JP4902190B2 - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 Download PDF

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Description

本発明は、室温で硬化してゴム状弾性体を生じる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に係り、特に、遮光性、隠蔽性が要求される電気・電子機器用コーティング材等として有用な、遮光性、隠蔽性が高く、かつ、電気特性および保存安定性に優れた室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
室温で硬化してゴム状弾性体を生じる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は従来より種々知られている。このうち、LCD(Liquid Crystal Display)等の電気・電子機器のコーティング材やポッティング材等の用途には、空気中の水分と接触することにより硬化反応を生起するタイプのもので、硬化時に金属類に対する腐食の小さいアルコールやアセトン等を放出するものが、作業性が良好であるうえ、電極や配線の腐食のおそれが少なく、また、接着性等にも優れることから一般に用いられている。
そのような組成物の例としては、末端を水酸基で封鎖したポリオルガノシロキサン、アルコキシシランおよび有機チタン化合物からなる組成物、末端のケイ素原子にアルコキシ基を結合したアルコキシシリル基末端封鎖ポリオルガノシロキサン、アルコキシシランおよびアルコキシチタンからなる組成物等が挙げられる(例えば、特許文献1、2参照。)。
ところで、電気・電子機器用途の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、遮光性、隠蔽性が要求されることがある。その場合、顔料のカーボンブラックを配合することによりそれらの特性を付与しており、従来は、カーボンブラックとして、ストラクチャーの低いサーマルブラックや純度の高いアセチレンブラックが、分散性がよい、不純物が少ない等の理由から、一般に使用されている。
しかしながら、ストラクチャーの低いサーマルブラックは、遮光力、隠蔽力が弱い上、ベースポリマーのポリオルガノシロキサンの粘度が低い場合に分離しやすく、組成物は保存安定性に欠けたものとなる難点があった。また、高純度のアセチレンブラックも、遮光力、隠蔽力や分離しやすさの点で、サーマルブラックに比べ優れているものの、満足できるレベルのものではなかった。そのうえ、アセチレンブラックは導電性が高いため、遮光性、隠蔽性を向上させようと充填量を増加させると、電気特性が低下するという問題があった。
特公昭39−27643号公報 特開平4−293962号公報
上述したように、遮光性、隠蔽性が要求される用途に使用するため、カーボンブラックを配合することにより遮光性、隠蔽性を付与した室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が知られているが、遮光性、隠蔽性が不十分なうえ、分離しやすい、電気特性が低下するなどの難点があった。
本発明はこのような従来技術の課題に対処してなされたもので、遮光性、隠蔽性が要求される電気・電子機器用途に有用な、優れた遮光性、隠蔽性を有し、かつ、電気特性および保存安定性が良好な室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、粒子径が10〜15nm、窒素吸着比表面積が300〜500m /gで、かつ、DBP吸油量が40〜80cm /100gという特定の品質特性を有するカーボンブラックを使用することにより、遮光性、隠蔽性に優れ、かつ、電気特性および保存安定性も良好な電極・配線コーティング用室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
電極・配線コーティング用室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
(A)分子中に2個以上のケイ素官能基を有し、23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、
(B)架橋剤0.5〜15重量部、
(C)硬化触媒0.01〜15重量部、および
(D)粒子径が10〜15nm、窒素吸着比表面積が300〜500m /gで、かつ、DBP吸油量が40〜80cm /100gのカーボンブラック0.2〜2重量部
を含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物である。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、遮光性、隠蔽性に優れ、かつ、電気特性および保存安定性も良好であり、遮光性、隠蔽性が要求される電気・電子機器のコーティング材、ポッティング材等の用途に有用である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(A)成分であるポリオルガノシロキサンは、分子中に2個以上のケイ素官能基を有するものであり、代表的には、下記一般式(1)で表される実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンである。
Figure 0004902190
式(1)中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基、さらにこれらの炭化水素基の水素原子の一部がハロゲン原子等の他の原子または基で置換された、例えばクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基等の置換炭化水素基が例示される。これらのうち、合成が容易で、(A)成分が分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好な押出し性を与えることと、硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、全有機基の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべての有機基がメチル基であることがより好ましい。但し、硬化後のゴム状弾性体に耐熱性や耐寒性を付与する必要がある場合には、Rの一部として必要量のアリール基を用いることが好ましい。
