図1は本実施の形態における薬品管理装置100の外観を示す図である。薬品管理装置100本体は、カート116によって移動可能に構成される。表示装置102は、看護師をはじめとする薬品取扱者に各種の情報を表示するための装置である。以下、看護師が当該薬品管理装置100を使用する状況を例として説明する。ここで、表示装置102は、タッチパネルとして看護師からの入力を画面上のグラフィックスボタン等により受け付ける。また、入力にはキーボードやマウスなど既存の入力装置を利用してもよい。
バーコードリーダ104は、非実装品を識別するために付与されるバーコードなど各種のバーコードを読み取るための装置である。薬品格納庫106は、実装薬品を格納する棚である。薬品格納庫106は複数段のカタログ108によって分段される。各カタログ108は更に、複数のカセット110によって区分けされる。カセット110には、それぞれ同一種類の実装薬品が格納される。カセット110は、通常、注射薬などを入れたアンプルやバイアルの格納を想定するものであるが、これに限らず箱型容器に入った薬品や、シリンジ型注射薬、外用薬などを格納できてもよい。また、カセット110にそのままでは格納できない形状の薬品を格納させるため所定の規格に基づくアダプター容器を設けてもよい。このような形状の薬品であっても、このアダプター容器にはめこむことにより、カセット110に格納することができる。各カセット110には、既知の方法により、その格納される実装薬品の出入庫を機械的に検出する機構が設けられている。これによって、薬品管理装置100は格納する各実装薬品の出入庫を検出する。また、各カセット110には、既知の方法により、その格納される実装薬品の個数を機械的に計数する機構が設けられている。これによって、薬品管理装置100は格納する各実装薬品の個数を計数する。ここでいう既知の方法とは、たとえば、特開2001−199508号公報に示される方法である。カタログ108とカセット110については、図14に関連して後に詳述する。
薬品格納庫106は、認証された看護師しか薬品を取り出せないよう、通常はシャッターなどの防護手段によって防護されている。後述の方法により、看護師の認証が完了した時点で、シャッターが開放されるように制御される。薬品格納庫106は必ずしも薬品管理装置100に内設される必要はなく、薬品管理装置100の外部に設置してもよい。
作業台118は、通常は薬品管理装置100に収納されるテーブルである。看護師は、作業時においてこの作業台118を引き出すことにより、作業スペースを作ることができる。多目的引出し112は薬品格納庫106に収まらない薬品類、すなわち、非実装品を主として格納するための引き出しである。非実装品は、必ずしも多目的引出し112に格納される必要はない。プリンタ114は、各種の情報を印刷するための装置である。
図2は病院200における薬品管理装置100を含むハードウェア構成を示す図である。病院200には、薬品管理装置100a、100b、100c等、複数の薬品管理装置100がネットワーク120によって接続されている。ネットワーク120は、LAN(Local Area Network)や専用回線であってもよい。複数の薬品管理装置100をまとめるために更に統合端末122がネットワーク120に接続されてもよい。統合端末122は、複数の薬品管理装置100から送信されるデータを集計するための端末装置であり、これらのデータをまとめて、医療情報システム220と通信してもよい。また、各薬品管理装置100は、統合端末122を介することなく個別に医療情報システム220と通信してもよい。データの通信は、薬品管理装置100や統合端末122、医療情報システム220の間で共通する所定の通信プロトコルに則って行われる。
医療情報システム220は、病院200ごとに構成されるシステムである。医療情報システム220の内部構成は、病院200の状況に応じて多様である。本実施の形態においては、医療情報システム220は、医事会計システム230、電子カルテシステム232、在庫管理システム234、手術データベース236、出庫データベース238、患者データベース240および薬品データベース242を含むシステムであるとして以降の説明を行う。
医事会計システム230は、主として、患者ごとに請求すべき金額を管理するためのシステムである。電子カルテシステム232は、主として、患者ごとのカルテ情報を管理するためのシステムである。在庫管理システム234は、主として、病院200全体における薬品類の在庫管理を行うためのシステムである。本実施の形態においては、在庫管理システム234は主として各薬品管理装置100から送信された情報に基づいて、在庫管理を行う。
手術データベース236は、手術に関する情報を格納するためのデータベースである。医師が患者の手術を行うに際し、予定される手術に関する情報が手術データベース236に格納される。出庫データベース238は所定の期間において薬品管理装置100から出庫された薬品類に関する情報を格納するデータベースである。出庫データベース238は、手術ごとに使用された薬品類について情報を格納してもよい。患者データベース240は、患者情報を格納するためのデータベースである。薬品データベース242は、薬品類に関する情報を格納するためのデータベースである。これら各種のデータベースのデータ構造にについては図19以降に関連して後に詳述する。
図3は、薬品管理装置100の機能ブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはデータ送受信機能を含むプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
ユーザインタフェース処理部250は、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。ユーザインタフェース処理部250は、バーコード入力部252、画面入力部256、入力処理部258、音声処理部254および画面表示部260を含む。バーコード入力部252は、バーコードリーダ104によるバーコード入力を受け付ける。バーコードは非実装品や看護師などを識別すべく付与されてもよい。画面入力部256は看護師による表示装置102への画面タッチ入力を受け付ける。このほかにも、各種の入力部を備えてもよい。これらを介して受け付けられた入力情報は入力処理部258に送られる。入力処理部258は、看護師の認証を行う。また、入力処理部258は、正常な操作入力のみを制御部262に伝える。画面表示部260は、各種の情報をGUI(Graphical User Interface)により看護師に表示する。音声処理部254は、後述のデータ格納部が格納する各種の音声ガイダンスを、制御部262の指示に従ってアナウンスする。音声処理部254は、看護師の音声により入力を受け付けてもよい。
