JP4885455B2 - 抗偏頭痛剤として有用なα−アミノアミド誘導体 - Google Patents

抗偏頭痛剤として有用なα−アミノアミド誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、抗偏頭痛剤として有用なα−アミノアミド誘導体に関する。特に、本発明は、偏頭痛、群発頭痛または他のひどい頭痛のような頭痛状態の治療用薬剤の製造におけるα−アミノアミド誘導体の使用に関する。
国際頭痛分類は、頭痛状態を基本的に原発性頭痛と続発性頭痛の2つの主要カテゴリーに分類している。
原発性頭痛疾患には、例えば偏頭痛、頭痛、緊張型頭痛及び群発頭痛が含まれる。
続発性頭痛疾患は、基本的に感染、代謝障害または他の全身疾患のような他の器質性障害から生ずる。
偏頭痛及び群発頭痛はよく知られた医学的状態である。これらの頭痛に関する多くの背景情報は、S.Silbersteinら編,「臨床プランティスにおける頭痛(Headache in Clinical Practice)」,オックスフォード大学出版局(1998年)発行及びA.Rapoport及びF.Sheftell,「頭痛疾患:開業医のための管理ガイド(Headache Disorders: A Management Guide for Practitioners)」,フィラデルフィアに所在のW.B.Saunders(1996年)発行のような複数の文献に記載されている。偏頭痛(並びに、以下に記載する群発頭痛及び他のタイプの頭痛)に関する諸定義、カテゴリー及び診断基準は国際頭痛学会(IHS)が認可、発行しており、1998年に雑誌Cephalagiaの別冊として発行されている標準化基準により規定されている。
血管収縮に対して直接作用することが公知のスマトリプタン(群発頭痛を治療するためにも使用される)、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン及びリザトリプタンを含めた“トリプタン”薬が出現したが、原発性頭痛疾患(例えば、再発性偏頭痛及び群発頭痛)及び続発性頭痛疾患(例えば、感染、代謝障害または他の全身疾患に由来する頭痛)の両方に対して十分に安全、迅速、信頼できる満足な治療法はない。
トリプタンの使用を意図する治療(及びエルゴタミンアナログ等の投与を含むような他の公知の治療)の問題及び制限は多くの原因から生じ得る。通常、主要な欠点には、
(i)いろいろなタイプの心血管問題を持つ患者はトリプタン薬を安全に服用できないこと;
(ii)1つの治療を繰り返し受けた患者の多くがひどい慢性で、継続性のことさえある頭痛をもたらす恐れがある耐性を生じさせる実質的なリスクを被ること;
(iii)許容できるレベルまでの緩解にしばしば30分以上十分にかかること;及び
(iv)治療直後、患者はしばしば数時間安静しなければならず、よって患者はその日にしようとしていた仕事等をするために戻ることが非常に困難または不可能となること;
が含まれる。
国際特許出願公開第98/25594号パンフレットは、ラモトリジンとしても公知の抗痙攣剤の3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジンまたはその医薬的に許容され得る塩を偏頭痛の治療及び/または予防において使用するための薬剤の製造に使用することを開示している。
国際特許出願公開第99/26614号パンフレットは、疼痛を治療または改善するための置換2−アミノアセトアミド化合物、好ましくはα,α’−ジ置換化合物を開示している。この化合物のナトリウムチャネルブロッカーとしての活性にてらして、ナトリウムイオン流入が媒介する多くの疾患及び状態(この中には偏頭痛が挙げられている)の治療のための該化合物の使用も開示されている。
しかしながら、神経血管メカニズムにより生ずる頭痛は鎮痛剤による治療に満足に応答せず、逆にトリプタンのような抗偏頭痛剤は一般的な鎮痛特性を持たないことは公知である(T.J.Steiner,L.J.Findley,A.W.Yuen,「前兆のある偏頭痛または前兆のない偏頭痛の予防におけるラモトリジン対プラセボ(Lamotrigine versus placebo in the prophylaxis of migraine with and without aura)」,Cephalgia,17:109−12(1997);P.R.Saxena,M.O.Den Boer,「抗偏頭痛剤の薬理学(Pharmacology of antimigraine drugs)」,J.Neurology,238(別冊1):S28−35(1991))。従って、疼痛モデルに基づいて抗偏頭痛特性を予測することはできない。
