JP4909470B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムを吸蔵放出可能な物質、リチウム金属または合金負極を負極活物質とし、リチウムを吸蔵放出可能な物質を正極の活物質とし、リチウムイオン導電性の非水電解質を用いるコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池のなかでリフローはんだ付け実装可能な非水電解質二次電池およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりコイン型(ボタン型)非水電解質二次電池は、高エネルギー密度、軽量であるといった特徴により、機器のバックアップ用の電源としての用途が増加している。
【0003】
該電池は、主にメモリーバックアップ電源として用いる場合、該電池にハンダ付用の端子を溶接した後、メモリー素子とともにプリント基板上にハンダ付け実装されることが多い。従来、プリント基板上へのハンダ付は、ハンダこてを用いて行なわれていたが、機器の小型化あるいは高機能化にともない、プリント基板の同一面積内に搭載される電子部品を多くする必要が生じハンダ付のためにハンダこてを挿入する隙間を確保することが困難となってきた。また、ハンダ付け作業もコストダウンのため自動化が求められていた。
【0004】
そこであらかじめプリント基板上のハンダ付を行なう部分にハンダクリーム等を塗布しておきその部分に部品を載置するか、あるいは、部品を載置後ハンダ小球をハンダ付部分に供給し、ハンダ付部分がハンダの融点以上、例えば、200〜260℃となるように設定された高温雰囲気の炉内に部品を搭載したプリント基板を通過させることにより、ハンダを溶融させてハンダ付を行なう方法が用いられている(以下リフローハンダ付という)。
【0005】
リフローハンダ付けを行うためには、電池部材も耐熱性のものを用いなければならない。とりわけ、ガスケットは、ポリプロピレン(PP)から、耐熱性が高く硬質のエンジニアリングプラスチックが用いられるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
コイン型(ボタン型)でリフローハンダ付け実装可能な非水電解質二次電池のガスケットにエンジニアリングプラスチックを用いた場合、かしめ封口やリフローはんだ付けにより、ガスケットが切れやすいという問題がある。
【0007】
図2に従来のエンジニアリングプラスチック製ガスケットを用いたリフローハンダ付け実装可能な非水電解質二次電池の断面図を示した。
【0008】
負極缶折り返し端部の角50と正極缶105との間のガスケットの厚さ20が狭く、非常に切れやすい構造となっている。かしめ封口やリフローはんだ付けにより、ガスケット106が切れると、電池がショートしたり、ガスケット106の気密性が低下し漏液(電解液が電池外部に漏れること)することがあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
図1に本発明のエンジニアリングプラスチック製ガスケットを用いたリフローハンダ付け実装可能な非水電解質二次電池の断面図を示した。
【0010】
負極缶折り返し端部の角50の角度30を90度以上と、より鈍角にするか、角30をつぶし加工するか、または面取り加工しより切れにくくした。
【0011】
さらに、負極缶折り返し端部の角50を折り返し立ち上がり部60から垂直にのばした線40より負極缶101の内側方向もっていくことにより、前記負極缶折り返し端部の角50と正極缶との間のガスケットの厚さ20を大きくとることができ、よりガスケットが切れにくくなった。
【0012】
負極缶折り返し端部の角50と正極缶105との間のガスケットの厚さ20は、折り返し立ち上がり部60と正極缶105との間のガスケットの厚さ30の20%以上60%未満となるように制御し、かしめ封口を行った。ここでガスケット厚さ30は20%以上40%以下が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図2に示した従来のエンジニアリングプラスチック製ガスケットを用いたリフローハンダ付け実装可能な非水電解質二次電池において、負極缶折り返し端部の角50がと正極缶との間のガスケットの厚さ20が狭く、非常に切れやすい構造となっている。
【0014】
フローハンダ付け実装可能な非水電解質二次電池のガスケットは、硬くてもろいエンジニアリングプラスチックを用いているため、PP製のガスケットに比べ、かしめ封口の衝撃で、切れやすくなっている。また、リフロー時においても、正負極缶の金属の熱膨張とエンジニアリングプラスチックの熱膨張が違うため切れやすくなっている。
【0015】
そのため、封口の適正条件を求めるのが非常に困難であった。負極缶の折り返しの寸法がばらつくと切れが発生し製造歩留まりを低下させたり、切れないように封口をあまくすると気密が低下し、電池性能が劣化することがあった。
