JPH111568A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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JPH111568A
JPH111568A JP10075928A JP7592898A JPH111568A JP H111568 A JPH111568 A JP H111568A JP 10075928 A JP10075928 A JP 10075928A JP 7592898 A JP7592898 A JP 7592898A JP H111568 A JPH111568 A JP H111568A
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film
polyester film
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acid
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、弾性率などの機械強度に優れて、表
面欠点やオリゴマー含有量の少ない高品質のポリエステ
ルフィルムとその製造方法を提供せんとするものであ
る。 【解決手段】本発明のポリエステルフィルムは、ポリエ
ステル(A)と、数平均分子量が500〜10000の
イミド系化合物(B)からなることを特徴とするもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来のポリエステ
ルフィルムの物性・品質を大幅に向上させたフィルム、
具体的には、弾性率が高く、強靱で、表面欠点・オリゴ
マー含有量が少なく、電気特性などに優れた高品質のポ
リエステルフィルムとその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、優れた機械特
性、熱特性、電気特性、表面特性、また、耐熱性などの
性質を利用して、磁気記録媒体用、電気絶縁用、包装
用、各種工業材料用など種々の用途に用いられている。
これらの用途の高品質化の中で、例えば、弾性率などの
機械特性の向上などが要求されている。従来、ポリエス
テルフィルムの弾性率を高める方法の一つとして、延伸
条件などの改良で分子配向度を上げる方法が一般的に行
われている。また、別の方法として、例えば、国際公開
WO87−05919号公報、特開昭57−25354
号公報などに代表されるように、液晶性ポリエステルの
ように弾性率の高い化合物を非液晶性ポリエステル中に
微分散させて、補強強化する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弾性率
を高めるために過度に分子配向させると、延伸時のフィ
ルム破れが避けられず、実用上の弾性率の向上には限界
があった。また、固有粘度の高いポリエステルを押出し
て製膜し、機械特性に優れたフィルムを得ようとする場
合には、フィルター通過時の濾圧上昇が大きくなって押
出が困難になる。この欠点を避けるために、フィルター
部の温度を高温化すると、ポリマーの熱分解により重合
度が低下して固有粘度が低下して、その結果、機械強度
が小さく、低品質のフィルムしか得られないという問題
があった。特に、例えば、磁気記録媒体用の場合、ポリ
マー中の異物をできるだけ取り除き、フィルム表面を平
滑にする必要があることから、非常に細かいフィルター
を用いるため濾圧上昇が他の用途に比べて大きく、表面
が平滑でかつ機械強度に優れたフィルムを得ることが困
難であった。
【0004】また、液晶性ポリエステルにより補強強化
する方法は、液晶性ポリエステルの形態を繊維状に制御
できた場合に、その効果が顕著になるものであり、フィ
ルムの製膜プロセスでは液晶性ポリエステル繊維の形状
緩和が生じるため、必ずしも有効でないという問題があ
った。
【0005】本発明の目的は、弾性率などの機械強度に
優れて、表面欠点やオリゴマー含有量の少ない高品質の
ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0006】また、本発明の他の目的は、溶融押出時、
固有粘度の高いポリエステル原料の溶融粘度を大幅に低
減させて、濾圧、剪断発熱、および、押出トルクを大幅
に低下させることにより、従来の製膜装置をなんら改造
せずに、溶融押出時の固有粘度の低下が小さく、低オリ
ゴマーで、機械強度に優れたポリエステルフィルムの製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
ポリエステルフィルムは、ポリエステル(A)と、数平
均分子量が500〜10000のイミド系化合物(B)
からなることを特徴とするものである。
【0008】本発明のポリエステルフィルムは、さらに
次の1または複数の好ましい態様を含む。
【0009】(a)前記イミド系化合物(B)のガラス
転移温度が70〜250℃であること。
【0010】(b)前記イミド系化合物(B)の溶解度
パラメーターとポリエステル(A)の溶解度パラメータ
ーとの差が4(MPa)1/2以下であること。
【0011】(c)前記イミド系化合物(B)の含有量
が、0.01〜30重量%であること。
【0012】(d)前記ポリエステルフィルムのヘイズ
が0.1〜20%であること。
【0013】(e)前記ポリエステルフィルムの長手方
向と幅方向の弾性率の和が8〜30GPaであること。
【0014】(f)前記ポリエステル(A)の固有粘度
が0.55〜3.00(dl/g)であること (g)押出機にてポリマーを溶融押出した後、フィルタ
ー濾過して製膜したポリエステルフィルムにおいて、前
記イミド系化合物(B)を含有したポリエステルのフィ
ルター濾圧が、ポリエステル(A)単独の場合に比べ
て、フィルター濾圧の低減度が10%以上であること。
【0015】(h)前記ポリエステルフィルムが一軸ま
たは二軸に配向されたフィルムであること。
【0016】また、本発明の該ポリエステルフィルムの
製造方法は、押出機にてポリマーを溶融押出した後、フ
ィルター濾過して製膜するポリエステルフィルムの製造
方法において、溶融押出前にポリエステル(A)中に、