機構制御部280は、主として機械的に構成されるブロックであり、出入庫検出部282、薬品格納部284および計数部286を含む。機構制御部280は実装薬品の在庫管理を行うための機構である。薬品格納部284は実装薬品を格納するものであり、主として図1の薬品格納庫106が対応する。看護師が実装薬品の出入庫操作を行うと、出入庫検出部282はその出入庫を既知の方法により検出する。計数部286は、既知の方法により実装薬品をその種別ごとに計数する。
通信処理部270は、外部との通信処理を担当する。通信処理部270は、通信部272とフォーマット変換部274を含む。通信部272は、ネットワーク120に接続することにより、図2の統合端末122や医療情報システム220とデータの交換を行う。通信部272がネットワーク120を介して図2に示した各種のデータベースにデータを送信するに際しては、フォーマット変換部274はその通信プロトコルや外部のデータベースがデータを格納する形式に応じて、データのフォーマットを変換する。また、フォーマット変換部274は外部から受信した各種のデータを薬品管理装置100で使用するフォーマットに変換する。データ入出力部278は、制御部262とデータ格納部276とのデータ入出力のインタフェースとなる処理を行う。データ入出力部278は制御部262の指示にしたがって、薬品類の出入庫や補充履歴、使用履歴、看護師に関する情報、セット物品の定義、操作履歴など各種の情報をデータ格納部276に所定のフォーマットで記録する。また、データ入出力部278は、制御部262が必要とする情報をデータ格納部276から所定のフォーマットで取得する。
制御部262は、ユーザインタフェース処理部250、機構制御部280、通信処理部270と後述する印刷処理部290やデータ入出力部278を統合的に制御する。制御部262は、入力処理部258から受け付けた看護師の入力や、機構制御部280における薬品の出入庫検出に関する情報に基づいて、データ入出力部278を介してデータ格納部276に薬品類の出入庫情報を記録したり、通信処理部270にその情報の送信を指示する。データ格納部276は、たとえば、薬品管理装置100が管理を担当する薬品類についての出入庫や補充、使用の状況に関する情報、看護師に関する情報、セット物品の定義情報、看護師の作業履歴など、各種の情報を格納する。これら各種の情報のデータ構造については、ユーザインタフェース画面を後に説明する際に併せて詳述する。制御部262は、看護師の指示に応じて印刷処理部290を介して必要な情報を印刷させる。
次に、薬品管理装置100のユーザインタフェース画面について説明する。
図4は、薬品管理装置100の初期の画面であるログイン画面300を示す。看護師は、薬品取扱者ID入力領域316に薬品取扱者IDとよばれる薬品取扱者(ここでは看護師)ごとに付与されるID番号を入力する。また、看護師はパスワード入力領域318に看護師を認証するためのパスワードを入力する。これらの入力は、テンキー324のタッチにより行われるが、予め付与されたバーコードにより入力してもよい。正しい薬品取扱者IDとパスワードであることを入力処理部258が認証すると、薬品取扱者名表示領域320には該当する看護師の氏名が表示され、看護師は薬品管理装置100の使用が許可される。看護師ごとの薬品取扱者ID、パスワード、看護師名に関する情報は、データ格納部276が格納するが、医療情報システム220に含まれるデータベースが格納してもよい。
在庫不一致表示領域302、終了状態表示領域304およびゼロ在庫表示領域306は薬品管理装置100の状態情報を表示する。在庫不一致表示領域302は、計数部286が物理的に計数する実装薬品の個数と、薬品管理装置100のデータ格納部276が格納する実装薬品の在庫が一致しているか否かを表示する。制御部262は、データ格納部276に実装薬品の出入庫情報を逐一記録することで実装薬品の在庫量を把握する。一方、実装薬品の在庫量は、計数部286により物理的に計数される。通常、両者は一致するが、処理上のエラーや、機構的な故障により一致しない場合が生じる可能性がある。在庫不一致表示領域302の表示が「あり」である場合には、このような問題が生じている。これによって、実装薬品の計数に関するエラーを即座に検出できる。通常、実装薬品には高額な薬品が含まれることが多いため、薬品管理装置100の処理エラーによる管理ミスを早期に発見することは重要である。終了状態表示領域304は、前回の看護師が正常に終了したか否かを表示する。システムを正常に終了しなかった場合には、その旨が表示される。ゼロ在庫表示領域306は、在庫がゼロになっている実装薬品の有無を表示する。
薬品出庫業務ボタン308、集計業務ボタン310およびメンテナンス業務ボタン312は、看護師が行うべき業務に対応するボタン群である。薬品出庫業務ボタン308は、薬品の出入庫操作を行うボタンである。薬品出庫業務ボタン308がタッチされると、後に示す図5の画面に移行する。集計業務ボタン310は、集計業務を行うボタンである。集計業務ボタン310がタッチされると後に示す図15の画面に移行する。メンテナンス業務ボタン312は、薬品管理装置100のメンテナンスのためのボタンである。メンテナンス業務ボタン312がタッチされると後に示す図13に移行する。終了ボタン322がタッチされると、薬品管理装置100の処理が終了する。入力情報表示領域326には、入力操作に関する各種情報をガイダンス表示する。
図5は、ログイン画面300において、薬品出庫業務ボタン308がタッチされたときに表示されるワークシート読込画面330を示す。薬品を出庫するときには、まず、どの手術に対応して薬品類の出庫操作を行うのかを特定する。看護師は手術ID入力領域332において、ワークシートにごとに割り当てられた、手術を識別するためのID番号である手術IDを入力する。手術IDはバーコードリーダ104によって読み込んでもよい。ワークシートとは、手術の内容に関する情報を記述した用紙であり、各ワークシートには手術IDが記載される。ワークシートや手術IDについては、次の図6に関連して更に詳述する。
ワークシートに記載される手術IDを読み取ると、薬品管理装置100は通信部272を介して、主として手術データベース236からワークシートと同等の情報(以下、この情報を「手術内容情報」とよぶ)を取得する。手術内容情報が正常に読み込まれたあと、登録ボタン334がタッチされると、図7に示す画面に移行する。手術IDの読み取りを行わずに、キャンセルボタン336がタッチされると、手術内容情報を読み込まないまま、図7に示す画面に移行する。手術内容情報を正常に取得できなかった場合に、キャンセルボタン336がタッチされると、同様に図7に示す画面に移行する。
図6は、実施の形態におけるワークシート340を示す。通常、医師が手術ごとにその内容を決定する。この決定された内容に対応して、手術内容情報が、主として手術データベース236に格納される。ワークシート340は、その手術内容情報をもとに作成される用紙である。看護師はワークシート340を見て内容を確認した後、手術の準備を行う。ワークシート読込画面330において、手術ID欄350に記載される手術IDが入力されると、薬品管理装置100は、主として手術データベース236からこの手術IDを手がかりとしてワークシート340と同等の手術内容情報を得る。
