JP4894298B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材とその上に形成された無機微粒子層とを有する積層体の製造方法、および基材上に無機微粒子層を形成して基材の傷つきを防止する方法に関する。
熱可塑性樹脂で構成される成形品は、一般に帯電防止性に劣り汚れが付着しやすい。熱可塑性樹脂からなり、汚れの付着を防止した成形品として、熱可塑性樹脂層上に無機コロイドを含む液を塗布し、次いで媒体を除去して前記無機コロイド由来の無機微粒子層を形成させて製造される汚れ防止性フィルムが特許文献1に開示されている。
特開2004−307856号公報
しかしながら前記の汚れ防止性フィルムは、無機微粒子同士の接着力が不十分であり、フィルムの変形や摩擦力などの外的力の作用などによって無機微粒子層が欠落することがあった。
上記のような従来技術の問題に鑑みて本発明は、基材上に強度に優れる無機微粒子層が形成された積層体の製造方法を提供しようとするものである。さらに本発明は、基材上に強度に優れる無機微粒子層を形成することにより、基材の傷つきを防止する方法を提供しようとするものである。
本発明は、
下記の条件(1)〜(3)を全て満たす無機微粒子(A)および無機微粒子(B)が液体分散媒中に分散している混合無機微粒子分散液を調製すること、
該混合無機微粒子分散液を基材上に塗布すること、および
前記基材に塗布した前記分散液から分散媒を除去して基材上に無機微粒子層を形成すること
を含む、基材と、その上に形成された無機微粒子層とを有する積層体の製造方法を提供する。
(1)無機微粒子(A)の平均粒子径Daが1〜20nmであり、無機微粒子(B)の平均粒子径Dbが30〜300nmであり、かつDa≦0.15Dbである。
(2)0.01≦Va/(Va+Vb)≦0.40であり、かつ0.60≦Vb/(Va+Vb)≦0.99である。
(但し、VaおよびVbは、それぞれ、混合無機微粒子分散液の調製に使用した無機微粒子(A)と(B)の体積の合計に対する、無機微粒子(A)の体積の分率および無機微粒子(B)の体積の分率である。)
(3)0.01≦(Wa+Wb)/Wt≦0.20である。
(但し、Waは混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量であり、Wbは混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量であり、Wtは混合無機微粒子分散液の重量である。)
さらに本発明は、下記の条件(1)〜(3)を全て満たす無機微粒子(A)および無機微粒子(B)が液体分散媒中に分散している混合無機微粒子分散液を調製すること、
該混合無機微粒子分散液を基材上に塗布すること、および
前記基材に塗布した前記分散液から液体分散媒を除去して基材上に無機微粒子層を形成すること
を含む、基材上に無機微粒子層を形成して該基材の傷つきを防止する方法を提供する。
(1)無機微粒子(A)の平均粒子径Daが1〜20nm、無機微粒子(B)の平均粒子径Dbが30〜300nmであり、かつDa≦0.15Db
(2)0.01≦Vca/(Vca+Vcb)≦0.40、かつ0.60≦Vcb/(Vca+Vcb)≦0.99
但し、Vca=Wa/da、Vcb=Wb/dbであり、ここでWa:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量、Wb:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量、da:無機微粒子(A)の密度、db:無機微粒子(B)の密度
(3)0.01≦(Wa+Wb)/Wt≦0.20
但し、Wt:混合無機微粒子分散液の重量
本発明によれば、基材上に膜強度に優れる無機微粒子層が形成された積層体を製造することができる。また本発明によれば、基材の傷つきを防止することができる。
本発明で用いる基材の素材はガラスや金属部材等の硬質材料でもよいが、加工・取扱の容易さから熱可塑性樹脂が好ましい。基材を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンおよび/またはα−オレフィンと他の重合性単量体との共重合体などのオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂;テトラフルオロエチレンの単独重合体、テトラフルオロエチレンと他の重合性単量体(例えばエチレンやα−オレフィンなど)との共重合体などのフッ素含有樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリメタクリル酸メチルやメタクリル酸メチルと他の重合性単量体との共重合体などのアクリル系樹脂;ポリスチレンやスチレンと他の重合性単量体との共重合体などのスチレン系樹脂;トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド樹脂;ウレタン系樹脂;これらの混合物などが挙げられる。
