JP3607475B2 - 電磁妨害波測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不要輻射の多い電子部品が実装されたプリント配線基板のノイズ発生源を測定するために用いられる電磁妨害波測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁妨害波測定装置として、特開平6−58970号公報には、不要輻射の多い電子部品が実装されたプリント配線板のノイズ発生源を測定する際、プリント配線板に対してX−Y平面に加えて、裏表両方同時にZ方向の不要輻射によるノイズも測定することで、プリント配線板に対して三次元的な不要輻射によるノイズの電気回路に及ぼす影響を検討することができ、妨害対策の効率化を図ることができるようにした技術が提案されている。
また、直線ステージでループアンテナの位置制御を行って近傍磁界を測定する方法も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電磁妨害波測定装置は、時間平均的な大まかな近傍磁界の強度分布を調べるのには有効であるが、デジタル回路の電流波形は非周期波形であるため、より詳細な近傍磁界の強度分布を測定するのは困難であった。また、どのタイミングで妨害電磁波が発生するか測定出来ないという問題があった。
【0004】
本発明は、発生間隔がクロックの周期より長い電磁波ノイズ、あるいは時間で周波数スペクトルの変わる電磁波ノイズ等を正確に測定することができる電磁妨害波測定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、測定対象である製品のクロック信号を測定するクロック測定プローブと、
移動可能な磁界センサと、
クロック信号及び磁界信号をアナログ/デジタル変換するデジタイザと、
デジタイザからのデジタル信号を入力してクロック信号をリファレンスとして磁界信号の周波数解析を行う周波数解析装置と、
周波数解析装置で解析されたデータを記憶するデータ記憶装置と、
全体の制御を司る中央制御装置と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
また上記目的を達成するために、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、
中央制御装置の指令により、電磁波ノイズの発生間隔がクロックの周期より長い場合、オフセット時間からクロック周期を引いて補正することを特徴とするものである。
【0007】
また上記目的を達成するために、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、
中央制御装置の指令により、電磁波ノイズの周波数解析を行う場合、短時間フーリエ変換を行うことを特徴とするものである。
また上記目的を達成するために、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、
クロック測定プローブとデジタイザの間に、ローパスフィルタを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また上記目的を達成するために、請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、
磁界センサとしてインダクタンスとキャパシタンスで構成された共振タイプのアンテナを使い、共振周波数を測定周波数としたことを特徴とするものである。本発明では、測定対象である製品のクロック信号をクロック測定プローブで測定して同期しながら電磁波ノイズを測定する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は第1の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。測定対象物であるデジタル回路1の電磁妨害波を測定する電磁妨害波測定装置は、クロック測定プローブ2、磁界センサ3、センサ位置移動装置4、デジタイザ5,6、周波数解析装置7、データ記憶装置8、中央制御装置9を備えている。
【0010】
中央制御装置9は、磁界センサ3をセンサ位置移動装置4で所定の位置に移動する。クロック測定プローブ2は、デジタル回路1のクロック部分に接続しており、クロック信号をデジタイザ6に送れるようになっている。中央制御装置9によりデジタイザ5,6は、クロック信号、磁界信号をアナログ/デジタル変換し、このデータを周波数解析装置7に送る。
【0011】
次に電磁波ノイズ測定の第1の例を説明する。
周波数解析装置7は、クロック信号をリファレンスとして、中央制御装置9で決められた一定時間の磁界信号を周波数解析し、データ記憶装置8に解析データを記憶する。中央制御装置9は、必要な磁界測定の数だけ磁界センサ3を移動し、磁界を測定する。
これにより、あるクロックに関係して発生する電磁波ノイズをより詳細に測定することができる。
【0012】
