算出する方法が用いられるパチンコ遊技機について説明したが、本発明では、制御部内のみで出球率を算出する方法が用いられてもよい。このように、制御部内のみで出球率を算出する方法が用いられる場合には、上述した図5、図6及び図8に示したサブルーチンに代えて、以下に示す図11のサブルーチンが実行されることとすればよい。
【0201】
図11は、出球率を算出し、その出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するために実行されるサブルーチンを示すフローチャートである。
なお、このサブルーチンは、上述した制御回路60において、所定のタイミング(例えば10分ごと)で実行されるサブルーチンである。
なお、上限値及び下限値、並びに、範囲α、範囲β及び範囲γについては、図8と同様である。
【0202】
まず、RAM70に記憶された、遊技盤上に打ち出された遊技球の数(発射検知数A)を0とし(ステップS150)、さらに、払い出された遊技球の数(払出検知数B)を0とする(ステップS151)。
【0203】
次に、遊技球が打ち出されたか否かを判断する(ステップS152)。すなわち、CPU66は、発射ハンドル26から、遊技者の操作が入力されたか否かを判断する。
遊技球が打ち出されたと判断した場合、RAM70に記憶された発射検知数Aに1を加算(インクリメント)し、A+1として、RAM70に累積記憶する(ステップS153)。
【0204】
次に、遊技球が払い出されたか否かを判断する(ステップS154)。すなわち、上述したステップS12若しくはS17の処理が実行されることにより、遊技球が払い出されたか、又は、図10に示すステップS306の処理が実行されることにより、遊技球が払い出されたかを判断する。
遊技球が払い出されたと判断した場合、RAM70に記憶された払出検知数Bに1を加算(インクリメント)し、B+1として、RAM70に累積記憶する(ステップS155)。
【0205】
次に、ステップS151の処理を実行してから所定の期間が経過したか否かについて判断する(ステップS156)。所定の期間が経過していないと判断した場合、処理をステップS152に戻し、再びステップS152〜S155の処理を実行する。
【0206】
このように、ステップS156において所定の期間が経過したと判断するまで、ステップS152〜S156の処理を繰り返し実行することにより、所定の期間に打ち出された遊技球の数と、払い出された遊技球の数とを計測することが可能になる。
ステップS156において、所定の期間が経過したと判断した場合には、RAM70に記憶させた発射検知数A、及び、RAM70に記憶させた払出検知数Bを読み出し、上記(6)式により出球率を算出する処理を行う(ステップS157)。
【0207】
次に、算出した出球率が、上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったか否かを判断する(ステップS158)。出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったと判断したときには、次に、算出した出球率が、上述した範囲α、範囲β、範囲γのうちのどの範囲に入ったかを判断する(ステップS159)。
【0208】
ステップS159において、出球率が範囲αに入ったと判断した場合、CPU66は、装飾ランプ36を点灯させる命令信号を送信し、装飾ランプ36を点灯させる(ステップS160)。
【0209】
また、ステップS159において、出球率が範囲βに入ったと判断した場合、CPU66は、装飾ランプ36を点滅させる命令信号を送信し、装飾ランプ36を点滅させる(ステップS161)。
【0210】
さらに、ステップS159において、出球率が範囲γに入ったと判断した場合、CPU66は、ROM68に記憶された音データのうち、警報音を発生させる音データを選択する(ステップS162)。そして、該音データから音信号を生成し、スピーカ46に該音信号を送信する。その結果、スピーカ46から警報音が発せられることになる。
【0211】
ステップS158において、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入っていないと判断した場合、又は、ステップS160、S161若しくはS162の処理を実行した場合には、本サブルーチンを終了する。
【0212】
この図11に示すサブルーチンが実行されているとき、制御部(CPU66)は、打ち出された遊技球の数を得るための打出遊技球計測手段、払い出された遊技球の数を得るための払出遊技球計測手段、及び、これらの数から出球率を算出する出球率算出手段として機能する。
また、ステップS160及びS161において、装飾ランプ36及び制御部(CPU66)は、報知手段として機能し、ステップS162において、スピーカ46及び制御部(CPU66)は、報知手段として機能する。
【0213】
【発明の効果】
本発明の遊技機によれば、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、遊技機の所定の位置(例えば、遊技盤の上側)に設けられた装飾ランプを点灯又は点滅させたり、遊技機に設けられたスピーカから警報音を発生させたりすることによって、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するため、遊技媒体に関する数値が上限値又は下限値に近づいていることを容易に認識することができる。このようにすることにより、試験場において行う出球率の検査を省略することが可能であり、例えば、抜き打ち検査のみで対応可能とすることができる。
【0214】
また、上述したような本発明に係るパチンコ遊技機によれば、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、パチンコ遊技機の所定の位置(例えば、遊技盤の上側)に設けられた装飾ランプを点灯又は点滅させたり、パチンコ遊技機に設けられたスピーカから警報音を発生させたりすることによって、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するため、出球率が上限値又は下限値に近づいていることを容易に認識することができる。このようにすることにより、試験場において行う出球率の検査を省略することが可能であり、例えば、抜き打ち検査のみで対応可能とすることができる。
