JP4880812B2 - 金型離型性に優れたポリカーボネート組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金型離型性に優れたポリカーボネート組成物に関し、詳しくはポリカーボネートと臨界表面張力調節剤からなり、シリンダー温度380℃で射出成型した場合に、得られる成型品の臨界表面張力が34.0〜37.0dyn/cmの範囲にあり、粘度平均分子量12000〜100000であり、かつ溶融粘度安定性0.5%以下である金型離型性に優れたポリカーボネート組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、色相、透明性、機械強度に優れたエンジニアリングプラスチックである。近年その用途は多岐にわたり様々な成型品への加工がなされているが、特に優れた機械強度を持つことから光ディスク基板や電化製品のハウジングといった、肉薄で表面積比の高い成型品の材料として大量に使用されている。かかる成型品は一般に金型を用いた射出成型法によって成型されるが、該成型方法では成型品を離型する過程において、成型品の金型離型性が悪いと生産効率に支障をもたらすことが従来より懸念され、生産規模が大きいほど重要な問題とされている。
【0003】
特に光ディスク基板は通常、スタンパーに刻印された信号をポリカーボネート基板上に正確に転写するために、射出成型機のシリンダー温度を350〜400℃の高温にして樹脂の流動性を向上させ、そのためスタンパーが装着される金型の温度も80〜120℃の高温に設定する必要がある。しかし金型温度が高いとポリカーボネート成型品の金型離型性の低下や離型むら発生、転写性が悪くなるといった問題が生じる。これを防ぐために成型品の離型前に金型を十分に冷却する必要があるが、通常成型サイクルが長くなり生産性が低下するため望ましくない。かかる理由から近年、射出成型において金型離型性が良好なポリカーボネートの開発が強く望まれている。
【0004】
ポリカーボネートの離型性を改善するために離型剤を添加する方法が有効であることが従来公知である。離型剤としては通常、滑剤と言われる種々の化合物が知られており、具体的には特公昭47−41092号公報に、高級脂肪族カルボン酸と、高級脂肪族アルコールもしくは多価アルコールとのエステルまたは部分エステルを添加することが提案されている。
【0005】
然るに離型剤の添加は周知のごとくコスト面、工程数増加の点から望ましくなく、また剤の影響で製造されるポリマーの色相や透明性、機械強度といったポリカーボネートの特徴に悪影響を及ぼすことが懸念される。かかる背景から、簡便、安価な成型品製造のために離型剤を特に加えることなしに、ポリカーボネートの金型離型性を改善する方法の開発が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、射出成型法において金型離型性に優れ、簡便、安価に成型品が製造されるポリカーボネート組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明者らはポリカーボネート組成物中の特定低分子量化合物が成型品の臨界表面張力に大きく影響を与えていることをつき止め、該有機低分子化合物を以下臨界表面張力調節剤と呼称し、臨界表面張力が特定の数値範囲内になるように該調節剤を含有させることで、射出成型時における金型離型性が良好になることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、
(1)芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成化合物を反応してなる、主たる繰り返し単位が下記式(I)
【0008】
【化4】
【0009】
[上記式(I)において、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基であり、Wは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数5〜10のシクロアルキレン基、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、炭素数8〜15のアルキレン−アリーレン−アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基またはスルホン基から選ばれる少なくとも1種の基をあらわす。]
で表わされるポリカーボネートと、臨界表面張力調節剤からなり、シリンダー温度380℃で射出成型した場合に、得られる成型品の臨界表面張力が34.0〜37.0dyn/cmの範囲にあり、粘度平均分子量12000〜100000であり、かつ溶融粘度安定性0.5%以下である金型離型性に優れたポリカーボネート組成物。
(2)該臨界表面張力調節剤が下記式(II)で表される化合物(a)および下記式(III)で表される化合物(b)
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
【0012】
[上記式(II)、上記式(III)において、R1、R2、R3、R4、Wは上記式(I)におけるR1、R2、R3、R4、Wと同じ置換基を表す。]
であり、2つの該化合物が合計300〜2000ppmの範囲で含有しており、かつ化合物(a)の化合物(b)に対する重量比が0.02〜2.0の範囲であることを特徴とする(1)記載の金型離型性に優れたポリカーボネート組成物。