次に電磁波ノイズ測定の第2の例を説明する。
周波数解析装置7は、クロック信号をリファレンスとして周波数解析を行う。図2に信号の波形を示す。図2で、W1がクロック波形、W2がある時刻での電磁波ノイズ波形、W3が同じ電磁波ノイズを別のタイミング測定した場合の電磁波ノイズ波形とする。
Tを周波数を解析する時間とし、W2の波形の時間位相をt2とすると、W3の波形の時間位相はt3となるので、クロック波形の周期分だけ引いてt4とする。データ記憶装置8に解析データを記憶する。中央制御装置9は、必要な磁界測定の数だけ磁界センサ3を移動し、磁界を測定する。
これにより、発生の間隔がクロックの周期より長い電磁波ノイズについても、より正確な測定が可能となる。
【0013】
次に電磁波ノイズ測定の第3の例を説明する。
周波数解析装置7は、クロック信号をリファレンスとして周波数解析を行う。図3に信号の波形を示す。図3で、W1がクロック波形、W2が電磁波ノイズ波形とする。Tを周波数を解析する時間とし、中央制御装置9により、周波数解析装置7でTより小さい時間tの相関数を使って短時間フーリエ変換を行う。そしてデータ記憶装置8に解析データを記憶する。中央制御装置9は、必要な磁界測定の数だけ磁界センサ3を移動し、磁界を測定する。
これにより、時間でスペクトルが変わる電磁波ノイズについても、正確な測定が可能となる。
【0014】
次に電磁波ノイズ測定の第4の例を説明する。
図4は第2の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。この実施の形態では、クロック測定プローブ2、磁界センサ3、センサ位置移動装置4、デジタイザ5,6、周波数解析装置7、データ記憶装置8、中央制御装置9を備える他、ローパスフィルタ10を備える。
クロック測定プローブ2は、デジタル回路1のクロック部分に接続しており、ローパスフィルタ10を通してクロックの基本周波数より高い周波数スペクトルを遮断して、信号をデジタイザ6に送れるようになっている。
周波数解析装置7は、クロック信号をリファレンスとして周波数解析を行う。そしてデータ記憶装置8に解析データを記憶する。中央制御装置9は必要な磁界測定の数だけ磁界センサ3を移動し、磁界を測定する。
これにより、通常磁界センサ3とデジタイザ6を接続するケーブルから漏洩する高い周波数成分の電磁波ノイズを低減し、正確な測定が可能となる。
【0015】
次に電磁波ノイズ測定の第5の例を説明する。
周波数解析装置7は、クロック信号をリファレンスとして周波数解析を行う。ここでの周波数解析は、短時間フーリエ変換とし、ある測定点で3回測定してオフセット時間が10ns、10ns、15nsで、測定振幅が2mV、5mV、3mVのとき、中央制御装置9は、データ記憶装置8に、図5のようにオフセット時間で分類し、測定振幅を記録する。
このように、同一周波数でクロックにおけるオフセットが違う電磁波ノイズを分類して測定することができる。
【0016】
次に電磁波ノイズ測定の第6の例を説明する。
周波数解析装置7は、クロック信号をリファレンスとして周波数解析を行う。ここでの周波数解析は、短時間フーリエ変換とし、ある測定点で2回測定してオフセット時間が10ns、15nsで、測定振幅が3.5mV、3mVのとき、中央制御装置9は、データ記憶装置8に、図6のようにオフセット時間で分類し、同期加算をして測定振幅を記録する。
このように、同一周波数でクロックにおけるオフセットが違う電磁波ノイズを同期加算して正確に測定することができる。
【0017】
次に電磁波ノイズ測定の第7の例を説明する。
この例では、磁界センサ3は、インダクタンスとキャパシタンス成分より構成されている共振タイプのアンテナを使い、測定周波数でアンテナの利得が最大となるようになっている。つまり、共振周波数が測定周波数であるようにする。
従って、デジタイザ5,6のアナログ/デジタル変換誤差を超えた測定を行うことができる。
【0018】
次に電磁波ノイズ測定の第8の例を説明する。
図7は第3の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。
この実施の形態では、2つのクロック測定プローブ2,11を備える。
周波数解析装置7は、中央制御装置9の指示により、クロック測定プローブ2,11のクロック信号のどちらかをリファレンスとして周波数解析を行い、中央制御装置9は、データ記憶装置8に周波数解析結果を記録する。
従って、クロック回路が複数ある場合でも、クロック測定ケーブルを張り替える手間もなく測定することができる。
【0019】
次に電磁波ノイズ測定の第9の例を説明する。
図8は第4の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。本実施の形態では、図1に示す第1の実施の形態におけるクロック測定プローブ2の代わりに、CPU命令コード読み出しサイクル測定プローブ12を備える。後は第1の実施の形態と同じである。
