JP4736228B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強度、熱寸法安定性などの品質を大幅に向上することができるポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、結晶性、強度、耐薬品性、透明性に優れ、フィルム、繊維、ボトル、押出成型品など様々な用途に使用されている。中でも、フィルム用途ではその優れた機械的特性と経済性のため、磁気記録用、農業用、包装用、建材用などの大量に需要のある分野で用いられている。しかし、ポリエステルフィルムには、用途によっては熱寸法安定性や耐熱性が十分ではなく、磁気記録用途をはじめ各種工業材料用フィルムへの適用に際して限界があった。また、一般に熱寸法安定性や耐熱性を高める上でポリエステルのガラス転移温度を高めるのが有効であることは、当該分野において自明であるが、有効な手段は見出されていなかった。
【0003】
本発明と関係する、ポリエステルとポリエーテルイミド(PEI)のブレンド物については、PEI分率の増加に伴ってガラス転移温度が上昇することが開示されている(例えば、米国特許4141927号明細書、「JOURNAL of APPLIED POLYMER SCIENCE,48,935−937(1993)」、「Macromolecules,28,2845−2851(1995)、POLYMER,38,4043−4048(1997)」等)。これらの特許、文献には、ブラベンダーやバンバリミキサーの溶融混練装置を用いた溶融法や、共溶媒を用いた溶液法によって、単一のガラス転移温度を有するポリエステルとイミド系ポリマーとの相溶性ブレンド物を得る方法が記述されている。また、ポリエチレンテレフタレートとPEIの相分離に関する記述もされているが、そのナノ構造については記載されてなく、ましてや、そのナノ構造と物性との関係は検討されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、ポリエステルとPEIとから単一のガラス転移温度を有する相溶性ブレンド物が得られることは公知であるが、強度と寸法安定性が要求されるフィルム用途への適用については殆ど検討されていなかった。
そこで、本発明は、ポリエステルとポリイミドとからなり、剛性と熱寸法安定性等の品質に優れたポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリエステル(A)にポリイミド(B)を分散させた樹脂組成物からなるフィルムにおいて、相分離により形成される1〜50nmのドメインを存在させることにより、上記目的を達成できるということを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル(A)にポリイミド(B)が分散してなり、かつ、ポリイミドの平均分散径が1〜50nmであることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するポリエステル(A)は、特に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレート、ヘキサメチレン−2,6−ナフタレート、シクロヘキサンジメチレン−2,6−ナフタレート単位等から選ばれた少なくとも一種の構造単位を少なくとも主要構成成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレンテレフタレート単位を少なくとも主要構成成分とするポリエチレンテレフタレート(PET)系のポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを少なくとも主成分とするポリエステル)、及び/又は、エチレン−2,6−ナフタレート単位を少なくとも主要構成成分とするポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)系のポリエステル(ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)を少なくとも主成分とするポリエステル)が、ポリイミド(B)との溶融混練性に優れる点から特に好ましい。
【0007】
一方、本発明に用いるポリイミド(B)としては、例えば、下記一般式で示されるような構造単位を含有するものが好ましい。
【0008】
【化1】
Figure 0004736228
【0009】
(ただし、式中のR1は
【化2】
Figure 0004736228
【0010】
【化3】
Figure 0004736228
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表して、
【0011】
また、式中のR2は
【化4】
Figure 0004736228
などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表す。)
【0012】
かかる好ましいポリイミド(B)は、例えば、特開平8−157642号公報や特許第2558339号公報などに代表されるように、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノアミンおよび/または芳香族一級モノアミン、さらに/または脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られたポリイミドを挙げることができる。
【0013】