患者ID欄342は手術の対象たる患者ごとに付与されるID番号(以下、「患者ID」とよぶ)を示す。同様に、患者や手術、後述の薬品などには、それぞれを識別するためのID番号が付与されている。薬品管理装置100は、これらのID番号を手がかりとして、医療情報システム220内の各データベースから必要な情報を取得する。同図では、看護師は、たとえば、患者名欄346により、患者名は「佐藤はるみ」、患者ID欄342により、患者IDは「9305277」、予定手術欄348により、予定される手術の内容は「直腸低位前方切除」であることがわかる。
図7は、ワークシート読込画面330の後に表示される薬品出庫初期画面360を示す。手術ID領域380は手術ID入力領域332において入力された手術IDを表示する。患者名領域382は、患者名欄346に示す患者名を表示する。この患者名は、手術ID欄350から取得した手術IDを手がかりとして薬品管理装置100が医療情報システム220から取得する。ワークシート読込画面330において、ワークシートの読み込みを行わなかった場合には、患者名領域382は患者名を表示しない。
出入庫情報表示領域364は、薬品類の出入庫等、各種の操作に関する情報を表示する。ここでいう操作とは、払い出し(出庫)、返却、後述する破損登録をいう。出入庫情報表示領域364の表示方法については次の図8以降で更に説明するが、ここに示す図7を用いてその概略をまず説明する。時刻欄366は、各操作の対象となった時刻を表示する。区分欄368は、操作の種類を示す。操作の種類とは、前述の出庫や返却などが該当する。警告欄369は、薬品類ごとに付与される警告を表示する。薬品類によっては、たとえば、高価であったり危険であったりなどの理由により取り扱いに充分な注意を要するものもある。看護師は、図13に関連して後に説明するように、薬品ごとに警告を設定することができる。この設定された警告に基づいて、警告欄369には警告が表示される。警告欄369においては、警告は3列の表示があるが、これは警告のレベル、すなわち、警告の重要度に対応する。重要な警告ほど右に表示される。
薬品類名称欄370は、操作の対象となる薬品類の名称を表示する。薬品類の名称のみでなく、薬品類の規格など更に各種の情報が表示されてもよい。数量欄374は操作の対象となる薬品類の数量を示す。単位欄376は操作の対象となる薬品類の単位を示す。表示対象切換ボタン378は、出入庫情報表示領域364の表示を切り換える。表示対象切換ボタン378がタッチされるごとに、当該作業の対象となった薬品類の出入庫の履歴表示と、出入庫対象となった薬品類ごとの増減量の表示が切り替わる。あるいは、出庫された薬品類、返却された薬品類、破損登録された薬品類、操作対象となった薬品類すべて、のように出入庫情報表示領域364の表示対象が順次切り替わってもよいし、その切り替えの形式はユーザ定義できてもよい。
ある看護師が作業しているときに、別の看護師が割り込んで作業するときには、割り込む側の看護師は緊急割込ボタン384をタッチする。薬品管理装置100の操作を行うに際しては、看護師の認証が必要であることは先述の通りである。しかし、ある看護師が作業をしている最中に、たとえば緊急の手術により、別の看護師が同一の薬品管理装置100から薬品類を緊急に取り出す必要がある場合もある。この場合、先の看護師の作業中に新たな看護師がそのまま、必要な薬品類を自由に出庫できるとすると、看護師の認証が完全なものでなくなる。一方、先の看護師の作業を終了させてしまうと、先の看護師は中途半端な状態で記録が残り、後述の操作履歴データを管理する上で不都合である。このような場合には、新たな看護師は緊急割込ボタン384により、先の看護師の作業をサスペンドして一時的にその作業状況を保存した上で、作業をすることができる。新たな看護師が作業を完了すると、先の看護師は保存された作業状況情報に基づき、作業を再開できる。
ページ切換ボタン386は、出入庫情報表示領域364において操作の対象となった薬品類が一画面で表示できなくなった場合に、ページを切り換える。カテゴリ選択ボタン388は、カテゴリに基づいて非実装品を選択する。カテゴリとは、たとえば、「手術薬剤」、「麻酔」、「外科」、「耳鼻」のように、用途に応じて非実装品を分類したものである。カテゴリ選択ボタン388をタッチするとカテゴリ選択画面(図示せず)が表示される。看護師は同画面において、カテゴリに基づいて所望の非実装品を検索して選択した上で、出庫や返却等の入力を行う。実装薬品については、薬品格納庫106からの取り出しにより自動的にその出庫が出入庫検出部282により検出される。非実装品についてはバーコードリーダ104によりバーコードでこれらを識別するID番号である薬品類IDを入力する。非実装品については、画面から選択して入力してもよい。このような場合には、多くの薬品類がカテゴリに分類されているため、所望の薬品類を選択しやすくなる。
セット入力ボタン390はセット物品の入力(以下、単に「セット入力」とよぶ)を行うためのボタンである。セット入力とはセット物品を一単位とする入力操作を意味するが、これについては図10に関連して後に詳述する。非実装品検索ボタン392は、非実装品を検索する画面(図示せず)を呼び出すボタンである。看護師はこの画面において、非実装品の名称の一部を用いた文字列検索や、薬品類IDの一部により所望の薬品類を検索する。あるいは、後述する薬品類に付帯するさまざまな情報をキーにして検索してもよい。この検索において、非実装品の設置場所を検索できてもよい。
実装薬品返却ボタン394は、実装薬品の返却画面(図示せず)を表示する。看護師はこの画面を呼び出した後、出庫した実装薬品の一覧の中から返却すべき実装薬品を画面上で確認して、薬品格納庫106に返却する。返却が薬品管理装置100に認識されたことを確認すると、再び薬品出庫初期画面360に戻る。
破損登録ボタン396は薬品類の破損を登録する画面(図示せず)を表示する。看護師が出庫した薬品を破損したときは、この画面を呼び出し破損の登録を行う。出庫された薬品類のうち、実際に使用された薬品類や返却された薬品類のほかに、破損によって失われた薬品類についても管理できる。ここでいう破損とは、廃棄や紛失も含む概念であり、実施することなく失うことをいう。看護師は薬品取扱者IDによって識別されるので、この登録によってだれがいつ破損したかもデータ入出力部278によりデータ格納部276へ記録される。この破損を登録する画面では、破損の状況や理由を併せて入力できる。
完了ボタン398が選択されると、ログイン画面300に戻る。その際に、ワークシート読込画面330が表示されてもよい。すなわち、看護師は作業後にワークシートの読み込みを行ってもよい。
