以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート処置装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図であり、図1において、Aは給紙装置、Bは画像形成装置本体、Cはシート処理装置、Dは原稿読取装置、Fは原稿搬送装置である。
ここで、原稿搬送装置Fは、原稿トレイF1にセットされた原稿を1枚ずつ原稿読取装置Dの上面に設けられた不図示のプラテン上に搬送し、排紙トレイF2上に搬出するものである。原稿読取装置Dは、原稿搬送装置Fによってプラテン上を通過する原稿を、不図示のランプ、複数のミラー、レンズ、イメージセンサから構成されている読取手段によって読み取るものである。画像形成装置本体Bは、原稿読取装置Dにより読み取られた画像信号に応じてレーザ光を出力する不図示の露光部と、レーザ光が照射されて表面に静電潜像が形成される感光体ドラムを備えている。また、画像形成装置本体Bは、感光体ドラム上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器と、感光体ドラム上に形成されたトナー像をシートに転写する転写部と、シートに転写されたトナー像を定着処理する定着部とを備えている。そして、これら露光部、感光体ドラム、現像器、及び定着部が、シートに画像を形成する画像形成部を構成している。
給紙装置Aは、不図示の複数のカセットを備え、何れかのカセットに収納されたシートを転写部へ搬送するものである。シート処理装置Cは画像形成装置本体Bと原稿読取装置Dとの間に配置され、水平方向の一端側に綴じ装置を有する処理部9を設け、他端側に処理されたシートを収納する収納部10を設けている。なお、この収納部10は、画像形成装置本体Bと原稿読取装置Dとの間の空間に位置している。すなわち、本実施の形態の画像形成装置は、処理されたシートを画像形成装置本体Bと原稿読取装置Dとの間の空間に排出収納する、いわゆる胴内搬出機能を有している。
そして、このような構成の画像形成装置において、原稿読取装置Dによって原稿画像を読み取り、読み取った画像をシートに対し画像形成する際は、まず原稿搬送装置Fによって原稿を、プラテン上を通過させる。そして、この際、原稿読取装置Dはランプから光を照射すると共に、照射された光を原稿面で反射させ、複数のミラー、レンズを介してイメージセンサに導くことにより画像を読み取る。この後、イメージセンサにより読み取られた原稿の画像データは、所定の画像処理が施されて画像形成装置本体Bの露光部へ転送される。
次に、画像形成装置本体Bでは、露光部が画像信号に応じたレーザ光を出力し、このレーザ光は、ポリゴンミラーにより走査されながら感光体ドラム上に照射され、この結果、感光体ドラム上には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。この後、感光体ドラム上に形成された静電潜像は、現像器により現像され、トナー像として可視化される。
一方、画像が形成されるシートは、複数のカセットを備える給紙装置Aの何れかのカセットから転写部へ搬送され、シートは転写部において、感光体ドラム上の可視化されたトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートは、この後、定着部にて定着処理が施されてトナー像が定着される。次に、定着部を通過したシートはシート処理装置Cに搬送され、この後、処理部9によって綴じや折り等の処理が施されて収納部10に排出される。
図2は、シート処理装置Cの構成を説明する断面図である。図2に示すように、シート処理装置Cは、収納部10と、画像形成装置本体Bからのシートを受けて搬送する搬送部11と、搬送部11により搬送されたシートを処理する処理トレイ14と、この処理トレイ上のシートを整合する整合部12とを備えている。また、シート処理装置Cは、整合部12により整合されたシートにステープル処理(綴じ処理)を施すステープル・グリッパ部13を備えている。処理トレイ14には、所定排出方向に搬送されるシートが集積される。
搬送部11は、シートを案内する一対のガイド板20a,20bで構成されると共に、画像形成装置本体Bの排紙口と連なる搬送経路20と、搬送経路20に沿ってシートを搬送する搬送ローラ対21が設けられている。そして、この搬送経路20の搬出口20cには搬出ローラ対22が設けられており、この搬出ローラ対22は搬送経路20の下側に配置されている処理トレイ14に順次シートを搬出する。なお、本実施の形態においては、搬出ローラ対22によってシートが搬出されると、シートは処理トレイ14と、収納部10に設けられた第1及び第2スタックトレイ50,51の載置面との間に掛け渡された状態で載置され、所定の処理が施される。
この第1及び第2のスタックトレイ50,51は、それぞれシート載置面50a,51aを有し、処理トレイ14に装備したフレーム14aに上下方向に昇降自在に支持されている。なお、第1のスタックトレイ50のシート載置面50aの下方には、サドルユニット53が設けられている。処理トレイ14に集積されたシート束は、選択的に、サドルユニット53により折り合わされた後、第1のスタックトレイ50のシート載置面50aに収納される。
このように、第1のスタックトレイ50には、サドルユニット53からの折りシート束と、綴じ装置としてのステープラユニット41で端綴じ又は2箇所綴じが施されたシート束が収納される。また第2のスタックトレイ51のシート載置面51aには、主にステープラユニット41で端綴じ又は2箇所綴じが施されたシート束が収納される。もちろん、第1及び第2のスタックトレイ50,51は、綴じや折りを施さないシート束も収納可能である。
整合部12は、処理トレイ14上に搬出されたシートの一端を整合するストッパ部材31と、処理トレイ上に搬出されたシートの上面に接触し、シートを搬出ローラ対22のシート排出方向と交差する幅方向にシートを搬送するシフトローラ30とを備えている。また、整合部12は、シフトローラ30により幅方向に搬送されるシートの幅方向の端部が当接する図3に示す整合部材32(32a,32b)を備えている。
なお、図2に示すように、ストッパ部材31は支軸31aを支点に回動自在に構成されており、シートの後端(シート排出方向上流側端)と当接してシートの後端位置を規制する処理トレイ14に対して垂直な整合位置と、略水平な退避位置に回動する。また、シフトローラ30は、正逆転可能な不図示の給送モータにより回転すると共に、断面を多角形に形成された支軸33aを支点に上下方向に回動自在に設けられたアーム部材33の一端側に回転自在に支持されている。そして、アーム部材33の回動動作によって処理トレイ上のシートの上面に接触する接触位置と、シート上面から退避した退避位置とに移動する。さらに、アーム部材33は、支軸33aに沿って幅方向に移動自在に構成されており、このアーム部材33の移動によってシフトローラ30がスライド移動する。
このような構成の整合部12において、処理トレイ14上にシートが搬出されると、先ずアーム部材33が下方回動する。これに伴ってシフトローラ30が退避位置から接触位置に移動して回転し、シートをシート排出方向と反対方向、すなわちストッパ部材31側の方向に搬送する。そして、このようなシフトローラ30の回転により、シートは整合位置にあるストッパ部材31に突き当たり、その送り方向端部、すなわち後端がストッパ部材31により整合される。
なお、このようにシートの後端が整合されるとシフトローラ30は停止し、この後、アーム部材33が不図示のシフトモータにより幅方向に移動することで、シフトローラ30がシート上面に接触した状態で整合部材32側にスライド移動する。ここで、シフトローラ30はウレタンゴム等の高摩擦部材で形成されており、このようにシフトローラ30がスライド移動すると、これに追従してシートも整合部材32側にスライドする。そして、この後、アーム部材33(シフトローラ30)はシートの幅方向の一端が整合部材32に当接するまでスライド移動して停止する。これによりシートの幅方向端部が整合される。
なお、本実施の形態のシート処理装置Cは、綴じモードとして、シートの幅方向の一端側を綴じる第1の端綴じモード、一端側と反対の他端側を綴じる第2の端綴じモード、シートの一辺の2箇所を綴じる2箇所綴じモードを有している。そして、シフトローラ30は第1の端綴じモードと、2箇所綴じモードのとき、図3に示す奥側に設けられた整合部材32aにシートを突き当ててシートの幅方向を整合する。ここで奥側とは、図1に示す状態をシート処理装置Cの正面としたとき、正面から見て、シート処理装置Cに搬送されるシートの幅方向中心(幅方向とはシート排出方向と交差する方向と同じ)よりも奥の領域を指す。なお、画像形成装置本体Bは、シート処理装置Cに対して、シートを中央基準で搬送させる。一方、第2の端綴じモードのときには、手前側に設けられた整合部材32bにシートを突き当ててシートの幅方向を整合する。
