JP4886108B2 - 電界ノイズ測定装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネス等のケーブルから放射される電界ノイズを測定する電界ノイズ測定装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の電気系統の配線に使用されているワイヤーハーネスは、車両の各部に信号を運ぶために幹線から分岐して複雑な形状をとっている。このような複雑な形状のワイヤハーネスから放射される電界ノイズは、車載電子機器、たとえば車載ラジオ受信機のロッドアンテナ等の電界アンテナに悪影響を与える。
このようなワイヤハーネスからの電界ノイズを測定する方法として、直接電界強度を測定する方法と、ワイヤハーネスのコモンモードノイズを推定するために電流プローブを用いてコモンモード電流を測定する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、直接電界強度を測定する方法では、測定規格上分岐のないケーブルを被測定ケーブルとして使用しているので、幹線と枝線(分岐線)で構成されるような複雑な形状のワイヤハーネスを測定することは困難である。
【0004】
一方、コモンモード電流を測定する方法では、測定値は磁界ノイズと強い相関関係にあるが、問題としている電界ノイズとの相関は弱く、電界強度の推定には向かない。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、複雑な形状のケーブルから放射される電界ノイズを測定することができる電界ノイズ測定装置および方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明の電界ノイズ測定装置は、枝のない試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を検出する第1の検出手段と、上記試験ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段で検出された上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムおよび上記第2の検出手段で検出された上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析するスペクトラム解析手段と、上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムと上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数を算出するスペクトラム演算手段と、上記スペクトラム演算手段で算出された相関係数データを保存する相関係数データ保持手段とを備え、上記第2の検出手段は、さらに、上記試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出し、上記スペクトラム解析手段は、上記第2の検出手段で検出された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析し、上記スペクトラム演算手段は、さらに、解析された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムデータに、上記相関係数データ保持手段に保存されている上記相関係数データを掛けることにより、上記被測定ケーブルより放射される電界ノイズの電界強度を推定算出することを特徴とする電界ノイズ測定装置に存する。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、電界ノイズ測定装置は、枝のない試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を検出する第1の検出手段と、試験ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出する第2の検出手段と、第1の検出手段で検出された試験ケーブルに関する電界強度のスペクトラムおよび第2の検出手段で検出された試験ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムを解析するスペクトラム解析手段と、試験ケーブルに関する電界強度のスペクトラムと試験ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数を算出するスペクトラム演算手段と、スペクトラム演算手段で算出された相関係数データを保存する相関係数データ保持手段とを備えている。第2の検出手段は、さらに、試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出する。スペクトラム解析手段は、第2の検出手段で検出された被測定ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムを解析する。スペクトラム演算手段は、さらに、解析された被測定ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムデータに、相関係数データ保持手段に保存されている相関係数データを掛けることにより、被測定ケーブルより放射される電界ノイズの電界強度を推定算出する。
