JP2004307360A - 洗浄料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】酵素及び洗浄料組成物の保存安定性に優れ、さらに、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有する洗浄料組成物を提供する。
【構成】成分(a)〜(e);(a)N−アシルアミノ酸塩、(b)酵素、(c)多価アルコール、(d)水、(e)煙霧状無水ケイ酸を必須成分として含有し、且つ、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5である洗浄料組成物。
【選択図】なし
【構成】成分(a)〜(e);(a)N−アシルアミノ酸塩、(b)酵素、(c)多価アルコール、(d)水、(e)煙霧状無水ケイ酸を必須成分として含有し、且つ、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5である洗浄料組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄料組成物に関し、さらに詳細には、酵素の安定性、洗浄料組成物の高温安定性に優れ、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有する洗浄料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗浄料組成物には、脂肪酸をアルカリ金属やトリエタノールアミン等で中和した、脂肪酸アルカリ塩が主として用いられてきた。脂肪酸アルカリ塩は、pHがアルカリ領域の洗浄成分で、泡立ちが良く、洗い上がりの肌にさっぱり感を付与するものであるが、反面、場合によっては過剰に皮脂成分が脱脂されて使用後の肌がつっぱったり、肌のみずみずしさが失われてしまうことがあった。そこで、皮膚に対する安全性志向の高まりから、近年、良好な洗浄効果を有しながら、より皮膚に対する作用が緩和な洗浄料組成物が求められている。これらを具現化するために、洗浄成分としては、皮膚のpHに近い弱酸性から中性領域であるN−アシル−N−メチルタウリンナトリウムやN−アシルグルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系界面活性剤が開発されている。また、一方で、老化して不要となった角質や汗腺分泌物に由来する皮膚の汚れを効果的に除去する目的で、蛋白質分解酵素や脂質分解酵素を配合した洗浄料組成物も検討されている。しかしながら、洗浄成分を脂肪酸アルカリ塩からアミノ酸系界面活性剤に置き換えただけでは、皮膚に対する作用は緩和されるものの、本来の目的である皮膚の汚れ落ち効果はいまだ十分なものではなかった。また、酵素の配合についても、アルカリ性のpH領域や共存する水分によって酵素活性が失活しやすく、組み合わせる成分や剤型に制約があった。そこで、酵素自体の安定性を向上させるために、ハイドロキシアパタイト、シルクフィブロイン、デキストラン、ポリエチレングリコール等の担体に酵素を固定化させる試みがなされている(例えば、特許文献1〜4参照。)。更に、N−アシルグルタミン酸塩、プロテアーゼ、多価アルコール、水を必須成分とする、酵素の安定性及び汚れ落ち効果、使用感に優れる洗浄剤組成物も提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−139997号公報
【特許文献2】
特開昭57−70199号公報
【特許文献3】
特開平01−128910号公報
【特許文献4】
特開平01−128911号公報
【特許文献5】
特開2002−37726号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酵素の安定性及び汚れ落ち効果、使用感を重視すると、高温での長期保存下において、洗浄料組成物の保存安定性が不十分である場合があった。従って、酵素及び洗浄料組成物の保存安定性、特に洗浄料組成物の高温安定性に優れ、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有する洗浄料組成物の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記実状において鋭意研究を重ねた結果、N−アシルアミノ酸塩と酵素と煙霧状無水ケイ酸、並びに多価アルコールと水を特定量組み合わせて用いることにより、酵素及び洗浄料組成物の保存安定性及び汚れ落ち効果に優れ、後肌のつっぱり感の少ない洗浄料組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、成分(a)〜(e);
(a)N−アシルアミノ酸塩
(b)酵素
(c)多価アルコール
(d)水
(e)煙霧状無水ケイ酸
