JP3249426B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

Info

Publication number
JP3249426B2
JP3249426B2 JP11808097A JP11808097A JP3249426B2 JP 3249426 B2 JP3249426 B2 JP 3249426B2 JP 11808097 A JP11808097 A JP 11808097A JP 11808097 A JP11808097 A JP 11808097A JP 3249426 B2 JP3249426 B2 JP 3249426B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
methoxycarbonyl
reaction
salicylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11808097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10306158A (ja
Inventor
博章 兼子
渉 船越
勝司 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP11808097A priority Critical patent/JP3249426B2/ja
Priority to EP98911208A priority patent/EP0980861A4/en
Priority to US09/402,359 priority patent/US6410777B1/en
Priority to PCT/JP1998/001564 priority patent/WO1998045246A1/ja
Publication of JPH10306158A publication Critical patent/JPH10306158A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3249426B2 publication Critical patent/JP3249426B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは特
定の構造を有するサリチル酸エステル誘導体を末端封止
剤または重合促進剤として用い、末端封止反応または重
合促進反応において生成するサリチル酸エステルを回収
し、再利用する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、耐衝撃性などの機
械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも優れて
おり、広く用いられている。このようなポリカーボネー
トの製造方法としては、ビスフェノールAなどの芳香族
ジオールにホスゲンを直接反応させる方法(界面重合
法)、あるいは芳香族ジオールとジフェニルカーボネー
トなどのジアリルカーボネートとを溶融状態でエステル
交換反応(溶融法)させる方法などが知られている。
【0003】このような製造法のなかで、溶融法は界面
重合法による製造に比べて、有毒なホスゲンやメチレン
クロライド等のハロゲン化合物を溶媒として使用する問
題がなく、安価に製造できる利点があり、将来有望であ
ると考えられている。
【0004】この溶融法により製造されるプロセスにお
いて、芳香族炭酸ジエステルを用いてポリカーボネート
の末端を封止する方法はいくつかの例が開示されている
(例えば特公平7―39483号公報や特開平6―15
7739号公報など)。
【0005】しかしながら、末端封止反応を行うことに
より生成する芳香族ヒドロキシ化合物を再利用する方法
については、今まで未検討のままであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融法によ
りポリカーボネートを製造するプロセスにおいて、末端
封止剤または重合促進剤として使用される特定のサリチ
ル酸エステル誘導体に関して、反応後に生成するサリチ
ル酸エステルを回収し、回収されたサリチル酸エステル
より製造されたサリチル酸エステル誘導体を末端封止剤
または重合促進剤として利用することを目的としてい
る。これにより、末端封止剤または重合促進剤の原料コ
ストを下げることができ、かつ産業廃棄物が低減された
ポリカーボネートの製造プロセスを提供することができ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明でいう、特定のサ
リチル酸エステル誘導体化合物とは下記式(1)
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1はメチル基またはエチル基で
あり、Xは炭素数1から30のアルキル基、炭素数1か
ら30のアルコキシ基、炭素数6から30のアリール
基、または炭素数6から30のアリールオキシ基を表わ
す) [ここで炭素数1から30のアルキル基および炭素数1
から30のアルコキシ基は2−(メトキシカルボニル)
フェニルオキシカルボニル基、2−(エトキシカルボニ
ル)フェニルオキシカルボニル基、2−(メトキシカル
ボニル)フェニルオキシカルボニルオキシ基、2−(エ
トキシカルボニル)フェニルオキシカルボニルオキシ基
で置換されていても良く、また、炭素数6から30のア
リール基および炭素数6から30のアリールオキシ基
は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2
−(メトキシカルボニル)フェニルオキシカルボニル
基、2−(メトキシカルボニル)フェニルオキシカルボ
