JP4886105B2 - 洗浄料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄料組成物に関し、さらに詳細には、酵素の安定性及び汚れ落ち効果に優れ、泡立ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有する洗浄料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗浄料組成物には、脂肪酸をアルカリ金属やトリエタノールアミン等で中和した、脂肪酸アルカリ塩が主として用いられてきた。脂肪酸アルカリ塩は、pHがアルカリ領域の洗浄成分で、泡立ちが良く、洗い上がりの肌にさっぱり感を付与するものであるが、反面、場合によっては過剰に皮脂成分が脱脂されて使用後の肌がつっぱったり、肌のみずみずしさが失われてしまうことがあった。そこで、皮膚に対する安全性志向の高まりから、近年、良好な洗浄効果を有しながら、より皮膚に対する作用が緩和な洗浄料組成物が求められている。
これらを具現化するために、洗浄成分としては、皮膚のpHに近い弱酸性から中性領域であるN−アシル−N−メチルタウリンナトリウムやN−アシルグルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系界面活性剤が開発されている。
また、一方で、老化して不要となった角質や汗腺分泌物に由来する皮膚の汚れを効果的に除去する目的で、蛋白質分解酵素や脂質分解酵素を配合した洗浄料組成物も検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、洗浄成分を脂肪酸アルカリ塩からアミノ酸系界面活性剤に置き換えただけでは、皮膚に対する作用は緩和されるものの、本来の目的である皮膚の汚れ落ち効果はいまだ十分なものではなかった。
また、酵素の配合についても、アルカリ性のpH領域や共存する水分によって酵素活性が失活しやすく、組み合わせる成分や剤型に制約があった。そこで、酵素自体の安定性を向上させるために、ハイドロキシアパタイト、シルクフィブロイン、デキストラン、ポリエチレングリコール等の担体に酵素を固定化させる試みがされているが、いまだ十分に満足し得るものではなかった。
従って、汚れ落ち効果に優れ、且つ、皮膚に対する作用が温和で、良好な使用感を有する洗浄料組生物の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記実状において鋭意研究を重ねた結果、特定の界面活性剤と酵素、並びに多価アルコールと水とを特定量組み合わせて用いることにより、酵素の安定性及び汚れ落ち効果に優れ、泡立ちが良く、後肌のつっぱり感の少ない洗浄料組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(d);
(a)N−アシルグルタミン酸塩
(b)プロテアーゼ及び/又はリパーゼ
(c)多価アルコール
(d)水
を必須成分として含有し、且つ、成分(c)と成分(d)の配合重量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5であることを特徴とする洗浄料組成物である。
さらに、成分(b)の酵素が、実質的に固定化されていない酵素であることを特徴とする洗浄料組成物である。
さらに、成分(c)の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする洗浄料組成物である。
さらには、成分(c)の配合量が、30〜60%質量であることを特徴とする洗浄料組成物である。
以下、詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる成分(a)のN−アシルグルタミン酸塩は、アシル基の炭素数が12〜18のN−アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は有機アミン塩であり、その塩はモノ塩又はジ塩のいずれでも良い。また、N−アシルグルタミン酸塩は、あらかじめ塩としたものを用いても、製造中に中和反応によって生ずる塩を用いても良い。具体的には、例えば、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−パルミトイルグルタミン酸、N−ステアロイルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩、マグネシウム塩等が挙げられ、目的に応じて、これらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
【0007】
本発明に用いられる成分(a)の配合量は特に限定されないが、好ましくは10〜50質量%(以下、単に「%」と記す)、より好ましくは20〜40%である。
【0008】
本発明に用いられる成分(b)のプロテアーゼ及び/又はリパーゼとしては、通常医薬品、化粧品及び洗剤等に用いられている酵素であり、生産方法・抽出方法及びその起源となる植物及び微生物の菌種等の種属は特に問わない。一例として、枯草菌、放射菌から産生されるプロテアーゼや、細菌や酵母から得られるリパーゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、目的に応じて一種又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0009】
また、本発明においては、上述したプロテアーゼ及び/又はリパーゼは、それ自体を配合しても良いし、または、各種担体に固定化して配合することも可能であるが、製造の簡便性等の点から実質的に固定化されていない酵素が好ましい。
本発明の洗浄料組生物は、上述した特定の構成により、酵素を担体に固定化しなくても系中に安定に配合することができ、その結果、優れた汚れ落ち効果を付与することができる。
【0010】
本発明における成分(b)の配合量は特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜5%であり、より好ましくは0.05〜3%である。
