JP5659460B2 - 光学フィルム、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この干渉ムラを抑制するために、以下のような抑制方法が提案されている。
基材上に凹凸をもうけることによって、ハードコート層と基材との界面での光の反射を散乱させる方法(特許文献1参照。)、基材とハードコート層の屈折率差を低減するために、基材とハードコート層の間に中間層を1層設ける方法(特許文献2参照。)、及び基材とハードコート層の界面近傍の屈折率が連続的に変化するように、基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いてハードコートを基材上に塗布する方法(特許文献3参照。)。
又、一方で反射フィルムをより低反射化することも検討されており、例えば、反射防止を行うために、基材フィルム上に高屈折率層と低屈折率層を順次積層し、高屈折率層表面の反射光と低屈折率層表面からの反射光の干渉効果により、反射率を低減させる方法が有効となる。これに関しては、従来、以下のような方法が提案されている。
基材上に高屈折率層と低屈折率層を順次積層し、低屈折率層表面の反射光の位相と高屈折率層表面からの反射光の位相を逆位相にして合成して反射率を低減する方法(特許文献4参照。)、透明基材上に、化学気相法を用いて、基材と接する部位の屈折率が基材の屈折率とほぼ等しく、最表層に向かって屈折率を連続的に、又は段階的に低下させ、反射率を広範囲にわたって低下させる屈折率傾斜を持たせた反射防止層を設けた反射防止フィルム(特許文献5参照。)、及び、ウエットコーティング法で基材側から表層側に向かって、屈折率が連続的に低くなる屈折率傾斜層を設ける方法(特許文献6参照。)。
上記特許文献2記載の方法では、中間層を設けても段階的に屈折率が変化するに過ぎず、干渉むらは少なくなるが、なくすまでには至らない。また、上記特許文献3記載の方法では、より低反射化するために、基材とハードコート層の屈折率差を大きくすると、界面近傍で屈折率を連続的に変化させることが困難となり、結果的に干渉縞を抑制しきれないと言う問題があった。上記特許文献4記載の方法では、低屈折率層表面の反射光の位相と高屈折率層表面からの反射光の位相を逆位相にするためには、波長を可視光域の中心のλ=550nmに設定した場合には、低屈折層と高屈折率層の膜厚を0.1μm程度にしなければならず、膜厚の変動に起因する反射率のばらつきが大きくなり、色むらの発生等、品質の低下を招きやすいという問題がある。さらに、上記特許文献5記載の方法では、最表層に向かって基材の屈折率から徐々に屈折率を低下させる必要があり、多層構造の場合には、反射光を確実に防止するために、各層の光学的膜厚を、防止したい各波長域に合わせて制御する必要がある。また、連続的に屈折率傾斜を持たせた構造では、基材表面からの反射を抑えるため、基材と接触する部位の屈折率を基材の屈折率と等しくする必要から、形成方法や材料に限定があり、高価な設備や材料を用いて屈折率傾斜膜を形成する必要がある。上記特許文献6記載の方法では、高屈折率材と低屈折率材を混合して、自然乾燥等により、屈折率を制御する方法であるが、単に混合しただけで、屈折率傾斜をさせることは非常に困難である。又、上記特許文献6記載の方法では、基材表面と接する部分のフィルム側の屈折率は高いので、干渉縞を抑制することは、実際上はやはり困難である。
1.基材上にハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、ハードコート層と基材の界面近傍の屈折率が連続的に変化してなる光学フィルム。
2.基材上にハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、ハードコート層の屈折率が基材の屈折率と近似してなる光学フィルム。
3.ハードコート層の屈折率と基材の屈折率との差が、絶対値で0.03以内である上記2に記載の光学フィルム。
4.高屈折率傾斜ハードコート層の屈折率が、ハードコート層から低屈折率層に向かって、低屈折率から高屈折率となるように設けられてなる上記1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
5.ハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層の少なくとも一層が帯電防止成分含む上記1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
6.表面抵抗値が、1.0×1013Ω/□以下である上記1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
7.基材上に高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、高屈折率傾斜ハードコート層と基材の界面近傍の屈折率が連続的に変化してなる光学フィルム。
8.基材上に高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、高屈折率傾斜ハードコート層の前記基材と接する部分の屈折率と、基材の屈折率との差が近似してなる光学フィルム。
9.高屈折率傾斜ハードコート層の前記基材と接する部分の屈折率と基材の屈折率との差が、絶対値で0.03以内である上記8に記載の光学フィルム。
10.高屈折率傾斜ハードコート層の屈折率が、基材から低屈折率層に向かって、低屈折率から高屈折率となるように設けられてなる上記7〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
