JP4881410B2 - 高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法 - Google Patents

高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、米粉を主原料とした米シートの製造方法に関するものである。
我が国の食料自給率は、カロリーベースで40%であり、米の需要を拡大するためには、麺やパンなどへの米粉の利用を積極的に進める必要があり、従来から米を原料とした加工食品の製品化が試みられている。しかしながら、麺に関しては、そもそも米麺に適した米が無いために、麺線にしたときに切れ易かったり、茹でたときにくっつき易かったりする問題があり、製品化は困難であるとされていた。しかし、その解決法としてグルテンや澱粉質を加え、加工し易くする方法が考えられ、米を原料とした米麺の様々な製造方法が提案されるようになった。
例えば、特開昭53−130448号のように、小麦粉の一部を米粉に置き換えて、小麦粉のグルテンを利用して麺にする方法や、例えば、特公昭60−41579号のように、うるち米に澱粉を加えた方法がそれである。更に、最近では、例えば、特開2008−301769号のように、高アミロース米を原料とした米100%の米麺も開発されてきている。
特開昭53−130448号公報 特公昭60−41579号公報 特開2008−301769号公報
しかしながら、米粉を原料とした麺は、つなぎとなる澱粉質が少ないため、麺線にすると切れたり米に含まれるアミロペクチンによる粘りで、麺表面の粘りが強く、麺同士がくっついたりする問題がある。
また、麺を切れにくくするために澱粉質を増やすと、米の特徴である透明感が得られず、風味も損なわれてしまい、米麺と言えなくなってしまう。
また、米の微粉末粉を使用して蒸練、冷却することで上記問題を克服し、米粉50%以上の米麺を製造できるが、生産性が非常に悪く、製品が高価になってしまい消費者が気軽に購入することができなくなってしまう。
そこで、本発明は、従来の米麺の製造方法における問題点に鑑み、これを解決するために製法の見直しを行い、米粉50%以上でも麺にしたときに切れにくく麺のさばけも良く、また、生産性が良く、製品を安価に提供できる低製造コストの米シートの製造方法を提供することを目的としている。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
アミロース値が30%以上の高アミロース米を精米し、この精米した高アミロース米を洗米し、この洗米した高アミロース米に冷水を加えながら製粉し、この水挽き製粉に澱粉を混合し、この水挽き製粉と澱粉との流動化した混合粉である混合液を攪拌して前記混合液中の米粉と澱粉とを均一に分散させ、この米粉と澱粉とが均一に分散した状態とした混合液を、布製のベースシート1上に流し込みながらこのベースシート1を搬送し、このベースシート1の下側に高温の蒸気を吐出する蒸気吐出部26を設けた構成とし、前記布製のベースシート1毎ベースシート1上の前記混合液を前記布製のベースシート1の下側に設けた蒸気吐出部26から吐出される高温の蒸気で蒸煮し、この蒸煮してα化した米の生地を前記布製のベースシート1から剥離し、この剥離したシート状のα化した米の生地を乾燥及び冷却して用途に応じて切断加工する米粉を主成分とする米シートを得ることを特徴とする高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法に係るものである。
また、前記蒸煮は、前記混合液を連続的に前記布製のベースシート1上に流し込み、前記混合液をシート状に形成し蒸煮する米生地形成機2で蒸煮したことを特徴とする請求項1記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法に係るものである。