数平均分子量が500〜10000のイミド系化合物
(B)を添加・混合して製膜することを特徴とするもの
である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について説明
する。
【0018】本発明のポリエステルフィルムを構成する
ポリエステル(A)は、例えば、芳香族ジカルボン酸、
脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオー
ルを主たる構成成分とするポリエステルである。
【0019】芳香族ジカルボン酸成分としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1, 4
―ナフタレンジカルボン酸、1, 5―ナフタレンジカ
ルボン酸、2, 6―ナフタレンジカルボン酸、4,
4' ―ジフェニルジカルボン酸、4, 4' ―ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸、4, 4'―ジフェニルスル
ホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ま
しくは、テレフタル酸、フタル酸、2, 6―ナフタレ
ンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボ
ン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン
酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分と
しては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これら
の酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用し
てもよい。さらに、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオ
キシ酸等を一部共重合してもよい。
【0020】また、ジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、1, 2ープロパンジオール、1,
3―プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
3―ブタンジオール、1, 4―ブタンジオール、1,
5―ペンタンジオール、1, 6―ヘキサンジオー
ル、1, 2―シクロヘキサンジメタノール、1, 3―
シクロヘキサンジメタノール、1, 4―シクロヘキサ
ンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリアルキレングリコール、2,2' ―ビ
ス(4' ―β―ヒドロキシエトキシフェニル)プロパ
ン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレ
ングリコール、1, 4―ブタンジオール、1, 4―シ
クロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を
用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコー
ル等を用いることができる。これらのジオール成分は一
種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。ま
た、ポリエステルには、トリメリット酸、ピロメリット
酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2, 4―
ジオキシ安息香酸、ラウリルアルコール、イソシアン酸
フェニル等の単官能化合物等の他の化合物を、ポリマー
が実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよ
い。
【0021】本発明のポリエステル(A)は、特に限定
されないが、機械強度、生産性および取り扱い性等の点
から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンー
2,6―ナフタレンジカルボキシレートおよびそれらの
変性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種であるこ
とが好ましい。
【0022】本発明のイミド系化合物(B)は、溶融成
形性であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式
で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
【0023】
【化1】 (ただし、式中のR1
【化2】
【化3】 などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭
化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表し
て、また、式中のR2
【化4】 などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭
化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表
す。) かかる好ましいイミド系化合物(B)は、例えば、特開
平8―157642号公報や第2558339号公報な
どに代表されるように、テトラカルボン酸および/また
はその酸無水物と、脂肪族一級モノアミンおよび/また
は芳香族一級モノアミン、さらに/または脂肪族一級ジ
アミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群か
ら選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合す
ることにより得られた化合物を挙げることができる。
【0024】テトラカルボン酸および/またはその酸無
水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸、
1, 2, 3, 4―ブタンテトラカルボン酸、シクロ
ペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1, 2,
3, 4―ベンゼンテトラカルボン酸、3, 3',
4, 4'―ビフェニルテトラカルボン酸、2, 2',
3, 3'―ビフェニルテトラカルボン酸、3, 3',
4, 4'―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,
2', 3, 3'―ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビ
ス(2, 3―ジカルボキシフェニル)メタン、ビス
(3, 4―ジカルボキシフェニル)メタン、1, 1'
―ビス(2, 3―ジカルボキシフェニル)エタン、
2, 2'―ビス(3, 4―ジカルボキシフェニル)プ
ロパン、2, 2'―ビス(2, 3―ジカルボキシフェ
ニル)プロパン、ビス(3, 4―ジカルボキシフェニ
ル)エーテル、ビス(2, 3―ジカルボキシフェニ
ル)エーテル、ビス(3, 4―ジカルボキシフェニ
ル)スルホン、ビス(2, 3―ジカルボキシフェニ
ル)スルホン、2, 3, 6, 7―ナフタレンテトラ
カルボン酸、1,4, 5, 8―ナフタレンテトラカル
ボン酸、1, 2, 5, 6―ナフタレンテトラカルボ
ン酸、2, 3, 6, 7―アントラセンテトラカルボ
ン酸、1,2, 7, 8―フェナントレンテトラカルボ
ン酸、3, 4, 9, 10―ペリレンテトラカルボン
酸、4, 4'―(p−フェニレンジオキシ)ジフタル
酸、4, 4'―(m−フェニレンジオキシ)ジフタル
酸、2, 2'―ビス[(2, 3―ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物
等が用いられる。
【0025】脂肪族一級モノアミンとしては、例えば、
炭素数2〜22の飽和または不飽和の直鎖、分岐または
脂環系のモノアミンが用いられ、具体的には、エチルア
ミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミ
ン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、
デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、ト
リデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルア
ミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オク
タデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミ
ン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、シクロヘキ
シルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシ
クロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンお
よびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0026】芳香族一級モノアミンとしては、例えば、
非置換あるいは炭素数1〜22のアルキル置換の一級ア
ニリンが用いられ、具体的には、アニリン、トルイジ
ン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリ
ン、ペンチルアニリン、ヘキシルアニリン、ヘプチルア
ニリン、オクチルアニリン、ノニルアニリン、デシルア
ニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、トリ
デシルアニリン、テトラデシルアニリン、ペンタデシル
アニリン、ヘキサデシルアニリン、ヘプタデシルアニリ
ン、オクタデシルアニリン、ノナデシルアニリン、エイ
コシルアニリン、ヘネイコシルアニリン、ドコシルアニ
リンおよびこれらの構造異性体等が用いられる。
【0027】脂肪族一級ジアミンとしては、例えば、炭
素数1〜12のメチレン基で結合された一級ジアミンや
脂環基を有するジアミンが用いられ、具体的には、エチ
レンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジア
ミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、
1, 3―ビスアミノシクロヘキサン、ジアミノジシク
ロヘキシルメタン、m−キシレンジアミンおよびこれら
の構造異性体などが用いられる。
【0028】芳香族一級ジアミンとしては、例えば、ベ
ンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメ
タン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニルエ
タン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニ
ルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフ
ェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、
o, m, p―フェニレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族
一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一
級ジアミン等が用いられる。
【0029】本発明のイミド系化合物(B)は、数平均
分子量が500から10000の範囲にあり、好ましく
は1000から5000の範囲であり、さらに好ましく
は1500から3000の範囲である。数平均分子量が
500より小さいと、製膜時にブリードアウトしやすく
なり、異物の少ないフィルムを得ることが困難であり、
好ましくない。また、数平均分子量が10000より大
きいと、フィルター濾圧を低減する効果が小さくなり、
好ましくない。