更に、本出願人は、国際特許出願公開第99/26614号パンフレットに開示されている置換2−アミノアセトアミド化合物の大部分が有効な抗偏頭痛剤でなく、従って前記化合物の偏頭痛及び一般的に言えばナトリウムイオン流入により媒介される疾患及び状態の治療の有用性はナトリウムイオンチャネルブロッカーとして認識されていたことから合理的に予測できないことを知見した。
抗偏頭痛特性が疼痛モデルに基づいても化合物のナトリウムチャネルブロック活性にてらして予測できないことから、原発性及び続発性頭痛疾患、特に急性偏頭痛または続発頭痛の激しい痛みを迅速に緩解することができ、偏頭痛の再発、長引く鎮静、望ましくない副作用または心血管に問題のある患者の場合のように高い健康リスクの諸問題を伴わない改善された医学的治療法に対する要望は依然として高い。
本発明の主目的は、原発性頭痛疾患(緊張型頭痛、変換型(transformed)偏頭痛または進化型頭痛のような偏頭痛及び群発頭痛を含む)、続発性頭痛疾患(例えば、感染、代謝障害または他の全身疾患に由来するもの)及び他の急性頭痛を実質的に副作用またはだらだら続く後効果(例えば、傾眠、ふらつき、失見当、悪心等)を呈することなく非常に有効に治療し、よって患者は治療を開始してから1時間以内に容易に運転、仕事または他の通常の活動を行うことができるように治療するための迅速且つ非常に有効な方法を開示し、提供することである。
本発明の別の目的は、上記した原発性及び続発性頭痛が悪化した結果生ずる慢性及び/または難治性疼痛状態、例えば三叉顔面痛、慢性発作性片頭痛等の治療方法を開示し、提供することである。
より包括的な用語で、本発明に従って治療され得る上記した頭痛疾患のあらゆるタイプを以後まとめて“頭痛状態”と呼ぶ。
用語「治療」または表現「状態の治療」は、本明細書中で使用されるときはいつでも前記状態の抑制、すなわち状態の発生を阻止、状態を緩解または状態を退行させること;及び前記状態に特有の症状が現れ始めたらすぐに状態の発現を防止することを意味する。
今回、本発明の上記した目的と以下の記載を十分に解釈し、理解することにより明らかとなるであろう他の目的が、頭痛状態の治療用薬剤の製造において場合により単一異性体またはその混合物としての下記式(I):
Figure 0004885455
[式中、
Aは−(CH−または−(CH−X−(式中、mは1または2であり、nは0、1または2であり、Xは−O−、−S−または−NH−である)であり;
Rはフリル、チエニルまたはピリジル環であり、或いは未置換であるかハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−3アルコキシ及びトリフルオロメチルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されたフェニル環であり;
は水素またはC1−3アルキルであり;
は水素であるか、未置換であるかヒドロキシまたはフェニルで置換されたC1−2アルキルであるか、または未置換であるかC1−3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−2アルコキシ及びトリフルオロメチルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されたフェニルであり;
は水素またはC1−3アルキルである]
を有するα−アミノアミドまたはその医薬的に許容され得る誘導体を用いることにより達成され得ることを知見した。
アルキル基及びアルコキシ基は直鎖または分枝鎖基であり得る。ハロゲン原子は好ましくはフッ素、塩素または臭素、特にフッ素または塩素である。
1−4アルキルは直鎖または分枝鎖アルキル基である。メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはtert−ブチルが好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
1−3アルコキシは直鎖または分枝鎖アルコキシ基である。メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシが好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が最も好ましい。
チエニル環は、例えば2−または3−チエニル環である。
ピリジル環は、例えば2−、3−または4−ピリジル、特に3−ピリジル環である。
フリル環は、例えば2−または3−フリル環である。
置換フェニル環は、好ましくはハロゲン、C1−3アルキル及びトリフルオロメチルから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されている。
ヒドロキシで置換されたC1−2アルキルは、好ましくはヒドロキシメチル基または1−ヒドロキシエチル基である。
フェニル環で置換されたC1−2アルキルは、好ましくはベンジル基またはフェネチル基である。