透明性に優れた積層体の製造には、オレフィン系樹脂、塩素含有樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる基材を使用することが好ましい。
基材は、単一の層からなる単層基材であってもよく、また、2層以上の層からなる多層基材であってもよい。多層基材の例としては、各々が熱可塑性樹脂からなる2以上の層からなる多層基材や、熱可塑性樹脂からなる一層以上の層と、熱可塑性樹脂以外の材料(例えば金属)からなる一層以上の層とからなる複合多層基材が挙げられる。
基材の形状、大きさ、厚さは特に限定されるものではない。
本発明で使用する混合無機微粒子分散液は、下記の条件(1)、(2)および(3)を満たす。
(1)無機微粒子(A)の平均粒子径Daが1〜20nmであり、無機微粒子(B)の平均粒子径Dbが30〜300nmであり、かつDa≦0.15Dbである。
(2)0.01≦Va/(Va+Vb)≦0.40であり、かつ0.60≦Vb/(Va+Vb)≦0.99である。
(但し、VaおよびVbは、それぞれ、混合無機微粒子分散液の調製に使用した無機微粒子(A)と(B)の体積の合計に対する、無機微粒子(A)の体積の分率および無機微粒子(B)の体積の分率である。)
(3)0.01≦(Wa+Wb)/Wt≦0.20である。
(但し、Waは混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量であり、Wbは混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量であり、Wtは混合無機微粒子分散液の重量である。)
前記混合無機微粒子分散液の調製では、平均粒子径Daが1〜20nmである無機微粒子(A)と、平均粒子径Dbが30〜300nmである無機微粒子(B)とをDa≦0.15Dbを満たすように選択し、これらを上記条件(2)および(3)を満たすような量関係で混合する。
無機微粒子(A)の化学組成と無機微粒子(B)の化学組成とは同じであってもよく、また異なってもよい。無機微粒子(A)および無機微粒子(B)として使用される無機微粒子の例としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子、金属炭酸塩微粒子、金属硫酸塩微粒子等が挙げられる。金属微粒子の金属元素としては、金、パラジウム、白金、銀などが例示される。金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子、金属炭酸塩微粒子、金属硫酸塩微粒子における金属元素としては、珪素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、セリウム、ニッケル、スズなどが例示される。形成される無機微粒子層の均一さと緻密さの観点からは、金属酸化物微粒子または金属水酸化物微粒子を用いることが好ましく、特に珪素またはアルミニウムの酸化物微粒子もしくは水酸化物微粒子が好ましい。このような無機微粒子を用いることにより、無機微粒子が極めて緻密にかつ均一に充填された無機微粒子層を設けることができる。透明性に優れた無機微粒子層を形成するためには、無機微粒子(A)および無機微粒子(B)として、シリカ微粒子を用いることがより好ましい。
混合無機微粒子分散液は、典型的には、例えば下記[1]〜[5]のいずれかの方法により調製することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
[1]無機微粒子(A)の粉末と無機微粒子(B)の粉末とを同時に共通の液体分散媒中に添加し、分散させる方法。
[2]無機微粒子(A)を第一の液体分散媒中に分散させて第一の分散液を調製し、別途、無機微粒子(B)を第二の液体分散媒中に分散させて第二の分散液を調製し、次いで第一および第二の分散液を混合する方法。
[3]無機微粒子(A)を液体分散媒中に分散させて分散液を調製し、次いで該分散液に無機微粒子(B)の粉末を添加し、分散させる方法。
[4]無機微粒子(B)を液体分散媒中に分散させて分散液を調製し、次いで該分散液に無機微粒子(A)の粉末を添加し、分散させる方法。
[5]分散媒中で粒成長させて無機微粒子(A)を含有する第一の分散液を調製し、別途、分散媒中で粒成長させて無機微粒子(B)を含有する第二の分散液を調製し、次いで第一および第二の分散液を混合する方法。
超音波分散、超高圧分散等の強分散手法を適用することにより、混合無機微粒子分散液中において、無機微粒子を特に均一に分散させることが出来る。
より均一な分散を達成するために、混合無機微粒子分散液の調製に使用する無機微粒子(A)の分散液や無機微粒子(B)の分散液や、最終的に得られる混合無機微粒子分散液中で無機微粒子はコロイド状態であることが好ましい。
前記[2]、[3]、[4]または[5]の方法において、無機微粒子(A)の分散液、無機微粒子(B)の分散液、または無機微粒子(A)の分散液と無機微粒子(B)の分散液の両方がコロイダルアルミナである場合には、陽性に帯電するアルミナ粒子を安定化させるため、コロイダルアルミナ中に塩素イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどの陰イオンを対アニオンとして添加することが好ましい。コロイダルアルミナのpHは特に限定されるものではないが、分散液の安定性の観点からpH2〜6であることが好ましい。