【0016】
ガスケットの切れは、負極缶折り返し端部の角50がガスケットにくい込むこと、もしくは角50と正極缶との間のガスケットの厚さ20が狭くなりすぎることにより発生する。
【0017】
角50のガスケットへのくい込みを防止するには、負極缶折り返し端部の角50の角度10を90度以上と、鈍角にすることが効果的であり、切れが極端に少なくなることがわかった。より好ましくは、110度以上が良好であった。また、角50をつぶし加工、面取り加工することも有効であった。
【0018】
角50と正極缶との間のガスケットの厚さ20が狭くなりすぎることを防止するには、負極缶折り返し端部の角50を折り返し立ち上がり部60から垂直にのばした線40より負極缶101の内側方向または中心方向にもっていくことが有効である。内側方向にもっていくことにより、正極缶105をかしめた力が角50に集中するのを防ぎ折り返しの面に分散することができる。漏液を防ぐためには、ガスケットの厚さ20は、できるだけ狭い方がよいが、狭くなりすぎて切れることは、避ける必要がある。
【0019】
負極缶折り返し端部の角50と正極缶との間のガスケットの厚さ20は、折り返し立ち上がり部と正極缶との間のガスケットの厚さ30の20%以上とした場合ガスケットが切れにくいことがわかった。厚さ20を60%以上とした場合は、漏液が発生した。
【0020】
本発明のかしめ構造は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)等の硬質エンジニアリングプラスチックを用いたガスケットにおいて有効である。
【0021】
また、この材料に10重量%程度以下の添加量でガラス繊維、マイカウイスカー、セラミック微粉末等を添加したものであっても、本実験と同様の効果を発揮することが実験によって判明している。
【0022】
ガスケットの製造方法としては、射出成型法、熱圧縮法等がある。
【0023】
一般に、リフローはんだ付けを行うために、電池にはあらかじめ端子が取り付けられる。
【0024】
電極端子は、金属製で主に0.1〜0.3mm程度の板状のステンレス鋼が加工して用いられる。端子の回路基板とハンダ付けされる部分には、金めっき、ニッケルめっき、ハンダめっき等が施されることが多い。電池への溶接は、抵抗溶接法、レーザー溶接法などが用いられる。
【0025】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
本実施例は、正極活物質としてMoO3、負極活物質としSiOを用いた場合である。下記のようにして作製した正極、負極及び電解液を用いた。また、電池の大きさは外径4.8mm、厚さ1.4mmであった。
【0027】
実施例2〜15として、正極は次の様にして作製した。 市販のMoO3を粉砕したものに導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸を重量比MoO3:グラファイト:ポリアクリル酸=53:45:2の割合で混合して正極合剤とし、次にこの正極合剤5mgを2ton/cm2で直径2.4mmのペレットに加圧成形した。その後、この様にして得られた正極ペレット104を炭素を含む導電性樹脂接着剤からなる電極集電体を用いて正極ケース105に接着し一体化した(正極ユニット化)後、250℃で8時間減圧加熱乾燥した。
【0028】
塗布する液体シール剤は、市販のブチルゴム系接着剤(ブチルゴム30重量%、残りトルエン)とブローンアスファルトをトルエンに溶かしたものを正極缶の内側に注射器により塗布し、ドライルーム内で120℃乾燥して用いた。
【0029】
負極は、次の様にして作製した。市販のSiOを粉砕したものを作用極の活物質として用いた。この活物質に導電剤としてグラファイトを、結着剤としてポリアクリル酸をそれぞれ重量比45:40:15の割合で混合して負極合剤とした。合剤1.1mgを2ton/cm2で直径2.1mmのペレットに加圧成形したものを用いた。その後、この様にして得られた負極ペレット102を炭素を導電性フィラーとする導電性樹脂接着剤からなる電極集電体を用いて負極缶101に接着し一体化した(負極ユニット化)後、250℃で8時間減圧加熱乾燥した。さらに、ペレット上にリチウムフォイルを直径2mm、厚さ0.2mmに打ち抜いたものを圧着し、リチウム−負極ペレット積層電極とした。厚さ0.2mmのガラス繊維からなる不織布を乾燥後φ3mmに打ち抜きセパレータ103とした。ガスケット106は、材質については表1に示した。
【0030】
塗布する液体シール剤は、市販のブチルゴム系接着剤(ブチルゴム30重量%、残りトルエン)とブローンアスファルトをトルエンに溶かしたものをガスケットの溝に注射器により塗布し、ドライルーム内で120℃乾燥して用いた。
【0031】
