JP4899281B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚み精度に優れたポリエステル/ポリイミド二軸配向フィルムに関する。このようなポリエステル/ポリイミド二軸配向フィルムは、例えば、磁気記録媒体用途、電気電子部品関連用途、包装材料用途、建材部門用途等の広範な分野に適用可能である。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、その優れた機械的特性と経済性のため、磁気記録用、農業用、包装用、建材用などの大量に需要のある分野で用いられている。しかし、ポリエステルフィルムは、用途によっては熱寸法安定性や耐熱性が十分ではなく、磁気記録媒体用途をはじめ各種工業材料用フィルムへの適用に際して限界があった。また、一般に熱寸法安定性や耐熱性を高める上でポリエステルのガラス転移温度を高めるのが有効であることは、当該分野において自明であるが、有効な手段は見出されていなかった。
【0003】
本発明と関係する、ポリエステルとポリイミドのブレンド物については、ポリイミド分率の増加に伴ってガラス転移温度が上昇することが文献に開示されている(例えば、米国特許4141927号明細書、「JOURNAL of APPLIED POLYMER SCIENCE 48,935−937(1993)」、「Macromolecules 28,2845−2851(1995)、POLYMER,38,4043−4048(1997)」等)。さらに、ポリエステルとポリエーテルイミド(PEI)からなる二軸配向フィルムについては、特開2000−141475号公報に記載されている。
【0004】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、ポリエステルとポリイミドとからなるフィルムは、ポリエステル単体フィルムの場合に比べて溶融比抵抗が上昇するため、通常フィルムのキャスト工程で用いられている静電印加キャスト法(特公昭37−6142号公報などに記載)にて静電印加性が悪化する。また、ポリイミドの添加によりポリマー全体の粘度も上昇する。この結果、ポリエステル単体のフィルムに比べて厚みむらが悪化し、特に厚み精度に関して要求が厳しい磁気材料用途、コンデンサー用途などの分野への適用が難しいという問題が明らかとなってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記問題を解決し、耐熱性に優れ、且つ厚みむらの少ないポリエステル/ポリイミド二軸配向フィルム、特に、磁気材料用途やコンデンサー用途への展開に好ましい高品質の二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリエステル(A)とポリイミド(B)とからなるポリエステルフィルムであって、厚みむらが0〜15%、溶融比抵抗が1×107〜1×1010Ω・cm、フィルム中に含まれる金属の含有量が5〜500ppm、フィルム中に含有される金属化合物とリン化合物とのモル比(M/P)が0.05≦M/P≦3、かつ、固有粘度が0.5〜0.8dl/gであることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムを骨子とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するポリエステル(A)は、特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレート、ヘキサメチレン−2,6−ナフタレート、シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレート単位等から選ばれた少なくとも一種の構造単位を少なくとも主要構成成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレンテレフタレート単位を少なくとも主要構成成分とするポリエチレンテレフタレート系ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(以下PETという)を少なくとも主成分とするポリエステル)、及び/又は、エチレン−2,6−ナフタレート単位を少なくとも主要構成成分とするポリエチレン−2,6−ナフタレート系ポリエステル(ポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下PENという)を少なくとも主要構成成分とするポリエステル)が、ポリエーテルイミド(B)との溶融混練性に優れる点から特に好ましい。
【0008】
一方、本発明に用いるポリイミド(B)は、繰り返し単位として少なくとも環状イミド基を含有するポリマー、好ましくは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであればよく、特に限定されない。例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
【0009】
【化1】
Figure 0004899281
【0010】
(ただし、式中のR1
【化2】
Figure 0004899281
【化3】
Figure 0004899281
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表して、
【0011】
また、式中のR2
【化4】
Figure 0004899281
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表す。)
【0012】