また、前記米生地形成機2は、2つの間隔を設けた搬送ローラーで構成する駆動部に、前記布製のベースシート1をループ状に張設し、更に、前記布製のベースシート1表面に残留した前記混合液を除去する残留混合液除去部5を設けたベースシート搬送部6と、このベースシート搬送部6の前記布製のベースシート1上に前記混合液を連続的に流し込む混合液供給部7と、前記布製のベースシート1上にシート状に形成した前記混合液を蒸煮する蒸煮部8とで構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法に係るものである。
また、前記洗米は、水とエアーで洗米する洗米機9で洗米したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法に係るものである。
また、前記シート状のα化した米の生地は、蒸煮工程から切断工程までの工程間を帯状の連続したシートに形成し、ベルトコンベア状の搬送手段で搬送しながら製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、米麺に適し、麺線への加工が容易にでき、麺にしたときに麺離れが良く、更に米の甘さ、風味を損なうことなく米の特徴である透明感を有するさらりとした食感を特徴とした米シートとなる画期的な高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法となる
また、生地を練る、捏ねる作業を行わなくても生地をα化できるので、工程を簡素化でき、コストも掛からず、更に直行率(歩留まり)も向上する生産性の秀れた画期的な高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法となる
また、生地をシート状に形成したので、細く切断することで麺に適応でき、四角や丸型に切断することで春巻きの皮やワンタンなど様々な用途に使用可能となる
しかも、本発明は、ベースシートに布製のベースシートを採用したので、シート状の混合液を蒸煮する際に、より均一に蒸煮することができ、更に蒸煮後のα化した米の生地をベースシート上から容易に剥離可能とする優れた高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法となる。
た、請求項2,3記載の発明においては、混合液をシート状に形成し蒸煮する作業を専用の装置で行うようにしたので、混合液を容易にα化でき且つ大量に製造することが可能となる一層生産性に優れた高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法となる
また、請求項4記載の発明においては、水とエアーで洗米しているので、従来の攪拌機を有する洗米機と比べて、洗米時における米へのダメージを低減し、屑米や細米とならず米シートとしたときに、より米の特徴を引き出すことができる優れた高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法となる
また、請求項5記載の発明においては、蒸煮作業以降を連続した帯状のシートに形成した状態で搬送しながら製造するので、少人化が図れ、人件費を抑えられるので安価に米シートを生産することが可能となる優れた高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法となる。
本実施例の工程フロー説明図である。 本実施例の洗米機を示す説明斜視図である。 本実施例の水挽き製粉機を示す断面図である。 本実施例の米生地形成機を示す断面図である。
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、アミロース値30%以上の高アミロース米を原材料に用いたので、この高アミロース米の特徴である冷めると硬くなる性質を利用し、例えば、この高アミロース米を使用して米麺を作った場合は、米粉が50%以上であっても麺離れが良く、コシの強い美味しい米麺となる。
また、精米した高アミロース米を洗米した後に、冷水を加えながら水挽き製粉にて製粉したことにより、この水挽き製粉は石臼の重みで米を粉砕するで、粉砕時の発熱が少なく、米の粉砕力が小さく、密閉性も高く、更に、粒子の細かい粉となるので、粉砕時の発熱量が少なく米に与える熱ダメージを抑え、米に含まれる水分が保たれ風味を損なわず、更に、生地の目が細かくなり舌触りの良い米シートとなる。