【0011】
本発明に用いられる成分(c)の多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有する水溶性多価アルコールで、グリセリン、ジグリセリン、それ以上のポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、アルキレングリコール、それ以上のポリアルキレングリコール、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、グルコース、ソルビトール、マルチトール、シュークロース、ラフィノース、トレハロース等が挙げられ、目的に応じてこれらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、使用感触や酵素の安定性の観点から、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上がより好ましい。
【0012】
本発明における成分(c)の配合量は特に限定されないが、好ましくは、30〜60%であり、より好ましくは40〜50%である。
【0013】
本発明に用いられる成分(d)である水の配合量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜30%であり、より好ましくは0.5〜20%である。
【0014】
本発明の洗浄料組成物においては、上述した成分(a)〜(d)を必須成分とするが、さらに、成分(c)と成分(d)の配合重量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5であることが必須であり、より好ましくは、(d)/(c)=1/8〜1/3である。
成分(d)に対する成分(c)の配合重量比が10倍を超えると、洗浄料組成物としての良好な泡立ちが得られず、また、成分(d)に対する成分(c)の配合重量比が1.5倍未満であると、酵素が失活してしまうため良好な汚れ落ち効果が得られない。
【0015】
本発明の洗浄料組成物には、その効果を損なわない範囲内で上記必須成分の他に必要に応じて、他の界面活性剤、油剤、粉体、水溶性高分子、塩類、美容成分、防腐剤、色素、香料等を配合することができる。
【0016】
本発明の洗浄料組成物としては、洗顔料、シャンプー、ハンドソープ、ボディーソープ、化粧石鹸及びクレンジング料等が挙げられる。また、その形状としては、液状、ジェル状、乳液状、クリーム状、固形状のいずれにも適用できるが、使用性を考慮してクリーム状であるとより好ましい。
【0017】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0018】
実施例1〜5及び比較例1〜5:洗顔料
下記表1に示す組成のクリーム状〜液状洗顔料を調製した。得られた洗顔料を、(1)酵素の安定性、(2)泡立ちの良さ、(3)汚れ落ちの良さ、(4)つっぱり感のなさについて下記の方法により評価し、結果を併せて表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】
製造方法
A:成分1〜8を70℃に加熱して、均一に混合する。
B:Aを冷却後、成分9を添加し、均一に混合して洗顔料を得た。
【0021】
(1)酵素安定性試験
製造直後の洗顔料の酵素活性を測定した後、40℃の恒温槽に保存して1ヶ月後の酵素活性を測定した。初期活性に対する割合をもとめ、以下の基準Aに従い、酵素の安定性を3段階で評価した。
【0022】
(基準A)
80%以上 :◎
50%以上80%未満:○
50%未満 :×
【0023】
(2)〜(4)官能評価試験
化粧歴10年以上の女性20名をパネルとし、(2)泡立ちの良さ、(3)汚れ落ちの良さ、(4)つっぱり感のなさ、それぞれの評価項目について良いと感じた人数により以下の基準Bに従い4段階で評価した。
【0024】
(基準B)
16名以上 :◎
12〜15名 :○
8〜11名 :△
7名以下 :×
【0025】
上記表1の結果から明かなように、本発明に係る実施例1〜5の洗顔料は、比較例1〜5の洗顔料に比較して、酵素の安定性が良く、さらに、泡立ちの良さ、汚れ落ちの良さ、つっぱり感のなさ等の官能にも優れたものであった。
【0026】
【0027】
成分1〜10を室温で均一に混合し、ボディーソープを得た。本発明に係る実施例6は、酵素の安定性及び汚れ落ち効果、使用感ともに優れたボディーソープであった。
【0028】
【0029】
成分1〜9を室温で均一に混合し、ジェル状洗顔料を得た。本発明に係る実施例7は、酵素の安定性及び汚れ落ち効果、使用感ともに優れたジェル状洗顔料であった。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の洗浄料組成物は、酵素の安定性及び汚れ落ち効果に優れ、泡立ちが良く、後肌のつっぱり感の少ない良好な使用感を有するものであった。
Claims (3)
- 次の成分(a)〜(d);
(a)N−アシルグルタミン酸塩
(b)プロテアーゼ(但し好熱性菌由来のプロテアーゼは除く)及び/又はリパーゼ
(c)多価アルコール
(d)水を必須成分として含有し、成分(c)と成分(d)の配合重量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5であり、コラーゲン、エラスチン、及びアルブミンを含有せず、且つ成分(c)の配合量が30〜60質量%であることを特徴とする洗浄料組成物。 - 成分(b)の酵素が、実質的に固定化されていない酵素であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄料組成物。
- 成分(c)の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄料組成物。
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