JP2014177554A - 複合樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリイミド樹脂又はその前駆体であるポリアミド酸樹脂及び(B)平均粒子径500nm以下であり、かつ、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種のマグネシウム成分と有機成分とを含むマグネシウム系微粒子を含むことを特徴とする複合樹脂組成物に係る。
【選択図】なし
Description
1. (A)ポリイミド樹脂又はその前駆体であるポリアミド酸樹脂及び(B)平均粒子径500nm以下であり、かつ、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種のマグネシウム成分と有機成分とを含むマグネシウム系微粒子を含むことを特徴とする複合樹脂組成物。
2. 有機成分として2個以上のヒドロキシル基を有する化合物が含まれる、前記項1に記載の複合樹脂組成物。
3. ポリイミド樹脂が、下記一般式(1):
4. マグネシウム系微粒子が、前記有機成分を0.2〜20重量%含有する、前記項1に記載の複合樹脂組成物。
5. マグネシウム系微粒子が複合樹脂組成物中1〜30重量%含まれる、前記項1に記載の複合樹脂組成物。
6. ポリアミド酸樹脂が、下記一般式(2):
7. さらに有機溶剤を含有し、その性状がワニス状である、前記項1に記載の複合樹脂組成物。
8. 前記項1に記載の複合樹脂組成物から得られるポリイミド系成形体。
9. フィルム状の形態である、前記項8に記載のポリイミド系成形体。
10. ポリイミド系成形体が、1)線膨張係数50ppm/K以下、2)全光線透過率85%以上及び3)ガラス転移温度300℃以上の少なくとも1つの特性を有する、前記項8に記載のポリイミド系成形体。
11. 前記項8に記載のポリイミド系成形体からなる絶縁性基板。
12. 前記項11に記載の絶縁性基板を備えた電子デバイス。
13. 前記項1に記載の複合樹脂組成物を含む耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材。
本発明の複合樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂又はその前駆体であるポリアミド酸樹脂及び(B)平均粒子径500nm以下であり、かつ、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種のマグネシウム成分を含むマグネシウム系微粒子を含むことを特徴とする。
ポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂としては、特に限定されず、公知又は市販のものを使用することもできる。
ポリイミド樹脂を製造するための出発原料であるテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物は特に限定されず、次に示すようなものを使用することができる。
テトラカルボン酸二無水物としては特に限定されず、公知又は市販のものを使用することもできる。例えば、脂環族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。より具体的には、以下のものが例示される。
ジアミン化合物としては特に限定されず、公知又は市販のものも使用することができる。例えば、脂環族ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。より具体的には、以下のものが例示される。
上記のような出発原料を反応させることによりポリイミド樹脂(又はポリアミド酸樹脂)を製造する。
本発明では、以下に示すようなポリイミド樹脂(又はポリアミド酸樹脂)を好適に採用することができる。すなわち、上記に示したような出発原料で特定の化合物を選択することによって、所望の物性を有するポリイミド樹脂(又はポリアミド酸樹脂)を製造することができる。特に、本発明では、透明性等の見地より、ポリイミド樹脂として下記一般式(1):
ポリイミド樹脂Aは、BCODAと脂環族ジアミン化合物とを出発原料として用いることにより製造することができる。より具体的には、モル比でBCODA100に対して脂環族ジアミン化合物90〜110の範囲でイミド化重合反応させて溶剤可溶性ポリイミド樹脂Aを製造することができる。溶剤可溶性ポリイミド樹脂Aは、低熱膨張係数であり、無色透明性及び耐熱性に優れた溶剤可溶性ポリイミド樹脂である。例えば、ポリイミド樹脂Aの成形体からなるプラスチック基板は、電気部品、電子部品等に使用できる。また、ポリイミド樹脂Aは、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材にも使用できる。かかる特性をより確実に得るという見地より、脂環族ジアミン化合物として、下記に示す化合物を好適に使用することができる。
