JP4888732B2 - 電波透過カバーおよび電波透過カバーの製造方法 - Google Patents

電波透過カバーおよび電波透過カバーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両用電波レーダ装置の前側に配設される電波透過カバー、および、その製造方法に関する。
A.C.C.(アダプティブクルーズコントロール)は、車両前側に搭載されているセンサによって前方車両と自車との車間距離や相対速度を測定し、この情報を基にスロットルやブレーキを制御して自車を加減速し、車間距離をコントロールする技術である。このオートクルーズシステムは、近年、渋滞緩和や事故減少を目指す高度道路交通システム(ITS)の中核技術の一つとして注目されている。
A.C.C.に使用されるセンサとしては、一般に、レーザレーダやミリ波レーダが使用されている。例えばミリ波レーダは、30GHz〜300GHzの周波数を持ち1〜10mmの波長を持つミリ波を送信し、かつ、対象物にあたって反射したミリ波を受信することで、この送信波と受信波の差から前方車両と自車との車間距離や相対速度を測定する。
車両用電波レーダ装置は、一般に、フロントグリルの後側に配置される。フロントグリルは、肉厚が一定ではなく、金属製であるかまたは表面に金属メッキ層が形成されている。したがってフロントグリルは、ミリ波の進路に干渉する。このため、フロントグリルのなかで車両用電波レーダ装置の前側に相当する部分に窓部を設け、この窓部に樹脂製の電波透過カバーを嵌め込む技術が提案されている。
電波透過カバーには、一般に、種々の意匠を表示するための意匠層が設けられる。意匠層は金属蒸着やフィルム転写などによって形成される比較的薄肉の層である。このため、意匠層の前面と後面とは、それぞれ、補強用の樹脂層で覆う必要がある(例えば、特許文献1参照)。従来の電波透過カバーの一例を模式的に表す断面図を図13に示す。以下、図13を基に従来の電波透過カバーを説明する。
意匠層103の前面と後面とが補強用の樹脂層(102、105)で覆われてなる電波透過カバーは、先ず一方の樹脂層102を成形し、次いでその上層に蒸着や転写、印刷などの方法によって意匠層103を形成し、さらに意匠層103の上層に他方の樹脂層105を成形して得られる。
ところで、意匠層103は比較的薄肉の層である。したがって射出成形によって電波透過カバーを製造する場合には、意匠層103の上層に樹脂層105を成形する際の注入圧力または射出圧力(以下、単に注入圧力と略する)で意匠層103が変形する場合がある。図13に示すように、特に射出成形型107のゲート170付近において、意匠層103に大きな変形が生じるおそれがある。意匠層103が変形すると、電波透過カバーの意匠性が悪化する。
補強用の2つの樹脂層(102、105)を別体で成形して接着一体化する方法も考えられる。しかしこの場合には、接着剤として、2つの樹脂層と比誘電率の一致(またはほぼ一致)したものを用いる必要がある。接着剤の比誘電率と2つの樹脂層の比誘電率とが大きく異なれば、電波透過カバー全体の電波透過損失が大きく増大し、電波透過性に優れた電波透過カバーを得ることができない。2つの樹脂層の材料としては、一般に、ポリカーボネートやAESが用いられる。しかし、一般的な接着剤の比誘電率は、これらの樹脂材料の比誘電率と一致しない。したがって、2つの樹脂層を別体で成形して接着一体化する方法では、電波透過カバーに優れた電波透過性を付与し難い問題がある。
さらに、2つの樹脂層を別体で成形する場合、2つの樹脂層の前後方向の隙間(以下、単に隙間と呼ぶ)には、空気層が形成される。この隙間が大きければ、2つの樹脂層間に介在する空気層が厚くなる。空気の比誘電率は、2つの樹脂層の比誘電率とは異なるため、空気層が厚くなると電波透過性が低下する。よって、2つの樹脂層の隙間が過大であれば、電波透過カバーに優れた電波透過性を付与し難い。
一方、2つの樹脂層の隙間が過小であれば、高温時または低温時に電波透過カバーが膨張または収縮すると、2つの樹脂層が互いに干渉する。2つの樹脂層の間に意匠層を積層して、この意匠層による意匠を電波透過カバーに付与する場合には、2つの樹脂層が互いに干渉することで意匠層が損傷し、電波透過カバーの意匠性が悪化する可能性がある。
2つの樹脂層の干渉を抑制するためには、2つの樹脂層および接着剤の線膨張係数を一致させるのが良いと考えられる。しかし、上述したように、電波透過性に優れた電波透過カバーを得るためには2つの樹脂層および接着剤の比誘電率を一致させる必要があるため、さらにこれらの線膨張係数を一致させることは非常に困難である。このため、優れた電波透過性と優れた意匠性とを電波透過カバーに付与することは非常に困難であった。
特開2000−159039号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の電波透過カバーは、車両用電波レーダ装置の前側に配設されている電波透過カバーであって、透明樹脂材料からなる透明層と、透明層の後面側に積層されている意匠層と、を持つ前側部材と、樹脂材料からなり前側部材の後面側に積層されている後側部材と、前側部材および後側部材の少なくとも一方の周縁部に積層され、前側部材と後側部材とに固着している連結層と、を持ち、前側部材と後側部材とは別体で成形され、前側部材と後側部材とは前後方向に0.01mm〜0.4mm離間していることを特徴とする。
本発明の電波透過カバーは、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを備えることが好ましい。
(1)上記後側部材は、上記前側部材の周縁部よりも内側に積層され、上記連結層は、樹脂材料からなり、上記連結層は上記前側部材と上記後側部材とに溶着している。
(2)上記前側部材はアンダーカット形状をなす第1の係合部を持ち、上記後側部材はアンダーカット形状をなす第2の係合部を持ち、上記連結層は、第1の係合部と相補的なアンダーカット形状をなす第3の係合部と、第2の係合部と相補的なアンダーカット形状をなす第4の係合部と、を持つ。
(3)上記透明樹脂材料の比誘電率、上記後側部材を構成する樹脂材料の比誘電率、および上記連結層を構成する樹脂材料の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.7±1.5である。
(4)上記連結層は上記電波透過カバーの電波透過領域外に配置されている。
上記課題を解決する本発明の電波透過カバーの製造方法は、上記(2)を備える本発明の電波透過カバーを製造する方法であって、上記前側部材と上記後側部材との一方に、凸状をなし上記電波透過カバーの周方向に延びる凸状ガス遮断部を形成し、上記前側部材と上記後側部材との他方に、凹状をなし上記電波透過カバーの周方向に延びる凹状ガス遮断部を形成し、凸状ガス遮断部を凹状ガス遮断部に挿入して上記前側部材と上記後側部材とを組み付け、上記連結層は、上記前側部材と上記後側部材とを配置した成形型のキャビティに、溶融した樹脂材料を射出して成形し、上記連結層を成形する際に、上記連結層のなかで樹脂注入ゲートよりも樹脂流れ下流側に位置する部分に、溝状をなし凸状ガス遮断部と凹状ガス遮断部との隙間に連絡するとともに上記連結層の端面に開口するガス抜き孔を形成することを特徴とする。
本発明の電波透過カバーの製造方法は、下記の(5)を備えるのが好ましい。
(5)上記連結層を成形した後に、上記ガス抜き孔を封止材で封止する。
本発明の電波透過カバーは、前側部材と後側部材とを別体で成形することで、後側部材を成形する際の注入圧力による意匠層の変形を抑制できる。このため、本発明の電波透過カバーは意匠性に優れる。