ニル基、炭素数1から30のアルキル基、炭素数1から
30のアルコキシ基、炭素数1から30のアラルキル基
で置換されていても良い]で表されるものをいう。
【0010】炭素数1から30のアルキル基とは直鎖状
であっても分岐状であっても環状であっても不飽和基を
含んでいても良い。このようなアルキル基としては、た
とえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチ
ル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル
基、n−ノニル基、n−ラウリル基、n−ステアリル
基、n−ドコサニル基、n−テトラコサニル基などの直
鎖状アルキル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの
分岐状アルキル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル
基、ヘキセニル基、ドデセニル基などの不飽和アルキル
基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基などが挙げ
られる。
【0011】炭素数1から30のアルコキシ基とは直鎖
状であっても分岐状であっても環状であっても不飽和基
を含んでいても良い。このようなアルコキシ基として
は、たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オク
チルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−ステアリルオ
キシ基、n−ドコサニルオキシ基、n−テトラコサニル
オキシ基などの直鎖状アルコキシ基、イソプロピルオキ
シ基などの分岐状アルコキシ基、アリルオキシ基、ブテ
ニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ
基、ドデセニルイキシ基などの不飽和アルコキシ基、シ
クロヘキシルオキシ基などの環状アルキルオキシ基など
が挙げられる。
【0012】上記アルキル基、アルコキシ基は(2−メ
トキシカルボニル)フェニルオキシカルボニル基(下記
式3)
【0013】
【化4】
【0014】や、(2−エトキシカルボニル)フェニル
オキシカルボニル基(下記式4)、
【0015】
【化5】
【0016】(2−メトキシカルボニル)フェニルオキ
シカルボニルオキシ基(下記式5)、
【0017】
【化6】
【0018】(2−エトキシカルボニル)フェニルオキ
シカルボニルオキシ基(下記式6)
【0019】
【化7】
【0020】で置換されていても良い。
【0021】炭素数6から30のアリール基とは、たと
えばフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェ
ニル基などが挙げられる。
【0022】炭素数6から30のアリールオキシ基と
は、たとえばフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ア
ントラニルオキシ基、ビフェニルオキシ基などが挙げら
れる。
【0023】上記アリール基、アリールオキシ基は(2
−メトキシカルボニル)フェニルオキシカルボニル基
や、(2−エトキシカルボニル)フェニルオキシカルボ
ニル基、(2−メトキシカルボニル)フェニルオキシカ
ルボニルオキシ基、(2−エトキシカルボニル)フェニ
ルオキシカルボニルオキシ基、炭素数1から30のアル
キル基、炭素数1から30のアルコキシ基、、炭素数1
から30のアラルキル基で置換されていても良い。炭素
数1から30のアルキル基、炭素数1から30のアルコ
キシ基は前記した例と同様のものを挙げることができ
る。炭素数1から30のアラルキル基とは、具体的には
ベンジル基、クミル基、2−フェニルエチル基などの置
換基のことをいう。
【0024】これらのサリチル酸エステル誘導体の具体
例としては、2―メチルオキシカルボニルフェニル―メ
チルカーボネート、2―メチルオキシカルボニルフェニ
ル−n−ブチルカーボネート、2―メチルオキシカルボ
ニルフェニル−n−ヘキシルカーボネート、2―エチル
オキシカルボニルフェニル−n−ノニルカーボネート、
2―メチルオキシカルボニルフェニル−n−ステアリル
カーボネート、2―メチルオキシカルボニルフェニル―
フェニルカーボネート、2―エチルオキシカルボニルフ
ェニル―フェニルカーボネート、2―メチルオキシカル
ボニルフェニル―p−t−ブチルフェニルカーボネー
ト、2―エチルオキシカルボニルフェニル―p−t−ブ
チルフェニルカーボネート、2―メチルオキシカルボニ
ルフェニル―p−クミルフェニルカーボネート、2―エ
チルオキシカルボニルフェニル―p−クミルフェニルカ
ーボネート、ビス(2―メチルオキシカルボニルフェニ
ル)カーボネート、2―メチルオキシカルボニルフェニ
ルアセテート、2―メチルオキシカルボニルフェニル−
n−ブチレート、2―メチルオキシカルボニルフェニル
−n−ヘキシレート、2―エチルオキシカルボニルフェ
ニル−n−ノニレート、2―メチルオキシカルボニルフ
ェニル−n−ステアリン酸エステル、テレフタル酸ビス
(2―メチルオキシカルボニルフェニル)エステル、イ
ソフタル酸ビス(2―メチルオキシカルボニルフェニ
ル)エステル、テレフタル酸ビス(2―エチルオキシカ
ルボニルフェニル)エステル、イソフタル酸ビス(2―
エチルオキシカルボニルフェニル)エステル、コハク酸
ビス(2―メチルオキシカルボニルフェニル)エステ
ル、アジピン酸ビス(2―エチルオキシカルボニルフェ
ニル)エステル、1、4−ブタンジオールビス(2―エ
チルオキシカルボニルフェニル)カーボネート、1、1
0−デカンジオールビス(2―エチルオキシカルボニル
フェニル)カーボネートなどを挙げることができる。