ポリイミド樹脂Bは、BCODAと脂環族ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物とを出発原料として用いることにより製造することができる。より具体的には、脂環族ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物のモル比が80〜20:20〜80の範囲であり、かつ、モル比でBCODA100に対して、前記ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲でイミド化重合反応させることにより溶剤可溶性ポリイミド樹脂Bを製造することができる。溶剤可溶性ポリイミド樹脂Bは、無色透明性及び耐熱性に優れ、低線膨張係数である溶剤可溶性ポリイミド樹脂である。ポリイミド樹脂Bの成形体からなるプラスチック基板は電気部品、電子部品等に使用できる。また、ポリイミド樹脂Bは、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材等に使用できる。かかる特性をより確実に得るという見地より、脂環族ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物として、下記に示す化合物をそれぞれ好適に使用することができる。
ポリイミド樹脂Cは、BCODAと1,4−ジアミノシクロヘキサン及び芳香族ジアミン化合物とを出発原料として用いることにより製造することができる。より具体的には、BCODAと、1,4−ジアミノシクロヘキサン及び芳香族ジアミン化合物とを、1,4−ジアミノシクロヘキサンと芳香族ジアミン化合物のモル比が10〜50:90〜50の範囲であり、かつ、モル比でBCODA100に対して、前記1,4−ジアミノシクロヘキサン及び芳香族ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲でイミド化重合反応させることによってポリイミド樹脂Cを製造することができる。また、上記の出発原料を用いて共重合反応させることによって、ポリイミド樹脂Cの前駆体に相当するポリアミド酸樹脂Cを製造することもできる。ポリイミド樹脂Cは、高透明性であり、耐熱性に優れる上、低線膨張係数であるポリイミド樹脂である。ポリイミド樹脂Cの成形体からなるプラスチック基板は、電気部品、電子部品等に使用できる。また、ポリイミド樹脂Cは、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材等にも使用できる。かかる特性をより確実に得るという見地より、芳香族ジアミン化合物として、下記に示す化合物を好適に使用することができる。
ポリイミド樹脂Eは、BCODAと芳香族ジアミン化合物とを出発原料として用いることにより製造することができる。より具体的には、BCODAと芳香族ジアミン化合物とを、モル比で該テトラカルボン酸二無水物100に対して、該ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲でイミド化重合反応することによってポリイミド樹脂Eを製造することができる。また、上記の出発原料を用いて共重合反応させることによって、ポリイミド樹脂Eの前駆体に相当するポリアミド酸樹脂Eを製造することもできる。ポリイミド樹脂Eは、高透明性、耐熱性及び低線膨張係数に優れたポリイミド樹脂である。ポリイミド樹脂Eの成形体からなるプラスチック基板は、電気部品、電子部品等に使用できる。また、ポリイミド樹脂Eは、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材等にも使用できる。かかる特性をより確実に得るという見地より、芳香族ジアミン化合物として、下記に示す化合物を好適に使用することができる。
マグネシウム系微粒子(粉末)としては、平均粒子径500nm以下であり、かつ、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種のマグネシウム成分と有機成分とを含むものを使用する。このようなマグネシウム系微粒子は、公知又は市販のものを使用することもできる。
(1)a)酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種のマグネシウム成分と、b)有機成分とを含有し、
(2)前記有機成分が2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を含み、
(3)前記有機成分の含有量が0.2〜20重量%である、
ことを特徴とするマグネシウム系微粒子(本発明微粒子)を好適に用いることができる。以下、本発明微粒子とその製造方法について説明する。
本発明微粒子の平均粒子径は、通常500nm以下であり、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。さらには、最大粒子径が100nm以下であることが好ましい。
本発明微粒子は、例えば1)マグネシウム塩、2)塩基ならびに3)2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を液相中で反応させることにより反応生成物を得る工程を含む製造方法によって好適に製造することができる。
(A)出発原料を同時に液相中に添加して反応させる方法、
(B)1)マグネシウム塩、2)塩基ならびに3)2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の少なくとも1種をそれぞれ有機溶剤に溶解又は分散させて得られた各原料液を混合することにより反応させる方法、
(C)1)マグネシウム塩を有機溶剤に溶解又は分散させて得られた原料液と2)塩基及び3)2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を有機溶媒に溶解又は分散させて得られた原料液とを混合することにより反応させる方法