CPU命令コード読み出しサイクル測定プローブ12は、信号をデジタイザ6に送るようになっている。
周波数解析装置7は、中央制御装置9の指示により、CPU命令コード読み出しサイクル測定プローブ12の信号のどちらかをリファレンスとして周波数解析を行い、中央制御装置9は、データ記憶装置8に周波数解析結果を記録する。
従って、測定対象である製品のCPUのインストラクションの動作に同期した電磁波ノイズを測定することができる。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、クロック回路に同期した電磁波ノイズの測定ができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、電磁波ノイズの発生間隔がクロックの周期より長い場合でも、正確な電磁波ノイズの測定ができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、時間で周波数スペクトクルの変わる電磁波ノイズでも、正確な測定ができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、クロックの測定ケーブルから発生する電磁波ノイズを低減させて電磁波ノイズの正確な測定ができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、共振タイプのアンテナを使い、特定周波数を高い利得で測定できるので、デジタイザのアナログ/デジタル変換誤差を超えた測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。
【図2】クロック波形と電磁波ノイズ波形の一例を示す図である。
【図3】クロック波形と電磁波ノイズ波形の他の例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。
【図5】オフセット時間と測定振幅の関係の第1の例を示す図である。
【図6】オフセット時間と測定振幅の関係の第2の例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を示す電磁妨害波測定装置の全体ブロック図である。
【符号の説明】
1 デジタル回路
2 クロック測定プローブ
3 磁界センサ
4 センサ位置移動装置
5,6 デジタイザ
7 周波数解析装置
8 データ記憶装置
9 中央制御装置
Claims (5)
- 測定対象である製品のクロック信号を測定するクロック測定プローブと、
移動可能な磁界センサと、
クロック信号及び磁界信号をアナログ/デジタル変換するデジタイザと、
デジタイザからのデジタル信号を入力してクロック信号をリファレンスとして磁界信号の周波数解析を行う周波数解析装置と、
周波数解析装置で解析されたデータを記憶するデータ記憶装置と、
全体の制御を司る中央制御装置と、
を備えたことを特徴とする電磁妨害波測定装置。 - 請求項1記載において、
中央制御装置の指令により、電磁波ノイズの発生間隔がクロックの周期より長い場合、オフセット時間からクロック周期を引いて補正することを特徴とする電磁妨害波測定装置。 - 請求項1記載において、
中央制御装置の指令により、電磁波ノイズの周波数解析を行う場合、短時間フーリエ変換を行うことを特徴とする電磁妨害波測定装置。 - 請求項1記載において、
クロック測定プローブとデジタイザの間に、ローパスフィルタを備えることを特徴とする電磁妨害波測定装置。 - 請求項1記載において、
磁界センサとしてインダクタンスとキャパシタンスで構成された共振タイプのアンテナを使い、共振周波数を測定周波数としたことを特徴とする電磁妨害波測定装置。
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JP32550797A JP3607475B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 電磁妨害波測定装置 |
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JPH11142452A JPH11142452A (ja) | 1999-05-28 |
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JP32550797A Expired - Fee Related JP3607475B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 電磁妨害波測定装置 |
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1997
- 1997-11-11 JP JP32550797A patent/JP3607475B2/ja not_active Expired - Fee Related
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