以下、本発明の実施形態のシート処理装置と画像形成装置とを説明する。
なお、シートの幅方向とは、シート搬送方向に対して交差し、かつシートの表面に沿った方向である。
また、図1の複写機401において、全体的に見ると、シートは、右側から左側に移動するようになっている。このため、右側が上流側、左側が下流側になる。しかし、フィニッシャ11において、シートは、端部綴じステープラ22から折り曲げ装置31を経て束積載トレイ35まで、左側から右側に移動してさらに下方に移動するようになっている。このため、この部分においては、居部的に左側が上流側、右側及び下側が下流側になる。
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置である例えば複写機のシート搬送方向に沿った断面図である。画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機器等がある。本発明は、複写機に限定されるものではない。
複写機401は、装置本体402の上部に画像読取装置403を備え、さらにその上に原稿自動供給装置404を開閉自在に備えている。また、装置本体402には、シート処理装置である例えばフィニッシャ11が接続されている。なお、複写機401は、画像読取装置403と、原稿自動供給装置404とを必ずしも備えている必要がない。複写機401は、外部から送信されてくる画像情報に基づいて、シートに画像を形成してもよい。
画像読取装置403は、原稿自動供給装置404から送り込まれた原稿を読み取り、画像情報を不図示のコントローラに送る。コントローラは、帯電器418によって帯電された感光ドラム405上に、不図示のレーザビームスキャナによって静電潜像を形成する。静電潜像は、現像器406によってトナー現像されて、トナー画像になる。感光ドラム405、現像器406等は、画像形成部419を構成している。
シート供給ローラ407は、カセット408に収納されているシートPをカセット408から送り出す。搬送ローラ対409は、シートをレジストローラ対410に送り込む。レジストローラ対410は、回転を停止している状態で受け止めて、シートに撓みを形成させ、シートの斜行を真っ直ぐに矯正する。
レジストローラ対410は、斜行取りしたシートの先端を感光体ドラム405上のトナー画像に合わせて、シートを感光体ドラム405と転写器411との間に送り込む。転写器411は、トナー画像をシートに転写する。その後、搬送ベルト412は、シートを定着器413に送り込む。定着器413は、シートを加熱加圧して、シートにトナー画像を定着する。感光体ドラム405に残ったトナーは、クリーナ414によって除去される。その後、フラッパ415と反転搬送路416とによって、シートは、裏返しにさせられ、画像形成面を下側にして、排出ローラ対417によってフィニッシャ11に送り込まれる。
装置本体402、画像読取装置403、原稿自動供給装置404は、装置本体制御部490によって制御されるようになっている。
(フィニッシャ)
フィニッシャ11を概略説明する。
フィニッシャ11は、装置本体402から排出されたシートを束状にして中間を綴じる第1処理手段である例えば中綴じステープラ61と、端部を綴じる第2処理手段である例えば端部綴じステープラ22とを備えている。フィニッシャ11は、さらに、シート束を折り曲げる折り曲げ装置31等も備えている。なお、中綴じステープラ61と、端部綴じステープラ22との代わりに種類の異なる穿孔装置を設けてもよい。
搬送ガイド対12は、複写機401の装置本体402の排出ローラ対417から排出されたシートを受け取り、フィニッシャ11内に案内するガイド板である。シート検知センサ13は、フィニッシャ11に進入してきたシートを検知するセンサである。
入口モータ71によって回転する入口搬送ローラ対14は、搬送ガイド対12で案内されるシートを搬送するようになっている。中間搬送ローラ対15は、入口搬送ローラ対14で搬送されたシートを受け取って、搬送するようになっている。整合制御センサ16は、通過するシートを検知して、後述するピックアップソレノイド103を作動させるようになっている。また、整合制御センサ16は、後述するサイド整合板66の動作タイミングを図るセンサでもある。排出搬送ローラ対17は、中間搬送ローラ対15から搬送されてきたシートを受け取って、さらに搬送するようになっている。
オフセットローラ18は、排出搬送ローラ対17で処理トレイ19上にシートが排出された後、破線で示すようにシート上に下降し、所定圧でシートを処理トレイ19に押圧するようになっている。また、オフセットローラ18は、シートの後端が排出搬送ローラ対17を抜けた後、逆転して、シートをホームポジションにいる、グリッパユニット21の把持手段であり、整合手段である例えばグリッパ505の基準壁505eへ搬送するようになっている。シート検知センサ20は、処理トレイ19上のシートの有無を検知するセンサである。
グリッパユニット21のグリッパ505は、符号505aで示すホームポジション、符号505bで示すシート束排出位置、符号505cで示す移動位置、及び符号505dで示す退避位置に移動するようになっている。
端部綴じステープラ22は、サイド整合板66で整合されたシート束の端部を綴じる(ステープルする)ようになっている。後端ストッパ23は、グリッパユニット21とともにグリッパ505がシート束排出位置505bに移動してクランプを解除し、そして、右に動いたとき、処理トレイ19上に突出してシート束が右に移動するのを防止するようになっている。
シート束搬送ローラ対24は、グリッパユニット21によって搬送されてきたシート束を、後述する折り曲げ装置31に搬送するようになっている。湾曲した折り搬送ガイド対25は、シート束を案内するようになっている。折り制御センサ26は、折り搬送ガイド対25を通過するシート束を検知するセンサであり、このセンサがシート束を検知すると、折り曲げ装置31が作動できる状態になる。ガイド対27は、折り搬送ガイド対25の延長上に配設されて、シート束を案内するようになっている。
突き部材30は、シート束を弱圧折りローラ対37のニップにシート束を突いて押し込むようになっている。弱圧折りローラ対37は、上折りローラ28と下折りローラ29とで構成され、突き部材30によって突かれたシート束をニップで受け入れて、挟持し回転しながら折り曲げるようになっている。
弱圧折りローラ対37の下流側には、弱圧折りローラ対37で折り曲げられたシート束を検知する折りセンサ32が設けられている。折りセンサ32がシート束を検知すると、折りセンサ32の下流側に配設された強圧折りローラ対33が始動するようになっている。強圧折りローラ対33は、弱圧折りローラ対37によって折り曲げられたシート束を挟持し回転して束積載トレイ35に排出するようになっている。
束積載トレイ35に排出されて積載されたシート束は、束押さえ34によって束積載トレイ35上に押さえ付けられ、かつ束ストッパ36に受け止められる。