また、本発明の電波透過カバーにおける前側部材と後側部材とは前後方向に0.01mm〜0.4mm離間している。前側部材と後側部材との前後方向の距離を0.4mm以下にすることで、前側部材と後側部材との隙間が十分に小さくなる。このため、前側部材と後側部材との隙間に形成される空気層の厚さを十分に薄くでき、電波透過カバーの電波透過性を十分に向上させ得る。
また、前側部材と後側部材との前後方向の距離を0.01mm以上にすることで、前側部材と後側部材との隙間が十分に大きくなる。このため、高温時および低温時における前側部材と後側部材との干渉を抑制でき、前側部材と後側部材との間に積層されている意匠層の損傷を抑制できる。よって、本発明の電波透過カバーによると、電波透過カバーの意匠性を十分に向上させ得る。より好ましくは、前側部材と後側部材との前後方向の距離を0.05mm以上にするのがよい。この場合には、高温時および低温時における前側部材と後側部材との干渉をさらに信頼性高く抑制でき、電波透過カバーの意匠性をさらに向上させ得る。
また、本発明の電波透過カバーにおける前側部材と後側部材とは、連結層によって一体化されている。この連結層は、前側部材および後側部材の少なくとも一方の周縁部に積層されている。このため、例えばインサート成形法によって、予め成形した前側部材と後側部材とに連結層を積層(射出成形)する場合にも、連結層を成形する際の注入圧力による意匠層の変形を抑制できる。特に、電波透過カバーの周縁部よりも内側における意匠層の変形を大きく抑制できる。また、電波透過カバーの後側部分の一部を、前側部材と別体で成形されてなる後側部材で構成することで、連結層を小型化できる。よって、連結層を射出成形する場合にも、意匠層に作用する熱量(総量)を小さくできるため、意匠層の変形を抑制できる。よって、本発明の電波透過カバーは、意匠性に優れる。
上記(1)を備える本発明の電波透過カバーでは、連結層が前側部材と後側部材とに溶着することで、前側部材と後側部材と連結層とが強固に一体化される。また、連結層が接着剤ではなく樹脂材料からなる。このため、連結層を構成する材料として、前側部材および後側部材と比誘電率および線膨張係数の一致する材料を選択できる。よって、電波透過カバーの電波透過性がさらに向上する。
上記(2)を備える本発明の電波透過カバーにおいては、連結層の第3の係合部が前側部材の第1の係合部と係合し、連結層の第4の係合部が後側部材の第2の係合部と係合する。このため、前側部材および後側部材は、連結層と溶着しつつ係合する。よって、前側部材、後側部材および連結層は、化学的に一体化されるとともに機械的にも一体化されるため、より強固に一体化される。よって、上記(3)を備える本発明の電波透過カバーは、前側部材と後側部材と連結層とをより強固に一体化できる。
上記(3)を備える本発明の電波透過カバーにおいては、透明層を構成する樹脂材料(透明樹脂材料)の比誘電率と、後側部材を構成する樹脂材料の比誘電率と、連結層を構成する樹脂材料の比誘電率と、が一致(または近似)する。このため、上記(4)を備える本発明の電波透過カバーは、電波透過性に優れる。
上記(4)を備える本発明の電波透過カバーでは、連結層は、電波透過カバーの電波透過領域外に配置されている。ここでいう電波透過領域とは、電波透過カバーのなかで車両用電波レーダ装置の送信波および受信波が透過する領域のことである。電波透過領域は、車両用電波レーダ装置の種類、車両用電波レーダ装置の形状、車両用電波レーダ装置の車両への取り付け位置、車両用電波レーダ装置と電波透過カバーとの距離、車両用電波レーダ装置と電波透過カバーとの角度、等の各種の因子に応じて決定される。連結層を電波透過領域外に配置することで、電波透過カバーの電波透過性に対する連結層の影響をなくすことができ、電波透過カバーに優れた電波透過性を付与できる。
ところで、前側部材と後側部材とを別体で成形し、かつ、連結層を射出成形する場合には、射出成形の際に連結層の材料である溶融樹脂から放出されるガス(以下、単にガスと呼ぶ)が、前側部材と後側部材との隙間に侵入する可能性がある。この場合、意匠層がガスで汚染されて変質する可能性がある。また、この連結層が成形後に収縮すると、前側部材と後側部材との隙間(すなわち、前側部材と後側部材とで区画される空間)が負圧になる。前側部材と後側部材との隙間が負圧になると、電波透過カバーを車両に取り付けた後に、前側部材と後側部材との間に水が侵入する可能性がある。前側部材と後側部材との間に水が侵入すると、意匠層が劣化したり、電波透過カバーの電波透過性が低下する可能性がある。
本発明の電波透過カバーの製造方法によると、前側部材と後側部材との隙間のなかで、凸状ガス遮断部と凹状ガス遮断部とで区画される部分は屈曲形状(所謂迷路状)をなす。したがって、前側部材と後側部材との隙間に侵入し凸状ガス遮断部と凹状ガス遮断部との隙間に到達したガスは、それ以上電波透過カバーの内側には侵入し難い。さらに、凸状ガス遮断部と凹状ガス遮断部との隙間に到達したガスは、ガス抜き孔を経て電波透過カバーの外部に流出する。したがって、電波透過カバーのなかで凸状ガス遮断部および凹状ガス遮断部よりも内側へのガスの侵入は、さらに信頼性高く抑制される。さらに、ガス抜き孔を介して電波透過カバーの内外でガス交換できる。このため、前側部材と後側部材との隙間は負圧になり難い。よって、本発明の電波透過カバーの製造方法によると、意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーを製造できる。
上記(5)を備える本発明の電波透過カバーの製造方法によると、連結層を成形した後にガス抜き孔を封止することで、水などがガス抜き孔を経て電波透過カバーの内側に侵入することを抑制できる。よって、上記(5)を備える本発明の電波透過カバーの製造方法によると、さらに意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーを製造できる。
本発明の電波透過カバーにおける前側部材と後側部材とは、前後方向に所定長さ離間する。前側部材と後側部材との前後方向の離間長さを規制する方法としては、前側部材と後側部材とを連結層で一体化する際に、スペーサで前側部材と後側部材との相対位置を規制する方法や、連結層を成形するための成形型によって前側部材と後側部材との相対位置を規制する方法等が挙げられる。なお、スペーサによって前側部材と後側部材との相対位置を規制する場合には、電波透過カバーとは別体の治具をスペーサとして用いても良いし、電波透過カバーの一部でスペーサを構成しても良い。例えば、前側部材と後側部材との前後方向の隙間に、前側部材および後側部材とは別体のスペーサを介在させても良い。あるいは、スペーサを前側部材と後側部材との少なくとも一方と一体化しても良い。
前側部材の透明層は、本発明の電波透過カバーの前側部分を構成する。このため透明層を構成する透明樹脂材料としては、耐候性の高いものを選択するのが好ましい。耐候性の高い透明樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等が挙げられる。