次に、このようなシートの後端及び幅方向の一端に対する整合動作が終了すると、アーム部材33が上方に回動し、シフトローラ30はシートの上面から離れた退避位置に移動する。この後、アーム部材33及びシフトローラ30は支軸33aに沿って処理トレイ14の幅方向略中央の初期位置(ホームポジション)に移動し、次のシートが処理トレイ14上に搬出されると、同様な整合動作を実行する。
ステープル・グリッパ部13は、図2に示すように処理トレイ上で整合されたシート束をグリップして移動させる把持装置としてのグリッパユニット40を備えている。このグリッパユニット40は、シートの一辺を把持してこの一辺と交差するシート排出方向に移動可能で、ステープラユニット41による綴じ処理が可能な位置にシートを移動させる。更にステープル・グリッパ部13は、グリッパユニット40によりステープル処理位置(綴じ位置)まで移動されたシート束を綴じるステープラユニット41を備えている。このステープラユニット41は、処理トレイ14上のシートの一辺側の両端部における第1及び第2の綴じ位置にてそれぞれ綴じ処理を施し得る綴じ装置を構成している。上記グリッパユニット40は図3の矢印c及びd方向(シート排出方向及びシート排出方向と反対方向)に移動自在に構成されている。そして、グリッパユニット40は、シート束を排紙する際にはP3で示す排紙位置に、シート束の後端部をグリップする際にはP1で示すグリップ位置に、シート束にステープルを施す際にはGHPで示すステープル処理位置に移動する。
さらに、グリッパユニット40は、シート束を2箇所綴じする際には、後述するステープラユニット41と連結するためのユニット連結位置P2に移動する。なお、本実施の形態では、グリッパユニット40によるステープル処理位置GHPとグリッパユニット40のホームポジションとが同一位置となるように構成している。また、グリッパユニット40が移動する排紙位置P3と、グリッパユニット40が移動することでレール同士を連結させる後述するレール連結位置とが同一位置となるように構成している。つまり、排紙位置(レール連結位置)P3は、ステープラユニット41の移動に先立って移動退避する退避領域(図9の二点鎖線で示す領域)と同一となるように構成されている。なお、以降、便宜上、目的、機能動作に沿ってステープル処理位置とホームポジション、排紙位置P3とレール連結位置とを使用する。なお、図3におけるグリッパユニット40の位置はGHPを示している。
このようにグリッパユニット40は、少なくとも処理トレイ14上に搬送されたシート束Sを把持するグリップ位置(把持位置)P1に移動可能に構成されている。そして、制御部Gは、積載されるシート束の最初のシートが処理トレイ14に搬送される前にグリッパユニット40を排紙位置P3に移動させる。更に制御部Gは、第1又は第2の綴じ位置にステープラユニット41を移動させた後にグリッパユニット40をグリップ位置P1に移動させるように制御する。
ステープラユニット41は図3の矢印a、b方向(幅方向)に移動自在に構成されており、ホームポジションと、各綴じモードやシートサイズに応じて決定されるステープル位置に移動する。また図3のSHPは、ステープラユニット41のステープル部分(センターライン)を示している。
図4はグリッパユニット40の外観を示す側面図である。グリッパユニット40は、図5に示すように処理トレイ14上で整合されたシート束をグリップする一対のグリップアーム対44を備えた第1のグリッパユニット40aを有している。また、グリッパユニット40に備えられた第2のグリッパユニット40bは、第1のグリッパユニット40aをシート排出方向に平行にスライド可能に支持すると共に、グリップアーム対44によってシート束をグリップさせる駆動機構を有している。
第1のグリッパユニット40aは、シート束の下面を支持する固定グリップアーム44aと、固定グリップアーム44aの上方に対向して設けられてシート束の上面を押圧する可動グリップアーム44bとで構成されたグリップアーム対44を備えている。固定グリップアーム44aは、図6に示すように平板状の第1のベース部材140に取り付けられており、この固定グリップアーム44aに可動グリップアーム44bが回動軸143を支点として上下方向に回動自在に取り付けられている。
なお、回動軸143には付勢手段としてのコイルバネ144が設けられ、このコイルバネ144の両端は、固定グリップアーム44aと可動グリップアーム44bにそれぞれ架けられている。そして、このコイルバネ144の作用によって可動グリップアーム44bのグリップ部44dが固定グリップアーム44aのグリップ部44cに圧接するように付勢されてグリップアーム対44は閉じ状態となり、シートを把持するためのグリップ力が付与される。
第2のグリッパユニット40bは、可動グリップアーム44bを固定グリップアーム44aから離れる方向に付勢する図6に示す駆動レバー142と、駆動レバー142を駆動する図4、図5に示すグリップモータGM1を備えている。なお、グリップモータGM1からの駆動は、図6に示す複数のギヤGZ1〜GZ8を介して駆動レバー142に伝達される。つまり、グリップアーム対44によってシート束をグリップさせる駆動機構は、駆動レバー142と、グリップモータGM1と、複数のギヤGZ1〜GZ8とにより構成される。また、駆動レバー142の位置は、駆動レバー142に一体に設けられた検出フラグ142bの位置をレバー検出センサGS1が検知することにより検出される。なお、本実施の形態において、グリップアーム対44が図6の(a)に示すように閉じ状態のとき、レバー検出センサGS1はONとなり、グリップアーム対44が図6の(b)に示すように開いた状態のとき、レバー検出センサGS1はOFFとなる。
次に、シート束をグリップさせる駆動機構の動作について説明する。通常、グリップアーム対44は、コイルバネ114の作用により、図6の(a)に示すように閉じた状態となっている。グリップアーム対44を開いた状態にする場合は、グリップモータGM1を正回転(図4中反時計回り方向に回転)駆動する。そして、このグリップモータGM1の駆動は、複数のギヤGZ1〜GZ7を介して駆動レバー142に一体に形成された最終ギヤGZ8に伝達され、これにより駆動レバー142が軸142aを支点として可動グリップアーム44b側に回動する。この後、駆動レバー142の先端側が、回動軸143に対して可動グリップアーム44bのグリップ部44dと反対側に形成された当接部44eに当接し、当接部44eを下方に移動させる。
この結果、可動グリップアーム44bのグリップ部44dが回動軸143を支点として上方に回転し、図6の(b)に示すように可動グリップアーム44bのグリップ部44dが固定グリップアーム44aのグリップ部44cから離間する。これにより、グリップアーム対44は閉じ状態から開いた状態となる。なお、この後、駆動レバー142に一体に設けられた検出フラグ142bをレバー検出センサGS1が検出しなくなった時点から所定時間が経過すると、グリップモータGM1を停止する。これにより、グリップアーム対44は、開いた状態で保持される。
グリップアーム対44を閉じた状態にする場合は、グリップモータGM1を逆回転(時計回り方向に回転)駆動する。そして、このグリップモータGM1の逆回転駆動により、駆動レバー142の先端部が軸142aを支点として可動グリップアーム44bの当接部44eから離れる方向に回動する。これに伴いコイルバネ144の作用により、可動グリップアーム44bの当接部44eが回動軸143を支点として反時計方向に回転し、駆動レバー142の先端部が可動グリップアーム44bの当接部44eから離間する。これにより、グリップアーム対44は図6の(a)に示すように閉じ状態となり、コイルバネ144の付勢力によってシートを把持するためのグリップ力が可動グリップアーム44bに付与される状態となる。なお、グリップモータGM1は、検出フラグ142bがレバー検出センサGS1により検出された時点で停止する。
ここで、本実施の形態においては、図3に示すように、グリップアーム対44、グリップ力を付与するコイルバネ144及びグリップ力を解除する駆動レバー142を幅方向に、3つ(複数)設けている。そして、この3つのグリップアーム対44を、1つのグリップモータGM1で駆動するように構成している。なお、図3に示すように、3つのグリップアーム対44は所定の間隔で、図6に示すベース部材140に取り付けられ、3つの駆動レバー142は第2のベース部材141の側部に掛け渡されるように取り付けられた軸142aにそれぞれ取り付けられている。これにより、グリッパユニット40は、3つの駆動レバー142を同時に回転させることができると共に、シートの一辺の3箇所をグリップして搬送(移動)することができる。
第1のグリッパユニット40aは、既述したように第2のグリッパユニット40bにシート排出方向に平行にスライド可能に支持されている。次に、第1のグリッパユニット40aの移動機構について説明する。図5に示すグリップアーム対44が取り付けられる第1のベース部材140は、幅方向の端部が下方に折り曲げている。そして、この第1のベース部材140の折り曲げ部140aの角部には第1のグリッパユニット40aを移動させるための移動ラックGR1が取り付けられている。また、第1のベース部材140の折り曲げ部140aにはスライド孔としての長孔140bが形成されている。