好ましくは、上記式(I)において、
Aは−CH−CH−、−CH−O−、−CH−S−及び−CH−CH−O−から選択される基であり;
Rは未置換であるかハロゲン、C1−3アルキル及びメトキシから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されたフェニル環、またはチエニル環であり;
は水素またはC1−2アルキルであり;
は水素、未置換であるかヒドロキシで置換されたメチル、または未置換であるかC1−2アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシまたはトリフルオロメチルで置換されたフェニルであり;
は水素またはC1−2アルキルである。
α−アミノアミドの更に好ましい群には、上記式(I)中、
Aは−CH−O−、−CH−S−または−CH−CH−であり;
Rは未置換であるか1〜2個のハロゲン原子で置換されたフェニル環であり;
は水素であり;
は水素、未置換であるかヒドロキシで置換されたメチル、または未置換であるかハロゲン原子で置換されたフェニル環であり;
は水素またはメチルである
化合物が含まれる。
本発明の好ましいα−アミノアミドは、場合により単一異性体またはその混合物としての
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)プロパンアミド、
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
2−[4−(4−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N−メチル−プロパンアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N−メチル−プロパンアミド、
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド、
2−(4−ベンジルオキシベンジルアミノ)−3−ヒドロキシ−N−メチル−プロパンアミド、
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチルプロパンアミド、
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチルプロパンアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチルプロパンアミド、
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−N−メチルプロパンアミド、
2−(4−(2−チエニルメチレンオキシ)ベンジルアミノ)−プロパンアミド、
2−[4−(2−(3−フルオロフェニル)エチル)ベンジルアミノ]−プロパンアミド、
2−[4−ベンジルチオベンジルアミノ]−プロパンアミド、
2−[4−ベンジルオキシベンジルアミノ]−3−フェニル−N−メチルプロパンアミド、
2−[4−ベンジルオキシベンジルアミノ]−N−メチルブタンアミド、
2−[4−ベンジルオキシベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド、
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド、
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−2−フェニル−アセトアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−2−(2−フルオロフェニル)−アセトアミド、
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド、
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−2−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド、
またはその医薬的に許容され得る誘導体である。
本発明において、以下のα−アミノアミド、すなわち
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド(内部コード及び以下、NW−1015)、
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド(内部コード及び以下、NW−1029)、及び
(S)−(+)−2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド(内部コード及び以下、NW−1039)
が最も好ましい。