テトラカルボン酸および/またはその酸無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1' −ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸、3,4,9, 10−ペリレンテトラカルボン酸、4,4'−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4'−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、2,2'−ビス[(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等および/またはその酸無水物等が用いられる。
【0014】
脂肪族一級モノアミンとしては、例えば、炭素数2〜22の飽和または不飽和の直鎖、分岐または脂環系のモノアミンが用いられ、具体的には、エチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0015】
芳香族一級モノアミンとしては、例えば、非置換あるいは炭素数1〜22のアルキル置換の一級アニリンが用いられ、具体的には、アニリン、トルイジン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリン、ペンチルアニリン、ヘキシルアニリン、ヘプチルアニリン、オクチルアニリン、ノニルアニリン、デシルアニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、トリデシルアニリン、テトラデシルアニリン、ペンタデシルアニリン、ヘキサデシルアニリン、ヘプタデシルアニリン、オクタデシルアニリン、ノナデシルアニリン、エイコシルアニリン、ヘネイコシルアニリン、ドコシルアニリンおよびこれらの構造異性体等が用いられる。
【0016】
脂肪族一級ジアミンとしては、例えば、炭素数1〜12のメチレン基で結合された一級ジアミンや脂環基を有するジアミンが用いられ、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,3−ビスアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、m−キシレンジアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0017】
芳香族一級ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、o,m,p−フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン等が用いられる。
【0018】
また、ポリイミド(B)としては、ポリエステル(A)との溶融成形性や取り扱い性などの点から、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであって、かつ、溶融成形性を有するポリマーがさらに好ましく用いられる。例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報などのポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9−48852号公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミド(B)の主鎖に、環状イミド基やエーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族のエステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよいことは無論である。
【0019】
具体的には、例えば下記一般式(I)で表されるエーテル結合を有する単位を含む重合体を挙げることができる。
【0020】
(I):
【化5】
Figure 0004736228
(上記式中R3は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基;R4は6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
【0021】
上記R3、R4としては、例えば、下記式(II)に示される芳香族残基を挙げることができる。
(II):
【化6】
Figure 0004736228
【0022】
本発明では、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドを用いると本発明の効果が得やすく、コスト、溶融成形性等の観点から、米国ゼネラルエレクトリック社が“ULTEM”の商標名で販売しているポリマーが最も好ましく、これは、主として下記式(III)に示す構造単位、または(IV)に示す構造単位からなるポリマーである。
(III):
【化7】
Figure 0004736228
(IV):
【化8】
Figure 0004736228
【0023】
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などの化合物や、無機粒子、有機粒子、他種ポリマーなどを添加してもかまわない。
【0024】
本発明の技術ポイントは、ポリイミドの平均分散径を1〜50nmとすることにある。平均分散径がこの範囲内であれば、強度や寸法安定性などの特性が大幅に向上したフィルムを得ることが可能となる。平均分散径が上記範囲より大きくなるとポリイミドによるポリエステル分子の拘束力が低下するためガラス転移点が低下し、熱寸法安定性が悪化する。さらに良好な物性を得るためには、平均分散径は20nm以下が好ましく、最も好ましくは10nm以下である。また、好ましく用いられるポリイミドの分子量が約20000であるので、その慣性半径を考慮すると、平均分散径を1nm未満とすることは実質的に不可能である。