【0025】これらサリチル酸エステル誘導体中に不純
物として含まれる塩素量、窒素量、アルカリ金属量、重
金属量は低いことが好ましい。アルカリ金属とはナトリ
ウム、カリウム及びこれらの塩や誘導体であり、重金属
とは具体的には鉄、ニッケル、クロムのことをいう。
【0026】これらの不純物の含有量は、塩素としては
1000ppm以下、窒素としては100ppm以下、
アルカリ金属としては10ppm以下、重金属の中で、
鉄としては3ppm以下、ニッケルとしては2ppm以
下、クロムとしては1ppm以下が好ましい。
【0027】さらに好ましくは、塩素としては200〜
0.1ppm、窒素としては20〜0.1ppm、アル
カリ金属としては3〜0.01ppm、鉄としては1〜
0.001ppm、ニッケルとしては1〜0.001p
pm、クロムとしては0.5〜0.001ppmの範囲
が好ましい。
【0028】このような品質を保った特定のサリチル酸
エステル誘導体を、ポリカーボネートの製造プロセスに
おける末端封止剤または重合促進剤として用いた場合、
得られるポリマーの品質としては色相に優れ、ポリカー
ボネート中の不純物の含有量は好ましくは、塩素として
は50ppm以下、重金属の中で、鉄としては3ppm
以下、ニッケルとしては2ppm以下、クロムとしては
1ppm以下がよい。
【0029】さらに好ましくは、塩素としては20〜
0.1ppm、鉄としては1〜0.001ppm、ニッ
ケルとしては1〜0.001ppm、クロムとしては
0.5〜0.001ppmがよい。
【0030】本発明でこれらのサリチル酸エステル誘導
体はいかなる有機合成反応によって製造してもかまわな
い。
【0031】そのサリチル酸エステル誘導体の合成例を
挙げると、次のような反応が挙げられる。
【0032】たとえば、下記式(2)
【0033】
【化8】
【0034】[式(2)において、R1は上記(1)に
おける記載に同じ。]よりなるサリチル酸エステル類
と、下記式(7)
【0035】
【化9】
【0036】[式(7)において、Xは上記(1)にお
ける記載に同じ。]よりなるクロロギ酸エステル類また
は酸クロリド類とを塩基性化合物の存在下にカップリン
グする反応があげられる。
【0037】ここで塩基性化合物とは、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウムなどのアルカリ
金属化合物類、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金
属化合物類、ピリジン、トリエチルアミン、ピペリジン
などのアミン類が挙げられる。
【0038】溶媒にはジクロロメタン、キシレン、トル
エンなどの有機溶媒、またはこれらと水との2層系の溶
媒が用いられる。
【0039】また反応を効率よく進めるためのテトラメ
チルアンモニウムクロリドの如き触媒を用いてもかまわ
ない。
【0040】本発明では、上記に記載した特定のサリチ
ル酸エステル誘導体を、溶融法ポリカーボネートの製造
プロセスにおける末端封止剤または重合促進剤として使
用する。
【0041】末端封止反応または重合促進反応により、
上記式(2)のサリチル酸エステルが生成するが、本発
明ではこのサリチル酸エステルを回収し、上記末端封止
剤または重合促進剤の合成原料として再利用することを
特徴としている。
【0042】サリチル酸エステルは、末端封止反応また
は重合促進反応を少なくとも240℃以上の高温、10
torr以下の減圧条件下で反応を進め、蒸気として発
生するサリチル酸エステルをコンデンサーを用いて液化
し、回収する。
【0043】コンデンサーには公知のあらゆるものを使
用でき、水冷式であっても空冷式であってもよい。
【0044】本発明において、回収されたサリチル酸エ
ステルは上記方法によりそのままサリチル酸エステル誘
導体合成に用いてもかまわないが、好ましくは精製を行
ってから再利用する。
【0045】精製方法としては、溶剤による洗浄等の公
知のいかなる方法を用いてもよいが、好ましくは蒸留精
製するのが好ましい。
【0046】蒸留における装置の種類や釜の材質などは
公知のいかなるものを用いても良いが、好ましくは蒸留
塔や還流塔がついており、蒸留塔としては圧力損失の少
ない充填材を用いた蒸留装置が好ましい。装置の材質と
しては、SUS316やSUS304等のステンレス性
が好ましい。また釜の内側に、バフ加工を施したりクロ
ムなどの金属メッキを行ったりしても良い。
【0047】回収されたサリチル酸エステルの品質とし
ては、純度95%以上で無着色透明のものが好ましく、
不純物の含有量は塩素が1000ppm以下、重金属が
10ppm以下のものが好ましい。ここで言う重金属と
は、鉄、クロム、ニッケルなどの金属元素のことをい
い、これらはICPなどの分析により定量できる。
【0048】さらに好ましくは、不純物の含有量は塩素
としては200〜0.1ppm、鉄としては1〜0.0
01ppm、ニッケルとしては1〜0.001ppm、
クロムとしては0.7〜0.001ppmがよい。
【0049】末端封止反応を行う装置は公知のいかなる
反応装置を用いても良いが、好ましくは、2軸押し出し
機、横型反応器が用いられる.これらの中では特に2軸
押し出し機が混練性能に優れ、好ましく用いられる.こ
れら2軸押し出し機は混練部とベント部から成る単位処
理ゾーンを備えることが好ましい.単位処理ゾーンの数
は1つでも良いが複数個所有してもよい.混練部はポリ
カーボネートの進行方向に対してベント部の上流側に設
置される.また、混練部とベント部はポリマーシール部
を介さず直接接続されていることが好ましい.ベント部
より上記サリチル酸エステル回収用のコンデンサーまで
の間には、蒸留塔を設置してもよい。蒸留塔の種類や材
質、大きさは特に制限はないが好ましくは先に記した蒸
留装置に類似したものがよい。