式(I)を有するα−アミノアミド及びその鎮痛活性、特にヒトを含めた哺乳動物における慢性及び神経障害性疼痛に対する鎮痛活性は国際特許出願公開第90/14334号パンフレット、同第94/22808号パンフレット、同第97/05102号パンフレット、同第99/26614号パンフレット、同第99/35123号パンフレット及び同第99/35125号パンフレットに開示されている。上記式(I)を有するα−アミノアミドはいずれも、該α−アミノアミドの製造に関して援用により本明細書に含まれるとする上記文献に記載されている開示に従って製造され得る。
国際特許出願公開第90/14334号パンフレット、同第94/22808号パンフレット、同第97/05102号パンフレット及び同第97/05111号パンフレットは、中枢神経系に対して活性であり、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、神経保護剤、抗うつ剤、鎮痙睡眠薬として有用な置換ベンジルアミノアミド化合物を開示している(P.Pevarello,A.Bonsignori,P.Doster,F.Heidempergher,V.Pinciroli,M.Colombo,R.A.McArthur,P.Salvati,C.Post,R.G.Fariello及びM.Varasi,「新しい2−[(アリールアルキル)アミノ]アルカンアミド誘導体の合成及び抗痙攣活性(Synthesis and anticonvulsant activity of a new class of 2−[(arylalkyl)amino]alkanamide derivatives)」,J.Med.Chemistry,41:579−590(1998))。
国際特許出願公開第99/35123号パンフレット及び同第99/35125号パンフレットは、中枢神経系に対して活性であり、鎮痛剤として有用な置換ベンジルアミノプロパンアミドを開示している。国際特許出願公開第99/35123号パンフレット及び同第99/35125号パンフレットに開示されているα−アミノアミドは動物の幾つかの疼痛モデルで鎮痛効果を有するNaチャネルブロッカーであることが判明している(L.Faravelli,R.Maj,O.Veneroni,R.G.Fariello,L.Benatti,P.Salvati,Society for Neuroscience,26(1):1218(2000))。
本発明の更なる態様は、治療を要するヒトを含めた哺乳動物に対して上記式(I)を有するα−アミノアミドまたはその医薬的に許容され得る塩の少なくとも1つを治療有効量投与することを含む前記哺乳動物における頭痛状態の治療方法に関する。
特に、上記した治療を要する哺乳動物に対して約0.05〜20mg/kg体重/日、好ましくは約0.5〜10mg/kg/日、最も好ましくは約0.5〜5mg/kg/日の用量投与する。
ヒトを含めた哺乳動物における頭痛状態は抑制、緩解及び防止され得る。上記式(I)を有するα−アミノアミドで治療され得る哺乳動物における頭痛状態の例は脳血管拡張メカニズムを伴っている状態であり、原発性及び続発性頭痛疾患、特に急性偏頭痛または群発偏頭痛のひどい疼痛、または血管メカニズムに由来する原発性頭痛疾患、並びに感染、代謝障害または他の全身疾患に由来する続発性頭痛疾患が含まれる。
特に、上記式(I)を有するα−アミノアミドにより治療され得る頭痛状態の例には、偏頭痛(例えば、急性、変換型または血管性偏頭痛)、頭痛(例えば、急性、群発性、進化型または緊張型頭痛)、神経痛(例えば、三叉神経痛)、片頭痛(例えば、慢性発作性片頭痛)、顔面痛及びくも膜炎が含まれる。
更に、本明細書中、上記式(I)を有するα−アミノアミドの「医薬的に許容され得る誘導体」は医薬的に許容され得る代謝物、生体前駆体及び/またはプロドラッグ、すなわち上記式(I)を有するα−アミノアミドの1つとは異なる構造式を有するが哺乳動物、特にヒトに投与したときにインビボで直接または間接的に前記構造式を有する化合物に変換される化合物を含むことを意味する。
上記式(I)を有するα−アミノアミドの医薬的に許容され得る誘導体には、無機酸(例えば、硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等)または有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等)との酸付加塩が含まれる。
上記式(I)を有するα−アミノアミドは、当業界で公知の一般的手順、例えば活性成分を医薬的に許容される治療上不活性の有機及び/または無機担体材料と混合することにより製造され得る医薬的に許容され得る組成物の“活性成分”として投与され得る。