【0025】
なお、このポリイミドの平均分散径は、例えば、後述するような透過型電子顕微鏡観察によって得られる透過型電子顕微鏡写真を、後述するような手法で画像解析することによって測定することができる。
【0026】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレートを少なくとも主成分とするポリエステル(以下、PET系ポリエステルという)を用いる場合には、補外ガラス転移開始温度(Tg-onset)が90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは95〜130℃、さらに好ましくは100〜120℃の範囲内である。また、Tg-onsetが90℃以上であれば、フィルムの寸法安定性が著しく向上し、さらに、Tg-onsetが150℃以下であれば二軸延伸が容易となるので高強度のフィルムを容易に得るために好ましい。
【0027】
ポリエステル(A)としてPET系ポリエステルを用いる場合には、フィルムの密度ρが1.35〜1.42g/cm3であることが好ましく、より好ましくは1.36〜1.39、さらに好ましくは1.37〜1.38であり、これにより、熱収縮や荷重に対する変形が少なく、寸法安定性に優れた高剛性のポリエステルフィルムを得ることができる。
【0028】
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル(A)としてポリエチレン−2,6−ナフタレートを少なくとも主成分とするポリエステル(以下、PEN系ポリエステルという)を用いる場合には、補外ガラス転移開始温度(Tg-onset)が110〜190℃であることが好ましく、より好ましくは115〜150℃、さらに好ましくは120〜140℃の範囲内である。Tg-onsetが110℃以上であれば、フィルムの寸法安定性が著しく向上し、さらに、Tg-onsetが190℃以下であれば二軸延伸が容易となるので高強度のフィルムを容易に得るために好ましい。
【0029】
ポリエステル(A)としてPEN系ポリエステルを用いる場合には、フィルムの密度ρが1.30〜1.38g/cm3であることが好ましく、より好ましくは1.31〜1.37、さらに好ましくは1.32〜1.36であり、これにより、熱収縮や荷重に対する変形が少なく、寸法安定性に優れた高剛性のポリエステルフィルムを得ることができる。
【0030】
また、ポリエステル(A)の含有量(フィルムを構成する樹脂全体に対する割合)は、得られたポリエステルフィルムを二軸延伸して所望の強度を発現させるために50重量%以上であることが好ましく、該フィルムの熱寸法安定性などの特性を発現させるためには99重量%以下が好ましい。また、より好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%である。
【0031】
フィルム中のポリエステル(A)とポリイミド(B)との比率の測定法としては、次の方法が好ましく用いられる。ポリエステル(A)とポリイミド(B)とのブレンドポリマーを両者を溶解する適切な溶媒に溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル(A)中の芳香族プロトンに相当する吸収(PETでは8.1ppm付近)とポリイミド(B)のプロトンに相当する吸収のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。
【0032】
ポリイミドがポリエーテルイミド(商標名”ウルテム”:GEプラスチックス(株)製)の場合、本発明のポリエステルフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルムのような両者を溶解する適切な溶媒に溶解し、次のような条件で、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル(A)中の芳香族プロトンに相当する吸収(PETでは8.1ppm付近)とポリエーテルイミド(B)のビスフェノールAの芳香族のプロトンに相当する吸収(7.0ppm)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらにポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。
【0033】
また、本発明のポリエステルフィルムの固有粘度(IV)は、フィルムの製膜性、寸法安定性の観点から、0.55〜1.0dl/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.60〜0.80dl/g、最も好ましくは0.65〜0.80dl/gの範囲である。
【0034】
ポリエステル(A)にポリイミド(B)を分散させてなる本発明のフィルムにおいて、相分離により形成される1〜50nmのドメインサイズを存在させるための好ましい製造方法としては、例えば、▲1▼タンデム押出機を用いて混合する方法、▲2▼2種類以上のポリエステルを用いてポリエーテルイミドを微分散させる方法、▲3▼粉砕器でポリエーテルイミドを粉末状に粉砕した後に混合する方法、▲4▼両者を溶媒に溶解し共沈させ、これを二軸押出機に投入してペレット化する方法、▲5▼一方を溶媒に溶かした溶液状とした後に他方に混合する方法が挙げられるが、特に上記▲4▼の方法が好ましい。
【0035】