11.高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層の少なくとも一層が帯電防止成分を含む上記7〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
12.高屈折率傾斜ハードコート層が金属酸化物微粒子を含む上記1〜11のいずれかに記載の光学フィルム。
13.金属酸化物微粒子が導電性金属酸化物微粒子である上記12に記載の光学フィルム。
14.基材上にハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムの製造方法であって、ハードコート層を形成するための塗布液を構成する溶剤として、基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
15.基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いたハードコート層、及び高屈折率傾斜ハードコート層を、該基材に一括多層塗布方式で塗布した後、低屈折率層を設ける上記14に記載の光学フィルムの製造方法。
16.基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いたハードコート層を該基材に積層した後、高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層をこの順に積層する上記14に記載の光学フィルムの製造方法。
17.基材上に、該基材の屈折率と近似した屈折率を有するハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
18.記ハードコート層、及び高屈折率傾斜ハードコート層を、該基材に一括多層塗布方式で積層した後、低屈折率層を積層する上記17に記載の光学フィルムの製造方法。
19.高屈折率傾斜ハードコート層の屈折率が、ハードコート層から低屈折率層に向かって、低屈折率から高屈折率となるように設けられてなる上記14〜18のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
20.ハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層の少なくとも一層が帯電防止成分を含む上記14〜19のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
21.表面抵抗値が 1.0×1013Ω/□以下である上記14〜20のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
22.基材上に、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムの製造方法であって、高屈折率傾斜ハードコート層を形成するための塗布液を構成する溶剤として、基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
23.基材上に、該基材の屈折率と、該基材と接する部分の高屈折率傾斜ハードコート層の屈折率とが近似した高屈折率傾斜ハードコート層を該基材に塗布した後、低屈折率層を設けることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
24.高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層の少なくとも一層が帯電防止成分を含む上記22又は23に記載の光学フィルムの製造方法。
25.高屈折率傾斜ハードコート層の屈折率と基材の屈折率との差が絶対値で0.03以内である上記22〜24のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
26.高屈折率傾斜ハードコート層が金属酸化物微粒子を含む上記14〜25のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
27.金属酸化物微粒子が導電性金属酸化物微粒子である上記26に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明に係る光学フィルムは、基材上に特定のハードコート層と高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層をこの順に設けた光学フィルムと、基材上に特定のハードコート層と高屈折率傾斜ハードコート層とが一体になって積層された高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層を、この順に設けた光学フィルムを含む。すなわち、後者では、製法により、ハードコート層と高屈折率傾斜ハードコート層とが一体となって高屈折率傾斜ハードコート層を形成した光学フィルムが作製される。
また、本発明に係る光学フィルムは、基材上に高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層をこの順に設けた光学フィルムを含む。
更に、本発明は、これらの光学フィルムの製造方法を提供する。
まず、基材上に特定のハードコート層と高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層を有する光学フィルム、及びその製造方法の説明を行なう。
従って、透明基材は、可視光に対して透明性を有し、種々の機能層が積層可能であれば、その種類は特に限定されるものではないが、複屈折の小さいものであれば、なお好ましい。