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明の電界ノイズ測定装置は、前記試験ケーブルは、分岐ケーブルを有する幹線ケーブルからなる前記被測定ケーブルのうちの幹線ケーブルのみを使用することを特徴とする請求項1記載の電界ノイズ測定装置に存する。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、試験ケーブルは、分岐ケーブルを有する幹線ケーブルからなる被測定ケーブルのうちの幹線ケーブルのみを使用する。
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明の電界ノイズ測定装置は、前記試験ケーブルおよび被測定ケーブルはワイヤハーネスであることを特徴とする請求項1または2記載の電界ノイズ測定装置に存する。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、試験ケーブルおよび被測定ケーブルはワイヤハーネスである。
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明の電界ノイズ測定方法は、枝のない試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を検出するステップと、検出された上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムを解析するステップと、解析された上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムデータを保存するステップと、上記試験ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出するステップと、検出された上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析するステップと、保存されている上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムと解析された上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数を算出するステップと、算出された相関係数データを保存するステップと、上記試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出するステップと、検出された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析するステップと、解析された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムデータに、保存されている上記相関係数データを掛けることにより、上記被測定ケーブルより放射される電界ノイズの電界強度を推定算出するステップと、からなることを特徴とする電界ノイズ測定方法に存する。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、電界ノイズ測定方法は、枝のない試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を検出するステップと、検出された試験ケーブルに関する電界強度のスペクトラムを解析するステップと、解析された試験ケーブルに関する電界強度のスペクトラムデータを保存するステップと、試験ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出するステップと、検出された試験ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムを解析するステップと、保存されている試験ケーブルに関する電界強度のスペクトラムと解析された試験ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数を算出するステップと、算出された相関係数データを保存するステップと、試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出するステップと、検出された被測定ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムを解析するステップと、解析された被測定ケーブルに関するコモンモード電圧のスペクトラムデータに、保存されている相関係数データを掛けることにより、被測定ケーブルより放射される電界ノイズの電界強度を推定算出するステップとからなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明による電界ノイズ測定装置の実施の形態を示す構成図である。電界ノイズ測定装置は、電圧プローブ1、加算回路2、アンテナ3、切換スイッチ4、切換スイッチ5、電圧−時間波形解析部6、スペクトラム解析部7、スペクトラムデータ保持部8、スペクトラム演算部9、相関係数データ保持部10、切換スイッチ11および表示部12からなる。
【0016】
電圧プローブ1は、第2の検出手段の一部として働き、複数のプローブ1a,1b,1c,...1nを有し、試験ケーブルの本数に合わせた数のプローブが使用されて被測定ケーブルのコモンモード電圧を検出する。各プローブは、接触タイプまたは非接触タイプのどちらのタイプを使用しても良い。
【0017】
加算回路2は、第2の検出手段の一部として働き、電圧プローブ1で測定された電圧を加算してコモンモード電圧を得る。
【0018】
アンテナ3は、第1の検出手段として働き、被測定ケーブルからの電界ノイズの電界強度を測定するためのものである。
【0019】