【0215】
また、抜き打ち検査を行う場合、検査を行う者は、例えば、パチンコ遊技機内の制御部等に記憶されたデータ等を調査したりすることなく、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入っていることを知ることができるため、比較的容易に、かつ、確実に、遊技店側の者に出球率について必要な対策を講じるように促すことができ、抜き打ち検査の実効を図ることができる。
また、上記抜き打ち検査により必要な対策を講じるように促された場合、遊技店側の者は、例えば、遊技者が遊技を終了した後に、遊技盤上に植設された釘を調整するというように、遊技者に遊技を中断させることなく、出球率を調整することができるため、遊技者に苛立ちや不快感を与えることはなく、このような出球率の調整により遊技者に対して健全な遊技を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパチンコ遊技機を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明によるパチンコ遊技機の遊技盤面を模式的に示す拡大正面図である。
【図3】本発明によるパチンコ遊技機における発射球検知と戻り球検知とについて説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施例であるパチンコ遊技機の制御回路を示すブロック図である。
【図5】打ち出された遊技球の数を計測する処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】パチンコ遊技機において実行される遊技球を検出する処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】払い出された遊技球の数を計測する処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するための処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図6に示したフローチャートのステップS14で呼び出されて実行される可変表示ゲーム処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】可変表示ゲーム処理のサブルーチンのなかの大当たり処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】出球率を算出し、その出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知するための処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 パチンコ遊技機(パチンコ遊技機)
32 表示装置(表示部)
53 払出球検知センサ
60 制御回路
61 発射球通過検出器
65 戻り球検知スイッチ
66 CPU(制御部)
64 入出力バス
68 ROM
70 RAM
Claims (7)
- 遊技に用いられた遊技媒体の数を得るための投入遊技媒体数計測手段と、払い出される遊技媒体の数を得るための払出遊技媒体数計測手段と、これらの数から遊技媒体の数に関する数値を算出する算出手段とを具備する遊技機であって、
前記算出手段により得られた数値が、予め定められた上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、前記算出手段により得られた数値が前記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。 - 前記算出手段は、前記投入遊技媒体数計測手段及び前記払出遊技媒体数計測手段により得られた数から、遊技に用いられた遊技媒体の数と、払い出された遊技媒体の数との差を算出する請求項1に記載の遊技機。
- 前記算出手段は、前記投入遊技媒体数計測手段及び前記払出遊技媒体数計測手段により得られた数から、遊技に用いられた遊技媒体の数に対する払い出された遊技媒体の数の割合を算出する請求項1に記載の遊技機。
- 遊技盤上に打ち出された遊技球が入ることにより、予め定められた数の遊技球の払い出しが行われる入賞口を備えるとともに、
打ち出された遊技球の数を得るための打出遊技球計測手段と、払い出された遊技球の数を得るための払出遊技球計測手段と、これらの数から出球率を算出する出球率算出手段とを具備する遊技機であって、
前記出球率算出手段により得られた出球率が、予め定められた上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、前記出球率が前記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。 - 前記報知手段は、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、前記出球率と前記上限値又は下限値との差の大きさに関連付けて、段階的にその報知方法を変化させながら、前記出球率が前記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する請求項4に記載の遊技機。
- 前記報知手段は、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、前記出球率が前記上限値又は下限値に近づくに従って、より気付きやすい報知方法により、前記出球率が前記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する請求項5に記載の遊技機。
- 前記報知手段は、出球率が上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入った際、前記出球率が前記上限値又は下限値に近づくに従って、ランプの点灯、ランプの点滅、警報音の発生と、報知方法を変化させて、前記出球率が前記上限値又は下限値を基準とした所定範囲内に入ったことを報知する請求項5に記載の遊技機。
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