【0050】本発明において、末端封止反応に供される
芳香族ポリカーボネートとは、芳香族ジヒドロキシ化合
物と炭酸ジエステルとの重縮合物を表わす。
【0051】ここで、芳香族ジヒドロキシ化合物は下記
式(8)で示される化合物である。
【0052】
【化10】
【0053】[上記式(8)中、Ra、Rbは同一また
は異なり、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から
12の炭化水素基である。炭化水素基としては炭素数1
から12の脂肪族炭化水素基あるいは炭素数6から12
の芳香族炭化水素基が好ましい。ハロゲン原子としては
塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0054】Reは炭素数3から8のアルキレン基であ
る。アルキレン基としては、ペンチレン基、ヘキシレン
基等が挙げられる。
【0055】式中Rc、Rdは同一または異なり、ハロ
ゲン原子、または炭素数1から12の1価の炭化水素基
である。炭化水素基としては炭素数1から12の脂肪族
炭化水素基あるいは炭素数6から12の芳香族炭化水素
基を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素、
臭素、ヨウ素等が挙げられる。] 芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には1,1
―ビス(4―ヒドロキシ―t―ブチルフェニル)プロパ
ン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2―ビス(4―ヒドロキシブロモフェニル)プ
ロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、
1,1―ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロペンタ
ン、1,1―ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカ
ン類、4,4′―ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4,4′―ジヒドロキシ―3,3′―ジメチルフェニル
エーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,
4′―ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′―
ジヒドロキシ―3,3′―ジメチルフェニルスルフィド
などのジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4′―
ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′―ジヒ
ドロキシ―3,3′―ジメチルフェニルスルホキシドな
どのジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4′―
ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′―ジヒドロ
キシ―3,3′―ジメチルフェニルスルホンなどのジヒ
ドロキシアリールスルホン類などが挙げられる。
【0056】これらのうちでは特に2,2―ビス(4―
ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が
好ましく用いられる。これらの芳香族ジヒドロキシル化
合物は単独または組み合わせて用いることができる。
【0057】炭酸ジエステル化合物としては、具体的に
はジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートなど
のジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート
類、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカー
ボネートなどのアルキルアリールカーボネート類などを
挙げることができる。
【0058】これらのうち、特にジフェニルカーボネー
トが好ましく用いられる。これらの芳香族ジヒドロキシ
ル化合物は単独または組み合わせて用いることができ
る。これら炭酸ジエステル化合物は芳香族ジヒドロキシ
化合物1モルに対して過剰量、好ましくは1.01から
1.20モル用いることが望ましい。
【0059】ポリマー製造に用いる触媒としては、あら
ゆる公知の触媒を用いてもよい。それらの中で好ましく
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、
アルコラート、フェノラートや、有機または無機酸のア
ルカリ(土類)金属塩、元素周期律表上第14族元素の
オキソ酸またはアート錯体のアルカリ(土類)金属塩、
あるいは含窒素塩基性化合物などが用いられる。
【0060】これらの化合物はポリカーボネートの原料
であるジヒドロキシ化合物1モルに対して10-8モルか
ら10-1モル、好ましくは10-7モルから10-2モル用
いることができる。
【0061】これらの触媒は単独または組み合わせて用
いることができる。これらの触媒を、組み合わせて用い
る場合は、その目的に応じて、たとえば1つの触媒化合
物を重合開始時に、他の触媒化合物を重合途中に加える
などのように、添加時期や方法を個別にしてもかまわな
い。
【0062】ポリカーボネートの重合(ジヒドロキシ化
合物とジアリルカーボネートとの溶融エステル交換反
応)は、従来知られている通常の方法と同様な条件下で
行なうことができる。
【0063】具体的には、第1段目の反応を80〜25
0℃、好ましくは100〜230℃、さらに好ましくは