図8は、看護師が、薬品出庫初期画面360の表示後に実装薬品を薬品格納庫106から取り出したときに表示される薬品出庫画面400を示す。同図では、看護師が、実装薬品「ペルカミ注射薬」を2本出庫している。出入庫検出部282が、薬品格納部284における「ペルカミ注射薬」の取り出しを検出すると、制御部262は、画面表示部260により同図に示す出入庫情報表示領域364を表示する。また制御部262は、実装薬品の出入庫をデータ格納部276に記録するようデータ入出力部278に指示する。
時刻欄366は、出庫操作が行われた時刻が表示する。区分欄368は、操作が出庫操作であった旨を表示する。薬品名称欄370は、出庫された実装薬品の名前である「ペルカミ注射薬」を表示する。数量欄374は、出庫された数が2本である旨を表示する。単位欄376は、取り出された注射薬がアンプルであることを示す。看護師が実装薬品の取り出しをおこなうと、リアルタイムに出入庫情報表示領域364において、取り出した実装薬品に関する情報を確認できる。
看護師は出入庫情報表示領域364のうち、この出庫した実装薬品の部分をタッチして選択したあと、薬品詳細情報ボタン404をタッチするとその実装薬品に関する詳細な情報を表示する画面(図示せず)が表示される。看護師は、この画面によりたとえば後に示す図19のような薬品類に関する詳細な情報を得ることができる。実際に、薬品詳細情報ボタン404がタッチされたときに、薬品管理装置100は薬品データベース242から薬品類に関する情報を取得してもよい。たとえば、警告欄369において、警告表示がなされる薬品類について、より詳しい情報を得ることができるため、看護師は、薬品類の取り扱い方について、薬品管理装置100を操作しながら習熟する学習効果がある。
図9は、薬品出庫画面400において取り出した2本の「ペルカミ注射薬」のうちの1本を返却した場合に表示される薬品出庫画面410を示す。看護師は、「ペルカミ注射薬」を返却するときには、まず、返却画面(図示せず)を呼び出し、返却対象の薬品類である「ペルカミ注射薬」を選択し、返却数を設定する。その後、看護師が、「ペルカミ注射薬」を所定のカセット110に返却すると、出入庫検出部282はその返却を検出する。制御部262は、画面表示部260に指示して、出入庫情報表示領域364の上から2行目に示す情報を表示させる。区分欄368は、対象となった操作が返却操作である旨を表示する。数量欄374は、返却された本数が1本であることを示す。同図によれば、「ペルカミ注射薬」が2本とりだされたが、そのうちの1本は返却されたことがわかる。このようにして、看護師の操作が履歴として表示される。
図10は、薬品出庫画面410のセット入力ボタン390がタッチされたときに表示されるセット物品選択画面420を示す。看護師は、実装薬品のほかに、非実装品についても出入庫を入力できる。この場合にも、制御部262はこれらの出入庫についてデータ入出力部278にデータ格納部276へ記録するよう指示する。さらに、看護師は、セット物品として出入庫の入力をすることもできる。看護師は、セット物品選択画面420において、あらかじめ登録されているセット物品から所望のセット物品を選択する。セット物品に関する情報はデータ格納部276に格納されてもよいし、外部のデータベースから取得してもよい。
セット分類領域422はセット物品の分類(以下、単に「セット分類」とよぶ)を示す。同図ではセット物品は診療科ごとに分類されているが、使用目的などさまざまな観点から分類されてもよい。セット分類コード欄424は、診療科を識別するためのID番号を示す。セット分類名称欄426は、診療科の名前を示す。看護師はセット分類領域422から所望の診療科の欄をタッチすることにより、診療科を選択する。同図においては、「外科」が選択されている。セット分類選択ページ436は、セット分類領域422のページを示す。同図では、セット分類は5ページあり、そのうちの1ページ目が表示されている。ページ切換ボタン438はページを変更する。戻ボタン439をタッチすると、薬品出庫画面410に戻る。
セット物品選択領域428は、セット分類領域422において選択された診療科に分類されているセット物品を示す。セット分類領域422において所定のセット分類を選択すると、セット物品選択領域428は、そのセット分類に含まれるセット物品の一覧を表示する。セット物品コード欄430は、セット物品を識別するためのID番号を示す。セット物品名称欄432は、セット物品の名前を示す。看護師が、セット物品選択領域428から所望のセット物品の欄をタッチすることにより、セット物品を選択する。セット物品選択ページ434は、セット物品選択領域428のページを示す。同図では、「外科」に分類されている「外科−ヘルニア」という名前のセット物品が選択されている。
図11は、セット物品選択画面420においてセット物品が選択されたあとに表示されるセット物品入力画面440を示す。セット分類表示欄442は、セット分類領域422で選択したセット分類である「外科」を表示する。セット物品表示欄444は、セット物品選択領域428で選択したセット薬品である「外科−ヘルニア」を表示する。セット物品内容領域446は、選択されたセット物品「外科−ヘルニア」に含まれる薬品類を表示する。セット物品「外科−ヘルニア」には、セット物品内容領域446に示す薬品類が含まれる。
品目コード欄448は、薬品類IDを示す。薬品類名称欄450は、薬品類の名前を示す。定数欄452は、セット物品に含まれる薬品類の定数を示す。数量欄454は、実際の出庫対象となる薬品類の数量を示す。後述のように、この数量は出庫時に変更できる。単位欄456は、薬品類の単位を示す。同図では、セット物品「外科−ヘルニア」には、たとえば、品目コード「1669」の非実装薬品「生理食塩液」が含まれることが示されている。そして、セット物品「外科−ヘルニア」に含まれる「生理食塩液」の定数となる量は「200ml」であり、「200ml」が出庫対象となっている。
数量変更ボタン458は、セット物品に含まれる薬品類の数量を変更するためのボタンである。セット物品に含まれる薬品類の定数は、定数欄452に示すようにあらかじめ定義されている。しかし、医療の現場においては、セット物品を出庫する場合でも、定数以上必要とされる場合や、定数ほど出庫の必要がない場合もある。看護師は、セット物品内容領域446からタッチして選択した薬品類につき、数量変更ボタン458によってその実際の出庫の数量を変更する。数量変更ボタン458により、セット物品に含まれる薬品類の数量が変更されると、画面表示部260は数量変更された薬品類につきセット物品内容領域446における表示色を変更する。たとえば、定数以上に変更された場合にはその薬品類の表示背景色を黄色とし、定数以下に変更された場合にはその薬品類の表示背景色を赤色に変更する。あるいは、音声処理部254は、定数より変更されたことを音声により通知してもよい。