かかる好ましいポリイミド(B)は、例えば、特開平8−157642号公報や特許第2558339号公報などに代表されるように、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノアミンおよび/または芳香族一級モノアミン、さらに/または脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られたポリイミドを挙げることができる。
【0013】
テトラカルボン酸および/またはその酸無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1' −ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸、3,4,9, 10−ペリレンテトラカルボン酸、4,4'−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4'−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、2,2'−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が用いられる。
【0014】
脂肪族一級モノアミンとしては、例えば、炭素数2〜22の飽和または不飽和の直鎖、分岐または脂環系のモノアミンが用いられ、具体的には、エチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0015】
芳香族一級モノアミンとしては、例えば、非置換あるいは炭素数1〜22のアルキル置換の一級アニリンが用いられ、具体的には、アニリン、トルイジン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリン、ペンチルアニリン、ヘキシルアニリン、ヘプチルアニリン、オクチルアニリン、ノニルアニリン、デシルアニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、トリデシルアニリン、テトラデシルアニリン、ペンタデシルアニリン、ヘキサデシルアニリン、ヘプタデシルアニリン、オクタデシルアニリン、ノナデシルアニリン、エイコシルアニリン、ヘネイコシルアニリン、ドコシルアニリンおよびこれらの構造異性体等が用いられる。
【0016】
脂肪族一級ジアミンとしては、例えば、炭素数1〜12のメチレン基で結合された一級ジアミンや脂環基を有するジアミンが用いられ、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,3−ビスアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、m−キシレンジアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0017】
芳香族一級ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン等が用いられる。
【0018】
また、ポリイミド(B)としては、ポリエステル(A)との溶融成形性や取り扱い性などの点から、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリエーテルイミドがより好ましく、さらに溶融成形性を有するポリマーがさらに好ましく用いられる。例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報などのポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9−48852号公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、このポリマーの主鎖に、環状イミド基やエーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族のエステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよいことは無論である。
【0019】
具体的には、例えば下記一般式(I)で表されるエーテル結合を有する単位を含む重合体を挙げることができる。
(I):
【化5】
Figure 0004899281
(上記式中R3は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基;R4は6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
【0020】
上記R3、R4としては、例えば、下記式(II)に示される芳香族残基を挙げることができる。
(II):
【化6】
Figure 0004899281
【0021】
本発明では、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドを用いると本発明の効果が得やすく、コスト、溶融成形性等の観点から、米国ゼネラルエレクトリック社が“ULTEM”の商標名で販売しているポリマーが最も好ましく、これは、主として下記式(III)に示す構造単位、または(IV)に示す構造単位からなるポリマーである。
【0022】
(III):
【化7】
Figure 0004899281
(IV):
【化8】
Figure 0004899281
【0023】
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤などの化合物や、無機粒子、有機粒子、他種ポリマーなどを添加してもかまわない。
【0024】
本発明で開示する二軸配向ポリエステルフィルムは、厚みむらが0〜15%であることが必須である。これはスリット収率の向上や各種用途における特性向上のためである。より好ましくは、0〜10%、最も好ましくは、0〜6%である。
【0025】