120〜190℃の温度で、0.5〜5時間、好ましく
は1〜4時間、さらに好ましくは1.5〜3時間、減圧
下、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリルカーボネート
とを反応させる。次いで反応系の真空度を高めながら反
応温度を高めて、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリル
カーボネートとの反応を行い、最終的には5mmHg以
下、好ましくは1mmHg以下の減圧下で、240〜3
20℃で、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリルカーボ
ネートとの重縮合反応を行う。
【0064】重縮合反応は、連続式で行ってもよく、バ
ッチ式で行ってもよい。また上記の反応を行うに際して
用いられる重合装置は槽型であっても菅型であっても塔
型であってもよい。
【0065】本発明においては、最終的に生成したポリ
マーに、触媒の中和剤を用いることができる。触媒の中
和剤としては公知のいかなる剤を使用できるが、好まし
くは、有機スルホン酸の塩、エステル、無水物、ベタイ
ンなどのスルホン酸化合物が用いられる。特に好ましく
は、スルホン酸塩であり、これらの中でもスルホン酸の
有機ホスホニウム塩や有機アンモニウム塩が好ましく用
いられる。
【0066】これらの触媒中和剤はアルカリ金属化合
物、アルカリ土類金属化合物より選ばれた前記主重縮合
触媒1モルあたり0.5〜50モルの割合で、好ましく
は0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜
5モルの割合で使用することができる。これは通常、ポ
リカーボネートに対し0.01〜500ppmの割合、
好ましくは0.01〜300ppmで使用することに相
当する。
【0067】また、触媒中和剤をポリマーに添加する反
応器に関しても特に制限はない。
【0068】本発明では上記のようにして得られるポリ
カーボネートに通常の耐熱安定性、紫外線吸収剤、離型
剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成
油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤などを添加
してもよい。
【0069】
【発明の効果】溶融法によりポリカーボネートを製造す
るプロセスにおいて、末端封止剤または重合促進剤とし
て使用される特定のサリチル酸エステル誘導体に関し
て、末端封止反応または重合促進反応において生成する
サリチル酸エステルを回収し、回収されたサリチル酸エ
ステルより製造されたサリチル酸エステル誘導体を末端
封止剤または重合促進剤として利用することにより、末
端封止剤または重合促進剤の原料コストを下げることが
でき、かつ産業廃棄物が低減されたポリカーボネートの
製造プロセスを提供することができる。
【0070】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
【0071】本発明において物性測定は以下の方法によ
って測定した。
【0072】(i)固有粘度[η]:塩化メチレン中2
0℃でウベローデ粘度計で測定した。
【0073】(ii)ポリマー末端基の定量:サンプル
0.02gを0.4mlの重水素置換クロロホルムに溶
解し、20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−27
0)を用いて末端基を定量した。水酸基末端濃度(モル
%)は全末端数に対する各構造の割合により計算した。
【0074】
【数1】水酸基末端濃度(モル%)=水酸基末端数(モ
ル)/全末端数(モル)×100 (iii)化合物の純度:ガスクロマトグラフ(島津G
C-14B、OV−17パックドカラム使用)で分析
し、ガスクロチャートの面積比で純度を決定した。
【0075】(iv)化合物の元素分析:塩素量、窒素
量は、サンプルを800〜825℃で燃焼した後にドー
マン微量電流滴定法で測定した。ナトリウム量、カリウ
ム量、鉄量、クロム量、ニッケル量はサンプルを650
℃で処理、塩酸で抽出後、ICP分析(日本ジャーレル
・アッシュ社、ICAP−575II型)により定量し
た。
【0076】(v)ポリマー色相:末端封止後のサンプ
ルの色は目視による評価および、日本電色工業製の色差
計ND−1001DPを用い、Lab値を反射法で測定
し黄色度の尺度としてb値の測定を行なった。
【0077】[(a)プレポリマーの重合]ビスフェノ
ールA228部、ジフェニルカーボネート220部およ
び触媒としてビスフェノールAのナトリウム塩1×10
μモル/原料ビスフェノールA、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキシド100×10μモル/原料ビスフェノ
ールAを加え、撹拌装置、蒸留器および減圧装置を備え
た反応槽に仕込み窒素置換した後、140度で溶解し
た。30分撹拌後、内温を180℃に昇温し、100m
mHgで30分反応させ、生成するフェノールを留去し
た。さらに200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mm
Hgで30分間フェノールを留去しつつ反応させた。
【0078】さらに220℃、30mmHgまで徐々に
昇温、減圧し、同温同圧で30分、さらに240℃、1
0mmHg、260℃、1mmHg、270℃、1mm
Hg以下にまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し
反応を続行した。
【0079】最終的に同温・同圧で1時間重合を行い、
ポリカーボネート樹脂の固有粘度が0.35程度になっ