セット数ボタン462がタッチされると、出庫すべきセット物品の数を変更するための画面(図示せず)が表示される。また、セット数ボタン462は出庫の対象となっているセット物品の数を表示する。同図では、セット物品「外科−ヘルニア」は、2セットが出庫の対象となっている。出庫ボタン464がタッチされると、セット物品の出庫についての入力が完了する。戻ボタン466がタッチされると、セット物品選択画面420に戻る。
図12は、セット物品「外科−ヘルニア」を1セット出庫するよう入力した後に、非実装品「ネントラカテーテル」の出庫を入力したときに表示される薬品出庫画面470を示す。先述のように、セット物品「外科−ヘルニア」には、非実装薬品「ネントラカテーテル」が含まれるが、看護師はさらに同じ非実装薬品を出庫しようとしている。このときには、看護師が、出庫操作を誤っている可能性がある。なぜならば、看護師は、非実装薬品「ネントラカテーテル」の出庫を入力するのではなく、セット物品「外科−ヘルニア」に含まれる非実装薬品「ネントラカテーテル」の出庫量を調整する方が適切かつ自然な操作と考えられるからである。このようなとき、画面表示部260は二重取出警告表示472を表示して看護師の注意を喚起する。また、音声処理部254は音声により警告を通知してもよい。
以上、薬品類の出庫等に関する操作について説明した。実装薬品の出入庫は、薬品格納庫106から取り出すことにより、即時にその操作が出入庫情報表示領域364に表示される。また、非実装品については、非実装品検索ボタン392により、登録されている薬品類の情報から検索して画面入力により出入庫の入力を行う。あるいは、非実装品に付与されるバーコードを読み取ることにより、出入庫の入力をしてもよい。また、同様にセット物品として、登録されているセット物品の情報から検索することにより出入庫の入力が可能である。このようにして、各薬品管理装置100が管理する薬品類の出入庫について入力する。完了ボタン398をタッチすると、一連の操作を完了する。完了時には、操作に伴う薬品類の出入庫に関する情報がデータ入出力部278によりデータ格納部276に格納される。また、この情報は、医療情報システム220に送信されてもよい。また、印刷処理部290は制御部262の指示により出入庫に関する情報を印刷してもよい。
図13は、ログイン画面300において、メンテナンス業務ボタン312がタッチされたときに表示されるメンテナンス画面480である。メンテナンス画面480は、薬品管理装置100についての各種設定を行う画面である。以下の設定は、制御部262の指示により、データ入出力部278を介してデータ格納部276に格納される。データインポートボタン482は、薬品管理装置100の設定データを取得するボタンである。データエクスポートボタン484は、薬品管理装置100の設定データを記録するボタンである。設定データは、たとえば、フロッピーディスク(登録商標)などの携帯用記録媒体に記録したり、ネットワークを介して外部の記録媒体に記録してもよい。これにより、病院内に複数の薬品管理装置100を設置する場合でも、基本的な設定データを容易にコピーできる。
ユニット構成設定ボタン486は、薬品格納庫106の構成を設定する画面(図示せず)を表示する。薬品管理装置100は薬品格納庫106を有する装置であるが、さらに別個に薬品格納庫106を追加できてもよい。薬品管理装置100が複数の薬品格納庫106を制御する場合には、各薬品格納庫106を「ユニット」として、ユニット構成設定ボタン486によりその構成を設定する。具体的には、各ユニットの配置や、各ユニットに含まれるカタログ108およびカセット110の数などについての設定を行う。音声マスタ登録ボタン488は、音声によるメッセージを登録する画面(図示せず)を表示する。薬品類の取り扱いに関する警告や注意など、あらかじめ複数の音声メッセージを登録しておくことができる。後述の薬品マスタ登録ボタン490により、薬品類ごとに、この登録した音声メッセージから所望のメッセージを結びつけるよう設定してもよい。また、音声メッセージは、薬品類に関するものだけでなく、操作ガイダンスなどであってもよい。これらの登録された音声メッセージは、音声処理部254によりアナウンスされる。
薬品マスタ登録ボタン490は、薬品に関する情報を設定する画面(図示せず)を表示する。たとえば、実装薬品のサイズや、前述の警告メッセージなどを付帯的な情報として薬品類の情報に追加設定を行う。薬品に関する情報は、薬品データベース242に格納されるが、ここでは、さらに薬品管理装置100に図19に示すような固有の情報を付帯情報として結びつけることができる。たとえば、薬品類の大きさなどの情報が該当する。警告文章マスタ登録ボタン492は、警告文章に関する設定を行う画面(図示せず)を表示させる。薬品類の取り扱いに関する警告や注意など、あらかじめ複数の警告文章を登録できる。薬品マスタ登録ボタン490において、薬品類に応じて、ここで設定した警告文章を付帯情報として結びつけて設定できる。形態区分マスタ登録ボタン494は、薬品類の形態を登録する画面(図示せず)を表示させる。形態とは、錠剤、カプセル、注射薬、器具など、薬品類の形態に関する分類をいう。薬品マスタ登録ボタン490において、薬品類に応じて、ここで登録した剤形に関する情報を付帯情報として結びつけて設定できる。
破損理由マスタ登録ボタン496は、薬品の破損理由に関するマスタとなる情報を登録する画面(図示せず)を表示させる。看護師は、薬品を破損したとき、破損登録ボタン396により、破損の登録をできることは先述の通りである。その際、看護師は、破損の理由を登録できる。理由とは、たとえば、「落下による破損」、「こぼれ」、「異物混入に伴う破棄」、「紛失」などである。破損理由マスタ登録ボタン496により、あらかじめ、典型的な破損理由を登録しておくことにより、看護師は、簡易に破損登録できる。
指示区分マスタ登録ボタン498は、薬品の指示区分を登録する画面(図示せず)を表示させる。「指示区分」とは、たとえば、「劇薬」、「毒薬」、「向精神薬」などの薬品の性質に基づく分類をいう。薬品マスタ登録ボタン490において、薬品類に応じて、ここで登録した指示区分を付帯情報として結びつけてもよい。セット分類マスタ登録ボタン500は、セット分類を登録する画面(図示せず)を表示させる。セット分類とは、図10のセット分類領域422で示したように、通常は、診療科に対応する。後述のセット物品登録ボタン504において、セット物品にここで登録されているセット分類を付帯情報として結びつけて設定できる。非実装品マスタ登録ボタン502は、非実装品の区分(以下、単に「非実装品区分」とよぶ)を登録する画面(図示せず)を表示させる。「非実装品区分」とは、たとえば、「麻酔」、「手術材料」、「点滴」のように、非実装品を主としてその用途に応じて分類したものである。薬品マスタ登録ボタン490において、非実装品に応じて、ここで登録した非実装品区分を結びつけてもよい。
