JP4905851B2 - 蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、透明性を有する蒸着フィルムの製造方法に関する。
近年、食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などの影響が少ないアルミ等の金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミ等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際金属探知器が使用できないなどの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1、2等に記載されているような高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性を有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、汎用性の高いポリプロピレン(PP)を基材として用いると、基材と蒸着膜の密着性が弱いために、包装体とした場合に特にストレスの大きく掛かる箇所(ヒートシール部など)にてデラミネーションを引き起こすという欠点があった。
この問題を解決するために、従来からプラズマを用いることによって、インライン前処理によりプラスチック基材上の金属酸化物蒸着の密着性を改善するという試みはなされていた、例えば特許文献3には、巻き取り式真空蒸着装置の真空チャンバ−中で、プラスチックフィルムを繰り出し、冷却したコ−ティングドラムに案内しながら、フィルム表面にプラズマ処理面を形成し、このプラズマ処理面に金属酸化物を蒸着させる技術が開示されている。
しかし、特許文献3に示されているように従来はインラインでプラズマ処理を行おうとすると、プラズマ発生のための電圧を印加する電極を基材のあるドラム側でなく、反対側に設置しているが、この場合、基材はアノード側に設置されることになるため、高い自己バイアスは得られず、結果として高い処理効果を発揮できないという問題点があった。
高い自己バイアスを得るために、直流放電方式を用いることも出来るが、この方法で高いバイアスの電圧を得ようとすると、プラズマのモードがグローからアークへと変化するため、大面積に均一な処理を行うことは出来ない。
米国特許第3442686号明細書 特開昭60−49934号公報 特開平11−262970号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ポリプロピレンフィルムと無機酸化物からなる蒸着層との密着性を強化し、包装体を形成してもデラミネーションが発生しない蒸着フィルムを提供することを目的とする。
求項1記載の発明は、ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の表面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着層を設けてなる蒸着フィルムの製造方法であって、前記ポリプロピレンフィルムの、少なくとも前記蒸着層を設ける面に、リアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理を施し、前記プラズマ前処理は、印加電力が120Wであり、処理時間が0.1〜0.5secであり、処理ガスがアルゴンであり、処理ユニット圧力が2.0Paであり、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用いるものであり、前記プラズマ前処理を行ったポリプロピレンフィルムの表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、出力100W)を行った時に、C1s波形分離から求めたC−C結合の半値幅が1.45〜1.52eVの範囲にあることを特徴とする蒸着フィルムの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着フィルムの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記蒸着層の上に、さらに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物とを含む水溶液または水/アルコール混合溶液を塗布し加熱乾燥してなる複合被膜層を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着フィルムの製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載の蒸着フィルムの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースまたはデンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項3または4記載の蒸着フィルムの製造方法である。
本発明者の鋭意研究の結果、ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の表面に無機酸化物からなる蒸着層を設けてなる蒸着フィルムは、ポリプロピレンフィルムの表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、出力100W)を行った時に、C1s波形分離から求めたC−C結合の半値幅が1.2〜1.7eVの範囲にあれば、ポリプロピレンフィルムと無機酸化物からなる蒸着層との密着性が極めて強固となることを見出した。したがって、本発明の蒸着フィルムを包装材料に用いた場合、ポリプロピレンフィルム/蒸着層間でのデラミネーションが起こりにくく、またRIEを採用することから安価な透明バリア包装材料を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の蒸着フィルムを説明する断面図である。ポリプロピレン(PP)フィルム1の表面上に、無機酸化物からなる蒸着層2、複合被膜層3が形成されている構造である。無機酸化物からなる蒸着層2、複合被膜層3はPPフィルム1の両面に形成してもよく、また多層にしてもよい。蒸着層2を形成する側のPPフィルム1の表面上にリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ処理を施すことにより、プラズマ前処理層4を設けることも出来る。このプラズマ前処理層4はPPフィルム1の両面に形成してもよい。
PPフィルム1は未延伸、延伸のどちらでもよく、延伸の場合にも延伸倍率には特に制限はない。また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。PPフィルム1の厚さはとくに制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。尚プライマー層、無機酸化物からなる蒸着層、ガスバリア性の複合被膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。このPPフィルム1の蒸着層2が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。