【0030】本発明において、イミド系化合物(B)を
ポリエステル(A)に添加する時期は、特に限定されな
いが、ポリエステルの重合前、例えば、エステル化反応
前に添加してもよいし、重合後に溶融押出前に添加して
もよい。また、溶融押出前に、ポリエステルとイミド系
化合物あるいはポリエーテルイミド系化合物をペレタイ
ズしてもよい。
【0031】本発明のポリエステルフィルムで用いられ
るイミド系化合物(B)のガラス転移温度は、特に限定
されないが、70から250℃の範囲にあることが好ま
しい。さらに好ましくは、100から230℃の範囲で
あり、より好ましくは、120から200℃の範囲であ
る。イミド系化合物あるいはポリエーテルイミド系化合
物のガラス転移温度が70℃より小さかったり、また、
250℃より大きかったりすると、ポリエステルフィル
ムの製膜において溶融成形性に劣ったりして、実用性が
ないので、ガラス転移温度は70〜250℃の範囲が好
ましい。
【0032】本発明のポリエステルフィルムで用いられ
るイミド系化合物(B)の溶解度パラメーターとポリエ
ステル(A)の溶解度パラメーターとの差が、特に限定
されないが、4(MPa)1/2以下であることが好まし
い。さらに好ましくは、3(MPa)1/2以下、より好
ましくは、2(MPa)1/2以下である。イミド系化合
物(B)の溶解度パラメーターとポリエステル(A)の
溶解度パラメーターとの差が、4(MPa)1/2より大
きいと、溶融状態においてポリエステルとイミド系化合
物あるいはポリエーテルイミド系化合物を均一に混合さ
せることが困難であったりするので、4(MPa)1/2
以下であることが好ましい。本発明でいう溶解度パラメ
ーターとは、原子団寄与法による計算値であり、例え
ば、VanKrevelen, “Propertie
s of Polymers”, Third com
pletely Revised Edition,
Elsevier(1990)に記載の方法で計算でき
る。各原子団のパラメーターに関しては、各種提案され
ており、いずれの方法で計算してもよいが、Hofty
zer―Van Krevelen, Hoy, Sma
ll, Fedorsらの方法を好ましく用いることが
できる。
【0033】本発明のポリエステルフィルムで用いられ
るイミド系化合物(B)の含有量は、特に限定されない
が、0.01から30重量%の範囲にあることが好まし
い。さらに好ましくは、0.1から20重量%の範囲で
あり、より好ましくは、0.5から10重量%の範囲で
ある。イミド系化合物あるいはポリエーテルイミド系化
合物の含有量が0.01重量%未満であると、濾圧低減
効果や機械特性の向上などの本発明の効果が小さく、ま
た、30重量%より大きいと、機械強度が向上しなかっ
たり、フィルム表面特性が悪化したりするので、0.0
1から30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0034】本発明のイミド系化合物(B)は、特に限
定されないが、ポリエステル(A)との溶融成形性や取
り扱い性などの点から、例えば、1, 2, 3, 4―
ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ビス(3,
4―ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸等お
よび/またはその酸無水物等のテトラカルボン酸成分の
群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物と、エチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジア
ミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニル
エーテル、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、フェニ
レンジアミン等のジアミン成分の群から選ばれる一種も
しくは二種以上の化合物を脱水縮合した縮合体が例示さ
れる。その中で、芳香族系構造単位およびメチレン基を
含む脂肪族系構造単位により、ポリエステルとの溶融成
形が可能になる最適なガラス転移温度を有するイミド系
化合物(B)を設計でき、また、例えば、カルボニル炭
素を含む構造単位を有するイミド系化合物(B)は、ポ
リエステル(A)との溶解度パラメーターの差が小さ
く、特に、溶融成形性に優れる。
【0035】本発明のポリエステルフィルムのヘイズ
は、特に限定されないが、0.1から20%の範囲であ
ることが好ましい。さらに好ましくは、0.1から10
%の範囲であり、より好ましくは0.1から5%の範囲
である。ポリエステルフィルムのヘイズを0.1%未満
にすることは、工業的に極めて困難であり、必ずしも必
須要件ではない。また、ヘイズが20%より大きいと、
イミド系化合物やポリエーテルイミド系化合物がポリエ
ステルフィルム中で効果的に分散していなかったり、異
物が存在していたりするので、0.1から20%の範囲
であることが好ましい。
【0036】本発明のポリエステルフィルムの弾性率の
長手方向と幅方向の和は、特に限定されないが、8〜3
0GPaの範囲であることが好ましい。さらに好ましく
は10〜25GPa、より好ましくは12〜22GPa
である。ポリエステルフィルムの弾性率の長手方向と幅
方向の和が8GPa未満であると、例えば、磁気記録媒
体用などに用いる場合、ベースフィルムの弾性率が不足
すると、走行時の磁気ヘッドやガイドピンから受ける張
力のため、磁気テープに伸びが生じ、電磁変換特性(出
力特性)に悪影響を与えたりして、実用上使用に耐えな
いことがあり、また、弾性率の和が30GPaより大き
いポリエステルフィルムは、工業的に製造が困難である
ので、弾性率の和は8〜30GPaの範囲であることが
好ましい。
【0037】本発明のポリエステル(A)の固有粘度
は、特に限定されないが、0.55〜3.00(dl/
g)の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、
0.60〜2.00(dl/g)、より好ましくは、
0.80〜1.75(dl/g)、特に好ましくは1.