セット物品登録ボタン504は、セット物品の設定を行う画面(図示せず)を表示させる。ここでいう設定とは、具体的には、セット物品コード欄430に示したセット物品の識別ID、セット物品名、セット分類、含まれる薬品類の種類と定数などに関する設定である。
単位マスタ登録ボタン506は、薬品類の単位について登録する画面(図示せず)を表示させる。単位とは、「A(アンプル)」、「B(ボトル)」、「V(バイアル)」、「本」、「個」、「セット」などであり、看護師はさまざまな薬品類につき更に新たに単位を定義できる。カテゴリ登録ボタン508は、薬品類のカテゴリについて登録する画面(図示せず)を表示させるボタンである。警告分類マスタ登録ボタン510は、警告分類について登録する画面(図示せず)を表示させる。警告分類とは、警告のレベルであり、区分欄368に示したように3段階の警告レベルがある。警告文章マスタ登録ボタン492により登録した警告文章を分類し、警告レベルを結びつけて登録する。
セット薬品分類マスタ登録ボタン512はセット薬品分類について登録する画面(図示せず)を表示させる。セット薬品分類とは、非実装品を分類したものである。セット薬品分類の分類ポリシは看護師が任意に決めてよいが、たとえば、薬品類の価格で分類してもよい。セット薬品分類マスタ登録ボタン512では、セット物品の内容を表示するときの表示順もセット薬品分類ごとに登録する。たとえば、薬品類の価格が高いほど表示順位が高くなるように設定した場合には、セット物品入力画面440において、セット物品の内容を表示するに際し、高額の薬品ほど前のページに表示させることができる。また、各薬品類が、どのセット薬品分類に分類すべきであるかは、薬品マスタ登録ボタン490において設定する。
薬品取扱者マスタ登録ボタン514は看護師を登録する画面(図示せず)を表示させる。看護師を認証して識別するためのデータの設定であり、図4に関連して先述したように薬品取扱者IDやパスワードなどの設定を行う。薬品取扱者マスタ登録ボタン514による看護師の登録は、特に権限を与えられた管理者のみが設定できるようにしてもよい。カタログ情報登録ボタン516は各カタログ108の内容設定を行うボタンであり、後の図14に関連して詳述する。完了ボタン518をタッチすると、ログイン画面300に戻る。
図14は、メンテナンス画面480のカタログ情報登録ボタン516がタッチされたときに表示されるカタログマスタメンテナンス画面530を示す図である。カタログ一覧表示領域532は、薬品格納庫106における各カタログ108についての情報を表示したものである。同図では、カタログ108は4段であることがわかる。図13のユニット構成設定ボタン486に関連して説明したように、薬品格納庫106を増設することによりさらに多くの薬品格納庫106を扱うこともできる。
カタログコード欄534は、各カタログ108を識別するためのID番号を示す。区分欄536は、各カタログ108に格納される実装薬品の容器の種類を示す。「カセット」とあるのは、注射薬のアンプルやバイアルのように、カセット形状の実装薬品として薬品格納庫106に格納されるものをいう。このほかにも、箱型容器やシリンジ型注射薬、外用薬など、さまざまな薬品を格納できてもよい。カタログ名称欄538は、薬品格納庫106ごとに対応するカタログ名称である。532に示す情報は、先述のユニット構成設定ボタン486を介して設定される。
カタログ情報領域540は、カタログ一覧表示領域532において選択されたカタログに格納される実装薬品を示す。同図によれば、カタログコード「101」の「麻酔カート01」という名前のカタログには、15列のカセットがある。そして、カタログ情報領域540に示す9種類の実装薬品が格納される。
編集ボタン542は、カタログ情報領域540を編集するためのボタンである。カタログ一覧表示領域532において選択されたカタログにつき、カタログ情報領域540に示す格納すべき実装薬品を編集できる。新規追加ボタン544は、カタログ情報領域540に新規に格納すべき実装薬品を追加するためのボタンである。削除ボタン546は、カタログ情報領域540に登録されている実装薬品を削除するためのボタンである。検索ボタン548は、カタログ情報領域540に追加すべき実装薬品を検索するためのボタンである。実装薬品に関する情報は、薬品データベース242から取得してもよいし、データ格納部276から取得してもよい。戻ボタン550がタッチされると、メンテナンス画面480に戻る。
図15は、図4の集計業務ボタン310がタッチされたときに表示される集計業務画面560を示す。在庫確認と発注業務ボタン572は、在庫の確認と発注を行う。ここでいう在庫の確認とは、薬品管理装置100が管理を担当する薬品類の在庫状況の確認をいう。すなわち、実装薬品のみならず、管理の対象となる非実装薬品や医療材料も含む。薬品類の発注は、通常は医療情報システム220がまとめておこなうが、薬品管理装置100は外部に対して単体で発注を指示することもできる。
薬品補充業務ボタン574は、薬品類の補充を行うための画面(図示せず)を表示する。看護師は、この画面を表示させた上で薬品類の補充業務を行う。補充の方法については、先述した出入庫操作と同様である。すなわち、薬品補充業務ボタン574により表示された画面において、補充の対象となる薬品類の補充に関する入力を行う。薬品補充履歴確認ボタン576は、薬品の補充履歴を表示する。これについては、次の図16に関連して詳述する。補充後返却履歴確認ボタン578は、補充された薬品類のうち、返却されたものの履歴表示を行う画面(図示せず)を表示させる。すなわち、補充されたものの、発注ミスなどにより実施されることなく返品された薬品類についての履歴を表示する。
作業実績確認業務ボタン582は、看護師ごとの作業実績を確認するためのボタンである。図18に関連して後に詳述する。薬品使用量と日計集計ボタン584は、薬品の使用状況を確認するためのボタンである。図17に関連して後に詳述する。薬品破損確認ボタン592は、破損された薬品について確認する画面(図示せず)を表示するボタンである。破損登録ボタン594は薬品類の破損の登録を行う画面(図示せず)を表示するボタンである。薬品類の出庫時においては、破損登録ボタン396において破損の登録を行うことができるのは先述の通りである。薬品類の出庫時以外で、薬品類を破損した場合には、破損登録ボタン594を介して同様に破損の登録を行うことができる。
不正行為と在庫不一致確認業務ボタン602は、不正行為と在庫の不一致について確認する画面(図示せず)を表示するためのボタンである。先述のように、薬品の出庫は、看護師の認証から始まって、必要量の薬品の出庫を行うことにより一連の操作を完了する。しかし、システムが異常終了した場合や、先述の在庫の不一致が生じる場合も想定される。不正行為と在庫不一致確認業務ボタン602により、そのようないわゆるエラーの発生状況を確認できる。操作履歴確認業務ボタン604は、看護師ごとの操作の履歴が、たとえば、図9の出入庫情報表示領域364に示す形式で表示される。実装薬品操作履歴確認ボタン606は、実装薬品の操作実績を確認する画面(図示せず)を表示するためのボタンである。ここでは、実装薬品の種類ごとに、出庫、補充、返却、破損等の履歴を表示する。完了ボタン608をタッチすると、ログイン画面300に戻る。