また、厚みむらを本発明で特定した範囲内とするためには、フィルム溶融時の比抵抗を1×107〜1×1010Ω・cm、固有粘度を0.5〜0.8dl/gとする必要がある。
【0026】
本発明者らの検討により、ポリエステル(A)にポリイミド(B)を添加すると、ポリエステル単体の場合に比べて溶融比抵抗が上昇するため、通常フィルムのキャスト工程で用いられている静電印加キャスト法(特公昭37−6142号公報などに記載)にて、静電印加性が悪化することがわかった。従って、厚み精度に優れたフィルムを得るためには、溶融比抵抗を上記範囲内にすることが有効である。溶融比抵抗が1×1010Ω・cmを越えると溶融状態での電気伝導性が悪化し、フィルムのキャスト工程で用いられる静電印加キャスト法にて静電印加性が悪化する。また、1×107Ω・cm未満であれば静電印加キャスト法を行った場合、印加端子からの放電が起こるため、端子とキャスティングドラムへの放電が頻発し、厚みむらが悪化する。溶融比抵抗の、さらに好ましい範囲は、5×107〜5×109Ω・cm、最も好ましくは7×107〜2×109Ω・cmである。
【0027】
溶融比抵抗をこの範囲内とするためにはどのような方法を用いてもよい。特に好ましい方法としては、金属原子を多量に含有した高電気伝導性ペレットをフィルム構成ポリマに添加する方法が好ましく用いられる。しかしながら、この高電気伝導性ペレットを単に添加しても、ポリエーテルイミドの固有粘度が変化すると、得られるポリエステル/ポリイミドフィルムの溶融比抵抗は変化する。従って、フィルムの溶融比抵抗を本発明の範囲内とするためには、金属元素の種類や添加量を適正化することが好ましい。
【0028】
また、フィルムの固有粘度が0.8dl/gを越えると、キャスト時のドラム密着性の悪化のため、厚みむらが悪化するので好ましくない。また、0.5dl/g未満ではフィルム破れが頻発するため好ましくない。固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.55〜0.70dl/g、最も好ましくは0.57〜0.65dl/gである。
【0029】
フィルム中に含まれる金属の含有量は5〜500ppmであることが好ましい。金属含有量がこの範囲内であれば、厚みむらに優れたフィルムが得られ易い。金属含有量が5ppm以上であれば、厚みムラが良化し、金属含有量が500ppm以下であれば、押出時でのポリマー劣化が少ないため、好ましい。また、金属含有量のより好ましい範囲は10〜400ppm、さらに好ましくは50〜300ppmである。
【0030】
ポリエステル(A)に金属原子を含有せしめる方法としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、および亜鉛、マンガン等の金属原子を含有する化合物、ゲルマニウム、アンチモン、およびチタンからなる化合物、具体的には、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、塩化リチウム、塩化マンガンなどを多量に含んだ高電気伝導性ペレットを、原料ポリマと共に押出機に投入する方法が好ましく用いられる。
【0031】
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム酸化物、水酸化物、あるいはゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムエチレングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲルマニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることができる。
【0032】
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン等を挙げることができる。
【0033】
また、チタン化合物としては、二酸化チタン等の酸化物、水酸化チタニウム等の水酸化物、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラブトキシチタネート等のアルコキシド化合物、テトラヒドロキシエチルチタネート等のグリコキシド化合物、フェノキシド化合物、酢酸塩等の化合物を挙げることができる。
【0034】
ポリエステルフィルム中に含有する金属化合物とリン化合物とのモル比(M/P)は、好ましくは0.05≦M/P≦3、さらに好ましくは0.2≦M/P≦2.5、最も好ましくは0.5≦M/P≦2である。M/P値がこの範囲内であれば、溶融押出時のポリマー分解が抑制され、フィルム中の粗大異物が減少し、高品質のフィルムを得ることができ、また、静電印加キャスト性に関与している遊離金属イオン量を、適度な範囲内にコントロールでき、キャスト性も両立させることができる。なお、この場合のMは、M=m*n(mは金属化合物のモル数、nは価数)である。即ち、アルカリ金属化合物は1価の金属化合物であるのでそのモル数(m)がMの値であり、また、アルカリ土類金属、亜鉛またはマンガン化合物は2価の金属化合物であるのでそのモル数(m)*2がMの値である。
【0035】
本発明に用いられるポリエステル(A)の固有粘度は、ポリイミド(B)との溶融混練性、溶融押出時の分解性等の観点から、好ましくは0.55〜1.1dl/g、より好ましくは0.6〜0.9dl/g、最も好ましくは0.61〜0.85dl/gである。
【0036】
また、ポリイミド(B)の固有粘度は、ポリエステル(A)との溶融混練性、溶融押出時の分解性、粗大異物低減などの観点から、好ましくは0.5〜1.3dl/g、より好ましくは0.6〜0.8dl/g、最も好ましくは0.65〜0.75dl/gである。
【0037】