昇降トレイ41は、処理トレイ19から排出されたシート束が積載されるようになっている。また、昇降トレイ41は、昇降するようになっている。昇降トレイ41には、昇降トレイ41にシートが積載されていることを検知するシート有無検知センサ42が設けられている。
後端ガイド43は、昇降トレイ41上のシートの後端を受け止める垂直面である。シート面検知センサ44は、シートやシート束が積載されていない昇降トレイ41の上面、又は昇降トレイ41に積載されているシート若しくはシート束の上面を検知するようになっている。このシート面検知センサ44によって、シートの積載面を略一定の高さに保つことができる。中綴じステープラ61は、針を打ち出す針打ち部63と、針打ち部63から打ち出された針を受け止めて折り曲げるクリンチャ62とで構成されている。
紙押さえ65は、昇降トレイ41に積載されたるシートをクランプする部材である。サイド整合板66は、処理トレイ19に積載されたシートの側端を整合する部材である。
以下、フィニッシャの各部を詳細に説明する。
(シート中間排出部)
オフセットローラを図1乃至図3に基づいて説明する。
オフセットローラ18とその周辺を説明する。図2は、図1におけるオフセットローラ18とその周辺の拡大図である。図3は、オフセットローラ18とその周辺の斜視図である。
円筒状のオフセットローラ18は、外周部にゴムもしくは発泡体等、ゴムに近い弾性を備えた弾性体が使用されている。オフセットローラ18は、図2、図3に示すオフセット軸101を中心にして上下方向へ回転するオフセットローラホルダー102の回転端部に回転自在に設けられている。
オフセットローラ18は、図1に示す排出搬送ローラ対17によって処理トレイ19に排出されるシートに干渉しない図1の実線の位置に待避するようになっている。オフセットローラ18は、ピックアップソレノイド103の作動によって、ソレノイドアーム104、レバーホルダー105、離間レバー106、オフセットローラホルダー102が各々作動して上昇する。これにより、シートはオフセットローラ18に邪魔されることなく、処理トレイ19上に排出される。
また、オフセットローラ18は、搬送モータ72(図1参照)の回転により、タイミングベルトを介して正逆回転するようになっている。
オフセットローラ18の動作を説明する。
図1において、搬送されてきたシートを整合制御センサ16が検知すると、ピックアップソレノイド103がオフされる。これにより、オフセットローラ18は、シート搬送方向に回転しながら自重で下降して処理トレイ19上に積載されたシート上に着地(当接)し、所定時間シートを図1の左方向に搬送した後、さらに所定時間が経過すると逆転して、右方向に搬送する。シートは、処理トレイ19の図1の右側に待機しているグリッパ505の基準壁505eに突き当たり、図1において右端が整合される。
また、オフセットローラ18は、図3において、オフセットモータ107の駆動によりオフセットモータギア108、オフセットピニオン109、オフセットラック110を介してシートの幅方向(矢印D方向)に移動して、サイド整合板66に接近する。
オフセットローラ18がサイド整合板66に接近移動するとき、グリッパ505の基準壁505eに突き当てられて搬送方向の整合がされていたシートは、オフセットローラ18の摩擦力によってサイド整合板66の方に移動させられる。そして、シートの側端がサイド整合板66に当接して、シートの幅整合がされる。シートSがサイド整合板66に突き当った後、オフセットローラ18は、シート上をある程度移動して停止する。
このようにして、シートの図1における右端部と、側端部とが整合された後、端部綴じステープラ22によってシート束の右端部が綴じられる。その後、シート束は、グリッパユニット21によって図1の左に移動させられる。そして、後端ストッパ23がストッパモータ848によって処理トレイ19上に突出する。グリッパユニット21は、グリッパ505を開き、シート束を開放して図1の右に移動する。このとき、シート束が開いたグリッパに載ったまま、グリッパによって右に移動させられることがある。しかし、処理トレイ19上に突出した後端ストッパ23が、右に移動しようとするシート束を受け止めて、シート束の右移動を阻止する。この結果、シート束は、昇降トレイ41に排出される。昇降トレイ41に排出されたシート束は、シートクランプ部材65によって、昇降トレイ41に押し付けられる。シートクランプ部材65は、後続のシート束が排出されるとき、先行のシート束が後続のシート束に押し出されないようにするためにも、シート束を押さえている。
(グリッパユニット)
グリッパユニット21を図4乃至図11に基づいて説明する。
図4はグリッパユニットの図である。(a)は、平面図である。(b)は、(a)の図を矢印B方向から見た図である。図5は、図4(a)の図を矢印A方向から見た図である。図6は、グリッパアームを増速する機構の平面図である。図7は、グリッパを開閉する機構と、グリッパを上下動させる機構との平面図である。図8は、図4(a)の矢印C方向から見た図である。図9は、グリッパの開閉動作説明用の図である。図10は、グリッパを昇降させる機構の正面図である。図11は、グリッパを開閉する機構とグリッパを昇降させる機構との兼用部分の図である。
外、内グリッパベースを説明する。
図4、図5において、外グリッパベース501は、グリッパユニット21全体を支えているベース板であり、シート搬送方向から見るとU字状に形成されている。内グリッパベース503は、支点502によって、外グリッパベース501の内側に回動自在に設けられている。内グリッパベース503上には、シート搬送方向に移動自在な後述するグリッパアーム504が設けられている。グリッパアーム504上には、シート搬送方向に移動自在なグリッパリンク581が設けられている。グリッパアーム504には、グリッパ505が設けられている。
グリッパユニットを移動させる機構を説明する。
図4、図5、図8において、外グリッパベース501に回転自在に支持された駆動軸531は、その両端に駆動ギア532を有している。外グリッパベース501の外側には、外方に向けてスライド軸533が突設されている。スライド軸533の端部533aと、駆動軸531の端部531aは、フィニッシャ11のフレームに形成された長孔534に支持されている。駆動ギア532には、長孔534の傍に固定されたラック535(図8参照)に噛合している。
図4、図8において、グリッパユニット駆動モータ555は、回転軸上にモータギア556を有している。グリッパユニット駆動モータ555の回転は、モータギア556,アイドラギア557,558を介して駆動ギア532に伝達されるようになっている。一方の駆動ギア532に伝達された駆動力は、駆動軸531を介して他方の駆動ギア523にも伝達される。この結果、駆動軸531に両端に設けてある駆動ギア523が各々ラック535上を噛合回転して、グリッパユニット21全体をシート搬送方向に移動させることになる。