切換スイッチ4は、切換接点4bに接続された加算回路2の出力と、切換接点4cに接続されたアンテナ3の出力とを切り換えるものである。切換スイッチ5は、共通接点5aが切換スイッチ4の共通接点4aに接続され、切換スイッチ4の出力を、切換接点5bに接続された電圧−時間波形解析部6または切換接点5cに接続されたスペクトラム解析部7に切り換え供給するものである。
【0020】
電圧−時間波形解析部6は、切換スイッチ4,5を介して入力される加算回路2からの出力またはアンテナ3からの出力の電圧−時間波形を解析するものである。
【0021】
スペクトラム解析部7は、スペクトラム解析手段として働き、切換スイッチ4,5を介して入力される加算回路2からの出力またはアンテナ3からの出力のスペクトラムを解析するものである。
【0022】
スペクトラムデータ保持部8は、メモリ等からなり、スペクトラム解析部7で解析されたスペクトラムデータを保持するものである。
【0023】
スペクトラム演算部9は、スペクトラム演算手段として働き、スペクトラム解析部7からの解析結果と、スペクトラムデータ保持部8に保持されているスペクトラムデータを比較、演算するものである。
【0024】
相関係数データ保持部10は、相関係数データ保持手段として働くメモリ等からなり、後述のようにして求められる、電界ノイズの電界強度のスペクトラムとコモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数のデータを保持するものである。
【0025】
切換スイッチ11は、切換スイッチ5と連動し、切換接点11bに接続された電圧−時間波形解析部6からの解析結果と、切換接点11cに接続されたスペクトラム演算部9からの演算結果とを切り換えて、共通接点11aに接続された表示部(ディスプレイ)12に供給するものである。
【0026】
上述の構成において、本発明の試験ケーブルの電界ノイズを測定する方法を以下に説明する。
【0027】
この測定方法は、要約すると、枝のない試験ケーブルを準備し、この試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度のスペクトラムと、試験ケーブルで生じるコモンモード電圧のスペクトラムとを別個に測定し、両スペクトラム間の相関係数を求め、求めた相関係数を、試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルについて測定したコモンモード電圧のスペクトラムに掛けることにより、被測定ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を推定、算出する方法である。
【0028】
以下、この測定方法について詳述する。まず、試験ケーブルの電界ノイズを以下のやり方で測定する。すなわち、図2に示すように、枝のない2本の(線長約1〜2mの)ケーブル20a,20bからなり、両端に補器等からなる端末21,22が接続されたワイヤハーネス20を試験ケーブルとして用意し、外部からの電磁波の侵入を遮断する電波暗室等の遮蔽エンクロージャ12の内部に配置する。ワイヤハーネス20には、端末21,22からまたは端末21,22を介して図示しない信号源から信号が流れる状態にしておく。また、遮蔽エンクロージャ12内において、ケーブル20a,20bから測定規格上の基準距離(1000mm±10mm)だけ離れた位置に図1のアンテナ3を配置する。
【0029】
次に、図1において、切換スイッチ4を切換接点4c側に切り換えると共に、切換スイッチ5を切換接点5c側に切り換える。それにより、ワイヤハーネス20からの電界ノイズがアンテナ3で検出され、切換スイッチ4の切換接点4cおよび切換スイッチ5の切換接点5cを介してスペクトラム解析部7に供給され、その周波数毎の電界強度がスペクトラム解析部7で解析される。次に、解析された電界強度のスペクトラムデータがスペクトラムデータ保持部8に保存される。また、解析された電界強度のスペクトラムデータは、切換スイッチ5と連動して切り換えられた切換スイッチ11の切換接点11cを介して表示部12に供給されて表示され、電界ノイズのスペクトラムを観察することができる。
【0030】
次に、試験ケーブルのコモンモード電圧を以下のやり方で測定する。すなわち、図3に示すように、図2で使用したものと同じワイヤハーネス20を用いて、各ケーブル20a,20bの任意の測定点に、それぞれ、電圧プローブ1の各プローブ1a,1bを配置する。なお、図3では、図2に示す遮蔽エンクロージャは不要である。ワイヤハーネス20には、図2と同様に、端末21,22を介して図示しない信号源から信号が流れる状態にしておく。
【0031】
次に、図1において、切換スイッチ4を切換接点4b側に切り換えると共に、切換スイッチ5を切換接点5c側に切り換える。それにより、各ケーブル20a,20bで発生するコモンモード電圧は、各プローブ1a,1bで検出され、加算回路2で加算される。
【0032】
図4は、検出されるコモンモード電圧波形の一例を示し、(A)はケーブル20aの信号にコモンモードノイズが重畳された波形を示し、(B)はケーブル20bの信号にコモンモードノイズが重畳された波形を示し、(C)は、加算回路2の加算出力として残ったコモンモードノイズの電圧波形を示す。
【0033】
加算結果としてのコモンモード電圧は、切換スイッチ4の切換接点4bおよび切換スイッチ5の切換接点5cを介してスペクトラム解析部7に供給され、その周波数毎のコモンモード電圧がスペクトラム解析部7で解析される。
【0034】
次に、解析されたコモンモード電圧のスペクトラムデータを、演算部9で、解析され、スペクトラムデータ保持部8に保存されているコモンモード電圧のスペクトラムデータと比較して両者の相関度を表わす周波数毎の相関係数を演算する。次に、演算の結果得られた相関係数データを相関係数データ保持部10に保存する。