また、ポリエステル(A)の含有量(フィルムを構成する樹脂全体に対する割合)は、得られたポリエステルフィルムを二軸延伸して所望の強度を発現させるために60重量%以上であることが好ましく、該フィルムの熱寸法安定性などの特性を発現させるためには99重量%以下が好ましい。また、より好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%である。
【0038】
フィルム中のポリエステル(A)とポリイミド(B)との比率の測定法としては、次の方法が好ましく用いられる。ポリエステル(A)とポリイミド(B)とのブレンドポリマーをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルムのような両者を溶解する適切な溶媒に溶解し、、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル(A)中の芳香族プロトンに相当する吸収(PETでは8.1ppm付近)とポリイミド(B)に含まれるイミド環に帰属される芳香族のプロトンに相当する吸収のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。なお、ポリイミド(B)としてポリエーテルイミドを用いる場合には、ポリエーテルイミド中のビスフェノールAの芳香族のプロトンに相当する吸収(7.0ppm)を用いてもよい。
【0039】
また、他の測定方法としては、ポリエステルは窒素を含有していないため、ポリエステルフィルムの窒素量分析を行い、得られた窒素量をポリイミド起因の窒素とすることによって算出する方法を用いても良い。この場合、フィルムサンプルを800〜950℃で気化・酸化させ生成した一酸化窒素を化学発光法で測定し、含窒素ポリマーの標準物で作成した検量線により定量する方法が好ましく用いられる。
【0040】
本発明に用いられるポリエステル(A)中に含まれるカルボキシル末端基量は、ポリイミド(B)との押出成形性、溶融混練性、溶融押出時の分解性、粗大異物低減などの観点から、5〜60当量/tonが好ましい。より好ましくは20〜50当量/ton、最も好ましくは30〜45当量/tonである。
また、ポリイミド(B)中に含まれるカルボキシル末端基量は、粗大異物低減の観点から1〜20当量/tonが好ましく、2〜18当量/tonがより好ましく、5〜16当量/tonが最も好ましい。
【0041】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのアミノ末端基量は、押出成形性、熱分解性、生産性の観点から、0.2〜20当量/tonが好ましい。より好ましくは0.3〜12当量/ton、最も好ましくは0.4〜6当量/tonである。
【0042】
本発明に用いられるポリイミド(B)中に含まれるアミノ末端基量は、粗大異物低減の観点から好ましくは0.2〜15当量/ton、より好ましくは2〜13当量/ton、最も好ましくは3〜11当量/tonである。
【0043】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのガラス転移温度(Tg)は単一であることが好ましい。本発明でいうガラス転移温度は、示差走査熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS K7121に従って求めることができる。示差走査熱分析による方法のみで判定しにくい場合には、動的粘弾性測定あるいは顕微鏡観察などの形態学的方法を併用しても良い。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を判定する場合は、温度変調法や高感度法を使用することも有効である。
【0044】
本発明で用いられるポリエステル(A)中に含まれるジエチレングリコールの量は、粗大異物低減などの観点から、5重量%以下が好ましい。より好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
【0045】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、磁気記録材料、コンデンサー、熱転写リボン、感熱孔版印刷原紙用途などに好ましく用いることが出来る。
【0046】
次いで、本発明のフィルムを製造するための樹脂組成物を製造する方法について説明するが、本発明は、下記の製造方法に限定されないことは無論である。
【0047】
本発明で用いる2種のポリマーを効率よく相溶化させるためには、ポリエステル(A)とポリイミド(B)の重量分率(A/B)を10/90〜90/10にして混合することが好ましい。重量分率を30/70〜70/30に設定するのがより好ましく、40/60〜60/40が最も好ましい。このような好ましい重量分率にて溶融混練を行った場合、粗大異物数が激減し、高品質の二軸配向フィルムが得られやすいからである。
【0048】
また、ポリエステル(A)の重量分率が70%を越える樹脂組成物中には粗大分散物が残存し易く、粗大異物が増加して本発明のポリエステルフィルムが得られにくくなる傾向があるので、この場合、一度ポリエステル(A)とポリイミド(B)の重量分率(A/B)が10/90〜70/30のペレットを作成し、得られた樹脂組成物をポリエステル(A)と共に再度溶融混練し、ポリエステル(A)の重量分率が70%を越える二軸配向フィルムを得る方法が好ましい。
【0049】
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法の具体例について説明するが、以下の記述に限定されないことは無論である。
【0050】