等のいずれであっても良い。
本発明の複合樹脂組成物では、上記のポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂及びマグネシウム系微粒子のほかに、本発明の効果を妨げない範囲内で他の成分が含まれていても良い。例えば、フィラー、着色剤、分散剤、導電助剤、帯電防止材、防腐剤、溶剤等の公知の樹脂組成物に充填されている添加剤を使用することができる。
本発明の複合樹脂組成物は、上記のような各成分を均一に混合することによって製造することができる。この場合、添加する順序は特に限定されず、同時に添加しても良いし、各成分を適宜順番に添加しても良い。混合は、例えばミキサー、ニーダー等の公知又は市販の装置を用いて実施することができる。
本発明の複合樹脂組成物は、粉末状等の固体あるいはワニス状等の液体のいずれの形態であっても良く、用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、塗膜等を形成するためにワニス状(液体)で本発明組成物を使用する場合は、有機溶剤を含有させることによりワニス状の複合樹脂組成物(ワニス状組成物)を調製することができる。本発明のワニス状組成物は、特に貯蔵安定性に優れ、種々の用途に使用される。
本発明の複合樹脂組成物を用いて成形体を製造する場合、公知の成形方法に従って所望の形状を有するポリイミド系成形体を得ることができる。例えば、前記のワニス状組成物を成形することによりフィルム状成形体を好適に製造することができる。この場合の成形方法としては、特に制限なく、公知の方法も使用できる。例えば、ワニス状組成物の塗膜を基板上に形成した後、塗膜から有機溶媒(溶剤)を除去する工程を含む製造方法により、フィルム状成形体を得ることができる。より具体的には、例えばPET基板(ポリエチレンテレフタレート基板)上にワニス状組成物をキャストし、真空乾燥機内(減圧度1〜10mmHg)で室温にて30分〜2時間かけて乾燥した後、さらに約200℃まで30分〜2時間で昇温し、その温度で1〜4時間溶剤を留去させる。室温まで冷却した後、真空乾燥機からPET基板上に形成されたフィルム状成形体を取出し、PET基板から剥離する。剥離したフィルム状成形体をステンレス鋼製の金属枠に固定し、再び真空乾燥機中にて室温から230〜280℃まで1〜4時間で昇温し、その温度で2〜5時間乾燥し、溶剤を完全に留去し、室温まで冷却後、真空乾燥機から取り出すことによってフィルム状成形体を得ることができる。このように得られたフィルム状成形体の厚みは、キャスト時の塗工厚みを調整することにより目的の厚さに調整することができる。
また、本発明は、本発明の複合樹脂組成物を含む耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材の耐熱性材料も包含する。これらは、例えば前記のワニス状組成物をそのまま又は他の添加剤を配合することにより提供される。この場合、耐熱性材料は、液体又は固体のいずれの形態で提供されても良い。これらは、公知の耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材に含まれる樹脂成分等に代えて本発明の複合樹脂組成物を適用することにより使用することができる。
[テトラカルボン酸二無水物]
・BCODA:ビシクロ[4.2.0]オクタン−3,4,7,8−テトラカルボン酸二無水物
[ジアミン化合物]
・HDAM:4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
・DPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
[反応溶媒]
・NMP :N−メチル−2−ピロリドン
微粒子の有機成分含有量Cを式(1)に従って算出した。
式(1) C=A−[B(100−A)/(100−B)]
A:100〜600℃での微粒子の重量%減(下記条件で測定)
B:30.9%(水酸化マグネシウムが酸化マグネシウムに熱変換した際に生じる脱水の重量%減)
C:有機成分含有量(%)
[測定条件]
装置 :SIIナノテクノロジー株式会社製 TG/DTA6200
測定温度:50〜600℃
昇温速度:10℃/min
測定雰囲気:窒素200mL/min
透過型電子顕微鏡(TEM)測定にて20個以上の粒子を計測し、その平均値を求めた。
ポリアミド酸樹脂のNMP溶液(ポリアミド酸ワニス)又はポリイミド樹脂のNMP溶液(ポリイミド樹脂ワニス)約1gをN,N−ジメチルホルムアミド約30mlで希釈して、分子量測定用の試料溶液を調製する。ゲルパーミエーションクロマトクラフィー(GPC)を用いて下記の測定条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
[測定条件]
装置:東ソー株式会社製 EcoSEC HLC−8320GPC
カラム:東ソー株式会社製 SuperH−Hを1本とSuperHM−Mを3本直列に連結
カラム温度:40℃
溶離液:(5.15mmol/L−臭化リチウム+5.10mmol/L−リン酸)/N,N−ジメチルホルムアミド
流速:0.5mL/min
検出器:RI