図16は、集計業務画面560において薬品補充履歴確認ボタン576がタッチされたときに表示される薬品補充履歴確認画面610を示す。実績開始日領域612は、薬品補充履歴の実績開始日であり、実績終了日領域614は実績終了日を示す。実績開始日領域612や実績終了日領域614をタッチすると、日付入力のための画面(図示しない)が表示されるので、これにより日付の入力が可能となる。担当者領域616に看護師名を入力すれば、その看護師についてのみの補充履歴を表示する。補充履歴領域626は、薬品の補充履歴を表示する。補充日時欄617は、補充のなされた日時を示す。担当者欄618は、補充をおこなった看護師の名前と、薬品取扱者IDを表示する。同図によれば、2003年2月6日において、「山下文明」と「川上幸広」の二人の看護師により、2回の薬品類の補充が行われている。
検索ボタン620は、看護師名を検索するボタンである。内容確認ボタン622は、補充履歴領域626においてタッチされて選択された補充につき、補充された薬品類の内容や量を表示させる。戻ボタン624をタッチすると、集計業務画面560に戻る。
図17は、集計業務画面560において薬品使用量と日計集計ボタン584がタッチされたときに表示される薬品使用状況確認画面630を示す。薬品使用状況確認画面630は、所定の期間における薬品類の使用状況を確認する画面である。一覧対象薬品選択領域632は、確認表示の対象を実装薬品とセット物品のいずれかを切り換える。集計開始日領域634は、薬品使用状況の確認の開始日であり、集計終了日領域636はその終了日である。集計開始日領域634や集計終了日領域636をタッチすると、日付入力のための画面(図示しない)が表示されるので、これにより日付の入力が可能となる。同図では、2003年2月6日の薬品使用状況を確認している。薬品使用状況表示領域638は、この期間に使用された薬品類を表示する。
薬品コード欄640は、薬品類IDを示す。薬品類名称欄642は、薬品の名称や規格を示す。出庫数欄644は、実際に出庫された薬品類の数量を示す。返却数欄646は、そのうち、返却された数量を示す。破損数欄648は出庫された薬品類のうち、破損登録された薬品類の数量を示す。使用数欄650は、出庫された薬品類のうち、実際に使用された数量を示す。単位欄652は薬品類の単位を示す。同図において、薬品コード欄640が「11349」の「アルミスサリン注10%2ml」という薬品は、4本のアンプルが出庫されているが、そのうち1本は返却されている。さらに、残り3本のうちの1本は破損によって失われている。したがって、残る2本が実際に使用されたことになる。検索ボタン656は薬品類を検索するためのボタンである。検索ボタン656をタッチすると、薬品類を文字列やカテゴリなどに基づいて検索する画面(図示せず)が表示される。印刷ボタン660は、薬品使用状況表示領域638に示す薬品の使用状況を印刷するためのボタンである。戻ボタン670がタッチされると集計業務画面560に戻る。
図18は、集計業務画面560において、作業実績確認業務ボタン582がタッチされたときに表示される作業実績確認画面680を示す。作業実績確認画面680は、手術ごとの作業状況を確認する画面である。作業開始日領域682は、確認の対象とする開始日であり、作業終了日領域684はその終了日である。作業開始日領域682や作業終了日領域684をタッチすると、日付入力のための画面(図示しない)が表示されるので、これにより日付の入力が可能となる。同図では、2003年2月6日の作業実績の確認を行っている。担当者領域686に看護師を入力すれば、その看護師に関する作業実績のみを表示する。手術ID領域688に手術IDを入力すれば、その手術に関する作業実績のみを表示する。
作業実績領域690は、手術ごとの作業実績を表示する。手術ID欄692は手術IDを表示する。緊急作業欄694は、図7の緊急割込ボタン384による緊急割り込みに伴う作業であったこと、作業状態欄696は作業の状態を示す。同図の「正」とあるのは、作業が正常に終了したことを示す。アプリケーションソフトウェアが異常終了したときには、その旨が表示される。担当者欄698は、手術に対応して作業をおこなった看護師の名前と薬品取扱者IDを表示する。作業開始日時欄700は、作業の開始日時を表示する。
検索ボタン702は、検索を行うためのボタンである。検索ボタン702をタッチすると、手術や看護師などの検索を行う画面(図示せず)を表示する。手術の検索は、手術IDのほかに、手術の内容や、患者名、担当医名などをキーとして行われる。看護師の検索は、薬品取扱者IDや看護師名をキーとして行われる。内容確認ボタン704は、作業実績領域690において選択された作業の詳細な内容を確認するためのボタンである。具体的には、先述の薬品使用状況確認画面630と同等の方法により画面表示される。作業実績印字ボタン706は、作業実績領域690において選択された作業ごとの操作履歴を印刷する。具体的には、図9の出入庫情報表示領域364に示したものと同等の履歴が印刷される。戻ボタン708がタッチされると集計業務画面560に戻る。
先述のように、薬品管理装置100は、医療情報システム220に含まれる各種のデータベースから必要な情報を取得する。薬品管理装置100のデータ格納部276が、実施に必要な情報をすべて格納してもよい。しかし、複数の薬品管理装置100を運用する場合には、共通して使用できるデータが多い。また、医療情報システム220は通常、薬品管理装置100が必要とするデータの多くを有しているため、薬品管理装置100は医療情報システム220とデータの交換を行うことにより、薬品管理装置100と医療情報システム220は相補的な運用が可能となる。
薬品管理装置100は医療情報システム220から取得した各種のデータを加工して使用する。また、薬品管理装置100によって生成された新たなデータを医療情報システム220に送信する。以下、図2に示した医療情報システム220に含まれる各種のデータベースのデータ構造について説明する。
図19は、薬品データベース242のデータ構造を示す。薬品データベース242は、病院200において使用される薬品に関する情報を格納するデータベースである。同図では、カセット型の実装薬品についてのデータ構造を示すが、薬品データベース242は、薬品類全体についてのデータを格納してもよい。あるいは、ある程度の価格以上の薬品類のように、管理を必要とする薬品類についてのデータを格納対象としてもよい。