また、蒸煮において、混合液をベースシート1上に流し込む際に、このベースシート1を移動させながら前記混合液を流し込むので、この混合液はベースシート1上で容易にシート状に形成され、更に、このシート状に形成された前記混合液をベースシート1上に形成したままベースシート1毎蒸煮するので、シート状態を保持したまま蒸煮され、前記混合液全体が均一に且つ十分に加熱され、この混合液を完全にα化することができ、形成した前記α化した米の生地のつながりが良好となるので、従来品のように蒸練を行う必要がなく、製造工程を簡素化でき、また、高価な装置も不要となり、更に、直行率(歩留まり)も向上するので、安価に製造することが可能となり、従って、低価格な米シートを消費者に提供することができる。
また、ベースシート1より剥離したシート状のα化した米の生地は、乾燥及び冷却することで、このα化した米の生地の表面の水分や余熱を除去し、このα化した米の生地をβ化するので、シート状のβ化した米の生地を切断する際に切断機の刃に生地がくっつくことが無く、容易に切断できることとなる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、図1に示すように、精米したアミロース値30%以上の高アミロース米を洗米機9で洗米し水に浸漬した後に、水挽き製粉機10で冷水を加えながら製粉し、この製粉した米粉を水挽き製粉とし、この水挽き製粉に澱粉を混合し、これを混合液とし、この混合液を攪拌した後にα化した米の生地を作るために米生地形成機2でシート状の混合液を形成・蒸煮し、この混合液をα化させ、このα化した米の生地を乾燥・冷却しβ化させ、このβ化した米の生地を切り出して米シートとす高アミロース米を原料とした米粉50%以上のシートの製造方法である。
具体的には、原料となる高アミロース米は、品種が北陸207号で、この北陸207号のアミロース値は36%前後である。
この北陸207号は、もともと製麺適正に適すことを目的に育成されたもので、アミロースを多く含んでいるので、冷えると硬くなる性質があり、この性質を利用し、麺離れが良く、加工適性に秀れたものとなっている。
更に、このアミロースは、α化した米の生地がβ化する際にアミノペクチンよりもβ化速度が速く、容易にβ化するので、後述する乾燥・冷却工程に要する時間を短縮でき、よってスループットが向上し、生産性の向上が図れるメリットもある。
また、製造過程は以下のような工程で構成される。
(1)洗米工程
洗米工程は、精米した米を洗浄する工程であり、例えば、従来の攪拌翼を有する洗米機を使用して洗米した場合は、この攪拌翼が米と擦れ合うことで米に損傷を与え、米の外観を損ね米が屑米や細米になってしまうので、米の持つ風味を損なってしまう可能性があり、更に、米を攪拌する領域が狭く、均一に攪拌することが難しく、米全体を洗米するのに要する時間が多くかかってしまう。
そこで本実施例では、水とエアーを使用する洗米機9を用いて洗米を行っている。
この洗米機9は、図2に示すように、底部に複数のエアー吐出口11を設けた洗米機容体12と、このエアー吐出口11より吐出するエアーを送出するエアーコンプレッサー部13とで構成され、このエアー吐出口11は、洗米機容体12底部に散在状態に配置され、洗米機容体12内全体を攪拌するように形成している。
この洗米機容体12内に米と水を入れ、エアー吐出口11よりエアーを吐出させ、米が下方から上方に巻き上がるように攪拌し洗米を行う構成としている。
この攪拌作用は、水とエアーのみで生じさせているので、米には殆どダメージが入らず、よって、米の外観が損なわれることが無く、また、洗米機容体12底部に複数のエアー吐出口11を設けたので、洗米機容体12内全体を攪拌でき、洗米時間を短時間で行うことが可能となる。
具体的な洗米条件は、エアー圧力を5kg/cm、水量を原料1kgに対して約2Lとし、洗米時間は15分〜30分としている。
また、この洗米をした後、4時間〜20時間、水に浸しておき、米に十分な水分を含ませている。
(2)製粉工程
製粉工程は、洗米した米を細かく粉砕し、米粉にする工程であり、冷水を加えながら石臼にて水挽きをおこなう水挽き製粉機10を用いた製粉方法を用いている。