【0035】
図5は、上述の電界強度、コモンモード電圧および相関係数のスペクトラム特性の一例を示すグラフであり、周波数f(MHz)対電界強度ε(dBμV/m)と、周波数f(MHz)対コモンモード電圧E(dBμV)と、周波数f(MHz)対相関係数k(1/m)の各スペクトラム特性が示されている。ここで、k=E−εである。
【0036】
次に、被測定ケーブルとして、たとえば図6に示すように、図2および図3に示したものと同じワイヤハーネス20に、ケーブル20aから分岐する枝線20cと、ケーブル20bから分岐する枝線20dと、枝線20c,20dに接続された端末23とが追加された、枝線を含むワイヤハーネス20Aについて、図3に示すやり方と同じやり方で任意の測定点、たとえば端末21の近傍の測定点P1におけるコモンモード電圧を測定する。
【0037】
すなわち、各ケーブル20a,20bで発生するコモンモード電圧は、各プローブ1a,1bで検出され、加算回路2で加算される。加算結果としてのコモンモード電圧は、切換スイッチ4の切換接点4bおよび切換スイッチ5の切換接点5cを介してスペクトラム解析部7に供給され、その周波数毎のコモンモード電圧がスペクトラム解析部7で解析される。
【0038】
次に、演算部9において、スペクトラム解析部7で解析されたコモンモード電圧のスペクトラムデータに、相関係数データ保持部10に保存されている相関係数を周波数毎に掛ける演算を行う。その結果、演算部9の出力として、ワイヤハーネス20Aの測定点P1付近から放射される電界ノイズの電界強度特性が推定、算出され、切換スイッチ11の接点11cを介して表示部12に供給され、表示される。
【0039】
以下、ワイヤハーネス20Aの他の測定点、たとえば、端末22近傍の測定点P2や端末23近傍の測定点P3における電界ノイズの電界強度も、上述のやり方で同様に推定、算出することができる。
【0040】
なお上述の測定中、切換スイッチ5および切換スイッチ11を電圧−時間波形解析部6側に切り換えると、アンテナ3の出力または加算回路2の出力が、切換スイッチ4,5を介して電圧−時間波形解析部6に供給され、アンテナ3の出力または加算回路2の出力の電圧−時間波形が解析され、解析された電圧−時間波形が表示部12に表示され、観察可能となる。
【0041】
このように、いったん試験ケーブルについて電界ノイズの電界強度とコモンモード電圧との相関係数を求めておけば、その後試験ケーブルと材質等が同種であって実際に使用する被測定ケーブルについて電界ノイズを測定する際には、電界ノイズの電界強度を直接測定することなく、上述の相関係数と被測定ケーブルのコモンモード電圧とに基づいて電界ノイズを推定、算出することができる。換言すると、被測定ケーブルが、幹線ケーブルとこの幹線ケーブルから分岐する分岐ケーブルとを有するケーブルである場合は、分岐ケーブルを除いた幹線ケーブルのみを試験ケーブルとして上述の相関係数を求め、求めた相関係数と、被測定ケーブルについて測定したコモンモード電圧とにより被測定ケーブルから放射される電界ノイズを推定、算出することができる。
【0042】
上述の実施の形態においては、ワイヤハーネス20Aとして、試験ケーブル20と同じ幹線ケーブルを有するものについて説明したが、ワイヤハーネス(被測定ケーブル)として、分岐の数、幹線ケーブルの長さ、太さ等、種々の形状に対応が可能である。
【0043】
したがって、分岐等を有する複雑な形状のワイヤハーネスから放射される電界ノイズの推定、算出も可能となる。そこで、複雑な形状を有するワイヤハーネスの各部からの電界ノイズの推定算出の結果に基づいて、たとえば、車載受信機用のロッドアンテナ等の電界アンテナの近傍では、ワイヤハーネスの分岐を減らす等の対策を行って、ワイヤハーネスから放射される電界ノイズが電界アンテナに悪影響を及ぼすのを軽減することができる。
【0044】
また、コモンモード電圧の測定時は、電界強度の測定時に必要な電波暗室のような環境を必要としない。
【0045】
以上の通り、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0046】
たとえば、上述の実施の形態では、被測定ケーブルとしてワイヤハーネスについて説明しているが、本発明は、これに限らずFFC,FPC等種々のケーブルにおける電界ノイズの測定に適用可能である。
【0047】
また、上述の実施の形態における電圧−時間波形解析部6と表示部12の機能を、オシロスコープで代用することもできる。また、スペクトラム解析部7、スペクトラム演算部9および表示部12の機能を、スペクトラムアナライザで代用することもできる。
【0048】
また、上述の実施の形態におけるスペクトラムデータ保持部8と相関係数データ保持部10を1つのメモリで兼用するように構成しても良い。
【0049】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係る電界ノイズ測定装置によれば、被測定ケーブルについて、直接電界ノイズを測定することなく、コモンモード電圧の測定により電界ノイズの大きさを推定、算出することができる。また、分岐等を有する複雑な形状を有するワイヤハーネス等の被測定ケーブルから放射される電界ノイズを推定、算出することができる。
【0050】
請求項2記載の発明に係る電界ノイズ測定装置によれば、試験ケーブルは、分岐ケーブルを有する幹線ケーブルからなる被測定ケーブルのうちの幹線ケーブルのみを使用するので、測定精度が向上する。
【0051】