本発明の電波透過カバーにおける意匠層は、透明層の後面側に積層されている。意匠層は、インジウム等の金属材料を透明層に蒸着して形成しても良いし、スクリーン印刷等の方法で透明層に印刷形成しても良い。さらに、転写フィルムに印刷形成された所定の意匠を、透明層に転写形成しても良い。フィルム上に所定の意匠を蒸着や印刷してなる意匠層を、透明層に積層しても良い。意匠層の材料は一種のみであっても良いし、多種であっても良い。また、意匠層は1層からなっても良いし、多層からなっても良い。例えば、第1の意匠を印刷形成した樹脂フィルム上に、第2の意匠を蒸着形成した小片状フィルムを接着したものを意匠層として用いても良い。さらに、意匠層の前面側および/または後面側に、保護層を形成しても良い。
本発明の電波透過カバーにおける後側部材は、前側部材とは別体で形成される。後側部材を構成する樹脂材料としては、前側部材と同じものを選択しても良いし、異なるものを選択しても良い。なお、透明樹脂材料としてポリカーボネート樹脂を用いる場合には、後側部材を構成する樹脂材料としてAES樹脂を用いるのが好ましい。AES樹脂はポリカーボネート樹脂と比誘電率がほぼ等しいため、この場合には電波透過カバーに電波が均一(またはほぼ均一)に透過する。
本発明の電波透過カバーにおける連結層を構成する材料としては、前側部材と後側部材とに固着可能なものを選択すれば良い。例えば、連結層を構成する材料としては、接着剤を選択しても良いし、樹脂材料(特に熱可塑性樹脂材料)を選択しても良い。連結層を構成する材料として接着剤を選択する場合には、連結層が前側部材と後側部材とに接着すれば良い。連結層を構成する材料として樹脂材料を選択する場合には、連結層が前側部材と後側部材とに溶着すれば良い。何れの場合にも、連結層を電波透過カバーの電波透過領域外に配置すれば、連結層に起因する電波透過性の低下を信頼性高く抑制できる。なお、連結層を構成する材料として、透明樹脂材料および後側部材を構成する樹脂材料と比誘電率の等しいもの(またはほぼ等しいもの)を用いる場合には、連結層を電波透過カバーの電波透過領域内に配置しても、電波透過性の低下を抑制できる。
連結層が前側部材と後側部材とに溶着する場合には、連結層によって前側部材と後側部材とを強固に固着できる利点がある。この場合、連結層を構成する樹脂材料として、その融点が、透明樹脂材料の融点以上であり、かつ後側部材を構成する樹脂材料の融点以上であるものを選択すれば良い。また、この場合には、連結層を構成する樹脂材料として透明樹脂材料を用いても良いし、後側部材を構成する樹脂材料と同じものを用いても良い。その他の樹脂材料を用いても良い。透明樹脂材料としてポリカーボネート樹脂を用いる場合には、連結層を構成する樹脂材料としてAES樹脂を用いるのが好ましい。
以下、本発明の電波透過カバーを図面を基に説明する。
(実施例1)
実施例1の電波透過カバーは上記(1)〜(4)を備える。実施例1の電波透過カバーは、車両のフロントグリルに設けられている開口に嵌め込まれる。また、実施例1の電波透過カバーの後側には、車両用ミリ波レーダ装置が配設される。実施例1の電波透過カバーを説明する説明図を図1に示す。図1(a)は実施例1の電波透過カバーを前面から見た様子を表す。図1(b)は、図1(a)中A−A位置における実施例1の電波透過カバーの断面を表す。図1(b)の要部拡大図を図2に示す。実施例1の電波透過カバーを製造している様子を模式的に表す説明図を図3に示す。以下、実施例1において、前、後とは、図2に示す前、後を指す。
実施例1の電波透過カバーは、図1(a)に示すように略楕円の板状をなす。実施例1の電波透過カバーは、図1(b)および図2に示すように、前側部材1と、スペーサ9と、後側部材5と、連結層6とを持つ。前側部材1は電波透過カバーの前側部分を構成する。連結層6は電波透過カバーの後側周縁部を構成する。後側部材5は電波透過カバーの後側、かつ、連結層6よりも内側の部分を構成する。前側部材1と後側部材5との前後方向の距離(すなわち、前側部材1の後面と後側部材5の前面との距離)は、0.1mmである。
図2に示すように、前側部材1は、透明層2と意匠層3とを持つ。透明層2は透明樹脂材料の一種であるポリカーボネート樹脂からなる。ポリカーボネート樹脂の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.6〜2.8である。図1に示すように、透明層2は略楕円の板状をなす。透明層2の後面側には、環状に陥没する溝部20が形成されている。透明層2のなかで溝部20よりも外側(周縁部側)に位置する部分には、周方向に延びる第1の係合部11が形成されている。第1の係合部11は、電波透過カバーにおける肉厚方向の一部が肉抜きされた、アンダーカット形状をなす。
意匠層3は、透明層2の後面に積層されている。意匠層3は、黒色塗料がスクリーン印刷されてなる印刷部30と、インジウムが蒸着されてなる蒸着部31とを持つ。印刷部30は透明層2の後面に印刷されている。また、印刷部30は溝部20の内部には形成されていない。蒸着部31は、印刷部30の後面および溝部20の内部に蒸着されている。このため、図1(a)に示すように実施例1の電波透過カバーを前面側から視認すると、溝部20の内部Xには蒸着部31に由来する金属色が表示され、溝部20よりも内側の部分Yと溝部20よりも外側の部分Zとには印刷部30に由来する黒色が表示される。なお、意匠層3の後面には、アクリル系樹脂が熱乾式塗装及びUV塗装されてなる補強層(図略)が積層されている。この補強層は、意匠層3と後側部材5との間、および意匠層3と連結層6との間に介在する。
後側部材5は、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなる。この混合樹脂材料の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.6〜2.8である。図1に示すように、後側部材5は略楕円の板状をなす。後側部材5の外径は前側部材1の外径よりも小さい。後側部材5は前側部材1の後面かつ周縁部よりも内側に積層されている。後側部材5の前面側には、環状に突出する突出部50が形成されている。突出部50は、前側部材1の溝部20と略相補的な形状をなし、溝部20の内部に入り込んでいる。
後側部材5のなかで突出部50よりも外側に位置する部分には、周方向に延びる第2の係合部52が形成されている。第2の係合部52は、電波透過カバーにおける肉厚方向の一部が肉抜きされた、アンダーカット形状をなす。
スペーサ9は、後側部材5に一体化されている。詳しくは、スペーサ9は、後側部材5の周縁部に沿って延び前側部材1方向に突起する略リング状をなし、後側部材5と一体に成形されている。スペーサ9の突起高さは0.1mmである。また、スペーサ9は印刷部30に対面する。
連結層6は、後側部材5と同じポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなる。連結層6は、略環状をなし、透明層2の後面周縁部に積層されている。なお、実施例1の電波透過カバーにおける電波透過領域は、図1(a)に示すX領域およびY領域である。図1に示すように、連結層6はX領域およびY領域よりも外側に配置されている。このため、実施例1の電波透過カバーにおける連結層6は、電波透過領域外に配置されている。
連結層6のなかで第1の係合部11に対向する部分には、周方向に延びる第3の係合部63が形成されている。第3の係合部63は、第1の係合部11と相補的なアンダーカット形状をなす。また、連結層6のなかで第2の係合部52に対向する部分には、周方向に延びる第4の係合部64が形成されている。第4の係合部64は、第2の係合部52と相補的なアンダーカット形状をなす。第3の係合部63は第1の係合部11と係合し、第4の係合部64は第2の係合部52と係合している。また、連結層6と前側部材1(透明層2)との境界部分は互いに溶着している。連結層6と後側部材5との境界部分もまた互いに溶着している。