ポリエステル(A)として通常の方法により得られたポリエチレンテレフタレート(PET)のペレット(固有粘度=0.62dl/g)を用い、このPETペレットとポリイミド(B)のペレットまたは粉末を、所定の割合で混合して、270〜300℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して溶融押出しを行いペレット化してポリイミド含有ペレット(a)を得る。このときの剪断速度は50〜300sec-1が好ましく、より好ましくは100〜200sec-1、滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件である。
【0051】
一方、高電気伝導性ペレットの作成には、以下の様な製造方法が好ましく用いられる。まず、テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部に、酢酸マグネシウム0.1重量部と酢酸リチウム0.1重量部を触媒として添加し、常法によってエステル交換反応を行う。その生成物に酢酸マグネシウム0.7重量部と三酸化アンチモン0.04重量部とエチレングリコール3重量部のスラリを添加し、8〜12分後にトリメチルホスフェート0.3重量部とエチレングリコール3重量部の溶液を添加する。反応生成物を重縮合缶に移行し、1〜4時間重合し、固有粘度が0.61〜0.63dl/gとなった時点で口金から吐出して、ポリマーを冷却後にカットして、高電気伝導性ペレット(b)を得る。
【0052】
得られたポリイミド含有ペレット(a)と、0.62〜0.65dl/gの固有粘度を有するPETペレットと、高高電気伝導性ペレット(b)とを、溶融比抵抗が1×107〜1×1010Ω・cm、固有粘度が0.5〜0.8dl/gとなるような比率で配合し、ブレンダーにてペレット状態のままドライブレンドし、180℃で3時間以上真空乾燥した後、押出機に投入し、280〜320℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター内を通過させた後、Tダイよりシート状に吐出する。さらに、このシートを表面温度25〜30℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態のフィルムを得る。
【0053】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができるが、厚みむらが本発明の範囲内になるよう、最適な延伸条件を適用することが好ましい。最適な条件で延伸するためには、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)〜(Tg+50℃)の範囲で延伸することが好ましい。
【0054】
ここでは、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてステンターにより横延伸を行う(TD延伸)という二軸延伸方法について説明する。
【0055】
まず、未延伸フィルムを(Tg)〜(Tg+50)(℃)の範囲、さらに好ましくは(Tg)〜(Tg+30)(℃)の範囲にある加熱ロール群で加熱し、長手方向に1.1〜5.0倍、好ましくは1.5〜4.0倍、さらに好ましくは2.0〜3.5倍に延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却するという方法でMD延伸を行う。次に、ステンターを用いて、幅方向の延伸を行う。その延伸倍率は2.0〜6.0倍、好ましくは3.0〜5.5倍、さらに好ましくは4.0〜5.0倍、温度は(Tg)〜(Tg+50)(℃)の範囲、さらに好ましくは(Tg)〜(Tg+30)(℃)の範囲で行う(TD延伸)。必要に応じて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら、150〜250℃、好ましくは170〜240℃、さらに好ましくは160〜220℃の範囲で熱処理する。
【0056】
その後、室温に冷却後、フィルムエッジを除去し、本発明の二軸延伸フィルムを得ることができる。
【0057】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)厚みむら
アンリツ製フィルムシックネステスタKG601A及び電子マイクロメータK306Cを用い、フィルム長手方向に10m長、30mm幅でサンプリングしたフィルムについて、フィルム長手方向に沿って連続的に厚みを測定し、その最大値Ta、最小値Tb、平均値Tcから次式により算出した。
厚みむら=[(Ta−Tb)/Tc]×100
【0058】
(2)溶融比抵抗
一対の電極を挿入した容器内に、被測定物質(フィルム)を入れる。この容器を加熱体中に浸す。被測定物質を窒素ガス雰囲気下280℃で溶融貯留し、直流高圧発生装置から電圧を印可する。この時の電流計および電圧計の指示値及び電極面積、電極間距離により、次式に従い溶融比抵抗(p)を求めた。
p=V×S/(I×D)
p:溶融比抵抗(Ω・cm)
V:印可電圧 (V)
S:電極の面積(cm2
I:測定電流 (A)
D:電極間距離(cm)
【0059】
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式により固有粘度[η]を計算して求めた。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1 であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
【0060】
(4)フィルム中の金属含有量
蛍光X線により、ゲルマニウム、アンチモン、チタン、マグネシウム各元素量の強度をそれぞれの標準物質から得られた検量線と比較して定量した。
(5)カルボキシル末端基量
ポリマーをオルトクロロクレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に90〜100℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。