00〜1.50(dl/g)である。ポリエステル
(A)の固有粘度が大きいと、イミド系化合物(B)を
添加することにより、押出機での剪断発熱の抑制やフィ
ルター濾圧の低減を効果的に実現できる。その結果、弾
性率などの機械特性や表面欠点などの少ない優れたポリ
エステルフィルムを得ることができる。ポリエステル
(A)の固有粘度が0.55(dl/g)未満である
と、添加したイミド系化合物の効果が発現されず、弾性
率などの機械特性に劣ったり、オリゴマー量などによる
表面欠点が増加したりし、また、3.00(dl/g)
より大きいと、工業的に押出してポリエステルフィルム
を製造することが困難であるので、固有粘度は0.55
〜3.00(dl/g)の範囲であることが好ましい。
【0038】本発明のポリエステルフィルムにおいて、
具体的には、押出機にてポリマーを溶融押出した後、フ
ィルター濾過して製膜したポリエステルフィルムにおい
て、イミド系化合物(B)を含有したポリエステルのフ
ィルター濾圧が、ポリエステル(A)単独の場合に比べ
て、特に限定されないが、フィルター濾圧の低減度が1
0%以上であることが好ましい。イミド系化合物を添加
しても、フィルター濾圧低減度が10%未満であると、
本発明の目的とする弾性率などの機械特性に優れ、表面
欠点やオリゴマー含有量の少ない高品質のポリエステル
フィルムを得ることができないので、フィルター濾圧の
低減度が10%以上であることが好ましい。
【0039】本発明においては、特に限定されないが、
イミド系化合物(B)の他に、例えば、主鎖にメソゲン
基を有する共重合ポリエステルをポリエステル(A)に
添加することも濾圧低減および品質向上の点から有効で
ある。該共重合ポリエステルは、主鎖にメソゲン基を有
する溶融成形性があるポリエステルである。例えば、芳
香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香
族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから
選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成するポリ
エステルなどである。
【0040】本発明のポリエステルフィルムは、本発明
を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エス
テル、ワックスなどの有機滑剤などが通常添加される程
度添加されてもよい。また、表面の易滑性や耐磨耗性、
耐スクラッチ性等を付与するために、クレー、マイカ、
酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式
または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機
粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機
粒子等を添加したり、ポリエステル重合反応時に添加す
る触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子を含有し
ていてもよいし、界面活性剤を含有していてもよい。
【0041】本発明のポリエステルフィルムの製造方法
は、押出機にてポリマーを溶融押出した後、フィルター
濾過して製膜するポリエステルフィルムの製造方法にお
いて、溶融押出前にポリエステル(A)中に、数平均分
子量が500〜10000のイミド系化合物(B)を添
加・混合して製膜することを特徴とするものである。さ
らに詳しくは、押出機にてポリマーを溶融押出した後、
フィルター濾過して製膜するポリエステルフィルムの製
造方法において、溶融押出前にポリエステル(A)中
に、数平均分子量が500〜10000のイミド系化合
物(B)を添加・混合することにより、ポリエステル
(A)単独でフィルター濾過する場合と比較して、固有
粘度の高いポリエステル原料の溶融粘度を大幅に低減さ
せて、フィルター濾圧、剪断発熱、および、押出トルク
を大幅に低下させることにより、溶融押出時の固有粘度
の低下が小さく、低オリゴマーで、機械強度に優れたポ
リエステルフィルムを得ることである。本発明のポリエ
ステルフィルムの製造に用いるイミド系化合物(B)の
数平均分子量は、500〜10000の範囲にあり、好
ましくは1000〜5000の範囲であり、さらに好ま
しくは1500〜3000の範囲である。数平均分子量
が500より小さいと、例えば、製膜時にブリードアウ
トしやすくなり、異物の少ないフィルムを得ることが困
難であり、また、数平均分子量が10000より大きい
と、フィルター濾圧を低減する効果等が小さくなるの
で、イミド系化合物(B)の数平均分子量は、500〜
10000の範囲が好ましい。
【0042】本発明のポリエステルフィルムは、単膜で
もよいが、これに他のポリマー層、例えば、ポリエステ
ル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン
およびアクリル系ポリマーを直接、あるいは接着剤など
の層を介して積層してもよい。特にポリエステル層を表
層に積層する場合、積層部に粒子を含有することによ
り、走行性、易滑性および平滑性に優れたフィルムとす
ることができ、特に表面特性が重要な磁気記録媒体用の
ベースフィルムとしては好ましい。
【0043】本発明のポリエステルフィルムは、必要に
応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーテ
ィング、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の
加工を行ってもよい。
【0044】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されないが、公知の方法により一軸または二軸に配向
されたフィルムであることが、機械強度や電気特性に対
する効果の点から好ましい。
【0045】本発明のポリエステルフィルムは、特に限
定されないが、通常、厚みが1000μm以下であり、
好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜25
0μmの範囲である。
【0046】本発明のポリエステルフィルムの用途は、
特に限定されないが、磁気記録媒体用、電気絶縁用、包
装用、感熱転写リボン用、感熱孔版印刷用などに用いら
れる。
【0047】本発明のポリエステルフィルムの製造方法
の例について説明するが、これに限定されるものではな
い。ここでは、ポリエステル(A)として、ポリエチレ
ンテレフタレートを用いた例を示すが、用いるポリエス
テルにより製造条件は異なる。
【0048】まず、常法に従い、テレフタル酸とエチレ
ングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸
ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応によ
り、ビスーβ―ヒドロキシエチルテレフタレート(BH
T)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行しながら、
真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここ
で、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。この
時、所定量のイミド系化合物を添加しておいてもよい。
得られたポリエステルをペレット状で減圧下において固