また、前記[1]の方法においても、無機微粒子(A)および無機微粒子(B)の少なくとも一方がアルミナであって、混合無機微粒子分散液がコロイド状態である場合には、該混合無機微粒子分散液に塩素イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどの陰イオンを添加することが好ましい。
前記[2]、[3]、[4]または[5]の方法において、無機微粒子(A)の分散液、無機微粒子(B)の分散液、または無機微粒子(A)の分散液と無機微粒子(B)の分散液の両方がコロイダルシリカである場合には、陰性に帯電するシリカ粒子を安定化させるため、コロイダルシリカ中にアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンなどの陽イオンを対カチオンとして添加することが好ましい。コロイダルシリカのpHは特に限定されるものではないが、分散液の安定性の観点からpH8〜11であることが好ましい。
また、前記[1]の方法においても、無機微粒子(A)および無機微粒子(B)のうちの少なくとも一つがシリカであって、混合無機微粒子分散液がコロイド状態である場合には、該混合無機微粒子分散液にアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンなどの陽イオンを添加することが好ましい。
本発明において、無機微粒子(A)の平均粒子径Daは1〜20nmであり、無機微粒子(B)の平均粒子径Dbは30〜300nmであり、かつDa≦0.15Dbであることが必要である。ここで、無機微粒子(A)の平均粒子径Daは動的光散乱法またはシアーズ法により求められる。動的光散乱法による平均粒子径の測定は、市販の粒度分布測定装置を使用して行なうことができる。シアーズ法とは、Analytical Chemistry,vol.28,P.1981−1983,1956に記載された方法であって、シリカ粒子の平均粒子径の測定に適用される分析手法であり、pH=3のコロイダルシリカ分散液をpH=9にするまでに消費されるNaOHの量から表面積を求め、求めた表面積から球相当径を算出する方法である。このようにして求められた球相当径を平均粒子径とする。また、無機微粒子(B)の平均粒子径DbはBET法またはレーザー回折散乱法で求められる球相当径である。
本発明で用いる混合無機微粒子分散液は、下記の条件(2)を満たさなければならない。
(2)0.01≦Va/(Va+Vb)≦0.40であり、かつ0.60≦Vb/(Va+Vb)≦0.99である。
但し、VaおよびVbは、それぞれ、混合無機微粒子分散液の調製に使用した無機微粒子(A)と(B)の体積の合計に対する、無機微粒子(A)の体積の分率および無機微粒子(B)の体積の分率である。
無機微粒子(A)および(B)の体積分率は、それぞれの無機微粒子の密度と質量とから算出することができる。すなわち、Vca=Wa/da、Vcb=Wb/dbであり、Wa:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量、Wb:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量、da:無機微粒子(A)の密度、db:無機微粒子(B)の密度 である。無機微粒子の密度は定容積膨張法で求めることができる。なお、無機微粒子(A)および(B)が同じ化学種であれば、一般に、無機微粒子(A)および(B)の体積分率は、無機微粒子(A)および(B)の重量分率と等しいため、式(2)におけるVaをWaに、VbをWbに置き換えることができる。この条件(2)は、混合無機微粒子分散液の調製に使用する無機微粒子(A)および無機微粒子(B)のそれぞれの密度と量を適宜選択することにより充足させることができる。
本発明で用いる混合無機微粒子分散液は、下記の条件(3)を満たさなければならない。
(3)0.01≦(Wa+Wb)/Wt≦0.20
但し、Waは混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量であり、Wbは混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量であり、Wtは混合無機微粒子分散液の重量である。この条件(3)は、混合無機微粒子分散液の調製に使用する無機微粒子(A)、無機微粒子(B)および液体分散媒の量を適宜選択することにより充足させることができる。
本発明において、混合無機微粒子分散液には、無機微粒子の分散の安定化などを目的として、例えば界面活性剤、有機系電解質などの添加剤を添加してもよい。
混合無機微粒子分散液が界面活性剤を含む場合、その含有量は液体分散媒100重量部に対し、通常0.1重量部以下である。用いられる界面活性剤は特に限定されるものではなく、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、具体的にはカプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、デカン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、炭素原子数6〜10のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、臭化−N−オクタデシルピリジニウム、臭化セチルトリエチルホスホニウムなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
混合無機微粒子分散液が有機系電解質を含む場合、その含有量は分散媒100重量部に対し、通常0.01重量部以下である。本発明における有機系電解質とは、電離性イオン性基を有する有機化合物のうちで界面活性剤でないものを指す。例えば、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルスルホン酸カリウム、フェニルホスフィン酸ナトリウム、ジエチルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。該有機系電解質はベンゼンスルホン酸誘導体であることが好ましい。
本発明において、基材上に混合無機微粒子分散液を塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えば、基材表面に、グラビアコーティング、リバースコーティング、刷毛ロールコーティング、スプレーコーティング、キスコーティング、ダイコーティング、ディッピング、バーコーティングなどの公知の方法で塗布することができる。混合無機微粒子分散液の塗布量は特に限定されるものではないが、1回の塗工で塗布する量は、分散液の状態で1〜20g/m2であることが好ましい。
基材に混合無機微粒子分散液を塗布する前に、基材表面にコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、フレーム処理、電子線処理、アンカーコート処理、洗浄処理などの前処理を行なうことが好ましい。
また、ベース材に本発明で用いる混合無機微粒子分散液とは異なる無機物含有液をベース材に塗布し、乾燥することにより、該ベース材上に無機物被膜を形成して調製した積層物を基材として使用してもよい。ベース材としては、先に基材として例示したものを使用することができる。無機物含有液としては、コロイダルアルミナ、コロイダルシリカおよび分散媒に膨潤及びへき開する性質を有する粘土系鉱物を含有する液が好適に用いられる。
基材上に塗布した混合無機微粒子分散液から、適宜の方法により液体分散媒を除去することにより、基材上に無機微粒子層を形成する。液体分散媒の除去は、例えば、常圧下、または減圧下における加熱により行なうことができる。液体分散媒を除去する際の圧力、加熱温度は、使用する無機微粒子(A)、無機微粒子(B)および液体分散媒に応じて適宜選択することができる。例えば、分散媒が水であるときは、一般的には50〜80℃で、好ましくは約60℃で乾燥することができる。
本発明では、基材の種類や、無機微粒子層の形成に使用する無機微粒子(A)および無機微粒子(B)の種類を適宜選択することにより、様々な用途に適した積層体を製造することができる。例えば無機微粒子として、一般に光半導体と称されるような酸化チタンを用いた場合には、得られる積層体は特定の光線吸収バンドを有する膜となり、光線透過制御性に優れる材料として好適である。
細孔を有する無機微粒子を用いる場合には、光学的、電子的、磁気的、生物学的などの機能付与を目的に、前記細孔に目的に応じた材料を導入してもよい。細孔に材料を導入する場合には、無機微粒子層の形成前の無機微粒子に導入してもよいし、基材上に形成された無機微粒子層を構成する無機微粒子に導入してもよい。
前記した方法で基材上に形成される無機微粒子層は、膜強度に優れるため、基材の傷つきを防止することができる。特に基材にトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂を用いた場合、前記無機微粒子層は、LCD、PDP、CRT、有機EL、無機EL、FEDのような各種ディスプレイ表面を保護するハードコート材として好適である。
本発明における無機微粒子層をハードコート材として使用する場合は、表面での反射光に起因する視認性の低下を防ぐため、必要に応じて該無機微粒子層上に反射防止膜や防眩膜を積層してもよい。
本発明における無機微粒子層は膜強度に優れるため、該無機微粒子層を積層する基材として透明性に優れる熱可塑性樹脂基材を選択することにより、該積層体を各種ディスプレイのガラス代替材料として、具体的には透明基板や、建造物や自動車の窓ガラス、自動車の外板等として利用することができる。