また、式(1)中、Rは基−Z−SiR (3−p)である。Rは、互いに同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、Rと同様のものが例示される。合成が容易でXの反応性が優れていることから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、Zは、互いに同一であっても異なっていてもよく、酸素原子、並びに、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基のようなアルキレン基、フェニレン基等の2価の炭化水素基が例示される。合成の容易さの点から、酸素原子およびエチレン基が好ましく、特に酸素原子が好ましい。Xは、末端基Rに少なくとも1個存在するケイ素官能基、すなわち水酸基および加水分解性基である。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基のような置換アルコキシ基;イソプロペノキシ基のようなエノキシ基、メチルエチルケトオキシム基のようなケトキシマト基、アセトキシ基等が例示され、互いに同一であっても異なっていてもよい。合成の容易さ、硬化前の組成物の物性、保存中の安定性、硬化性、金属類に対する腐食性等の点から、アルコキシ基およびエノキシ基が好ましい。末端基Rにおけるケイ素官能基Xの数pは、1〜3である。
本発明においては、硬化前の組成物に適度の押出性を付与するとともに、硬化後のゴム状弾性体に優れた機械特性を与えるために、(A)成分であるポリオルガノシロキサンは、23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであることが必要であり、したがって、式(1)中のnは、(A)成分の23℃における粘度が前記範囲になる数(整数)である。(A)成分の23℃における粘度が0.02Pa・s未満では、硬化後のゴム状弾性体の伸びが不十分となり、逆に1000Pa・sを超えると、吐出性等の作業性および流動特性が低下する。(A)成分の特に好ましい粘度は、硬化前および硬化後の組成物に要求される性質を調和させることから、0.1〜100Pa・sの範囲である。
このようなポリオルガノシロキサンは、例えば、オクタメチルシロキサンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環共重合させることにより得ることができる
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(B)成分である架橋剤には、水および次述する(C)成分の硬化触媒の存在下に(A)成分中のケイ素官能基Xと反応し、組成物を硬化させるためのケイ素官能基を有するケイ素化合物および/またはその部分加水分解縮合物が用いられる。
上記ケイ素官能基を有するケイ素化合物は、下記一般式(2):
(4−q)SiY …(2)
(式中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基を表し、Yは加水分解性基を表す。またqは、2以上、4以下の数である。)で示される。
としては、(A)成分のケイ素原子に直接結合した有機基Rと同様の基を例示することができ、入手のしやすさと、優れた架橋反応速度が得られることから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、加水分解性基Yとしては、(A)成分の末端基に存在するXの加水分解性基として挙げられたものと同様のものが例示される。
このような架橋剤の例としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニル(2−エトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランおよびそれらの部分加水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有化合物;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルビニルジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分加水分解縮合物のようなエノキシ基含有化合物;メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シランおよびそれらの部分加水分解物のようなケトキシマト基含有化合物;メチルトリアセトキシシランおよびそれらの部分加水分解物のようなアシロキシ基含有化合物等が例示されるが、金属類に対する腐食性等の点から置換アルコキシ基含有化合物、エノキシ基含有化合物が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよく2種以上を混合して使用してもよい。
(B)成分の架橋剤としては、合成が容易で、組成物の保存安定性を損なうことがなく、金属類に対する腐食性が少ないこと、しかも大きな架橋反応速度したがって大きな硬化速度を与えることを考慮すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シランおよびそれらの部分加水分解縮合物を用いることが好ましい。
この(B)成分の架橋剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.5〜15重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。すなわち、0.5重量部未満では、架橋が十分に行われず、硬度の低い硬化物しか得られないおそれがあるうえ、架橋剤を配合した組成物の保存安定性が不良となる。逆に、15重量部を超えると、保存中にその一部が系より分離し、硬化の際の収縮率が大きくなり、硬化後の弾性等の物性が低下する。