相重合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃
以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で
1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させ
る。また、フィルムを構成するポリエステルに粒子を含
有させる方法としては、エチレングリコールに粒子を所
定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリ
コールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒
子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる
水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加
すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを
直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式2
軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も
有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法として
は、上記方法で高濃度の粒子のマスタを作っておき、そ
れを製膜時に粒子に実質的に含有しないポリエステルで
希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0049】次に、該ポリエチレンテレフタレートと数
平均分子量が500〜10000の範囲であるイミド系
化合物(B)をブレンドした原料や、これらを一旦溶融
させて、均一混合させた原料を、180℃で3時間以上
真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流
下あるいは真空下で280℃に加熱された押出機に供給
し、公知の方法により製膜する。この時、押出機での剪
断速度は20秒―1以上、好ましくは50秒―1以上と高
い方がイミド系化合物が押出機内でよく分散し、本発明
の効果が大きくなり好ましいが、剪断速度を300秒―
1以上に大きくすると、剪断発熱によりポリマーが熱分
解するので好ましくない。また、異物や変質ポリマーを
除去するために公知のフィルター、例えば、焼結金属、
多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフ
ィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じ
て、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けて
もよい。スリット状のダイからシート状に押出し、キャ
スティングロール上で冷却固化させて未延伸フィルムを
作る。また、積層フィルムの場合は、2台以上の押出
機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状
態のポリエステルを積層したシートを押出し、キャステ
ィングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。
【0050】次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、
二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ここでは、
最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸
法を用いる。未延伸フィルムを80〜150℃の加熱ロ
ール群で加熱し、長手方向に2〜7倍に1段もしくは2
段以上の多段で延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で
冷却する。長手方向延伸速度は1000〜50000%
/分の範囲で行うのが好ましいが、特に限定されない。
続いて、幅方向の延伸方法としては、例えば、テンター
を用いる方法が一般的である。幅方向の延伸倍率は2〜
7倍、延伸速度は1000〜20000%/分、温度は
80〜150℃の範囲で行うのが好ましいが、特に限定
されない。さらに必要に応じて、再縦延伸および/また
は再横延伸を行う。その場合の延伸条件としては、長手
方向の延伸は、温度80〜180℃、延伸倍率1.1〜
2.0倍、幅方向の延伸方法としてはテンターを用いる
方法が好ましく、温度80〜180℃、延伸倍率1.1
〜2.0倍で行うのが好ましいが、特に限定されない。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩
しながら熱処理する。この場合の熱処理温度は、150
℃〜250℃、好ましくは180〜200℃で、時間は
0.2〜30秒の範囲で行うのが好ましいが、特に限定
されない。
【0051】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法] (1)固有粘度 オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下式から計算される値を用いる。すなわち、 ηsp/C=[η]+K[η]2・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)ー1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100m
l、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とす
る)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド
粘度計を用いて測定した。
【0052】(2)数平均分子量 東レリサーチセンターに分析依頼し、ゲルパークロマト
グラフィー(GPC)により測定した。
【0053】(3)ガラス転移温度Tg DSC(示差走査熱量計:セイコー電子工業製)を用い
て測定した。DSCの測定条件は次の通りである。すな
わち、試料5mgをDSC装置にセットし、300℃の
温度で5分間溶融した後、液体窒素中で急冷する。この
試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移温度Tgを検知
した。
【0054】(4)ヘイズ JIS―K―6714に従い、ヘイズメーター(スガ試
験機製)を用いて測定した。テトラリンに浸した状態で
内部ヘイズを測定し、下式により25μm換算で表し
た。
【0055】ヘイズ(%)=フィルム内部ヘイズ(%)
×(25(μm)/フィルム厚み(μm)) (5)弾性率 テンシロン型引張試験機(オリエンテック社製)に幅1
0mm、チャック間距離100mmになるようにサンプ
ルをセットし、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速
度200mm/分で引張試験を行い、求めた。
【0056】(6)オリゴマー量 ポリマー100mgをオルトクロロフェノール1mlに
溶解し、液体クロマトグラフィー(モデル8500VA
RIAN社製)で測定した。ポリマーに対する重量%で
表した。
【0057】(7)フィルター濾圧およびフィルター濾
圧の低減度 実験装置を図1に示す。ギアポンプ(三菱重工製、1.