この長孔140bには、移動ラックGR1に歯合するピニオンギヤGZ10の回転軸GZ10aが貫通されており、この回転軸GZ10aは第2のグリッパユニット40bの側板141aに回転支持されている。これにより、第2のグリッパユニット40bに設けられたピニオンギヤGZ10を回転させると、移動ラックGR1を介して第1のグリッパユニット40aが移動する。つまり、ピニオンギヤGZ10を回転させることにより、第1のグリッパユニット40aは、図5の(a)に示す初期位置と、図5の(b)に示すシートを排出する排出位置とに移動する。なお、移動ラックGR1はシート排出方向下流側に向かって、下降するように構成されている。このように構成することにより、第1のグリッパユニット40aが上記初期位置に位置する場合、グリップアーム対44の上部を処理トレイ14上面より突出するように位置させることができる。また、第1のグリッパユニット40aが上記排出位置に位置する場合、グリップアーム対44の上部が処理トレイ14上面より下になるように位置させることができる。
このように第1のグリッパユニット40aを移動するための駆動機構は、グリップモータGM1と、複数のグリッパギヤGZ1〜GZ5と、第5のグリッパギヤGZ5の回転軸上に設けられたグリッパギヤGZ9と、ピニオンギヤGZ10によって構成される。なお、本実施の形態においては、既述したようにグリップアーム対40を開閉させる駆動源として、また第1のグリッパユニット40aを移動させる駆動源として、グリップモータGM1を用いている。なお、グリップモータGM1を共通の駆動源として使用するため、図6に示すグリップアーム対44を開閉させるための第7のグリッパギヤGZ7は、グリップモータGM1の駆動を伝達する領域と、伝達しない領域を形成した歯欠けギヤを採用している。また、第1のグリッパユニット40aを移動させるための第9のグリッパギヤGZ9としても、同様の歯欠けギヤを採用している。
ここで、歯欠けギヤを用いた第7のグリッパギヤGZ7がその外周の一部の歯部を使ってグリップアーム対44を開閉するとき、第9のグリッパギヤGZ9の歯欠け部は後段のギヤに対向するように位置にあり、後段のギヤに駆動を伝達しない。一方、歯欠けギヤを用いた第9のグリッパギヤGZ9がその外周の一部の歯部を使って第1のグリッパユニット40aを移動させているとき、第7のグリッパギヤGZ7の歯欠け部が後段のギヤに対向する位置にあり、後段のギヤに駆動を伝達しない。このように歯欠けギヤを用いて駆動機構を構成することによって、グリップアーム対44の開閉動作と第1のグリッパユニット40aの移動を切り換えることが容易にできる。
次に、グリッパユニット40をシート排出方向に移動させる構成について説明する。図4に示すように、グリッパユニット40は第2のベース部材141を備えており、この第2のベース部材141の下面には、幅方向に2つの摺動ピン145が設けられている。この摺動ピン145は、グリッパユニット40を幅方向に移動させるための第4のガイドレール43dの溝部に係合している。そして、この摺動ピン145を第4のガイドレール43dの溝部に対して係合してなる連結機構により、グリッパユニット40は第4のガイドレール43dに連結されている。なお、第4のガイドレール43dと上述の連結機構の詳細については後述する。
第4のガイドレール43dの底面の所定の箇所には、グリッパユニット40及びステープラユニット41を支持する図7に示す基台42に形成されたシート排出方向に延びた長溝42aと係合する係合部90が下方に突設されている。長溝42aは、所定の間隔をあけて互いに平行となるように2本形成されている。また、上記係合部90は、グリッパユニット40に連結された第4のガイドレール43dの底面の所定箇所に、シート排出方向に延びるように互いに平行に2本設けられている(図7)。なお、上記2本の長溝42aは、ステープラユニット(綴じ装置)41の移動を妨げない低い形状を有してグリッパユニット(把持装置)40を案内するガイド溝を構成している。そして、ガイド溝としての上記長溝42aは、グリッパユニット40を案内する第1の案内部を構成している。長溝42aは、グリッパユニット40を、少なくとも位置決め領域(把持位置)と排紙位置(退避領域、退避位置)P3とに案内するようにシート排出方向に沿って設けられている。上記位置決め領域は、シートを把持して綴じ処理が可能なステープル処理位置GHPに位置決めする領域である。上記排紙位置(退避領域)P3は、グリッパユニット40を、位置決め領域(GHP)よりもシート排出方向下流側に位置させてステープラユニット41の移動ルートから離す領域である。
さらに、係合部90の下面には、基台42の下面側に配置された板状の部材151と連結するためのボス152が設けられており、ボス152と板状部材151の嵌合孔151aとが嵌合して第4のガイドレール43dは板状部材151と一体化されている。ここで、この板状部材151は、グリッパユニット40を移動させるための長溝42aに沿って設けられた無端ベルトGBに連結されている。これにより、無端ベルトGBを駆動すると、グリッパユニット40は、板状部材151、第4のガイドレール43dと一体に長溝42aに沿って移動する。
なお、上記無端ベルトGBは、図7に示すグリッパモータGM2と、無端ベルトGBを懸架する一対のプーリGP1,GP2と、グリッパモータGM2の駆動を無端ベルトGBに伝達する複数のギヤGZ11〜GZ13により駆動される。つまり、本実施形態では、シートの綴じ処理が施されるシートの一辺と交差するシート排出方向にグリッパユニット40を移動させるための第2の移動機構(駆動機構)は、以下の構成からなる。即ち、この第2の移動機構は、グリッパモータGM2と、無端ベルトGBと、一対のプーリGP1,GP2と、複数のギヤGZ11〜GZ13から構成される。
次に、ステープラユニット41について説明する。ステープラユニット41は、ステープルヘッドとアンビルブロックが組込まれ、針状のステープルをコ字状に折り曲げてシート束に圧入し、その先端をアンビルブロックで折り曲げてシート束を綴じる。本実施の形態では、基端を互いに軸承した上下レバー部材の一方にヘッドブロックを他方にアンビルブロックを取付け、この上下レバー部材を駆動カム部材によって離間位置から圧接位置に往復動させる構成の一般的なステープラユニットを採用している。また、本実施の形態において、ステープラユニット41は、設定されたモードに応じて、シートの幅方向の一端側を綴じる位置、一端側と反対の他端側を綴じる位置、シートの一辺の2箇所を綴じる位置に移動可能になっている。
図8はステープラユニット41を移動させるための構成を説明する図である。ステープラユニット41は、ベース部材120上に取り付けられており、このベース部材120にはステープラユニット41の移動を補助するための3つコロ121が設けられている。また、このベース部材120には、後述するガイドレール部Rに係合してガイドレール部Rに沿ってステープラユニット41を移動させるための3つのボス122a〜122cが設けられている。さらに、ベース部材120には、3つのボス122a〜122cよりもシート排出方向上流側に一列で配置され、グリッパユニット40とステープラユニット41を連結して移動させる際に用いる2つのボス122d,122eが設けられている。さらに、ベース部材120の下面側には、ステープラユニット41を移動させるための無端ベルトSB2に連結する連結部材123が設けられている。この連結部材123にはステープラユニット41の移動を補助するための2つコロ124と長孔123aが設けられている。そして、この連結部材123の長孔123aにベース部材120の下面に設けられたボス125が貫通されている。長孔123aはシート排出方向と平行な方向に延びた長孔であり、ボス125は長孔123aに沿ってシート排出方向と平行な方向に移動可能に構成されている。
ステープラユニット41を移動させるための駆動機構は、ステープルモータSMと、ステープルモータSMの駆動軸に取り付けられたギヤSG1と、ギヤSG1と歯合するギヤSG2とを備えている。さらに、ギヤSG2の回転軸に取り付けられたプーリSP1と、プーリSP1と対をなしてタイミングベルトSB1が張架されるプーリSP2とを備えている。また、プーリSP2の回転軸上に設けられて無端ベルトSB2を張架するプーリSP3と、プーリSP3と対をなして無端ベルトSB2を張架するプーリSP4とを備えている。なお、上記モータSM、タイミングベルトSB1、無端ベルトSB2、ベース部材120、ギヤSG1,SG2、プーリSP1〜SP4により、第1の移動機構が構成されている。この第1の移動機構は、シートの綴じ処理が施される一辺に沿ってステープラユニット41を、シートの排出方向と交差する幅方向に移動させる。
なお、グリッパユニット40が移動する基台42上には、ステープラユニット41を幅方向に移動させるためのガイドレール部Rが設けられている。このガイドレール部Rは最大シートの幅よりも長く形成されており、ステープラユニット41をガイドレール部Rに沿って移動させることにより、シートの一辺側の所定の位置に綴じ処理を施すことが可能となる。
