JP2015134842A - 溶剤可溶性ポリイミド樹脂 - Google Patents

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明伸 竹上
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祥二 廣
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Abstract

【課題】本発明は、無色透明性に優れた溶剤可溶性のポリイミド樹脂を提供すること。【解決手段】ビシクロ[4.2.0]オクタン−3,4,7,8−テトラカルボン酸二無水物、脂環式ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物とを、脂環式ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物のモル比が、80〜20:20〜80の範囲、且つ、モル比で該テトラカルボン酸二無水物100に対して、該ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲でイミド化重合反応して得られるポリイミド樹脂を使用すること。【選択図】なし

Description

本発明は、溶剤可溶性ポリイミド樹脂に関する。
従来、ポリイミド樹脂は耐熱性や強度、電気絶縁性に優れることから電子材料用樹脂として多く使用されてきた。しかしながら、一般的なポリイミド樹脂は着色が強い為、用途に限界があった。
そこで、ポリイミド樹脂の色相改善の研究が行われ、ポリイミド樹脂原料にフッ素化合物を用いる手法が発見されている(非特許文献1)。しかしながら、フッ素原子を有するポリイミド樹脂原料は製造方法が難しく、高価である為に非経済的であった。
ポリイミド樹脂の色相改善についての別の手法として、ポリイミド樹脂原料に脂肪族または脂環式化合物を用いる研究が行われてきた。特に脂環式酸二無水物を用いる場合が色相改善に大きな効果があることが見出されてきた(非特許文献2)。
また、ポリイミド成型品はその前駆体化合物であるポリアミド酸を熱イミド化反応して作成することが一般的に知られているが、その際に必要な温度は300℃以上と高温であり、製造工程上使用できない用途も出てきた。特に、脂環式酸二無水物を用いたポリアミド酸の場合、高温により熱分解が生じやすく、また、ポリイミド樹脂が着色する傾向があった。その為、熱イミド化反応を必要としない溶剤可溶性の脂環ポリイミド樹脂の開発が望まれている。
「躍進するポリイミドの最新動向IV −多様化する種類・特性・加工性と用途拡大の実態− 発行11周年記念 特集版」 2008年3月発行 発行 住ベリサーチ株式会社 P.39 「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」 2002年1月28日初版第1刷発行 編者 日本ポリイミド研究会 編著 今井淑夫、横田力男 発行者 吉田隆 発行所 株式会社 エヌ・ティー・エス P.241〜242
本発明は、無色透明性に優れた溶剤可溶性のポリイミド樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、特定のテトラカルボン酸二酸無水物、特定の脂環式ジアミン化合物と特定の芳香族ジアミン化合物を原料に用いることで、無色透明性に優れた溶剤可溶性のポリイミド樹脂が得られることを見出だし、更に鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のポリイミド樹脂を提供するものである。
[項1]
一般式(1)
で表わされるテトラカルボン酸二無水物と、
脂環式ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物とを、脂環式ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物のモル比が、80〜20:20〜80の範囲、且つ、モル比で該テトラカルボン酸二無水物100に対して、該ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲でイミド化重合反応して得られる溶剤可溶性ポリイミド樹脂。
[項2]
脂環式ジアミン化合物が、一般式(2)
のジアミン化合物で表される少なくとも1種である、項1に記載のポリイミド樹脂。
[項3]
芳香族ジアミン化合物が、一般式(3)
のジアミン化合物で表される少なくとも1種である、項1に記載のポリイミド樹脂。
[項4]
項1〜3のいずれかに記載のポリイミド樹脂及び有機溶剤を含有するポリイミドワニス。
[項5]
有機溶剤が、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれた1種以上の有機溶剤である、請求項4に記載のポリイミドワニス。
[項6]
項4又は5に記載のポリイミドワニスを成形加工して得られるポリイミド成形体。
[項7]
ポリイミド成形体が、膜状、フィルム状又はシート状の形態である、項6に記載のポリイミド成形体。
[項8]
ポリイミド成形体の線膨張係数が65ppm/K以下、全光線透過率が87%以上及びガラス転移温度が250℃以上である、項6又は7に記載のポリイミド成形体。
[項9]
項6〜8の何れかに記載のポリイミド成形体からなるプラスチック基板。
[項10]
項9に記載のプラスチック基板を備えた電気部品又は電子部品。
[項11]
項1〜3のいずれかに記載のポリイミド樹脂を使用した、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材。
本発明によれば、無色透明性に優れた溶剤可溶性のポリイミド樹脂を得ることができる。また、当該ポリイミド樹脂は、耐熱性に優れ、低線膨張係数であることから当該ポリイミド樹脂の成形体からなるプラスチック基板は、電気部品、電子部品に使用できる。