具体的には透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリレート等のアクリル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ナイロンー6、ナイロンー6・6等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、単独で、又は 同種もしくは異種のものを積層して用いることができる。
これらのうち、PETとTACが、取り扱い性が良好な点から好ましい透明基材であるが、特にPETを使用したときには、ハードコート層を設ける場合、PETの屈折率と該ハードコート層との屈折率の差が絶対値で0.03以内の素材を使用することが、又、TACを使用する場合には、TACを溶解又は膨潤する溶剤を使用したハードコート層を使用する方が、それぞれ好ましい。
透明基材は、その上にハードコート層又は防眩層を形成するに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
光線透過率を向上させるには、厚みを薄くするのも有効な手段である。
なお、必要に応じて上記透明基材として、公知の添加物、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加し、機能を付加させたものも使用できる。
ハードコート層の材質は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を主体とする有機樹脂系と、シリコーン樹脂系に大別される。
ハードコート層を形成するのに好適な電離放射線硬化型樹脂組成物としては、好ましくはアクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートは、アクリレート、及び/又はメタクリレートを示す。以下同じ。)ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等の多官能化合物等のモノマー類や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート等のオリゴマー等を使用することができる。
光開始剤は特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類等が挙げられる。より具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドテシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等を例示できる。
これらのなかでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、少量でも電離放射線の照射による重合反応を開始促進するので、本発明において好ましく用いられる。
光開始剤は、以上に示したいずれか一つを単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
光開始剤の市販品としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、イルガキュアー 184(Irgacure 184)の商品名でチバスペシャリティケミカルズ(株)から入手できる。
これらの重合開始剤の使用量は、前記電離放射線硬化型樹脂組成物中の重合成分100質量部に対して0.1〜20質量部程度である。
添加する微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子ともに用いることができるが、硬度の観点からは無機微粒子が好ましく、特にシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の具体例としては、日産化学工業(株)の製品群である「IPA−ST」、「IPA−ST−L」、「IPA−ST−ZL」、「IPA−ST−UP」、「MEK−ST」、「MIBK−ST」、「PGM−ST」、及び「PMA−ST」等が挙げられる。
また、これらの微粒子は分散性の向上コーティング組成物の粘度低下、加工性の向上、金属酸化物微粒子の高充填化、界面空隙の減少(凝集塊の低下)、及び粒子表面への反応性基付与の目的で、表面処理を行ってもよい。
特に硬度向上のために、微粒子表面への光硬化性及び/又は熱硬化性反応基付与は効果的であり、好ましい。
このような溶剤としては、使用する基材に応じて、溶解又は膨潤する溶剤を採用すればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、エチルカルビトール等のグリコールエーテル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物を用いることができる。それらの中でも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましい。ケトン系溶剤を用いて調製すると、基材を適度に溶解又は膨潤させることができると共に、基材表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な厚さの大面積塗膜を容易に得ることができる。
この場合、基材の屈折率とハードコート層との屈折率の差は、絶対値で0.03以下、好ましくは0とする。
使用する溶剤としては、用いる基材に応じて、上記のうち、基材を溶解又は膨潤させない性質を持つ溶剤を使用すれば良い。また、屈折率を近似させるために、屈折率調整材を添加することができる。