このように構成された駆動機構において、ステープルモータSMの駆動がタイミングベルトSB1を介して無端ベルトSB2に伝達されて無端ベルトSB2が回転し、この無端ベルトSB2の回転によって連結部材123が移動する。そして、このように連結部材123が移動すると、ボス125を介してベース部材120及びベース部材120に取り付けられたステープラユニット41がガイドレール部Rに沿って移動する。
本実施の形態では、既述したように、シートの両端の何れか一方をその対応する綴じ位置で綴じる端綴じ処理と、シートの一辺の幅方向に対して、その略中央部の2箇所に綴じ処理を施す2箇所綴じ処理が可能に構成されている。上記綴じ位置は第1の綴じ位置と第2の綴じ位置であり、第1の綴じ位置は図9に示すステープラユニット41の位置であり、第2の綴じ位置は、図9に示す第1の綴じ位置と幅方向での反対側の位置である。そして、ガイドレール部Rの構成を端綴じ処理の場合と2箇所綴じ処理の場合とで異なる構成としている。
具体的に説明すると、端綴じ処理の場合のガイドレール部Rは、幅方向に第1〜第3のガイドレール43a〜43cの3つに分割されている。これら3つのガイドレール43a〜43cのうちの中央に位置する中央ガイドレールである第1のガイドレール43aは、図4に示すようにグリッパユニット40の底部の後部(シート排出方向上流側)に固定されている。また、第1のガイドレール43aに対して両側に位置する端側ガイドレールである第2及び第3のガイドレール43b,43cは、それぞれ基台42上に取り付けられている。
ここで、第1のガイドレール43aは、グリッパユニット40がステープラユニット41の移動を邪魔しない所定の退避領域(退避位置)に位置するとき、第2及び第3のガイドレール43b,43cと一列(一直線状)となるように設けられている。そして、第1〜第3のガイドレール43a〜43cが一列となると、ステープラユニット41に一列で配置された3つのボス122a〜122cが第1〜第3のガイドレール43a〜43cに係合し、ステープラユニット41が幅方向に移動する。
前述のように、ステープラユニット41を支持するベース部材120の前側底部(シート排出方向上流側の底部)には、ガイドレール部Rに係合し案内されてステープラユニット41を移動させるためのボス122a〜122cが取り付けられている。そして、第1のガイドレール43aの両端部には、第2及び第3のガイドレール43a,43b,43cと対向した際に、突起部であるボス122a〜122cを導入しその通過を容易にする幅広部(第1の幅広部)43eが形成されている(図7〜図9参照)。また、第2及び第3のガイドレール43b,43cは、第1のガイドレール43aの端部と対向する各端部に、ボス122a〜122cを導入しその通過を容易にする幅広部(第2の幅広部)43f,43gがそれぞれ形成されている(図7〜図9参照)。これらの構成により、ステープラユニット41は、ガイドレール部Rに沿って円滑に移動することができる。
この構成によれば、シートの端部を綴じるためにステープラユニット41がグリッパユニット40を挟んで反対側に移動するとき、グリッパユニット40はステープラユニット41の移動を邪魔しない退避領域に移動している。このため、ステープラユニット41の幅方向への移動を妨げることがなくなる。したがって、シートが処理トレイ14に搬送される前に、ステープラユニット41を綴じ処理されるシート角部側に予め移動させることが可能となる。また、グリッパユニット40はシートの幅方向の略中央部を把持するように配置されているので、ステープラユニット41を予めシートの角部側に移動させて置くことによって、ステープラユニット41がグリッパユニット40の移動の妨げとなることもない。
第1、第2及び第3のガイドレール43a,43b,43cは、グリッパユニット(綴じ装置)40を案内する第2の案内部を構成している。第2及び第3のガイドレール43b,43cは、シート排出方向と交差する幅方向に沿って所定の間隔をあけて一直線状となるように配置された一対の端側ガイドレールを構成する。上記ガイドレール43aは、グリッパユニット後部に幅方向に沿って固定され、このユニット40が退避領域(P3)に移動すると上記ガイドレール43b,43c間に位置してこれらガイドレール43b,43cと一直線状に並ぶ中央ガイドレールを構成する。
ここで、第1のガイドレール43aに対して両側に位置する第2及び第3のガイドレール43b,43cは、それぞれ揺動軸110,111によって回動自在に基台42上に取り付けられている。これにより、ステープラユニット41により端綴じ処理を施す場合、ステープラユニット41を略45°傾けてシートの端部(角部)に綴じ処理を施すことができる。なお、揺動軸110,111は、ベース部材120の下面に設けられたボス125に対し、シート排出方向下流側に配置されている。
次に、このようにステープラユニット41を略45°傾ける構成について説明する。なお、第2のガイドレール43b側の端部を綴じるための構成と第3のガイドレール43c側の端部を綴じるための構成はその左右が対象の同一な構成であるため、便宜上ここでは第2のガイドレール43b側の構成についてのみ説明する。
図8に示すように、第2のガイドレール43bの揺動軸110の内側の箇所と基台42との間には引っ張りバネ114が設けられており、この引っ張りバネ114の作用により第2のガイドレール43bは図中時計回り方向に常時付勢されている。ここでいう内側、とは、比較対照物とシート処理装置Cに搬送されるシートの幅方向中心(幅方向とはシート排出方向と交差する方向と同じ)との間の領域を示す。そして、基台42の揺動軸110よりも内側には引っ張りバネ114によって常時付勢されている第2のガイドレール43bを規制する規制部材112が設けられている。この規制部材112によって第2のガイドレール43bは、シート排出方向と交差する状態に保持され、グリッパユニット40に取り付けられた第1のガイドレール43aと連続したガイドレール部Rを形成する。なお、第3のガイドレール43c側では、引っ張りバネ115及び規制部材113が上記と同様に機能する。
ここで、無端ベルトSB2を駆動し、第2のガイドレール43bに沿ってステープラユニット41を外側に向かって移動させると、第2のガイドレール43bに係合したベース部材120のボス122cが第2のガイドレール43bの端部に突き当たる。ここでいう外側に移動する、とは、シート処理装置Cに搬送されるシートの幅方向中心(幅方向とはシート排出方向と交差する方向と同じ)から離れる方向に移動する、ということである。これにより、ステープラユニット41の幅方向の移動が規制される。この状態でさらに無端ベルトSB2を駆動すると、無端ベルトSB2に連結された連結部材123が無端ベルトSB2の駆動に伴って移動し、これに伴いベース部材120のボス125が外側に向けて引っ張られる。
このとき、ベース部材120は第2のガイドレール43bの端部によって幅方向の移動が規制されている。上述したように、揺動軸110は、ボス125に対し、シート排出方向下流側に配置されている。このため、ボス125が引っ張られると、図9に示すように、ボス125を連結部材123の長孔123aに沿ってシート排出方向に移動させながら、ベース部材120とステープラユニット41が揺動軸110を支点にして一体で回転する。さらに、この際、ベース部材120とステープラユニット41は、第2のガイドレール43bを引っ張りバネ114に抗して揺動軸110を支点として反時計方向に回転させる。これにより、ステープラユニット41がシートの一辺に対して傾いて位置付けられ、シートの角部(端部)に斜め綴じができる。
一方、グリッパユニット40は基台42の幅方向の中央部に位置しているため、2箇所綴じを施す場合、ステープラユニット41はグリッパユニット40に対し幅方向において重なるようになる。このため、グリッパユニット40が邪魔になり、ステープラユニット41は、そのままでは2箇所綴じを行うことができない。そこで、本実施の形態においては、2箇所綴じを施す場合、グリッパユニット40を、ステープラユニット41による2箇所綴じの妨げにならない位置に移動させるようにしている。具体的には、ステープラユニット41が2箇所綴じを施す位置に移動する際、ステープラユニット41と一体的にグリッパユニット40を幅方向に移動させるようにしている。
ここで、このようにステープラユニット41と一体的にグリッパユニット40を幅方向に移動させるため、2箇所綴じを施す際は、まずグリッパユニット40を既述した図3に示すユニット連結位置P2に移動させる。なお、このようにグリッパユニット40が移動したとき、図4に示すグリッパユニット40の底面に取り付けられている第4のガイドレール43dが、図7に示す、第2及び第3のガイドレール43b,43cよりもシート排出方向上流側に移動する。なお、この位置は、3つのボス122a〜122cよりもシート排出方向上流側に一列で配置された2つのボス122d,122eに対応する位置である。
これにより、ステープラユニット41とグリッパユニット40を連結した場合、ステープラユニット41は2つのボス122d,122eを第4のガイドレール43dに係合させながらグリッパユニット40と共に幅方向に移動可能になる。なお、このように構成した場合、2箇所綴じを施す際、ステープラユニット41が第2のガイドレール側から第3のガイドレール側に移動する場合、まずステープラユニット41は第2のガイドレール43bにボス122a〜122cが係合して移動する。次に、ステープラユニット41の移動側のボス122aが第2のガイドレール43bから外れると、ステープラユニット41のボス122dが、グリッパユニット40の移動に伴い、図7に示す位置に移動した第4のガイドレール43dと係合する。
この結果、ステープラユニット41はその移動に伴って第2のガイドレール43bから第4のガイドレール43dに引き継がれて保持される。また、ステープラユニット41のボス122dが第4のガイドレール43bから外れると、ステープラユニット41のボス122aが今度は第3のガイドレール43cと係合する。なお、ステープラユニット41と連結して移動する際に、グリッパユニット40は第4のガイドレール43dから外れるが、グリッパユニット40はステープラユニット41に対して幅方向及びシート排出方向に移動することが無いように固定連結されている。これにより、グリッパユニット40は支障なくステープラユニット41の移動に追従して移動する。
図10及び図11は、このようなグリッパユニット40とステープラユニット41とを連結させるユニット連結機構を説明する図である。図10及び図11に示すように、ユニット連結機構は、ステープラユニット41とグリッパユニット40とをシート排出方向において連結する第1のユニット連結機構60aを備えている。また、ステープラユニット41とグリッパユニット40とを幅方向において連結する第2のユニット連結機構60bを備えている。
第1のユニット連結機構60aは、図8に示すステープラユニット41のベース部材120に取り付けられた係合部材129と、グリッパユニット40の第2のベース部材141の側部に軸支された連結アーム部材132とを備えている。また、第1のユニット連結機構60aは、グリップアーム対40を開閉させるための駆動レバー142の軸142aに設けられた作動部材131とを備えている。そして、連結アーム部材132はその一端に係合部材129の溝部129aに係合する係合ピン132aが形成され、また他端には作動部材131のスリット131aに嵌合される作動ピン132bが形成されている。
ここで、グリッパユニット40がユニット連結位置P2に移動する際、グリッパユニット40は、図10の(a)に示すように連結アーム部材132の係合ピン132aが上方の退避位置にある状態で矢印方向に移動する。そして、グリッパユニット40が、第4のガイドレール43dが第2及び第3のガイドレール43b,43cよりもシート排出方向上流側となる連結位置に到着すると、グリッパモータGM2を駆動し、作動部材131を時計回り方向に回動させる。これにより、作動部材131のスリット131aに嵌合される作動ピン132bが上方に持ち上げられ、連結アーム部材132はその軸を支点として反時計回り方向に回転する。これに伴って連結アーム部材132の係合ピン132aが、図10の(b)に示すように係合部材129の溝部129aに係合する。
また、第2のユニット連結機構60bは、第2のベース部材141の下面に取り付けられた連結部材91を備えており、この連結部材91の幅方向端部側には、2つの突起133が形成されている。この連結部材91の突起133は、ユニット連結位置P2にグリッパユニット40を移動することで、図10の(b)及び図11の(b)に示すように係合部材129の下面側に形成された不図示の溝部に進入するように構成されている。これにより、ステープラユニット41とグリッパユニット40は幅方向に対して連結し、一体で幅方向に移動する。なお、本実施の形態においては、連結部材91と第1のガイドレール43aを樹脂により一体で形成している。
ここで、グリッパユニット40をステープラユニット41と連結して幅方向に移動させるためには、グリッパユニット40と第4のガイドレール43dとを切り離さなければならない。これは、第4のガイドレール43dをステープラユニット41が移動するためのレールとして用いるためである。また、グリッパユニット40とグリッパモータGM2との駆動連結を解除する必要がある。このため、本実施の形態においては、既述したように第4のガイドレール43dは板状部材151と一体化され、板状部材151はグリッパモータGM2によって駆動される無端ベルトGBに連結されている。また、第4のガイドレール43dとグリッパユニット40は連結・解除するように構成されている。これにより、グリッパユニット40と第4のガイドレール43dの連結・解除と、グリッパユニット40とグリッパモータGM2との駆動の連結・解除を同時に1つの機構を用いて行うことができる。
次に、このようなグリッパユニット40と第4のガイドレール43dとを連結する連結機構60cについて図11を用いて説明する。この連結機構60cは、第2のベース部材141の上面に設けられた第1の揺動軸161に取り付けられた揺動レバー162と、第1の揺動軸161に取り付けられて揺動レバー162の揺動動作に伴って揺動する揺動部材163を備えている。また、連結機構60cは、第2のベース部材141の上面に設けられた第2の揺動軸164に取り付けられて揺動部材163のスリット163aに係合するピン165aが形成された第1の作動部材165を備えている。また、連結機構60cは、揺動レバー162に形成されたピン162aに嵌合する孔が一端側に形成されたリンク部材166を備えている。さらに、連結機構60cは、第3の揺動軸(回転軸)167に取り付けられてリンク部材166の他端側に形成された孔に嵌合するピン168aが形成された第2の作動部材168を備えている。
そして、第1の作動部材165には第2のベース部材141の上面から下面側に向かって延設された円柱状の第1の作動ピン165bと、第1の作動ピン165bの延設側の先端に形成された第1の作動片165cが設けられている。第1の作動ピン165bは第1の作動部材165の揺動によって第4のガイドレール43dの溝を形成する凸部の側面に形成された湾曲部97aに嵌合する。これにより、第2のベース部材141の底面に設けられて第4のガイドレール43dの溝に係合した摺動ピン145との間で第4のガイドレール43dの凸部を挟み込む。また、第1の作動片165cは第1の作動部材165の揺動によって第4のガイドレール43dの凸部の下面に移動し、第2のベース部材141の下面との間で第4のガイドレール43dの凸部を挟み込む。
第2の作動部材168には、第2のベース部材141の上面から下面側に向かって延設された円柱状の第2の作動ピン168bと、第2の作動ピン168bの延設側の先端に形成された第2の作動片168cとが形成されている。そして、第1の作動ピン168bは第2の作動部材168の揺動によって第4のガイドレール43dの凸部の側面に形成された湾曲部97bに嵌合し、第2の作動片168cは第4のガイドレール43dの凸部の下面に移動する。これにより、第2の作動ピン168bは摺動ピン145との間で第4のガイドレール43dの凸部を挟み、また第2の作動片168cはベース部材141の底面との間で第4のガイドレール43dの凸部を挟む。
なお、第2の作動部材168と第2のベース部材141との間には、第3の回転軸167を支点として第2の作動部材168を図中時計回り方向に回転付勢する引っ張りバネ169が設けられている。また、95、96は、第1、第2の作動ピン165b、168bが移動するための第2のベース部材141に形成された開口である。
このような構成によって、連結位置にグリッパユニット40が移動到着する前の状態においては、図11の(a)に示すように引っ張りバネ169の作用により第2の作動部材168は時計回り方向に回転する。これにより、第2の作動ピン168bが第4のガイドレール43dの凸部の側面の湾曲部97bに嵌合し、第2の揺動片(作動片)168cは凸部の下面の下方に移動する。また、第2の作動部材168の時計回り方向の回転は、リンク部材166を介して揺動レバー162に伝達され、揺動レバー162を時計回り方向に回転させる。さらにこの揺動レバー162の回転によって揺動部材163が時計回り方向に回転し、揺動部材163によって第1の作動部材165が反時計回り方向に回転する。これにより、第1の作動ピン165bが第4のガイドレールの凸部の側面の湾曲部97aに嵌合し、第1の揺動片168cは凸部の下面の下方に移動する。
一方、連結位置にグリッパユニット40が到着すると、揺動レバー162は、先端がステープラユニット41側の係合部材129に当接し、引っ張りバネ169の作用に抗して反時計回り方向に回転する。この回転動作によって揺動部材163が反時計回り方向に回転し、第1の作動部材165が時計回り方向に回転する。これにより、図11の(b)に示すように第1の作動ピン165bが第4のガイドレール43dの凸部の湾曲部97aから離間し、第1の作動片165cがレール43dの凸部の下面から退避した位置に移動する。また、揺動レバー162が反時計回り方向に回転すると、その回転はリンク部材166を介して第2の作動部材168に伝達され、第2の作動部材168は時計回り方向に回転する。これにより、第2の作動ピン168bがレール43dの凸部の湾曲部97bから離間し、第2の作動片168cがレール43dの凸部の下面から退避した位置に移動する。
このように、本実施の形態においては、連結位置にグリッパユニット40が移動到着する前は、第2のベース部材141の摺動ピン145と第1及び第2の作動ピン165b,168bとの間で第4のガイドレール43dの凸部の側方を挟持している。また、第2のベース部材141の下面と第1及び第2の作動片165c,168cとで第4のガイドレール43dの凸部の上下方向を挟持している。これにより、グリッパユニット40と第4のガイドレール43dとを連結している。
一方、グリッパユニット40をステープラユニット41との連結位置に移動させると、揺動レバー162が係合部材129に突き当たり、これにより揺動レバー162が揺動する。そして、この揺動レバー162の揺動によって第1及び第2の作動ピン165b,168bを第4のガイドレール43dの凸部の側部から離間させる。また、第1及び第2の作動片165c,168cを第4のガイドレール43dの凸部の下面から退避した位置に移動させる。これにより、グリッパユニット40と第4のガイドレール43dとの連結が解除され、この解除動作によってグリッパユニット40は幅方向に移動することが可能と
なる。
図22は、シート処理装置Cの制御ブロック図である。制御部GであるCPUには、グリップモータGM1、グリッパモータGM2及びステープルモータSMが接続されている。また、CPUはレバー検出センサGS1の検知信号を受け取るように、レバー検出センサGS1と接続されている。また、CPUは内部にROMを有している。ROMには後述する図12乃至図20に示す制御手順に対応するプログラム等が格納されている。CPUはこのプログラムを読み出しながら各モータの制御を行う。また、CPUはシリアルインターフェイス部(I/O)を備えており、画像形成装置本体Bとの制御データの授受を行う。さらに、シリアルインターフェイス部(I/O)を介して画像形成装置本体B(の制御部)から送られてくる制御データをもとに各部の制御を行うようにしている。本実施の形態においては、CPUはシート処理装置Cに設けているが、該CPUを画像形成装置本体Bに設けるようにしてもよい。
次に、シート処理装置Cのステープル動作について説明する。なお、このステープル動作は、図1に示すシート処理装置C、又は画像形成装置本体Bに設けられた制御部Gにより制御される。図12は、シート処理装置Cのステープル動作の主な流れを示すメイン動作フローチャートであり、この動作フローチャートに基づきステープル動作について説明する。
シート処理装置Cは、画像形成装置本体Bからシートサイズや綴じモードなどの情報を受信すると、先ずステープル動作を実行するための初期動作を実行する(ST1)。なお、この初期動作では、滞留シートの有無、ステープラユニット41やグリッパユニット40の位置、シフトローラ30とストッパ部材31の状態等を検出し、残留シートがあれば画像形成装置本体Bにエラー情報を送信する。また、ステープラユニット41、グリッパユニット40、シフトローラ30、ストッパ部材31等がホームポジションや初期位置になければ、ホームポジションや初期位置に移動するように制御する。
また、この初期動作では、綴じモードに応じてステープラユニット41を所定の綴じ位置に予め移動するステープル前処理を実行する。次に、このステープル前処理について、図13の動作フローチャートに基づいて説明する。ステープル前処理を行う場合は、まず、画像形成装置本体Bからの綴じモード情報により綴じモードが端綴じモードであるかを判断する(ST20)。そして、端綴じモードである場合は(ST20のY)、次に端綴じモードが第1の端綴じモード、すなわちシート処理装置Cの奥側に位置するシートの角部を綴じる端綴じモードであるかを判断する(ST21)。ここで、綴じモードが第1の端綴じモードの場合は(ST21のY)、ステープルモータSMを逆回転駆動させる(ST22)。
これにより、ホームポジションSHPにあるステープラユニット41は、図3の点線で示す矢印b方向(装置奥側方向)に移動する。そして、ステープラユニット41が約45°傾いた第1のステープル位置に到着すると(ST23のY)、ステープルモータSMを停止する(ST24)。これにより、ステープラユニット41はシートが処理トレイ14上に搬出される前に第1のステープル位置に移動し、位置決めされる。
綴じモードが第2の端綴じモード、すなわちシート処理装置の手前側に位置するシートの角部を綴じるモードの場合は(ST21のN)、グリッパモータGM2を逆回転駆動させ(ST25)、グリッパユニット40を図3の点線で示す矢印d方向に移動させる。そして、グリッパユニット40がレール連結位置(排紙位置、退避領域)P3に到着したならば(ST26のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST27)。これにより、第1のガイドレール43aが第2、第3のガイドレール43b、43cと連続したガイドレール部Rを形成し、ステープラユニット41が幅方向に移動可能となる。
そして、グリッパユニット40がレール連結位置(退避領域)P3に到着した後、ステープルモータSMを正回転駆動し(ST28)、ステープラユニット41をホームポジションSHPから図3の実線で示す矢印a方向(装置手前方向)に移動させる。この際、基台42の幅方向中央部のグリッパユニット40は、上記のようにステープラユニット41の移動に先立って、図9に二点鎖線で示す退避領域に移動しているため、ステープラユニット41は移動を妨げられることなく円滑に移動できる。そして、ステープラユニット41が装置手前側の約45°傾いた第2のステープル位置に到着すると(ST29のY)、ステープルモータSMを停止する(ST30)。これにより、ステープラユニット41はシートが処理トレイ14上に搬出される前に第2のステープル位置に移動し、位置決めされる。さらに、このようにステープラユニット41をステープル位置に位置決めすると、グリッパモータGM2を正回転駆動させ(ST31)、グリッパユニット40をホームポジションに戻す。そして、グリッパユニット40がホームポジションに到着すると(ST32のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST33)。
このように、シートが処理トレイ14上に到着する前にステープラユニット41を綴じモードに応じたステープル位置に移動させることにより、シート束が処理位置に搬送された時点で直ちに綴じ処理を施すことができる。これにより、小型化された装置であってもステープル処理時間を短縮することが容易となる。
次に、このような初期動作が完了すると、図12に示すように搬送ローラ(対)21、排出ローラ(対)22を駆動し(ST2)、処理トレイ14上にシートを排出する。そして、この後、シート整合処理を実行する(ST3)。次に、このシート整合処理について、図14の動作フローチャートに基づいて説明する。シート整合処理を行う場合は、シートが処理トレイ14上に排出されると、シフトローラ30を下降させ(ST40)、シート上面に接触させる。次に、シフトローラ30を回転駆動し(ST41)、シートをストッパ部材31に向けて搬送し、この後、シフトローラ30を所定のストッパ突き当て量だけ駆動する。そして、シフトローラ30をストッパ突き当て量だけ駆動すると(ST42のY)、シートが整合位置に移動しているストッパ部材31に突き当たり、シートがストッパ部材31に突き当たると、シフトローラ30の回転を停止する(ST43)。これにより、シートの後端位置が整合される。なお、ストッパ突き当て量は排出されたシートの後端をストッパ部材31に突き当てるために予め設定されたシフトローラ30によるシート搬送量に相当する。実際には、シフトローラ30を回転させる不図示の給送モータの駆動パルスをカウントして駆動量を計測している。
次に、シート後端がストッパ部材31に突き当たって停止すると、シフトローラ30は綴じモードに応じてスライド方向を選択して移動する。つまり、綴じモードが第2の端綴じモードである場合は(ST44のY)、シフトローラ30をシート処理装置の手前側に向かってスライド移動させる(ST45)。このとき、シフトローラ30の外周面は高摩擦部材で構成されているのでシフトローラ30が接触したシートもシフトローラ30の移動に伴って装置手前側の第2の突当板(整合部材)32bに向かってスライド搬送される。次に、シフトローラ30を、シートの端部が第2の突当板32bに突き当たる突き当て量だけ移動させると(ST46のY)、シフトローラ30のスライド動作を停止させる(ST47)。この後、シフトローラ30を上昇させ(ST48)、シフトローラ30をホームポジションに向けて装置の奥側方向にスライド移動する(ST49)。そして、シートの幅方向中央のホームポジションにシフトローラ30が到着すると(ST55のY)、シフトローラ30のスライドを停止する(ST56)。