【0061】
(6)アミノ末端基量
ポリマー1gを100ml用ビーカーに精秤し、クロロホルム/メタノール/フェノール混合溶媒に溶解させる。その後、少量の水を加えて撹拌しながら0.1mol−HClで電位差滴定を行い定量した。
自動滴定装置:三菱化学製GT−05型
使用電極 :ガラス電極・参照電極。
【0062】
(7)ジエチレングリコール量
試料をアミノ分解した後、ガスクロマトグラフィーを用いてジエチレングリコールの定量を行った。
【0063】
【実施例】
本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。
【0064】
実施例1
通常の方法により得られた固有粘度0.85dl/gのPETのペレット(50重量%)とポリエーテルイミド(固有粘度=0.68dl/g、カルボキシル末端基量=5.0当量/ton、アミノ末端基量=0.4当量/ton(GEプラスチックス株式会社製、登録商標:ウルテム1010))(50重量%)とを、同方向回転型二軸混練押出機(東芝機械株式会社製、TEM−35B)を用いて、押出温度300℃、剪断速度150秒-1、滞留時間3.5分の条件下で溶融混練後、吐出して水冷後ペレタイズしてポリエーテルイミド(PEI)を50重量%含有したPET系混合ペレット(a)を得た。
【0065】
一方、高電気伝導性ペレットは、以下の方法にて製造した。まず、テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部に、酢酸マグネシウム0.1重量部と酢酸リチウム0.1重量部を触媒として添加し、常法によってエステル交換反応を行う。その生成物に酢酸マグネシウム0.8重量部と三酸化アンチモン0.04重量部とエチレングリコール3重量部のスラリを添加し、10分後トリメチルホスフェート0.3重量部とエチレングリコール3重量部の溶液を添加する。反応生成物を重縮合缶に移行し、3時間重合し、口金から吐出して、ポリマーを冷却後カットして、高電気伝導性ペレット(b)を得た。
【0066】
得られた混合ペレット(a)20重量%と常法により得られた固有粘度0.65のPETペレット75重量%と、高電気伝導性ペレット(b)(Mg含有量:900ppmのPETペレット)5重量%とをドライブレンドし、180℃で3時間乾燥した。該混合ペレットを、単軸押出機(φ=90mm、L/D=28)に投入し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(1.2μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。該シートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、10kVの電圧で静電印加法を用いながらドラフト比10で20m/分の速度で密着固化させ急冷し、実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムの溶融比抵抗は7×107Ω・cm、固有粘度は0.61dl/gであり、厚みむらは2%であった。
【0067】
続いて、未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、105℃の温度で3.4倍延伸(MD延伸)し、続いて、ステンターを用いて100℃の温度で3.65倍延伸(TD延伸)を行い、190℃で熱処理を行い、室温に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0068】
得られたフィルムは延伸による厚みむらの悪化が少なく、厚みむらは8%と厚み精度に優れたフィルムであった。
【0069】
実施例2
各成分の混合比率を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムの溶融比抵抗は1×108Ω・cm、固有粘度は0.63dl/gであり、厚みむらは2%であった。
【0070】
続いて、未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、110℃の温度で3.4倍延伸(MD延伸)し、続いて、ステンターを用いて105℃の温度で3.65倍延伸(TD延伸)を行い、190℃で熱処理を行い、室温に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ10μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0071】
得られたフィルムは延伸による厚みむらの悪化が少なく、厚みむらは9%と厚み精度に優れた二軸延伸フィルムであった。
【0072】
実施例3
ポリイミド(B)として固有粘度1.20dl/gのポリエーテルイミドを用いた以外は、実施例1と同様に製膜を行った。得られたフィルムの溶融比抵抗、および固有粘度が本発明の範囲内であったため、厚み精度に優れた二軸延伸フィルムであった。
【0073】
実施例4
ポリエステル(A)としてポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)(固有粘度:0.65dl/g)を用いた以外は、実施例1と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの溶融比抵抗、および固有粘度が本発明の範囲内であったため、厚み精度に優れた二軸延伸フィルムであった。
【0074】
実施例5
高電気伝導性ペレットの成分として、マンガン(Mn)を750ppm含有するPETペレットを使用した以外は、実施例1と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの溶融比抵抗、および固有粘度が本発明の範囲内であったため、厚み精度に優れた二軸延伸フィルムであった。