そのような屈折率調整材としては、低屈折率にするには、フッ素樹脂、コロイダルシリカ、中空シリカ、及びフッ化マグネシウム等が挙げられる。逆に高屈折率にするにはチタニア、ジルコニア、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(インジウム錫酸化物)、セリア等の金属酸化物、ベンゼン環、ならびにS、又はBr等を含むモノマー、及びこれらのポリマー等が挙げられる。
このような屈折率調整材は、前記に限られず、後述の他の高屈折率微粒子や低屈折率微粒子を採用しても良い。
具体的には、固形分と溶剤の合計量を100重量部とした時に、全固形分0.5〜80重量部に対して、溶剤を20〜95.5重量部程度、好ましくは、全固形分10〜30重量部に対して、溶剤を70〜90重量部の割合で用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に適したコーティング組成物が得られる。
基材上に、前記基材を溶解又は膨潤させる性質を有する溶媒を用いるか、又は基材と近似した屈折率を有する電離放射線硬化型樹脂組成物により形成されるハードコート層を設けることにより、基材とハードコート層の界面で生じる干渉縞の発生を効果的に防止することができる。
このような高屈折率傾斜ハードコート層は、前記のハードコート層の作製に使用された電離放射線硬化型樹脂組成物をバインダーとし、高屈折率微粒子、光開始剤、溶剤、更には分散剤等のその他の成分を配合したコーティング組成物を塗布することにより作成することができる。
上記高屈折率微粒子としては、具体的には、金属酸化物微粒子が挙げられ、具体的には、酸化チタン(TiO2 、屈折率:2.71、比重:4.2〜4.3)、酸化ジルコニウム(ZrO2 、屈折率:2.10、比重:5.5)、酸化セリウム(CeO2 、屈折率:2.20、比重:7.1)、酸化錫(SnO2 、屈折率:2.00、比重:7.0)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.85、比重:6.6)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00、比重:7.1)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85、比重:6.0〜7.0)、酸化アンチモン(Sb2O5 、屈折率:2.04、比重:3.8)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、比重:5.0〜5.5)、ガリウム亜鉛酸化物(比重:5.0〜5.5)等が挙げられる。
高屈折率微粒子として、PTO:燐錫化合物(例えば、商品名EP SP-2:三菱マテリアル(株)製)等の金属酸化物導電性微粒子を用いた場合には、透明性に優れる。
また、高屈折率微粒子として、ATO:アンチモン錫酸化物(例えば、商品名SN−100P:石原産業(株)製)やITO:インジウム錫酸化物(例えば、商品名SUFP:住友金属鉱山(株)製)等の金属酸化物導電性微粒子を用いた場合は、埃付着防止性を付与することができるので、それぞれ好ましい。
前記1)の樹脂の例としては、ポリスチレン等のスチロール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルカルバゾール、ビスフェノールA等のポリカーボネート、及びフルオレン骨格を含有する化合物等が挙げられる。
前記2)の樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル、及びポリテトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル等が挙げられる。
さらに、前記3)の樹脂としては、ポリビスフェノールSグリシジルエーテル、及びポリビニルピリジン等が挙げられる。
さらにバインダー樹脂の屈折率、基材の屈折率によっては、シリカ粒子やフッ化マグネシウム粒子等、バインダーより屈折率の低い粒子を用いて高屈折率傾斜ハードコート層を形成することも可能である。
ここで、高屈折率傾斜ハードコート層に用いられる粒子は、1種類に限定されるものではなく、例えば、導電性微粒子を用いて層を形成した後、その上層に更なる高屈折率微粒子を用いて層を形成してもよく、また、同一の層内に異なる微粒子2種類以上を混合させてもよく、さらに屈折率が調整できるならば、ポリマー微粒子等の有機微粒子を用いてもよい。
各微粒子の形状は特に限定はなく、球状、及び針状等があげられる。又、高屈折率微粒子の比重は3.5〜9.0程度とする。
塗布方法としても、任意の方法で良いが、例えば、グラビアコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、及びダイコーティング等が挙げられる。
前記沈降又は拡散の代わりに、適当な間隔で紫外線を照射することにより、強制的に制御する方法も採用することができる。
この方法においては、前記ハードコート層と、前記高屈折率傾斜ハードコート層とを2スロットダイコーター等を用いて、一括多層を設け、同様に高屈折率粒子が適度に沈降又は拡散する時間を見計らって硬化することにより、ワンコートでハードコート層と、前記高屈折率傾斜ハードコート層とを作成することもできる。このとき、硬化までの時間を適度にすることで、ハードコート層と高屈折率傾斜ハードコート層とが相互に拡散しあい、ハードコート層と高屈折率傾斜ハードコート層との境界が不明となって、全体が一体化した高屈折率傾斜ハードコート層となり、干渉縞防止効果がさらに向上する。