一方、第2の端綴じモード以外、すなわち綴じモードが第1の端綴じモード或いは2箇所綴じモードである場合は(ST44のN)、シフトローラ30を装置の奥側に向けてスライド移動させる(ST50)。次に、シフトローラ30を、シートの端部が第1の突当板(整合部材)32aに突き当たる突き当て量だけ移動させると(ST51のY)、シフトローラ30のスライドを停止させる(ST52)。この後、シフトローラ30を上昇させ(ST53)、シフトローラ30をホームポジションに向けて装置の手前側にスライド移動する(ST54)。そして、ホームポジション位置にシフトローラ30が到着すると(ST55のY)、シフトローラ30のスライドを停止する(ST56)。
次に、このようなシート整合処理が完了すると、画像形成装置本体Bからのシート情報により、図12に示すように整合されたシートがシート束の最終シートか否かを判断する(ST4)。そして、最終シートでなければ(ST4のN)、後続シートが処理トレイ上に排出されるまで待機し、以降シート束の最終シートを整合するまで、シート整合処理を1枚毎に繰り返す。
全てのシートの整合処理が完了すると、すなわち整合されたシートがシート束の最終シートの場合は(ST4のY)、グリッパユニット40によってシート束をステープル処理位置まで搬送する(移動させる)グリップ搬送処理を実行する(ST5)。次に、このグリップ搬送処理について、図15の動作フローチャートに基づいて説明する。グリップ搬送処理を行う場合は、まずグリップモータGM1を正転駆動する(ST60)。次に、レバー検出センサGS1がOFF、すなわちレバー検出センサGS1が検出フラグ142bの通過を検出すると(ST61のY)、所定量駆動させた時点でグリップモータGM1を停止する(ST62)。これにより、既述した図6の(b)に示すように可動グリップアーム44bが固定グリップアーム44aから離れ、グリップアーム対44は開状態となる。
その状態で、グリッパモータGM2を逆転駆動し(ST63)、グリッパユニット40がシート整合処理で整合されたシート束をグリップするシートグリップ位置に向かわせる。そして、グリッパユニット40がシートグリップ位置に到着すると(ST64のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST65)。次に、グリップモータGM1を逆転駆動し(ST66)、レバー検出センサGS1がON、すなわちレバー検出センサGS1が検出フラグ142bを検出すると(ST67のY)、駆動レバー142を所定量回転させる。そして、駆動レバー142を所定量回転させると(ST68のY)、その時点でグリップモータGM1を停止する(ST69)。これにより、コイルバネ144の作用により可動グリップアーム44bが固定グリップアーム44a側に付勢され、図6の(a)に示すようにグリッパユニット40がシート束をグリップする状態となり、シート束がグリップされる。
次に、ストッパ部材31を退避位置に移動する(ST70)。これにより、シート束をグリップした状態でグリッパユニット40は、ステープル処理位置GHP方向に移動が可能となる。次に、グリッパモータGM2を正転駆動し(ST71)、グリッパユニット40を、シート束をグリップした状態で図3の実線で示される矢印c方向に移動させる。そして、この後、シート束をグリップしたグリッパユニット40がステープル処理位置GHPに到着すると(ST72のY)、グリッパモータGM2を停止し(ST73)、グリッパユニット40をステープル処理位置GHPに位置決めする。
次に、グリップモータGM1を正転駆動する(ST74)。そして、レバー検出センサGS1がOFFとなると(ST75のY)、グリップモータGM1を所定量駆動して停止する(ST76)。これにより、駆動レバー142が可動グリップアーム44bの当接部44eから離れる位置に回転してグリップアーム対44が開状態となり、シート束のグリップが解除される。
次に、このようなグリップ搬送処理が完了すると、図12に示すように、シート束の所定の位置にステープル処理を施すためのステープル処理を実行する(ST6)。次に、このステープル処理について、図16の動作フローチャートに基づいて説明する。ステープル処理を行う場合は、まず、綴じモードが端綴じモードか否かを判断する(ST80)。このとき、端綴じモードであれば(ST80のY)、ステップ1(ST1)のステープル前処理(初期動作)において、ステープラユニット41は既に第1のステープル位置、または第2のステープル位置のいずれかに綴じモードに応じて移動している。したがって、その状態でステープラユニット41を作動させ(ST81)、シート束にステープルを施す。
一方、綴じモードが、端綴じモードでなく2箇所綴じモードの場合(ST80のN)、先ずグリッパユニット40とステープラユニット41とを連結するユニット連結処理を実行する(ST83)。これにより、ステープラユニット41の移動に連動してグリッパユニット40も幅方向に移動することが可能となる。この後、2箇所綴じ処理を行うためにステープルモータSMが正転駆動し(ST84)、ステープラユニット41が1箇所目のステープル位置に到着すると(ST85のY)、ステープルモータSMを停止し(ST86)、ステープル動作を行う。
1箇所目のステープル動作が実行されると、再度ステープルモータSMを正転駆動し(ST87)、ステープラユニット41を2箇所目のステープル位置に移動させる。そして、ステープラユニット41が2箇所目のステープル位置に到着すると(ST88のY)、ステープルモータSMを停止し(ST89)、この後、ステープラユニット41を作動させ(ST90)、2箇所目のステープル動作を行う。ステープラユニット41によってシート束の2箇所にステープル処理が完了すると、グリッパユニット40とステープラユニット41の連結を解除するユニット連結解除処理が実行される(ST91)。なお、上記の1箇所目のステープル位置と2箇所目のステープル位置は、シートサイズに対応して予め設定された位置であり、画像形成装置本体Bからのシートサイズ情報に応じて予め記憶された値を設定し、この値に基づきステープラユニット41が制御される。
ここで、このユニット連結処理及びユニット連結解除処理について、図17、図18の動作フローチャートに基づいて説明する。ユニット連結処理を行う場合は、図17の動作フローチャートに示すように、まずグリッパモータGM2を正転駆動し(ST100)、ステープル処理位置GHPにあるグリッパユニット40をユニット連結位置P2に向けて移動させる。そして、グリッパユニット40がユニット連結位置P2に移動すると(ST101のY)、図10の(b)及び図11の(b)に示すように連結部材91の突起133が、係合部材129の下面側に形成された不図示の溝部に進入する。これにより、ステープラユニット41とグリッパユニット40は幅方向に対して連結し、一体で幅方向に移動可能となる。また、グリッパユニット40の揺動レバー162の先端がステープラユニット41側の係合部材129に当接し、図11の(b)に示すようにグリッパユニット40と第4のガイドレール43dが切り離され、グリッパユニット40が幅方向に自由に移動可能となる。
次に、このようにステープラユニット41とグリッパユニット40を幅方向に対して連結した後、グリッパモータGM2を停止し(ST102)、グリッパユニット40をユニット連結位置P2で停止させる。この後、グリップモータGM1を逆転駆動し(ST103)、作動部材131と検出フラグ142bを軸142aを支点に回転させる。そして、検出フラグ142bが通過してレバー検出センサGS1がOFFとなると(ST104のY)、グリップモータGM1を停止する(ST105)。このとき、作動部材131が作動ピン132bを移動させ、図10の(b)に示すように連結アーム部材132の係合ピン132aが係合部材129の溝部129aに係合する。これにより、両ユニットがシート排出方向に対して連結し、一体でシート排出方向に沿って移動可能となる。
次に、ユニット連結解除処理について説明する。ユニット連結解除処理を行う場合は、図18の動作フローチャートに示すように、ステープラユニット41によってシート束に対して2箇所目のステープル処理がなされると、ステープルモータSMを逆転駆動する(ST110)。これにより、ステープラユニット41をホームポジションSHPに向かわせ、ステープラユニット41がホームポジションSHPに到着すると(ST111のY)、ステープルモータSMを停止する(ST112)。これにより、ステープラユニット41に連結されたグリッパユニット40も移動し、グリッパユニット40は第4のガイドレール43dに連結可能な位置に位置決めされる。
次に、グリップモータGM1を正転駆動し(ST113)、検出フラグ142bがレバー検出センサGS1を通過してレバー検出センサGS1がONとなると(ST114のY)、この時点からグリップモータGM1を所定量駆動する。そして、グリップモータGM1を所定量駆動すると(ST115のY)、グリップモータGM1を停止する(ST116)。これにより、作動部材131が作動ピン132bを先の連結動作時と逆方向に移動し、図10の(a)に示すように連結アーム部材132の係合ピン132aは係合部材129の溝部129aから退避する。これにより、グリッパユニット40とステープラユニット41の連結が解除される。