【0075】
実施例6
実施例1と同様の方法にて、未延伸フィルムを得た。
【0076】
続いて、未延伸フィルムを、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して115℃で縦方向に3.5倍延伸(MD延伸1)し、続いてステンターにより110℃で3.7倍の横延伸(TD延伸1)を行い、さらにロール縦延伸機を用い145℃で1.65倍の再縦延伸(MD延伸2)後、ステンターにより190℃で1.4倍の再横延伸(TD延伸2)を行った。その後、200℃で熱処理を行い、室温に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ6.9μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの厚みムラは3%と、厚み精度に優れたフィルムであった。
【0077】
実施例7,8
本実施例ではポリエーテルイミド“ウルテム”以外の下記ポリイミドa,bを使用して作成した二軸配向ポリエステルフィルムの例を示す。
(1)ポリイミドa
イソホロンジイソシアネート200gを窒素雰囲気下でN−メチルー2−ピロリドン(NMP)3000ml中に添加し攪拌する。次いで、この溶液に無水ピロメリット酸196gを室温で添加した後、徐々に昇温する。その後、180℃で6時間加熱すると、二酸化炭素の発生が終了したので加熱を止めた。このポリマー溶液を水中に展開して洗浄した後、ここで得られたポリマーを乾燥しポリイミドaを得た。
(2)ポリイミドb
窒素気流下にて、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147g(0.5mol)をN−メチル−2−ピロリドン300gに投入した。この溶液に、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン57g(0.5mol)をNMP17.6gに溶解したものを滴下し、室温で2時間、さらに50℃で4時間攪拌しポリアミド酸溶液を得た。この溶液を冷却後、水500mlに投入し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾取し、窒素中、250℃で2時間熱処理し、目的のポリイミドbを得た。
【0078】
ここで得たポリイミドa,bをポリエーテルイミド“ウルテム”の代わりに使用した以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚さ10μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、実施例7はポリイミドaを10重量%添加したフィルムであり、実施例8はポリイミドbを10重量%添加したフィルムである。
【0079】
この二軸配向ポリエステルフィルムの組成・特性等は、表1、表2に示したとおりであり、厚みムラの少ない厚み精度に優れたフィルムが得られた。
【0080】
比較例1
高電気伝導性ペレットを使用しなかった以外は、実施例1と同様に製膜を行った。得られたフィルムの溶融比抵抗は1×1011Ω・cmと本発明の範囲外であったため、厚み精度に劣ったフィルムしか得られなかった。
【0081】
比較例2
ポリエステル(A)として固有粘度1.4dl/gのPETペレットを用い、ポリイミド(B)として固有粘度1.20dl/gのポリエーテルイミドを用いた以外は、実施例1と同様にして製膜を行った。得られたフィルムの溶融比抵抗は5×108Ω・cmであるが、固有粘度が0.9dl/gと本発明の範囲外であったため、厚み精度に劣ったフィルムしか得られなかった。
【0082】
比較例3、4
ポリエステル(A)とポリイミド(B)と高電気伝導性ペレット(b)の混合比率を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様に製膜を行った。得られたフィルムは本発明の特性を満足せず、厚みむらに劣ったフィルムであった。
【0083】
【表1】
Figure 0004899281
【0084】
【表2】
Figure 0004899281
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステルとポリイミドとからなるフィルムであって、かつ、耐熱性と厚み精度に優れた二軸配向ポリエステルフィルムとすることができる。従って、本発明のフィルムは、磁気テープのベースフィルムやコンデンサー用途など、特に厚み精度が必要とされる用途に好ましく用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリエステル(A)とポリイミド(B)とからなるポリエステルフィルムであって、厚みむらが0〜15%、溶融比抵抗が1×107〜1×1010Ω・cm、フィルム中に含まれる金属の含有量が5〜500ppm、フィルム中に含有される金属化合物とリン化合物とのモル比(M/P)が0.05≦M/P≦3、かつ、固有粘度が0.5〜0.8dl/gであることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. ポリイミド(B)がポリエーテルイミドである請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. ポリイミド(B)の含有量が1〜40重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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