JP5275534B2 - ポリカーボネート組成物、およびその成型方法 - Google Patents

ポリカーボネート組成物、およびその成型方法 Download PDF

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Description

本発明は金型離型性に優れたポリカーボネート組成物、およびポリカーボネート組成物の成型方法に関し、詳しくは成型後の金型への付着物について特定の成分を特定の範囲で含有することを特徴とする金型離型性に優れたポリカーボネート組成物、およびその成型方法に関する。また成型金型表面の臨界表面張力が特定の範囲であるポリカーボネート組成物、およびその成型方法に関する。
ポリカーボネートは、色相、透明性、機械強度に優れたエンジニアリングプラスチックである。近年その用途は多岐にわたり様々な成型品への加工がなされているが、特に優れた機械強度を持つことから光ディスク基盤や電化製品ハウジングといった、肉薄で表面積比の高い成型品の材料として大量に使用されている。かかる成型品は一般に金型射出によって成型されるが、該成型方法では成型品を離型する過程において成型品の金型離型性が悪いと、生産効率に支障をもたらすことが従来より懸念され、生産規模が大きいほど重要な問題とされている。
特に光ディスク基盤は通常、スタンパーに刻印された信号をポリカーボネート基盤上に正確に転写するために、射出成形機のシリンダー温度を350〜400℃の高温にして樹脂の流動性を向上させるが、そのためスタンパーが装着される金型の温度も80〜120℃の高温に設定する必要がある。しかし金型温度が高いと成型品の金型離型性の低下や離型むら発生、転写性が悪くなるといった問題が生じる。これを防ぐために成型品の離型前に金型を十分に冷却する必要があるが、通常成型サイクルが長くなり生産性が低下するため望ましくない。かかる理由から近年、金型離型性が良好なポリカーボネートの射出成型方法の開発が強く望まれている。
ポリカーボネートの離型性を改善するためには離型剤を添加する方法が有効であることが従来公知である。離型剤として種々の化合物が知られており、具体的には特公昭47−41092号公報に、高級脂肪族カルボン酸と高級脂肪族アルコールもしくは多価アルコールとのエステルまたは部分エステルを添加することが提案されている。一般に離型剤の添加量は多いほど離型性は向上するが、離型剤を多く添加することは周知のごとくコスト面、工程数増加の点から望ましくなく、また剤の影響でポリマーの色相や透明性、機械強度といったポリカーボネートの特長に悪影響を及ぼすことが懸念される。
かかる背景から、離型剤の添加量を抑えて、簡便、安価に成型品を製造するために、離型剤を加える方法以外に、ポリカーボネートの金型離型性を改善する方法の開発が強く望まれている。
発明が解決しようとする課題
本発明は金型離型性が良好なポリカーボネート組成物の成型方法を開発することを課題とする。
課題を解決するための手段
本発明者らは射出成型後に成型金型に付着する成分中の、特定オリゴマー成分の含有量を特定範囲に規定すること、または成型金型のポリマー接触表面の臨界表面張力を特定の範囲に規定すること、さらにそれら2点を組み合わせることにより、ポリカーボネート組成物の金型離型性が良好となることを見出し、本発明に至った。以下本発明を詳細に説明する。
ポリカーボネート組成物からの成型品の金型離型性には、当然ながら成型金型のポリマー接触表面の表面物性が関与するが、従来、良好な離型性を得るためには如何なる表面物性が要求されるかという点は明確にされていない。本発明では、離型性に対して連続射出成型後の金型表面に付着物の成分が関与することを発見し、さらに付着成分中の特定オリゴマーの含有量を特定範囲に規定することが、良好な離型性を得るために有効であることを見出した。
すなわち、本発明の成型方法では、ポリカーボネート組成物が良好な金型離型性をもつために、シリンダー温度380℃、金型温度80℃、射出速度200mm/sec、保持圧力3432kPa(35kgf/cm2)の条件で120mm×50mm、厚さ2mmの板を射出成型した後に成型金型のポリマー接触表面に付着する成分中に、高速液体クロマトグラフィーで検出測定される、下式(2)で表される化合物(A)、および下式(3)で表される化合物(B)
Figure 0005275534
(R1、R2、R3、R4、およびWは式(1)の定義に同じである。R5、R6、R7はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基である。)
について、化合物(A)含有量の、化合物(B)含有量に対する重量比が0.05〜5.0の範囲であることを特徴とする。
ここで金型のポリマー接触表面に付着した成分を分析するには、ある程度以上連続成型した後でないと十分な量が付着しない可能性がある。例えば100ショット連続後に付着した成分を分析するなどして評価することができる。
式(2)および式(3)において、R5,R6、R7がフェニル基である場合に最も良好な離型性が得られる。
また、化合物Aの化合物Bに対する重量比(以下、A/Bと略記する)は、良好な離型性を得るために好ましくは0.075〜5.0、とりわけ0.1〜5.0の範囲が好ましい。A/Bが0.05〜5.0の範囲を超える場合、およびこの範囲に満たない場合、所望の離型性が得られず好ましくない。