グリッパアームを説明する。
図4乃至図6において、グリッパアーム504は、後述するグリッパ505を有している。グリッパアーム504は、シート搬送方向に沿って内グリッパベース503上に切起こして形成された1対の案内部503aに案内されてシート搬送方向に移動できるように内グリッパベース503に設けられている。グリッパアーム504は、グリッパアーム504と内グリッパベース503とに設けた引張ばね507によって図1、図4、図6において、常時、右方向に牽引されている。
図6に示す、グリッパアーム504には、ラック504aが形成されて、ギア571が噛合している。ギア571には、2段ギア572が噛合し、2段ギア572には大径ギア573が噛合している。ギア571、2段ギア572、及び大径ギア573は、内グリッパベース503と一体の不図示の支持板に回転自在に設けられている。大径ギア573の軸573aにはアーム574が固着されている。アーム574の回転端部には円弧状の突き当て部574aが形成されている。突き当て部574aは、フィニッシャ11のフレームに突設された突き当て板575に突き当たるようになっている。
グリッパユニット21が図1において左に移動するときの動作を説明する。
図4は、グリッパユニット21がホームポジションにいるときの平面図であり、この位置は、図1の符号505aで示す位置に相当する位置である。図6は、グリッパユニット21がシート束排出位置にいるときの平面図であり、この位置は、図1の符号505bで示す位置に相当する位置である。
図4に示すグリッパユニット駆動モータ555が回転すると、図8に示すモータギア556、アイドラギア557,558の歯車列によって駆動ギア532が回転する。駆動ギア532は、ラック535上を回転していく。外グリッパベース501は、駆動ギア532と一体の駆動軸531の端部531aと、フレームの長孔534とを案内にして、図1、図4、図6において、左側に移動を開始する。なお、グリッパユニット駆動モータ555が逆回転している場合、外グリッパベース501は、右側に移動を開始する。
外グリッパベース501が左側に移動を開始すると、外グリッパベース501上の内グリッパベース503、グリッパアーム504も左側へ移動を開始する。すなわち、グリッパユニット21全体が左側へ移動を開始する。
グリッパユニット21が符号505aで示すホームポジションから、符号505bで示すシート束排出位置に移動する間に、図6に示す、固定の突き当て板575aに破線の位置にいるアーム574が当接する。
なお、図6は、グリッパユニット21を固定的に図示して、突き当て板575a,575が移動するようにしてあるが、これは、図面を明瞭にするためであって、グリッパユニットが移動し、突き当て板が固定であることにかわりがない。
グリッパユニット21の移動にともなって、アーム574と突き当て板575との位置関係は、実線の位置に変わる。すなわち、グリッパユニット21の移動にともなって、アーム574が固定の突き当て板に当接して破線の位置から実線の位置に回転する。アーム574の回転にともなって、大径ギア573、2段ギア572、ギア571が回転し、ラック504aが形成されたグリッパアーム504が、内グリッパベース503上を引張ばね507に抗して左に移動する。
したがって、グリッパユニット21は、左に移動するのにともなって、大径ギア573、2段ギア572、ギア571によってグリッパ505が左方向へ延びて移動することなる。また、このとき、グリッパ505は、グリッパユニット21上を移動するので、グリッパユニット21自体より速く移動することになる。
なお、突き当て板575、アーム574、大径ギア573、2段ギア572、ギア571、ラック504a等は、伸縮増速機構576を構成している。
その後、グリッパユニット駆動モータ555の逆回転によって、グリッパユニット21が図中右方向に移動すると、アーム574が実線の位置から破線の位置に回転するが、グリッパアーム504は、引張ばね507に牽引されて、図4に示すホームポジションに戻る。
グリッパを図1、図4、図7、図9、図10に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、グリッパの数が2つであるが、2つに限定されるものではない。
グリッパアーム504は、内グリッパベース501上に移動自在に設けられている。グリッパアーム504の先端(図4、図9において左端)には、ピン581aが設けられている。ピン581aは、シートの幅方向を向いており、グリッパ505を上下方向に傾動自在にグリッパアーム504に支持している。グリッパ505は、連結ピン581aによってグリッパリンク581と連結している。
グリッパ505は、グリッパリンク581が後述する機構によってグリッパアーム504上をシート搬送方向に移動すると、連結ピン581aに牽引されて、あるいは押されて、支点ピン506を支点にして開閉するようになっている。
グリッパアーム504上を、グリッパリンク581を移動させてグリッパを開閉させる機構と動作を図7、図10、図11に基づいて説明する。
引張ばね582は、グリッパリンク581のばねかけ部581fと、グリッパアーム504とに渡して設けてある。グリッパリンク581は、引張ばね582によって、図7の左側に常時牽引されて、グリッパリンク581の突き当て部581eが上流リンク583に受け止められて、左側への移動が規制されている。
上流リンク583と下流リンク584は、内グリッパベース503に突設された軸585,586を中心に回動するようになっている。上流リンク583には、突き当て部583aが形成されている。突き当て部583aは、グリッパリンク581の後端(図7の右端)に形成された突き当て部581eを受け止めるようになっている。上流リンク583と下流リンク584とは、連結リンク587の両端に突設された軸588,589が係合する連結リンク587によって連結されている。連結リンク587の中間部分には、グリッパリンク581の移動方向に対して直交する長孔587aが形成されている。
長孔587aには、リンクギア590に突設してある凸部590aが係合している。グリッパ開閉昇降モータ591の回転軸591aには、ギア592が固着されている。ギア592にはギア593が噛合し、ギア593にはギア594が噛合している。ギア594は、ギア590とギア596のいずれか一方に噛合している。ギア590の回転軸590bとギア593の回転軸593aは、内グリッパベース503に固定された駆動板598(図11参照)に固着されている。ギア594の回転軸594aは回動板595に固着されている。回動板595はギア593の回転軸593aに回転自在に設けられている。回動板595とギア593との間には、圧縮ばね601と摩擦板602とが設けてある。ギア593が回転すると、圧縮ばね601と摩擦板602との作用によって、回動板595がギア593と同方向に追従回転する。ギア594がリンクギア590とギア596との一方に当接すると、摩擦板602と回動板595とがスリップして、ギア593は回転を継続するが、回動板595は回転を規制される。