さらに精密に粒子の拡散状態を制御するために、高屈折率傾斜ハードコート層とハードコート層との間に、粘度、表面張力、及び粒子の充填量を調整した中間層を設け、同時多層塗工を行なってもよい。
また、これらに用いられるハードコート層には、屈折率、及び硬度の調整のために無機微粒子や有機微粒子を添加してもよい。
アニオン性の極性基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、水酸基等が挙げられる。
アニオン性の極性基を有する分散剤としては、具体的には、ビッグケミー・ジャパン(株)がディスパービックの商品名で供給する製品群、すなわち、Disperbyk−111、Disperbyk−110、Disperbyk−116、Disperbyk−140、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−164、Disperbyk−170、Disperbyk−171、Disperbyk−174、Disperbyk−180、及びDisperbyk−182等を例示することができる。
これらのうちでも、エチレンオキサイド鎖の骨格を有する主鎖に、上記したようなアニオン性の極性基からなる側鎖、又はアニオン性の極性基を有する側鎖が結合した分子構造を有し、数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算数平均分子量)が2,000から20,000の化合物を用いると、特に良好な分散性が得られるので、好ましい。このような条件に合う特に好ましい例として、上記ディスパービックシリーズの中では、Disperbyk−163が挙げられる。
本発明において、低屈折率微粒子は、屈折率が1.47程度以下、好ましくは1.42以下のものが使用される。
前記低屈折率微粒子として、シリカ微粒子、多孔質シリカ、中空シリカ微粒子、ポリマー中空微粒子、及び金属フッ化物微粒子(MgF2 、屈折率:1.38、比重3.15)等を挙げることができる。
このような中空シリカ微粒子は、具体的には、以下の、第1〜第3工程により製造することができる。
すなわち、中空シリカ微粒子の製造の第1工程として、予めシリカ原料及びシリカ以外の無機酸化物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、又は両者の混合水溶液を調製する。次に、目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、得られた上記水溶液をpH10以上のアルカリ水溶液中に撹拌しながら徐々に添加する。なお、第1工程の代わりに、予めシード粒子を含む分散液を出発原料とすることも可能である。
次に、第2工程として、上記の工程で得られた複合酸化物からなるコロイド粒子から、珪素と酸素以外の元素の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的には、複合酸化物中の元素を、鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、あるいは、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去したりする。
前記ポリマー中空微粒子は、例えば、特開平2002−80503号公報に開示された方法で製造することができる。具体的には、分散安定剤の水溶液中で、少なくとも1種の架橋性モノマー、開始剤及び少なくとも1種の架橋性モノマーから得られる重合体、又は少なくとも1種の架橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの共重合体に対して、相溶性の低い水難溶性の溶媒からなる混合物を分散させ、懸濁重合を行うことにより製造することができる。
こうして、従来よりも低反射化が可能で、かつ干渉縞の発生が防止された光学フィルムが得られる。
帯電防止成分、すなわち帯電防止剤としては、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、特殊カルボン酸型高分子界面活性剤類等の陰イオン性帯電防止剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン誘導体類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、アルキルアルカノールアミド類等の非イオン性帯電防止剤、アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩類等の陽イオン帯電防止剤、及びアルキルベタイン類、アミンオキサイド類等の両性帯電防止剤等が挙げられる。
さらに、導電性重合体を用いてもよく、その具体例としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール等を挙げることができる。
このような電解質としては、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+等のアルカリ金属イオン類、もしくはR4N+の一般式で表現され、Rが、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はn−ヘキシル基等である第4級アルキルアンモニウム塩類等のカチオンと組み合わされた塩、もしくは、Cl-、Br-、I-等のハロゲンイオン、SO4 2-、NO3 -、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、各種スルホン酸イオン等の酸基イオン、又は過塩素酸イオン等のアニオンと組み合わされた塩が挙げられる。