さらに、当該ポリイミド樹脂は、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材に使用できる。
[溶剤可溶性ポリイミド樹脂]
本発明の溶剤可溶性ポリイミド樹脂は、一般式(1)
で表されるテトラカルボン酸二無水物、
脂環式ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物とを、イミド化重合反応を行うことにより得られる。
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物は、上記一般式(1)で表される、ビシクロ[4.2.0]オクタン−3,4,7,8−テトラカルボン酸二無水物であり、本発明の溶剤可溶性ポリイミド樹脂の構成成分である。
一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の製造方法としては光二量化反応が推奨される。具体例としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物と無水マレイン酸の等モル量を、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒またはジオキサン等のエーテル系溶媒に溶解させて、高圧水銀ランプ等を用いて250〜400nmの光を照射することで当該テトラカルボン酸二無水物反応物を得ることができる。
テトラカルボン酸二無水物は、テトラカルボン酸、又はテトラカルボン酸のモノ、ジ、トリ又はテトラ酸塩化物、及び、炭素数1〜4の低級アルコールとのモノ、ジ、トリ又はテトラエステルなどの誘導体として使用することもできる。
テトラカルボン酸二無水物は、本発明の効果を奏する範囲で、テトラカルボン酸二無水物の一部を他のテトラカルボン酸二無水物に置き換えて使用することができる。他のテトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
具体的には、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’ ,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、 3,3’ ,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、 3,3’ ,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2−エチレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1.3−ジオン及びそれらの誘導体などが例示される。
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物及びそれらの誘導体などが例示される。
また、脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物及びそれらの誘導体などが例示される。
上記の他のテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上を適宜混合して当該イミド化重合反応に供することができる。
テトラカルボン酸二無水物の一部を上記の他のテトラカルボン酸二無水物に置き換えて使用する場合には、その使用量は全テトラカルボン酸二無水物のモル数に対して、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、特に5モル%以下が推奨される。
(脂環式ジアミン化合物)
脂環式ジアミン化合物は、本発明のポリイミド樹脂の構成成分である。脂環式ジアミン化合物は、特に制限はなく市販品や従来公知の製造方法により得られるものが使用できる。
脂環式ジアミン化合物の具体例としては、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルージアミノジシクロヘキシルメタン、テトラメチルージアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどが例示される。これらの中でも、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルージアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンが好ましい。特に好ましいジアミン化合物として、下記一般式(2)のジアミン化合物が挙げられる。これらの脂環式ジアミン化合物は、単独で使用してもよいし2種以上適宜混合して用いてもよい。
(芳香族ジアミン化合物)
芳香族ジアミン化合物は、本発明のポリイミド樹脂の構成成分である。芳香族ジアミン化合物は、特に制限はなく市販品や従来公知の製造方法により得られるものが使用できる。
芳香族ジアミン化合物の具体例としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、O−トリジン、m−トリジンなどが例示される。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテルが好ましい。特に好ましいジアミン化合物として、下記一般式(3)のジアミン化合物が挙げられる。これらの芳香族ジアミン化合物は、単独で使用してもよいし2種以上適宜混合して用いてもよい。
脂環式ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物のモル比は、80〜20:20〜80の範囲であり、好ましくは、75〜30:25〜70であり、特に、70〜40:30〜60が好ましい。
脂環式ジアミン化合物及び/又は芳香族ジアミン化合物は、本発明の効果を妨げない範囲で、その一部を脂肪族ジアミン化合物に置き換えて使用することができる。
脂肪族ジアミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミンなどが例示される。