図7は、グリッパ開閉昇降モータ591が反時計方向に回転したときの状態を示している。この状態では、上流リンク583の突き当て部583aが、グリッパリンク581の突き当て部581eに当接して、引張ばね582に抗して、グリッパリンク581を図7の右側の位置に保持している。したがって、グリッパ505は、図9に示す破線の位置に回転して開いている状態に保持されている。
図7に示す状態から、グリッパ開閉昇降モータ591が反時計方向にさらに回転すると、ギア592,593,594を介して、リンクギア590が時計方向に回転する。すると、リンクギア590凸部590aと長孔587aとの係合によって、連結リンク587が図7の右方向に移動する。これにともなって、連結リンク587に連結している上流リンク583と下流リック584とが実線の位置から破線の位置に傾く。すると、図7において引張ばね582に左方向に牽引されているグリッパリンク581が、上流リンク583の傾きに追従して、左方向に移動して、図9に示すように、連結ピン581aを介してグリッパ505を反時計方向に回転させる。この結果、グリッパ505は、破線の開いた位置から、実線の閉じた位置に、支点ピン506を中心にして回転して閉じられる。グリッパ開閉昇降モータ591は、凸部590aが180度回転移動した時点で停止する。これによって、グリッパ505は、閉じた位置に保持される。なお、シート束の厚みに応じて、グリッパ505の閉じる量を変えなければならない。このため、本実施形態のグリッパ505は、引張ばね582に牽引されたグリッパリンク581の移動によって開閉されるため、シート束の厚みが変わった場合、引張ばね582の伸び量が変わることによって、シート束の厚みの変化に対応できるようになっている。
図7、図10に基づいて、内グリッパベース503を外グリッパベース501に対して上下動させる上下動装置599と、その上下動装置の動作とを説明する。
ギア596は、内グリッパベース503に回転自在に設けられて下部にテーパ面596aが形成されている。ギア596には、ギア594が係脱するようになっている。ギア596のテーパ面596aに対向する外グリッパベース501には、テーパ面597aを形成されたテーパ部材597が固定されている。
図7において、グリッパ開閉昇降モータ591が時計方向に回転すると、ギア593が反時計方向に回転して回動板595がギア593の軸593aを中心にして図中反時計方向に回転する。そして、ギア594が噛合したギア596が回転する。すると、図10に示すように、ギア596のテーパ面596aがテーパ部材597のテーパ面597aをかけ上がり、内グリッパベース503が、外グリッパベース501に対する支点502を中心にして持ち上げられる。グリッパ開閉昇降モータ591は、内グリッパベース503が最も持ち上げられた位置で回転を停止する。この結果、グリッパ505が、図10において、破線の位置から実線の位置に上昇したことになる。
グリッパ505を下げるには、グリッパ開閉昇降モータ591を、さらに時計方向に回転させる。
この動作は、グリッパ505を図1において、移動位置505cと退避位置505dとに移動させるときに行われる。
上下動装置599は、グリッパ開閉昇降モータ591、ギア592,593、圧縮ばね601、摩擦板602、回動板595、ギア594,596、テーパ面596a,597a、テーパ部材597等で構成されている。
なお、内グリッパベース503は、外グリッパベース501の移動にともなって、フィニッシャのフレームに設けた固定の傾斜面を昇って、昇降するようになっていてもよい。
(端部綴じステープラ)
図12、図14、図26に示す、端部綴じステープラ22は、図1においてシート束の右端部を綴じるようになっている。端部綴じステープラ22は、針をシート束に通する針打ち部22aとシート束を貫通した針の先端を受け止めて折り曲げる針曲げ部22bとが連結されて形成されている。端部綴じステープラ22は、針打ち部22aと針曲げ部22bとでシート束を挟むことによって、シート束を針綴じすることができる。
端部綴じステープラ22は、端部綴じステープラ台702に設けてあるころ703に支持されてステープラ支持台701上を移動できるようになっている。端部綴じステープラ22は、図26に示すように、通常、シート搬送領域PAの外側に待機している。シート搬送領域PAは、シートが通過する領域である。端部綴じステープラ22は、ステープラ支持台701の案内手段である例えばレール701a及びこのレール701aに係合したスライダ704とを案内にしてシートの幅方向に往復移動できるようになっている。端部綴じステープラ22は、自ら移動できないようになっている。
なお、端部綴じステープラ22は、シート束の幅方向に沿った端部(図26において右端部)を綴じるようになっているが、退避側のシート束の角も綴じることができるようにしてもよい。この場合、端部綴じステープラ22は、シート束の表面に沿って首を振るようにして回転できるように、ステープラ台702上に設けられる。水平回転は、不図示のモータによって行う。
(中綴じステープラ)
図13乃至図15、図26に基づいて、中綴じステープラ61を説明する。
中綴じステープラ61は、針カートリッジを有する針打ち部63と、針を曲げる針曲げ部である例えばクリンチャ62とを有している。クリンチャ62は、図14、図26において、シートの幅方向に例えば2箇所に固定してある。針打ち部63は、クリンチャ62の下方に移動して上昇し、クリンチャ62と協働してシート束を針綴じするようになっている。なお、クリンチャ62は、シートの幅方向に位置を変更できるようになっていてもよい。
針打ち部63を支持している中綴じステープラ台711は、複数のころ703に支持されて、ステープラ支持台701上を移動するようになっている。中綴じステープラ61は、ステープラ支持台701のレール701aと、レール701aに係合したスライダ704とを案内にして、シートの幅方向に往復移動できるようになっている。
中綴じステープラ台711は、縦軸713,714と、この縦軸713,714を案内にして昇降する昇降台712と、中綴じステープラモータ715と、ギア717,718等を有している。昇降台712は、中綴じステープラモータ715のギア716,ギア717,718を介して不図示のカムの回転によって昇降するようになっている。
針打ち部63は、図26に示すように、通常、シート搬送領域PAの外側に待機している。
(ステープラを移動させる機構と、この機構の動作説明)
図14において、ステープラ支持台701上のステープラシフトモータ721には、プーリ722が固着されている。プーリ722と、ステープラ支持台701上のアイドラプーリ724,725,726とには、ベルト723が掛け回してある。針打ち部63は、接続部材727によって、ベルト723に接続されている。