上記したα−アミノアミドを含む組成物は各種剤形で、例えば錠剤、トローチ剤、カプセル剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、溶液、エマルションまたは懸濁液の形態で経口的に;坐剤の形態で直腸に;例えば、筋肉内注射、静脈内注射または注入により非経口的に;及び経皮的に投与され得る。
前記組成物の製造において使用される好適な医薬的に許容され得る治療上不活性な有機及び/または無機担体材料の例には、水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、スターチ、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール等が含まれる。上記した式(I)を有するα−アミノアミドを含む組成物を滅菌してもよく、当業界で公知の追加成分、例えば保存剤、安定剤、湿潤または乳化剤(例えば、パラフィン油、モノオレイン酸マンニド)、浸透圧を調節するための塩、緩衝剤等を含み得る。
例えば、経口用固体剤形は、活性成分に加えて希釈剤(例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシ澱粉またはジャガイモ澱粉)、滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及び/またはポリエチレングリコール)、結合剤(例えば、スターチ、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン)、崩壊剤(例えば、スターチ、アルギン酸、アルギネート、ナトリウムスターチグリコレート)、飽和剤、染料、甘味料、湿潤剤(例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート)、及び通常医薬製剤に使用される非毒性で医薬的に許容され得る不活性物質を含み得る。前記医薬製剤は公知の方法、例えば混合、造粒、錠剤化、糖衣形成またはフィルムコーティング方法により製造され得る。
経口製剤は、慣用の方法、例えば錠剤または顆粒に腸溶コーティングを被せることにより製造され得る徐放性製剤からなる。
経口投与用分散液は、例えばシロップ、エマルション及び懸濁液であり得る。
シロップは、担体として例えばサッカロース、サッカロースとグリセリン及び/またはマンニトール及び/またはソルビトールを含み得る。
懸濁液及びエマルションは、担体として例えば天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含み得る。筋肉内注射用懸濁液または溶液は、活性成分に加えて医薬的に許容され得る担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、所望により適当量の塩酸リドカインを含み得る。静脈内注射または注入用溶液は、担体として滅菌水を含み得、滅菌無水等張性塩類溶液の形態であることが好ましい。
坐剤は、活性成分に加えて医薬的に許容され得る担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤またはレシチンを含み得る。
上記した式(I)を有するα−アミノアミドを含む組成物は、通常1つの単位量剤形あたり例えば35〜350mgの活性成分を含有する単位剤形の形態を有する。
適当な治療は、クリアランス率に応じて1日1〜3回実施される。従って、所望用量を1回用量で与えても、適当な間隔で、例えば1日2〜4回以上に小分けして投与される分割用量で投与してもよい。治療を偏頭痛エピソードが発現する前に開始し、無限に継続することが好ましい。
上記した式(I)を有するα−アミノアミドを含む組成物は、1回量剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、粉末注射剤、茶さじ一杯、坐剤等)あたり約35〜約350mgの活性成分を含む。
投与するのに最適な治療有効量は当業者により容易に決定され得、基本的に製剤の濃度、投与モード、治療しようとする状態または疾患の進行度に応じて異なる。加えて、治療対象の特定患者の年齢、体重、食事及び投与時間を含めた該患者に関わる要因により、用量を適当な治療有効量に調節しなければならない。
上記した本発明の使用及び方法から得られる作用効果は多く、基本的にあらゆるタイプの偏頭痛、群発頭痛または他のひどい頭痛を予防及び治療し得ること及び頭痛(具体的には、原発性及び続発性頭痛疾患または他の全身疾患及び他の急性頭痛)により生ずる疼痛を迅速且つ非常に効果的に軽快または全く止めることができることが挙げられる。
更に、本発明の使用及び方法により、実質的に副作用またはだらだら続く後効果(例えば、傾眠、ふらつき、失見当、悪心または他の問題)を呈することなく、よって患者は治療を開始してから1時間以内に容易に運転、労働または他の通常の活動を行うことができる。
下記実施例は本発明を非限定的に説明する。
実施例1