本発明の積層体を構成する無機微粒子層の厚みは特に限定されず、目的とする強度によって適宜設定することができる。なお、基材上に無機微粒子層を積層して該基材の傷つきを防止する場合、すなわち前記無機微粒子層をハードコート材として使用する場合には、無機微粒子層の膜厚を0.5μm〜10μmとすることが好ましい。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。なお実施例及び比較例中の試験方法は次の通りである。また、各実施例および比較例における無機微粒子の平均粒子径と、混合無機微粒子分散液中の各無機微粒子の全無機微粒子に対する体積分率は表1にまとめた。なお、全ての例において、無機微粒子層の形成に使用した無機微粒子(A)および(B)は、共にシリカであったので、各無機微粒子の重量分率を体積分率として使用した。製造した積層体の評価結果は表2にまとめた。
<無機微粒子層の表面観察>
走査型電子顕微鏡(SEM)により表面観察を行ない、そのSEM像に基づいて無機微粒子層の均一性と緻密性を評価した。
<無機微粒子層の膜強度評価>
積層体の無機微粒子層について、以下の方法で膜強度の評価を行った。
キムワイプ(商品名:クレシア社製)で無機微粒子層表面を20往復こすり、こする前と後のHaze値の変化の大きさを求めた。変化が小さいほど、膜強度に優れる。HazeはJIS K7105に従い、直読式ヘーズコンピューター(HGM−2DP;C光源;スガ試験機製)を用いて測定した。
<鉛筆硬度評価>
JISK5400に準拠し、荷重500gfにて測定を行った。
<耐擦傷性評価>
#0000のスチールウールを用いて荷重200gf/cm2にて10往復行ない、傷の有無を目視観察した。
<基材>
A層、B層およびC層がこの順に積層された3層フィルム(総厚み:130μm)をベース材として用いた。A層、B層およびC層は、それぞれ、ポリエチレン樹脂(商品名:スミカセン F208−0;住友化学社製)、エチレン/ヘキセン−1共重合体(商品名:エクセレンFX CX2001;住友化学社製)をB層、他のエチレン/ヘキセン−1共重合体(商品名:スミカセンE FV201;住友化学社製)で構成されていた。各層の厚みの割合は、A層/B層/C層=2/6/2であった。
99重量部のイオン交換水に1重量部の合成サポナイト(商品名:スメクトンSA;クニミネ工業株式会社製)を分散させて第一の分散液を調製した。次いで、この第一の分散液9.000重量%、コロイダルアルミナ(商品名:アルミナゾル520、BET法により測定した平均粒子径:20nm、固形分濃度20重量%;分散媒:水;日産化学工業株式会社製)9.000重量%、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス20、BET法により測定した平均粒子径:20nm、固形分濃度20重量%;分散媒:水;日産化学工業株式会社製)2.400重量%、カプリル酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)0.014重量%、p−トルエンスルホン酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.002重量%、イオン交換水79.584重量%を混合して、第二の分散液を調製した。前記ベース材のC層の表面にコロナ処理を施した後に、該コロナ処理面に前記第二の分散液を塗布し、乾燥することにより、C層の表面に予備被覆層を形成させた。なお、第二の分散液の塗布量は、乾燥後のC層表面の単位面積当たりの予備被覆層の重量が0.2g/m2となるように調整した。また、乾燥はドライヤー温度=60℃にて行った。このようにして得られた被覆フィルムを以下の実施例および比較例において基材として使用した。
[実施例1]
無機微粒子(A)としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−XS;シアーズ法による平均粒子径4〜6nm;固形分濃度20重量%;分散媒:水;日産化学工業株式会社製)15g、および無機微粒子(B)としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスST−ZL;BET比表面積法による平均粒子径78nm;固形分濃度40wt%;分散媒:水;日産化学工業株式会社製)25gを60gの水と混合し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。上記混合無機微粒子分散液中の全無機微粒子に占める無機微粒子(A)および(B)の割合は表1のとおりであった。該混合無機微粒子分散液を、基材の予備被覆層上にバーコーターを用いて塗布した。その後、60℃で乾燥して分散媒を除去し、基材上に無機微粒子層が積層された積層体を得た。得られた積層体の無機微粒子層は、均一性、緻密性に優れており(図1を参照)、強度にも優れていた。
[実施例2]
無機微粒子(A)としてスノーテックスST−XSを5g、無機微粒子(B)としてスノーテックスST−ZLを25g、70gの水と混合し、マグネチックスターラーを用いて撹拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。上記混合無機微粒子分散液中の全無機微粒子に占める無機微粒子(A)および(B)の割合は表1のとおりであった。該混合無機微粒子分散液を、基材の予備被覆層上にバーコーターを用いて塗布した。その後、60℃で乾燥して分散媒を除去し、基材上に無機微粒子層が積層された積層体を得た。得られた積層体の無機微粒子層は、均一性、緻密性に優れており(図2を参照)、強度にも優れていた。