中綴じステープラ61の針打ち部63は、ころ703の支持と、ステープラシフトモータ721の回転と、案内手段である例えばレール701a及びスライダ705の案内とによって、ステープラ支持台701上をシートの幅方向に移動して、クリンチャ62の真下で停止する。中綴じステープラ61は、その停止位置で針打ち部63を上昇させて針打ち部63とクリンチャ62とでシート束を針綴じする。
端部綴じステープラ22は、中綴じステープラ61の針打ち部63に設けた連結爪712aに連結されて、中綴じステープラ61の針打ち部63によって移動させられるようになっている。このため、1つのステープラシフトモータ721で、2つのステープラ61,22を移動させることができて、フィニッシャ11の構造を簡素にすることができる。図13において、中綴じステープラホームポジションセンサ731は、スライダ705の一部を検知して、中綴じステープラ61を、図14のホームポジションに位置決めしている。
連結爪712aは、図13(a)、図14に示すように、昇降台712の端部綴じステープラ22側に突設しており、昇降台712の昇降によって、端部綴じステープラ22の端部綴じステープラ台702の被係合部702aに係脱するようになっている。なお、連結爪712aの昇降量は、針打ち部63が針綴じ動作をしない程度であることが好ましい。
端部綴じステープラ22は、退避位置近くに配設された不図示のクリックによって、シートの幅方向へ不用意に移動しないようになっている。
なお、中綴じステープラ61のクリンチャ62は、端部綴じステープラ22より、昇降トレイ41側に配設されている。これによって、装置を小型にすることができる。仮に、クリンチャ62を端部綴じステープラ22より後述する突き部材30側に設けると、中綴じステープラ61の針打ち部63を端部綴じステープラ22より突き部材30側に設けなければならい。このようにすると、中綴じステープラ61の針打ち部63と端部綴じステープラ22とを共通のレール701aを移動させることができなくなり、小型化が困難になる。
(折り曲げ装置)
シート束搬送ローラ対24のニップを解除する搬送ローラニップ解除装置860を図19に基づいて説明する。
シート束搬送ローラ対24は、フィニッシャ11の不図示のフレームに回転自在に取り付けられた下ローラ24aと、下ローラ24aに対して上方に退避可能な上ローラ24bとで構成されている。上ローラ24bの上方への退避は、搬送ローラニップ解除装置860によって行われる。上ローラ24bは、回転中心軸831に固着された板ばね832に回転自在に設けられて、シートに対して接離方向に揺動するようになっている。
短圧接リンク833は、一端に回転中心軸831、他端に連結軸834が設けられている。長圧接リンク835は、中間部分が支点836に回転自在に支持されて、一端が連結軸834に長孔で係合している。そして、他端には、軸837が突設されている。軸837は、カム軸839に固着されたカム838に圧接している。カム軸839は、折り機構モータ840によって回転する。
なお、シート束搬送ローラ対24は、弱圧折りローラ対37と強圧折りローラ対33を回転させるタイミングベルト811を介して共通の折り搬送モータ801によって回転するようになっているが、別の駆動源によって回転してもよい。したがって、シート束搬送ローラ対24は、折り曲げ装置31に必ずしも含まれるものではない。
図19(a)は、上ローラ24bがホームポジションにいるときの図である。
カム838は、折り機構モータ840によって矢印方向に回転する。カム面の凸部838aは、長圧接リンク835と、短リンク833とを傾動させる。短リンク833は、図19(b)に示すように、上ローラ24bを板ばね832の弾力を利用して下ローラ24aに圧接する。
図16乃至図18には、下折りローラ29を上折りローラ28から離して、回転方向を切り換えるローラ作動部815を示してある。このローラ作動部815における折り搬送モータ801の回転軸801aには、ギア802が固着されている。ギア802にはギア803が噛合している。ギア803の回転軸804は、フィニッシャ11のフレーム864に支持されている。軸804上には、公知のワンウエイギア805,806が配設されている。ワンウエイギア805,806は、ロック方向が互いに逆である。
ギア805にはギア809が噛合している。ギア809には、上折りローラ28が固着されている。ワンウエイギア806にはアイドラギア808が噛合している。アイドラギア808にはギア809が噛合している。ギア803にはギア807が噛合している。ギア807は、下折りローラ29に固着されている。
上折りローラ28には、プーリ810が固着されている。図16において、下ローラ24aには、プーリ812が固着されている。強圧折りローラ対33の一方のローラにもプーリ813が固着されている。プーリ810、アイドラプーリ814、プーリ812,813にはタイミングベルト811が掛けられている。
図21において、突き部材30に突き動作をさせるのは、突き動作装置862である。突き板リンク841は、回転軸842に設けられている。軸843は、突き板リンク841上で、回転軸842から離れた位置に配設されて、カム軸839によって回転するカム847に押圧されるように、カム847の回転軌跡上に位置している。折り駆動軸844は、突き板リンク841に形成された長孔の中に配置されている。折り駆動軸844は、突き板固定板845に固定された突き板846を駆動するようになっている。突き板846は、約0.5mmの板で形成されている。突き板固定板845と突き板846は突き部材30を構成している。
カム847の外周には軸843が圧接されている。カム軸839が回転すると、カム847も回転して、突き板846は上、下折りローラ28,29のニップの近傍まで接近する。このことによって、突き板846は、シート束を上、下折りローラ28,29のニップに押し込むことができる。
弱圧折りローラ対のニップを解除する折りローラニップ解除装置861を説明する。
図20において、カム851は、カム軸839に固着されている。リンク853は、支点軸854に回転自在に設けられている。リンク853は、ばね856に牽引されて反時計方向に付勢されている。リンク853には、支点軸854を間にして、カム851に圧接させられる軸852と、下折りローラ29を回転自在に支持する回転軸29aとが設けられている。上折りローラ28と下折りローラ29は、弱圧折りローラ対37を構成している。
折り機構モータ840の回転によってカム軸839が回転すると、カム851が矢印方向に回転して、ばね856に牽引されているリンク853が反時計方向に回転する。そして、下折りローラ29がばね856の牽引力によって上折りローラ28に圧接されて、リンク853の回転が停止する。このとき、カム851は、軸852から離れている。