なお、(A)成分として、それ自身が架橋性を有するポリマー(例えば、一般式(1)においてXが加水分解性基でpが平均1を超えるもの)を用いる場合は、基本的には架橋剤がなくても硬化が可能であるが、このような場合においても、架橋剤を上記範囲で配合することにより、組成物の硬化性と、硬化して得られるゴム状弾性体の機械的性質とをバランスよく具現することができる。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(C)成分である硬化触媒は、(A)成分のX同士および/または(A)成分のXと(B)成分のYとを水分の存在下に反応させて架橋構造を形成させゴム状弾性体を得るための硬化触媒である。このような(C)成分としては、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジイソプロポキシ−ビス(アセト酢酸エチル)チタン、1,3−プロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)のような有機チタン化合物類;鉄オクトエート、マンガンオクトエート、亜鉛オクトエート、スズナフテート、スズカプリレート、スズオレートのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物;テトラエトキシチタン、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、トリエトキシアルミニウムのような有機アルミニウム;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート、トリブトキシジルコニウムステアレートのような有機ジルコニウム化合物等が例示される。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。微量の存在で大きな触媒能を持つだけでなく、不純物の少ない組成物が得られることから、なかでも、有機チタン化合物類が好ましい。特にジイソプロポキシ−ビス(アセト酢酸エチル)チタン、1,3−プロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)等のチタンキレート類が好ましい。
この(C)成分の硬化触媒の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。0.01重量部未満では、硬化触媒として十分に作用せず、硬化に長い時間がかかるばかりでなく、特に空気との接触面から遠いゴム層の深部における硬化が不十分となる。逆に15重量部を超えると、その配合量に見合う効果がなく無意味であるばかりか非経済的である。また、保存安定性も低下する。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(D)成分のカーボンブラックは、組成物に優れた遮光性、隠蔽性を付与するとともに、その電気特性および保存安定性の低下を防止する、本発明において重要かつ特徴的な成分であり、下記の品質特性を満足するものである。
(1) 粒子径 :20nm以下
(2) 窒素吸着比表面積:200m/g以上
(3) DBP吸油量 :100cm/100g以下
粒子径、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量のいずれか1つでも前記を外れると、優れた遮光性、隠蔽性を付与し、かつ、良好な電気特性および保存安定性を与えることはできない。
本発明においては、粒子径は10〜20nmであることが好ましく、10〜15nmであることがより好ましい。また、窒素吸着比表面積は、200〜500m/gであることが好ましく、300〜500m/gであることがより好ましい。さらに、DBP吸油量は、40〜100cm/100gであることが好ましく、40〜80cm/100gであることがより好ましい。
ここで、上記粒子径、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量について説明する。
[粒子径] カーボンブラック凝集体を構成する小さな球状(微結晶による輪郭を有し、分離できない)成分を電子顕微鏡により測定、算出した平均直径である。
[窒素吸着比表面積] BET法比表面積である。
[DBP吸油量] JIS K 6217に規定されている特性値であり、本発明においては、アブソープメータを使用し、カーボンブラックにDBPを添加したときの最大トルクの70%から求めた100gあたりのDBP吸油量をもって示している。
組成物に優れた遮光性、隠蔽性を付与し、かつ、良好な電気特性および保存安定性を与えるためには、配合量も重要である。本発明においては、この(D)成分を、(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部、配合する。0.01重量部未満では、優れた遮光性、隠蔽性が得られず、逆に10重量部を超えると、組成物の電気特性や安定性が低下する。
なお、カーボンブラックは、その製法および品質特性により、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等の種類に分類されるが、品質特性が上記範囲を満足する限り、特にその種類が限定されるものではない。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に通常配合されている、無機充填剤、接着向上剤、顔料、チクソトロピー性付与剤、押出作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線吸収剤、防かび剤、耐熱性向上剤、難燃剤等の各種添加剤を、必要に応じて配合することができる。無機充填剤の例としては、煙霧質シリカ、焼成シリカ、沈澱シリカ、煙霧質チタンおよびこれらの表面をオルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン類、ヘキサメチルジシラザン等で疎水化したもの等が挙げられる。その他、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、けいそう土、粉砕シリカ、アルミノケイ酸、マグネシア、アルミナ等も使用可能である。この無機充填剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部の範囲が好ましく、3〜50重量部の範囲がより好ましい。