更に本発明において、良好な離型性を得るために、100ショット連続後に付着した後の金型への付着物中に検出される化合物Aと化合物Bとの合計(以下A+Bと略記する)がポリマー接触表面積1cm2あたり0.005〜0.1mgの範囲であり、好ましくは0.005〜0.075mg、とりわけ0.005〜0.05mgの範囲が好ましい。A+Bが0.005mgに満たない場合は所望の離型性が得られず、また0.1mgを超える場合は、得られる成型品の表面性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
A/BおよびA+Bを上記の規定範囲にせしめる方法としては、例えば、成型前のポリカーボネートに化合物(A)または化合物(B)、あるいはその混合物を添加する方法が挙げられる。かかる剤の添加はいかなる方法で行ってもよいが、連続成型において安定した離型性を得るためには(A)、(B)の金型付着量が安定している必要があることから、ポリマー中に化合物(A)と化合物(B)を均一に分散させるよう、混練押出し機を用いて添加する方法が好ましい。
また、別の方法として例えば、化合物(A)または化合物(B)、あるいはその混合物を金型のポリマー接触表面に適時塗布してもよい。金型に塗布する方法としては、化合物(A)と化合物(B)の混合物を低沸点の有機溶媒などに溶解し、その溶液を金型に吹付ける方法が挙げられる。
また、さらに別の方法として例えば、成型されるポリカーボネート製造時の重合反応終了時点においてUSP 5696222号記載の方法に準じ、サリチル酸エステル系化合物によりOH末端基を封止する方法によって、化合物(A)、または化合物(B)のポリマー中含有量を制御することでもA/Bを規定範囲にせしめることは可能である。ただし、ポリカーボネートの製造装置や製造スケールによって末端封止反応の条件を精密に検討する必要があることや、工程数が増加することから、本発明を実施するのに最適な方法であるとは必ずしもいえない。
本発明では更に、ポリカーボネート組成物成型品の離型性に対して、成型金型のポリマー接触表面の臨界表面張力が関与することを発見し、さらにこれを特定範囲に規定することが、良好な離型性を得るために有効であることを見出した。
前述のごとく金型付着物中の特定成分が特定範囲にあれば、良好な金型離型性が得られるが、かかる範囲内であっても、金型表面の臨界表面張力は付着物の均一性、ムラなどの状態により異なる。当然ながら付着物の均一性が高いほど、特に連続成型時において安定して良好な離型性が得られるが、本発明者らの鋭意研究から、金型表面が良好な離型性を得るために最適な、ムラの少ない均一な表面状態であるとき、該表面の臨界表面張力は特定の範囲に収まることが明らかとなった。従って金型のポリマー接触表面の臨界表面張力を規定することによって、一層良好な金型離型性が得られる。
すなわち本発明の組成物では、ポリカーボネート組成物をシリンダー温度380℃、金型温度80℃、射出速度200mm/sec、保持圧力3432kPa(35kgf/cm2)の条件で120mm×50mm、厚さ2mmの板を100ショット連続射出成型した後の、成型金型のポリマー接触表面の臨界表面張力が、JISK6768に準拠した測定で32〜39dyn/cmの範囲であることを特徴とする。さらに良好な離型性を得るために好ましくは、上記の臨界表面張力が、32.5〜39dyn/cmであり、より好ましくは33〜39dyn/cmである。臨界表面張力が上記範囲を外れる場合には付着にムラが生じており、所望の離型性が得られず好ましくない。
なお、本発明における金型のポリマー接触表面の臨界表面張力は、JIS K6768、ポリプロピレンの濡れ試験測定方法に準拠して測定される。金型表面は一般に金属であるが、連続射出成型後にはポリマーから発生する成分が付着するために、その臨界表面張力は金属本来の値と大きく異なり、ポリマー表面にみられる臨界表面張力に近い値となる。そのため、本発明における金型のポリマー接触表面の臨界表面張力は該方法によって測定される。
本発明におけるポリカーボネート組成物に含まれるポリカーボネートは、粘度平均分子量12,000〜100,000であり、主たる繰り返し単位が次式(1)
Figure 0005275534
(式中のR 、R 、R 、およびR は、それぞれ独立に、炭素数1〜20アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、Wは単結合、酸素原子、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基または炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基である。)で表わされる。
上記ポリカーボネートにおいて、末端水酸基濃度はポリマー1トンあたり5〜100当量の範囲であり、好ましくは5〜80当量、さらに好ましくは5〜60当量、特に好ましくは5〜50当量である。かかる量比で末端水酸基が含有されることにより、金型表面と成型品表面との接着性が、離型性を良好にする範囲に制御されるものと判断される。末端水酸基は少ないほど良好な離型性が得られるが、末端水酸基濃度を5当量より減少させても更なる転写性の向上は少ない。また末端水酸基濃度を100当量以上導入したときは、成型時に酸化反応に起因すると推定される成型品の焼けが発生し本発明の目的に好ましくない。
本発明で射出成型されるポリカーボネート組成物はいかなる方法で製造してもよいが、プロセス、原料を含めたコスト面や、含ハロゲン溶媒などの重合溶媒を用いずに済む点、さらに炭酸エステル形成性化合物としてホスゲンなどの有害化合物を用いずに済む点から溶融法や固相重合法、なかでも溶融法で製造するのが好ましい。