X線光電子分光法による測定(XPS測定)では、被測定物質の表面から数nmの深さ領域での原子の種類と濃度やその原子と結合している原子の種類やそれら結合状態が分析でき、元素比率、官能基比率などを求めることができる。
本発明の蒸着フィルムは、PPフィルム1の蒸着層2が設けられる面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、出力100W)を行った時に、C1s波形分離から求めたC−C結合の半値幅が1.2〜1.7eVの範囲にあることを特徴としている。
上記の条件を満たす場合、PPフィルム1と無機酸化物からなる蒸着層2は極めて良好な密着性を示す。
上記の条件を満たすPPフィルム1を得るためには、PPフィルム1の表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理を施すことが有効である。RIEの処理条件としては、周波数13.56MHzの電源を用い、処理圧力0.1〜10Pa、処理パワー、処理時間は適宜変更となるものが好ましい。RIEを利用したプラズマ前処理を行うことで、発生したラジカルやイオンを利用してPPフィルム1の表面構造を化学的に変化させることが可能であり、RIE処理条件を適宜変更することにより、C−C結合の半値幅を制御することができる。更にこの処理を行うことで、蒸着の際に無機酸化物の緻密な薄膜を形成させることができる。その結果、PPフィルム1と無機酸化物からなる蒸着層2との密着性を強化させることができ、ガスバリア性向上やクラック発生防止につながるだけでなく、デラミネーションが起こることがない。
それに対し、未処理のPPフィルムの場合には、C−C結合の半値幅は1.0eV程度の値になる。このような場合はPPフィルム1と無機酸化物からなる蒸着層2との密着性が悪く、包装体にするとデラミネーションが発生する。また半値幅が1.7eVより大きい時は、フィルム表面が処理されすぎており、表面が劣化してしまうため密着性が悪くなる。
図2はXPS測定で得られる未処理PPのC1s波形をピーク分離解析したスペクトルである。結合エネルギーの値は、285.0eV(C−C結合)である。
本発明の蒸着フィルムは、上記のようにPPフィルム1上に無機酸化物からなる蒸着層2を設けた構造であるが、この状態からPPフィルム1の表面の測定を行う場合は、PPフィルム1上の無機酸化物からなる蒸着層2を取り除く必要がある。なお、Arイオンエッチングで蒸着層を掘って測定しようとすると、PPフィルム1が若干でもエッチング処理されてしまうため、測定結果が意味をなさないものになってしまうので好ましくない。
無機酸化物からなる蒸着層2を取り除く方法として、処理水中にフィルムを浸漬する方法がある。処理に使用する水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水など特に制限されるものではない。また、水温は特に制限されないが、好ましくは50℃以上がよい。更にこの水中に少なくとも1種類以上のアンモニア、トリエタノールアミン、トリメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミンなどの弱アルカリ性のアミン類を添加する必要がある。このようなアミン類を添加することで、短時間で完全に無機酸化物を除去することが可能である。添加量は0.01%〜10%の範囲にすることが好ましい。0.01%より少ないと、完全除去までに時間が長くかかったり、完全に除去することが出来ない。また、10%以上になるとPPフィルム自体にも影響を及ぼし、無機酸化物からなる蒸着層除去後の表面が汚染されたり、PPの構造が破壊されるおそれがある。
次に、無機酸化物からなる蒸着層2について、詳しく説明する。無機酸化物からなる蒸着層2は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウムまたはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のを有する層であればよい。各種殺菌耐性を配慮するとこれらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好ましい。ただし本発明の蒸着層は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることが可能である。
無機酸化物からなる蒸着層2の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることである。
無機酸化物からなる蒸着層2をPPフィルム1上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。またPPフィルム1と蒸着層2との密着性及び蒸着層2の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
次いで、複合被膜層3を説明する。複合被膜層3はガスバリア性を持った被膜層であり、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物とを含む水溶液または水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合溶剤)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合したものを溶液とする。この溶液を無機酸化物からなる蒸着層2にコーティング後、加熱乾燥し形成される。なお、前記アルコールとしてはイソプロピルアルコール等が挙げられる。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルアルコール−o−エチレン)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルアルコール−o−エチレン)、セルロースまたはデンプンが好ましい。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を用いることができ、これ以外のものを用いても一向に構わない。
また、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n (M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH,C 等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
複合被膜層3の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm未満の場合は、均一が塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
複合被膜層3の上に印刷層、シーラント層等を積層させて、包装材料とすることが出来る。
シーラント層は袋状包装体などを形成する際に接着層として設けられるものである。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。
厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
PPフィルム1の反対面にも、必要に応じて印刷層、シーラント層等を積層させることも可能である。
(実施例)
以下に本発明の強密着蒸着フィルムの実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[表面状態分析方法]