JIS K7197(1991年)に準拠し、ポリイミドフィルム(40μm)を順風乾燥機内で300℃×30分間加熱して応力緩和処理を行った。このフィルムから切り取った4.0×10.0mmをエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100を用いて100〜150℃の範囲を窒素流量200ml/min、昇温速度10℃/minの条件で測定し、その測定値の平均値を線膨張係数とした。
JIS K7361−1(1997年)に準拠し、ポリイミドフィルム(40μm)を株式会社東洋精機製作所製HAZE−GUARDIIを用いて、D65光源を使用したシングルビーム法により測定した。
動的粘弾性測定装置RHEOGEL−E4000(ユーピーエム社製)を用いて、下記の測定条件下、ポリイミド系成形体のtanδを測定した。そのtanδの極大値をガラス転移温度(℃)とした。
測定条件;
測定モード:引張モード
正弦波:10Hz
昇温速度:5℃/min
空気流速:10L/min
ポリイミド系成形体の「弾性率」、「強度」及び「伸び」は、インストロン製の万能材料試験機5565を用いて、JIS K−7161(1994年)に準拠して測定した。
BCODAは特許文献US3423431を参考に製造した。より具体的には、内容積1500ml内部照射型パイレックス(登録商標)ガラス製五つ口反応フラスコに無水マレイン酸95.0g(969mmol)と1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物192.0g(1262mmol)及び酢酸n−ブチル1200gを仕込み、反応器外壁をアルミ箔で被いながら室温で撹拌溶解させた。さらに窒素ガスを用いて15分間バブリングし、反応容器中の酸素を除いた。続いて、撹拌しながら反応容器を20℃に冷却し、フラスコ中央部の光源冷却管中の400W高圧水銀ランプを用いて光照射を24時間続けた。反応終了後、析出した結晶を濾過により回収し、その結晶を酢酸n−ブチル60gで洗浄し、ついで乾燥することによりBCODA結晶59.9g(239mmol、収率25%)を得た。
撹拌機、窒素導入管を備えた5Lの4つ口フラスコに塩基としてナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液617g(3.2mol)、有機成分としてグリセリンを147g(1.6mol)加え、室温にて1時間撹拌して溶液Aを作成した。酢酸マグネシウム・四水和物343g(1.6mol)をメタノール1700gに溶解させた溶液Bを別途作成し、撹拌しながら溶液Bを溶液Aに加え、室温にて20時間反応した。析出した白色沈殿物を遠心分離器にて得た後、メタノール2Lに撹拌しながら加え再分散させた。遠心分離器にて白色沈殿物を得た後、アセトン2Lにて撹拌しながら加え再分散させた。遠心分離にて白色沈殿物を得た後、大気下80℃で30分間乾燥してマグネシウム系微粒子89g(1.5mol、収率95%)を得た。得られた微粒子はX線回折分析にて水酸化マグネシウムを含むことを確認した(図1)。前記微粒子の粒子径は51nmであった。また、前記微粒子の有機成分含有量は1.9%であった。
塩基をナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液1542g(8.0mol)に、有機成分として乳酸144g(1.6mol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でマグネシウム系微粒子89g(1.5mol、収率95%)を調製した。得られた微粒子はX線回折分析にて水酸化マグネシウムを含むことを確認した(図3)。前記微粒子の粒子径は70nmであった。また、前記微粒子の有機成分含有量は0.1%であった。
温度計、撹拌機、窒素導入管、分液デカンタ及び、冷却管を備えた200mLの4つ口フラスコにBCODA13.01g(52mmol)、ジアミン化合物としてHDAM5.47g(26mmol)とDPE5.21g(26mmol)、反応溶媒としてNMP114.8g、共沸溶剤としてキシレン12.8gを仕込み、反応系内を窒素置換した後、窒素気流下、180℃で攪拌し、生成水を系外に除去しながら5時間脱水イミド化重合反応を行った。反応後、樹脂濃度が15重量%になるようにNMPを追加し、ポリイミド樹脂のNMP溶液(ポリイミドワニス)を得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量はMwが81000、Mnが13000であった。
撹拌機を備え付けた200mL三角フラスコにジアミンとしてDPE10.41g(52mmol)とNMP132.7gを加え15分間撹拌した後に、BCODA13.01g(52mmol)を加えてから終夜撹拌してポリアミド酸ワニスを得た。得られたポリアミド酸ワニスの平均分子量はMwが141000、Mnが57000であった。
製造例4に記載のポリイミドワニス100gに製造例2に記載の水酸化マグネシウム微粒子1.67g(ポリイミド樹脂に対して水酸化マグネシウムが10wt%)を加え、吉田機械興業製の高圧分散装置「ナノヴェイタNV−200」を用いて200MPaの圧力下で10パス分散化を行った。このようにしてワニス状の複合樹脂組成物を調製した。