溶融法は常圧およびまたは減圧不活性ガス雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させることで行われる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、反応により生成するアルコールまたはフェノールを除去するため通常120〜350℃の範囲である。従来、溶融法によるポリカーボネートの製造において、通常、反応初期には180〜220℃の温度範囲で徐々に昇温しつつ、反応系内を10〜100mmHgに徐々に減圧するが、本発明のポリカーボネートの製造においては、連続射出成型時の金型のポリマー接触表面に付着する成分中の上記の特定成分含有量を特定範囲にするために、特に反応初期において180〜220℃の温度範囲で徐々に昇温しつつ、反応系内を40〜150mmHgの範囲と、系内圧を通常よりも高めにし、反応時間を通常よりも長くして反応させるのが好ましい。反応後期には系内をさらに減圧にして生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応後期の系の内圧は、通常1mmHg以下である。
本発明のポリカーボネートの製造に使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略す)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等及びその芳香環に例えばアルキル基、アリール基等が置換されたものがあげられ、これらは単独で用いてもまたは二種以上併用してもよい。なかでもコスト面からビスフェノールAが特に好ましい。
また炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられ、なかでもコスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明においては、重合速度を速めるために重合触媒を使用することができ、重合触媒としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、第4級アンモニウム塩などの含窒素塩基性化合物、第4級ホスホニウム塩などの含リン塩基性化合物などの、通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒が挙げられる。触媒は単独で用いてもまたは2種以上併用してもよい。なかでも色相や熱安定性または重合速度が大きい点から、(i)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物、および(ii)含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物を組み合わせた触媒が好ましい。
含窒素塩基性化合物として例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの第三級アミン、あるいはテトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩などを挙げることができる。
また含リン塩基性化合物の具体例としてはたとえばテトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロキシド類、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド、テトラブチルホスホニウムボロハイドライドなどの塩基性塩などを挙げることができる。
上記含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物は、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が原料の芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、10〜1000μ化学当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい使用割合は同じ基準に対し20〜500μ化学当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し50〜500μ化学当量となる割合である。
触媒として本発明に使用されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属としては、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物や炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化硼素塩、安息香酸塩、燐酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸セシウム、フェニル化硼素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、ナトリウムリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
なかでもナトリウム、リチウム、またはセシウム化合物は、その他のアルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物に比べて、製造されるポリカーボネートの耐久性に与える影響が少ないことから、本発明において耐久性に優れたポリカーボネートを得るために、触媒としてナトリウム化合物を使用することが好ましく、それらの中でもさらにナトリウムが好ましい。