測定に用いたX線光電子分光装置は、日本電子株式会社製JPS−90MXVを用い、X線源としては非単色化MgKα(1253.6eV)を使用、出力は100W(10kV−10mA)で測定した。定量分析にはO1sで2.28、C1sで1.00の相対感度因子を用いて計算をした。C1s波形の波形分離解析にはガウシアン関数とローレンツ関数の混合関数を使用し、帯電補正はベンゼン環に由来するC−C結合ピークを285.0eVとして補正した。
厚さ20μmのポリプロピレン(PP)フィルムの未処理面に、以下の条件にてリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理を施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。
[プラズマ処理条件]
印加電力:120W
処理時間:0.1sec
処理ガス:アルゴン
処理ユニット圧力:2.0Pa
この上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムを15nmの厚みで成膜して、蒸着フィルムを作成した。
次にこのフィルムを1.0質量%のトリエタノールアミンを添加した蒸留水中に80℃で5分間浸漬し、酸化アルミニウム蒸着層を取り除いた後、そのフィルム表面のXPS測定を行った。
プラズマ前処理時の処理時間を0.5secにした以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作成した。次にこのフィルムを1.0質量%のトリエタノールアミンを添加した蒸留水中に90℃で3分間浸漬し、酸化アルミニウム蒸着層を取り除いた後、そのフィルム表面のXPS測定を行った。
(比較例1)
PPフィルムへのRIEによる前処理を行わず、未処理のPPフィルムに対して実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作成した。次にこのフィルムを1.0質量%のトリエタノールアミンを添加した蒸留水中に80℃で5分間浸漬し、酸化アルミニウム蒸着層を取り除いた後、そのフィルム表面のXPS測定を行った。
(比較例2)
PPフィルムへのRIEによる前処理を行わず、その替わりにコロナ処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作成した。次にこのフィルムを2.0質量%のトリエタノールアミンを添加した蒸留水中に80℃で5分間浸漬し、酸化アルミニウム蒸着層を取り除いた後、そのフィルム表面のXPS測定を行った。
(比較例3)
RIEにおいて、印加電圧120W、処理時間10secにした以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作成した。次にこのフィルムを2.0質量%のトリエタノールアミンを添加した蒸留水中に80℃で5分間浸漬し、酸化アルミニウム蒸着層を取り除いた後、そのフィルム表面のXPS測定を行った。
実施例1〜2、比較例1〜3の蒸着フィルム上に、下記に示す1液と2液を配合比(質量比)で6/4に混合した溶液を作成した。
1液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3質量%(SiO換算)の加水分解溶液
2液:ポリビニルアルコールの3質量%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール質量比で90:10)
この溶液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ0.4μmの複合被膜層を形成した。
更に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートにより、上記蒸着フィルム/未延伸ポリプロピレン(70μm)の包装材料を作成した。
[評価1]
上記積層サンプルの蒸着フィルム/未延伸ポリプロピレン間のラミネート強度を、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定した(JIS Z1707準拠)。但し、測定の際に測定部位を水で湿潤させながら行った。結果を表1に示す。
Figure 0004905851
表1より、実施例1〜2の本発明の蒸着フィルムは、比較例1〜3の蒸着フィルムに比べて、ラミネート強度に優れる。この特性を活かし、デラミネーションの発生もなく、食品および医薬品、電子部材等の非食品分野の包装に用いられる実用範囲の広い包装材料を提供することが可能である。
本発明の蒸着フィルムは、食品及び医薬品、電子部材等の非食品分野の包装に用いられる実用範囲の広い包装材料として利用される。
本発明の強密着蒸着フィルムの一例を示す断面図である。 XPS測定で得られる未処理PPのC1s波形をピーク分離解析したスペクトルである。
符号の説明
1……ポリプロピレン(PP)フィルム、2……無機酸化物からなる蒸着層、3……複合被膜層、4……プラズマ処理層。

Claims (5)

  1. ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の表面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着層を設けてなる蒸着フィルムの製造方法であって、前記ポリプロピレンフィルムの、少なくとも前記蒸着層を設ける面に、リアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理を施し、前記プラズマ前処理は、印加電力が120Wであり、処理時間が0.1〜0.5secであり、処理ガスがアルゴンであり、処理ユニット圧力が2.0Paであり、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用いるものであり、前記プラズマ前処理を行ったポリプロピレンフィルムの表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、出力100W)を行った時に、C1s波形分離から求めたC−C結合の半値幅が1.45〜1.52eVの範囲にあることを特徴とする蒸着フィルムの製造方法
  2. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項に記載の蒸着フィルムの製造方法
  3. 前記蒸着層の上に、さらに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物とを含む水溶液または水/アルコール混合溶液を塗布し加熱乾燥してなる複合被膜層を設けことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着フィルムの製造方法
  4. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項に記載の蒸着フィルムの製造方法
  5. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースまたはデンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項3または4記載の蒸着フィルムの製造方法
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