一方、イオン性液体としては、イミダゾリウム系、ピリジニウム系、第4級アンモニウム系、第4級ホスホニウム系等のカチオン性物質と、カウンターイオンであるCl-1、Br-1、I-1等のハロゲンイオン、SO4 -2、NO3 -、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、各種スルホン酸イオン等の酸基イオン、又は過塩素酸イオン等のアニオンと結合した塩(液体)が挙げれられる。
前記カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系カップリング剤が好適に用いられ、これらのカップリング剤の一般的な機能は、金属酸化物微粒子の分散性の向上及びコーティング組成物の粘度低下、加工性の向上、金属酸化物微粒子の高充填化、界面空隙の減少(凝集塊の低下)、及び粒子表面への反応性基付与等が挙げられる。また、予め、これらカップリング剤で表面処理された微粒子を用いてもよい。
前記チタネート系、又はアルミニウム系カップリング剤を含むコーティング組成物は、水分存在下で長時間放置すると、加水分解により金属酸化物微粒子から離脱して分散性機能を失うので、塗料として用いるには、加水分解速度の遅いものが望ましい。
1.0×1012〜1.0×1013Ω/□では、帯電はするものの、静電荷が蓄積しないため、フィルム等に埃付着防止性が得られる。表面抵抗率は、好ましくは静電荷が帯電するが、すぐ減衰する範囲である 1.0×1010〜1.0×1012Ω/□、より好ましくは、帯電しない範囲である 1.0×1010Ω/□未満であり、最も好ましくは1.0×108 Ω/□以下である。
本発明においては、このようにハードコート層を有さず、高屈折率傾斜ハードコート層及び低屈折率層を有する光学フィルムも本発明に含まれる。
このような光学フィルムの具体例としては、基材上に高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、高屈折率傾斜ハードコート層と基材の界面近傍の屈折率が連続的に変化してなる光学フィルムや、基材上に高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、高屈折率傾斜ハードコート層の前記基材と接する部分の屈折率と、基材の屈折率との差が近似してなる、好ましくは絶対値で0.03以下、更に好ましくは差が0である光学フィルムが挙げられる。
また、高屈折率傾斜ハードコート層の前記基材と接する部分の屈折率と、基材の屈折率との差が近似してなる、好ましくは絶対値で0.03以下、更に好ましくは差が0である光学フィルムの製造方法についても、そのような溶剤を選択し、前記と同様に行えばよい。
高屈折率傾斜ハードコート層には、導電性金属酸化物微粒子を含む金属酸化物微粒子を、必要により添加してもよいことは前述の通りである。
なお、高屈折率傾斜ハードコート層は、基材から低屈折率層に向かって低〜高屈折率とされる。
以下に実施例を掲げて、更に本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されることはない。
ハードコート層と基材の界面近傍の屈折率が連続的に変化する光学フィルムの作製
1−1)高屈折率傾斜ハードコート層形成用コーティング組成物の調製
高屈折率微粒子として、酸化ジルコニウム(ZrO2)(PCS−60:商品名、日本電工(株)製、一次粒径0.01〜0.03μm、比重:4.2〜4.3)を、アニオン性の極性基を有する分散剤として、顔料に親和性のあるブロック共重合体(Disperbyk−163:商品名、ビッグケミー・ジャパン(株)製)を、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを用いた。
これらを下記の質量比となるように、マヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4倍量のジルコニアビーズ(φ0.3mm)を媒体に用いて、ペイントシェーカーで10時間撹拌し、撹拌後に光開始剤(イルガキュアー 184:商品名、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)を加えて下記組成のコーティング組成物を得た。
(コーティング組成物の組成)
1:ZrO2:分散剤:PETA=1:0.2:0.4(質量部) 屈折率 1.63
2:ZrO2:分散剤:PETA=1:0.2:0.5(質量部) 屈折率 1.615
3:ZrO2:分散剤:PETA=1:0.2:0.6(質量部) 屈折率 1.6
4:ZrO2:分散剤:PETA=1:0.2:0.7(質量部) 屈折率 1.585
5:ZrO2:分散剤:PETA=1:0.2:0.8(質量部) 屈折率 1.57
中空シリカ微粒子(平均粒径50nm、固形分20%、比重1.2〜1.3、空隙率:40%)と、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを用いて中空シリカ:PETA=1.5:1(質量比)のコーティング組成物を得た。
下記の組成の成分を配合して、ハードコート層形成用コーティング組成物を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製、UV1700B):ポリエステルアクリレート(東亞合成工業(株)製、M9050、分子量418)=1:1(質量比)25質量部、イルガキュアー907(商品名、チバスペシャリティケミカルズ(株)製) 1.5質量部、及び基材を溶解又は膨潤させる溶媒として、メチルエチルケトン 73.5質量部