を必須成分として含有し、且つ、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5である洗浄料組成物である。さらに、成分(b)の酵素が、実質的に固定化されていない酵素である洗浄料組成物である。さらに、成分(c)の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上である洗浄料組成物である。さらには、成分(c)の配合量が、30〜60質量%であることを特徴とする洗浄料組成物である。以下、詳述する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる成分(a)のN−アシルアミノ酸塩は、アシル基の炭素数が12〜18のN−アシルグルタミン酸塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩であり、対塩基はアルカリ金属、アルカリ土類金属又は有機アミンであり、N−アシルグルタミン酸塩の場合にはモノ塩又はジ塩のいずれでも良い。また、N−アシルアミノ酸塩は、あらかじめ塩としたものを用いても、製造中に中和反応によって生ずる塩を用いても良い。具体的には、例えば、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−パルミトイルグルタミン酸、N−ステアロイルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシルアラニンのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらは、一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸グリシンのナトリウム塩、カリウム塩から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
【0008】
本発明に用いられる成分(a)N−アシルアミノ酸塩の配合量は特に限定されないが、優れた汚れ落ち効果や後肌のつっぱり感の少なさを得るには、10〜50質量%(以下、単に「%」と記す)が好ましく、20〜40%がより好ましい。
【0009】
本発明に用いられる成分(b)の酵素としては、通常医薬品、化粧品及び洗剤等に用いられている酵素であり、生産方法・抽出方法及びその起源となる植物及び微生物の菌種等の種属は特に問わない。一例として、枯草菌、放線菌から産生されるプロテアーゼや、細菌や酵母から得られるリパーゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、目的に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0010】
また、本発明においては、上述した酵素は、それ自体を配合しても良いし、または、各種担体に固定化して配合することも可能であるが、製造の簡便性等の点から実質的に固定化されていない酵素が好ましい。本発明の洗浄料組成物は、上述した特定の構成により、酵素を担体に固定化しなくても系中に安定に配合することができ、その結果、優れた汚れ落ち効果を付与することができる。
【0011】
本発明における成分(b)酵素の配合量は特に限定されないが、優れた汚れ落ち効果を得るには、0.01〜5%が好ましく、0.05〜3%がより好ましい。
【0012】
本発明に用いられる成分(c)の多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有する水溶性多価アルコールで、グリセリン、ジグリセリン、それ以上のポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、アルキレングリコール、それ以上のポリアルキレングリコール、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、グルコース、ソルビトール、マルチトール、シュークロース、ラフィノース、トレハロース等が挙げられ、目的に応じてこれらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、使用感や酵素の保存安定性の観点から、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上が特に好ましい。
【0013】
本発明における成分(c)多価アルコールの配合量は特に限定されないが、優れた使用感や酵素の保存安定性を得るには、30〜60%が好ましく、40〜50%がより好ましい。
【0014】
本発明に用いられる成分(d)である水は、洗浄料組成物を構成する上での必須成分である。本発明における成分(d)である水の配合量は特に限定されないが、優れた酵素の保存安定性を得るには、0.1〜30%が好ましく、0.5〜20%がより好ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(e)の煙霧状無水ケイ酸は、不定形微粒子無水ケイ酸、酸化アルミニウム処理不定形微粒子無水ケイ酸、シリル化処理不定形微粒子無水ケイ酸等の不定形微粒子無水ケイ酸が挙げられる。本発明に用いられる成分(e)の煙霧状無水ケイ酸は、N−アシルグルタミン酸塩、酵素、多価アルコール、水を配合した洗浄料組成物の高温での保存安定性を著しく向上させる効果がある。これらは、目的に応じてこれらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。具体的には、AEROSIL 200、300、R972、R974、RX300(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明における成分(e)煙霧状無水ケイ酸の配合量は特に限定されないが、優れた高温保存安定性向上効果を得るには、0.01〜10%が好ましく、0.1〜5%がより好ましく、更に0.5〜3%であると特に好ましい。
【0017】
本発明の洗浄料組成物においては、上述した成分(a)〜(e)を必須成分とするが、さらに、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5であることが必須であり、より好ましくは、(d)/(c)=1/8〜1/3である。成分(d)に対する成分(c)の配合質量比が10倍を超えると、洗浄料組成物としての泡立ちが悪くなる場合があり、また、成分(d)に対する成分(c)の配合質量比が1.5倍未満であると、酵素が失活してしまうため良好な汚れ落ち効果が得られない。