この水挽き製粉機10は、図3に示すように、石臼部14に米を導入する材料導入部15と、この材料導入部15より導入した米を粉砕し米の液にする石臼部14と、この石臼部14で製粉した米の液を導出する水挽き製粉導出部16とで構成している。
具体的には、材料導入部15は、石臼部14中央の上部に立設し、米を周囲にこぼさずに投入するために用いる漏斗17を挿入する漏斗挿入部18を設け、この漏斗挿入部18に漏斗17を挿入し、漏斗17を介して材料導入部15に米を投入し、米がきちんと石臼部14に到達する構成としている。
また、石臼部14は、上部石臼部19と下部石臼部20で形成し、この下部石臼部20に回転軸を軸着し、石臼部14に投入した材料は、この上部石臼部19と下部石臼部20の隙間に入り込み、下部石臼部20の回転により粉砕され、米の液となる。
この粉砕された米の液は、米と一緒に投入している冷水と混合し、流動化状態で石臼部14より流れ出て、水挽き製粉導出部16より導出する。
この水挽き製粉機10の特徴は、粉砕時の発熱量が少なく米に与える熱ダメージが抑えられ、また、粒度の細かい米粉となるので、米に含まれる水分が保たれ風味を損なわず、生地の目が細かく舌触りが良くなることである。
具体的な製粉条件は、この水挽き製粉機10に、冷水を1.2L/min〜1.6L/minの水量で加えながら、1.5kg/min〜1.75kg/minの処理条件で製粉し、粘度をカップ粘度測定法(カップ容量48ml)で測定した場合に20cps〜60cpsとなるようにしている。
(3)濾過工程
濾過工程は、製粉した米粉に混ざっている胚芽の茶色い部分を除去するための工程であり、水挽き製粉機10の水挽き製粉導出部16より流れ出た水挽き製粉がそのまま貯留容器上部にふるいメッシュ25を設けた濾過器に流れ込み、ふるいメッシュ25を通過した水挽き製粉を貯留容器に貯め、この貯留容器下方に設けた濾過液送出部より後述する次工程のミキシング工程に送出している。
(4)ミキシング工程
ミキシング工程は、濾過した水挽き製粉に、つなぎ及び旨みの原料となる澱粉を混合する工程であり、濾過器より送出された濾過した水挽き製粉を混合タンク内に貯留し、その中に澱粉を混入し、混合タンクに設けた攪拌翼を回転させ、20分〜30分間良く混ぜ合わせて混合液を生成している。
混入する澱粉は、タピオカ澱粉,馬鈴薯澱粉,甘藷澱粉,小麦澱粉,ザコ澱粉,米澱粉,緑豆澱粉,コーンスターチ,ハイアミロースコーンスターチ,ワキシーコーンスターチなどで、これらのうち1種類だけ混合しても良いし、複数の種類を混合しても良く、米粉との混合割合は0%〜49%としている。
(5)攪拌工程
攪拌工程は、ミキシング工程で混合した米粉と澱粉の混合液が、米の比重が重く、米粉のほうが直ぐに沈殿し米粉と澱粉に分離してしまい品質に偏りが生じるのを防ぐための工程であり、後述する蒸煮工程の米生地形成機2に供給する直前に、タンク底より混合液をかき上げ攪拌する攪拌機を設けた攪拌タンク内で混合液を攪拌し、この混合液中の米粉と澱粉が均一に分散している状態にしてから米生地形成機2に供給している。
(6)蒸煮工程
蒸煮工程は、混合液を蒸気で加熱してα化する工程であり、本実施例では、均一に攪拌された混合液を一定量、ベースシート1上に流し込みながらベースシート1上にシート状の混合液に形成し、このシート状の混合液をベースシート1毎高温で蒸煮し、このシート状の混合液をα化する米生地形成機2を用いて蒸煮している。
この米生地形成機2は、図4に示すように、ベースシート1上に混合液を流し込むように構成した混合液供給部7と、ベースシート1を有しこのベースシート1をループ状に搬送するベースシート搬送部6と、ベースシート1上に流し込まれた混合液をベースシート1毎蒸煮する蒸煮部8とで構成している。
具体的には、混合液供給部7は、混合液が供給される供給トレー21に、一部が供給トレー21内に供給された混合液に浸漬する位置にこの供給トレー21内の混合液を表面に付着し引き上げる取出しローラー22を回転自在に設け、この取出しローラー22は、ベースシート1の幅と略同等の長さに形成され、ベースシート1の幅方向と平行に設けている。