実施例1の電波透過カバーの製造方法を以下に説明する。
(第1工程)先ず、図3(a)に示す透明層2を射出成形した。
(第2工程)第1工程で得られた透明層2の後面に印刷部30を形成した。詳しくは、透明層2の後面のなかで溝部20の内部と第1の係合部11とを除く部分に、黒色塗料をスクリーン印刷して、印刷部30を形成した(図3(b))。
(第3工程)第2工程で得られた透明層2と印刷部30との複合体の前面および側面をマスクした。そして、印刷部30の後面と溝部20の内部とにインジウムを蒸着し、蒸着部31を形成した。第3工程終了後に、印刷部30および蒸着部31の後面にアクリル系樹脂を材料とする保護層を、熱乾式塗装及びUV塗装することで形成した。以上の工程で前側部材1を得た(図3(c))。
(第4工程)前側部材1とは別体で射出成形した後側部材5を、前側部材1の後面側に嵌め込みつつ、射出成形型に配置した(図3(d))。なお、後側部材5にはスペーサ9が一体に成形されている。したがってこのとき、前側部材1と後側部材5とは、図略の射出成形型によって相対的に位置決めされるとともに、スペーサ9によっても相対的に位置決めされる。このとき前側部材1と後側部材5との前後方向の離間長さは、0.1mmに規制された。
(第5工程)インサート成形法を用い、前側部材1および後側部材5が配置された射出成形型によって、連結層6を成形した。連結層6は、前側部材1の後面側かつ後側部材5の外側に形成された。詳しくは、溶融したポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの溶融混合樹脂材料を、前側部材1と後側部材5との複合体を入れた射出成形型のキャビティに射出した。すると、溶融混合樹脂材料に熱せられた透明層2の一部が溶融して、溶融混合樹脂材料と混ざり合った。また、溶融混合樹脂材料に熱せられた後側部材5の一部が溶融して、溶融混合樹脂材料と混ざり合った。したがって、得られたインサート成形品においては、連結層6と前側部材1(透明層2)との境界部分が互いに溶着し、連結層6と後側部材5との境界部分もまた互いに溶着した。以上、第1工程〜第5工程によって、実施例1の電波透過カバーを得た。
実施例1の電波透過カバーは、前側部材1と後側部材5とを別体で成形することで、後側部材5を成形する際の注入圧力による意匠層3の変形を抑制できる。また、連結層6は電波透過カバーにおける後側周縁部に配置されている。このため、上述した第5工程において連結層6を射出成形するにもかかわらず、注入圧力による意匠層3(特に電波透過カバーの内側部分に形成されている蒸着部31)の変形を抑制できる。なお、意匠層3のなかで実施例1の電波透過カバーの外側部分に形成されている部分(意匠周縁部33と呼ぶ)には、連結層6を射出成形する際の注入圧力が作用する。このため、意匠周縁部33は僅かに変形している。しかし意匠周縁部33は、蒸着部31の前側に印刷部30が形成されてなり、電波透過カバーの意匠性にはさほど関与していない。このため、実施例1の電波透過カバーは、意匠性に優れる。
また、実施例1の電波透過カバーにおける前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は0.1mmであり、過小でない。したがって、実施例1の電波透過カバーは高温時および低温時における前側部材と後側部材との干渉を抑制でき、意匠層の破損を抑制できる。このことによっても、実施例1の電波透過カバーは意匠性に優れる。
さらに、実施例1の電波透過カバーにおける前側部材1と連結層6とは溶着して一体化しているため、前側部材1と連結層6との間に隙間が生じ難い。後側部材5と連結層6ともまた溶着して一体化しているため、後側部材5と連結層6との間に隙間が生じ難い。このため、これらの隙間から電波透過カバーの内部への水等の侵入を抑制できる。よって、実施例1の電波透過カバーは、意匠層3の劣化を抑制でき、意匠性に優れる。
実施例1の電波透過カバーにおいて、前側部材1(透明層2)と連結層6とは溶着し、後側部材5と連結層6ともまた溶着している。換言すると実施例1の電波透過カバーにおける前側部材1と後側部材5と連結層6とは、前側部材1と連結層6との溶着と、後側部材5と連結層6との溶着と、によって化学的に一体化される。よって、前側部材1と連結層6と後側部材5とは強固に一体化される。また、連結層6の第3の係合部63は前側部材1の第1の係合部11と係合し、連結層6の第4の係合部64は後側部材5の第2の係合部52と係合する。換言すると、前側部材1と後側部材5と連結層6とは、第1の係合部11と第3の係合部63とが係合し、第2の係合部52と第4の係合部64とが係合することで、機械的に一体化される。よって、実施例1の電波透過カバーは、前側部材1と連結層6と後側部材5とをより強固に一体化できる。
実施例1の電波透過カバーにおける前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は0.1mmであり、過大でない。したがって、実施例1の電波透過カバーは空気層による電波透過性への影響を低減できる。よって実施例1の電波透過カバーは電波透過性に優れる。
実施例1の電波透過カバーにおける透明樹脂材料(ポリカーボネート樹脂)、後側部材を構成する樹脂材料および連結層を構成する樹脂材料(混合樹脂材料)の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.7±1.5の範囲内にある。このため、実施例1の電波透過カバーは電波を厚さ方向および径方向に均一に透過でき、かつ、電波透過損失を低減できる。このことによっても、実施例1の電波透過カバーは電波透過性に優れる。
さらに、連結層6が電波透過領域外に配置されているために、実施例1の電波透過カバーによると、連結層6による電波透過性への影響をなくすことができる。このことによっても、実施例1の電波透過カバーは電波透過性に優れる。
なお、実施例1の電波透過カバーにおいては、前側部材1と後側部材5との間にスペーサ9が介在している。このため連結層6を成形する際に、連結層6の材料(溶融樹脂材料)が前側部材1と後側部材5との隙間に入り込んだとしても、溶融樹脂材料はスペーサ9によって遮断され、電波透過カバーの内側には入り込み難い。換言すると、スペーサ9は、前側部材1と後側部材5との相対位置を規制する機能と、連結層6を成形する際における前側部材1と後側部材5との隙間への溶融樹脂材料の侵入を遮断する機能とを併せ持つ。このことによっても、実施例1の電波透過カバーは、意匠性に優れる。
なお、実施例1の電波透過カバーにおいては、スペーサ9の高さ(前後方向の長さ)は前側部材1と後側部材5との前後方向の距離と同じであるが、スペーサ9の高さはこの距離よりも長くても良い。すなわち、スペーサ9は前側部材1(または後側部材5)と圧接しても良い。スペーサ9が前側部材1または後側部材5と弾接する場合には、スペーサ9によって前側部材1と後側部材5との隙間を信頼性高くシールできるため、前側部材1と後側部材5との隙間への溶融樹脂材料の侵入を信頼性高く抑制できる。さらに、スペーサ9の突出端部をリップ状にし、スペーサ9を前側部材1または後側部材5と弾接させても良い。この場合には、スペーサ9によって前側部材1と後側部材5との隙間をさらに信頼性高くシールできる。
(実施例2)