6cc/回転)、フィルター(日本精線製、リーフディ
スクフィルター−NF−140:65mm径、80μm
カット焼結フィルター1枚)および圧力計を備えた東芝
製30mm小型単軸押出機(L/D=22)を用い、下
記条件でフィルター前後の圧力PaおよびPbを測定し
た。なお、Tmは、DSC(示差走査熱量計)で検知し
た溶融温度のピークである。
【0058】 [押出条件] スクリュー回転数 :52rpm スクリュー計量部剪断速度:109秒―1 ポリマーの吐出量 :3.6kg/時間 押出機設定温度 :供給部 (Tm+10)℃ 圧縮部 (Tm+25)℃ 計量部 (Tm+25)℃ ギアポンプ部 (Tm+25)℃ フィルター部 (Tm+25)℃ ギアポンプ吐出量 :1.6kg/時間 フィルター濾圧の低減度Rについては、下式で算出し
た。
【0059】R=[(P0―P1)/P0]×100 P0:イミド系化合物を添加しない場合の濾圧(圧力
差:Pa―Pb) P1:イミド系化合物を添加した場合の濾圧(圧力差:
Pa―Pb)
【0060】
【実施例】次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説
明する。
【0061】参考例1 1, 2, 3, 4―ブタンテトラカルボン酸46.8
gと、ヘキサデシルアミン48.2g、さらにm−キシ
レンジアミン13.6g、をフラスコ中でジメチルホル
ムアミドを溶媒として混合、260℃まで徐々に昇温し
ながら攪拌し、縮合された水およびジメチルホルムアミ
ドを留去した。その後、さらに攪拌しながら徐々に減圧
して、完全に留去を完了させ、フラスコ底に残留したイ
ミド系化合物Aを得た。
【0062】参考例2 m−キシレンジアミンの代わりに、ヘキサメチレンジア
ミン46.4gを用いるほかは、参考例1と同様の方法
により、残留したイミド系化合物Bを得た。
【0063】参考例3 m−キシレンジアミンの代わりに、ジアミノジフェニル
メタン19.8gを用いるほかは、参考例1と同様の方
法により、残留したイミド系化合物Cを得た。
【0064】参考例4 ビス{4−[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイ
ル]フェニル}エーテル568gと、ビス(3, 4―
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物310g、n
―オクチルアミンおよびm−クレゾールを混合して反応
させ、窒素雰囲気下に撹拌しながら150℃まで徐々に
昇温して、メタノールに排出した。その後、さらに減圧
乾燥して、残留したイミド系化合物Dを得た。
【0065】参考例5 窒素雰囲気下で、m−フェニレンジアミン32.4g、
イソキノリン1g、m−クレゾール200gを入れ、5
0℃に加熱して溶解させた。ここに、2, 2'―ビス
[(2, 3―ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロ
パン二無水物208gを加え、50℃で30分、その後
180℃に加熱し、発生する水をトラップにて受けて系
外に除去し、2時間攪拌を続けた。その後、さらに減圧
乾燥して、残留したイミド系化合物Eを得た。
【0066】実施例1(表1,2) 固有粘度0.8(dl/g)のポリエチレンテレフタレ
ート(滑り剤として平均粒径200nmの酸化アルミナ
を0.075重量%含有、チップオリゴマー量0.3重
量%)に対して、参考例1で得たイミド系化合物A5.
0重量%添加したポリエステル組成物を180℃で10
時間乾燥(3Torr)した後、90mmの単軸押出機
に供給し、温度285℃で混練溶融して、異物を高精度
金属焼結フィルターを用いて濾過し除去後、110mm
幅のフィルム成型用Tダイ口金から溶融体シートを押出
し、25℃に保たれた冷却ドラムに静電荷を印可させな
がら密着冷却固化し、未延伸フィルムを得た。このと
き、フィルター濾圧の低減度は、14%であった。
【0067】この未延伸フィルムをロール式延伸機にて
長手方向に段階的に、温度95℃で4倍延伸した。続い
て、テンターを用いて、幅方向に温度105℃で4倍延
伸し、定長下で温度210℃で10秒間熱処理して、厚
さ12μmの二軸配向フィルムを得た。
【0068】この二軸配向フィルムの特性は、表2に示
したとおり、磁気記録媒体用や電気絶縁用などの各種用
途のフィルムとして優れた特性を有していた。
【0069】実施例2、3(表1,2) 原料のポリエステルとして、固有粘度が異なるポリエチ
レンテレフタレート(固有粘度1.0(dl/g):チ
ップオリゴマー量0.28重量%、固有粘度1.4(d
l/g):チップオリゴマー量0.26重量%)を用い
ること以外は実施例1と同様にして製膜し、二軸配向フ
ィルムを得た。フィルター濾圧低減度や得られた二軸配
向フィルムの特性は表2に示した通りであるが、固有粘
度が高い原料を用いると、イミド系化合物の効果がより
顕著になって、実施例1の場合よりフィルター濾圧低減
度や弾性率などに優れた高品質のフィルムが得られた。
【0070】実施例4〜7(表1,2) 使用するイミド系化合物の含有量、数平均分子量を変更
し、実施例2と同様に製膜し二軸配向フィルムを得た。
フィルター濾圧低減度や得られた二軸配向フィルムの特
性は表2に示した通りであるが、本発明の構成をもつイ
ミド系化合物を使用すると、フィルター濾圧低減度や弾
性率などに優れた高品質のフィルムが得られた。
【0071】実施例8〜11(表1,2) 使用するイミド系化合物(B)の種類をそれぞれイミド
系化合物B〜Eに変更して、実施例2と同様に製膜し二
軸配向フィルムを得た。フィルター濾圧低減度や得られ