この取出しローラー22の表面に付着した混合液を均一な厚みに形成する余剰液除去部23を取出しローラー22と平行に且つ近接状態に設け、均一な厚みに形成した取出しローラー22の表面に付着している混合液を取出しローラー22表面より剥離しベースシート1上に流し込む導入板24を一端が取出しローラー22表面に外接し他端がベースシート1に近接するように設けた構成としている。
また、ベースシート搬送部6は、水平に対向する2つの搬送ローラー3で構成された駆動部4に布製のベースシート1をループ状に張設した構成としている。
この駆動部4が回転すると、搬送ローラー3とベースシート1間に生じる摩擦抵抗によってベースシート1が移動することとなる。
このようにベースシート1をループ状に設けたので、このベースシート1が搬送経路を折り返す際にベースシート上のシート状に形成したα化した米の生地を剥離している。
また、このベースシート1上でα化した米の生地を、ベースシート1を折り返し搬送することで剥離しているが、剥離されずにベースシート1上に残留した混合液を除去するための残留混合液除去部5を、このベースシート1が折り返しシート状のα化した米の生地を剥離して、ベースシート1表面が下方に向いたところに、このベースシート1表面に当接するように設けている
た、蒸煮部8は、このベースシート搬送部6の上方に設けたカバー部25と、ループ状に設けたベースシート1の内側と下方の2箇所に設けた蒸気吐出部26とで構成している。
この蒸気吐出部26は、ベースシート1の内側にベースシート1の幅方向に管状に架設した複数の第一蒸気吐出部27と、ベースシート1が折り返し戻る方向に進んでいるベースシート1表面の下方にベースシート1長さ方向に管状に架設した第二蒸気吐出部28で構成している。
このように蒸煮部8全体を均一に蒸気で加熱するように蒸気吐出部26を設けたので、ベースシート1上の混合液は、蒸煮部8で容易に且つ完全にα化されることとなる。
従って、米生地形成機2を上述のように構成したので、米生地形成機2は、混合液供給部7に供給された混合液を一部が浸漬した取出しローラー22の表面に付着させ、この取出しローラー22の回転によって供給トレー21内から引き上げ、更に、一定量ベースシート1上に流し込むために余分な混合液を余剰液除去部23で削ぎ落とし、この取出しローラー22表面に付着した混合液を均一な状態としたのちに、取出しローラー22に接している導入板24で取出しローラー22表面より混合液を剥離し、この剥離した混合液を導入板24に沿ってベースシート1上に流し込むこととなる。
更に、ベースシート1上に流し込まれた混合液は、ベースシート1が常に一定の速度で移動しており、ベースシート1上で連続した帯状のシートに形成され、この帯状のシートのまま蒸煮部8に搬送されていくとなる。
また、この蒸煮部8に搬送されたベースシート1上で連続した帯状のシートに形成された混合液は、この蒸煮部8を移動しながら蒸気吐出部26より吐出した高温の蒸気で蒸煮され、徐々にα化していき、この蒸煮部8を出たときに完全にα化した米の生地となる。
更に、具体的な蒸煮条件は、ベースシート1上に形成するシート状の混合液の厚みを0.7mm〜1.3mmとし、蒸煮部8の温度を62℃〜120℃にして、このシート状の混合液が蒸煮部8を1分〜3分間掛けて移動するように設定し、この時の蒸煮部8の蒸煮圧力は0.08Mpa〜0.12Mpaとしている。
上述のような装置構成及び蒸煮条件とすることで、混合液を短時間で容易に完全にα化した米の生地に形成している。
(7)乾燥工程
乾燥工程は、α化した米の生地を半乾燥状態に乾燥する工程であり、ベースシート1より剥離したα化した米の生地をそのままベルトコンベア状の搬送経路で乾燥機内に搬送し半乾燥状態にしている。
この乾燥機は、ベルトコンベア状の搬送経路を複数段設け、これを箱状容体で囲み、この箱状容体内の温度を高温にする加熱手段を設けた構成としており、この乾燥機内を折り返し搬送しながらα化した米の生地を半乾燥状態にしている。
また、乾燥条件は、乾燥温度を60℃〜90℃とし、α化した米の生地の品質が劣化しないように15分〜20分かけて段階的に乾燥を行っている。
(8)冷却工程