[実施例3]
無機微粒子(A)として日産化学社製コロイダルシリカ(スノーテックスST−XS(平均粒径4〜6nm、固形分濃度20重量%)を650g、無機微粒子(B)として日産化学社製コロイダルシリカ(スノーテックスST−ZL(平均粒径78nm、固形分濃度40wt%)を1300g秤量し、4550gの水と混合、攪拌し、混合無機微粒子分散液を調製した。上記混合無機微粒子分散液中の全無機微粒子に占める無機微粒子(A)および(B)の割合は表1のとおりである。該混合無機微粒子分散液を、富士フィルム社製トリアセチルセルロースフィルム上にマイクログラビアロール(株式会社康井精機社製、120メッシュ)を用いて塗布し、60℃で乾燥した。該積層体上にさらに塗布および乾燥の操作をそれぞれ9回行い、基材上に無機微粒子層が積層されてなる積層体を得た。なお本実施例に用いたトリアセチルセルロースフィルムの鉛筆硬度はHB、耐擦傷性評価の結果、スチールウールによる多数の傷により白化した。本実施例で得られた積層体の鉛筆硬度は3H、耐擦傷性評価の結果、傷は無く、ハードコートフィルムとして好適であった。
[比較例1]
無機微粒子(B)としてスノーテックスST−ZLを25g、75gの水と混合し、マグネチックスターラーを用いて撹拌し、無機微粒子分散液を調製した。上記無機微粒子分散液中の全無機微粒子に占める無機微粒子(B)の割合は表1のとおりであった。該無機微粒子分散液を、基材の予備被覆層上にバーコーターを用いて塗布した。その後、60℃で乾燥して分散媒を除去し、基材上に無機微粒子層が積層された積層体を得た。得られた積層体における無機微粒子(B)のみからなる無機微粒子層は、均一性には優れるものの緻密性には劣り(図3を参照)、膜強度も低かった。
Figure 0004894298
V=Vca+Vcb
Figure 0004894298
実施例1で得られた積層体の無機微粒子層表面のSEM写真 実施例2で得られた積層体の無機微粒子層表面のSEM写真 比較例1で得られた積層体の無機微粒子層表面のSEM写真
符号の説明
1 無機微粒子層
2 基材

Claims (3)

  1. 下記の条件(1)〜(3)を全て満たす無機微粒子(A)および無機微粒子(B)が液体分散媒中に分散している混合無機微粒子分散液を調製すること、
    該混合無機微粒子分散液を基材上に塗布すること、および
    前記基材に塗布した前記分散液から液体分散媒を除去して基材上に無機微粒子層を形成すること
    を含む、基材上に無機微粒子層が形成された積層体の製造方法。
    (1)無機微粒子(A)の平均粒子径Daが1〜20nm、無機微粒子(B)の平均粒子径Dbが30〜300nmであり、かつDa≦0.15Db
    (2)0.0≦Vca/(Vca+Vcb)≦0.40、かつ0.60≦Vcb/(Vca+Vcb)≦0.9
    但し、Vca=Wa/da、Vcb=Wb/dbであり、ここでWa:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量、Wb:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量、da:無機微粒子(A)の密度、db:無機微粒子(B)の密度
    (3)0.01≦(Wa+Wb)/Wt≦0.20
    但し、Wt:混合無機微粒子分散液の重量
  2. 無機微粒子(A)および無機微粒子(B)がシリカである請求項1に記載の方法。
  3. 下記の条件(1)〜(3)を全て満たす無機微粒子(A)および無機微粒子(B)が液体分散媒中に分散している混合無機微粒子分散液を調製すること、
    該混合無機微粒子分散液を基材上に塗布すること、および
    前記基材に塗布した前記分散液から液体分散媒を除去して基材上に無機微粒子層を形成すること
    を含む、基材上に無機微粒子層を形成して該基材の傷つきを防止する方法。
    (1)無機微粒子(A)の平均粒子径Daが1〜20nm、無機微粒子(B)の平均粒子径Dbが30〜300nmであり、かつDa≦0.15Db
    (2)0.0≦Vca/(Vca+Vcb)≦0.40、かつ0.60≦Vcb/(Vca+Vcb)≦0.9
    但し、Vca=Wa/da、Vcb=Wb/dbであり、ここでWa:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(A)の重量、Wb:混合無機微粒子分散液中の無機微粒子(B)の重量、da:無機微粒子(A)の密度、db:無機微粒子(B)の密度
    (3)0.01≦(Wa+Wb)/Wt≦0.20
    但し、Wt:混合無機微粒子分散液の重量
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