請求項3記載の発明に係る電界ノイズ測定装置によれば、ワイヤハーネスから放射される電界ノイズを推定、算出することができる。
【0052】
請求項4記載の発明に係る電界ノイズ測定方法によれば、被測定ケーブルについて、直接電界ノイズを測定することなく、コモンモード電圧の測定により電界ノイズの大きさを推定、算出することができる。また、分岐等を有する複雑な形状を有するワイヤハーネス等の被測定ケーブルから放射される電界ノイズを推定、算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電界ノイズ測定装置の実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1において電界ノイズを測定する場合の試験ケーブルとアンテナの配置を示す略図である。
【図3】図1においてコモンモード電圧を測定する場合の試験ケーブルと電圧プローブの配置を示す略図である。
【図4】(A)(B)および(C)は、図1の電界ノイズ測定装置の各部の電圧波形を示す図である。
【図5】電界強度、コモンモード電圧および相関係数のスペクトラム特性の一例を示すグラフである。
【図6】図1においてコモンモード電圧を測定する場合の被測定ケーブルと電圧プローブの配置を示す略図である。
【符号の説明】
1 電圧プローブ(第2の検出手段の一部)
2 加算回路(第2の検出手段の一部)
3 アンテナ(第1の検出手段)
4 切換スイッチ
5 切換スイッチ
6 電圧−時間波形解析部
7 スペクトラム解析部(スペクトラム解析手段)
8 スペクトラムデータ保持部
9 スペクトラム演算部(スペクトラム演算手段)
10 相関係数データ保持部(相関係数データ保持手段)
11 切換スイッチ
12 表示部
Claims (4)
- 枝のない試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を検出する第1の検出手段と、
上記試験ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段で検出された上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムおよび上記第2の検出手段で検出された上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析するスペクトラム解析手段と、
上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムと上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数を算出するスペクトラム演算手段と、
上記スペクトラム演算手段で算出された相関係数データを保存する相関係数データ保持手段とを備え、
上記第2の検出手段は、さらに、上記試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出し、
上記スペクトラム解析手段は、上記第2の検出手段で検出された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析し、
上記スペクトラム演算手段は、さらに、解析された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムデータに、上記相関係数データ保持手段に保存されている上記相関係数データを掛けることにより、上記被測定ケーブルより放射される電界ノイズの電界強度を推定算出する
ことを特徴とする電界ノイズ測定装置。 - 前記試験ケーブルは、分岐ケーブルを有する幹線ケーブルからなる前記被測定ケーブルのうちの幹線ケーブルのみを使用する
ことを特徴とする請求項1記載の電界ノイズ測定装置。 - 前記試験ケーブルおよび被測定ケーブルはワイヤハーネスである
ことを特徴とする請求項1または2記載の電界ノイズ測定装置。 - 枝のない試験ケーブルから放射される電界ノイズの電界強度を検出するステップと、
検出された上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムを解析するステップと、
解析された上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムデータを保存するステップと、
上記試験ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出するステップと、
検出された上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析するステップと、
保存されている上記試験ケーブルに関する上記電界強度のスペクトラムと解析された上記試験ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムの相関度を表す相関係数を算出するステップと、
算出された相関係数データを保存するステップと、
上記試験ケーブルと同種の枝のある被測定ケーブルで発生するコモンモード電圧を検出するステップと、
検出された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムを解析するステップと、
解析された上記被測定ケーブルに関する上記コモンモード電圧のスペクトラムデータに、保存されている上記相関係数データを掛けることにより、上記被測定ケーブルより放射される電界ノイズの電界強度を推定算出するステップと、
からなることを特徴とする電界ノイズ測定方法。
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