上記の脂肪族ジアミン化合物は、単独で又は2種以上を適宜混合して当該イミド化重合反応に供することができる。
脂環式ジアミン化合物及び/又は芳香族ジアミン化合物の一部を上記の脂肪族ジアミン化合物に置き換えて使用する場合には、その使用量は全ジアミン化合物のモル数に対して、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、特に5モル%以下が推奨される。
本発明に係るイミド化重合反応でのモル比は、テトラカルボン酸二無水物100に対して、脂環式ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲であり、より好ましくは95〜105の範囲であり、さらに好ましくは98〜102の範囲である。この範囲内でイミド化重合反応を行うことで、十分な重合度のポリイミド樹脂を得ることができる。なお、上述の通り、前記テトラカルボン酸二無水物、前記脂環式ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物は、本発明の効果を奏する範囲で、それぞれ一部置換することが可能であるので、同様のモル比が適応される。
本明細書及び特許請求の範囲において、脂環式ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物は、「ジアミン」の形態で記載しているが、反応性の向上の目的で且つ本発明の効果を奏する限り、それらの代わりにアミノ基の一部又は全部をイソシアネート基に変換した化合物やシリル化した化合物等を使用することができる。
(反応溶媒)
本発明に係るイミド化重合反応で使用される反応溶媒は、イミド化重合反応より生成するポリイミド樹脂を溶解できるものであれば何れの反応溶媒でも良い。例えば、非プロトン性溶媒、フェノール系溶媒、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒などが好ましい例として挙げられる。
非プロトン性溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素などのアミド系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスフィントリアミドなどの含リン系アミド系溶媒、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄系溶媒、アセトン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ピコリン、ピリジンなどのアミン系溶媒、酢酸(2−メトキシ−1−メチルエチル)などのエステル系溶媒などが例示される。
フェノール系溶媒の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールなどが例示される。
エーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが例示される。
また、カーボネート系溶媒の具体例としては、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが例示される。上記の反応溶媒は単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。
これらの反応溶媒の中でも、特に、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンが推奨される。
反応溶媒の使用量としては、生成するポリイミド樹脂を溶解できる量であれば良い。具体的なポリイミド樹脂の濃度としては、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%となるように調整することが推奨される。
反応溶媒は、本発明に係るポリイミドワニスを構成する有機溶剤と同一でも異なってもよいが、溶媒置換の作業等の煩雑さを考慮すると同一であることが好ましい。
(イミド化重合反応)
イミド化重合反応の方法としては、(1)反応溶媒と少量の共沸溶剤の存在下でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを加熱し、生成水を共沸により系外に留去させる熱イミド化方法、(2)ポリイミド前駆体のポリアミド酸を製造後、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物、又はジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物の脱水作用を用いる化学イミド化方法、(3)ポリイミド前駆体のポリアミド酸を製造後、300℃以上に加熱する熱イミド化方法等が挙げられる。
上記ポリイミド樹脂の製造方法のうち(1)の熱イミド化方法が工業的に好ましく、例えば、反応溶媒中にテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物全量を溶解させるか、又はテトラカルボン酸二無水物及び/又はジアミン化合物の一部を段階的に溶解後、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜200℃に加熱し、共沸溶剤により系中の生成水を留去してイミド化重合反応する方法が挙げられる。
また、テトラカルボン酸二無水物に対して、ジアミン化合物を過剰に用いることによりポリイミド樹脂のポリマー末端をアミン末端とすることができ、一方、テトラカルボン酸二無水物をジアミン化合物より過剰に用いることによりポリイミド樹脂のポリマー末端を酸末端とすることができる。
上記の生成水を系外に留去するための共沸溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等が例示され、これらは単独で又は混合系として用いることができる。その使用量としては、反応溶媒量に対して通常1〜30重量%程度、好ましくは5〜10重量%程度である。
反応系内は、その反応系の着色防止及び安全性の観点から、不活性ガス雰囲気下とすることが望ましい。通常、不活性ガスで反応系内を置換し、反応中は不活性ガスを流通させるおく方法が推奨される。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが例示される。
本発明に係るイミド化重合反応において、公知の触媒を使用することができる。しかし、後処理が煩雑になること、また、使用触媒が微量残存することによるポリイミドワニスの貯蔵安定性の悪化及びポリイミドワニスの着色などの観点から、無触媒下で該反応を行うことが好ましい。
触媒を使用する場合には、例えば、塩基触媒としては、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、イミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基触媒、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムで代表される無機塩基触媒が例示される。
また、酸触媒としては、クロトン酸、アクリル酸、トランス−3−ヘキセノイック酸、桂皮酸、安息香酸、メチル安息香酸、オキシ安息香酸、テレフタル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが例示される。
イミド化重合反応の反応時間は、仕込み比率、基質濃度などにもよるが、 生成水の留出開始後、通常2〜10時間程度が好ましい。反応時間が短すぎる場合には、イミド化率が低くなる傾向が認められる。反応時間が長すぎる場合には、部分的に熱架橋反応を起こして反応系が増粘したりゲル状物が副生したり、また、反応溶媒の熱劣化により反応系が着色することがある。
イミド化重合反応で得られる本発明のポリイミド樹脂の数平均分子量は、好ましくは6,000以上、且つ、重量平均分子量が10,000以上であり、より好ましくは数平均分子量が6,000〜100,000で、且つ、重量平均分子量が10,000〜500,000の範囲のものである。この範囲は、特に成形体を与えることができる程度の重合度を有している範囲である。なお、本明細書及び特許請求範囲においてポリイミド樹脂の分子量は、後術の実施例に記載した方法で測定された値である。
上記イミド化重合反応におけるイミド化率は、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に95%以上が推奨される。さらに、ポリイミド樹脂の使用用途によってはイミド化率を100%に近づけることが望ましい場合もある。
その他に、本発明の効果を損なわない範囲において、分子量制御等を目的に、この分野で使用される公知の1官能の酸無水物やモノアミン等をエンドキャップ剤として併用することができる。該エンドキャップ剤の具体例としては、酸無水物では無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸など、モノアミンではアニリン、メチルアニリン、アリルアミンなどが例示される。
[ポリイミドワニス]
本発明のポリイミドワニスは、ポリイミド樹脂と有機溶剤とを含有することを特徴とするものである。
ポリイミドワニスの調製方法としては、(i)イミド化重合反応で得られたポリイミド樹脂の反応溶媒溶液をそのままポリイミドワニスとする方法、(ii)イミド化重合反応で得られたポリイミド樹脂の反応溶媒溶液からポリイミド樹脂を単離し、次いで所望の有機溶剤に単離したポリイミド樹脂を溶解させてポリイミドワニスを得る方法などが例示される。
ポリイミドワニスの粘度として所望の用途により適宜選択することができるが、25℃における粘度としては、0.1〜500Pa・sの範囲が好ましく、より好ましくは1〜100Pa・sの範囲が推奨される。
ポリイミドワニス中のポリイミド樹脂の濃度としては、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%となるように調整することが推奨される。
有機溶剤は、本発明に係るポリイミド樹脂を溶解させることができる有機溶剤であれば特に限定されないが、具体的には上記の反応溶媒として例示したものが挙げられる。これらは単独で又は混合系として用いることもできる。これらのうち、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンが推奨される。
また、ポリイミドワニスからポリイミド樹脂の塗膜を得る際に、乾燥工程におけるポリイミド樹脂塗膜の着色を防ぐ目的で、低沸点の有機溶剤が使用される。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
さらに、ポリイミドワニスからポリイミド樹脂の塗膜を得る際に、乾燥工程を効率よく行う目的で、有機溶剤の一部を低沸点溶剤に代えることができる。係る低沸点溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が例示される。これらの低沸点溶剤を使用する場合、その使用量は、全有機溶剤量に対して、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは、5〜20重量%の範囲が推奨される。
また、本発明のポリイミドワニスには、本発明の効果を妨げない範囲でその他の成分を添加しても良い。例えば、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂(本発明のポリイミド樹脂を除く。)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの高分子化合物、平滑剤、レベリング剤、脱泡剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤などが例示される。
かくして得られるポリイミドワニスは、貯蔵安定性に優れ、種々用途に使用される。
[ポリイミド成形体]
本発明のポリイミド成形体は、本ポリイミドワニスを成形加工して得られるものである。成形加工する方法としては、特に制限なく従来公知の方法が使用できる。
例えば、該ポリイミドワニスを、基板に塗布した後(膜状、フィルム状又はシート状に塗布若しくは成形した後)、該ポリイミドワニスから有機溶媒を除去して、膜状、フィルム状又はシート状のポリイミド成形体に成形する方法などが例示される。
ポリイミド成形体を製造する例としては、PET基板(ポリエチレンテレフタレート基板)上にポリイミドワニスをキャストし、真空乾燥機内(減圧度1〜10mmHg)で、室温にて30分〜2時間、さらに約200℃まで30分〜2時間で昇温し、その温度で1〜4時間溶剤を留去させる。室温まで冷却後、真空乾燥機からPET基板上に形成されたポリイミドフィルムを取出し、PET基板から剥離する。剥離したポリイミドフィルムをステンレス製の金属枠に固定し、再び真空乾燥機にて、室温から230〜280℃まで1〜4時間で昇温し、その温度で2〜5時間乾燥し溶剤を完全に留去し、室温まで冷却後、真空乾燥機から取出すことでポリイミドフィルムを得ることができる。このように得られたポリイミドフィルムの厚みは、キャスト時の塗工厚みを調整することで目的の厚さに調整する方法が挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂の無色透明性は、全光線透過率で評価することができる。全光線透過率の範囲は、好ましくは87%以上であり、さらに好ましくは88%以上、特に89%以上が好ましい。全光線透過率は、本明細書及び特許請求の範囲において、後述の実施例に記載した方法にて得られる値である。例えば、上記の全光線透過率の範囲は、特に無色透明性を要求される用途では有効な範囲である。
本発明のポリイミド樹脂の耐熱性は、ガラス転移温度で評価することができる。ガラス転移温度の範囲は好ましくは250℃以上であり、さらに好ましくは260℃以上、特に270℃以上が好ましい。ガラス転移温度は、本明細書及び特許請求の範囲において、後述の実施例に記載した方法にて得られる値である。例えば、上記のガラス転移温度の範囲は、特に耐熱性を要求される用途では有効な範囲である。
本発明のポリイミド樹脂の線膨張係数の範囲は好ましくは65ppm/K以下であり、さらに好ましくは62ppm/K以下、特に60ppm/K以下が好ましい。線膨張係数は、本明細書及び特許請求の範囲において、後述の実施例に記載した方法にて得られる値である。例えば、上記の線膨張係数の範囲は、特に有機EL等の透明フレキシブル基板用途では有効な範囲である。
[プラスチック基板/電気部品・電子部品]
本発明のプラスチック基板は、上記ポリイミド成形体からなることを特徴とする。その製造方法は、従来公知の製造方法を用いることができる。
該プラスチック基板は、本発明のポリイミド成形体が無色透明性、耐熱性、低線膨張係数を有することにより、例えば、フレキシブル透明基板などに好適に使用される。
また、フレキシブル透明基板は、電気部品又は電子部品で数多く使用されており、例えば、電子ペーパー、有機太陽電池、有機EL照明、フレキシブル液晶ディスプレーなどの部品として好適に使用される。
[耐熱絶縁材/耐熱塗料/耐熱コーティング材/耐熱接着材]
本発明の耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材は本発明のポリイミド樹脂を使用したものである。 その製造方法は、従来公知の製造方法を用いることができる。何れも、該ポリイミド樹脂が無色透明性、耐熱性、低線膨張係数を有することから、好適に使用される。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例及び比較例中の各特性の測定方法、化合物の略称は以下の通りである。
<化合物の略号>
[テトラカルボン酸二無水物(A)]
BCODA:ビシクロ[4.2.0]オクタン−3,4,7,8−テトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
DSDA:3,3’ ,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
[脂環式ジアミン化合物(B)]
HDAM:4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
DMHDAM:3,3’−ジメチル−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
NBDA: ノルボルナンジアミン
[芳香族ジアミン化合物(C)]
DPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
DAM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
BAPP: 2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BAPS:ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
TPE−Q:1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
m−TD:m−トリジン
[反応溶媒]
NMP :N−メチル−2−ピロリドン
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド
ECH:エチルシクロヘキサン
[シリル化剤]
BSA:N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド
<ポリイミド樹脂の数平均分子量と重量平均分子量>
ポリイミド樹脂の反応溶液(ポリイミドワニス)約1gをN,N−ジメチルホルムアミド約30mlで希釈して、分子量測定用の試料溶液を調製する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記の測定条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
[測定条件]
装置:東ソー株式会社製 EcoSEC HLC−8320GPC
カラム:東ソー株式会社製 SuperH−Hを1本とSuperHM−Mを3本直列に連結
カラム温度:40℃
溶離液:(5.15mmol/L−臭化リチウム+5.10mmol/L−リン酸)/N,N−ジメチルホルムアミド
流速:0.5mL/min
検出器:RI
<溶剤溶解性の評価>
溶剤可溶性は、イミド化重合反応終了後、ポリイミド樹脂の濃度を15重量%に調整し、24時間室温で放置した後の状態を目視で観察して評価した。その評価の基準は次のとおりである。該基準では、○が溶剤可溶性に優れる。×が溶剤可溶性に劣るとの評価になる。その評価の基準は、次のとおりである。
○:24時間放置した後も、析出物の発生も反応溶液のゲル化も全く認められなかった。
×:24時間以内に、析出物の発生または反応溶液のゲル化が明らかに認められた。
<線膨張係数>
JIS K7197(1991年)に準拠し、ポリイミドフィルム(40μm)を順風乾燥機内で300℃×30分間加熱して応力緩和処理を行った。このフィルムから切り取った4.0×10.0mmをエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100を用いて100〜150℃の範囲を窒素流量200ml/min、昇温速度10℃/minの条件で測定し、その測定値の平均値を線膨張係数とした。
<全光線透過率>
JIS K7361−1(1997年)に準拠し、ポリイミドフィルム(40μm)を株式会社東洋精機製作所製HAZE−GUARD IIを用いて、D65光源を使用したシングルビーム法により測定した。
<ガラス転移温度>
動的粘弾性測定装置RHEOGEL−E4000(ユーピーエム社製)を用いて、下記の測定条件下、ポリイミド成形体(フィルム)のtanδを測定した。そのtanδの極大値をガラス転移温度(℃)とした。
測定条件;
測定モード:引張モード
正弦波:10Hz
昇温速度:5℃/min
空気流速:10L/min
<機械的特性評価>
ポリイミド成形体(フィルム)の「弾性率」、「強度」及び「伸び」は、インストロン製の万能材料試験機5565を用いて、JIS K−7161(1994年)に準拠して測定した。
[製造例]
BCODAは特許文献US3423431を参考に製造した。具体的には、内容積700ml内部照射型パイレックス(登録商標)ガラス製五つ口反応フラスコに無水マレイン酸37.0g(377mmol)と1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物(新日本理化社製 リカシッドTH)60.0g(394mmol)及び光増感剤としてベンゾフェノン5.0g(27mmol)及びメチルエチルケトン375gを仕込み、反応器外壁をアルミ箔で被いながら室温で撹拌溶解させた。さらにアルゴンガスを用いて15分間バブリングして、反応容器中の酸素を除いた。続いて撹拌しながら反応容器を20℃に冷却し、フラスコ中央部の光源冷却管中の100W高圧水銀ランプを用いて光照射を24時間続けた。反応終了後、濾過によりDCODA結晶4.7g(19mmol、収率5%)を得た。
[実施例1]
温度計、撹拌機、窒素導入管、分液デカンタ及び、冷却管を備えた200mLの4つ口フラスコにBCODA13.28g(53.1mmol)、脂環式ジアミン化合物としてHDAM5.55g(26.4mmol)、芳香族ジアミン化合物としてDPE5.29g(26.4mmol)反応溶媒としてDMAc123.9g、共沸溶剤としてECH13.7gを仕込み、反応系内を窒素置換した後、窒素気流下、160℃で攪拌し、生成水を系外に除去しながら5時間脱水イミド化重合反応を行った。反応後、樹脂濃度が15重量%になるようにDMAcを追加し、本発明のポリイミド樹脂のDMAc溶液(本発明のポリイミドワニス)を得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
芳香族ジアミン化合物をDAM5.23g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
BCODAの仕込み量を12.33g(49.3mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
脂環式ジアミン化合物をHDAM7.77g(37.0mmol)に芳香族ジアミン化合物をDPE3.17g(15.8mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例5]
脂環式ジアミン化合物をDMHDAM6.29g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例6]
脂環式ジアミン化合物をHDAM2.78g(13.2mmol)とNBDA2.04g(13.2mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例7]
芳香族ジアミン化合物をDAM5.23g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例8]
芳香族ジアミン化合物をBAPP10.84g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例9]
芳香族ジアミン化合物をBAPS11.42g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例10]
芳香族ジアミン化合物をBAPB9.73g(26.4mmol)に変更し、反応溶媒をNMP123.9g、共沸溶剤としてキシレン13.7gに変更した以外は、実施例3と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例11]