実施例2の電波透過カバーは、上記(1)〜(4)を備える。実施例2の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図を図4に示す。なお、図4は、実施例2の電波透過カバーを、図1(a)におけるA−Aと同位置で切断した様子を表す要部拡大断面図である。以下、実施例2において、前、後とは、図4に示す前、後を指す。
実施例2の電波透過カバーにおける意匠層3は、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなる有色樹脂層32と、インジウムが蒸着されてなる蒸着部31と、を持つ。有色樹脂層32は、2色成形法によって透明層2の後面側に積層されている。すなわち、実施例2の電波透過カバーにおける意匠層3の一部は、透明層2と一体成形されている。前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は、0.1mmである。
透明層2は、後面側に突出する2つの見切り部(25、26)を持つ。2つの見切り部(25、26)は、それぞれ、環形に突出する立壁状をなす。この見切り部(25、26)の突出端部は尖端形状をなす。一方の見切り部である第1見切り部25は、他方の見切り部である第2見切り部26の内側に形成されている。第1見切り部25と第2見切り部26との間の領域には、実施例1の電波透過カバーにおける透明層2と同様に、環状に陥没する溝部20が形成されている。
有色樹脂層32は、透明層2の後面のなかで、第1見切り部25よりも内側の部分と、第2見切り部26よりも外側の部分と、に積層されている。有色樹脂層32のなかで第1見切り部25よりも内側に積層されている部分を内側有色樹脂層320と呼ぶ。有色樹脂層32のなかで第2見切り部26よりも外側に積層されている部分を外側有色樹脂層321と呼ぶ。外側有色樹脂層321は、第1の係合部11を持つ。
図4に示すように、内側有色樹脂層320の外周面と、第1見切り部25の内周面とは、当接している。外側有色樹脂層321の内周面と、第2見切り部26の外周面とは、当接している。第1見切り部25の先端部250は、内側有色樹脂層320の外周端部よりも後面側に突出している。第2見切り部26の先端部は、外側有色樹脂層321の内周端部よりも後面側に突出している。
蒸着部31は、透明層2の後面と内側有色樹脂層320の後面と外側有色樹脂層321の後面とに積層されている。
後側部材5はポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなる。この混合樹脂材料の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.6〜2.8である。この後側部材5は、実施例1の電波透過カバーにおける後側部材5と同形状である。後側部材5の前面側には、環状に突出する突出部50が形成されている。突出部50は溝部20の内部に入り込んでいる。後側部材5のなかで突出部50よりも外側に位置する部分には、周方向に延びる第2の係合部52が形成されている。
スペーサ9は、後側部材5に一体化されている。詳しくは、スペーサ9は、後側部材5の周縁部に沿って延び前側部材1方向に突起する略リング状をなし、後側部材5と一体に成形されている。スペーサ9の突起高さは0.1mmである。なお、スペーサ9は前側部材1の外側有色樹脂層321に対面する。
連結層6は、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなる。この混合樹脂材料の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.6〜2.8である。連結層6は、実施例1の電波透過カバーにおける連結層6と略同形状である。連結層6は、第1の係合部11と係合する第3の係合部63と、第2の係合部52と係合する第4の係合部64とを持つ。連結層6と前側部材1(外側有色樹脂層321)との境界部分は互いに溶着し、連結層6と後側部材5との境界部分もまた互いに溶着している。実施例2の電波透過カバーにおける連結層6もまた、電波透過領域外に配置されている。
実施例2の電波透過カバーは、実施例1の電波透過カバーと同様に、意匠性に優れ、前側部材1と連結層6と後側部材5とが強固に一体化されてなり、電波透過損失が小さく、かつ、厚さ方向および径方向にほぼ均一に電波を透過する。
さらに、実施例2の電波透過カバーにおける第1の係合部11は有色樹脂層32に形成されている。このため、第1の係合部11と第3の係合部63との係合部分は、電波透過カバーの前側から視認され難い。このことによっても、実施例2の電波透過カバーは、より一層意匠性に優れる。
さらに、実施例2の電波透過カバーにおける透明層2は見切り部(25、26)を持つ。このため、透明層2と内側有色樹脂層320と外側有色樹脂層321とを2色成形するにもかかわらず、内側有色樹脂層320と透明層2(第1の見切り部25)との境界部分、および、外側有色樹脂層321と透明層2(第2の見切り部26)との境界部分を精密に位置決めできる。これは、以下の理由による。
2色成形法により、実施例2の電波透過カバーにおける透明層2と内側有色樹脂層320と外側有色樹脂層321との複合体を成形する際には、先ず透明層2を成形する。次いで、得られた透明層2を内側有色樹脂層320および外側有色樹脂層321を成形するための成形型に入れ、透明層2の後面に内側有色樹脂層320および外側有色樹脂層321を成形する。
ところで、実施例2の電波透過カバーにおいて、第1見切り部25の先端部250は、内側有色樹脂層320の外周端部よりも後面側に突出する。第2見切り部26の先端部は、外側有色樹脂層321の内周端部よりも後面側に突出する。このため、第1見切り部25の先端部250と第2見切り部26の先端部とは、内側有色樹脂層320および外側有色樹脂層321用の成形型の型面に圧接し、この成形型の型面によって固定される。第1見切り部25および第2見切り部26が固定されることによって、透明層2が成形後に収縮しても、内側有色樹脂層320と透明層2(第1の見切り部25)との境界部分、および、外側有色樹脂層321と透明層2(第2の見切り部26)との境界部分が位置ズレし難い。よって、実施例2の電波透過カバーは、さらに意匠性に優れる。
(実施例3)
実施例3の電波透過カバーは上記(1)および(3)〜(4)を備える。実施例3の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図を図5に示す。なお、図5は、実施例3の電波透過カバーを、図1(a)におけるA−Aと同位置で切断した様子を表す要部拡大断面図である。以下、実施例3において、前、後とは、図5に示す前、後を指す。
実施例3の電波透過カバーは、第1の係合部、第2の係合部、第3の係合部及び第4の係合部を持たないこと以外は、実施例1の電波透過カバーとほぼ同じものである。
実施例3の電波透過カバーにおける前側部材1は、実施例1の前側部材と同様に、透明層2と意匠層3とを持つ。意匠層3は、実施例1の意匠層と同様に、黒色塗料がスクリーン印刷されてなる印刷部30と、インジウムが蒸着されてなる蒸着部31とを持つ。
透明層2はポリカーボネート樹脂からなる。透明層2の後面側には、環状に陥没する溝部20が形成されている。透明層2のなかで溝部20よりも外側に位置する部分には、周方向に延びる第2の溝部21が陥没形成されている。
後側部材5は、実施例1の電波透過カバーと同様に、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなり、略楕円の板状をなす。後側部材5の外径は前側部材1の外径よりも小さい。後側部材5は前側部材1の後面内側に積層されている。後側部材5の前面側には、前側部材1の溝部20に入り込む突出部50が形成されている。前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は、0.1mmである。
スペーサ9は、後側部材5に一体化されている。詳しくは、スペーサ9は、後側部材5の周縁部に沿って延び前側部材1方向に突起する略リング状をなし、後側部材5と一体に成形されている。スペーサ9の突起高さは0.1mmである。スペーサ9は前側部材1の印刷部30に対面する。
連結層6は、後側部材5と同じポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなり、断面略L字の環状をなす。連結層6の外側部分には周方向に延びる突出部65が突出形成されている。この突出部65は第2の溝部21に入り込む。また、連結層6の内周面は後側部材5の外周面とほぼ一致した形状をなす。連結層6と前側部材1(透明層2)との境界部分は互いに溶着し、連結層6と後側部材5との境界部分もまた互いに溶着している。実施例3の電波透過カバーにおける連結層6もまた、電波透過領域外に配置されている。
実施例3の電波透過カバーは、実施例1の電波透過カバーと同様に、予め成形した前側部材1および後側部材5を、その相対位置を規制しつつ射出成形型に配置し、インサート成形法によって前側部材1の後面側かつ後側部材5の外側に連結層6を形成することで製造される。したがって、連結層6を成形する際に、連結層6の材料(溶融混合樹脂材料)と透明層2の一部とが混ざり合い、溶融混合樹脂材料と後側部材5の一部とが混ざり合って、透明層2と連結層6と後側部材5とが強固に一体化する。このため、実施例3の電波透過カバーは第1の係合部、第2の係合部、第3の係合部及び第4の係合部を持たないが、前側部材1と連結層6との間、および、後側部材5と連結層6との間に隙間が生じ難い。よって、これらの隙間から電波透過カバーの内部への水等の侵入を抑制できるため、意匠層3の劣化を抑制できる。
なお、実施例3の電波透過カバーは、実施例1の電波透過カバーと同様に、意匠性に優れ、電波透過損失が小さく、かつ、厚さ方向および径方向にほぼ均一に電波が透過する。
(実施例4)
実施例4の電波透過カバーは、上記(4)を備える。実施例4の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図を図6に示す。なお、図6は、実施例4の電波透過カバーを、図1(a)におけるA−Aと同位置で切断した様子を表す要部拡大断面図である。以下、実施例4において、前、後とは、図6に示す前、後を指す。
実施例4の電波透過カバーは、第1の係合部、第2の係合部、第3の係合部及び第4の係合部、スペーサを持たず、連結層6が接着剤からなること以外は、実施例1の電波透過カバーとほぼ同じものである。
実施例4の電波透過カバーにおける前側部材1は、実施例1の前側部材と同様に、透明層2と意匠層3とを持つ。透明層2はポリカーボネート樹脂からなる。透明層2の後面側には、環状に陥没する溝部20が形成されている。
後側部材5は、実施例1の電波透過カバーと同様に、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料からなり、略楕円の板状をなす。後側部材5の外径は前側部材1の外径とほぼ同じである。後側部材5は前側部材1の後面に積層されている。後側部材5の前面側には、前側部材1の溝部20に入り込む突出部50が形成されている。前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は、0.1mmである。
連結層6は、前側部材1の後面周縁部に塗布形成されている。連結層6は、前側部材1と後側部材5とに接着している。実施例4の電波透過カバーにおける連結層6もまた、電波透過領域外に配置されている。
実施例4の電波透過カバーは、予め成形した前側部材1および後側部材5を接着剤からなる連結層6で接着一体化することで製造される。したがって、実施例4の電波透過カバーにおける意匠層3には、連結層6を形成する際にも、圧力や熱が殆ど作用しない。したがって、実施例4の電波透過カバーによると、意匠層3の変形を信頼性高く抑制でき、意匠性に優れる。
また、前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は0.1mmであり、過大でない。さらに、連結層6は電波透過領域外に配置されている。このため、実施例4の電波透過カバーもまた、電波透過性に優れる。
また、前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は、0.1mmであり、過小でない。このため、実施例4の電波透過カバーは意匠性に優れる。
(実施例5)
実施例5の電波透過カバーは、上記(1)〜(4)を備える。実施例5の電波透過カバーの製造方法は、本発明の電波透過カバーの製造方法である。実施例5の電波透過カバーの製造方法は、上記(5)を備える。実施例5の電波透過カバーを説明する説明図を図7に示す。図7(a)は実施例5の電波透過カバーを前面から見た様子を表す。図7(b)は、図7(a)中A−A位置における実施例5の電波透過カバーの断面を表す。図7(b)の要部拡大図を図8に示す。実施例5の電波透過カバーを製造している様子を模式的に表す説明図を図9に示す。以下、実施例5において、前、後とは、図8に示す前、後を指す。
実施例5の電波透過カバーは、前側部材1が凹状ガス遮断部15を持ち後側部材5が凸状ガス遮断部55を持つこと以外は、実施例1の電波透過カバーとほぼ同じである。
図7に示すように、凹状ガス遮断部15は透明層2の後面側に形成されている。詳しくは、図8に示すように、凹状ガス遮断部15は、透明層2のなかで溝部20よりも外側に位置する部分に形成されている。凹状ガス遮断部15は凹状をなし、電波透過カバーの周方向に沿って環状に延びる。凹状ガス遮断部15の内部には意匠層3の蒸着部31が形成されている。
凸状ガス遮断部55は、後側部材5の前面側に形成されている。詳しくは、凸状ガス遮断部55は、後側部材5のなかで突出部50よりも外側に位置する部分に形成されている。凸状ガス遮断部55は凸状をなし、電波透過カバーの周方向に沿って環状に延びる。また凸状ガス遮断部55は凹状ガス遮断部15と相補的な形状をなす。
図8に示すように、前側部材1と後側部材5とを組み付けると、凸状ガス遮断部55は凹状ガス遮断部15に挿入される。このとき、前側部材1と凸状ガス遮断部55との間には隙間が形成される。この隙間の前後方向の長さ(すなわち、凹状ガス遮断部15と凸状ガス遮断部55との前後方向の距離)は、凹状ガス遮断部15および凸状ガス遮断部55以外の部分における前側部材1と後側部材5との前後方向の距離とほぼ同じ(0.1mm)である。
図7に示すように、連結層6には溝状をなすガス抜き孔65が形成されている。ガス抜き孔65は、連結層6に形成されているウェルドライン66の近傍に形成されている。換言すると、ガス抜き孔65は、連結層6に形成されているゲート痕67(連結層6を成形する射出成形型80の樹脂注入ゲート81の痕跡)を始点とした、樹脂流れ最下流側に形成されている。
ガス抜き孔65の一端部は凹状ガス遮断部15と凸状ガス遮断部55との隙間70に連絡し、他端部は連結層6の外周端面に開口している。ガス抜き孔65は、ウレタン、シリコン系材料等からなる封止材(図略)で封止されている。
スペーサ9は、後側部材5に一体化されている。詳しくは、スペーサ9は後側部材5の周縁部に沿って延び前側部材1方向に突起し、後側部材5と一体に成形されている。スペーサ9の突起高さは0.1mmである。また、図7に示すように、スペーサ9は凸状ガス遮断部55よりも外側に配置されている。また、スペーサ9は、略C字状をなし、ガス抜き孔65と凸状ガス遮断部55とをむすぶ直線(すなわち、後述するガス遮断空間70とガス抜き孔65とをむすぶガス流路)を避けて形成されている。
実施例5の電波透過カバーの製造方法を以下に説明する。
先ず、実施例1の電波透過カバーの製造方法における第1工程〜第4工程と同様の工程で、前側部材1と後側部材5とを形成し、後側部材5および前側部材1を、その相対位置を規制しつつ射出成形型80に配置した。
次いで、図9に示すように、インサート成形法を用い、前側部材1および後側部材5が配置された射出成形型80によって連結層6を成形した。連結層6は、前側部材1の後面側かつ後側部材5の外側に形成された。なお、この射出成形型80は、ガス抜き孔65を成形するためのピン82を持つ。ピン82は、射出成形型80の型面に穿設されているピン孔83に挿通されている。
図7(a)中矢印で示すように、連結層6を成形する際に連結層6の材料(溶融混合樹脂)から放出されたガスは、溶融混合樹脂が射出成形型80のキャビティに注入されるのに伴って、樹脂流れ方向の上流側(樹脂注入ゲート81側)から下流側に向けて流通した。そして、図9中矢印に示すように、このガスは、前側部材1と後側部材5との隙間に侵入し、凹状ガス遮断部15と凸状ガス遮断部55との隙間70(以下、ガス遮断空間70と呼ぶ)に到達した。
ところで、ガス遮断空間70は、凹状をなす凹状ガス遮断部15と凸状をなす凸状ガス遮断部55とで区画されている。このためガス遮断空間70を電波透過カバーの外側−内側方向に切断した断面は、コ字に屈曲する迷路状をなす。したがって、ガス遮断空間70に到達したガスは、電波透過カバーの外側−内側方向には流通し難い。このため、ガス遮断空間70に到達したガスは、図7(a)中矢印で示すように、ガス遮断空間70の延びる方向、すなわち、電波透過カバーの周方向に沿って流通し、ガス抜き孔65を通って電波透過カバーの外部に流出した。そしてガスは、図9に示すピン82とピン孔83との隙間を通って射出成形型80の外部に流出した。
溶融混合樹脂が冷却・固化した後に、前側部材1と後側部材5と連結層6とからなる電波透過カバーを射出成形型80から取り出した。そして、ガス抜き孔65をウレタン、シリコン系材料等からなる封止材で封止した。以上の工程で、実施例5の電波透過カバーを製造した。
実施例5の電波透過カバーの製造方法によると、連結層6を成形する際に発生したガスは、前側部材1と後側部材5との隙間に侵入するものの、ガス遮断空間70に到達すると、それ以上電波透過カバーの内側には侵入し難い。また、ガス遮断空間70に到達したガスは、ガス抜き孔65を経て電波透過カバーの外部に流出する。さらに、連結層6が成形後に収縮し、前側部材1と後側部材5との隙間が負圧になると、ガス抜き孔65を経て外気が電波透過カバーの内部に流入するため、前側部材1と後側部材5との隙間の気圧は大気圧とほぼ等しくなる。さらに、連結層6を成形した後に(連結層6が収縮した後)ガス抜き孔65を封止材で封止することで、前側部材1と後側部材5との隙間を気密および/または液密にシールできる。このため、実施例5の電波透過カバーの製造方法によると、電波透過カバーの内側へのガスの侵入を抑制でき、かつ、電波透過カバーの外部から内側への水等の侵入を抑制できる。このため、実施例5の電波透過カバーの製造方法によると、意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーを製造できる。
なお、前側部材1と後側部材5との間にはスペーサ9が介在しているため、連結層6を成形する際に、溶融樹脂材料が前側部材1と後側部材5との間に入り込んだとしても、スペーサ9が溶融樹脂材料を遮断する。したがって、溶融樹脂材料は電波透過カバーの内側には入り込み難い。また、スペーサ9が凹状ガス遮断部15よりも外側、かつ、ガス抜き孔65を避けて配置されていることで、ガス遮断空間70からガス抜き孔65までのガス流路にスペーサ9が干渉することはない。このことによっても、実施例5の電波透過カバーの製造方法によると、意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーを製造できる。
(実施例6)
実施例6の電波透過カバーは、上記(1)〜(4)を備える。実施例6の電波透過カバーの製造方法は、本発明の電波透過カバーの製造方法である。実施例6の電波透過カバーの製造方法は、上記(5)を備える。実施例6の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図を図10に示す。なお、図10は、実施例6の電波透過カバーを、図7(a)におけるA−Aと同位置で切断した様子を表す要部拡大断面図である。以下、実施例6において、前、後とは、図10に示す前、後を指す。
実施例6の電波透過カバーは、連結層6が前側部材1および後側部材5の周縁部に積層されていること、および、連結層6の前側部分が凹状ガス遮断部15および凸状ガス遮断部55の前側を覆っていること以外は、実施例5の電波透過カバーとほぼ同じである。なお、実施例6の電波透過カバーにおける前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は、0.1mmである。実施例6の電波透過カバーの製造方法は、実施例5の電波透過カバーの製造方法とほぼ同じである。
実施例6の電波透過カバーは、実施例1の電波透過カバーと同様に、意匠性および電波透過性に優れる。
また、実施例6の電波透過カバーは、連結層6の前側部分が、凹状ガス遮断部15および凸状ガス遮断部55の前側を覆っている。連結層6はカーボンブラックを含む樹脂材料からなり、黒色である。このため、凹状ガス遮断部15および凸状ガス遮断部55は、電波透過カバーの前側から視認され難い。よって、実施例6の電波透過カバーは、より一層意匠性に優れる。
また、実施例6の電波透過カバーの製造方法においても、連結層6を成形する際に発生したガスは、前側部材1と後側部材5との隙間に侵入しガス遮断空間70に到達するとガス抜き孔(図略)を経て電波透過カバーの外部に排出される。このためガスは、ガス遮断空間70よりも電波透過カバーの内側には侵入し難い。さらに、連結層6が成形後に収縮し、前側部材1と後側部材5との隙間が負圧になると、ガス抜き孔を経て外気が電波透過カバーの内部に流入する。このため、前側部材1と後側部材5との隙間の気圧は大気圧とほぼ等しくなる。さらに、連結層6を成形した後にガス抜き孔を封止材(図略)で封止することで、前側部材1と後側部材5との隙間を気密および/または液密にシールできる。したがって実施例6の電波透過カバーの製造方法によると、意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーを製造できる。
(実施例7)
実施例7の電波透過カバーは、上記(1)〜(4)を備える。実施例7の電波透過カバーの製造方法は、本発明の電波透過カバーの製造方法である。実施例7の電波透過カバーの製造方法は、上記(5)を備える。実施例7の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図を図11に示す。なお、図11は、実施例7の電波透過カバーを、図7(a)におけるA−Aと同位置で切断した様子を表す要部拡大断面図である。以下、実施例7において、前、後とは、図11に示す前、後を指す。
実施例7の電波透過カバーは、前側部材1が透明層2と有色樹脂層32とを持つこと以外は、実施例5の電波透過カバーとほぼ同じである。なお、実施例7の電波透過カバーにおける前側部材1と後側部材5との前後方向の距離は、0.1mmである。また、実施例7の電波透過カバーの製造方法は、実施例5の電波透過カバーの製造方法とほぼ同じである。
実施例7の電波透過カバーは、実施例1の電波透過カバーと同様に、意匠性および電波透過性に優れる。
また、実施例7の電波透過カバーにおける有色樹脂層32は、透明層2の後面周縁部に形成され、透明層2と有色樹脂層32とは2色成形されている。第1の係合部11は、有色樹脂層32に形成されている。このため、第1の係合部11と第3の係合部63との係合部分は、電波透過カバーの前側から視認され難い。よって、実施例7の電波透過カバーは、より一層意匠性に優れる。
また、実施例7の電波透過カバーの製造方法においても、連結層6を成形する際に発生したガスは、ガス遮断空間70およびガス抜き孔(図略)を経て電波透過カバーの外部に排出される。また、連結層6の収縮によって前側部材1と後側部材5との隙間が負圧になると、ガス抜き孔を経て外気が電波透過カバーの内部に流入する。このため、連結層6を成形する際に発生したガスはガス遮断空間70よりも電波透過カバーの内側には侵入し難く、かつ、前側部材1と後側部材5との隙間の気圧を大気圧とほぼ等しくできる。さらにガス抜き孔を封止材(図略)で封止することで、前側部材1と後側部材5との隙間を気密および/または液密にシールできる。よって、実施例7の電波透過カバーの製造方法によると、意匠性および電波透過性に優れる電波透過カバーを製造できる。
(透過損失評価試験)
前側部材1と後側部材5との前後方向の距離(以下、隙間長さと呼ぶ)が異なる複数の電波透過カバーを準備し、隙間長さの違いが電波透過カバーの透過損失に与える影響を評価した。詳しくは、隙間長さの異なる複数の電波透過カバーを準備し、各電波透過カバーをミリ波レーダ装置の前側に配置した。そして、ミリ波レーダ装置が送信したミリ波(送信波)の大きさと、電波透過カバーを通してミリ波レーダ装置が受信したミリ波(受信波)の大きさとを測定した。透過損失評価試験で用いた電波透過カバーは、隙間長さ以外は実施例4の電波透過カバーと同じものである。透過損失評価試験の結果を表すグラフを図12に示す。なお、図12における縦軸は、送信波を基準とした受信波の減衰量(dB)を表す。横軸は、電波透過カバーの最大隙間長さ(mm)を表す。
図12に示すように、電波透過カバーの最大隙間長さと、送信波を基準とした受信波の減衰量(以下、電波減衰量と略す)とは、比例関係にある。詳しくは、最大隙間長さが1mm大きくなると、電波減衰量は0.5dB増大する。そして、最大隙間長さが0.4mm以下であれば、車両用ミリ波レーダ装置で十分にセンシングできる程度に電波減衰量が小さくなる。このため、最大隙間長さを0.4mm以下にすることで、電波透過カバーに優れた電波透過性能を付与できる。なお、より好ましくは、最大隙間長さを0.2mm以下にするのがよい。最大隙間長さが0.2mm以下であれば、車両用ミリ波レーダ装置でさらに信頼性高くセンシングできる程度に電波減衰量が小さくなる。
実施例1の電波透過カバーを説明する説明図である。 図1(b)の要部拡大図である。 実施例1の電波透過カバーを製造している様子を模式的に表す説明図である。 実施例2の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図である。 実施例3の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図である。 実施例4の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図である。 実施例5の電波透過カバーを説明する説明図である。 図7(b)の要部拡大図である。 実施例5の電波透過カバーを製造している様子を模式的に表す説明図である。 実施例6の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図である。 実施例7の電波透過カバーを模式的に表す要部拡大図である。 透過損失評価試験の結果を表すグラフである。 従来の電波透過カバーを模式的に表す説明図である。
符号の説明
1:前側部材 2:透明層 3:意匠層 5:後側部材 6:連結層
11:第1の係合部 52:第2の係合部 63:第3の係合部 64:第4の係合部
15:凹状ガス遮断部 55:凸状ガス遮断部 65:ガス抜き孔
70:凹状ガス遮断部と凸状ガス遮断部との隙間

Claims (7)

  1. 車両用電波レーダ装置の前側に配設されている電波透過カバーであって、
    透明樹脂材料からなる透明層と、該透明層の後面側に積層されている意匠層と、を持つ前側部材と、
    樹脂材料からなり該前側部材の後面側に積層されている後側部材と、
    該前側部材および該後側部材の少なくとも一方の周縁部に積層され、該前側部材と該後側部材とに固着している連結層と、を持ち、
    該前側部材と該後側部材とは別体で成形され、
    該前側部材と該後側部材とは、前後方向に0.01mm〜0.4mm離間していることを特徴とする電波透過カバー。
  2. 前記後側部材は、前記前側部材の周縁部よりも内側に積層され、
    前記連結層は、樹脂材料からなり、
    前記連結層は前記前側部材と前記後側部材とに溶着している請求項1に記載の電波透過カバー。
  3. 前記前側部材はアンダーカット形状をなす第1の係合部を持ち、
    前記後側部材はアンダーカット形状をなす第2の係合部を持ち、
    前記連結層は、該第1の係合部と相補的なアンダーカット形状をなす第3の係合部と、該第2の係合部と相補的なアンダーカット形状をなす第4の係合部と、を持つ請求項1または請求項2に記載の電波透過カバー。
  4. 前記透明樹脂材料の比誘電率、前記後側部材を構成する樹脂材料の比誘電率、および前記連結層を構成する樹脂材料の比誘電率は、室温、76.5GHzにおいて2.7±1.5である請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の電波透過カバー。
  5. 前記連結層は前記電波透過カバーの電波透過領域外に配置されている請求項1〜請求項4の何れか一つに記載の電波透過カバー。
  6. 請求項2に記載の電波透過カバーを製造する方法であって、
    前記前側部材と前記後側部材との一方に、凸状をなし前記電波透過カバーの周方向に延びる凸状ガス遮断部を形成し、
    前記前側部材と前記後側部材との他方に、凹状をなし前記電波透過カバーの周方向に延びる凹状ガス遮断部を形成し、
    該凸状ガス遮断部を該凹状ガス遮断部に挿入して前記前側部材と前記後側部材とを組み付け、
    前記連結層は、前記前側部材と前記後側部材とを配置した成形型のキャビティに、溶融した樹脂材料を射出して成形し、
    前記連結層を成形する際に、前記連結層のなかで樹脂注入ゲートよりも樹脂流れ下流側に位置する部分に、溝状をなし該凸状ガス遮断部と該凹状ガス遮断部との隙間に連絡するとともに前記連結層の端面に開口するガス抜き孔を形成することを特徴とする電波透過カバーの製造方法。
  7. 前記連結層を成形した後に、前記ガス抜き孔を封止材で封止する請求項6に記載の電波透過カバーの製造方法。
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