た段階で、反応を終了、樹脂をペレダイズ化した。
【0080】ポリマーの[η]=0.352、水酸基含
有率(%)は51%、ポリマー色相は良好で、b値は3
であった。
【0081】[(b)2−メトキシカルボニルフェニル
−フェニルカーボネート(下記式(9))の合成。]
【0082】
【化11】
【0083】サリチル酸メチル470g(3.1モ
ル)、トリエチルアミン324g(3.2モル)を2L
のジクロロメタンに溶解し、4℃の条件でフェニルクロ
ロフォーメート324g(0.30モル)を滴下、カッ
プリングを行った。反応液の全量を3%塩酸水溶液、3
%重曹水溶液で順次十分に洗浄後、脱イオン水で十分に
洗浄し、脱水後、溶媒を除去した。得られた沈殿を蒸留
し、精製物を603g得た。ガスクロによる純度は98
%であった。元素分析の結果を表1に示す。
【0084】[(c)2−メトキシカルボニルフェニル
−フェニルカーボネートによる末端封止反応]上記
(a)で調製したポリマー20Kgを蒸留塔および冷却
管を備えた装置に仕込み、270度で溶融した後、末端
封止剤(2−メトキシカルボニルフェニル−フェニルカ
ーボネート)0.58Kgを添加した。その後、270
℃、1mmHg以下で10分間反応を継続した.蒸留塔
および冷却管より回収されたサリチル酸メチルの重量は
0.23Kg、純度は88%であった。また末端封止後
のポリマーの水酸基末端(%)は5%、[η]=0.3
57であった。色相は良好で、b値は3であった。回収
されたサリチル酸メチルおよび末端封止後のポリマーの
元素分析の結果を表1に示す。
【0085】[(d)サリチル酸メチルの蒸留]上記
(c)で回収されたサリチル酸メチルの全量を常圧で蒸
留精製した。蒸留装置にはガラス製の器具を用い、蒸留
塔には高さ30cmウイッドマー型蒸留塔を用いた。精
製されたサリチル酸メチルの量は175g、純度は99
%であった。蒸留後のサリチル酸メチルの元素分析の結
果を表2に示す。
【0086】[(e)回収されたサリチル酸メチルを用
いた2−メトキシカルボニルフェニル−フェニルカーボ
ネートの合成]上記(d)で得られたサリチル酸メチル
の全量に新規サリチル酸メチル295gを加え、上記
(b)と同様に合成を行った。蒸留後の精製物は588
g、ガスクロによる純度は99%であった。合成された
2−メトキシカルボニルフェニル−フェニルカーボネー
トの元素分析の結果を表3に示す。
【0087】実施例により、末端封止剤の合成に利用し
たサリチル酸エステルの37%を回収品で補うことが出
来、原料コストをその分だけ下げることが可能であっ
た。また、サリチル酸メチルの全量を回収した為、産業
廃棄物を低減することが可能であった。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−175723(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融法により芳香族ポリカーボネートを
    製造する方法において、下記式(1) 【化1】 (式中、R1はメチル基またはエチル基であり、Xは炭
    素数1から30のアルキル基、炭素数1から30のアル
    コキシ基、炭素数6から30のアリール基、または炭素
    数6から30のアリールオキシ基を表わす。) [ここで炭素数1から30のアルキル基および炭素数1
    から30のアルコキシ基は2−(メトキシカルボニル)
    フェニルオキシカルボニル基、2−(エトキシカルボニ
    ル)フェニルオキシカルボニル基、2−(メトキシカル
    ボニル)フェニルオキシカルボニルオキシ基、2−(エ
    トキシカルボニル)フェニルオキシカルボニルオキシ基
    で置換されていても良く、また、炭素数6から30のア
    リール基および炭素数6から30のアリールオキシ基
    は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2
    −(メトキシカルボニル)フェニルオキシカルボニル
    基、2−(メトキシカルボニル)フェニルオキシカルボ
    ニル基、炭素数1から30のアルキル基、炭素数1から
    30のアルコキシ基、炭素数1から30のアラルキル基
    で置換されていても良い]で表されるサリチル酸エステ
    ル誘導体を末端封止剤としてまたは重合促進剤として用
    い、末端封止反応または重合促進反応において生成する
    下記式(2) 【化2】 (ここでR1は上記式(1)に同じ)のサリチル酸エス
    テルを回収し、回収されたサリチル酸エステルより製造
    されたサリチル酸エステル誘導体を末端封止剤または重
    合促進剤として利用することを特徴とする芳香族ポリカ
    ーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記式(2)の回収されたサリチル酸エ
    ステルについて少なくとも1回精製を行い、精製された
    サリチル酸エステルよりサリチル酸エステル誘導体を製
    造することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 精製方法が蒸留精製である請求項2に記
    載の方法。
JP11808097A 1997-04-04 1997-05-08 芳香族ポリカーボネートの製造方法 Expired - Fee Related JP3249426B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11808097A JP3249426B2 (ja) 1997-05-08 1997-05-08 芳香族ポリカーボネートの製造方法