(3)粘度平均分子量が13000〜28000であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の金型離型性に優れたポリカーボネート組成物。
(4)上記ポリカーボネート組成物が、塩基性エステル交換触媒により溶融重縮合されたものであり、該塩基性エステル交換触媒が、塩基性窒素化合物および/または塩基性リン化合物とアルカリ金属化合物とを用い、かつ該アルカリ金属化合物を、アルカリ金属元素として、芳香族ヒドロキシ化合物に対して1×10-8〜5×10-6化学当量用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物を射出成型して得られる成型品。
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
(ポリカーボネートの説明)
本発明におけるポリカーボネートは、主たる繰り返し単位が下記式(I)
【0014】
【化7】
【0015】
[上記式(I)において、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基であり、Wは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキリデン基、炭素数5〜10のシクロアルキレン基、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、炭素数8〜15のアルキレン−アリーレン−アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基またはスルホン基から選ばれる少なくとも1種の基をあらわす。]
で表わされる。具体的に、R1、R2、R3、R4は水素原子;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基、ナフタレン基等の炭素数6〜20のアリール基;ベンジル基等の炭素数7〜20のアラルキル基から選ばれる基を表す。またWはメチレン基、エチレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜6のアルキレン基;エチリデン基等の炭素数2〜10のアルキリデン基;シクロヘプチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜10のシクロアルキレン基;シクロヘキシリデン基等の炭素数5〜10のシクロアルキリデン基;イソプロピレン基-フェニレン基-イソプロピレン基等の炭素数8〜15のアルキレン−アリーレン−アルキレン基;酸素原子;硫黄原子;スルホキシド基またはスルホン基から選ばれる基を表す。好ましくはR1、R2、R3、R4は水素原子、メチル基であり、Wはイソプロピレン基、シクロヘキシレン基である。さらに好ましくはR1、R2、R3、R4は水素原子、Wはイソプロピレン基である。
【0016】
ポリカーボネート成型品の金型離型性には当然ながら成型品の表面物性が関与するが、従来、良好な離型性を得るためには如何なる物性が成型品表面に要求されるかという点は明確にされていない。本発明では、離型性に対して成型品表面の臨界表面張力が関与することを発見し、さらにこれを上記範囲に規定することがポリカーボネートの良好な離型性を得るために有効であることを見出した。臨界表面張力を上記範囲に規定するために本発明では、ポリカーボネートと臨界表面張力調節剤との組成物を提案する。
【0017】
(ポリカーボネート組成物の説明)
すなわち、本発明におけるポリカーボネート組成物は、良好な離型性を持つために、粘度平均分子量が12000〜100000のものを、成型機シリンダー温度380℃で射出成型して得られる成型品表面の臨界表面張力が、JISK6768に基づく測定で34.0〜37.0dyn/cmの範囲であることを特徴とする。
【0018】
さらに良好な離型性を得るために好ましくは、上記成型品表面の臨界表面張力が、34.2〜36.8dyn/cmであり、より好ましくは34.4〜36.6dyn/cmである。この範囲で粘度平均分子量が高いほど臨界表面張力は大きくなり、臨界表面張力が大きいほうが、離型性が良好であった。また表面性も良好であった。
【0019】
該ポリカーボネートの粘度平均分子量12000〜100000であり、好ましくは13000〜28000である。粘度平均分子量が12000未満である、または100000を超えると、臨界表面張力調節剤を用いても、射出成型して得られた臨界表面張力の値を上記の範囲内にすることが困難になるので好ましくない。
【0020】
(臨界表面張力調節剤の説明および臨界表面張力)
本発明における臨界表面張力調節剤とはポリカーボネートに配合することで、得られるポリカーボネート組成物の機械物性、透明性、色相等の特性を大きく変化することなく、臨界表面張力を変化させうる有機低分子化合物であれば、何でも含まれる。
【0021】
なお、本発明における臨界表面張力は既知の方法で測定できるが、好ましくはJISK6768に基づく試験方法で測定される。臨界表面張力を上記範囲に規定することにより、良好な金型離型性が得られる理由については明らかでないが、該臨界表面張力が上記範囲を外れる場合、所望の離型性が得られず好ましくない。
【0022】
該臨界表面張力調節剤はポリカーボネートの成型品の表面性、透明性や色調の特性が悪化しないように、ポリカーボネートに類似の化学構造を有する有機低分子化合物が好ましくあげられる。該有機低分子化合物の分子量とは本発明のポリカーボネートの分子量の最小値12000より小さいものを指し、ポリカーボネートに類似の化学構造を有する有機低分子化合物がポリカーボネート中に配合された場合、ポリカーボネート中で相分離を起こしにくいために表面性、透明性および色調を悪化させない。さらにより好ましくは下記式(II)で表される化合物(a)と下記式(III)で表される化合物(b)
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
[上記式(II)、上記式(III)において、R1、R2、R3、R4、Wは上記式(I)におけるR1、R2、R3、R4、Wと同じ置換基を表す。]
があげられる。上記式(II)および上記式(III)で表される化合物(a)および(b)を臨界表面張力調節剤として用いる場合には、該化合物の含有量の合計が300〜2000ppmの範囲であり、かつ化合物(a)の化合物(b)に対する重量比が0.02〜2.0の範囲であることがより好ましい。
【0026】
上記化合物(a)と化合物(b)含有量の合計は、良好な離型性を得るために好ましくは500〜1800ppm、さらに好ましくは800〜1500ppmの範囲である。化合物(a)と化合物(b)の含有量の合計が300ppmに満たない場合は所望の離型性が得られず、また2000ppmを超える場合は、得られる成型品の色調や機械物性に悪影響を及ぼすため好ましくない。これらの化合物の含有量は公知の方法で測定可能だが、ポリマー再沈殿法により抽出される有機低分子化合物を高速液体クロマトグラフィーで測定し、検量する方法;有機低分子化合物に対しては溶解性が高く、ポリカーボネートには溶解性がない有機溶媒を用いてソックスレー抽出を行い、溶媒を溜去して検量する方法等があげられ、前者の方法がより好ましい。また良好な離型性を得るために、化合物(a)の化合物(b)に対する重量比(a)/(b)は、0.02〜2.0好ましくは0.4〜2.0、とりわけ0.5〜2.0の範囲が好ましい。該重量比がこの範囲を超える場合、およびこの範囲に満たない場合、所望の離型性が得られず好ましくない。
【0027】
本発明のポリカーボネート組成物の製造において、該含有量を上記の範囲に制御するには、溶融重合反応初期条件および/または溶融重合反応後期条件で温度、減圧度を適切に保ち重合反応と同時に合成かつ制御する方法や、重合の最終段階で別途合成した該化合物を溶融状態のポリカーボネートへ混合する方法や、重合終了後一旦ポリカーボネートを固化し再溶融時に該化合物を混合する方法等があげられ、いずれの手法でも構わない。好ましくは、溶融重合反応中に合成かつ制御を行う方法が、化合物(a)および化合物(b)の添加工程を特に必要とせず、コスト面や工程数の面で非常に優れた方法である。化合物(a)、化合物(b)の好ましい例として下記式(IV)、(V)で表される化合物(A)、化合物(B)があげられる。
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
該重量比を規定の範囲にする方法としては、例えば重合反応装置の特徴を考え重合反応仕込み時の炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物モル比を高める方法(例えば1.03〜1.10の間に設定し重合を行うこと;重合原料仕込みモル比制御法)、および/または重合反応終了時点においてUSP5696222号記載の方法に従い、サリチル酸エステル系化合物によりOH末端基を封止する方法等が具体的に挙げられる。
【0031】
上記のごとくポリカーボネートの組成物において、特に連続射出成型においてより良好な金型離型性を得るために、成型品の臨界表面張力を規定することが必須であるが、上記のごとく特定有機低分子化合物の含有量、およびそれらの重量比を規定することも併用することが好ましい。
【0032】
(溶融法ポリカーボネートの原料、製造条件)
本発明のポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合性化合物を反応させて得られ、好ましくは芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを溶融重縮合させる溶融法で製造されるポリカーボネートである。溶融法はプロセス、原料を含めたコスト面、含ハロゲン溶媒などの重合溶媒を用いずに済む点、さらに炭酸エステル形成化合物としてホスゲンなどの有害化合物を用いずに済む点から界面重合法に比べて好ましい。
【0033】
溶融法は常圧およびまたは減圧不活性ガス雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノールを溜去させることで行われる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、反応により生成するアルコールまたはフェノールを除去するため通常120〜350℃の範囲である。従来、溶融法によるポリカーボネートの製造において、通常反応初期には180〜220℃の温度範囲で徐々に昇温しつつ、反応系内を1.33〜16.0kPa(10〜120mmHg)に徐々に減圧するが、本発明のポリカーボネートの製造においては、上記の特定成分含有量を特定範囲にするために、特に反応初期において180〜220℃の温度範囲で徐々に昇温しつつ、反応系内を2.67〜20.0kPa(20〜150mmHg)の範囲で徐々に減圧し反応させるのが好ましい。
【0034】
反応後期には系内をさらに減圧にして生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応後期の系の内圧は、通常0.13kPa(1mmHg)以下である。
【0035】
本発明で使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、たとえば2,2―ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略す)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等、およびその芳香環に例えばアルキル基、アリール基等が置換されたものがあげられ、これらは単独で用いてもまたは2種以上併用してもよい。中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)がモノマーとしての安定性、更にはそれに含まれる不純物の量が少ないものの入手が容易である点等より好ましい物としてあげられる。
【0036】
また炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられ、なかでもコスト面からジフェニルカーボネートが好ましい物としてあげられる。
【0037】
(重合触媒)
本発明においては、重合速度を速めるために重合触媒を使用することができる。該重合触媒としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属の無機塩、水酸化物、アルコキシド、有機酸塩、および/または第4級アンモニウム塩などの含窒素塩基性化合物、および/または第4級ホスホニウム塩などの含リン塩基性化合物などの、通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒が挙げられる。触媒は単独で用いてもまたは2種以上併用してもよい。なかでも色相や熱安定性または重合速度が大きい点から、(i)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物、および(ii)含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物を組み合わせた触媒が好ましい。
【0038】
触媒として本発明に使用される該アルカリ金属および/または該アルカリ土類金属としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、燐酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0039】
具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、ナトリウムリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0040】
なかでもナトリウム化合物は、ナトリウム以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物に比べて、製造される芳香族ポリカーボネートの耐久性に与える影響が少ないことから、本発明において耐久性に優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、触媒としてナトリウム化合物を使用することが好ましい。
【0041】
本発明におけるこれらの重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物を使用する場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し0.05〜5μ化学当量、好ましくは0.07〜3μ化学当量、特に好ましくは0.07〜2μ化学当量の範囲で選択される。
【0042】
また該含窒素塩基性化合物の具体的例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(PhCH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アラルキル基などを有するアンモニウムヒドロキシド;テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムエトキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの第三級アミン;あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)などの塩基性塩などを挙げることができる。
【0043】
また該含リン塩基性化合物の具体例としてはたとえばテトラメチルホスホニウムヒドロキシド(Me4POH)、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド(Et4POH)、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(Bu4POH)、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド(PhCH2(Me)3POH)、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロキシド類;あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド(Me4PBH4)、テトラブチルホスホニウムボロハイドライド(Bu4PBH4)、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(Bu4PBPh4)、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(Me4PBPh4)などの塩基性塩などを挙げることができる。
【0044】
上記含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物は、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が芳香族ジヒドロキシ化合物、1モルに対し、10〜1000μ化学当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい使用割合は同じ基準に対し20〜500μ化学当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し50〜500μ化学当量となる割合である。
【0045】
(失活剤)
本発明においては、分子量の低下や着色の起こりにくい良好な安定性をもつ芳香族ポリカーボネートを得るために、かつ重合後の該ポリマーの各種状況下の安定性を良好なものとするために、溶融ポリマーの溶融粘度安定性に注目した。この値を0.5%以下にすることが必須であり、そのために特に重合後に溶融粘度安定化剤を用いることが好ましい。なお溶融粘度安定性とは、窒素気流下、せん断速度1rad/sec、300℃で30分間測定した溶融粘度の変化を絶対値で評価し、1分間あたりの変化率であらわした数値である。
【0046】
本発明における溶融粘度安定化剤は、ポリカーボネート製造時に使用する重合触媒の活性の一部または全部を失活させる作用もある。
【0047】
溶融粘度安定化剤を添加する方法としては、例えば、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、一旦ポリカーボネートをペレタイズした後、再溶融し添加しても良い。前者においては、反応槽内または押し出し機内の反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、また重合後得られたポリカーボネートが反応槽から押し出し機を通ってペレタイズされる間に、溶融粘度安定化剤を添加して混練することもできる。
【0048】
溶融粘度安定化剤としては、公知のいかなる剤も使用できるが、得られるポリマーの色調や耐熱性、耐沸水性などの物性の向上に対する効果が大きい点から、有機スルホン酸の塩、有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸無水物、および有機スルホン酸ベタインなどのスルホン酸化合物を使用することが好ましい。なかでもスルホン酸のホスホニウム塩および/またはスルホン酸のアンモニウム塩を使用することが好ましい。そのなかでも特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(以下DBSPと略す)やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩などが好ましい例として挙げられる。
【0049】
本発明におけるこれら失活剤の使用量は触媒として用いるアルカリ金属、アルカリ土類金属に対して0.05〜20倍相当の化学当量の範囲で選択される。
【0050】
なお上記に説明した製造方法は溶融重合反応と同時に臨界表面張力調節剤を合成、量の制御を行う方法としても好ましく用いられる。
【0051】
(成型条件)
本発明におけるポリカーボネート組成物の射出成型はいかなる装置を用いて行ってもよいが、成型機のシリンダーにおける設定温度は250〜400℃が好ましい。設定温度が250℃に満たない場合ポリマーの流動性が低いために良好な成型品が得られず、特にポリカーボネートの主要用途の一つである光ディスク基板の成型ではスタンパー信号の転写性が低下するため好ましくない。400℃を超える場合ポリマーが熱劣化を生じ色調や機械物性が著しく悪化するため好ましくない。また、金型における設定温度は50〜140℃が好ましく、設定温度が50℃に満たない場合は成型品に離型むらが生じ、140℃を超える場合は所望の離型性が得られず好ましくない。
【0052】
(添加剤)
本発明の成型方法によって各種成型品を成型する場合に、用途に応じて従来公知の離型剤、加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などを添加してもよい。
【0053】
(用途)
本発明の成型方法はいかなる用途の成型に使用してもよく、例えば電子・通信器材;OA機器;レンズ、プリズム、光ディスク基板、光ファイバーなどの光学部品;家庭電器、照明部材、重電部材などの電子・電機材料;車両内外装、精密機械、絶縁材などの機械材料;医療材料;保安・保護材料;スポーツレジャー用品;家庭用品などの雑貨材料;容器・包装材料;表示・装飾材料などとして好適に用いることができる。また、本発明における光ディスク基板としては、例えば成型基板の厚みが1.2mmのCD、LD、CD−ROM、CD−R、光磁気ディスク、相変化型ディスク等の基板、厚みが1.2mmの単板を2枚貼り合わせることによって得られる基板、厚みが0.6mmの基板、厚みが0.6mmの単板であるDVD用の成型基板を2枚張貼り合わせることによって得られるDVD基板などが挙げられる。DVD基板としては例えば、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAMなどの基板が挙げられる。
【0054】
【実施例】
以下に実施例をあげて更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、ポリマーの各評価は以下の方法により行った。
1)金型離型性;離型抵抗値の測定
各ポリマーを名機(株)製 M−50B成型機でシリンダー温度380℃、金型温度80℃で連続射出成型を行い、成型品の離型時に突出ピンにかかる荷重とブランク時の荷重を、ピンのシリンダー内油圧によって検出し、その差を離型抵抗値(単位;PaまたはKg/cm2)とした。この値が1.47GPa(15Kg/cm2)以下である場合にポリマーの離型性は良好であると評価した。1回の測定は連続500ショットの成型を行い、401〜500ショット目の離型抵抗値の平均値とした。
【0055】
2)臨界表面張力の測定
JIS規格K6768に準拠した。すなわち、ぬれ試験液(ホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル混合液;和光純薬(株))および発色剤(ビクトリアブルーB;和光純薬(株))を用いて成型板表面の表面張力(30〜56dyn/cm;330〜560μN/cm)を測定した。各ポリマーにつき30検体の成型板を用い、各成型板ごとに5点ずつの測定を行い平均した。
【0056】
3)特定成分の抽出と定量
ポリマー中の下記式(IV)および下記式(V)で表される化合物(A)および(B)の含有量は、ポリマー再沈殿法により抽出される低分子量成分を高速液体クロマトグラフィーで測定した。本発明におけるポリマー再沈殿法、および高速液体クロマトグラフィー測定は以下の方法で行った。すなわち、各ポリマー10.0gを塩化メチレン100mlに溶解し、攪拌しつつアセトニトリルを900ml滴下してポリマーを再沈殿させ、塩化メチレンを減圧溜去した後、沈殿物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾別した。この濾液を高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製、LC−8020)を用いて測定し、化合物(a)および(b)を定量した。
高速液体クロマトグラフィーは、Develosil、ODS−7カラム(300mm X Φ4mm、40℃恒温)を使用し、溶離液は水:アセトニトリル(6:4→0:10グラジエント)、検出波長は253nmで測定し、各成分のピーク面積から定量した。各ポリマーにつきポリマー再沈殿法による抽出以降の処理を5回ずつ行い測定値を平均した。
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
4)成型品の表面性
各ポリマーの成型品表面を目視で観察し、クモリ、ツヤ、銀条、ヒケ、ザラツキの有無を評価した。これらが発生していないものについて、成型品表面性が良好であると判断した。
【0060】
5)粘度平均分子量
0.7g/dlの塩化メチレン溶液をウベローデ型粘度計を用い固有粘度を20℃で測定し、下記数式(IV)により粘度平均分子量を求めた。
[η]=1.23×10-4×M0.83 (VI)
[上記数式(VI)において[η]は固有粘度を、Mは粘度平均分子量をあらわす。]
【0061】
[実施例1]
ビスフェノールA(22.8kg)、ジフェニルカーボネート(22.1kg)(BPA:DPC=1モル:1.033モル)と重合触媒として、ビスフェノールAのジナトリウム塩0.007g(Na:0.5μ化学当量/ビスフェノールA1モル)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.91g(100μ化学当量/ビスフェノールA1モル)を、攪拌装置、蒸溜塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み、窒素置換した後、180℃で溶融し内圧16.0kPa(120mmHg)で40分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し8.7kPa(65mmHg)で40分間フェノールを溜去しつつ反応させた。さらに220℃/5.3kPa(40mmHg)まで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧力条件下で35分間反応させ、さらに240℃/1.3kPa(10mmHg)、260℃/0.13kPa(1mmHg)、280℃/0.13kPa(1mmHg)以下にまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し反応を続行した。最終的に同温、同圧で重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点でポリマーの一部を採取し、粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300になるまで反応せしめ、その後溶融粘度安定化剤DBSP、0.058g(1μ化学当量/ビスフェノールA1モル相当;触媒Naの2倍)を添加し、同温、同圧にて10分間混合攪拌し、触媒を失活、不活性化した。なお溶融粘度安定性は0.5%以下であった。得られたポリカーボネート組成物をシリンダー温度380℃で射出成型し、成型品の物性測定の結果を表1に示した。
【0062】
[実施例2]
実施例1において、重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリマーの粘度平均分子量が15300まで反応せしめた後、2−メトキシカルボニルフェニル−フェニルカーボネート(570g;末端OHの80%)を添加し、同温度、13.3kPa(100mmHg)で2分間混合攪拌し次いでポリマーの一部を採取し粘度平均分子量を測定しつつ同温度、0.13kPa(1mmHg)で粘度平均分子量15300になるまで攪拌し、その後実施例1と同様にして溶融粘度安定化剤を添加した。その結果溶融粘度安定性は0.5%以下であった。得られたポリカーボネート組成物を射出成型し、成型品の物性測定の結果を表1に示した。
【0063】
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、粘度平均分子量22500のポリマーを製造した。
溶融粘度安定性は0.5%以下であった。得られたポリカーボネート組成物を射出成型し、成型品の物性測定の結果を表1に示した。
【0064】
[実施例4]
実施例2と同様の方法で、粘度平均分子量22500のポリマーを製造した。溶融粘度安定性は0.5%以下であった。得られたポリカーボネート組成物を射出成型し、成型品の物性測定の結果を表1に示した。
【0065】
[比較例1]
ビスフェノールA(22.8kg)、ジフェニルカーボネート(21.4kg)(BPA:DPC=1:1.000)を用い、実施例1と同様にして粘度平均分子量15300のポリマーを製造した。溶融粘度安定性は0.5%以下であった。成型品の臨界表面張力は37.6μN/cmであった。得られたポリカーボネート組成物を射出成型し、成型品の物性測定の結果を表1に示した。
【0066】
[比較例2]
ビスフェノールA(22.8Kg)、ジフェニルカーボネート(21.4Kg)(BPA:DPC=1モル:1.000モル)と重合触媒として、ビスフェノールAの2Na塩0.007g(0.5μNa化学当量/ビスフェノールA1モル)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.91g(100μ化学当量/ビスフェノールA1モル)を、攪拌装置、蒸溜塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み、窒素置換した後、180℃で溶融し内圧10.6kPa(80mmHg)で25分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し5.3kPa(40mmHg)で25分間フェノールを溜去しつつ反応させた。さらに220℃/2.7kPa(20mmHg)まで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧力条件下で20分間反応させ、さらに240℃/1.3kPa(10mmHg)、260℃/0.13kPa(1mmHg)、280℃/0.13kPa(1mmHg)以下にまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し反応を続行した。最終的に同温、同圧で重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点でポリマーの一部を採取し、粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300になるまで反応せしめ、その後溶融粘度安定化剤DBSP、0.058g(1μ化学当量/ビスフェノールA1モル相当;触媒Naの2倍)を添加し、同温、同圧にて10分間混合攪拌し、触媒を失活、不活性化した。
比較例1と同様にして粘度平均分子量15300のポリマーを製造した。溶融粘度安定性は0.5%以下であった。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート組成物は、その成型品の臨界表面張力を特定の範囲に規定することにより、良好な金型離型性をもつことは上記の実施例より明らかである。
Claims (4)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成化合物を反応してなる、主たる繰り返し単位が下記式(I)
であり、2つの該化合物が合計300〜2000ppmの範囲で含有しており、かつ化合物(a)の化合物(b)に対する重量比が0.02〜2.0の範囲である臨界表面張力調節剤からなり、シリンダー温度380℃で射出成型した場合に、得られる成型品の臨界表面張力が34.0〜37.0dyn/cmの範囲にあり、粘度平均分子量12000〜100000であり、かつ溶融粘度安定性0.5%以下である金型離型性に優れたポリカーボネート組成物。 - 粘度平均分子量が13000〜28000であることを特徴とする、請求項1に記載の金型離型性に優れたポリカーボネート組成物。
- 上記ポリカーボネート組成物が、塩基性エステル交換触媒により溶融重縮合されたものであり、該塩基性エステル交換触媒が、塩基性窒素化合物および/または塩基性リン化合物とアルカリ金属化合物とを用い、かつ該アルカリ金属化合物を、アルカリ金属元素として、芳香族ヒドロキシ化合物に対して1×10-8〜5×10-6化学当量用いることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物を射出成型して得られる成型品。
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