図22に示すように、弱圧折りローラ対37は、シートの搬送方向に対して直角に配設されている。すなわち、弱圧折りローラ対37は、シートの幅方向に沿って配設されている。しかし、強圧折りローラ対33は、シートの幅方向に対して角度θだけ傾いて配設されている。すなわち、強圧折りローラ対33は、弱圧折りローラ対37に対して角度θだけ傾いて配設されている。
シート束の折り動作を説明する。
中綴じステープラ61によって中間を綴じされたシート束は、グリッパ505に把持されて、グリッパ505の移動位置505cまで牽引される。すると、折り機構モータ840が始動して上ローラ24bが下降し、上ローラ24bと下ローラ24aとで、シート束を挟む。その後、グリッパ505は、上方の退避位置505dへ退避して、この後、シート束搬送ローラ対24によって搬送されてくるシート束との干渉を回避して、シート束の搬送に支障を与えないようにする。シート束搬送ローラ対24より、突き部材30側の折り搬送ガイド対25は、下方に湾曲しているため、グリッパ505は、容易に退避することができる。
下ローラ24aと上折りローラ28は、図1、図16において、シート束を右側に搬送する方向に回転する。シート束は、上ローラ24bと下ローラ24aとに挟まれ、下ローラ24aの駆動回転によって、弱圧折りローラ対37へ搬送される。
折り搬送モータ801が始動して、下ローラ24aが回転を開始したとき、上折りローラ28、強圧折りローラ対33も回転を開始している。このとき、折り搬送モータ801は、図18(a)に示すように、時計方向に回転している。折り搬送モータ801の回転力が、ギア802,803、軸804、ワンウエイギア805、ギア809を介して、上折りローラ28に伝達されて、上折りローラ28は、時計方向に回転している。また、折り搬送モータ801の回転力が、ギア802,803,807を介して下折りローラ29にも伝達されて、下折りローラ29も時計方向に回転している。
ところで、上折りローラ28と下折りローラ29が互いに接触していると、上、下折りローラ28,29はともに時計方向に回転しているため、ローラ同士の接触部分において、回転方向が互いに逆になり、互いの回転を阻害することになる。このため、下折りローラ29は、図20(a)に示すように、カム851によって、上折りローラ28から離されている。
したがって、上折りローラ28と下折りローラ29は、離間して、互いに損傷を与えることなく、時計方向に回転して、シート束を図1、図16、図18において、右方向に搬送することができる。
上記の動作において、シート束は、グリッパ505からシート束搬送ローラ対24に搬送を引き継がれて、弱圧折りローラ対37へ搬送されていく途中において、折り制御センサ26によって検知される。折り制御センサ26がシート束の先端を検知してから、シート束の綴じられた部分が突き部材30に対向するだけの時間経過すると、折り搬送モータ801が逆転し、折り機構モータ840が回転する。
折り搬送モータ801が、図18(b)に示すように、逆転(反時計方向に回転)すると、折り搬送モータ801の回転力は、ギア802,803、軸804、ワンウエイギア805,806、ギア808,809を介して、上折りローラ28に伝達される。この結果、上折りローラ28は、折り搬送モータ801が逆転したにも係わらず、時計方向への回転を継続する。強圧折りローラ対33も同一方向に回転を継続する。また、逆転した折り搬送モータ801の回転力は、ギア802,803,807を介して下折りローラ29にも伝達される。このため、下折りローラ29は、反時計方向に回転方向が切り変わる。
また、折り機構モータ840によってカム851が回転すると、図20(b)に示すように、下折りローラ29が上折りローラ28に圧接させられる。
さらに、折り機構モータ840によってカム847が回転すると、図21に示すように、突き板846が弱圧折りローラ対37のニップに近づくことになる。
なお、上ローラ24bを下ローラ24aに対して接離、下折りローラ29を上折りローラ28に接離、さらに突き板846の作動は、1つの折り機構モータ840によって行っているが、3つの各動作を個別のモータで行ってもよい。また、2つの動作を1つの共通のモータで行い、残りの1つの動作を1つのモータで行ってもよい。
このように、上折りローラ28が時計方向に回転して、下折りローラ29が反時計方向に回転し、かつ圧接状態になっているローラ28,29のニップに突き板846が近づくことによって、シート束は、弱圧折りローラ対37のニップに押し込まれる。シート束を押し込まれた弱圧折りローラ対37は、シート束を挟んで回転し、シート束を折り曲げる。そして、シート束は、図1に示す折りセンサ32に検知される。すると、強圧折りローラ対33がシート束を挟んで回転して、束積載トレイ35に排出する。
シート束は、既に、折り搬送モータ801によって回転している強圧折りローラ対33に引き継いで搬送される。シート束が、強圧折りローラ対33に引き継いで搬送され始めた直後に、図20に示す折り機構モータ840が始動して、弱圧折りローラ対37の下折りローラ29が上折りローラ28から離間する。このため、弱圧折りローラ対37にシート束搬送速度と強圧折りローラ対33のシート束搬送速度とに差があっても、シート束が引っ張られたり、あるいは縮められたりすることがなく、シート束は、円滑に搬送される。この場合、折り機構モータ840が始動するタイミングは、折りセンナ32がシート束を検知してから、シート束が強圧折りローラ対33に挟まれるまでの時間経過した時点に設定されている。
このとき、強圧折りローラ対33がシート束を挟持する挟持圧は、弱圧折りローラ対37がシート束を挟持する挟持圧よりも高く設定されている。したがって、シート束を、弱圧折りローラ対37である程度折り曲げてから、強圧折りローラ対33で最終的に折り曲げることになる。よって、折り曲げ装置31は、シート束を無理に折り曲げることがなくなり、シート束に損傷を与えることなく確実に折り曲げることができる。また、折り曲げ装置31は、強固な構造にする必要もない。
また、強圧折りローラ対33は、シート束の搬送方向に対して角度θだけ、傾いているので、シート束の折り曲げられた部分は、強圧折りローラ対33のニップの一端から他端に順次挟持、押圧されて強圧折りローラ対33を通過する。このため、シート束の折り曲げられた部分が、確実に折り曲げられる。また、シート束の折り曲げられた部分が、強圧折りローラ対33のニップの一端から他端に順次挟持、押圧されるので、折り搬送モータ801に加わる負荷が少なく、折り搬送モータ801の駆動力を小さくてすむ。なお、強圧折りローラ対33は、必ずしも傾いている必要がない。
最後、シート束は、束積載トレイ35に排出される。