本発明のフィルムの好ましい製造法としては、まず所定割合のポリエステル(A)とポリイミド(B)を共溶媒に25〜50℃の温度条件下で溶解し、得られた溶液を両者の貧溶媒中に投入し、沈殿物を得る。得られた沈殿物の溶媒を除去した後、2軸押出機に供給して、樹脂ペレットを得る。得られたペレットを単軸押出機などを用いて溶融押出して口金から吐出し、溶融ポリマーを冷却固化させてシート状に成形し、得られたシート状成形物を縦方向および横方向に延伸する。トータル面積倍率(縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率の積)が9〜100倍に延伸された後に、150〜260℃の温度で0.3〜100秒熱固定する方法等が挙げられる。ここで、縦方向と横方向の延伸は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法でもよい。
【0036】
寸法安定性、厚みむら、フィルムの破れ頻度の観点から、トータル面積倍率は10〜70倍がより好ましく、30〜50倍が最も好ましい。また、熱処理の温度は、フィルムの用途にもよるが、180〜245℃がより好ましく、190〜230℃が最も好ましい。熱処理時間はフィルムの寸法安定性および生産性の観点から、0.5〜10秒がより好ましく、1〜5秒が最も好ましい。
【0037】
次に、ポリエステル(A)としてポリエチレンテレフタレート(PET)を使用した場合を例としてより具体的な製造方法を説明するが、以下の記述に限定されないことは無論である。
【0038】
通常の方法により得られたPETペレット(A)とポリイミドのペレット(B)を共に、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム混合溶媒に45℃の条件で溶解する。その後、アセトン中に投入し沈殿物を得る。得られた沈殿物を不活性ガス下で溶媒除去した後、270〜300℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して溶融押出しチップ化する。このときの剪断速度は50〜300sec-1が好ましく、より好ましくは100〜200sec-1、滞留時間は0.5〜10分が好ましく、より好ましくは1〜5分の条件である。
【0039】
得られたポリイミド含有PETチップを、180℃で3時間以上、真空乾燥した後、押出機に投入し、280〜320℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター内を通過させた後、Tダイよりシート状に吐出する。さらに、このシートを表面温度25〜30℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
【0040】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸して、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。ここでは、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸1)、続いてステンターにより横延伸を行い(TD延伸1)、さらにロール縦延伸機で再縦延伸を行い(MD延伸2)、再度ステンターにより横延伸を行う(TD延伸2)という二軸延伸方法を用いる場合について説明する。
【0041】
まず、未延伸フィルムを(Tg−100)〜(Tg+100)(℃)の範囲、好ましくは(Tg−50)〜(Tg+50)(℃)の範囲、さらに好ましくは(Tg−30)〜(Tg+30)(℃)の範囲にある加熱ロール群で加熱し、長手方向に1.1〜5.0倍、好ましくは1.5〜4.0倍、さらに好ましくは2.0〜3.5倍に延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する(MD延伸1)。次に、ステンターを用いて、幅方向の延伸を行う。延伸倍率は2.0〜6.0倍、好ましくは3.0〜5.5倍、さらに好ましくは4.0〜5.0倍、温度は(Tg−100)〜(Tg+100)(℃)の範囲、好ましくは(Tg−50)〜(Tg+50)(℃)の範囲、さらに好ましくは(Tg−30)〜(Tg+30)(℃)の範囲で行う(TD延伸1)。
【0042】
さらに、フィルムを(Tg−100)〜(Tg+100)(℃)の範囲、好ましくは(Tg−50)〜(Tg+50)(℃)の範囲、さらに好ましくは(Tg−30)〜(Tg+30)(℃)の範囲にある加熱ロール群で加熱し、長手方向に1.1〜4.0倍、好ましくは1.4〜3.0倍、さらに好ましくは1.6〜2.5倍に再縦延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する(MD延伸2)。
【0043】
次に、ステンターを用いて再び幅方向の延伸を行う。延伸倍率は1.1〜3.0倍、好ましくは1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.3〜2.0倍、温度はTg〜250(℃)の範囲、好ましくは(Tg+20)〜240(℃)の範囲、さらに好ましくは(Tg+40)〜220(℃)の範囲で行う(TD延伸2)。必要に応じて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら、150〜250℃、好ましくは170〜240℃、さらに好ましくは160〜220℃の範囲で熱処理する。その後、室温に冷却後、フィルムエッジを除去し、本発明の二軸延伸フィルムを得ることができる。
【0044】
なお、上記におけるTgはフィルムを構成する樹脂組成物のガラス転移温度(℃)である。
【0045】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
物性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)ポリイミド(B)の平均分散径
<透過型電子顕微鏡観察>
装置 :透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)
条件 :加速電圧 100kV
試料調製:超薄切片法
試料厚み:50nm
【0046】
<画像解析>
各試料の透過型電子顕微鏡写真をスキャナーにてコンピューターに取り込んだ。その後、専用ソフト(プラネトロン社製 Image Pro Plus Ver. 4.0)にて画像解析を行った。トーンカーブを操作することにより、明るさとコントラストを調整し、その後ガウスフィルターを用いて得た画像の高コントラスト成分の円相当径のうちをランダムに100点観察し、その平均値を平均分散径とした。ここで、透過型電子顕微鏡写真のネガ写真を使用する場合には、上記スキャナーとして日本サイテックス社製 Leafscan 45 Plug-Inを用い(ポリエーテルイミド使用の実施例・比較例の場合)、透過型電子顕微鏡のポジを使用する場合には、上記スキャナーとしてセイコーエプソン製 GT-7600Sを用いるが、そのいずれでも同等の値が得られる。
画像処理の手順及びパラメータ:
▲1▼平坦化1回
▲2▼コントラスト+30
▲3▼ガウス1回
▲4▼コントラスト+30、輝度−10
▲5▼ガウス1回
平面化フィルター:背景(黒)、オブジェクト幅(20pix)
ガウスフィルター:サイズ(7)、強さ(10)
【0047】
(2)補外ガラス転移開始温度(Tg-onset)、ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121に従って決定した。
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
【0048】
(3)密度
JIS−K−7112の密度勾配管法により、臭化ナトリウム水溶液を用いてフィルムの密度を測定した。
(4)ポリエステルフィルム中のポリイミド含有量測定
ポリエステルとポリイミドとの両者を溶解する適切な溶媒(例えば、HFIP/重クロロホルム)に溶解し、1H核のNMRスペクトルを測定する。得られたスペクトルで、ポリエステル、ポリイミドに特有の吸収(例えばPETであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収、ポリイミドはイミド芳香族のプロトンの吸収)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブレンドのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
【0049】
装置 :BRUKER DRX-500(ブルカー社)
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisiton time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を行ってもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、あらかじめ重量比既知のサンプルで検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。これと、粒子含有量よりPEI比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。
【0050】
(5)固有粘度[η]
25℃で、オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃度で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。単位は[dl/g]で示す。
【0051】
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
【0052】
(6)ヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
【0053】
(7)熱収縮率
JIS C2318に従って、測定した。
試料サイズ:幅10mm、標線間隔200mm
測定条件:温度100℃、処理時間30分、無荷重状態
100℃熱収縮率を次式より求めた。
熱収縮率(%)=[(L0−L)/L0]×100
0:加熱処理前の標線間隔
L:加熱処理後の標線間隔
【0054】
【実施例】
本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。
【0055】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)のペレット(90重量%)とポリエーテルイミドのペレット(“Ultem”1010(General Electric社製、登録商標))(10重量%)を共に、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム混合溶媒に10重量%(樹脂全体の重量/混合溶媒の重量)の濃度で溶解する。その後、アセトン中に投入し沈殿物を得る。得られた沈殿物を180℃窒素雰囲気下で3時間静置することにより溶媒を除去する。次に、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを10重量%含有したポリエステルチップを得た。
【0056】
得られたポリエーテルイミド含有チップを、180℃で3時間真空乾燥した後、押出機に投入し、285℃にて溶融押出し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、まず、数本のロールの周速差を利用して、115℃の温度で縦方向に3.4倍の倍率で延伸した後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、第1テンターに導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.75倍でフィルムの幅方向に延伸した。次いで、該縦横に延伸したフィルムを、さらにロール縦延伸機で延伸温度145℃の温度で、1.7倍の再縦延伸を行った。その後、さらにフィルムを第2ステンターに導き、190℃の温度で1.22倍の倍率で再横延伸を施し、引き続いて210℃の温度で熱処理を行った後、150℃の温度ゾーンで横方向に3%、100℃の温度ゾーンで横方向に1%の弛緩処理を行い、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去することにより二軸配向フィルムを得た。
【0057】
得られたフィルム中のポリエーテルイミドの平均分散径は5.1nmであったため、剛性に優れ、且つ100℃熱収縮率の小さいフィルムであった。
【0058】
実施例2〜4
PETとPEIの重量分率を変更した以外は、実施例1と同様に製膜を行った。得られたフィルム中のポリエーテルイミドの平均分散径は本発明の範囲内であったため、剛性に優れ、且つ100℃熱収縮率の小さいフィルムであった。
【0059】
比較例1
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)のペレット(90重量%)とポリエーテルイミドのペレット(“Ultem”1010(General Electric社製、登録商標))(10重量%)をブレンドし、180℃で3時間真空乾燥した後、そのまま285℃に加熱した押出機に投入した。繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化した。得られた未延伸フィルムは、透明性に劣った白濁したフィルムであった。この未延伸フィルムを、常法に従い二軸延伸を行うことにより二軸配向フィルムを得た。
得られたフィルム中のポリエーテルイミドの平均分散径は200nmであり、100℃熱収縮率に劣ったフィルムしか得られなかった。
【0060】
比較例2
常法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.85)のペレット(50重量%)とポリエーテルイミドのペレット(“Ultem”1010(General Electric社製、登録商標))(50重量%)を、280℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給して溶融押出し、ポリエーテルイミドを50重量%含有したチップ(I)を得た。得られたポリエーテルイミド含有チップ(I)とポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62)を40:60の比でドライブレンドし、180℃で3時間真空乾燥した後、そのまま285℃に加熱した押出機に投入した。繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化した。得られた未延伸フィルムは、透明性に劣った白濁したフィルムであった。この未延伸フィルムを、常法に従い二軸延伸を行うことにより二軸配向フィルムを得た。
得られたフィルム中のポリエーテルイミドの平均分散径は150nmであり、100℃熱収縮率に劣ったフィルムしか得られなかった。
【0061】
比較例3
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)のペレット(100重量%)を180℃で3時間真空乾燥した後、285℃に加熱した押出機に投入した。繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化した。この未延伸フィルムを、常法に従い二軸延伸を行うことにより二軸配向フィルムを得た。
得られたフィルムは、100℃熱収縮率に劣ったフィルムであった。
【0062】
比較例4
ポリエーテルイミドのペレット(“Ultem”1010(General Electric社製、登録商標))(100重量%)を180℃で3時間真空乾燥した後、350℃に加熱した押出機に投入した。繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化した。この未延伸フィルムを、常法に従い二軸延伸を行うことにより二軸配向フィルムを得た。
得られたフィルムは、剛性に劣ったフィルムであった。
【0063】
実施例5〜7
ポリエステル(A)としてポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度0.65)を用いた以外は、実施例1と同様に製膜を行った。得られたフィルム中のポリエーテルイミドの平均分散径は本発明の範囲内であったため、剛性に優れ、且つ100℃熱収縮率の小さいフィルムであった。
【0064】
比較例5
ポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度0.65)のペレット(90重量%)とポリエーテルイミドのペレット(“Ultem”1010(General Electric社製、登録商標))(10重量%)をブレンドし、180℃で3時間真空乾燥した後、そのまま285℃に加熱した押出機に投入した。繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化した。得られた未延伸フィルムは、透明性に劣った白濁したフィルムであった。この未延伸フィルムを、常法に従い二軸延伸を行うことにより二軸配向フィルムを得た。
得られたフィルム中のポリエーテルイミドの平均分散径は180nmであり、100℃熱収縮率に劣ったフィルムしか得られなかった。
【0065】
比較例6
ポリエチレン−2,6−ナフタレート(固有粘度0.65)のペレット(100重量%)を180℃で3時間真空乾燥した後、285℃に加熱した押出機に投入した。繊維焼結ステンレス金属フィルター(5μmカット)内を剪断速度10秒-1で通過させた後、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に、5m/分の速度で密着させて冷却固化した。この未延伸フィルムを、常法に従い二軸延伸を行うことにより二軸配向フィルムを得た。
得られたフィルムは、100℃熱収縮率に劣ったフィルムであった。
【0066】
実施例8,9
本実施例ではポリエーテルイミド“ウルテム”以外の下記ポリイミドA,Bを使用して作成した二軸配向ポリエステルフィルムの例を示す。
(1)ポリイミドA
イソホロンジイソシアネート200gを窒素雰囲気下でN−メチルー2−ピロリドン(NMP)3000ml中に添加し攪拌する。次いで、この溶液に無水ピロメリット酸196gを室温で添加した後、徐々に昇温する。その後、180℃で6時間加熱すると、二酸化炭素の発生が終了したので加熱を止めた。このポリマー溶液を水中に展開して洗浄した後、ここで得られたポリマーを乾燥しポリイミドAを得た。
【0067】
(2)ポリイミドB
窒素気流下にて、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147g(0.5mol)をN−メチル−2−ピロリドン300gに投入した。この溶液に、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン57g(0.5mol)をNMP17.6gに溶解したものを滴下し、室温で2時間、さらに50℃で4時間攪拌しポリアミド酸溶液を得た。この溶液を冷却後、水500mlに投入し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾取し、窒素中、250℃で2時間熱処理し、目的のポリイミドBを得た。
【0068】
ここで得たポリイミドA,Bをポリエーテルイミド“ウルテム”の代わりに使用した以外は実施例1と同様の方法で製膜し、厚さ6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。なお、実施例8はポリイミドAを10重量%添加したフィルムであり、実施例9はポリイミドBを10重量%添加したフィルムである。
この二軸配向ポリエステルフィルムの組成・特性等は、表1に示したとおりであり、剛性に優れ、且つ100℃熱収縮率の小さいフィルムであった。
【0069】
【表1】
Figure 0004736228
【0070】
【表2】
Figure 0004736228
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリエステルとポリイミドからなり、剛性と熱寸法安定性が大幅に向上したフィルムが得られる。
【0072】
本発明のフィルムは、磁気テープのベースフィルムとして利用した場合に走行耐久性、保存性を大幅に改良するものである。また、リボン、コンデンサー、フロッピーディスクなど各種用途に対しても広く活用可能である。

Claims (10)

  1. ポリエステル(A)にポリイミド(B)が分散してなり、かつ、ポリイミドの平均分散径が1〜50nmであることを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. ポリイミド(B)がポリエーテルイミドであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. ポリエステル(A)が、ポリエチレンテレフタレートを少なくとも主成分とするポリエステルである請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 補外ガラス転移開始温度(Tg−onset)が90〜150℃である請求項3に記載のポリエステルフィルム。
  5. 密度が1.35〜1.42g/cm3である請求項3または4に記載のポリエステルフィルム。
  6. ポリエステル(A)が、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを少なくとも主成分とするポリエステルである請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  7. 補外ガラス転移温度(Tg−onset)が110〜190℃である請求項6に記載のポリエステルフィルム。
  8. 密度が1.30〜1.38g/cm3である請求項6または7に記載のポリエステルフィルム。
  9. ポリエステル(A)の含有量が50〜95重量%である請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  10. 固有粘度が0.5〜1.5dl/gである請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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