た二軸配向フィルムの特性は表2に示した通りである
が、本発明の構成をもつイミド系化合物を使用すると、
フィルター濾圧低減度や弾性率などに優れた高品質のフ
ィルムが得られた。
【0072】比較例1〜3(表3,4) イミド系化合物を使用しないこと以外は、それぞれ実施
例1〜3と同様にして製膜し二軸配向フィルムを得た。
フィルター濾圧低減度や得られた二軸配向フィルムの特
性は表4に示した通りであるが、フィルター濾圧低減度
が小さく、弾性率などの機械特性に劣り、また、オリゴ
マー量も多いことなどのため、高品質のフィルムを得る
ことが困難であり、磁気記録媒体用や電気絶縁用などの
用途には実用上使用に耐えない。
【0073】比較例4,5(表3,4) 参考例1で得たイミド系化合物Aの数平均分子量を変更
し、実施例2と同様に製膜し、二軸配向フィルムを得
た。イミド系化合物が本発明の構成を満たさない場合、
使用しても効果が十分に発現せず高品質のフィルムを得
ることが困難であり、磁気記録媒体用や電気絶縁用など
の用途には実用上使用に耐えない。
【0074】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0075】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムは、ポリ
エステル(A)と、数平均分子量が500〜10000
のイミド系化合物(B)からなり、該フィルムの弾性率
などの機械特性を向上させるとともに、フィルムの表面
欠点オリゴマーなどを低減させて品質向上を図ったもの
であり、磁気記録媒体用、電気絶縁用、包装用、感熱転
写リボン用、感熱孔版印刷用などの各種フィルム用途に
広く活用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルター濾圧およびフィルター濾圧
の低減度の評価に用いる押出装置の一例を示した概略図
である。
【符号の説明】 1:30mm小型単軸押出機 2:短管 3:ギアポンプ 4:フィルター 5:ブリード口 6:フィルター上流部圧力計 7:フィルター下流部圧力計 81:押出機供給部熱電対 82:押出機圧縮部熱電対 83:押出機計量部熱電対 84:ギアポンプ部熱電対 85:フィルター部熱電対 86:ホッパー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 79/08 C08L 79/08 Z // B29K 67:00 B29L 7:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル(A)と、数平均分子量が
    500〜10000のイミド系化合物(B)からなるこ
    とを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 イミド系化合物(B)のガラス転移温度
    が70〜250℃であることを特徴とする請求項1に記
    載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 イミド系化合物(B)の溶解度パラメー
    ターとポリエステル(A)の溶解度パラメーターとの差
    が4(MPa)1/2以下であることを特徴とする請求項
    1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 イミド系化合物(B)の含有量が、0.
    01〜30重量%であることを特徴とする請求項1ない
    し3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムのヘイズが0.1
    〜20%であることを特徴とする請求項1ないし4のい
    ずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルフィルムの長手方向と幅方
    向の弾性率の和が8〜30GPaであることを特徴とす
    る請求項1ないし5のいずれかに記載のポリエステルフ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 ポリエステル(A)の固有粘度が0.5
    5〜3.00(dl/g)であることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれかに記載のポリエステルフィル
    ム。
  8. 【請求項8】 押出機にてポリマーを溶融押出した後、
    フィルター濾過して製膜したポリエステルフィルムにお
    いて、イミド系化合物(B)を含有したポリエステルの
    フィルター濾圧が、ポリエステル(A)単独の場合に比
    べて、フィルター濾圧の低減度が10%以上であること
    を特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のポリ
    エステルフィルム。
  9. 【請求項9】 ポリエステルフィルムが一軸または二軸
    に配向されたことを特徴とする請求項1ないし8のいず
    れかに記載のポリエステルフィルム。
  10. 【請求項10】 押出機にてポリマーを溶融押出した
    後、フィルター濾過して製膜するポリエステルフィルム
    の製造方法において、溶融押出前にポリエステル(A)
    中に、数平均分子量が500〜10000のイミド系化
    合物(B)を添加・混合して製膜することを特徴とする
    ポリエステルフィルムの製造方法。
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