この後、グリッパモータGM2を逆転駆動し(ST117)、グリッパユニット40をステープル処理位置に向かわせる。そして、グリッパユニット40が再びステープル処理位置に戻ると(ST118のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST119)。なお、グリッパモータGM2の逆転駆動を開始する時点において、グリッパモータGM2とグリッパユニット40は確実な連結状態にはない。しかし、第4のガイドレール43dの溝部にグリッパユニット40の摺動ピン145が係合しているため、第4のガイドレール43dの移動に伴ってグリッパユニット40は移動する。そして、この移動の過程において、グリッパユニット40の揺動レバー162先端がステープラユニット41側の係合部材129から離間し、図11の(a)に示すようにグリッパユニット40と第4のガイドレール43dは確実に連結される。
次に、このようなステープル処理が完了すると、図12に示すように、シート束をスタックトレイ51に排紙するグリップ排紙処理を実行する(ST7)。次に、このグリップ排紙処理について、図19の動作フローチャートに基づいて説明する。グリップ排紙処理を行う場合は、先ずステープル処理位置にあるグリッパユニット40のグリップモータGM1を逆転駆動する(ST120)。そして、レバー検出センサがONすると(ST121のY)、グリップモータGM1を停止する(ST122)。これにより、シート束はグリップアーム対44でグリップされる。
次に、グリップアーム対44がシート束をグリップすると、グリッパモータGM2を逆転駆動する(ST123)。これにより、グリッパユニット40は収納部10に向かって移動する。そして、グリッパユニット40が図3に示す排紙位置P3に到着すると(ST124のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST125)。次に、グリッパユニット40が排紙位置に到着した状態でグリップモータGM1を逆転駆動する(ST126)。これにより、第1のグリッパユニット40aがスタックトレイ50側に移動する。そして、この後、グリップモータGM1を所定量逆転駆動すると(ST127のY)、グリップモータGM1を停止する(ST128)。
なお、本実施の形態において、処理トレイ14にはシート排出方向に延びた不図示の切欠部が設けられている。そして、この切欠部により、図21の(a)に示すように、グリップアーム対44のグリップ部44c,44dは処理トレイ14上からスタックトレイ50上で、かつ処理トレイ14の載置端面よりも下方に移動する。これにより、シート束SAがスタックトレイ50上に移動する。
次に、第1のグリッパユニット40aがシート束SAをスタックトレイ上に搬送すると、グリッパモータGM2を正転駆動し(ST129)、第1のグリッパユニット40aをスタックトレイ側と異なる方向、すなわちホームポジションに向かって移動させる。そして、このように第1のグリッパユニット40aを移動させると、グリップアーム対44の突部44fが処理トレイ14の切欠部から折れ曲がった折曲部14bに設けられたガイド片14c突き当たる。これにより、図21の(b)に示すように可動グリップアーム44bが固定グリップアーム44aから離れる方向に移動し、シート束SAのグリップを解除し、この結果、シート束はスタックトレイ50上に収納される。
この後、グリッパユニット40がホームポジションに到着すると(ST130のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST131)。次に、グリップモータGM1を正転駆動し(ST132)、第1のグリッパユニット40aを所定の位置に戻すようにグリップモータGM1を所定量駆動させる。これにより、第1のグリッパユニット40aのグリップアーム対44は、処理トレイ14の載置面よりも上方に移動する。そして、グリップモータGM1を所定量駆動すると(ST133のY)、グリップモータGM1を停止させる(ST134)。
次に、このようなシート束のグリップ排紙処理が完了すると、図12に示すように、画像形成装置本体Bから受信した設定部数であるかを判断する(ST8)。そして、設定部数でなければ(ST8のN)、図12のST3からST8を繰り返し実行する。一方、設定部数であれば(ST8のY)、シート処理装置Cを停止するための最終処理を実行する(ST9)。次に、この最終処理について、図20の動作フローチャートに基づいて説明する。
ここで、この最終処理では、搬送ローラ21、排出ローラ22、ストッパ部材31等を初期状態に戻す動作を実行する。なお、綴じモードが端綴じモードである場合にはステープル位置からホームポジションにステープラユニット41を移動させる処理が実行される。
この処理は、端綴じモードである場合は(ST150のY)、次に端綴じモードが第1の端綴じモードであるかを判断する(ST151)。そして、綴じモードが第1の端綴じモードの場合は(ST151のY)、ステープルモータSMを正転駆動させる(ST152)。これにより、ステープラユニット41は、ホームポジションに向かって移動し、ホームポジション到着すると(ST153のY)、ステープルモータSMを停止する(ST154)。
一方、綴じモードが第2の端綴じモードの場合は(ST151のN)、グリッパモータGM2を逆回転駆動させる(ST155)。これにより、グリッパユニット40は排紙位置(退避領域)P2に向かい、グリッパユニット40が排紙位置に到着したならば(ST156のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST157)。これにより、第1のガイドレール43aが第2、第3のガイドレール43b、43cと連続したガイドレール部Rを形成する。次に、ステープルモータSMを逆回転駆動させ(ST158)、ステープラユニット41をホームポジションに向かわせる。そして、ステープラユニット41がホームポジションに到着すると(ST159のY)、ステープルモータSMを停止する(ST160)。この後、グリッパモータGM2を正転駆動させ(ST161)、グリッパユニット40をホームポジションに向かわせ、グリッパユニット40がホームポジションに到着すると(ST162のY)、グリッパモータGM2を停止する(ST163)。そして、このような最終処理が終了すると、シート処理装置Cのステープル動作が終了する。
ここで、本実施の形態において、既述したグリッパユニット40がステープル処理位置(ホームポジション)、グリップ位置、排紙位置、連結位置の各停止位置に到着したか否かの検出は、各停止位置に設けた検出センサにより行うようにしている。また、勿論、各停止位置までの距離間に相当するグリッパモータGM2の駆動パルス数を記憶し、グリッパモータGM2の駆動パルス数をカウントすることで各停止位置に到着したことを検出するようにしてもよい。
さらに、第1、第2の端綴じモードにおける第1、第2のステープル位置へのステープラユニット41の移動及びステープラユニット41のホームポジションへの移動についても各位置に配置した検出センサにより行っている。また、2箇所綴じモードにおける1箇所目のステープル位置、2箇所目のステープル位置への移動制御は、シートサイズに応じてステープラユニット41の移動量を算出し、この算出結果に基づき設定される駆動パスル数をカウントする。そして、このカウントされた駆動パスル数によって1箇所目、2箇所目のステープル位置でステープラユニット41を停止させるようにすればよい。
以上説明したように、本実施形態では、制御部Gの制御に基づく前述の第1、第2の移動機構の作動で、ステープラユニット41を第1及び第2の綴じ位置のいずれかに移動させる。その際、これに先立ちグリッパユニット40を長溝42aに沿って退避領域に移動させ、ステープラユニット41を、長溝42a上(ガイド溝上)を通過させつつガイドレール部Rを介して移動させることができる。
このため、グリッパユニット40の移動に際しては、第1のガイドレール43aがグリッパユニット40と共に移動するためグリッパユニット自体の移動が妨げられることがない。また、ステープラユニット41の移動に際しては、長溝42aがステープラユニット41の移動を妨げることがない。これにより、グリッパユニット40及びステープラユニット41の双方が、互いの長溝42a、ガイドレール部Rによって移動を妨げられることのない状態で、双方の移動動作が円滑に行われる。このため、小型化された装置であっても綴じ処理に要する時間を短縮することができ、グリッパユニット40の退避領域を設けながらも装置の大型化を招来することがない。さらに、交差するステープラユニット41用及びグリッパユニット40用の移動ルートを設けながらも構造を簡素にでき、互いの速やかな移動を妨げることがない構成を実現することができる。