芳香族ジアミン化合物をTPE−Q7.72g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例10と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例12]
芳香族ジアミン化合物をm−TD5.60g(26.4mmol)に変更した以外は、実施例10と同様の方法で本発明のポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
BCODAをCBDA10.41g(53.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドワニスの作成を試みたが、反応温度が160℃に達した時点で樹脂が不溶となり析出して白く濁った。
[比較例2]
撹拌機を備え付けた200mL三角フラスコにHDAM5.55g(26.4mmol)及びシリル化剤BSA5.49g(27.0mmol)とDMAc137.6gを加え15分間撹拌した後に、芳香族ジアミンDPE5.29g(26.4mmol)を加え15分間撹拌した。この溶液にCBDA10.41g(53.1mmol)を加えてから終夜撹拌してポリアミド酸ワニスを得た。得られたポリアミド酸ワニスの平均分子量の測定結果を表1に示す。
[比較例3]
BCODAをDSDA19.02g(53.1mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドワニスを得た。得られたポリイミド樹脂の平均分子量及び溶剤溶解性の測定結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例1〜12で得られたポリイミドワニスを、ガラス基板上にバーコーターを用いて、乾燥膜厚が40μmとなるよう塗布し、真空乾燥機内で真空下(減圧度10mmHg以下)、300℃×1時間乾燥し、室温へ冷却後、ガラス基板より剥離させ、ポリイミド成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド成形体(フィルム)の線膨張係数、全光線透過率、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例2、3で得られたポリイミドワニスまたはポリアミド酸ワニスを、実施例13と同様の方法でポリイミド成形体(フィルム)を得た。得られたポリイミド成形体(フィルム)の線膨張係数、全光線透過率、ガラス転移温度及び機械的特性の測定結果を表1に示す。
本発明のポリイミド樹脂は、表1から溶剤可溶性を有するポリイミド樹脂であり、65ppm/K以下という低い線膨張係数、87%以上という高い全光線透過率且つ250℃以上という高いガラス転移温度の優れた物性を有していることが明らかである。
比較例1、2のポリイミド樹脂の場合、BCODAを用いた場合と比べて溶剤溶解性が低いことがわかる。また比較例3ポリイミド樹脂の溶剤溶解性は良好であるが、全光線透過率が低い。即ち、本発明のポリイミド樹脂は、良好な溶剤溶解性、低い線膨張係数、高い全光線透過率及び高いガラス転移温度を同時に満たすポリイミド樹脂であることがわかる。
本発明のポリイミド樹脂は、87%以上と高い全光線透過率及び溶剤溶解性を併せ持っている。また、250℃以上と高いガラス転移温度、65ppm/K以下と低い線膨張係数であるため、該ポリイミド樹脂のポリイミドワニスを成形加工して得られるポリイミド成形体は、ディスプレーや照明等の光学材料に好適に用いることができる。また、当該ポリイミド樹脂は、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材、耐熱接着材に使用できる。

Claims (11)

  1. 一般式(1)
    で表わされるテトラカルボン酸二無水物と、
    脂環式ジアミン化合物及び芳香族ジアミン化合物とを、脂環式ジアミン化合物と芳香族ジアミン化合物のモル比が、80〜20:20〜80の範囲、且つ、モル比で該テトラカルボン酸二無水物100に対して、該ジアミン化合物の合計が90〜110の範囲でイミド化重合反応して得られる溶剤可溶性ポリイミド樹脂。
  2. 脂環式ジアミン化合物が、一般式(2)
    のジアミン化合物で表される少なくとも1種である、請求項1に記載のポリイミド樹脂。
  3. 芳香族ジアミン化合物が、一般式(3)
    のジアミン化合物で表される少なくとも1種である、請求項1に記載のポリイミド樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド樹脂及び有機溶剤を含有するポリイミドワニス。
  5. 有機溶剤が、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれた1種以上の有機溶剤である、請求項4に記載のポリイミドワニス。
  6. 請求項4又は5に記載のポリイミドワニスを成形加工して得られるポリイミド成形体。
  7. ポリイミド成形体が、膜状、フィルム状又はシート状の形態である、請求項6に記載のポリイミド成形体。
  8. ポリイミド成形体の線膨張係数が65ppm/K以下、全光線透過率が87%以上及びガラス転移温度が250℃以上である、請求項6又は7に記載のポリイミド成形体。
  9. 請求項6〜8の何れかに記載のポリイミド成形体からなるプラスチック基板。
  10. 請求項9に記載のプラスチック基板を備えた電気部品又は電子部品。
  11. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド樹脂を使用した、耐熱絶縁材、耐熱塗料、耐熱コーティング材又は耐熱接着材。
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