JANコード欄710は、薬品類のJANコードを示す。JANコードは通常、国コード、メーカーコード、商品アイテムコード、チェックディジットの4種類のコードからなる商品を識別するためのコードである。薬品コード欄712も、薬品類を識別するためのコードであるが、これは、病院200ごとに固有に割り当てられてもよい。薬品名称欄714は薬品類の名称を示す。規格名称欄716は薬品類の規格を示す。薬効欄718は薬品類の薬効を示す。指示区分欄720は、薬品類の指示区分を示す。径欄722、高さ欄724、カセットサイズ欄726は実装薬品の大きさに関する情報であり、それぞれ、直径、高さおよびカセットのサイズを示す。ここに示したデータのは、すべて薬品データベース242が格納する必要はなく、各薬品管理装置100のデータ格納部276がその一部を分担して格納してもよい。
図20は、手術データベース236のデータ構造を示す。手術データベース236は、手術に関するデータを格納するデータベースである。手術ID欄730は、手術IDを示す。患者ID欄732は患者IDを示す。予定術式欄734は、予定される手術の内容を示す。担当医欄736は、担当医名、執刀医欄738は執刀医名を示す。担当医や執刀医については、医師を識別するID番号であってもよい。予定日欄740は、手術の予定日を示す。同図の一番上の行のデータは、図6に示したワークシート340に対応する。すなわち、手術IDは「1002352」、患者IDは「9305277」で予定される手術は「直腸低位前方切除」である。担当医と執刀医は共に「北村規介」であり、執行予定日は、「2003年7月31日」となる。
図21は、患者データベース240のデータ構造を示す。患者データベース240は、患者に関する情報を格納するデータベースである。患者ID欄750は患者IDを示す。手術データベース236の患者ID欄732と対応する。患者氏名欄752は患者の氏名を示す。年齢欄754は患者の年齢、性別欄756は患者の性別、血液型欄758は患者の血液型を示す。身長欄760は患者の身長、体重欄762は患者の体重を示す。入院欄764は患者が入院中であるか、通院中であるかを示す。同図の一番上の行のデータは、図6に示したワークシート340に対応する。すなわち、患者IDは「9305277」で患者名は「佐藤はるみ」、年齢「8才」、性別「女」、血液型は「B型」である。また、身長は127センチ、体重26.3キログラムで入院中であることを示す。
薬品管理装置100が、ワークシート340の手術ID欄350を読み取ると、読み取った手術ID「100236」に対応するデータを、手術データベース236から取得する。また、患者ID欄342から取得した患者IDである「9305277」に対応するデータを、患者データベース240から取得する。このように、各種のID番号を手がかりとして、薬品管理装置100は処理に必要なデータを医療情報システム220から取得する。
図22は、出庫データベース238のデータ構造を示す。出庫データベース238は、各薬品管理装置100から出庫された薬品類の状況を格納するデータベースである。薬品管理装置100は、所定の時間間隔で、出庫に関する情報を出庫データベース238に送信する。出庫に関する情報とは、たとえば、図17に示す形式の情報である。薬品管理装置100は、管理する薬品類の在庫に変化が生じたときに、出庫データベース238にその情報を送信してもよい。同図では前者の実施の形態に基づいて示したものである。
機種ID欄770は、各薬品管理装置100を識別するためのID番号である機種IDを示す。薬品類名称欄772は、薬品類名を示す。ここで示す薬品類は、各薬品管理装置100ごとに管理している薬品類である。薬品識別ID欄774は、薬品識別IDを示す。区分欄776は、薬品類の分類であり、「実装薬品」、「非実装薬品」または「医療材料」のいずれかである。出庫数欄778は、所定の期間における、それぞれの薬品類の出庫量を示す。単位欄780は、薬品類の単位を示す。在庫数欄782は、各薬品管理装置100における在庫量を示す。
出庫データベース238によって、在庫管理システム234は、病院200内の薬品類の状況を統合的に把握することができる。電子カルテシステム232は、患者ごとの電子カルテ情報の管理を行う。医事会計システム230は、主として、手術データベース236と患者データベース240が格納する情報に基づき、医事会計処理を行う。
図23は、薬品管理装置100の処理に関するフローチャートである。薬品管理装置100は、ログイン画面300においてまず看護師の認証を行う(S10)。認証された看護師は、ログイン画面300において「薬品の取り出し」、「集計」または「メンテナンス」のいずれかを選択する(S12)。薬品出庫業務ボタン308がタッチされ薬品の取り出し業務が選択されると(S14のY)、ワークシート読込画面330が表示される。看護師はここで、ワークシートに記載される手術IDを入力する(S16)。
制御部262は、読み込んだ手術IDに基づき、医療情報システム220から該当する手術内容情報を受信する(S18)。ネットワーク120の故障等の理由により、データの受信に失敗した場合には、エラー通知を行って薬品出庫初期画面360を表示する。
該当する手術内容情報を受信すると、薬品出庫初期画面360を表示する(S20)。看護師は、先述の通り、この画面において薬品の取り出し業務を行う(S22)。すべての処理が完了すると(S24のY)、作業の内容をデータ格納部276に記録して(S34)、処理を終了する。記録した情報は、そのまま医療情報システム220のデータベースに送信してもよい。あるいは、記録した情報を統合端末122に送信してもよい。そして、統合端末122は、各薬品管理装置100から取得した情報をまとめて病院200に送信してもよい。
一方、ログイン画面300において、集計業務ボタン310を選択した場合には(S14のN、S28のY)、図15の集計業務画面560を表示して、各種の集計業務を行う(S30)。また、ログイン画面300において、メンテナンス業務ボタン312を選択した場合には(S28のN)、図13のメンテナンス画面480を表示して各種の設定業務を行う(S32)。
以上、実施の形態においては、医療現場で使用される薬品類の出入庫に関する情報が効率的に医療情報システム220に集積される。したがって、病院全体における薬品類の出入庫をまとめて管理するのが容易となる。特に、医療情報システム220が管理する薬品類の在庫に関して、基づく情報は、現場で生成されるものである。薬品管理装置100は、この現場で発生する薬品類の出入庫を効果的に管理できることから、医療情報システム220を正確に運用する上で効果がある。さらに、薬品管理装置100は、上述したように、薬品の出入庫に関して直感的なユーザインタフェースを有している。さらに、ヒューマンエラーやシステムエラーを検知するための仕組みを有することから、薬品類の管理ミスを抑制する上で更に効果的である。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。