なお、以上の動作説明において、シート束搬送ローラ対24の下ローラ24aに対する上ローラ24bの接触動作、上折りローラ28に対する下折りローラ29の接触動作、突き部材30の突き動作の順序は、図23に示すとおりである。すなわち、各動作は、シート束搬送ローラ対24の下ローラ24aに対する上ローラ24bの接触動作、上折りローラ28に対する下折りローラ29の接触動作、突き部材30の突き動作の順に行われる。また、図19乃至21に示すように、カム軸839には、カム838,851,847が固定されている。各カム838,851,847は、図23に示す動作順序で各部を動作させる形状に形成されている。
(制御ブッロク図)
図24は、フィニッシャ11の制御部の構成を示すブロック図である。
CPU901は、装置本体402の制御部490と信号の授受をして、フィニッシャ11を制御するようになっている。CPU901内には、各部のシーケンス、すなわち、図25に示す制御手順に対応するプログラムを記憶してあるROM902と、必要に応じて一時的に種々の情報が記憶されるRAM903が設けられている。なお、CPU901と装置本体の制御部490とのいずれか一方は、他方と一体化されてもよい。
CPU901には、センサ、モータ、ソレノイドが接続されており、センサの情報に基づいて、モータやプランジャを制御するようになっている。
センサには、次に説明するセンサがある。フィニッシャ11の入口近くに設けられて、複写機401の装置本体402から送り込まれてきたシートを検知するシート検知センサ13。フィニッシャ11の入口から処理トレイ19に搬送されるシートを検知して、サイド整合板66の動作タイミングを図る役目と、ピックアップソレノイド103を作動させる役目をする整合制御センサ16。処理トレイ19上のシートの有無を検知するシート検知センサ20。中綴じステープラ61と弱圧折りローラ対37との間に配設されて中綴じステープラ61によって綴じられたシート束が弱圧折りローラ対37に搬送されるシート束を検知する折り制御センサ26。弱圧折りローラ対37で折り曲げられて弱圧折りローラ対37から強圧折りローラ対33へ搬送されるシート束を検知する折りセンサ32。昇降トレイ41にシートが積載されていることを検知するシート有無検知センサ42。シートやシート束が積載されていない昇降トレイ41の上面、又は昇降トレイ41に積載されているシート若しくはシート束の上面を検知するシート面検知センサ44。中綴じステープラをホームポジションに位置決めする中綴じステープラホームポジションセンサ731。
モータには、次に説明するモータがある。入口搬送ローラ対14を回転させる入口モータ71。中間搬送ローラ対15、排出搬送ローラ対17、及びオフセットローラ18を回転させる搬送モータ72。オフセットローラ18をシート幅方向に移動させるオフセットモータ107。グリッパユニット21をシート搬送方向に移動させるグリッパユニット駆動モータ555。グリッパ505の開閉と昇降を行うグリッパ開閉昇降モータ591。中綴じステープラ61の針打ち部63を昇降させる中綴じステープラモータ715。中綴じステープラ61の針打ち部63をシート幅方向に移動させるステープラシフトモータ721。シート束搬送ローラ対24と弱圧折りローラ対37と強圧折りローラ対33とを回転させる折り搬送モータ801。上ローラ24bを下ローラ24aに対して接離させ、下折りローラ29を上折りローラ28に接離させ、さらに突き板846を作動させる折り機構モータ840。後端ストッパ23を作動させるストッパモータ848。
ソレノイドには、オフセットローラ18を昇降させるピックアップソレノイド103がある。
(フィニッシャ全体の動作)
複写機401の装置本体402が画像形成動作を開始すると、フィニッシャ11のCPU901は、装置本体402の制御部490からシート排出信号を受信したか否かをチェックする(図25、S100)。
シート排出信号を受信した場合(S100のYES)、CPU901は、図2、図3のピックアップソレノイド103をオンし(S110)、オフセットローラ18を引っ張り上げる。CPU901は、入口モータ71をオンにする(S120)。入口搬送ローラ対14は、シートを中間搬送搬送ローラ15に搬送する。
最初のシートの先端が図1のシート検知センサ13を通過してシート検知センサ13をオンにすると(S130のYES)、CPU901は、搬送モータ72をオンにする(S135)。すると、中間搬送ローラ対15、排出搬送ローラ対17、及びオフセットローラ18が回転する。装置本体402の排出ローラ対417からシートの後端が離れると(S140のYES)、装置本体402からフィニッシャ11へのシートの受け渡しが完了する。
CPU901は、中間搬送ローラ対15からシートが抜けきらないうちに、ピックアップソレノイド103をオフさせて(S150)、オフセットローラ18を自重でシートの上に着地させる(図27(a)参照)。この後、オフセットローラ18は、搬送モータ72によりシートを図1の左側の所定位置まで搬送する(S160)。そして、CPU901は、オフセットローラ18がシートを所定位置まで搬送すると(S160のYES)、搬送モータ72の回転を停止し(S170)、シートSの搬送を停止させる。
次に、CPU901は、オフセットローラ18の回転が止まった時点で、図7に示すグリッパ開閉昇降モータ591をオンし(S180)、グリッパ505を開く。その後、搬送モータ72を逆転させて、オフセットローラ18によって、シートを図1において、右方向に搬送させる。オフセットローラ18は、シートSを引き戻し(S190)、シート後端(図1において右端)を基準壁505eに突き当てる。
図26に示すように、このとき、グリッパ505は、ホームポジション505aに待機している。また、端部綴じステープラ22と、中綴じステープラの針打ち部63は、シート搬送領域PAの外側に待機している。
オフセットローラ18は、シート後端を開放状態のグリッパ505の基準壁505eに突き当てた後も、シート上をスリップして多少回転を継続する(図27(b)参照)。これによって、シートは、基準壁505eに確実に突き当てられて、斜行している場合、真っ直ぐ矯正されるとともに、シート搬送方向のシートの端部が整合される。
CPU901は、装置本体402からのシートのサイズ情報によりシートサイズをチェックし(S200)、処理トレイ上410に排出されたシートをサイド整合板66に押し付けるために必要なシートの幅方向の移動量であるオフセット移動量を算出する(S210)。
次に、CPU901は、オフセットモータ107(図3参照)を駆動する。すると、ピニオン109(図3参照)が回転して、ラック110によって、オフセットローラ18は、図3、図27(c)の矢印D方向にオフセット移動量より多少多く移動する(S220)。このとき、オフセットローラ18は、シートとの摩擦によって、シートを矢印D方向に移動させて、シートの側端をサイド整合板66に当接させる。オフセットローラ18は、シートSをサイド整合板66に突き当てた後、シートSの上を若干滑って止まる(図27(c)参照)。これによって、シートは、側端を確実に整合されたことになる。