前記工程1−3)で得られたハードコート層形成用コーティング組成物を、厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(屈折率:1.47)上にバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて照射量約20mJ/cm2 で紫外線照射を行い、ハードコート層を硬化させて、膜厚10μmのハードコート層を有する基材/ハードコート層からなる積層フィルムを得た。
次いで、高屈折率傾斜層ハードコート層として、前記工程1−1)で得られた上記組成のコーティング組成物を屈折率が低いほうから順に、バーコーティング法により各層厚が約100nmとなるように塗布し、塗布の都度、紫外線照射装置で上記同様に硬化させた。
その後、高屈折率傾斜層ハードコート層の上部に、更に上記低屈折率層用コーティング組成物をバーコーティング法で、膜厚が約100nmとなるように塗布し、同様に紫外線照射装置で硬化させ、本発明の透明フィルムを作製した。
基材と同じ屈折率を有するハードコート層を設けた光学フィルムの作製
2−1)高屈折率微粒子分散液の調製
<ATOの分散液作製方法>
高屈折率微粒子として、ATO(SN−100P:商品名、石原産業(株)製、比重:6.6)を、アニオン性の極性基を有する分散剤として、顔料に親和性のあるブロック共重合体(Disperbyk−163:商品名、ビッグケミー・ジャパン(株)製)を、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、有機溶剤としてメチルイソブチルケトンを用いた。
これらを下記の質量比となるように、マヨネーズ瓶に入れ、混合物の約4倍量のジルコニアビーズ(φ0.3mm)を媒体に用いて、ペイントシェーカーで10時間撹拌し、撹拌後に光開始剤(イルガキュアー 184:商品名、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)を加えて下記組成のコーティング組成物を得た。
(コーティング組成物の組成)
1:ATO:分散剤:PETA=1:0.2:0.4(質量部) 屈折率 1.60
2:ATO:分散剤:PETA=1:0.2:0.5(質量部) 屈折率 1.585
3:ATO:分散剤:PETA=1:0.2:0.6(質量部) 屈折率 1.575
4:ATO:分散剤:PETA=1:0.2:0.7(質量部) 屈折率 1.56
5:ATO:分散剤:PETA=1:0.2:0.8(質量部) 屈折率 1.54
下記の組成の成分を配合してハードコート層形成用コーティング組成物(屈折率:1.47)を調製した。
多官能ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製、UV1700B):ポリエステルアクリレート(東亞合成工業(株)製、M9050、分子量418):屈折率調整剤としてフッ素モノマー(共栄社化学(株)製、LINC−3A)=2:2:1(質量比)25質量部、イルガキュアー907(商品名、チバスペシャリティケミカルズ(株)株)製) 1.5質量部、及び基材を溶解又は膨潤させる溶媒として、メチルエチルケトン 73.5質量部
2−3)ハードコート層の形成
前記工程2−2)で得られたハードコート層形成用コーティング組成物を、厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(屈折率:1.47)上にバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて照射量約20mJ/cm2 で紫外線照射を行い、ハードコート層を硬化させて、膜厚10μmのハードコート層を有する基材/ハードコート層からなる積層フィルムを得た。
次いで、高屈折率傾斜層ハードコート層として、前記工程2−1)で得られた上記組成のコーティング組成物を屈折率が低いほうから順に、バーコーティング法により各層厚が約100nmとなるように塗布し、塗布の都度、紫外線照射装置で上記同様に硬化させた。
その後、高屈折率傾斜層ハードコート層の上部に、更に上記工程1−2)で得られた低屈折率層用コーティング組成物をバーコーティング法で、膜厚が約100nmとなるように塗布し、同様に紫外線照射装置で硬化させ、本発明の透明フィルムを作製した。
一括多層のダイコーティングによる光学フィルムの作製
上記実施例1で製造された以下の各コーティング組成物を用意した。
・ハードコート層形成用コーティング組成物:上記工程1−3)で得られた組成物
・高屈折率傾斜ハードコート層形成用コーティング組成物:上記工程1−1)で得られた3の組成物
・低屈折率層形成用コーティング組成物:上記工程1−2)で得られた組成物
厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(屈折率:1.47)上に2スロットダイコーターを用いてハードコート層形成用コーティング組成物が下層に、高屈折率傾斜ハードコート層形成用組成物が上層になるようにして、塗工速度50m/minにて同時重層塗布を行った。30秒かけて、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて照射量約20mJ/cm2 で紫外線照射を行い、ハードコート層を硬化させて、2層をあわせた膜厚が12μmのハードコート層を有する基材/ハードコート層からなる積層フィルムを得た。
次いで、高屈折率傾斜層ハードコート層の上部に、更に上記工程1−2)で得られた低屈折率層用コーティング組成物をグラビアコーティング法により、膜厚が約100nmとなるように塗布し、同様に紫外線照射装置で硬化させ、本発明の透明フィルムを作製した。