【0018】
本発明の洗浄料組成物には、その効果を損なわない範囲内で上記必須成分の他に必要に応じて、他の界面活性剤、油剤、粉体、水溶性高分子、塩類、美容成分、防腐剤、色素、香料等を配合することができる。
【0019】
本発明の洗浄料組成物としては、洗顔料、シャンプー、ハンドソープ、ボディーソープ、化粧石鹸及びクレンジング料等が挙げられる。また、その形状としては、液状、ジェル状、乳液状、クリーム状、固形状のいずれにも適用できるが、使用性を考慮してクリーム状であるとより好ましい。
【0020】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1〜9及び比較例1〜6:洗顔料
下記表1に示す組成のクリーム状〜液状洗顔料を下記製造方法にて調製した。得られた洗顔料を、(1)酵素安定性、(2)汚れ落ちの良さ、(3)つっぱり感のなさ、(4)高温保存安定性について下記の方法により評価し、結果を併せて表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
製造方法
A:成分1〜8を70℃に加熱して、均一に混合する。
B:Aを冷却後、成分9を添加し、均一に混合して洗顔料を得た。
【0024】
(1)酵素安定性試験
製造直後の洗顔料の酵素活性を測定した後、40℃の恒温槽に保存して1ヶ月後の酵素活性を測定した。初期活性に対する割合をもとめ、以下の基準Aに従い、酵素の安定性を3段階で評価した。
【0025】
(基準A)
(初期活性に対する割合) (判定)
80%以上 : ◎
50%以上80%未満: ○
50%未満 : ×
【0026】
(2)〜(3)官能評価試験
化粧歴10年以上の女性20名をパネルとし、(2)汚れ落ちの良さ、(3)つっぱり感のなさ、それぞれの評価項目について良いと感じた人数により、以下の基準Bに従い4段階で評価した。
【0027】
(基準B)
(良いと感じた人数) (判定)
16名以上 : ◎
12〜15名 : ○
8〜11名 : △
7名以下 : ×
【0028】
(4)高温保存安定性
保存安定性については、各試料を45℃の恒温槽で1ヶ月間保存した時の変化(分離)を目視により観察し、以下の基準Cに従い4段階で評価した。
【0029】
(基準C)
(評価) (判定)
全く変化なし : ◎
軽微な変化がある : ○
やや変化がある : △
かなり変化がある : ×
【0030】
上記表1の結果から明かなように、本発明に係る実施例1〜9の洗顔料は、比較例1〜6の洗顔料に比較して、酵素の保存安定性及び組成物の高温保存安定性に優れ、さらに、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するものであった。
【0031】
実施例10:クリーム状洗顔料
(成分) (%)
1.N−ラウロイル−L−グルタミン酸 25.0
2.ポリエチレングリコール400 20.0
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.グリセリン 20.0
5.水酸化カリウム 6.0
6.煙霧状無水ケイ酸 1.0
7.精製水 9.9
8.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0
9.ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0
10.プロテアーゼ 0.1
【0032】
(製造方法)
A:成分1〜4を70℃に加熱して、均一に混合溶解する。
B:Aに成分5〜9を混合して冷却する。
C:Bに成分10を添加混合しクリーム状洗顔料を得た。
【0033】
本発明のクリーム状洗顔料は、酵素及び組成物の保存安定性に非常に優れ、さらに汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するクリーム状洗顔料であった。
【0034】
実施例11:ジェル状洗顔料
(成分) (%)
1.N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム 10.0
2.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 5.0
3.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
4.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 1.0
5.ジプロピレングリコール 10.0
6.グリセリン 35.0
7.リパーゼ 0.1
8.煙霧状無水ケイ酸 10.0
9.精製水 24.9
【0035】
(製造方法)
A:成分1〜9を室温で均一に混合し、ジェル状洗顔料を得た。
【0036】
本発明のジェル状洗顔料は、酵素及び組成物の保存安定性に非常に優れ、さらに汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するジェル状洗顔料であった。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の洗浄料組成物は、酵素の保存安定性及び洗浄料組成物の高温保存安定性に優れ、さらに、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するものであった
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄料組成物に関し、さらに詳細には、酵素の安定性、洗浄料組成物の高温安定性に優れ、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有する洗浄料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗浄料組成物には、脂肪酸をアルカリ金属やトリエタノールアミン等で中和した、脂肪酸アルカリ塩が主として用いられてきた。脂肪酸アルカリ塩は、pHがアルカリ領域の洗浄成分で、泡立ちが良く、洗い上がりの肌にさっぱり感を付与するものであるが、反面、場合によっては過剰に皮脂成分が脱脂されて使用後の肌がつっぱったり、肌のみずみずしさが失われてしまうことがあった。そこで、皮膚に対する安全性志向の高まりから、近年、良好な洗浄効果を有しながら、より皮膚に対する作用が緩和な洗浄料組成物が求められている。これらを具現化するために、洗浄成分としては、皮膚のpHに近い弱酸性から中性領域であるN−アシル−N−メチルタウリンナトリウムやN−アシルグルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸系界面活性剤が開発されている。また、一方で、老化して不要となった角質や汗腺分泌物に由来する皮膚の汚れを効果的に除去する目的で、蛋白質分解酵素や脂質分解酵素を配合した洗浄料組成物も検討されている。しかしながら、洗浄成分を脂肪酸アルカリ塩からアミノ酸系界面活性剤に置き換えただけでは、皮膚に対する作用は緩和されるものの、本来の目的である皮膚の汚れ落ち効果はいまだ十分なものではなかった。また、酵素の配合についても、アルカリ性のpH領域や共存する水分によって酵素活性が失活しやすく、組み合わせる成分や剤型に制約があった。そこで、酵素自体の安定性を向上させるために、ハイドロキシアパタイト、シルクフィブロイン、デキストラン、ポリエチレングリコール等の担体に酵素を固定化させる試みがなされている(例えば、特許文献1〜4参照。)。更に、N−アシルグルタミン酸塩、プロテアーゼ、多価アルコール、水を必須成分とする、酵素の安定性及び汚れ落ち効果、使用感に優れる洗浄剤組成物も提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−139997号公報
【特許文献2】
特開昭57−70199号公報
【特許文献3】
特開平01−128910号公報
【特許文献4】
特開平01−128911号公報
【特許文献5】
特開2002−37726号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酵素の安定性及び汚れ落ち効果、使用感を重視すると、高温での長期保存下において、洗浄料組成物の保存安定性が不十分である場合があった。従って、酵素及び洗浄料組成物の保存安定性、特に洗浄料組成物の高温安定性に優れ、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有する洗浄料組成物の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記実状において鋭意研究を重ねた結果、N−アシルアミノ酸塩と酵素と煙霧状無水ケイ酸、並びに多価アルコールと水を特定量組み合わせて用いることにより、酵素及び洗浄料組成物の保存安定性及び汚れ落ち効果に優れ、後肌のつっぱり感の少ない洗浄料組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、成分(a)〜(e);
(a)N−アシルアミノ酸塩
(b)酵素
(c)多価アルコール
(d)水
(e)煙霧状無水ケイ酸
を必須成分として含有し、且つ、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5である洗浄料組成物である。さらに、成分(b)の酵素が、実質的に固定化されていない酵素である洗浄料組成物である。さらに、成分(c)の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上である洗浄料組成物である。さらには、成分(c)の配合量が、30〜60質量%であることを特徴とする洗浄料組成物である。以下、詳述する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる成分(a)のN−アシルアミノ酸塩は、アシル基の炭素数が12〜18のN−アシルグルタミン酸塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩であり、対塩基はアルカリ金属、アルカリ土類金属又は有機アミンであり、N−アシルグルタミン酸塩の場合にはモノ塩又はジ塩のいずれでも良い。また、N−アシルアミノ酸塩は、あらかじめ塩としたものを用いても、製造中に中和反応によって生ずる塩を用いても良い。具体的には、例えば、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−パルミトイルグルタミン酸、N−ステアロイルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシルアラニンのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらは、一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸グリシンのナトリウム塩、カリウム塩から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。
【0008】
本発明に用いられる成分(a)N−アシルアミノ酸塩の配合量は特に限定されないが、優れた汚れ落ち効果や後肌のつっぱり感の少なさを得るには、10〜50質量%(以下、単に「%」と記す)が好ましく、20〜40%がより好ましい。
【0009】
本発明に用いられる成分(b)の酵素としては、通常医薬品、化粧品及び洗剤等に用いられている酵素であり、生産方法・抽出方法及びその起源となる植物及び微生物の菌種等の種属は特に問わない。一例として、枯草菌、放線菌から産生されるプロテアーゼや、細菌や酵母から得られるリパーゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、目的に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
【0010】
また、本発明においては、上述した酵素は、それ自体を配合しても良いし、または、各種担体に固定化して配合することも可能であるが、製造の簡便性等の点から実質的に固定化されていない酵素が好ましい。本発明の洗浄料組成物は、上述した特定の構成により、酵素を担体に固定化しなくても系中に安定に配合することができ、その結果、優れた汚れ落ち効果を付与することができる。
【0011】
本発明における成分(b)酵素の配合量は特に限定されないが、優れた汚れ落ち効果を得るには、0.01〜5%が好ましく、0.05〜3%がより好ましい。
【0012】
本発明に用いられる成分(c)の多価アルコールは、分子内に2個以上の水酸基を有する水溶性多価アルコールで、グリセリン、ジグリセリン、それ以上のポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、アルキレングリコール、それ以上のポリアルキレングリコール、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、グルコース、ソルビトール、マルチトール、シュークロース、ラフィノース、トレハロース等が挙げられ、目的に応じてこれらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、使用感や酵素の保存安定性の観点から、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上が特に好ましい。
【0013】
本発明における成分(c)多価アルコールの配合量は特に限定されないが、優れた使用感や酵素の保存安定性を得るには、30〜60%が好ましく、40〜50%がより好ましい。
【0014】
本発明に用いられる成分(d)である水は、洗浄料組成物を構成する上での必須成分である。本発明における成分(d)である水の配合量は特に限定されないが、優れた酵素の保存安定性を得るには、0.1〜30%が好ましく、0.5〜20%がより好ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(e)の煙霧状無水ケイ酸は、不定形微粒子無水ケイ酸、酸化アルミニウム処理不定形微粒子無水ケイ酸、シリル化処理不定形微粒子無水ケイ酸等の不定形微粒子無水ケイ酸が挙げられる。本発明に用いられる成分(e)の煙霧状無水ケイ酸は、N−アシルグルタミン酸塩、酵素、多価アルコール、水を配合した洗浄料組成物の高温での保存安定性を著しく向上させる効果がある。これらは、目的に応じてこれらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。具体的には、AEROSIL 200、300、R972、R974、RX300(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明における成分(e)煙霧状無水ケイ酸の配合量は特に限定されないが、優れた高温保存安定性向上効果を得るには、0.01〜10%が好ましく、0.1〜5%がより好ましく、更に0.5〜3%であると特に好ましい。
【0017】
本発明の洗浄料組成物においては、上述した成分(a)〜(e)を必須成分とするが、さらに、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5であることが必須であり、より好ましくは、(d)/(c)=1/8〜1/3である。成分(d)に対する成分(c)の配合質量比が10倍を超えると、洗浄料組成物としての泡立ちが悪くなる場合があり、また、成分(d)に対する成分(c)の配合質量比が1.5倍未満であると、酵素が失活してしまうため良好な汚れ落ち効果が得られない。
【0018】
本発明の洗浄料組成物には、その効果を損なわない範囲内で上記必須成分の他に必要に応じて、他の界面活性剤、油剤、粉体、水溶性高分子、塩類、美容成分、防腐剤、色素、香料等を配合することができる。
【0019】
本発明の洗浄料組成物としては、洗顔料、シャンプー、ハンドソープ、ボディーソープ、化粧石鹸及びクレンジング料等が挙げられる。また、その形状としては、液状、ジェル状、乳液状、クリーム状、固形状のいずれにも適用できるが、使用性を考慮してクリーム状であるとより好ましい。
【0020】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1〜9及び比較例1〜6:洗顔料
下記表1に示す組成のクリーム状〜液状洗顔料を下記製造方法にて調製した。得られた洗顔料を、(1)酵素安定性、(2)汚れ落ちの良さ、(3)つっぱり感のなさ、(4)高温保存安定性について下記の方法により評価し、結果を併せて表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
製造方法
A:成分1〜8を70℃に加熱して、均一に混合する。
B:Aを冷却後、成分9を添加し、均一に混合して洗顔料を得た。
【0024】
(1)酵素安定性試験
製造直後の洗顔料の酵素活性を測定した後、40℃の恒温槽に保存して1ヶ月後の酵素活性を測定した。初期活性に対する割合をもとめ、以下の基準Aに従い、酵素の安定性を3段階で評価した。
【0025】
(基準A)
(初期活性に対する割合) (判定)
80%以上 : ◎
50%以上80%未満: ○
50%未満 : ×
【0026】
(2)〜(3)官能評価試験
化粧歴10年以上の女性20名をパネルとし、(2)汚れ落ちの良さ、(3)つっぱり感のなさ、それぞれの評価項目について良いと感じた人数により、以下の基準Bに従い4段階で評価した。
【0027】
(基準B)
(良いと感じた人数) (判定)
16名以上 : ◎
12〜15名 : ○
8〜11名 : △
7名以下 : ×
【0028】
(4)高温保存安定性
保存安定性については、各試料を45℃の恒温槽で1ヶ月間保存した時の変化(分離)を目視により観察し、以下の基準Cに従い4段階で評価した。
【0029】
(基準C)
(評価) (判定)
全く変化なし : ◎
軽微な変化がある : ○
やや変化がある : △
かなり変化がある : ×
【0030】
上記表1の結果から明かなように、本発明に係る実施例1〜9の洗顔料は、比較例1〜6の洗顔料に比較して、酵素の保存安定性及び組成物の高温保存安定性に優れ、さらに、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するものであった。
【0031】
実施例10:クリーム状洗顔料
(成分) (%)
1.N−ラウロイル−L−グルタミン酸 25.0
2.ポリエチレングリコール400 20.0
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.グリセリン 20.0
5.水酸化カリウム 6.0
6.煙霧状無水ケイ酸 1.0
7.精製水 9.9
8.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0
9.ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0
10.プロテアーゼ 0.1
【0032】
(製造方法)
A:成分1〜4を70℃に加熱して、均一に混合溶解する。
B:Aに成分5〜9を混合して冷却する。
C:Bに成分10を添加混合しクリーム状洗顔料を得た。
【0033】
本発明のクリーム状洗顔料は、酵素及び組成物の保存安定性に非常に優れ、さらに汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するクリーム状洗顔料であった。
【0034】
実施例11:ジェル状洗顔料
(成分) (%)
1.N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム 10.0
2.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 5.0
3.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
4.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 1.0
5.ジプロピレングリコール 10.0
6.グリセリン 35.0
7.リパーゼ 0.1
8.煙霧状無水ケイ酸 10.0
9.精製水 24.9
【0035】
(製造方法)
A:成分1〜9を室温で均一に混合し、ジェル状洗顔料を得た。
【0036】
本発明のジェル状洗顔料は、酵素及び組成物の保存安定性に非常に優れ、さらに汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するジェル状洗顔料であった。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の洗浄料組成物は、酵素の保存安定性及び洗浄料組成物の高温保存安定性に優れ、さらに、汚れ落ちが良く、使用後の肌につっぱり感を与えない良好な使用感を有するものであった
Claims (4)
- 次の成分(a)〜(e);
(a)N−アシルアミノ酸塩
(b)酵素
(c)多価アルコール
(d)水
(e)煙霧状無水ケイ酸
を必須成分として含有し、且つ、成分(c)と成分(d)の配合質量比が、(d)/(c)=1/10〜1/1.5であることを特徴とする洗浄料組成物。 - 成分(b)の酵素が、実質的に固定化されていない酵素であることを特徴とする請求項1記載の洗浄料組成物。
- 成分(c)の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコールから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の洗浄料組成物。
- 成分(c)の配合量が、30〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄料組成物。
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