以上の説明では、シートの片側を基準にして幅整合しているが、シートの幅中心と、搬送ガイド対12の幅中心とを一致させて、幅整合してもよい。
このように1枚目のシートSの整合が完了すると、CPU901は、ピックアップソレノイド103をオンにし(S240)、オフセットローラ18を持ち上げた後、グリッパ開閉昇降モータ591をオフにする。これにより、グリッパ505が閉られ、整合済みのシートPがグリッパ505に挟持される(S250)。この結果、最初に排出されたシートSが、次に排出されるシートによって図1の左方向に連れ送りされることが防止される。
オフセットローラ18は持ち上げられた状態でオフセットモータ107により、ラック110とピニオン109(図3参照)の噛合により、ホームポジションまで復帰移動する(S260)。
CPU901は、処理トレイ19上に収容されたシートSが複写原稿の最終ページに対応した最終のシートか否かをチェックする(S270)。CPU901は、複写機の装置本体402から送られてきた情報に基づいて最終のシートSでないと判断した場合(S270のNO)、次に装置本体402から送られてくるシート排出信号が、最終のシートSになるまで、処理S100に戻って、以上の動作を繰り返す。
CPU901は、最終シートであると判断した場合(S270のYES)、処理トレイ19上に画像読取装置403が読み取った原稿の枚数に対応したシート束が積載されていることになる。次に、CPU901は、ステープル処理が選択されているか否かをチェックし(S280)、選択されている場合には(S280のYES)、中綴じステープラ61と端部綴じステープラ22とのいずれか一方のステープラを駆動して、ステープル処理を実行する(S290)。
CPU901は、ステープル処理が選択されていない場合(S280のN0)、或いは端部綴じステープル処理が完了した後は、グリッパ開閉昇降モータ591を作動させて、グリッパ505でシート束を把持する。そして、CPU901は、グリッパユニット駆動モータ555を制御して、グリッパ505を昇降トレイ41の方に前進させ、ストッパモータ848を駆動して、後端ストッパ23を処理トレイ19上に突出させてからグリッパ505を右に移動させる。この結果、シート束Sは、昇降トレイ41に排出される(S300)。そして、CPU901は、後端ストッパ23を突出させて(S305)て、シート束Sの排出動作にあわせて昇降トレイ41を下降させ(S310)て、この後、グリッパ505をホームポジション505aに戻し(S320)、後端ストッパ23を下降させる(S325)。
さらに、この後、CPU901は、中間搬送ローラ対15、オフセットローラ18の回転を止めるため、搬送モータ72を停止させ(S330)、ピックアップソレノイド103をオフさせることにより(S340)、オフセットローラ18を下げて一連の処理を終了する。
(シート束の端部綴じ)
図25の処理S290において、シート束の端部を綴じる場合、CPU901は、シートの整合を終了した後、図26に示すように、グリッパ505を移動位置505cまで移動させる。
なお、あらかじめ、CPU901は、中綴じステープラ61の針打ち部63と端部綴じステープラ22とをステープラ移動領域SAから退避させていて、その後、中綴じステープラ61の針打ち部63を端部綴じステープラ22に接近させる。針打ち部63は、図26の破線の位置で、連結爪712a(図14参照)によって、端部綴じステープラ22と連結する。端部綴じステープル22は、針打ち部63に牽引されて、綴じ処理位置まで移動して、その位置でシート束を綴じる。綴じ位置は、一箇所、複数箇所である。また、端部綴じステープル22は、首が振れるようにして、シート束の角を綴じることができるようにしてもよい。
なお、グリッパ505が移動位置505cまで移動した後、処理トレイ19上のシート束は、グリッパ505によって開放されるが、オフセットローラ18によって処理トレイ19に押圧される。このため、処理トレイ19上のシート束は、端部綴じステープラ22が綴じ動作をするときの整合崩れを防止される。
シート束を綴じた端部綴じステープラ22は、中綴じステープラの針打ち部63によって、シート搬送領域PAの外側に退避させられる。そして、中綴じステープラの針打ち部63は、図26において、破線の位置に待機する。なお、針打ち部63は、実線で示す、シート搬送領域PAの外側に退避してもよい。その後、グリッパ505は、移動位置505cからシート幅排出位置505bに移動してシート束を排出する。
なお、中綴じステープラの針打ち部63は、端部綴じステープラ22とは反対側に退避するが、昇降できるようになっているので、下降した状態でシート搬送領域PA内に留まっても、グリッパ505が干渉することがない。
(シート束の中綴じ)
端部整合、幅整合をされたシート束は、グリッパ505に把持されて図26において右方向に引っ張られて移動させられる。シート束の綴じられる部分が、クリンチャ62の真下まで移動した時点で、グリッパ505は、シート束を把持したままで搬送を停止する。シートの長さによっては、グリッパ505は、退避位置505dに退避し、シート束搬送ローラ対24がシート束を搬送する(図28(a)参照)。シート束を搬送する距離は、CPU901が、装置本体402からのシートサイズ情報に基づいて算出する。そして、中綴じステープラの針打ち部63は、クリンチャ62の真下まで移動してシート束を中綴じする(図28(b)参照)。このとき、グリッパ505は、ステープラ移動領域SAの外側にいるので、針打ち部63が干渉することがない。
(シート束の折り曲げ)
中綴じされたシート束は、シート束搬送ローラ対24の回転、弱圧折りローラ対37の回転、突き部材30の突き動作(図28(c)参照)、強圧折りローラ対33の回転とによって、2つ折りにされて排出される。弱圧折りローラ対37から、強圧折りローラ対33にシート束が引き継がれて搬送されるとき、シート束が強圧折りローラ対33に引き継がれた後、弱圧折りローラ対37のニップが解除されるようになっている。
以上のフィニッシャ11は、次のことからして小型にすることができるようになっている。すなわち、中綴じステープラ61の針打ち部63と端部綴じステープラ22とが共通のレール701aを移動するようになっているため、中綴じステープラ61と端部綴じステープラ22とがシートの幅方向に配列されていること。端部綴じは、中綴じステープラ61が行わないで、構造が強固な端部綴じステープラ22で行うので、中綴じステープラ61を、あえて、端部綴じを行える強固な構造にする必要がないこと。中綴じステープラ61が、連結爪712aによって端部綴じステープラ22と連結されて、端部綴じステープラ22をシート幅方向に移動させるようになっているので、移動用駆動源を1つにすることができること。
本実施形態のフィニッシャは、フローチャートに示すROM(或はRAM)上に書かれたプログラムをCPU901が読み出しながら制御を行っているが、制御プログラム上の処理をハードが行うように構成しても同様の効果が得られる。