その結果、屈折率が、基材側から約1.5から上層側約1.6に連続的に傾斜していることが分かった。
一括多層のダイコーティングによる光学フィルムの作成
高屈折率傾斜ハードコート層形成組成物に、上記工程2−1)で得られた1の組成物を用いた以外は、実施例3と同様の工程を行い、本発明の透明フィルムを作成した。
基材/高屈折率ハードコート層/低屈折率層の光学フィルムの作製
高屈折率ハードコート層用コーティング組成物として、実施例1の工程1−1)で得られた1の組成物、及び、低屈折率層用コーティング組成物として、実施例1の工程1−2)で得られたコーティング組成物を用意した。
実施例1と同じトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(屈折率:1.47)基材上に、バーコーティングにより前記高屈折率ハードコート層用コーティング組成物を塗布して約3μmの層を作製した。乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて照射量約20mJ/cm2 で紫外線照射を行い、前記高屈折率ハードコート層を硬化させて、基材/高屈折率ハードコート層からなる積層フィルムを得た。
次いで、高屈折率ハードコート層の上部に、更に上記低屈折率層用コーティング組成物をグラビアコーティング法で、膜厚が約100nmとなるように塗布し、同様に紫外線照射装置で硬化させ、透明フィルムを作製した。
基材/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層の光学フィルムの作製
ハードコート層用コーティング組成物として、実施例2の工程2−2)で得られた組成物を採用し、高屈折率ハードコート層用コーティング組成物と低屈折率層用コーティング組成物は比較例1と同じ物を用意した。
比較例1と同様に、TAC基材上にハードコート層用コーティング組成物を層厚が約10μmとなるようにバーコーティングし、乾燥後、紫外線照射による硬化を行った。次いで、高屈折率ハードコート層用コーティング組成物を層厚が約90nmになるようにバーコーティングし、乾燥後、紫外線照射による硬化を行ない、更に、その上層に低屈折率層用コーティング組成物を、層厚が約100nmとなるようにバーコーティングし、乾燥後、紫外線照射による硬化を行なうことにより光学フィルムを得た。
基材/高屈折率ハードコート層/低屈折率層の光学フィルムの作製
高屈折率ハードコート層用コーティング組成物として、実施例2の工程2−1)で得られた1の組成物を用意した以外は、比較例1と同様の工程を行い、透明フィルムを作製した。
目視結果を表1に、分光反射率を図1及び図2に示す。表1中、○は目視できず、×は目視できたことをそれぞれ示す。
導電性微粒子を用いた実施例2、4及び比較例3に関しては、表面抵抗値測定器(三菱化学社製、ハイレスタ)にて、表面抵抗値を測定した。
また、分光反射率を示す図1および2からも、上記の目視観察と同様の結果が得られており、本発明の光学フィルムが従来の光学フィルムよりも、低反射で、かつ干渉縞のないフィルムであることがわかる。
さらに、導電性微粒子を用いることによって、表面抵抗値 1.0×1013Ω/□以下を達成でき、埃付着防止機能も合わせて付与することができる。
Claims (5)
- 基材上にハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムであって、ハードコート層と基材の界面近傍の屈折率が連続的に変化してなり、前記ハードコート層は厚みが0.8〜100μmであり、前記高屈折率傾斜ハードコート層が、屈折率の差が0.02以下である厚み50〜150nmの複数の層を、前記ハードコート層側から前記低屈折率層側に向かうにつれて、低屈折率から高屈折率になるように積層してなるものである光学フィルム。
- 前記高屈折率傾斜ハードコート層を構成する各層はいずれも屈折率が1.54以上であり、前記高屈折率傾斜ハードコート層は高屈折率微粒子を含み、該高屈折率微粒子が前記ハードコート層内に沈降又は拡散してなる請求項1に記載の光学フィルム。
- 基材上にハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムの製造方法であって、ハードコート層を形成するための塗布液を構成する溶剤として、基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いてなり、前記ハードコート層の厚みが0.8〜100μmとなるように積層し、前記高屈折率傾斜ハードコート層を、屈折率の差が0.02以下である厚み50〜150nmの複数の層を、前記ハードコート層側から前記低屈折率層側に向かうにつれて、低屈折率から高屈折率になるように積層してなる光学フィルムの製造方法。
- 基材を溶解又は膨潤させる溶剤を用いたハードコート層、及び高屈折率傾斜ハードコート層を、該基材に一括多層塗布方式で塗布した後、低屈折率層を設ける請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記高屈折率傾斜ハードコート層を構成する各層はいずれも屈折率が1.54以上であり、前記高屈折率傾斜ハードコート層は高屈折率微粒子を含み、該高屈折率微粒子が前記ハードコート層内に沈降又は拡散した後に、前記ハードコート層及び高屈折率傾斜ハードコート層を硬化させる請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
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