得られたワニス状複合樹脂組成物を用い、ガラス基板上にバーコーターを用いて乾燥膜厚が40μmとなるよう塗布し、真空乾燥機内で真空下(減圧度10mmHg以下)、300℃×1時間乾燥し、室温へ冷却後、ガラス基板より剥離させ、ポリイミド系成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド系成形体(複合化フィルム)の線膨張係数、全光線透過率、ヘイズ、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。なお、得られたポリイミドフィルムをX線回折分析したところ、ポリイミドフィルム中の水酸化マグネシウムの一部が酸化マグネシウムに変換されていることが確認された(図2)。
製造例5に記載のポリアミド酸ワニス100gに製造例2に記載の水酸化マグネシウム微粒子1.67gを加え、吉田機械興業製の高圧分散装置「ナノヴェイタNV−200」を用いて200MPaの圧力下で10パス分散化を行った。このようにしてワニス状の複合樹脂組成物を調製した。
得られたワニス状複合樹脂組成物を用い、ガラス基板上にバーコーターを用いて乾燥膜厚が40μmとなるよう塗布し、真空乾燥機内で真空下(減圧度10mmHg以下)、300℃×1時間乾燥し、室温へ冷却後、ガラス基板より剥離させ、ポリイミド系成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド系成形体(複合化フィルム)の線膨張係数、全光線透過率、ヘイズ、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。
製造例4で得られたポリイミドワニスを、ガラス基板上にバーコーターを用いて、乾燥膜厚が40μmとなるよう塗布し、真空乾燥機内で真空下(減圧度10mmHg以下)、300℃×1時間乾燥し、室温へ冷却後、ガラス基板より剥離させ、ポリイミド系成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド系成形体の線膨張係数、全光線透過率、ヘイズ、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。
製造例5で得られたポリアミド酸ワニスを、ガラス基板上にバーコーターを用いて、乾燥膜厚が40μmとなるよう塗布し、真空乾燥機内で真空下(減圧度10mmHg以下)、300℃×1時間乾燥し、室温へ冷却後、ガラス基板より剥離させ、ポリイミド系成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド系成形体の線膨張係数、全光線透過率、ヘイズ、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。
水酸化マグネシウム微粒子を製造例3に記載のものに変更した以外は実施例2と同様の方法でワニス状の複合樹脂組成物を得た。
得られたワニス状の複合樹脂組成物を、ガラス基板上にバーコーターを用いて、乾燥膜厚が40μmとなるよう塗布し、真空乾燥機内で真空下(減圧度10mmHg以下)、300℃×1時間乾燥し、室温へ冷却後、ガラス基板より剥離させ、ポリイミド系成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド系成形体(複合化フィルム)の線膨張係数、全光線透過率、ヘイズ、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。
Claims (13)
- (A)ポリイミド樹脂又はその前駆体であるポリアミド酸樹脂及び(B)平均粒子径500nm以下であり、かつ、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも1種のマグネシウム成分と有機成分とを含むマグネシウム系微粒子を含むことを特徴とする複合樹脂組成物。
- 有機成分として2個以上のヒドロキシル基を有する化合物が含まれる、請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- ポリイミド樹脂が、下記一般式(1):
- マグネシウム系微粒子が、前記有機成分を0.2〜20重量%含有する、請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- マグネシウム系微粒子が複合樹脂組成物中1〜30重量%含まれる、請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- ポリアミド酸樹脂が、下記一般式(2):
- さらに有機溶剤を含有し、その性状がワニス状である、請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- 請求項1に記載の複合樹脂組成物から得られるポリイミド系成形体。
- フィルム状の形態である、請求項8に記載のポリイミド系成形体。
- ポリイミド系成形体が、1)線膨張係数50ppm/K以下、2)全光線透過率85%以上及び3)ガラス転移温度300℃以上の少なくとも1つの特性を有する、請求項8に記載のポリイミド系成形体。
- 請求項8に記載のポリイミド系成形体からなる絶縁性基板。
- 請求項11に記載の絶縁性基板を備えた電子デバイス。
- 請求項1に記載の複合樹脂組成物を含む耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材。
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