冷却工程は、乾燥工程にて半乾燥状態となったα化した米の生地をβ化する工程であり、乾燥工程で半乾燥状態にしたα化した米の生地をそのままベルトコンベア状の搬送経路で冷却機内に搬送しβ化している。
この冷却機は、ベルトコンベア状の搬送経路を複数段設け、これを上部が開口した箱状容体で囲み、この上部が開口した箱状容体の上方部に送風機を設けた構成となっており、この送風機で半乾燥状態のα化した米の生地に冷風を当てながら冷却機内を折り返し搬送し、半乾燥状態のα化した米の生地表面の水分や余熱を取り除きβ化している。
高アミロース米は冷えると硬くなる特徴があり、この特徴を活かして上述のように冷却工程にてα化した米の生地を冷しβ化することで生地を硬くし、次工程のβ化した米の生地の切断を可能にしている。
(9)切り出し工程
切断工程は、シート幅20cm〜50cmの寸法でβ化した米の生地を切断機でカットする工程であり、このβ化した米の生地は堅い為、特殊ロールを用いて、この特殊ロールに切断用の刃を当てて切断し、米シートとして完成させている。
また、この米シートを用途に応じた幅に切断することで、細麺から太麺まで形成でき、更には、春巻きの皮やワンタンなどの多用途に形成できる。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 ベースシート
2 米生地形成機
3 搬送ローラー
4 駆動部
5 残留混合液除去部
6 ベースシート搬送部
7 混合液供給部
8 蒸煮部
9 洗米機
26 蒸気吐出部

Claims (5)

  1. アミロース値が30%以上の高アミロース米を精米し、この精米した高アミロース米を洗米し、この洗米した高アミロース米に冷水を加えながら製粉し、この水挽き製粉に澱粉を混合し、この水挽き製粉と澱粉との流動化した混合粉である混合液を攪拌して前記混合液中の米粉と澱粉とを均一に分散させ、この米粉と澱粉とが均一に分散した状態とした混合液を、布製のベースシート上に流し込みながらこのベースシートを搬送し、このベースシートの下側に高温の蒸気を吐出する蒸気吐出部を設けた構成とし、前記布製のベースシート毎ベースシート上の前記混合液を前記布製のベースシートの下側に設けた蒸気吐出部から吐出される高温の蒸気で蒸煮し、この蒸煮してα化した米の生地を前記布製のベースシートから剥離し、この剥離したシート状のα化した米の生地を乾燥及び冷却して用途に応じて切断加工する米粉を主成分とする米シートを得ることを特徴とする高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法。
  2. 前記蒸煮は、前記混合液を連続的に前記布製のベースシート上に流し込み、前記混合液をシート状に形成し蒸煮する米生地形成機で蒸煮したことを特徴とする請求項1記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法。
  3. 前記米生地形成機は、2つの間隔を設けた搬送ローラーで構成する駆動部に、前記布製のベースシートをループ状に張設し、更に、前記布製のベースシート表面に残留した前記混合液を除去する残留混合液除去部を設けたベースシート搬送部と、このベースシート搬送部の前記布製のベースシート上に前記混合液を連続的に流し込む混合液供給部と、前記布製のベースシート上にシート状に形成した前記混合液を蒸煮する蒸煮部とで構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法。
  4. 前記洗米は、水とエアーで洗米する洗米機で洗米したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法。
  5. 前記シート状のα化した米の生地は、蒸煮工程から切断工程までの工程間を帯状の連続したシートに形成し、ベルトコンベア状の搬送手段で搬送しながら製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高アミロース米を原料とした米粉50%以上の米シートの製造方法。
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