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、上記(A)〜(D)成分および必要に応じて配合される各種成分を、湿気を遮断した状態で混合することにより得られる。得られた組成物は、密閉容器中でそのまま保存し、使用時に空気中の水分に曝すことによってはじめて硬化する、いわゆる1包装型室温硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の組成物を、例えば架橋剤と硬化触媒を分けた組成物として調製し、適宜2〜3個の別々の容器に分けて保存し、使用時にこれらを混合する、いわゆる多包装型室温硬化性組成物として使用することもできる。なお、各成分の混合の順序は特に限定されるものではない。
本発明により得られる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、湿気の存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を生じる。特に本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、遮光性、隠蔽性に優れ、かつ、電気特性および保存安定性も良好である。したがって、本発明の組成物は、電気・電子機器用の弾性接着剤、コーティング材、ポッティング材等として有用であり、特に電極・配線コーティング材として有用である。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等からなる基板やアルミナ等のセラミックからなる基板上に、ITO、銅、アルミニウム、銀、金等からなる電極および配線を形成した配線基板上に、IC等の半導体装置、抵抗体、コンデンサ等の電子部品を搭載した実装基板における電極・配線コーティング材等として好適に使用される。
本発明の組成物を基板上の電極や配線のコーティング材として使用する場合、そのコーティング方法としては、ディップ法、刷毛塗り法、スプレー法、ディスペンス法等を用いることができ、また、その厚さは、通常0.01〜3mm、好ましくは0.05〜2mmである。厚さが0.01mmに満たないと、遮光性、隠蔽性が十分に得られないおそれがある。また、3mmを超えると、それ以上の効果が得られないばかりでなく内部が硬化するのに時間がかかり不経済である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。なお、実施例中、「部」とあるのはいずれも「重量部」を表し、粘度等の物性値は全て23℃、相対湿度50%での値を示す。
実施例1
両末端トリメトキシシリル基封鎖ポリジメチルシロキサン(粘度:1Pa・s)100部に、ジメチルジクロロシラン処理煙霧質シリカ(日本アエロジル社製 商品名 アエロジルR972)5部、メチルトリメトキシシラン3部、ジイソプロポキシ−ビス(アセト酢酸エチル)チタン2部および表1に示すカーボンブラックA1部を添加し、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
実施例2、比較例1〜3
カーボンブラックAに代えて、表1に示すカーボンブラックB、C、DおよびEをそれぞれ用いるようにした以外は実施例1と同一組成、同一方法でポリオルガノシロキサン組成物を得た。
Figure 0004902190
上記各実施例および各比較例で得られたポリオルガノシロキサン組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
[遮光性]
ポリオルガノシロキサン組成物を厚さ1mmのガラス板上に厚さ100μmになるように塗布し、23℃、50%RHの雰囲気中に24時間放置して硬化させて試験用試料を作製し、日立製作所社製の分光硬度計、U−3410型分光硬度計を用いて波長400nmにて光透過率を測定した。
[体積抵抗率]
ポリオルガノシロキサン組成物を23℃、50%RHで3日間の条件で硬化させて厚さ1mmのシートを作製し、JIS K 6249に基づいて測定した。
[安定性]
ポリオルガノシロキサン組成物40gを50mlガラス瓶に入れ、コクサン社製の遠心分離機、H−103N遠心機により2000rpmで1時間の遠心分離を行った後、瓶内の分離の発生の有無を目視により観察した。
これらの結果を組成とともに表2に示す。
Figure 0004902190
から明らかなように、実施例で調製されたポリオルガノシロキサン組成物は、遮光性に優れるうえ、絶縁特性および安定性も良好であった。

Claims (2)

  1. 電極・配線コーティング用室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、
    (A)分子中に2個以上のケイ素官能基を有し、23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、
    (B)架橋剤0.5〜15重量部、
    (C)硬化触媒0.01〜15重量部、および
    (D)粒子径が10〜15nm、窒素吸着比表面積が300〜500m /gで、かつ、DBP吸油量が40〜80cm /100gのカーボンブラック0.2〜2重量部
    を含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  2. 無機充填剤を、前記(A)成分100重量部あたり1〜100重量部含有することを特徴とする請求項記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
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