電解液は、エチレンカーボネート(EC):γ−ブチロラクトン(γBL)の体積比1:1混合溶媒にホウフッ化リチウム(LiBF4)を1モル/l溶解したもの6μL、電池缶内に入れた。正極ユニットと負極ユニットを重ねかしめ封口することにより電池を作製した。電池は負極缶101の形状および封口条件を変えそれぞれ500個作製した。
【0032】
作製した電池は、予備加熱180℃、3分、到達温度240℃のリフロー炉を通過させ、漏液とガスケット切れを評価した。
【0033】
結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0004909470
【0035】
表中の角度Aは、図1の角10であり、負極缶101を樹脂に埋め込み断面観察し、実測した値を示した。角Eは図1の負極缶折り返し端部の角50の位置であり、その位置は負極缶の最外径(4.21mm)に対し、何%負極缶101内側方向に位置しているかを示している。樹脂の厚さBは図1のガスケット厚み20に対応し、負極缶折り返し端部の角Eと正極缶との間の樹脂の厚さBの折り返し立ち上がり部と正極缶との間の樹脂の厚さC、図1のガスケット厚み30に対応する、に対する比率を示している。これらの位置も同様に断面観察により測定した。
【0036】
比較例1,2は比較的角50が鋭角で、内側に倒していない負極缶を用いて電池を作製した。ガスケットの厚さ20を狭くしない場合は漏液し、狭くした場合はガスケットが切れという結果となった。
【0037】
実施例1〜9においては、角度Aを鈍角にし、角50を内側に倒すほど、樹脂の厚さ20を絞ることができ、漏液やガスケット切れに対する信頼性を増すことがわかった。また、PEEK、LCP、PENのガスケット材質においても同様の効果が確認できた。
【0038】
【発明の効果】
コイン型(ボタン型)でリフローハンダ付け実装可能な非水電解質二次電池のガスケットにエンジニアリングプラスチックを用いた場合、かしめ封口やリフローはんだ付けにより、ガスケットが切れやすいという問題があったが、 負極缶折り返し端部の角50の角度10を90度以上とより鈍角にするか、角Eがつぶし加工するか、または面取り加工しより切れにくくなることがわかった。
【0039】
さらに、負極缶折り返し端部の角Eを折り返し立ち上がり部Fから垂直にのばした線Dより負極缶の内側方向もっていくことにより、前記負極缶折り返し端部の角Eと正極缶との間の樹脂の厚さBを大きくとることができ、よりガスケットが切れにくくなった。
【0040】
これにより、かしめ封口やリフローはんだ付けで、ガスケットが切れて、電池がショートしたり、ガスケットの気密性が低下し漏液(電解液が電池外部に漏れること)することがなくなった。また、負極缶の製造による寸法ばらつきや、かしめ条件のばらつきも吸収できることになり、製造歩留まりが格段に向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリフローはんだ付け実装可能な非水電解質二次電池の断面図
【図2】従来のリフローはんだ付け実装可能な非水電解質二次電池の断面図
【符号の説明】
10 角度
20 ガスケットの厚さ
30 ガスケットの厚さ
40 線
50 負極缶折り返し端部の角
60 折り返し立上がり部
101 負極缶
102 負極ペレット
103 セパレータ
104 正極ペレット
105 正極缶
106 ガスケット

Claims (3)

  1. 正極と負極と非水溶媒、支持塩を含む電解液と、セパレータが収納され、正極缶と負極缶との間にガスケットを介し、前記正極缶をかしめ封口する非水電解質二次電池において、
    負極缶折り返し端部の角(50)の角度(10)が、鈍角であり、
    前記ガスケットは、前記負極缶折り返し端部の角(50)と前記正極缶(105)との間に厚みを有し、
    前記負極缶折り返し端部の角(50)が、折り返し立ち上がり部(60)から垂直にのばした線(40)より前記負極缶の内側方向に位置することを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記負極缶折り返し端部の角(50)と前記正極缶との間のガスケット上部の厚さ(20)が、折り返し立ち上がり部(60)と前記正極缶との間のガスケット側部の厚さ(30)の21〜45%であることを特徴とする請求項記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記ガスケットがポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルニトリル樹脂(PEN)から選ばれる少なくとも1種類の樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
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