上記式(I)を有するα−アミノアミドを含む下記医薬組成物並びに実施例2及び3の医薬組成物は、以下にリストした成分を医薬業界で使用されており且つ当業者に公知の方法を用いて製造した。
1個の35mgカプセルは、35.00mgのNW−1015、4.37mgのクロスポビドン、5.95mgの微晶質セルロース、0.17mgのステアリン酸マグネシウム及び0.18mgのコロイド状二酸化ケイ素を含有する。
実施例2
1個の100mgカプセルは、100.00mgのNW−1015、7.50mgのクロスポビドン、8.95mgの微晶質セルロース、1.50mgのステアリン酸マグネシウム及び0.30mgのコロイド状二酸化ケイ素を含有する。
実施例3
1個の175mgカプセルは、175.00mgのNW−1015、13.05mgのクロスポビドン、15.57mgの微晶質セルロース、2.61mgのステアリン酸マグネシウム及び0.49mgのコロイド状二酸化ケイ素を含有する。
薬理作用
上記した式(I)を有するα−アミノアミドの抗偏頭痛活性は、動物モデルでの血管性偏頭痛及び関連疾患についての以下の研究から立証された。
部分皮質血流(CBF)の研究[U.Reuter,M.Sanchez del Rio,M.A.Moskowitz,「偏頭痛の実験モデル(Experimental models of migraine)」,Functional Neurology,15(別冊3):9−18(2000);L.Magnus,「ガバペンチンの非てんかん使用 実験(Nonepileptic uses of gabapentin. Experience)」,Epilepsia,40(別冊6):S66−72、「検討(discussion)」,S73−S74(1999);B.Peitl,G.Petho,R.Porszasz,J.Nemeth及びJ.Szolcsanyi,「ラットにおいて三叉神経線維の電気刺激により生ずるカプサイシン−非感受性感覚導出髄膜血管拡張(Capsaicin−insensitive sensory−efferent meningeal vasodilation evoked by electrical stimulation of trigeminal nerve fibres in the rat)」]から、偏頭痛の頭痛相中には大きな頭蓋外及び頭蓋内動脈の両方が拡張していることが判明した。この事象は、血管作用性神経ペプチドの放出を生ずる逆方向活性化及び高いニューロン活性に関連する三叉神経線維の順行性活性化に関連していた。
上記したα−アミノアミドは、ラットの三叉神経ガングリオンの眼分枝の電気刺激により生ずる脳血管拡張の抑制において活性であることが知見され、よって抗偏頭痛剤として有用であると認められる。
(一般的方法)
動物及び手術:
雄Wistarラット(250〜350g)に食塩液に溶解させたナトリウムペントバルビタール(50mg/kg)を腹腔内注射して麻酔した。
人工呼吸(脈拍数55回/分)及び平均血圧(MBP)の測定のためにそれぞれ気管及び左大腿動脈にカニューレを挿入した。試験物質を静脈内投与するために大腿静脈にカニューレを挿入した。加熱パッドの自動コントロールにより体温を37〜38℃に維持した。
動物を定位温床に置き、頭皮を縦方向に切開した。頭蓋骨に穿孔を開け、ステンレス鋼製バイポーラ電極(Plastic One MS 306)を三叉神経ガングリオンの左眼分枝(頭頂部に対して3.8mm後,中線から2.5mm横,硬膜表面の9.5mm下)に下ろし、歯科用セメントで固定した。
電極の正確な位置を、三叉神経線維の活性化により顎を動かさせる簡単な電気刺激により確認した。脳を除去した後、繊維への電極の正確な位置を各実験の最後に肉眼でチェックした。
電極の同側(前頂に対して1.5mm前側,矢状縫合から1.5mm横)に第2の孔を開け、レーザードップラー流量計の針プローブ(先端の直径0.8mm)をその先端が中大脳動脈(MCA)の分枝を指すように固定し、脳血流(CBF)の変化をPeriFlux 4001レーザードップラーシステムを用いてオンラインで記録した。
三叉神経ガングリオンの電気刺激中の筋肉の動きによるレーザードップラー記録の人為結果は神経筋ブロッカーの臭化パンクロニウム(0.6mg/kg)を静脈内注射することにより防止した。実験中ナトリウムペントバルビツール(12.5mg/kg/時)及びパンクロニウム(2.4mg/kg/時)を注入することにより麻酔及び神経筋遮断を維持した。
(実験プロトコル)
手術の最後に、測定パラメーターを安定させるために30分間の中休みを取った。
0.5msec長、1〜10Hz、0.5〜1mAの矩形波で30秒間電気刺激することにより安静CBFを増加させた。2回の平均プレ薬物刺激後、ビヒクルまたは薬物を投与した。
処置から5、15、30及び60分後の電気刺激による誘発流に対する応答を記録した第2の基本刺激後、本発明の代表的なα−アミノアミド化合物としてNW−1015、NW−1029及びNW−1039、比較化合物として2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド(内部コード及び以下 NW−1050)、2−(4−(4−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド(内部コード及び以下 NW−1055;国際特許出願公開第99/26614号パンフレットで試験されている化合物の1つでもある)、4−(4’−フルオロフェノキシ)ベンズアルデヒドセミカルバゾン(以下 Co102862;国際特許出願公開第00/61188号パンフレットで試験されている)及びビヒクルを静脈内投与した。
NW−1015は1、2及び5mg/kgの用量で投与した。NW−1029は5及び10mg/kgの用量で投与した。NW−1039は2及び5mg/kgの用量で投与した。一方、NW−1050、NW−1055及びCo102862はすべて20mg/kgの用量で投与した。
薬物投与後得られた応答をビヒクル群と比較し、誘発CBFの抑制の%として記録した。共分散(ANCOVA)の分析後Dunnet検定してデータを比較した。
(結果)
試験化合物の抗偏頭痛効果を観察し、上記した代表的化合物を静脈内投与後のコントロール状態で誘発されるCBFの抑制の%として調べた。下表1に示すデータは、三叉神経ガングリオンの左眼分枝の電気刺激により誘発されるCBF応答に対する試験化合物の抑制活性を示す。
Figure 0004885455
結果(1群あたり4/6ラットの平均±S.E.)をビヒクルに対する誘発CBF応答の抑制の%として表す。
NW−1015は投与から60分まで誘発CBFを低下させる長く持続するi.v.活性を示した。NW−1029も投与から60分までビヒクルに比して誘発CBFを低下させた。試験した用量でのNW−1039はビヒクル群に比して誘発CBF応答を低下させた。
20mg/kgのNW−1055は誘発CBFを軽く抑制したが、ビヒクル処理群に比して統計的に有意な差を生じなかった。20mg/kgのNW−1050及びCo102862は完全に不活性であった。
上記データから、国際特許出願公開第99/26614号パンフレットに開示されている代表的な置換2−アミノアセトアミド化合物は抗偏頭痛剤として有効でなく、よって前記化合物がナトリウムチャネルブロッカーとして認識されていたことにてらして上記活性は合理的に予測できない。特に、好ましいα,α’−ジ置換アセトアミド(2−メチルプロパンアミド誘導体)の効力は上記した式(I)を有するアミドよりもはるかに弱いことが分かった。
上記した生物学的活性から、上記した式(I)を有するα−アミノアミドは抗偏頭痛剤として、特に脳血管拡張メカニズムを伴う頭痛状態を治療するために使用され得ることが確認される。

Claims (8)

  1. 脳血管拡張メカニズムを伴っている原発性及び続発性頭痛疾患からなる頭痛状態の治療用薬剤の製造における場合により単一異性体またはその混合物としての、
    (S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
    (S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、及び、
    (S)−(+)−2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド
    から選択されるα−アミノアミドまたはその医薬的に許容され得る誘導体の使用。
  2. 頭痛状態が、偏頭痛、頭痛、片頭痛を含む請求項に記載の使用。
  3. 偏頭痛が急性、変換型または血管性偏頭痛であり、頭痛が急性、群発性、進化型または緊張型頭痛であり、片頭痛が慢性発作性片頭痛である請求項1または2に記載の使用。
  4. 求項に記載のα−アミノアミドの少なくとも1つを治療有効量含む脳血管拡張メカニズムを伴っている原発性及び続発性頭痛疾患からなる頭痛状態の治療のための医薬組成物。
  5. 請求項に記載のα−アミノアミドを0.05から20mg/kg体重/日の用量投与する請求項に記載の医薬組成物。
  6. 請求項に記載のα−アミノアミドを0.5から10mg/kg/日の用量投与する請求項に記載の医薬組成物。
  7. 請求項に記載のα−アミノアミドを0.5から5mg/kg/日の用量投与する請求項のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. 頭痛状態が請求項2または3に定義した通りである請求項4から7のいずれかに記載の医薬組成物。
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