本発明におけるこれらの重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物を使用する場合は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し0.05〜5μ化学当量、好ましくは0.07〜3μ化学当量、特に好ましくは0.07〜2μ化学当量の範囲で選択される。
本発明においては、特に射出成型後に分子量の低下や着色の起こりにくい良好な安定性をもつポリカーボネート組成物を得るために、重合後の該ポリマーの各種状況下の安定性を良好なものとするため、溶融ポリマーの溶融粘度安定性に注目し、この値を0.5%以下にすることが必須であり、そのために特に重合後に溶融粘度安定化剤を用いることが好ましい。なお溶融粘度安定性は、窒素気流下、剪断速度1rad/sec、300℃で30分間測定した溶融粘度の変化を絶対値で評価し、1分間あたりの変化率で表わす。
本発明における溶融粘度安定化剤は、ポリカーボネート製造時に使用する重合触媒の活性の一部または全部を失活させる作用もある。
溶融粘度安定化剤を添加する方法としては、例えば、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、一旦ポリカーボネートをペレタイズした後、再溶融し添加しても良い。前者においては、反応槽内または押し出し機内の反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、また重合後得られたポリカーボネートが反応槽から押し出し機を通ってペレタイズされる間に、溶融粘度安定化剤を添加して混練することもできる。
溶融粘度安定化剤としては、公知のいかなる剤も使用できるが、得られるポリマーの色相や耐熱性、耐沸水性などの物性の向上に対する効果が大きい点から、有機スルホン酸の塩、有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸無水物、および有機スルホン酸ベタインなどのスルホン酸化合物を使用することが好ましい。なかでもスルホン酸のホスホニウム塩および/またはスルホン酸のアンモニウム塩を使用することが好ましい。そのなかでも特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩などが好ましい例として挙げられる。
本発明においてポリカーボネート組成物の離型性をより一層良好に実施する為、ポリカーボネートが下記式(4)〜(6)
Figure 0005275534
(式中、R1、R2、R3、R4、およびWは式(1)の定義に同じである。)
で表される分岐成分を、これらの合計量でカーボネート結合に対し0.001〜0.15モル%含有する事が好ましい。さらに好ましくは0.005〜0.1モル%、特段に好ましくは0.007〜0.1モル%の範囲である。上記3種類の分岐構造のうち、少なくとも1種類が存在すれば、本発明の離型性の向上に好ましい効果が見られるが、3種類のうち、2種類あるいは3種類含まれていてもよい。
また、本発明におけるポリカーボネート組成物は、上記ポリカーボネート100重量部あたり、炭素数10〜25の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族多価アルコールのエステルを0.005〜0.2重量部の範囲で含有する。炭素数10〜25の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族多価アルコールのエステルは、より良好な離型性を得るために好ましくはポリカーボネート100重量部あたり0.005〜0.1重量部、更に好ましくは0.0075〜0.07重量部、更に好ましくは0.01〜0.05重量部の範囲であることが好ましい。
このエステル成分が0.005重量部に満たない場合、所望の離型性が得られず、0.2重量部を超える場合、成型品の表面性低下や、成型金型汚染を生じるため好ましくない。
本発明でいう炭素数10〜25の脂肪族モノカルボン酸とは、脂肪族の直鎖状あるいは分岐状カルボン酸を含有し、また飽和あるいは不飽和カルボン酸を共に含有する。かかる脂肪族モノカルボン酸としては、具体的には、直鎖状カルボン酸であるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、および分岐脂肪酸であるイソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコ酸が挙げられる。その他不飽和カルボン酸である、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸等が例示される。
又本発明にいう炭素数2〜10脂肪族多価アルコールとしては具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、或は1,4−ブテンジオール、さらにはソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が例示される。
これら脂肪族モノカルボン酸と脂肪族多価アルコールのエステルの具体例としては、上記脂肪族モノカルボン酸の少なくとも一種と、脂肪族多価アルコールの少なくとも一種とのエステルが示される。
具体的には、エチレングリコールモノイソパルミテート、エチレングリコールジステアレート、プロピレングリコールジオレート、プロピレングリコールモノイソミリステート、1,4−ブタンジオールジイソパルミテート、1,4−ブテンジオールジイソステアレート、1,4−ブテンジオールモノステアレート、1,4−ブテンジオールジステアレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノミリステート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノベヘネート、グリセロールモノイソミリステート、グリセロールモノイソステアレート、グリセロールモノオレート、グリセロールモノリノレート、グリセロールジパルミテート、グリセロールジステアレート、グリセロールジイソパルミテート、グリセロールジイソステアレート、グリセロールジオレート、グリセロールステアレートイソパルミテート、グリセロールトリミリステート、グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート、グリセロールトリイソステアレート、トリメチロールプロパンモノステアレート、トリメチロールプロパンモノベヘネート、トリメチロールプロパンモノイソパルミテート、トリメチロールプロパンモノオレート、トリメチロールプロパンジパルミテート、トリメチロールプロパンジイソステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、トリメチロールプロパントリイソミリステート、トリメチロールプロパントリオレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールジイソパルミテート、ペンタエリスリトールトリオレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトライソパルミテート、ペンタエリスリトールジオレートジステアレート、その他ソルビタンモノステアレート、ショ糖ジイソステアレート等が例示される。
これらの中でのグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのエステル類が好ましく使用される。
そのほか、以下例示する離型剤を所望により併用しても良い。即ち、炭化水素系離型剤として、天然、合成パラフィンワックス類、ポリエチレンワックス、フルオロカーボン類等、脂肪酸系離型剤としてはステアリン酸等の高級脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸等のオキシ脂肪酸等、脂肪酸アミド系離型剤としてはエチレンビスステアリルアミドなどの脂肪酸アミド、エルカ酸アミド等のアルキレン脂肪酸アミド類、アルコール系離型剤としてはステアリルアルコール、セチルアルコールなどの脂肪族アルコール、多価アルコールとしてポリグリコール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン類などを挙げることができる。その他ポリシロキサン類も使用可能である。これらは単独で用いても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
本発明におけるポリカーボネート組成物の射出成型はいかなる装置を用いて行ってもよいが、成形機のシリンダーにおける設定温度は250〜400℃が好ましい。設定温度が250℃に満たない場合ポリマーの流動性が低いために良好な成型品が得られず、特にポリカーボネートの主要用途の一つである光ディスク基盤の成型ではスタンパー信号の転写性が著しく低下するため好ましくない。400℃を超える場合ポリマーが熱劣化を生じ色相や機械物性が著しく悪化するため好ましくない。また,金型における設定温度は50〜140℃が好ましく、設定温度が50℃に満たない場合は成型品に離型むらが生じ、140℃を超える場合は所望の離型性が得られず好ましくない。
また、本発明のポリカーボネート組成物には、分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、次亜燐酸、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、トリメチルホスフェートおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、本発明のポリカーボネート組成物100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。
更に、本発明のポリカーボネート組成物に本発明の目的を損なわない範囲で、剛性などを改良する為に無機および有機充填材を配合することが可能である。かかる無機充填材としてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の板状または粒状の無機充填材やガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、カーボン繊維、金属系導電性繊維等の繊維状充填材等があげられ、一方有機充填剤としてはアラミド繊維、架橋アクリル粒子、架橋シリコーン粒子等があげることができる。これら無機および有機充填材の配合量は本発明のポリカーボネート組成物100重量部に対して1〜150重量部が好ましく、3〜100重量部が更に好ましい。また、本発明で使用可能な無機充填材はシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。この表面処理により、ポリカーボネートの分解が抑制されるなど良好な結果が得られる。
本発明のポリカーボネート組成物には、他の樹脂を本発明の目的が損なわれない範囲であれば配合することもできる。かかる他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、およびエポキシ樹脂等の樹脂があげられる。
上記の方法により本発明の耐熱安定性に優れた重合体が得られるが、これを用いて各種成形品を成形する場合に用途に応じて従来公知の加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、ブルーイング剤などの色相改質剤などを添加してもよい。
本発明の成型方法はいかなる用途の成型に使用してもよく、例えば電子・通信器材、OA機器、レンズ、プリズム、光ディスク基盤、光ファイバーなどの光学部品、家庭電器、照明部材、重電部材などの電子・電機材料、車両内外装、精密機械、絶縁材などの機械材料、医療材料、保安・保護材料、スポーツレジャー用品、家庭用品などの雑貨材料、容器・包装材料、表示・装飾材料などとして好適に用いることができる。なかでも光ディスク基盤が最も好ましい例として挙げられ、例えばコンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW等、光磁気ディスク(MO)等、デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RAM等)基盤などが挙げられる。
本発明で製造されるポリカーボネート組成物からのシートは、接着性や印刷性に優れており、その特性を生かして電気部品、建材部品、自動車部品等に広く利用され、具体的には各種窓材、即ち一般家屋、体育館、野球ドーム、車両(建設機械、自動車、バス、新幹線、電車車両等)等の窓材のグレージング製品、また各種側壁板(スカイドーム、トップライト、アーケード、マンションの腰板、道路側壁板)、車両等の窓材、OA機器のディスプレイやタッチパネル、メンブレンスイッチ、写真カバー、水槽用ポリカーボネート樹脂積層板、プロジェクションテレビやプラズマディスプレイの前面板やフレンネルレンズ、光カード、光ディスクや偏光板との組合せによる液晶セル、位相差補正板等の光学用途等に有用である。かかるシートの厚みは特に制限する必要はないが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.2〜8mm、さらに好ましくは0.2〜3mmである。また、かかるポリカーボネートシートに、新たな機能を付加する各種加工処理(耐候性を改良するための各種ラミネート処理、表面硬度改良のための耐擦傷性改良処理、表面のしぼり加工、半および不透明化加工等)を施してもよい。
本発明のポリカーボネート組成物に添加剤を配合するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られるポリカーボネート樹脂組成物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、溶融押出法でシート化する。
本発明のポリカーボネートは、前記の各成分を任意の方法、例えばタンブラー、ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押し出し機等により混合して製造することができる。
以下に実施例をあげて更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、ポリマーの各評価は以下の方法で行った。
(1)金型離型性;離型抵抗値の測定
各ポリマーを名機(株)製 M−50B成型機で、シリンダー温度380℃、金型温度80℃、射出速度200mm/sec、保持圧力3432kPa(35kgf/cm2)の条件で120mm×*50mm、厚さ2mmの板を連続射出成型を行い、成型品の離型時に突出ピンにかかる荷重とブランク時の荷重をピンのシリンダー内油圧によって検出し、その差を離型抵抗値(単位;PaまたはKg/cm2)とした。この値が1.25GPa(12.75Kg/cm2)以下である場合にポリマーの離型性は良好であると評価した。各ポリマーの成型は連続500ショット行い、401〜500ショット目の離型抵抗値の平均値とした。
(2)臨界表面張力の測定
臨界表面張力の測定はJIS規格K6768に準拠して行った。すなわち、ぬれ試験標準液(ホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル混合液;和光純薬(株))および発色剤(ビクトリアブルーB;和光純薬(株))を用いて金型のポリマー接触表面の臨界表面張力を測定した。各ポリマーの成型は連続1000ショット行い、100ショット成型ごとに臨界表面張力を測定し平均した。
(3)付着物の抽出と定量
各ポリマーの成型を連続1000ショット行い、100ショット成型ごとに金型のポリマー接触表面を塩化メチレン、トルエンおよびアセトンを用いて洗浄し、洗浄液を回収した。この洗浄液を減圧濃縮後、化合物Aである下記式(7)および化合物Bである(8)で表される化合物の含有量を高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製、LC−8020)で測定、定量した。高速液体クロマトグラフィーは、Develosil、ODS−7カラム(300mm × Φ4mm、40℃恒温)を使用し、溶離液は水:アセトニトリル(6:4→0:10グラジニント)、検出波長は253nmで測定し、各成分のピーク面積から定量した。
Figure 0005275534
(4)成型品の表面性
各ポリマーの成型品表面を目視で観察し、銀条、ヒケ、ザラッキの有無を評価した。これらが発生していないものについて、成型品表面性が良好であると判断した。
[製造例1〜10]
ビスフェノールA(22.8Kg)、ジフェニルカーボネート(22.1Kg)(BPA:DPC=1.00:1.03)と重合触媒として、ビスフェノールAの2Na塩0.007g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.91gを、攪拌装置、蒸留塔及び減圧装置を備えた反応層に仕込み、窒素置換した後、180℃で溶解し内圧120mmHgで40分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し65mmHgで40分間フェノールを溜去しつつ反応させた。さらに220℃/40mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧力条件下で35分間反応させ、さらに240℃/10mmHg、260℃/1mmHg、280℃/1mmHg以下にまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し反応を続行した。最終的に同温、同圧で重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断しポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点で、ポリマーの一部を採取し粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300になるまで反応せしめた後、溶融粘度安定化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(以下DBSPと略記する)の0.058gを添加し、同温、同圧にて10分間混合攪拌し、触媒を失活、不活性化した。その後、ポリマー100重量部に対して、表1に示す脂肪族モノカルボン酸と脂肪族多価アルコールのエステル、およびりん含有化合物をそれぞれ混練押出し機で添加混練した。
[製造例11]
製造例1〜10と同様の方法で、粘度平均分子量22500のポリマーを製造し、表1に示す脂肪族モノカルボン酸と脂肪族多価アルコールのエステル、およびりん含有化合物を混練押出し機で添加混練した。
[製造例12]
ポリマー原料であるジフェニルカーボネートの使用量を、21.6Kgとした他は、製造例1〜10と同様にしてポリマーを製造した。
以下製造例1〜12で得られたポリマーの物性を表1にまとめた。
Figure 0005275534
添加剤
R1;グリセリンモノステアレート
R2;グリセリンモノイソステアレート
P1;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
P2;トリスメチルホスフェート
P3;トリスノニルフェニルホスファイト
P4;テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)4,4‘−ビフェニレンジホスファイト
P5;ビス(2,4−ジ−t−ブチルーフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
P6;リン酸
[実施例1〜10、13(ポリマー;製造例1〜11)]
製造例1〜11で得られた各ポリマーに脂肪族モノカルボン酸と脂肪族多価アルコールのエステル、およびりん含有化合物を添加する際同時に、式(1)に示す化合物Aを、ポリマー100重量部あたり0.1重量部添加混練し、これらを成型評価した。
[実施例11、12(ポリマー;製造例1、4)]
製造例1および4で得られた各ポリマーを成型する直前に、式(7)に示す化合物Aの0.1%アセトン溶液を、金型のポリマー接触表面に吹付けたが、このとき、アセトンを蒸発させた後の化合物Aの付着量が金型のポリマー接触表面積1cm2あたり0.05mgとなるように吹付け量を調整した。成型試験中、上記のように100ショット成型するごとに金型表面を有機溶媒にて洗浄を行ったが、その都度洗浄後に同様の方法で化合物Aの吹付けを行った。
[比較例1〜4(ポリマー;製造例1,4,10、11)]
製造例1,4,10,11で得られた各ポリマーに実施例1〜12のような手段を特に講じることなく、成型評価した。
[比較例5(ポリマー;製造例12)]
製造例12で得られたポリマーに添加剤を添加する際同時に、式(1)に示す化合物Aを、ポリマー100重量部あたり0.1重量部添加混練し成型評価した。
以下実施例1〜12および比較例1〜5の成型評価を表2にまとめた。
Figure 0005275534
発明の効果
本発明の方法によるポリカーボネート組成物では、連続成型後の成型金型のポリマー接触表面について、表面付着物中の特定化合物の含有量を特定範囲に規定し、または臨界表面張力を特定の範囲に規定することにより、またはそれらを組み合わせることにより、良好な金型離型性をもつことは上記の実施例より明らかである。

Claims (8)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性化合物とを反応して成る、主たる繰り返し単位が次式(1)
    【化1】
    Figure 0005275534
    (式中のR 、R 、R 、およびR は、それぞれ独立に、炭素数1〜20アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、Wは単結合、酸素原子、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基または炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基である。)
    で表わされる、粘度平均分子量が12,000〜100,000であり、溶融粘度安定性が0.5%以下であり、ポリマー1トンあたりの末端OH基量が5〜100化学当量であるポリカーボネート100重量部と、炭素数10〜25の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族多価アルコールのエステル0.005〜0.2重量部とから成るポリカーボネート組成物であって、該ポリカーボネート組成物をシリンダー温度380℃、金型温度80℃、射出速度200mm/sec、保持圧力3432kPa(35kgf/cm)の条件で120mm×50mm、厚さ2mmの板を射出成型した後の金型のポリマー接触表面の付着物について高速液体クロマトグラフィーにより検出される式(2)で表される化合物Aと、式(3)で表される化合物B
    【化2】
    Figure 0005275534
    (R、R、R、R、およびWは式(1)の定義に同じである。R、R、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基である。)
    の、化合物Aに対する化合物Bの重量比が0.05〜5.0の範囲であり、
    ポリカーボネートが下記式(4)〜(6)で表される成分のうち少なくとも1つの成分を含有し、それらの合計量がカーボネート結合に対し0.001〜0.15モル%であるポリカーボネート組成物。
    【化3】
    Figure 0005275534
    (R、R、R、R、およびWは式(1)の定義に同じである。)
  2. 請求項1において、連続で100ショット射出成型した後の金型のポリマー接触表面に検出される化合物Aと化合物Bの合計量が、ポリマーに接触する金型表面積1cmあたり0.005〜0.1mgの範囲である、請求項1記載のポリカーボネート組成物。
  3. 芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性化合物とを反応して成る、主たる繰り返し単位が次式(1)
    【化4】
    Figure 0005275534
    (式中のR 、R 、R 、およびR は、それぞれ独立に、炭素数1〜20アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、Wは単結合、酸素原子、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基または炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基である。)
    で表わされる、粘度平均分子量が12,000〜100,000であり、溶融粘度安定性が0.5%以下であり、ポリマー1トンあたりの末端OH基量が5〜100化学当量であるポリカーボネート100重量部と、炭素数10〜25の脂肪族モノカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族多価アルコールのエステル0.005〜0.2重量部とから成るポリカーボネート組成物であって、該ポリカーボネート組成物を射出成型した後の金型のポリマー接触表面の臨界表面張力が、JIS K6768に基づく測定で32〜39dyn/cmの範囲であり、
    ポリカーボネートが下記式(4)〜(6)で表される成分のうち少なくとも1つの成分を含有し、それらの合計量がカーボネート結合に対し0.001〜0.15モル%であるポリカーボネート組成物。
    【化5】
    Figure 0005275534
    (R、R、R、R、およびWは式(1)の定義に同じである。)
  4. 芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性化合物とを反応して成るポリカーボネートが、180〜220℃の温度範囲で、かつ40〜150mmHgの範囲で行う反応初期工程を含んで製造されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
  5. ポリカーボネートが塩基性エステル交換触媒により溶融重縮合されたものであり、該塩基性エステル交換触媒が、塩基性窒素化合物およびまたは塩基性リン化合物とアルカリ金属化合物とを含有し、該アルカリ金属化合物がアルカリ金属元素として、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して1×10−8〜5×10−6化学当量の範囲であり、ポリマー重合後に溶融粘度安定化剤を用いて該触媒の一部または全部を失活、不活性化することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物の成型品。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物から得られるディスク基盤。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート組成物のディスク基盤の素材としての用途。
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