EP98911208A EP0980861A4 (en) 1997-04-04 1998-04-03 SALICYLESTER DERIVATIVES AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
US09/402,359 US6410777B1 (en) 1997-04-04 1998-04-03 Salicylic acid ester derivative and its production
PCT/JP1998/001564 WO1998045246A1 (fr) 1997-04-04 1998-04-03 Derives d'esters salicyliques et leur procede de preparation

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11808097A JP3249426B2 (ja) 1997-05-08 1997-05-08 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10306158A JPH10306158A (ja) 1998-11-17
JP3249426B2 true JP3249426B2 (ja) 2002-01-21

Family

ID=14727507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11808097A Expired - Fee Related JP3249426B2 (ja) 1997-04-04 1997-05-08 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3249426B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999047580A1 (fr) * 1998-03-17 1999-09-23 Teijin Limited Procede de production de polycarbonate aromatique
JP4880812B2 (ja) * 2000-10-05 2012-02-22 帝人株式会社 金型離型性に優れたポリカーボネート組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10306158A (ja) 1998-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100589111B1 (ko) 고분자량 폴리카보네이트의 제조방법
JPH11302228A (ja) サリチル酸エステル誘導体およびその製造方法
CN104797628B (zh) 经高分子量化的芳香族聚碳酸酯树脂的制造方法
CA2089279A1 (en) Branched aromatic carbonate polymer
JP3533297B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP3249426B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2003530477A (ja) ポリカーボネート製造用触媒としてのアリールスルホン酸塩
JP2888307B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP2000128976A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP3365444B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート及びその製造法
JP4622143B2 (ja) ポリカーボネート樹脂の製造方法
US5349042A (en) Process for producing polycarbonate
US5459225A (en) Process for producing polycarbonate having reduced residual chloroformate therein
KR100707332B1 (ko) 폴리카르보네이트의 제조 방법
JPH10306060A (ja) サリチル酸エステル誘導体およびそれを用いた芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH0699551B2 (ja) 芳香族ポリカ−ボネ−トの製造法
JP3508488B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
US6472498B2 (en) Diaryl carbonate product and production of polycarbonate
JP2862800B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2000128974A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3242749B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2003511499A (ja) ポリカーボネート合成触媒としてのイオウのオキソ酸のアルカリ金属塩
JP2002053657A (ja) ポリカーボネートの製法
JPH05148354A (ja) ポリカーボネートの製造法
JP4149602B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体と、その製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees